JP5348914B2 - 防眩性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種ディスプレイに使用される防眩性フィルム及びその製造方法に係り、特に液晶ディスプレイの表示面でのギラツキや外部光源の映り込みを防止するのに適した防眩性フィルム及びその製造技術に関する。
陰極管表示ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイでは、外景の映り込みによる反射光によって画面が見え難くなる。このため、防眩性フィルムをディスプレイ表面に貼り付ける等により、画面に映り込んだ光を散乱させて視認性を向上させている。
このような防眩性フィルムとしては、種々のものが提案されている。例えば、特許文献1及び2には、透明基板上に、樹脂ビーズ、或いは平均粒子径が0.5〜1.5μmのシリカ等の粒子を含む防眩層を形成した防眩性フィルムが提案されている。しかし、このような粒子を用いて表面に凹凸形状を形成する方法では、防眩層内における粒子の凝集状態や偏在性等を精密に制御するのは困難である。また、粒子径の均一な粒子を用いる必要があるため、コスト高になる虞がある。
上記のような粒子を使用しない方法として、特許文献3は、樹脂組成物のスピノーダル分解を利用した防眩性フィルムの製造方法が提案されている。この防眩性フィルムの製造方法では、複数のポリマーや樹脂前駆体と溶媒からなる溶液を透明基材上に塗布した後、溶媒を蒸発させることにより、ポリマーや樹脂が相分離構造を形成して表面に凹凸を形成する。しかしながら、ここでの相分離構造は、蒸発条件等によって容易に変形し易く、安定的に製造するのは困難であった。
特許文献4には、ポリマー、硬化性樹脂前駆体、及び溶媒を含む溶液を透明基材上に塗布した後、乾燥工程において、湿潤塗膜に細胞状回転対流を生じさせることで表面の凸凹形状を制御する方法が提案されている。これにより得られる防眩性フィルムは、ドメインとマトリックスの間が回転対流により凹凸状に形成され、ドメイン内は更に相分離により凹凸部が形成されている。
特開平6−18706号公報 特開平10−20103号公報 特開2004−126495号公報 特開2007−187746号公報
しかしながら、上記特許文献4では、湿潤膜内における細胞状回転対流を一律或いは均一に形成することは困難である。このため、ドメインとマトリックスを微小なサイズで規則正しく、安定して製造することができないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、表面に微小且つ規則正しい凸凹形状を有する防眩層を安定に形成でき、高い防眩性、ギラツキ抑制能を得ることができる防眩性フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、透明支持体の上に、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を溶媒に溶解させた溶液を相分離させてなる防眩層が形成された防眩性フィルムであって、前記防眩層は、第1の球状樹脂粒子の内部に第2の球状樹脂粒子を備えたことを特徴とする防眩性フィルム及びその製造方法を提供する。
請求項1によれば、まず、第1の球状樹脂粒子によって防眩層の表面に規則正しい凹凸形状を形成できるので、外景の映り込み等の光を散乱させて防眩性を向上することができる。また、第1の球状樹脂粒子の内部に更に相分離によって第2の球状樹脂粒子を含有させることで、ディスプレイ内部からの光を効果的に散乱させ、ギラツキや反射光の干渉によるモアレを効果的に抑制することができる。このように、第1の球状樹脂粒子の内部に第2の球状樹脂粒子を備えた規則正しい凹凸構造を有するので、防眩性を向上させ、ギラツキや反射光によるモアレを抑制できる。
請求項2は請求項1において、前記第1の球状樹脂粒子の平均粒子径は10μm以上であり、且つ前記第2の球状樹脂粒子の平均粒子径は3μm以下であることを特徴とする。
請求項2によれば、10μm以上で規則正しく形成された第1の球状樹脂粒子の内部に、更に3μm以下の小さい第2の球状樹脂粒子を有する。このように、微小サイズの2重粒子構造を有するので、光を効果的に散乱させることができ、高い防眩性、高いギラツキ抑制能を発揮できる。
請求項3は請求項2において、前記第2の球状樹脂粒子の平均粒子径は1.5μm以下であることを特徴とする。
請求項3は、第2の球状樹脂粒子の好ましい粒子サイズを規定したものである。
請求項4は請求項1〜3の何れか1項において、前記2種類の樹脂材料は、セルロース誘導体とアクリル樹脂であることを特徴とする。
請求項4は、好ましい樹脂材料の組み合わせの一つを規定したものであり、良好に相分離を生じさせることができる。
請求項5は請求項1〜4の何れか1項において、前記防眩層の上に低屈折率層が形成されたことを特徴とする。
本発明の請求項6は前記目的を達成するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の防眩性フィルムを製造する防眩性フィルムの製造方法であって、走行する透明支持体の上に、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料の質量比を調整することにより溶媒に溶解させた防眩層用塗布液を塗布する工程と、塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、前記溶媒の大部分を蒸発させ後に、前記塗布層をさらに加熱で乾燥させて相分離させる工程と、を備えた防眩性フィルムの製造方法を提供する。

請求項6によれば、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料の質量比を調整し、塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、溶媒の大部分を蒸発させ後に塗布層をさらに加熱で乾燥させることにより、第1の樹脂粒子の内部に第2の樹脂粒子を備えた規則正しい構造に相分離させることができる。
請求項7は請求項6において、前記2種類の樹脂材料として、セルロース誘導体とアクリル樹脂とを質量比1:3〜1:10の範囲で含むことを特徴とする。
請求項7は、本発明者らが、第1の樹脂粒子の内部に第2の樹脂粒子を備えた規則正しい構造に相分離させる好ましい樹脂材料の組み合わせとその質量比の範囲を見出したものである。
請求項8は請求項6又は7において、前記防眩層用塗布液は硬化性化合物を含むと共に、前記塗布層を相分離させた後、硬化させることを特徴とする。
請求項8によれば、硬化性化合物を起点として塗布液を硬化させることにより、凸凹を形成し易くすると共に安定に固定化することができる。
本発明によれば、表面に微小且つ規則正しい凸凹形状を有する防眩層を安定に形成でき、高い防眩性、ギラツキ抑制能を得ることができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る防眩性フィルムの製造方法の好ましい実施の形態について説明する。
まず、本実施形態において使用される各素材について説明する。
〔防眩性フイルム〕
防眩性フイルムは、一般的に、透明支持体上に防眩層が形成されてなる。また、防眩層の上に、さらに低屈折率層を形成してもよい。
〔透明支持体〕
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。また、プラスチックフイルムを用いることが好ましい。プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等、)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトン等が挙げられる。
〔防眩層〕
防眩層は、互いに非相溶である少なくとも2種類のポリマーから構成されている。また、上記少なくとも2種類のポリマーに硬化性化合物を添加し、硬化させたものでもよい。このような防眩層は、上記少なくとも2種類のポリマーを相分離させることにより、球状粒子(第1の球状樹脂粒子)の内部に更に小さい球状粒子(第2の球状樹脂粒子)を備えた二重粒子構造が形成される。
ポリマーとしては、互いに非相溶である少なくとも2種類のポリマーであれば、特に限定はないが、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
好ましい熱可塑性樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。特に、熱可塑性樹脂として、セルロース誘導体が好ましい。セルロース誘導体は、半合成高分子であり、他の樹脂や硬化剤と溶解挙動が異なるため、非常に良好な相分離性を有する。
また、硬化後の耐擦傷性の観点から、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマーとして、硬化反応に関与する官能基(硬化剤と反応可能な官能基)を有するポリマーを用いることもできる。このような官能基としては、縮合性又は反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基など)、重合性官能基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリルなどのC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC2−6アルキニル基、ビニリデンなどのC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性官能基を有する官能基((メタ)アクリロイル基など)等)等が挙げられる。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−50℃〜230℃、好ましくは0〜200℃程度の範囲から選択できる。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1000000以下、好ましくは1000〜500000程度の範囲から選択できる。
第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは、特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶で、相分離し易い2種類のポリマーを組み合わせることが好ましい。
例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
本実施形態においては、主に、2種類のポリマーの質量比を制御することにより、二重粒子構造を形成することができる。例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)であり、第2のポリマーがアクリル系樹脂である場合、第1のポリマーと第2のポリマーとの質量比は、例えば、1:3〜1:10程度とすることが好ましい。
硬化性化合物としては、熱線や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)等により反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。
硬化性化合物としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基、重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基など)などを有する低分子量化合物(又はプレポリマー、例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などの低分子量樹脂など)]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。硬化性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光硬化性化合物は、通常、光硬化性基、例えば、重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基など)や感光性基(シンナモイル基など)を有しており、特に重合性基を有する光硬化性化合物(例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂))が好ましい。
重合性基を有する光硬化性化合物のうち、単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレートなどのC1−6アルキル(メタ)アクリレートなど)、シクロアルキル(メタ)アクリレート、橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなど)、グリシジル(メタ)アクリレート;酢酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体など]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの3〜6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]が例示できる。
硬化性化合物は、その種類に応じて、硬化剤と組み合わせて用いてもよい。例えば、光硬化性化合物は光重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類等を使用できる。光重合開始剤の含有量は、硬化性化合物に対して0.1〜20重量部程度とすることができる。
なお、複数のポリマーの相分離性は、それぞれ双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
これらの複数のポリマーは、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、更に相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状等の独立相の海島構造)となる。
防眩層の相分離構造は、海島構造(液滴相構造)、或いは共連続相構造(又は網目構造)が混在した液滴相構造であってもよい。これらの相分離構造により、溶媒乾燥後において防眩性フィルムの表面に微細な凹凸を形成できる。即ち、10〜20μmの比較的大きな球状粒子内に3μm以下、好ましくは1.5μm以下の小さい球状粒子が存在する二重粒子構造を形成できる。第1の球状粒子と第2の球状粒子の平均粒子径の比は、3:1〜10:1とすることが好ましい。また、第1の球状粒子内部に複数の第2の球状粒子が存在してもよい。このような二重粒子構造は、例えば、塗布した防眩層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。このような二重粒子構造は、乾燥速度が大きくなるようにポリマーの質量比を制御することで、ポリマーの各液滴(ドメイン)が凝集する前に膜構造を固定化し、該固定化した大粒子の内部で更に相分離を進行させることで小粒子を形成させることにより得られる。
これらの相分離、或いは平均粒子径の制御は、用いるポリマーの種類や組み合わせ、質量比を調整することにより行うことができる。ポリマーの種類は互いに非相溶であればよく、防眩層を形成する際は、上記非相溶の2種類以上のポリマーを共通の良溶媒に溶解させた溶液を使用することが好ましい。ポリマーの質量比については、まず非相溶のポリマー2種類と、該ポリマーの共通溶媒とによる三角相図を作成し、スピノーダル分解を起こす線(スピノーダル線)を通過するような乾燥過程を経るように制御すればよい。このようなスピノーダル線は、例えば、文献(CORNELL UNIVERSITY PRESS,「Scaling Concepts in Polymer Physics」,p94-96)に基づいて求めることができる。
このようにして得られた防眩層の内部におけるヘイズ(層の内部で散乱を引き起こす内部ヘイズ)は低く、例えば、0〜1%程度である。なお、内部ヘイズは、防眩層の表面凹凸を平坦化するように上から樹脂層をコートするか、透明粘着層を介して平滑な透明フィルムと防眩層の表面凹凸を貼り合わせて、ヘイズを測定することにより測定できる。なお、所望の防眩性を得る上で、二重粒子構造が防眩層のバルクに対して占める割合は、例えば、80体積%程度であることが好ましい。
〔防眩性フィルムの製造方法〕
防眩性フィルムは、互いに非相溶である少なくとも2種類のポリマー及び溶媒を含む防眩層用塗布液を塗布し、乾燥工程において相分離させることにより製造することができる。具体的には、防眩層用塗布液を透明支持体上に塗布し、該塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。
本実施形態では、非相溶である少なくとも2種類のポリマー、溶媒、硬化性化合物、及び硬化剤を含む防眩層用塗布液を透明支持体の上に塗布し、乾燥工程で相転移させた後、その塗布層を硬化させて製造することが好ましい。これにより、防眩層の耐擦傷性を向上させることができる。
本実施形態の相分離は、上記防眩層用塗布液中の溶媒を蒸発させることにより行うことができる。即ち、溶媒は互に非相溶のポリマーを溶解するだけでなく、乾燥速度を調整する役割も有する。
使用される溶媒としては、用いるポリマー、硬化性化合物等の種類及び溶解性に応じて選択でき、混合溶媒の場合、少なくとも1種類は固形分(複数のポリマー及び硬化性化合物、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、塗布液を透明支持体に塗布する場合、透明支持体の種類に応じて、透明支持体を溶解や侵食、又は膨潤させない溶媒を選択してもよい。例えば、透明支持体としてトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、塗布液の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエン等を好ましく使用できる。
防眩層用塗布液の粘度は、1〜50cP程度とすることができ、該塗布液の固形分濃度は、例えば、5〜50重量%程度とすることができる。防眩層用塗布液の塗布厚みは、二重粒子構造を形成する上で、例えば、20〜50μm程度とすることができる。
次に、本実施形態における防眩性フィルムの製造方法の一例について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の防眩性フィルムの製造工程10の一例を示した概略図である。
長尺状の透明支持体16(既に何らかの機能層が形成されているものも含む)が、フィルムロール12から送出機14により送り出される。透明支持体16の走行速度は、例えば、0.1〜1.5m/秒とすることができる。
透明支持体16はガイドローラ18によってガイドされて除塵機20に送りこまれる。除塵機20は、透明支持体16の表面に付着した塵を取り除くことができるようになっている。除塵機20の下流には、塗布手段であるエクストルージョン方式の塗布装置22の塗布ヘッド22Aが設けられており、防眩層用塗布液がバックアップローラに巻き掛けられた透明支持体16上に逐次、もしくは同時に塗布できるようになっている。塗布層は、例えば、湿潤厚みが40μm以下とすることができる。
塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法等も用いることができる。塗布ヘッド22Aは、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
塗布ヘッド22Aの下流には、本実施形態における相分離を生じさせる(初期)乾燥ゾーン24と、加熱(本乾燥)ゾーン26と、が順次設けられている。(初期)乾燥ゾーン24で、形成された塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、溶媒の大部分を蒸発させ後に、塗布層をさらに加熱(本乾燥)ゾーン26で乾燥することが好ましい。
この乾燥ゾーン24では、防眩層用塗布液の塗布層を、所定温度(例えば、80℃)で溶媒を蒸発させることにより相分離を誘起させる。例えば、溶媒の沸点に応じて、例えば、40〜120℃程度の温度で乾燥させてもよい。
乾燥速度は、速すぎると相分離する前に乾燥して固化するため、0.03〜5.0g/m/秒とすることが好ましい。乾燥風量は、上記乾燥速度に応じて設定できるが、例えば1〜20m/分程度とすることができる。
乾燥ゾーン24における該塗布層表面の気体層のシールは、塗布層の表面に沿って気体を塗布層の移動速度に対して−0.1〜0.1m/秒の相対速度となるように移動させることが好ましい。上記溶媒を抑制下に蒸発させるには、塗布層中の溶媒含有量の減少速度が時間と比例関係にある期間内に行なうことが好ましい。乾燥は覆いを付けることが好ましい。また、乾燥風には整流した風もしくは均一な風を用いても良いし、もしくは蒸発した溶媒を塗布膜面に対向して設置された冷却凝縮板により凝縮させ取り除いても良い。
加熱(本乾燥)ゾーン26としては、特に限定はないが、熱風加熱装置(例えば、特開2001−314799に記載の熱処理装置等)、ヒータ加熱装置等が使用できる。熱風加熱する場合、加熱ムラを抑制する上で、熱風の風速は1m/秒以下とすることが好ましい。
乾燥工程の下流には、塗布層の硬化工程として、熱線や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)により、塗布層を硬化又は架橋させる。硬化方法としては、硬化性化合物の種類に応じて選択できるが、例えば、紫外線照射装置28が使用される。この紫外線照射により、所望の硬化、架橋を形成できるようになっている。
また素材によっては熱で硬化するための熱処理ゾーンが設けられ所望の硬化、架橋を行うこともある。または、上記塗布層を形成した透明支持体16を巻き取った後、別工程でオーブン加熱や、搬送しての熱処理を行うこともある。そして、この下流に設けられた巻取り機30により、反射防止膜が形成された透明支持体16が巻き取られるようになっている。
透明支持体16上に逐次塗布を行い2層以上の塗布層を形成させる場合には、これらを連続で行う(巻き取らず、塗布、乾燥工程を繰り返し、最終的に巻き取る)ことが生産上は好ましい。
以上説明したように、本発明に係る防眩性フィルム及びその製造方法を採用することにより、第1の球状樹脂粒子の内部に第2の球状樹脂粒子を備えた規則正しい凹凸構造を有する防眩層を形成することができる。これにより、高い防眩性を有し、且つギラツキや反射光によるモアレの少ない防眩性フイルムを得ることができる。
以下、上記防眩層を備えた他の光学フィルム、及びそれに使用される各種素材について説明する。
〔反射防止フイルム〕
反射防止フイルムは、透明支持体上に単層から複数層の光干渉層からなる反射防止層が最表面に設けられ、必要に応じてハードコート層、防眩層が支持体と光干渉層の間に設けられる。中でも、防眩層と反射防止層の両方を具備したものを防眩性反射防止フイルムという。
透明支持体上に防眩層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止フィルムは、以下を満足する屈折率を有する様に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあったヘイズとすることが好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
透明支持体上にハードコート層を設け、低屈折率層を積層した層構成からなるクリア型反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。防眩層>低屈折率層の屈折率、また又、透明支持体と防眩層の間に、ハードコート層を設けてもよい。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
もしくは透明支持体上に防眩層を設け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、防眩層にあったヘイズとすることが好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
もしくは透明支持体上にハードコート層を設け、高屈折率層、低屈折率層を積層した層構成からなる防眩性反射防止膜以下を満足する屈折率を有する様に設計される。高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
〔高屈折率層及び中屈折率層〕
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.7以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。更に、ラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。又、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシト゛組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
〔低屈折率層〕
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造をを有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。又、有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。低屈折率層が最外層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
〔反射防止フィルムの他の層〕
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JISK5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(アンチグレア機能)
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
なお、本実施形態では、主に本発明を防眩性フィルム、反射防止フィルムに適用する例で説明したが、その他の機能性フィルムにも適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〕
透明支持体としては、幅1000mm、厚さ80μmのトリアセチルセルロース〔フジタック、富士フィルム(株)製〕上に、下記防眩層用塗布液を、#3.2のワイヤーバーを透明支持体の走行方向と同じ方向に回転させて、上記透明支持体上に連続的に塗布した。そして、100℃で1分間熱処理した。これにより、防眩層を形成した防眩性フィルムを作製した。
<防眩層用塗布液の組成>
66質量部のメチルエチルケトンに下記組成物を溶解させて塗布液を調製した。塗布液の粘度はメチルエチルケトンの添加量を加減することにより所望の値に調整した。
セルロースアセテートプロピオネート 2質量部
アクリル樹脂 15質量部
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、防眩性及びギラツキを評価した。防眩性は、蛍光灯の反射像のボケの程度を目視観察し、以下の基準で評価した。
○…蛍光灯の輪郭がわからない
△…蛍光灯がぼけているが、輪郭は識別できる(製品としては問題ないレベル)
×…蛍光灯がほとんどぼけない
ギラツキは、蛍光灯を写して表面のギラツキを目視観察し、以下の3段階で評価した。
○…ほとんどギラツキが見られない
△…わずかにギラツキがある(製品としては問題ないレベル)
×…識別可能なギラツキがある
この結果を表1に示す。また、防眩層の光学顕微鏡による観察写真を模写した図を図2に示し、このうち図2(B)は図2(A)の一部を拡大したものである。
〔実施例2〕
防眩層用塗布液に硬化性化合物、及び光重合開始剤を添加し、上記熱処理後、透明支持体上の塗布層に紫外線照射装置(紫外線ランプ32:出力160W/cm、発光長1.6m)により照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応させて硬膜させた以外は実施例1と同様にした。
<防眩層用塗布液の組成>
66質量部のメチルエチルケトンに下記組成物を溶解させて塗布液を調製した。塗布液の粘度はメチルエチルケトンの添加量を加減することにより所望の値に調整した。
セルロースアセテートプロピオネート 2質量部
アクリル樹脂 15質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(硬化性化合物)
15質量部
光重合開始剤(硬化剤) 1.2質量部
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、実施例1と同様に防眩性及びギラツキを評価した。この結果を表1に示す。
〔実施例3〕
66質量部のメチルエチルケトンに下記組成物を溶解させて塗布液を調製した。塗布液の粘度はメチルエチルケトンの添加量を加減することにより所望の値に調整した。
セルロースアセテートプロピオネート 4質量部
アクリル樹脂 14質量部
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、実施例1と同様に防眩性及びギラツキを評価した。この結果を表1に示す。
〔比較例1〕
76質量部のメチルエチルケトンに下記組成物を溶解して塗布液を調製した。塗布液の粘度はメチルエチルケトンの添加量を加減して、所望の値に調整した。
セルロースアセテートプロピオネート 6.6質量部
アクリル樹脂 15.8質量部
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、実施例1と同様に防眩性及びギラツキを評価した。この結果を表1に示す。
Figure 0005348914
表1に示すように、実施例1〜3は、セルロースアセテートプロピオネート:アクリル樹脂を質量比で1:3〜1:10の範囲で含む場合であり、比較例1は、セルロースアセテートプロピオネート:アクリル樹脂が質量比で上記範囲外の場合である。
実施例1〜3では、図2(A)、(B)に示すように、大粒子に小粒子が内包された規則正しい二重粒子構造からなる防眩層が形成されており、高い防眩性、ギラツキ抑制能を示すことがわかった。
これに対して、比較例1では、上記のような規則正しい二重粒子構造は得られず、所望の防眩性、ギラツキ抑制能を示さないことがわかった。
また、実施例2は、防眩層用塗布液に硬化性化合物、硬化剤を添加し、硬化させた場合である。これにより、上記の規則正しい二重粒子構造を安定に固定化することができるだけでなく、ポリマードメインを小さくする働きがあるため、大粒子、小粒子の大きさが小さくなり、ギラツキ抑制能をより向上させることがわかった。
本実施形態における防眩性フィルムの製造工程の一例を示した概略図である。 本実施例の結果を示す模式図である。
符号の説明
10…防眩性フィルムの製造装置、16…透明支持体、22…塗布装置、24…(初期)乾燥ゾーン、26…加熱(本乾燥)ゾーン、28…紫外線照射装置

Claims (8)

  1. 透明支持体の上に、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を溶媒に溶解させた溶液を相分離させてなる防眩層が形成された防眩性フィルムであって、
    前記防眩層は、第1の球状樹脂粒子の内部に第2の球状樹脂粒子を備えたことを特徴とする防眩性フィルム。
  2. 前記第1の球状樹脂粒子の平均粒子径は10μm以上であり、且つ前記第2の球状樹脂粒子の平均粒子径は3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の防眩性フィルム。
  3. 前記第2の球状樹脂粒子の平均粒子径は1.5μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の防眩性フィルム。
  4. 前記2種類の樹脂材料は、セルロース誘導体とアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の防眩性フィルム。
  5. 前記防眩層の上に低屈折率層が形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の防眩性フィルム。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の防眩性フィルムを製造する防眩性フィルムの製造方法であって、
    走行する透明支持体の上に、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料の質量比を調整することにより溶媒に溶解させた防眩層用塗布液を塗布する工程と、
    塗布層の表面を気体層でシールしながら溶媒を抑制下に蒸発させ、前記溶媒の大部分を蒸発させ後に、前記塗布層をさらに加熱で乾燥させて相分離させる工程と、を備えた防眩性フィルムの製造方法。
  7. 前記2種類の樹脂材料として、セルロース誘導体とアクリル樹脂とを質量比1:3〜1:10の範囲で含むことを特徴とする請求項6に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  8. 前記防眩層用塗布液は硬化性化合物を含むと共に、前記塗布層を相分離させた後、硬化させることを特徴とする請求項6又は7に記載の防眩性フィルムの製造方法。
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