JP2006099167A - 顔領域の再現に好適な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、およびプログラム - Google Patents

顔領域の再現に好適な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 墨入れ処理を伴う画像処理に際し、認識された顔領域部分にてより顔領域が好ましい状態で再現できると共に、顔領域以外の他の領域部分においても好ましい状態で再現する。
【解決手段】 画像データを画像入力部110にて入力し、入力された画像データにおける顔領域を顔抽出部130により判別する。また、顔領域と判別される画像データの領域に対しては第1の画像処理部210により顔領域のための第1の色変換テーブルを用いて処理を施し、顔以外の領域と判別される画像データの領域に対しては第2の画像処理部220により顔以外の領域のための第2の色変換テーブルを用いて処理を施す。そして、それぞれの領域にて処理された画像データを合成処理部230によって合成する。このとき、この第1の色変換テーブルにて設定される墨入れ量は、第2の色変換テーブルにて設定される墨入れ量に比べて小さいことを特徴としている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、プリンタや複写機、印刷機等の画像形成装置に用いられる画像処理装置、画像処理方法に係り、より詳しくは、黒を含んだ記録色信号を用いて人物の顔領域を再現するのに好適な画像処理装置、および画像処理方法に関する。
例えば、撮影された写真画像データをプリント再現する際に、人物の顔の部分は最も敏感に観察される部分である。プリント品質の良い写真プリントを作成するためには、人物の顔の色を適正な色で再現することや、滑らかに色再現することなどが要求されている。
そこで、従来から、顔領域を抽出する方法について幾つかの提案がなされている。例えば、ネガフィルムなどのカラー原画像から特徴画像データである人物の顔のデータのみを抽出するために、円または長円の領域によって求められる領域を抽出して顔のデータを分析する技術が存在する(例えば、特許文献1参照。)。また、画面上にて推定される顔サイズと抽出される肌色領域とを用いて顔領域を検出する内容が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、アナログ写真において、抽出した顔領域部分に合わせて明るさや色味を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。更にデジタル写真では、顔や空などの記憶色の色再現に合わせてLUT(ルックアップテーブル)を変える方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。このように、従来から、写真画像に対するプリント出力において顔領域に対して他の領域とは異なる特別な処理を施す技術が存在していた。
特開平5−165119号公報(第3−5頁、図2) 特開平7−306483号公報(第4−5頁、図4) 特開昭63−178222号公報(第5頁、第2図、第3図) 特開平6−169395号公報(第6頁、図6、図7)
ここで、フルカラーのプリンタや商用印刷などの画像形成装置では、一般に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、墨、黒(K)の階調を制御することにより、フルカラー画像の再現を行っている。原理的にはC,M,Yの3色によりフルカラーの再現は可能であるが、墨を適切に用いることにより、コストの低減や画質を向上させることができる。従来から、例えば墨入れ処理に伴うスクリーン構造の見えや、ノイズ増加などを抑制することを目的として、墨入れ条件の工夫がなされた技術も存在する。しかしながら、このような墨入れ処理方法を用いて顔の墨量を抑制すると、墨を用いて濃度を出していることから顔以外の高濃度領域の色再現範囲が狭くなる問題がある。また、調子再現にて画像の滑らかさが失われたり、階調が反転するといった問題が生じる場合がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、その主たる目的は、墨入れ処理を伴う画像処理において、認識された顔領域部分にてより顔領域が好ましい状態で再現できると共に、顔領域以外の他の領域部分においても好ましい状態で再現することにある。
また他の目的は、顔領域におけるスクリーン構造や粒状を目立たなくさせると共に、この領域の滑らか調子再現を可能にすることにある。
更に他の目的は、顔領域を滑らかに再現した場合であっても、顔以外の領域の色再現範囲を広く確保するとともに、顔以外の領域の連続性や滑らかさを確保することにある。
かかる目的のもと、本発明は、色補正をするときに顔の部分だけ色補正処理を変えることで、墨入れによって顔以外の領域に対する色再現範囲を広くした場合であっても、顔領域のスクリーン構造や粒状性を目立たなくして、より好ましい再現を可能にしている。即ち、本発明が適用される画像処理装置は、画像データを入力手段により入力し、この入力手段により入力された画像データにおける顔領域を判別手段により判別する。また、この判別手段により顔領域と判別される画像データの領域に対しては、第1の処理手段により顔領域のための第1の色変換テーブルを用いて処理を施し、この判別手段により顔以外の領域と判別される画像データの領域に対しては、第2の処理手段により顔以外の領域のための第2の色変換テーブルを用いて処理を施す。そして、この第1の処理手段により第1の色変換テーブルを用いて処理された領域と第2の処理手段により第2の色変換テーブルを用いて処理された領域とを合成手段によって合成する。このとき、この第1の色変換テーブルにて設定される墨入れ量は、第2の色変換テーブルにて設定される墨入れ量に比べて小さいことを特徴としている。また、判別手段によって判別される顔領域と顔以外の領域との境界部分に対しては、この第1の色変換テーブルおよび第2の色変換テーブルをランダムに混ぜて第3の処理手段により処理を施すことを特徴とすることができる。
ここで、この第1の色変換テーブルと第2の色変換テーブルとは、調子再現カーブが異なることを特徴としている。また、この第1の色変換テーブルの調子再現カーブは、第2の色変換テーブルの調子再現カーブに比べて顔領域中央部における傾きを寝せることを特徴としている。
また、この第1の処理手段と第2の処理手段とは、異なる空間フィルタを用いることを特徴とすれば、2つの領域においてシャープネスを調整することができる点で好ましい。
更に、この第1の色変換テーブルおよび第2の色変換テーブルは、最大墨入れ量を、(L,a,b)=(k,0,0)を頂点にL=0、a*2+b*2=rの円を底面とする円錐で規定し、この第1の色変換テーブルおよび第2の色変換テーブルにてkが等しく、且つ、第1の色変換テーブルにて底面rをr=rf、第2の色変換テーブルにて底面rをr=r0としたときに、rf < 0.7×r0の関係にあることを特徴としている。
また、この第1の色変換テーブルは、墨入れをしない(黒=0)ように設定されることを特徴とすることができる。
また、本発明を画像形成装置から把えると、本発明は撮影されたポートレート画像などの画像データを入力する入力手段と、この入力手段により入力された画像データに対して顔領域か顔以外の領域かを判別し、判別結果に基づき、墨入れ量の異なる複数の色変換テーブルを用いて画像データに画像処理を施す画像処理手段と、この画像処理手段により画像処理が施された画像データを用いて記録材上に画像を形成する画像形成手段とを含む。
一方、本発明が適用される画像処理方法は、入力された撮影画像などの画像データの領域について顔領域か顔以外の領域かを判別するステップと、顔以外の領域と判別された画像データの領域に対し、一般的に用いられる通常色変換テーブルを用いて画像処理を施す画像処理ステップと、顔領域と判別された画像データの領域に対し、通常色変換テーブルに比べて墨入れ量を少なく設定された顔領域用色変換テーブルを用いて画像処理を施す顔領域画像処理ステップと、画像処理ステップにより画像処理が施された領域と、この顔領域画像処理ステップにより画像処理が施された領域とを合成するステップと、合成された画像データを画像形成装置に出力するステップとを含む。
ここで、この顔領域画像処理ステップに用いられる顔領域用色変換テーブルは、通常色変換テーブルとは異なる調子再現カーブを用いることを特徴とすることができる。
また、この顔領域画像処理ステップは、画像処理ステップに用いられる空間フィルタとは異なる空間フィルタを用いて画像処理を施すことを特徴とすることができる。
更には、この顔領域画像処理ステップに用いられる顔領域用色変換テーブルは、墨入れをしないことを特徴とすることができる。
そして、この判別するステップによって認識された顔領域と顔以外の領域との境界部分の領域については、画像処理ステップと顔領域画像処理ステップとを交互に実施することを特徴とすることが可能である。
更に他の観点から把えると、本発明は、PCや画像形成装置などに用いられるコンピュータにて実行されるプログラムとして実現できる。即ち、本発明が適用されるプログラムは、入力されたカラー画像データを画像形成装置の出力特性に合わせて画像処理するコンピュータに、入力されたカラー画像データについて顔領域を判別する機能と、顔領域と判別された画像データの領域に対し、通常の領域に対して用いられる通常色変換テーブルに比べて墨入れ量を少なく設定された顔領域用色変換テーブルを用いて画像処理を施す機能とを実現させる。
ここで、このプログラムは、コンピュータに、入力されたカラー画像データについて顔以外の領域を判別する機能と、顔以外の領域と判別されたカラー画像データの領域に対して、通常色変換テーブルを用いて画像処理を施す機能と、顔領域用色変換テーブルを用いて画像処理が施された画像データと通常色変換テーブルを用いて画像処理がなされた画像データとを合成して出力する機能とを更に実現させることを特徴とすることができる。
本発明によれば、例えば、写真プリントにおいて最も頻繁に使われる絵柄であるポートレート画像を好ましく再現することが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態が適用されるカラー画像形成装置の構成を示した図である。このカラー画像形成装置は、矢印A方向に回転可能に配設される感光体ドラム11、矢印B方向に回動可能に配設され、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20、中間転写ベルト20上に転写されたトナー像を記録材である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部30、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着部40、記録材であるシート(用紙P)を搬送するシート搬送系50、カラー画像形成装置の各機構部を制御する制御部60を備えている。また、図示しないスキャナやコンピュータ装置(PC)などから入力された画像データを処理する画像処理装置100を備えている。画像処理装置100は、画像処理を実行するCPUと、CPUによる各種処理に際して用いられる作業用のメモリ(RAM等)とを備えている。また各種設定値が予め格納されたROM等の各種メモリを備えている。
感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電ロール12、感光体ドラム11上に静電潜像を書き込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する回転式現像装置14を備えている。この回転式現像装置14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分トナーが収容される各色成分現像器14Y,14M,14C,14Kを回転可能に取り付けている。また、感光体ドラム11上に担持された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ロール15、残留トナーを除去するドラムクリーナ16を備えている。
中間転写ベルト20は、テンションロール21、バックアップロール22、および駆動ロール23によって掛け渡されている。二次転写部30は、中間転写ベルト20のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール31と、バックアップロール22を含み、これらの間には所定の二次転写バイアスが印加される。一方、二次転写部30の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト20上に付着する残留トナーを除去するベルトクリーナ24が設けられている。また、定着部40は、加熱源を内蔵する加熱ロールとこの加熱ロールに圧接配置される加圧ロールとを備えており、トナー像が転写された用紙Pを通過させることで、定着を行う。シート搬送系50は、画像が記録される用紙Pを積載して供給する給紙トレイ51、用紙Pを取り上げて供給するナジャーロール52、供給された用紙Pを一枚ずつ分離して搬送するフィードロール53、用紙Pを二次転写位置に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストロール54を備えている。また、二次転写後の用紙Pを定着部40に向けて搬送する搬送ベルト55、定着後の用紙Pを機外に向けて排出する排出ロール56、排出された用紙Pを積載する排紙トレイ57を有している。
次に、画像処理装置100の構成について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される画像処理装置100の構成を示した図である。画像処理装置100は、画像入力部110、前処理部120、顔抽出部130、画像処理部200、および画像出力部140を備えている。画像入力部110は、IITやPCからスキャナ(図示せず)で得た画像データ(画像信号)や、デジタルカメラ等から直接またはPCを介して得た撮影された画像データ(画像信号)などを入力している。本実施の形態は、撮影された画像信号が入力される場合の処理に特徴がある。また、図2では、画像入力部110に入力される画像信号が、RGB表色系の色信号である場合を示しているが、それに限られることはなく、L表示系の色信号や、Luv表示系、XYZ表示系の色信号であっても構わない。尚、画像入力部110を画像処理装置100の内部に設けずに、画像処理装置100の外部に設けてもかまわない。
前処理部120では、入力された画像信号に対してノイズをとるためのスムージング処理や、照明光補正などが実行される。照明光補正としては、例えば光量むらや色むらを補正するシェーディング補正が行われる。
顔抽出部130では、顔色抽出、顔形状マッチングが行われた後、顔領域と顔以外の領域を区別する処理が行われる。顔色抽出としては、例えば、予めメモリに肌色定義を格納しておき、各画素のサブ画素を構成するRGBの各色信号の配合比から、肌色を抽出する手法を適用することができる。また、各画素ごとではなく、注目画素(または注目領域)に対して所定の範囲にある領域についてRGBの各色信号を分析することによって、肌色を抽出することも可能である。例えば、抽出された領域についての平均濃度を用いて判断することも有効である。顔形状マッチングとしては、例えば、肌色と認識された領域について、その輪郭形状を取り出し、予めメモリに定義されているパターン形状と比較する方法がある。例えば顔の形をサムネイルのようにして並べ、パターンの一致をみて顔と判定する等の方法がとられる。例えば顔の形に対応する楕円形と照合させ、目や鼻、口等のパターンまで判断する方法がある。更に、より認識精度を上げるために、顔以外の肩や髪、帽子やネックレスなどの服飾品など、顔とセットになって撮影される可能性の高い部位のパターンを抜き出し、これを用いて顔形状マッチングの精度を上げるように構成することも可能である。尚、顔抽出処理としては、例えば特開平7−306483号公報、特開平5−165119号公報、特開平5−158164号公報などに記載の方法を採用しても構わない。
画像処理部200は、顔領域についての画像処理を行う第1の画像処理部210と、顔以外の領域についての画像処理を行う第2の画像処理部220と、この第1の画像処理部210からの出力と第2の画像処理部220からの出力との合成を行う合成処理部230と、を備えている。この第1の画像処理部210および第2の画像処理部220では、ガミュート色調変換や、ノイズ除去、シャープネス強調のための空間処理等が実行される。本実施の形態では、この第1の画像処理部210と第2の画像処理部220とで墨入れ量の異なった色変換テーブルを有している点に特徴がある。即ち、第1の画像処理部210では、第1の墨入れ量の色変換テーブルによって画像処理を施すことで、顔領域のスクリーン構造やノイズを目立たなくすることができる。また、顔用の空間処理を行うことで、粒状が良く、滑らかな画像を得ることができる。一方、第2の画像処理部220では、第2の墨入れ量の色変換テーブルによって画像処理を施すとともに、顔とは別の空間処理を行うことで、顔以外の領域の色再現範囲を広くすることができ、かつ階調の連続性や滑らかさが失われない出力を得ることが可能である。合成処理部230では、第1の画像処理部210および第2の画像処理部220の、異なった色変換テーブルで画像処理が施された画像について、異なった空間処理が施され、例えば境界部分の不整合をなくすために、境界部分をぼやかす等の合成処理が行われる。尚、画像処理部200の構成については、後に詳述する。
画像出力部140は、カラー画像形成装置の本体側である画像形成部(IOT)に応じた色処理を行うIOT色処理や、2値化のためのハーフトーニング処理を行い、カラー画像形成装置の本体側に対して処理後の画像信号を出力している。
図3は、画像処理部200の構成を更に詳述したブロック図である。画像処理部200の第1の画像処理部210は、顔抽出部130によって顔であると抽出された領域について、顔領域特有の画像処理を施している。この第1の画像処理部210は、明度色度分離部211、色補正部212、墨加刷・下色除去部213、および空間補正部214を備えている。また、画像処理部200の第2の画像処理部220は、顔抽出部130によって顔以外の領域であると抽出された部分について、顔以外の領域特有の画像処理を施している。この第2の画像処理部220は、同様に、明度色度分離部221、色補正部222、墨加刷・下色除去部223、および空間補正部224を備えている。
この第1の画像処理部210は第1の色変換テーブルを備え、第2の画像処理部220は第2の色変換テーブルを備えている。そして、第1の色変換テーブルおよび第2の変換テーブルは、各々、例えば1つのLUT(ルックアップテーブル)によって構成される。LUTのパラメータを変更するという形式で、第1の色変換テーブルと第2の色変換テーブルとを構成することが可能である。尚、図3では、各機能の順序を便宜的に示しているが、この順序は固定なものではない。例えば空間フィルタは、L空間で施される場合もあるし、CMYK空間で施される場合もある。また、両者で施される場合もある。
第1の画像処理部210の明度色度分離部211は、入力された顔領域におけるRGB表色系の信号をCIE L表示系の色信号に変換している。一方、第2の画像処理部220の明度色度分離部221では、顔領域以外の領域におけるRGB表色系の信号を、CIE L表示系の色信号に変換する処理が行われる。
第1の画像処理部210における色補正部212では、顔領域の画像信号に対して、好ましい色再現のための色補正や、画像形成装置のガミュートを考慮した色補正などが行われる。例えば、第2の画像処理部220で用いられる色変換テーブルとは調子再現カーブを異ならせて色変換が施される。この調子再現カーブは、入力された画像信号の濃度域を、画像形成装置で印刷(プリント)する際に再現できる出力再現濃度域に変換するものである。この調子再現カーブとしては、例えば、ΔELab(入力)をΔELab(補正後の好ましい)に変更するものがある。また、例えば、ΔL,Δa,Δb(入力)をΔL,Δa,Δb(補正後の好ましい)に変更するものがある。このとき、各々の傾きを変えても良い。更に、例えば、ΔR,ΔG,ΔB(入力)をΔR,ΔG,ΔB(補正後の好ましい)に変更するものも挙げられる。
本実施の形態では、顔部分の調子再現カーブの傾きを他の部分の調子再現カーブの傾きに比べて寝かせている。即ち、第1の画像処理部210に用いられる第1の色変換テーブルの調子再現カーブは、第2の画像処理部220で用いられる第2の色変換テーブルの調子再現カーブに比べて、顔領域中央部におけるカーブの傾きを寝せるように構成した。これによって、顔部分の滑らかな調子再現を可能とし、一方で、顔以外の領域に対してコントラストを維持し、鮮鋭性を確保することができる。
第1の画像処理部210に用いられる第1の色変換テーブルの墨加刷・下色除去部213では、第2の画像処理部220に用いられる第2の色変換テーブルの墨加刷・下色除去部223とは異なる条件で、顔領域にて特有の墨入れ量が決定される。尚、この墨入れ処理には、従来のUCR法を用いることができる。即ち、CMYKの最小値に対して決まる最大K(墨)量に対して、Kに置換する比率(UCRレート)を顔領域で低い値とすることで好ましい顔の再現が可能となる。
色変換テーブルは、補正後の好ましいL値をCMYKに置き換えるためのもので、例えば、3次元テーブルが用いられる。即ち、CMYKの値をマトリックス的に変化させたパッチ画像を出力し、それぞれのパッチのLを測色して、CMYKとLとの関係を求める。この結果から、例えば重み付け重回帰法やニューラルネットワーク法によって、L−CMYKの関係を記述する3次元LUTを作成する方法を用いることができる。
更に、第1の画像処理部210の空間補正部214では、顔領域特有のノイズ除去、シャープネス強調等を行うための空間フィルタが用いられる。一方、第2の画像処理部220の空間補正部224では、顔以外の領域に対して特有の(顔領域とは異なる)ノイズ除去、シャープネス強調等を行うための空間フィルタが用いられる。本実施の形態では、このように、2つの領域において空間フィルタを変えることで、顔以外の領域に対してはエッジ強調を強め、顔領域はエッジ強調を弱める等、写真プリントにおいて最も頻繁に使用される絵柄であるポートレート画像を好ましく再現することができる。
図4は、第1の画像処理部210および第2の画像処理部220における墨入れ量を説明するための図である。図4では、L表示にて、本実施の形態が適用される色変換テーブルの内容を表現している。Lは明度を表し、aで色相と彩度を表現している。ここでは、最大墨入れ量を
(L,a,b)=(k,0,0)を頂点、
=0、a*2+b*2=rの円を底面、
とする円錐で規定している。そして、顔領域と顔以外の領域の2つの領域の色変換テーブルにて、kが等しく、且つ、顔領域の色変換テーブルにて底面rをr=rf、顔以外の領域の色変換テーブルにて底面をr=r0としたときに、
rf < 0.7×r0
となるように設計した。各円錐の頂点が最も明るくなり、円錐の斜面は、それぞれ墨入れの限界を表している。これにより、同じLの値をとった場合(同じグレーの値をとった場合)に、各円錐をそのLの値で切った平面(円)について、顔領域は顔以外の領域よりも小さくなる。即ち、同じLの値をとった場合(同じグレーの値をとった場合)において顔領域は墨が入り難くなる。尚、墨入れ率は、円錐表面で0%、L=0、a=0、b=0において100%とし、その間の墨入れ量はリニアに配分される。
ここで、rfがr0の0.7倍よりも大きいか否かを基準としたのは、出願人による鋭利検討の結果、顔領域に対する墨入れの判断基準値として、かかる値が好ましいものと導き出されたことによる。即ち、rfがr0の0.7倍よりも大きい場合には、両者の色変換テーブルを用いた処理の優位性が十分に表れず、例えば、顔以外の高濃度域の色再現範囲を確保した場合に、顔領域にスクリーン構造が見えたり、ノイズが増加する問題点が十分に解消できない。しかしながら、rfをr0の0.7倍よりも小さくすることで、顔領域を滑らかに表現できると共に、顔以外の高濃度域の色再現範囲を確保することができ、良好なポートレート画像を得ることができる。
このように、本実施の形態では、顔領域とその他の領域とで、墨入れ量が異なる複数の色変換テーブルを準備している。尚、任意の色領域に墨入れ処理を施すため、墨入れ処理にはフレキシブルGCRが用いられる。このフレキシブルGCRについては、「富士ゼロックステクニカルレポート」第11号(1996)の26〜33頁に詳しい。本実施の形態では、このフレキシブルGCRについて、顔領域と顔以外の領域とでパラメータの異なるものを準備することで、顔領域に相当する色変換テーブルの墨入れ量がその他の領域の色変換テーブルに比べて小さくなるように構成している。また、更に拡張して、顔領域の色変換テーブルには墨入れをしない(黒=0)ように構成することも可能である。
尚、上述したような空間補正、調子再現補正、好ましい色補正は、L空間への変換以前(RGB空間)にて行うように構成することもできる。
図5は、本実施の形態にて実行される画像処理の流れを示したフローチャートである。画像処理装置100の画像入力部110(画像形成装置の画像入力手段)は、例えばPCから、デジタルカメラで撮影され所定のメモリに格納された写真画像の画像信号を入力する(ステップ101)。前処理部120は、入力された画像信号に対してスムージング処理を施し(ステップ102)、画像信号からノイズを除去する。また、前処理部120では、画像信号に対してシェーディング補正などの照明光補正が施される(ステップ103)。その後、顔抽出部130にて、顔色抽出(ステップ104) と、顔形状マッチング(ステップ105)とが実行される。そして、画像処理対象となる画像(画素または複数画素)が顔領域か否かが判断される(ステップ106)。顔領域に含まれると判断される領域については、画像処理部200の第1の画像処理部210によって、顔ガミュート色調変換の処理と(ステップ107)、顔領域の空間処理(ステップ108)とが施される。
一方、ステップ106にて、顔領域には含まれないと判断された領域には、画像処理部200の第2の画像処理部220によって、顔以外の領域に対する(通常の)ガミュート色調変換の処理が実行され(ステップ109)、顔以外の領域に対する(通常の)空間処理が実行される(ステップ110)。その後、画像処理部200の合成処理部230にて、境界・合成処理が施され(ステップ111)、第1の画像処理部210および第2の画像処理部220にて各々処理された画像を合成するに際して、例えば境界部分をぼかす等の処理が実行される。そして、画像処理装置100の画像出力部140にて、画像形成装置に合わせた色処理であるIOT色処理が施され(ステップ112)、ハーフトーニング処理による2値化がなされた後(ステップ113)、画像形成装置に向けてCMYKの画像信号が出力される(ステップ114)。
ここで、顔領域とその他の領域(顔以外の領域)との境界部分については、第1の色変換テーブルである顔領域用の色変換テーブルと、第2の色変換テーブルである顔以外の領域用の色変換テーブルとをランダムに混ぜて使用するように構成することもできる。かかる場合には、顔抽出部130にて顔領域と判断された領域の周辺部分の領域については、ランダムに第1の画像処理部210または第2の画像処理部220に振り分けて、各々の色変換テーブルにて画像処理が施されるように構成する。そして、合成処理部230にて、第1の画像処理部210および第2の画像処理部220にて処理されたランダムな領域の画像信号を合成する。このように構成すれば、境界部分の不連続性を緩和でき、浮いたような境界部分を改善して、スムーズな画像を得ることができる。
尚、以上、詳述したこれらの処理は、各種PCや画像形成装置などの各種コンピュータに実行されるプログラムとして提供される場合がある。このプログラムは、コンピュータが有するRAMやROM、ハードディスクドライブ(HDD)などの各種メモリに格納され、コンピュータが有するCPUにて実行される。このプログラムは、コンピュータに対して、CD−ROMやDVD−ROM、半導体メモリなどの各種リムーバブルメモリに格納された状態で提供される場合の他、インターネット等のネットワークを介してダウンロードされる場合がある。
このように、特に撮影された画像データの再現では、顔の領域は、粒状が良くてメリハリはいらず、滑らかさが重視されることから、粒状性を強めにし、シャープネスを弱めにすることが好ましい。一方、それ以外の領域では、粒状はあっても良いがシャープネスを強めることが望まれる。例えば画像処理部を単一とし、顔の領域部分に合わせて画像処理を行ったとすると、顔の領域部分は滑らかになるが、それ以外の領域についてはメリハリがなくなる。しかしながら本実施の形態では、画像処理部200を、墨入れ量の異なる2つの画像処理部(第1の画像処理部210、第2の画像処理部220)に分け、顔領域とその他の領域とで墨入れ量の異なる色変換テーブルを用いて画像処理を行うように構成した。これによって、顔領域におけるスクリーン構造や粒状を目立たなくすることができ、この領域の滑らかな調子再現が可能となる。このとき、顔以外の領域の色再現範囲は広くでき、かつ階調の連続性や滑らかさも失われることがない。このようにして、写真プリントにおいて最も頻繁に使われている絵柄であるポートレート画像を好ましく再現することが可能となる。
本発明は、例えば、プリンタや複写機、印刷機等の画像形成装置の他、これらの画像形成装置に対して画像を形成する、または、画像形成装置に用いられる画像処理装置、画像処理方法に適用することができる。
本実施の形態が適用されるカラー画像形成装置の構成を示した図である。 本実施の形態が適用される画像処理装置の構成を示した図である。 画像処理部の構成を更に詳述したブロック図である。 第1の画像処理部および第2の画像処理部における墨入れ量を説明するための図である。 本実施の形態にて実行される画像処理の流れを示したフローチャートである。
符号の説明
100…画像処理装置、110…画像入力部、120…前処理部、130…顔抽出部、140…画像出力部、200…画像処理部、210…第1の画像処理部、220…第2の画像処理部、230…合成処理部

Claims (17)

  1. 画像データを入力する入力手段と、
    前記入力手段により入力された前記画像データにおける顔領域を判別する判別手段と、
    前記判別手段により顔領域と判別される前記画像データの領域に対しては、顔領域のための第1の色変換テーブルを用いて処理を施す第1の処理手段と、
    前記判別手段により顔以外の領域と判別される前記画像データの領域に対しては、顔以外の領域のための第2の色変換テーブルを用いて処理を施す第2の処理手段と、
    前記第1の処理手段により前記第1の色変換テーブルを用いて処理された領域と前記第2の処理手段により前記第2の色変換テーブルを用いて処理された領域とを合成する合成手段とを備え、
    前記第1の色変換テーブルにて設定される墨入れ量は、前記第2の色変換テーブルにて設定される墨入れ量に比べて小さいことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記第1の色変換テーブルと前記第2の色変換テーブルとは、調子再現カーブが異なることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記第1の色変換テーブルの調子再現カーブは、前記第2の色変換テーブルの調子再現カーブに比べて顔領域中央部における傾きを寝せることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
  4. 前記第1の処理手段と前記第2の処理手段とは、異なる空間フィルタを用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  5. 前記第1の色変換テーブルおよび前記第2の色変換テーブルは、最大墨入れ量を、(L,a,b)=(k,0,0)を頂点にL=0、a*2+b*2=rの円を底面とする円錐で規定し、当該第1の色変換テーブルおよび当該第2の色変換テーブルにてkが等しく、且つ、当該第1の色変換テーブルの底面をrf、当該第2の色変換テーブルにて底面をr0としたときに
    rf < 0.7×r0
    の関係にあることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  6. 前記第1の色変換テーブルは、墨入れをしない(黒=0)ように設定されることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  7. 前記判別手段によって判別される顔領域と顔以外の領域との境界部分に対しては、前記第1の色変換テーブルおよび前記第2の色変換テーブルをランダムに混ぜて処理を施す第3の処理手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  8. 撮影された画像データを入力する入力手段と、
    前記入力手段により入力された前記画像データに対して顔領域か顔以外の領域かを判別し、判別結果に基づき、墨入れ量の異なる複数の色変換テーブルを用いて当該画像データに画像処理を施す画像処理手段と、
    前記画像処理手段により画像処理が施された前記画像データを用いて記録材上に画像を形成する画像形成手段と
    を含む画像形成装置。
  9. 前記画像処理手段にて用いられる前記複数の色変換テーブルは、最大墨入れ量を、(L,a,b)=(k,0,0)を頂点にL=0、a*2+b*2=rの円を底面とする円錐で規定し、当該複数の色変換テーブルにてkが等しく、且つ、当該複数の色変換テーブルを構成する第1の色変換テーブルにて底面をrf、第2の色変換テーブルにて底面をr0としたときに
    rf < 0.7×r0
    の関係にあることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 入力された画像データの領域について顔領域か顔以外の領域かを判別するステップと、
    顔以外の領域と判別された前記画像データの領域に対し、通常色変換テーブルを用いて画像処理を施す画像処理ステップと、
    顔領域と判別された前記画像データの領域に対し、前記通常色変換テーブルに比べて墨入れ量を少なく設定された顔領域用色変換テーブルを用いて画像処理を施す顔領域画像処理ステップと、
    前記画像処理ステップにより画像処理が施された領域と、前記顔領域画像処理ステップにより画像処理が施された領域とを合成するステップと、
    合成された画像データを画像形成装置に出力するステップと
    を含む画像処理方法。
  11. 前記顔領域画像処理ステップに用いられる前記顔領域用色変換テーブルは、前記通常色変換テーブルとは異なる調子再現カーブを用いることを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
  12. 前記顔領域画像処理ステップは、前記画像処理ステップに用いられる空間フィルタとは異なる空間フィルタを用いて画像処理を施すことを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
  13. 前記顔領域画像処理ステップに用いられる前記顔領域用色変換テーブルは、墨入れをしないことを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
  14. 前記顔領域用色変換テーブルおよび前記通常色変換テーブルは、最大墨入れ量を、(L,a,b)=(k,0,0)を頂点にL=0、a*2+b*2=rの円を底面とする円錐で規定し、当該顔領域用色変換テーブルおよび当該通常色変換テーブルにてkが等しく、且つ、当該顔領域用色変換テーブルにて底面をrf、当該通常色変換テーブルにて底面をr0としたときに
    rf < 0.7×r0
    の関係にあることを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
  15. 前記判別するステップによって認識された顔領域と顔以外の領域との境界部分の領域については、前記画像処理ステップと前記顔領域画像処理ステップとを交互に実施することを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
  16. 入力されたカラー画像データを画像形成装置の出力特性に合わせて画像処理するコンピュータに、
    入力された前記カラー画像データについて顔領域を判別する機能と、
    顔領域と判別された前記画像データの領域に対し、通常の領域に対して用いられる通常色変換テーブルに比べて墨入れ量を少なく設定された顔領域用色変換テーブルを用いて画像処理を施す機能と、
    を実現させるプログラム。
  17. 前記コンピュータに、
    入力された前記カラー画像データについて顔以外の領域を判別する機能と、
    顔以外の領域と判別された前記カラー画像データの領域に対して、前記通常色変換テーブルを用いて画像処理を施す機能と、
    前記顔領域用色変換テーブルを用いて画像処理が施された画像データと前記通常色変換テーブルを用いて画像処理がなされた画像データとを合成して出力する機能と
    を更に実現させる請求項16記載のプログラム。
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