JP5993318B2 - 防眩性フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は防眩性フィルムの製造方法及び製造装置に係り、特に液晶表示装置等のディスプレイ装置に使用される防眩性フィルムの製造方法及び製造装置に関する。
液晶表示装置等のディスプレイ装置では、外光の反射による像の映り込みを防止するために、防眩性フィルムが用いられている。防眩性フィルムには大きく分けて次の4種類あることが知られている。すなわち、(1)膜厚に対して比較的大径の粒子を混入した塗布液を支持体に塗布・乾燥させることにより、粒子を突出させて表面凹凸を形成して、その凹凸面で外光を散乱させる「粒子利用・外部散乱型防眩性フィルム」と、(2)周囲のバインダ成分と屈折率が少し異なる粒子を配合して膜内に埋没させることによって外光を膜内で散乱させる「粒子利用・内部散乱型防眩性フィルム」と、(3)膜厚に対して比較的小径の粒子を海島状に凝集させることによって外光を散乱する「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」と、(4)屈折率が異なりかつ相溶性が少ない2種類以上の樹脂を相分離させて外光を表面散乱させる「樹脂利用・相分離型防眩性フィルム」である。
これらの防眩性フィルムは、フィルムに塗布液を塗布した後、塗布液を乾燥装置で乾燥させた後、塗布膜を硬膜化することによって製造される。この防眩性フィルムの製造では、乾燥ライン長の短いコンパクトな乾燥装置で高速生産するため、乾燥装置での乾燥風を強くしたり、乾燥温度を高めたり、比較的速く乾く溶剤の混合比率を高めたりすることによって、塗膜からの溶剤乾燥速度を速めることが望まれる。しかし、その場合には、乾燥風や雰囲気ガス濃度分布の不均一に起因するマランゴニ対流やレイリー対流によって乾燥ムラが起こりやすくなり、面内均一な光学性能を実現することができないという問題が発生する。このため、生産速度には限界があり、高い防眩性を有する防眩性フィルムを生産効率良く製造できないという問題があった。
特に(3)「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」は、粒子が凝集しなければ殆ど防眩性が発現しないため、乾燥装置において粒子が凝集するのに必要な時間を取らなければならない。このため、乾燥ムラ防止の時間だけでなく、凝集所要時間の確保が必要となるので、生産速度(乾燥装置サイズのコンパクト化)にさらに限界があった。
この問題を解決するために、特許文献1には、フィルムを30以上90°以下に傾けて乾燥することにより、粒子を沈降させることで凝集を促進する方法が提案されている。
特開2010−54737号公報
しかしながら、特許文献1のように単にフィルム基材を30以上90°以下傾けて乾燥しても高い防眩性を有する防眩性フィルムを製造できないという問題がある。特に、近年は防眩性フィルムを薄くする要望が強く、小さな粒子(例えば粒子径が1以上5μm以下)を凝集させて大きな凝集体を形成する必要がある。
フィルム基材を走行させて連続的に防眩性フィルムを製造する場合、短時間で粒子を凝集させないと、乾燥ラインを長くしなくてはならず、装置コストや装置の設置スペースの点でも問題となる。
しかし、小さな粒子の場合には、大きな粒子に比べて沢山の粒子を凝集させないと防眩性を発揮しないため、乾燥ライン長を長くしないように、如何に短時間で最大限の凝集作用を発揮させるかが重要な課題となる。
また、防眩性フィルムの製造においては、高い防眩性を有する防眩性フィルムを生産性良く製造することが要求される一方、目的に応じて防眩性能をコントロールすることも要求されている。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、粒子の凝集作用を制御することができるので、防眩性フィルムの生産性を上げることができるだけでなく、防眩性フィルムの防眩性能もコントロールすることができる防眩性フィルムの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明の防眩性フィルムの製造方法は、走行する帯状のフィルム基材に粒子を含有する塗布液を塗布する塗布工程と、塗布工程で塗布された塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を少なくとも経て防眩性フィルムを製造する防眩性フィルム製造方法において、乾燥工程は、フィルム基材を走行方向に傾斜して走行させることによって塗布膜中の粒子を凝集させながら乾燥する凝集工程と、傾斜を低減してフィルム基材を走行させることによって粒子が凝集した凝集体が解れるのを抑制しながら乾燥する解れ抑制工程と、フィルム基材の走行が凝集工程から解れ抑制工程へ移行するタイミングを制御する移行タイミング制御工程と、を備えたことを特徴とする。
ここで移行タイミング制御工程とは、フィルム基材を走行中に凝集工程から解れ抑制工程へ移行させるタイミングを制御することに限定されず、フィルム基材の走行を停止して凝集工程から解れ抑制工程へ移行させるタイミングを制御することも含む。更には、例えば製造される防眩性フィルムの製造条件等が同じで、凝集工程から解れ抑制工程への移行タイミングが変動しない場合には、移行タイミングを固定することも含む。
本発明の発明者は、乾燥工程において、粒子含有の塗布膜を有するフィルム基材を、走行方向に傾斜させて走行させた場合、粒子の凝集を促進できる一方、傾斜を維持している時間が長くなると一旦凝集した凝集体が解れてしまうという新たな知見を得た。
なお、フィルム基材を走行方向に傾斜させるとは、上向き方向に傾斜させる場合、下向き方向に傾斜させる場合の両方を含む。
一旦凝集した凝集体が解れる理由としては、凝集体が形成された後も傾斜を維持すると、凝集体が塗布膜中で移動し、凝集体同士が衝突することによって解れるものと考察される。
したがって、凝集体が形成された後は、傾斜を低減して凝集体の移動を抑制すれば凝集体の解れも抑制され凝集性能を大きくできると推察し、実験により推察通りの結果を得ることができた。また、凝集工程から解れ抑制工程への移行タイミングを変えることによって防眩性能の異なる防眩性フィルムを製造できるとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、凝集工程ではフィルム基材を傾斜させた状態で乾燥することで粒子の凝集を促進し、解れ抑制工程ではフィルム基材の傾斜を低減した状態で乾燥することで凝集した凝集体の解れを抑制する。そして、凝集工程から解れ抑制工程への移行タイミングを制御することにより、凝集体の大きさを適宜調整することができる。
これにより、粒子の凝集作用(凝集速度等)を制御することができるので、防眩性フィルムの生産性を上げることができるだけでなく、防眩性フィルムの防眩性能もコントロールすることができる。
本発明の製造方法においては、凝集工程の傾斜を維持したときに凝集体が解れ始める時点を予め知得する解れ開始知得工程を更に備えることが好ましい。
これにより、凝集体が解れ始める時点を基準として、凝集工程から解れ抑制工程へ移行する移行タイミングを正確に制御できるので、凝集体の大きさ(即ち防眩性能)を適宜調整できる。
本発明の製造方法においては、移行タイミング制御工程では、解れ開始知得工程で知得した解れ開始時点を分岐点として、凝集工程から解れ抑制工程へ移行させることが好ましい。
これにより、凝集体の大きさを最大にすることができるので防眩性を高くすることができる。
ちなみに、解れ開始時点の前(凝集途中)又は後(解れ途中)に凝集工程から解れ抑制工程へ移行させれば、凝集体の大きさが小さくなる。
本発明の製造方法においては、塗布液にスメクタイトを添加することが好ましい。塗布液にスメクタイトを添加させることで、凝集を一層促進すると共に、凝集体の解れを一層抑制することができる。
本発明の製造方法においては、粒子の径が1以上5μm以下の範囲であることが好ましい。このような小さな粒子範囲では、沢山の粒子を凝集させて大きな凝集体を形成する必要があり、本発明がより有効である。
本発明の製造方法においては、凝集工程の傾斜角度は30°以上90°以下の範囲であり、解れ抑制工程の傾斜角度は0°以上30°未満であることが好ましい。
このように、フィルム基材を走行方向に30°以上傾斜させることにより、塗布膜中の粒子は外部エネルギーである重力の影響を受けてフィルム基材上を走行方向に移動し、凝集が促進される。凝集工程で凝集を促進させるための更に好まし傾斜角度は60°以上であり、特に好ましい傾斜角度は80°以上である。
また、フィルム基材の傾斜を30°未満に低減させれば、塗布膜中に形成された凝集体がフィルム基材上で移動するのを抑制することができ、凝集体の解れを顕著に抑制できる。解れ抑制工程で凝集体の解れを抑制するための更に好ましい傾斜角度は0°以上10°以下の範囲であり、特に好ましくは0°(水平)である。
前記目的を達成するために本発明の防眩性フィルムの製造装置は、走行する帯状のフィルム基材に粒子を含有する塗布液を塗布する塗布装置と、塗布装置で塗布された塗布膜を乾燥させる乾燥装置と、を少なくとも経て防眩性フィルムを製造する防眩性フィルム製造装置において、乾燥装置は、フィルム基材を走行方向に傾斜して走行させることによって塗布膜中の粒子を凝集させながら乾燥する凝集ラインと、傾斜を低減してフィルム基材を走行させることによって粒子が凝集した凝集体が解れるのを抑制しながら乾燥する解れ抑制ラインと、フィルム基材の走行が凝集ラインから解れ抑制ラインへ移行するタイミングを制御する移行タイミング制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の製造装置によれば、凝集ラインでフィルム基材を傾斜させることで粒子の凝集を促進し、解れ抑制ラインでフィルム基材の傾斜を低減して凝集した凝集体の解れを抑制するようにした。そして、移行タイミング制御手段によってフィルム基材の走行が凝集ラインから解れ抑制ラインへ移行するタイミングを制御するようにした。
これにより、粒子の凝集作用(凝集速度等)を制御することができるので、防眩性フィルムの生産性を上げることができるだけでなく、防眩性フィルムの防眩性能も適宜調整することができる。
本発明の製造装置においては、移行タイミング制御手段は、凝集ラインにおけるフィルム基材の傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段と、凝集ラインにおけるライン長さを調整する凝集ライン長調整手段と、前記フィルム基材の搬送速度を調整する搬送速度調整手段と、を備えることが好ましい。
凝集ラインの傾斜角度、凝集ラインのライン長、搬送速度調整手段との少なくとも1つを調整することにより、凝集ラインから解れ抑制ラインへの移行タイミングを調整することができる。これにより、凝集体の大きさ(即ち防眩性能)を適宜調整することができる。
本発明の製造装置においては、塗布液にはスメクタイトが添加されていることが好ましい。また、粒子の径が1以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
また、凝集ラインでの傾斜角度は30°以上90°以下の範囲であり、60°以上が更に好ましく、80°以上が特に好ましい。また、解れ防止ゾーンでの傾斜角度は0°以上30°未満であることが好ましく、0°以上10°以下の範囲が更に好ましく、0°(水平)が特に好ましい。
本発明の防眩性フィルムの製造方法及び製造装置によれば、粒子の凝集作用を制御することができるので、防眩性フィルムの生産性を上げることができるだけでなく、防眩性フィルムの防眩性能もコントロールすることができる。
防眩性フィルムの製造装置のライン構成の一例を模式的に示す図 傾斜角度調整装置の一例を示す図 傾斜ライン長調整装置の一例を示す図 傾斜ライン長調整装置による傾斜ライン長の調整を示す説明図 防眩性フィルムの製造装置の乾燥装置の別態様を模式的に示す図 凝集ラインの傾斜時間と防眩性フィルムの防眩性との関係グラフ 塗布直後、乾燥10秒後、乾燥20秒後のマイクロスコープ写真 凝集体の体積と防眩性度合いとの一例を示す図
以下、添付図面に従って本発明の防眩性フィルムの製造方法及び製造装置の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、防眩性フィルムの製造装置のライン構成を模式的に示した図である。
図1に示すように、製造装置のライン10は主として、帯状の透明フィルム基材(以下ウエブという)12をライン上に送り出す送出機14、ウエブ12に塗布液を塗布する塗布装置16、塗布された塗布膜を乾燥する乾燥装置18、乾燥した塗布膜を硬膜化する硬膜装置25、及び巻取機22で構成される。
送出機14には、ウエブ12がロール状に巻回されて装着される。このウエブ12は送出機14から送り出され、塗布装置16、乾燥装置18、硬膜装置25の順に送られ、各種の処理が施された後、巻取機22で巻き取られる。符号24は、ラインを走行するウエブ12をガイドするガイドローラである。
なお、ライン10の構成は、図1のものに限定されるものではなく、図1以外の他の装置が組み込まれたものなど、様々な態様が可能である。
塗布装置16は、ウエブ12の表面に塗布液を塗布する装置である。塗布液には、粒子が均一に混合されており、この粒子が凝集してウエブ12の表面に凹凸を形成することによって、防眩性が付与される。塗布液に含有される粒子の平均粒子径としては、10μm未満のものが使用されるが、本発明の実施の形態では、通常(6〜8μm)よりも粒子径の小さな1以上5μm以下の粒子の例で説明する。粒子径の小さな粒子を使用することで、防眩性フィルムの厚みを薄くできるが、大きな粒子の場合よりも沢山の粒子を凝集しなくてはならず、本発明がより有効である。
塗布液に含有させる粒子の好ましい粒子濃度範囲としては、3〜10質量%程度が好ましい。
塗布液にはスメクタイトを添加することが好ましい。塗布液にスメクタイトを添加することで、粒子の凝集を一層促進すると共に、粒子が凝集した凝集体の解れを一層抑制することができる。
スメクタイトとは、化学大辞典9(共立出版(株) 昭和56年10月15日縮刷版第26刷発行 第311頁)によると、モンモリロン石群鉱物と呼ばれ、粘土を構成する代表的な鉱物の一群である。そして、その全てが三層構造をとるフィロケイ酸塩鉱物に属し、一般式は(X、Y)10(OH)・mHO・(W)で示される。ここで、X=Al、FeIII、MnIII、CrIII;Y=Mg、FeII、MnII、Ni、Zn、Li;Z=Si、Al;W=K、Na、Ca;HO=層間水である。
更に、X、Y、Z中の同形イオン置換の組み合わせにより多くの種を形成する。例えば、モンモリロン石、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロン石、アルミニアンノントロナイト、サポー石、アルミニアンサポー石、ヘクトライト、ソーコナイト、ボルコンスコアイト等の天然スメクタイトを挙げることができる。
更に、水ガラス、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム等を原料としてスメクタイト組成の共沈ゲルを作り、オートクレーブを用いた水熱反応により合成した合成スメクタイトもあり、合成スメクタイトは、その粒子径が10以上100nm以下であること、さらに、その不純物の量が天然スメクタイトと比べ少ないことより、本発明の防眩性フィルムの製造においては、天然スメクタイトより合成スメクタイトを用いる方が好ましい。
合成スメクタイトの例としては、例えば、コープケミカル社製のSWF、SWN、SAN、SEN、SPN、クニミネ工業製のスメクトンSA等が挙げられる。
塗布液に添加するスメクタイトの好ましい添加濃度範囲としては、1〜5質量%程度が好ましい。
塗布液の塗布装置は特に限定するものではなく、塗布液を膜厚10以上40μm以下程度で均一に塗布できる装置であればよい。例えばエクストルージョン塗布装置やロッド塗布装置が好適に用いられる。図1のエクストルージョン型の塗布装置16は、塗布ヘッド26とバックアップローラ28を備え、バックアップローラ28にウエブ12が巻き掛けられる。塗布ヘッド26は、バックアップローラ28に巻き掛けられたウエブ12に向けて塗布液を薄膜状に吐出するように構成されており、吐出された塗布液は、塗布ヘッド26のリップ先端とウエブ12との間に架橋され、これによって塗布液のビードが形成される。ウエブ12の走行方向に対してリップ先端の上流側には減圧室30が設けられ、この減圧室30を負圧に制御することによってウエブ12の空気同伴現象が防止され、ビードの安定化が図られる。これにより、ウエブ12上に塗布液が均一に塗布される。
乾燥装置18は、主として、ウエブ12を走行方向に傾斜して走行させることによって塗布膜中の粒子を凝集させながら乾燥する凝集ライン18Aと、傾斜を低減してウエブ12を走行させることによって塗布膜中で凝集した凝集体が解れるのを抑制しながら乾燥する解れ抑制ライン18Bと、ウエブ12の走行が凝集ライン18Aから解れ抑制ライン18Bへ移行するタイミングを制御する移行タイミング制御手段17と、で構成される。
乾燥装置18において塗布膜を乾燥させるための構成は特に限定するものではなく、従来公知の様々な態様が可能である。しかし、乾燥装置18を構成する凝集ライン18Aと解れ抑制ライン18Bとでは、乾燥方式を変えることが好ましい。
凝集ライン18Aは、塗布直後の初期乾燥で塗布膜の残留溶媒が多く乾燥ムラが生じ易いこと及び粒子の凝集のためにラインを傾斜させる必要があることから、図1に示す凝縮乾燥方式の装置を好適に使用することができる。凝縮乾燥方式は、トンネル状のケーシング19内を斜め上方に向かって走行するウエブ12の上側上方(塗布膜面側)にウエブ12と略平行に板状部材である凝縮板23を配設する。そして、塗布膜から蒸発する溶媒を凝縮板23で凝縮して回収することにより塗布膜を乾燥する。この場合、塗布膜面を赤外線ヒータ(図示せず)で加熱することが好ましい。
また、解れ抑制ライン18Bでは、塗布膜の残留溶媒が少なくなっており乾燥ムラが生じ難いこと及び乾燥を迅速に行う必要があることから熱風乾燥方式が好ましい。熱風乾燥方式は、ケーシング27内を走行するウエブ12の塗布膜面に乾燥風(または熱風)を吹き付けたり、ウエブ12の上方に多孔板から成る整流板(不図示)をウエブ12と平行に設け、この整流板の上方に乾燥風を吹き付けたり、ウエブ12の上方に金網から成る風調板(不図示)をウエブ12に平行に設け、この風調板の上方に乾燥風を吹き付けたりする構成を採用することができる。
なお、凝集ライン18Aとは、ケーシング19を有する領域のみならず、ウエブ12が傾斜して走行するライン、即ち塗布装置直後から傾斜が低減するまでのライン領域を言う。また、解れ抑制ライン18Bとは、ケーシング27を有する領域のみならず、凝集ライン18A以降から乾燥が終了するまでのライン領域を言う。
また、乾燥装置18に設ける移行タイミング制御手段17は、主として、凝集ライン18Aの傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段20と、傾斜している凝集ライン18Aのライン長さを調整する傾斜ライン長調整手段21と、ダンサーローラ36と、で構成される。
図2に示すように、傾斜角度調整手段20は、ガイドローラ32の位置を変えることによってウエブ12が走行する傾斜角度を調節できるように構成される。即ち、ガイドローラ32の軸受部40がレール42に沿ってスライド自在に支持されると共に、軸受部40には、シリンダ44のロッド44aが取り付けられている。これにより、ロッド44aを伸縮させることによって軸受部40をレール42の方向に移動させることができる。したがって、ガイドローラ32の位置が水平方向に移動するので、ウエブ12の傾斜角度θを自在に調節することができる。
ウエブ12に塗布された塗布膜中の粒子に対して凝集移動のきっかけとなる外部エネルギーを効果的に付与するには、ウエブ12の傾斜角度θは30°以上であることが好ましい。
これにより、ウエブ12は走行方向上向きに傾斜した状態で走行するので、ウエブ12上の塗布膜中の粒子は外部エネルギーである重力により後方に寄って他の粒子に接触し、凝集が促進される。
この場合、ウエブ12の傾斜角度の上限としては90°であり、30°以上、90°以下の範囲内において、目的とする防眩性の大きさに応じて設定するとよい。例えば、大きな防眩性を付与したい場合には傾斜角度θを60°以上、好ましくは80°以上に大きく設定することが好ましい。しかし、目的に応じて小さい防眩性を付与したい場合には傾斜角度θを60°未満、好ましくは40°未満に設定することが好ましい。
また、ライン10の稼働中はウエブ12の傾斜角度を固定してもよいし、変動させてもよい。変動させる場合には、乾燥後の防眩性フィルムの防眩性をライン上又はオフライン上で測定し、その測定結果に応じて目的の防眩性(凝集体の大きさ)になるように変動させるとよい。
なお、傾斜角度調整手段20は、これに限定するものではなく、凝集ライン18Aの傾斜角度を調整できる手段であれば様々な態様が可能である。また、ウエブ12の傾斜角度θが予め設定された角度になるようにガイドローラ32の位置を固定してもよい。
図3に示すように、傾斜ライン長調整手段21は、傾斜角度調整手段20のウエブ走行方向下流側に設けられ、ウエブ12に係合する複数のローラ38A,38B,38Cと、該ローラ38A,38B,38Cを支持するロッド40A,40B,40Cと、該ロッドを伸縮させるシリンダ装置42A,42B,42Cとで構成される。
図3ではウエブ12の走行方向上流側から下流側にかけて第1〜第3の3個のローラ38A,38B,38Cを設けた場合であるが、3個に限定するものではない。
そして、図4(A)に示すように、凝集ライン18Aの傾斜ライン長をL1だけ延長する場合には、傾斜角度θが維持されるように第1〜第3のローラ38A、38B、38Cのロッド40A,40B,40Cを同じだけ伸長させる。これにより、ガイドローラ32と第1のローラ38Aとの間隔L1だけ凝集ライン18Aが延長される。
図4(B)に示すように、凝集ライン18Aの傾斜ライン長をL1よりも長いL2だけ延長する場合には、図4(A)の状態から傾斜角度θが維持されるように第2及び第3のローラ38B,38Cのロッド40B、40Cを更に伸長させる。これにより、ガイドローラ32と第2のローラ38Bとの間隔L2だけ凝集ライン18Aが延長される。
図4(C)に示すように、凝集ライン18Aの傾斜ライン長をL2よりも長いL3だけ延長する場合には、図4(B)の状態から傾斜角度θが維持されるように第3のローラ38Cのロッド40Cを更に伸長させる。これにより、ガイドローラ32と第3のローラ38Cとの間隔L2だけ凝集ライン18Aが延長される。
そして、傾斜ライン長を変えることによるウエブ走行ライン長さの変動はダンサーローラ36によって吸収する。
なお、傾斜ライン長調整手段21は、これに限定するものではなく、様々な態様が可能である。また、傾斜ライン長が予め設定された長さになるようにライン10の稼働前に第1〜第3のローラの伸長度合いを固定してもよい。
また、ライン10の稼働中にウエブ12の傾斜ライン長を変動させてもよい。変動させる場合には、乾燥後の防眩性フィルムの防眩性をライン上又はオフライン上で測定し、その測定結果に応じて目的の防眩性(凝集体の大きさ)になるように変動させるとよい。
粒子の凝集体の大きさをオフライン上で知得して防眩性フィルムの防眩性の高低を評価する方法としては、防眩性フィルムの塗布膜面とは反対の裏側全体を黒く塗りつぶす。そして、ルーバなしのむき出し蛍光灯(800cd/m2)を5°の角度から映し、−5°の角度から観察した場合と、45°の角度から映し、−45°の角度から観察した場合の反射像のボケの程度で評価することができる。更に、蛍光灯の両側を覆い、蛍光灯の幅を4mmにして細い線光源を映し込んだ場合について同様に行うことが好ましい。
粒子の凝集体の大きさをオンラインで知得する方法としては、例えば移行タイミング制御工程において、オンラインモニタを設置し、塗膜面側を観察し、凝集状態(促進、解れ)をモニタリングすることで可能となる。また、凝集サイズは、オンライン観察像の凝集体の面積を画像解析することで大小を割り出すことができる。オンラインモニタとしては例えば下記の構成で実施することができる。
(オンラインモニタ構成)
・マイクロスコープ:キーエンス社製 VHシリーズ、
・レンズ:キーエンス社製 ワイドレンジズームレンズ(VHシリーズ)、
・光源:メタルハライドランプ
これにより、凝集ライン18Aの傾斜を維持したときに塗布膜中に形成された凝集体が解れ始める時点(換言すると、凝集体が最大になる時点)を知得することができる(解れ開始知得工程)。
解れ開始知得工程は上記の通り、オンライン上でも可能であるが、ウエブ12の傾斜角度及び傾斜ライン長と、防眩性フィルムの防眩性度合いとの関係を、予めオフライン上の予備試験や実験等により作成しておくことが好ましい。
また、精密に凝集体の大きさと防眩性度合いの関係を知りたい場合は、乾燥後のフィルム表面を表面粗さ計で凹凸面積と高さを測定し、画像解析することで凝集体の体積を割り出し、それと防眩性度合いの関係を作成しておくことがさらに好ましい。
図8は、凝集体の体積と防眩性度合いとの関係を示した一例であり、以下の装置及び作成方法を使用して作成することができる。
・表面粗さ計:Zygo社製、New Viewシリーズ
・画像解析:Zygo社製MetroPro
・防眩性度合い:JIS-Z-8741
このようにウエブ12の傾斜角度、傾斜ライン長及び凝集体の大きさと防眩性度合いの関係を予め知得しておけば、凝集工程から解れ抑制工程への移行タイミングを制御することにより、精度良く凝集体の大きさを適宜調整することができる。これにより、粒子の凝集作用(凝集速度等)を制御することができるので、防眩性フィルムの生産性を上げることができるだけでなく、防眩性フィルムの防眩性能もコントロールすることができる。
したがって、大きな凝集体を形成したい場合には、凝集体が解れ始める時点を分岐点として凝集ライン18Aから解れ抑制ライン18Bへウエブ12の走行が移行するように、移行タイミング制御手段17を制御するとよい。また、凝集体が解れ始める時点からどのくらい前に又はどのくらい後に凝集ライン18Aから解れ抑制ライン18Bへ移行させるかを制御することで凝集体の大きさを適宜調整することができる。
図1に示す硬膜装置25は、塗布液の樹脂成分として光硬膜化性の樹脂を使用した場合には紫外線照射(UV)装置を使用し、熱硬膜化性樹脂を用いた場合には加熱装置を使用する。
次に上記の如く構成された防眩性フィルムの製造装置のライン10の作用について説明する。
送出機14から送り出されたウエブ12は、塗布装置16において、粒子(例えば2.5μm粒径)を含有する塗布液が塗布される(塗布工程)。塗布液にはスメクタイトを添加することが好ましい。
次に、乾燥装置18によってウエブ12に塗布された塗布膜が乾燥される(乾燥工程)。この乾燥工程において、ウエブ12は、傾斜角度調整手段20により走行方向上向きに傾斜(例えば90°)した凝集ライン18Aを走行しながら塗布膜の乾燥を行う。これにより、ウエブ12上の粒子は外部エネルギーである重力の影響を受けてウエブ12上を走行方向後ろ側に移動する。即ち、塗布膜中の粒子に対して凝集のきっかけとなる粒子移動力(重力)が付与されるので、粒子がウエブ12上を移動し、凝集が促進される。これにより、塗布膜中の粒子を短時間で十分な防眩性能を有する領域まで凝集させることができる。
このように粒子の凝集を開始させ、促進させることによって、凝集速度を高めることができる。また、粒子の凝集を積極的に生じさせることによって、塗布膜の全面において均一な凝集を生じさせることができる。これにより、均一な凹凸が形成された防眩性フィルムを、高い生産速度で製造することができる。
しかし、傾斜を維持したままでウエブ12を走行し続けると、凝集した凝集体が解れ始め、凝集体の大きさが減少し、防眩性も減少する。
そこで本発明の実施の形態では、傾斜ライン長調整手段21によって、凝集体が解れ始める直前に、凝集ライン18Aから傾斜が低減(例えば0°)された解れ抑制ライン18Bにウエブ12の走行を移行させて乾燥するようにした。
これにより、凝集体の大きさが最大になったときに凝集体の解れを抑制しながら塗布膜を乾燥することができるので、防眩性の大きな防眩性フィルムを効率的に製造できる。
また、傾斜角度調整手段20及び傾斜ライン長調整手段21を制御することによって、凝集体の大きさを適宜調整し、目的とする防眩性を有する防眩性フィルムを製造することも可能となる。例えば、凝集体が解れ始める前(凝集途中)又は後(解れ途中)に凝集ライン18Aから解れ抑制ライン18Bにウエブ12の走行が移行するようにすれば、凝集体の大きさが最大よりも小さくなる。したがって、凝集途中又は解れ途中の程度を調整してやれば、凝集体の大きさを制御できるので、製造する防眩性フィルムの防眩程度も調整できる。
最後に、硬膜装置25において塗布膜が硬膜化される。これにより、防眩性フィルムが製造され、巻取機22によって巻き取られる。
図5は、1つのケーシング38の中に凝集ライン18A、解れ抑制ライン18B、移行タイミング制御手段17の傾斜角度調整手段20及び傾斜ライン長調整手段21を収納すると共に、ダンサーローラ36をケーシング38の出口近傍に配置したものである。
以下に本発明で製造される防眩性フィルムについて説明する。
[防眩性フィルム]
防眩性フィルムは、LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、セルロースアシレートフィルム等の透明支持体(ウエブ12)の片面または両面に防眩層が付与され、さらに必要に応じて反射防止層が付与される。この防眩性フィルムには、セルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。以下、このような機能を付与したフィルムを防眩性フィルムと呼ぶ。一般的に防眩性フィルムは、透明支持体と防眩層から構成され、必要に応じてハードコート層も設ける場合もある。
防眩性フィルムの透明支持体としては、LCD用途にはセルロースアシレートフィルムが好ましく、特にはセルロースアセテートが好ましい。防眩性フィルムをLCDに用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面やディスプレイ内部の空気との界面に配置する。セルローストリアセテートは偏光板の偏光子を保護する保護フィルムに用いられるため、本発明の防眩性フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコスト、ディスプレイの薄手化の観点で好ましい。
フィルムに防眩性を付与する手段としては、1)可視光を散乱する粒径のマット粒子をバインダ中に分散して表面凹凸を有する防眩層を形成する方法、2)エンボスやサンドブラスト等により支持体表面に凹凸を付与する方法、3)塗布組成物の相分離構造により表面に凹凸を付与する方法等、様様な手法が公開特許公報にて公開されているが、本発明では、マット粒子をバインダ中に分散する方法が採用される。
防眩層の形成には、表面凹凸形成による防眩性付与の目的で、樹脂化合物からなるバインダに加えて樹脂または無機化合物からなる微粒子(マット剤)が用いられる。また、防眩層のバインダ膜厚よりも小さい粒径の微粒子が、該微粒子全体の50%未満であることが好ましい。粒度分布はコールターカウンター法により測定できるが、分布は粒子数分布に換算して考える。防眩層膜厚は塗布膜厚の10以上40μm以下が好ましく、塗布膜厚/粒子径の比は3以上5倍以下が好ましい。
防眩層を形成するために用いる樹脂バインダには、上記ハードコート層を形成するために用いられる素材が膜強度、透明性の観点から好ましく用いられる。
防眩性フィルム、防眩層の形成前または形成後に何らかの手段により支持体の裏面を鹸化処理することにより、LCDを始めとする各用途に用いられる偏光板の製造において、偏光子の保護フィルムとして片面若しくは両面に直接偏光子と貼り合わせることができる。
特にLCDの広視野角化のために液晶を封入したセルと偏光板との間に位相差フィルムを配置する場合には、セルの両面に配置される偏光板のうち、視認側に用いられる偏光板の空気界面側の保護フィルムに防眩性フィルムまたは反射防止フィルムを、その反対面でありセルと偏光子の間となる面に位相差フィルムをそれぞれ偏光子の両面に保護層として貼り合わせて用いることができる。このような構成の偏光板は、従来の偏光板と同等の厚みでありながら広視野角、低反射といった機能を付与することが可能であり、高機能LCD用途に極めて好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例の試験では、凝集ライン18Aから解れ抑制ライン18Bへのウエブ12の走行を移行させるタイミングによって、製造された防眩性フィルムの防眩性がどのように相違するかを調べた。また、塗布液にスメクタイトを添加した場合と添加しない場合とで防眩性がどのように相違するかを調べた。
(防眩層用塗布液の調製)
〈塗布液aの組成…スメクタイト添加なし〉
・PET−30 74.8g
・DPHA 13.2g
・イルガキュア127 3.0g
・2.5μm架橋アクリレート−スチレン共重合体粒子A分散液(30%)
26.4g
・SP−13 0.2g
・MIBK 22.0g
・MEK 40.4g
上記防眩層用塗布液について孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して粒子を含有しない前の塗布液を調製し、下記の粒子を固形分濃度が40質量%になるまで徐々に加え、30分攪拌して作製した。粒子は積水化成品工業(株)製を用いた。得られた粒子含有の塗布液の粘度は7mPa・sであり、表面張力は22mN/mであった。
〈粒子組成〉
2.5μm架橋アクリレート−スチレン共重合体粒子:屈折率1.56(アクリル/スチレン比:3/7)
〈塗布液bの組成…スメクタイト添加あり〉
上記塗布液aの組成にスメクタイトを7.2g添加し、他の調製条件は塗布液aと同様にして塗布液bを調製した。スメクタイトはコープケミカル社製のルーセンタイトSTNを用いた。
(試験1)
富士フイルム製の厚み80μmで幅1540mmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムのウエブ12を30m/分の走行速度で走行させながら、上記の塗布液bをエクストルージョン塗布装置16により塗布した。ウエブ12に塗布する塗布量は膜厚で14μm(塗布量:28mL/m)になるようにした。
次にウエブ12を傾斜斜角度0°(水平)に設定した凝集ライン18Aに走行させながら乾燥し、塗布膜が指触乾燥状態になったタイミングで凝集ライン18Aから水平な解れ抑制ライン18Bへ移行させて乾燥を続けた。凝集ライン18Aでは凝縮乾燥装置を使用し、解れ抑制ライン18Bでは熱風乾燥装置を使用した。即ち、試験1−1は、塗布液にスメクタイトを添加するが、凝集ライン18A及び解れ抑制ライン18Bともに水平なラインの場合である。
凝縮乾燥装置のラインでは凝縮板23の温度を10℃、塗布膜面の赤外線ヒータ(図示せず)を25℃に設定した雰囲気下にウエブ12を通過させた。
熱風乾燥装置では、3mの前半ゾーンと25mの後半ゾーンとで区画された合計28mのケーシング27を使用し、前半ゾーンでは温度45℃の乾燥風を平均風速0.5m/秒で乾燥し、後半ゾーンでは温度60℃の乾燥風を平均風速1.5m/秒で乾燥した。
30℃に保持したバックアップロール(図示せず)上のウエブに硬膜装置25にて紫外線を照射量250mJ/cmで硬膜処理した。
そして、製造された防眩性フィルムを巻取機22に巻き取った。
(試験2−1)
塗布液としてスメクタイトを有しない塗布液aを使用した点と、ウエブ12を傾斜角度90°の凝集ライン18Aを走行させながら乾燥し、塗布膜が指触乾燥状態になったタイミングで凝集ライン18Aから水平な解れ抑制ライン18Bへ移行させて乾燥を続けた点が試験1と異なる。
(試験2−2)
試験2−2では、塗布膜が指触乾燥状態になったタイミングの後もウエブを傾斜角度90°で走行させながら熱風乾燥装置で乾燥した以外は試験2−1と同様である。
(試験3−1)
塗布液としてスメクタイトを添加した塗布液bを使用した点が試験2−1と異なる。
(試験3−2)
試験3−2では、塗布膜が指触乾燥状態になったタイミングの後もウエブ12を傾斜角度90°で走行させながら熱風乾燥装置で乾燥した以外は試験3−1と同様である。
[試験結果]
試験結果を図6及び図7に示す。
図6は、試験1、試験2−1、試験2−2、試験3−1、試験3−2における凝集ライン18Aでの傾斜時間(横軸)と防眩性フィルムの防眩性(縦軸)との関係をグラフ化したものである。但し、試験1の場合の横軸は傾斜時間ではなく水平時間になる。
図7は、塗布装置16による塗布液の塗布直後、乾燥10秒後、乾燥20秒後の塗布膜中の粒子の凝集状態をマイクロスコープで撮影した写真である。
図6の試験1から分かるようにスメクタイトを添加した塗布液の場合であっても、乾燥において凝集ライン18A及び解れ抑制ライン18Bの傾斜角度を両者ともに0°(傾斜なし)とすると、凝集が促進されず、低い防眩性しか得られなかった。この結果は、図7のマイクロスコープ写真でも裏付けられ、塗布直後、乾燥10秒後、乾燥20秒後において、凝集体が生成されなかった。
図6の試験2―1から分かるように、スメクタイトを添加しない塗布膜について、凝集ライン18Aの傾斜角度を90°とし、解れ開始タイミングで水平な抑制ライン18Bにウエブ12の走行を移行させることで、中程度の防眩性を有する防眩性フィルムを製造することができた。
これに対して、解れ開始タイミングの後もウエブの傾斜角度を90°に維持した試験2―2の場合には、形成された凝集体が解れて凝集体の大きさが次第に小さくなった。このことは、図7のマイクロスコープ写真でも裏付けられ、塗布直後から乾燥10秒後にかけて粒子が凝集して凝集体が生成されたが、乾燥20秒後では凝集体が解れていた。
図6の試験3―1から分かるように、スメクタイトを添加した塗布膜について、凝集ライン18Aの傾斜角度を90°とし、解れ開始タイミングで水平な抑制ライン18Bにウエブ12の走行を移行させることで、高い防眩性を有する防眩性フィルムを製造することができた。このことは、塗布液にスメクタイトを添加することで凝集体の凝集を促進すると共に、凝集体の解れ始めるタイミングを遅くすることができることを示している。この結果は、図7のマイクロスコープ写真でも裏付けられ、塗布直後から乾燥10秒後にかけて粒子が凝集して凝集体が生成され、乾燥20秒後でも凝集体の成長が続いた。
これに対して、解れ開始タイミングの後もウエブの傾斜角度を90°に維持した試験3―2の場合には、形成された凝集体が解れて凝集体の大きさが次第に小さくなった。但し、スメクタイトを添加したことによって、大きな凝集体まで成長するので、凝集体の解れが多少あっても防眩性のレベル向上に寄与している。
なお、本実施例では傾斜時間は上記のごとくであったが、本実施例で扱ったものとは異なる物性(粘度、表面張力)、濃度、粒子径等を有する塗布液を扱った場合には傾斜時間は異なる。すなわち、例えば、液の粘度は大きいほど流体抵抗が働くため粒子の動きを阻害し凝集しにくくなるため、粘度が高い液では傾斜時間は長い方が良い。また粒子径は小さいほど多くの粒子を凝集させる必要があるため傾斜時間は長い方が良い。乾燥が進み液固形分濃度が高くなったり、塗布膜厚が小さくなったりすると塗膜中で粒子が動きにくくなるため、乾燥速度が速い場合は傾斜時間をより長くし、粒子が凝集するのを待つ必要がある。以上のごとく、凝集体が成長するに要する傾斜時間は使用する液物性や粒子径、乾燥条件などの影響を受ける。
10…製造装置のライン、12…ウエブ、14…送出機、16…塗布装置、17…移行タイミング制御手段、18…乾燥装置、18A…凝集ライン、18B…解れ抑制ライン、19…凝集ラインのケーシング、20…傾斜角度調整手段、21…傾斜ライン長調整手段、22…巻取機、24…ガイドローラ、25…硬膜装置、26…塗布ヘッド、27…解れ抑制ラインのケーシング、28…バックアップローラ、30…減圧室、36…ダンサーローラ、38…凝集ラインと解れ抑制ラインの両方を収納するケーシング

Claims (9)

  1. 走行する帯状のフィルム基材に粒子を含有する塗布液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程で塗布された塗布膜を乾燥させる乾燥工程と、を少なくとも経て防眩性フィルムを製造する防眩性フィルム製造方法において、
    前記乾燥工程は、
    前記フィルム基材を走行方向に傾斜角度を30°以上90°以下の範囲に傾斜して走行させることによって前記塗布膜中の粒子を凝集させながら乾燥する凝集工程と、
    前記傾斜角度を0°以上30°未満に低減して前記フィルム基材を走行させることによって前記粒子が凝集した凝集体が解れるのを抑制しながら乾燥する解れ抑制工程と、
    前記フィルム基材の走行が前記凝集工程から前記解れ抑制工程へ移行するタイミングを制御する移行タイミング制御工程と、を備えた防眩性フィルムの製造方法。
  2. 前記凝集工程の傾斜を維持したときに前記凝集体が解れ始める時点を予め知得する解れ開始知得工程を更に備えた請求項1に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  3. 前記移行タイミング制御工程では、前記解れ開始知得工程で知得した解れ開始時点を分岐点として、前記凝集工程から前記解れ抑制工程へ移行させる請求項1又は2に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  4. 前記塗布液にスメクタイトを添加する請求項1から3の何れか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  5. 前記粒子の径が1以上5μm以下の範囲である請求項1から4の何れか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  6. 走行する帯状のフィルム基材に粒子を含有する塗布液を塗布する塗布装置と、前記塗布装置で塗布された塗布膜を乾燥させる乾燥装置と、を少なくとも経て防眩性フィルムを製造する防眩性フィルムの製造装置において、
    前記乾燥装置は、
    前記フィルム基材を走行方向に傾斜角度を30°以上90°以下の範囲に傾斜して走行させることによって前記塗布膜中の粒子を凝集させながら乾燥する凝集ラインと、
    前記傾斜角度を0°以上30°未満に低減して前記フィルム基材を走行させることによって前記粒子が凝集した凝集体が解れるのを抑制しながら乾燥する解れ抑制ラインと、
    前記フィルム基材の走行が前記凝集ラインから前記解れ抑制ラインへ移行するタイミングを制御する移行タイミング制御手段と、を備えた防眩性フィルムの製造装置。
  7. 前記移行タイミング制御手段は、
    前記凝集ラインにおける前記フィルム基材の傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段と、
    前記凝集ラインにおけるライン長さを調整する凝集ライン長調整手段と、を備える請求項に記載の防眩性フィルムの製造装置。
  8. 前記塗布液にはスメクタイトが添加されている請求項又はに記載の防眩性フィルムの製造装置。
  9. 前記粒子の径が1以上5μm以下の範囲である請求項からの何れか1項に記載の防眩性フィルムの製造装置。
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