JP3816298B2 - 画像処理装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置において出力される画像データに対して、強調または平滑化の画像処理を施す画像処理装置に関するものであり、特に、白トナーを用いた画像形成を前提とした画像処理を可能とする画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像データに対して施されるエッジ強調や平滑化の画像処理は、フィルタ処理により行われる。例えば、図10に示すように、画像データにフィルタ処理を施す場合には、画像データ内のある注目画素(該注目画素の濃度値がX、その周辺画素の濃度値がa〜h)に対して、k1〜k9のフィルタ係数を有するフィルタをかけ、
Y=(k1*a+k2*b+k3*c+k4*d+k5*X+k6*e+k7*f+k8*g+k9*h)/ α
:α= a+b+c+d+X+e+f+g+h
の式によって上記注目画素のフィルタ処理後の画素値Y(但し、Y<0の場合Y=0、Y>255の場合Y=255)を求める。
【0003】
この時、用いるフィルタの係数によって、強調処理や平滑化処理が任意に行える。強調処理におけるフィルタ処理の例を図11に、平滑化処理におけるフィルタ処理の例を図12に示す。
【0004】
このような、通常のカラー画像処理プロセスを行う画像処理装置の構成を図13に示す。
【0005】
画像処理装置101は、例えばスキャナ部より構成される画像入力装置102から入力される画像データに対して画像処理を施し、処理が施された画像データを画像出力装置103に送信して出力させるものである。
【0006】
上記画像入力装置102は、原稿からの反射光像をRGB(R:赤・G:緑・B:青)のアナログ信号としてCCD(Charge Coupled Device)にて読み取り、画像処理装置101へ送信する。
【0007】
上記画像処理装置101では、先ず、上記アナログ信号がA/D(アナログ/デジタル)変換部111によりデジタル信号に変換される。そして、シェーディング補正部112にて画像入力装置102の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理が行われる。その後、入力階調補正処理部113により、RGBの反射率信号を、カラーバランスを整えるのと同時に、濃度信号など画像処理システムの扱いやすい信号に変換する処理が施される。
【0008】
次に、色再現の忠実化実現のために、色補正部114で不要吸収成分を含むCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理が行われる。そして、黒生成/下色除去部115で、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理が行われ、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
【0009】
次に、空間フィルタ処理部116では、上記黒生成/下色除去部115までの処理で得られた画像データに対して、デジタルフィルタによる空間フィルタ処理が施され、空間周波数特性を補正することによって出力画像のボヤケや粒状性劣化を防ぐための処理が行われる。そして、出力階調補正部117では、濃度信号などの信号を画像出力装置103の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理が行われ、最終的に、階調再現処理部118では、画像を画素に分割してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)が行われる。
【0010】
また、領域分離処理部119は、文字及び写真混在原稿における特に黒文字あるいは色文字の再現性を高めるために、前述の色補正処理後の画像データに対して文字領域および写真領域の分離を行い、その分離結果を黒生成/下色除去部115ないし階調再現処理部118の各部に通知して最適な処理を行わせる。
【0011】
すなわち、黒文字(場合によっては色文字も含む)として抽出された画像領域は、空間フィルタ処理部116における鮮鋭度強調処理により高域周波数の強調量が大きくされる。同時に、階調再現処理部118においては、高域周波数の再現に適した高解像のスクリーンでの二値化または多値化処理が選択されるように構成されている。
【0012】
一方、上記領域分離処理部119にて写真と判別された領域に関しては、空間フィルタ処理部116において、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が施される。同時に、階調再現処理部118では、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。
【0013】
上述した各処理が施された画像データは、一旦記憶手段に記憶され、所定のタイミングで読み出されて画像出力装置103に入力される。
【0014】
一方、近年では、例えば、カラー画像の画像形成において、通常のC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナー以外に、さらに、白トナーを用いる画像形成装置がある。
【0015】
特開平1−109367号公報には、コピー用紙の白色度合いが一定値以下で、原稿データの白色部分の面積比率が所定の値より小さい場合に、原稿データの白領域に白トナーを印字させ、再現された画像の鮮鋭さを向上させて良好な画像再現が可能とする複写機が開示されている。
【0016】
また、特開平3−4259号公報は、軟調モードと硬調モードを持つ電子写真方式の画像形成装置において、軟調モードが指定された際に現像スリーブ上に指定量の白トナーを供給し、滑らかなハーフトーンを形成することを開示している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、通常、スキャナ等の画像読取装置を読み取った場合、読取レンズ等の使用により、画像データ上のエッジの周囲には、色ずれやボケによるにじみ領域が発生する。このようなにじみ領域については、従来のフィルタ処理のみで強調/平滑化処理を行なおうとした場合、強調/平滑化の効果が十分に発揮されない場合がある。
【0018】
また、白トナーを用いて、画像の強調および平滑化を行おうとする技術は無い。
【0019】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、画像に対し、白トナー領域を形成することで、強調/ 平滑化処理を高めることができる画像処理装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、上記の課題を解決するために、有色顕像剤(例えば、黒トナーもしくはカラートナー)によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の外部周辺に存在するにじみ領域を抽出するにじみ領域抽出手段と、上記にじみ領域抽出手段によって抽出されたにじみ領域に対して、白色顕像剤(例えば、白トナー)によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、にじみ領域抽出手段によって、文字等の画像のエッジ周辺のにじみ領域を抽出し、白色データ形成手段によって該にじみ領域に白トナーを作用させる画素を決定することにより、上記画像データを印字出力した時に、エッジの内外での濃度差を際立たせて該エッジ部分を強調することができる。
【0022】
また、上記エッジ処理は、文字等の画像のエッジを抽出した後、該エッジの周辺に発生するにじみ領域のみに白トナーを作用させるため、エッジ強調効果をより高めることができ、エッジ強調のコントロール幅を広げることができる。
【0023】
また、本発明の画像処理装置は、上記の課題を解決するために、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の内部周辺にエッジ領域を設定するエッジ領域設定手段と、上記エッジ領域設定手段によって設定されたエッジ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、エッジ領域設定手段によって、文字等の画像のエッジ内部のエッジ領域を設定し、白色データ形成手段によって該エッジ領域に白トナーを作用させる画素を決定することにより、上記画像データを印字出力した時に、エッジの内外での濃度差を抑制し、画像の平滑化を行なうことができる。
【0025】
また、本発明の画像処理装置は、上記の課題を解決するために、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の外部周辺に存在するにじみ領域を抽出するにじみ領域抽出手段と、上記画像データ内に存在する画像のエッジ部分の内部周辺にエッジ領域を設定するエッジ領域設定手段と、上記画像データに対して、文字領域と中間調領域との分離を行う領域分離手段と、上記領域分離手段によって分離された文字領域においては、上記エッジ領域設定手段によって設定されたエッジ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成すると共に、上記領域分離手段によって分離された中間調領域においては、上記にじみ領域抽出手段によって抽出されたにじみ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、文字部分等では鮮鋭さが優れ、写真画像等の部分は滑らかさが向上し、白色顕像剤を使用しないフィルタ処理のみの場合に比べて、はるかに画質が向上する。
【0027】
また、本発明の画像処理装置は、上記白色領域データにおける白色顕像剤の印字率を設定する印字率設定手段が設けられ、上記白色データ形成手段は、上記印字率設定手段にて設定された白色顕像剤の印字率に応じて、上記白色領域データにおける白色顕像剤の印字率を可変とする構成とすることができる。
【0028】
上記の構成によれば、ユーザの画質の好みに応じて、にじみ領域への白トナーの印字率を可変とすることによって鮮鋭さの度合いを制御可能であり、また、エッジ領域への白トナーの印字率を可変とすることによって平滑性の度合いを制御可能である。
【0029】
また、本発明の画像処理装置は、上記の課題を解決するために、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、フィルタ処理によって強調処理を施すフィルタ処理手段と、上記フィルタ処理手段によって強調処理が施された画像データに対して、フィルタ処理後の濃度値が負となる画素に、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えていることを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、フィルタ処理による強調処理後に算出された負の濃度値を有する画素に対応した領域に、白トナーを印字することによって、上記フィルタ処理による強調処理の効果をより高めて、鮮鋭度が向上した画像を再現することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0032】
本実施の形態に係る画像処理装置は、画像出力装置によって印字出力される画像データに対して白トナーを作用させる処理を行なうものであり、上記画像出力装置の画像形成部では白トナーによる画像形成を可能とする。このような画像形成部の構成を図2に示す。尚、図2に示す画像形成部は電子写真方式を適用したものを例示しているが、上記画像出力装置では、画像データを記録媒体(例えば紙等)上に出力するもので、例えば、電子写真方式以外にも、白トナーの代わりに白インクを用いるインクジェット方式を用いたモノカラー・カラー画像出力装置等を挙げることができ、画像形成方式については特に限定されるものではない。
【0033】
上記画像形成部は、静電潜像担持体である感光体ドラム1の周囲に、該感光体ドラム1の回転方向(図中、矢印A)に沿って順に、帯電部2、露光部3、現像部4、第1の転写部5、クリーニング部6が配置されている。また、上記現像部4は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、Bk(ブラック)、W(ホワイト)の各色についての現像器を備えている。
【0034】
上記画像形成部における画像形成処理では、最初に感光体ドラム1の表面が帯電部2によって均一に帯電された後、露光部3によってC,M,Y,Bk,Wの何れかについての画像データに応じてON/OFFされるレーザ光を照射されて潜像の書込みが行なわれる。
【0035】
次に現像部4では、書き込まれた上記潜像に対応する色の現像器を用いて現像が行なわれ、上記感光体ドラム1上に単色トナー像が形成される。上記単色トナー像は、第1の帯電部5によって中間転写体7に転写される。この時、上記中間転写体7は、図中の矢印Bに示す方向に、上記感光体ドラム1と同期して回転されている。また、転写後、感光体ドラム1上に残ったトナーはクリーニング部6によって除去される。
【0036】
上記処理をC,M,Y,Bk,Wの各色について繰り返して行なうことにより、上記中間転写体7には上述の各単色トナー像が重ね合わされてできるカラートナー像が形成される。このカラートナー像は、第2の転写部8にて一括して転写紙Pに転写される。その後、上記転写紙Pは第2の転写部8の用紙搬送方向(図中、矢印C)下流側に位置する定着部9へ搬送され、上記カラートナー像が転写紙Pに定着される。
【0037】
尚、上記説明における画像形成部は、感光体ドラム1から中間転写体7を介して転写紙Pへトナー像を転写する構成を例示しているが、転写紙Pを担持しながら感光体ドラムと接触回転する転写ドラム等を用いて、感光体ドラムから転写紙Pへ直接トナー像を転写する構成の画像形成部を用いてもよい。また、上記画像形成部は、1つの感光体ドラムの周囲に複数の現像器を備えている構成であるが、C,M,Y,Bk,Wの各色毎に感光体ドラムを備えた、所謂、タンデム型の画像形成部を用いてもよい。
【0038】
さらに、上記転写部としては非接触チャージャもしくは接触転写手段(ローラ等)の何れを用いてもよく、定着部としては非接触定着若しくは接触定着の何れを用いてもかまわない。
【0039】
尚、図2記載の上記画像形成部は、現像部4においてC,M,Y,Bkの現像器を用いた場合に特許請求の範囲に記載の有色画像形成部として作用し、現像部4においてWの現像器を用いた場合に特許請求の範囲に記載の白色画像形成部として作用する。
【0040】
次に、本実施の形態に係る画像処理装置の構成を図1を参照して説明する。上記画像処理装置11は、例えばスキャナ部より構成される画像入力装置12から入力される画像データに対して画像処理を施し、処理が施された画像データを画像出力装置13に送信して出力させるものである。但し、本発明は、画像処理装置11および画像出力装置13のそれぞれを、画像処理部および画像出力部として具備した例えばプリンタのような画像形成装置や、画像処理装置11、画像入力装置12、および画像出力装置13のそれぞれを、画像処理部、画像入力部、および画像出力部として具備した例えば複写機のような画像形成装置として提供されるものであってもよい。
【0041】
上記画像処理装置11は、図1に示すように、A/D変換部21、シェーディング補正部22、入力階調補正部23、色補正部24、黒生成/下色除去部25、白トナー画像処理部30、空間フィルタ処理部26、出力階調補正部27、階調再現処理部28、および領域分離処理部29を含んでいる。尚、上記画像処理装置11において、A/D変換部21ないし領域分離処理部29は、図13の画像処理装置101におけるA/D変換部111ないし領域分離処理部119と同様の構成および作用を有するものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0042】
上記白トナー画像処理部30は、画像出力装置13によって出力される画像データに対して強調もしくは平滑化を行なうために、上記画像データに白トナーを作用させる領域データを形成するための処理を行なう。以下に、上記白トナー画像処理部30での処理内容を、強調処理を行なう場合と平滑化処理を行なう場合とについて説明する。
【0043】
上記白トナー画像処理部30には、黒生成/下色除去部25より黒生成処理および下色除去処理の施された画像データが入力される。上記画像データでは、図3に示すように、エッジの周囲ににじみ領域(エッジの周りで色ずれやボケの生じている領域)が生じているが、該にじみ領域は、画像入力装置12でのデータ入力時にレンズ等の使用により発生するものである。尚、図3に示す画像データにおいて、文字等にあたる画像領域は斜線部にて示されており、にじみ領域は射影部にて示されている。
【0044】
上記白トナー画像処理部30は、入力された画像データについて強調処理を行なう場合、最初に、強調されるべき文字等のエッジの周囲において発生しているにじみ領域を認識する。尚、上記にじみ領域は、領域分離処理部29において検出されるものであり、白トナー画像処理部30は領域分離処理部29で生成される領域分離信号に基づいて処理を行なう。また、ここで抽出されるエッジとは、文字等の図形における最も外縁、すなわち該図形の輪郭を形成するラインである。
【0045】
次に、上記白トナー画像処理部30は、上記にじみ領域上において白トナーを作用させる画素を決定する。すなわち、生成された黒データのにじみ領域に対して、強調効果を高めるために白トナーを印字するためのデータを生成する。
【0046】
ここで、上記にじみ領域において白トナーを作用させる画素の割合は、ユーザが設定する鮮鋭度に応じて任意に設定させることが可能である。この時の白トナーを作用させる画素の割合は、プリント処理の実行前にユーザが選択するものとする。
【0047】
例えば、ユーザが出力画像におけるエッジの鮮鋭度を最大限に向上させることを要求する場合、図4(a)に示すように、白トナーをにじみ領域全体に印字するようにする(100%)。一方、ユーザがエッジが鮮鋭な画像を要求しない場合には、図4(e)に示すように、白トナーをにじみ領域に印字しないようにする(0%)。また、上記図4(b)ないし(d)は、にじみ領域において白トナーを作用させる画素の割合を、それぞれ80%、50%、20%に設定した場合を示している。
【0048】
以上のように、図1に示す画像処理装置11による強調処理では、文字等の画像のエッジ周辺に白トナーを作用させることにより、エッジの内外での濃度差を際立たせて該エッジを強調することができ、エッジ強調の効果をより高めることができる。
【0049】
次に、上記白トナー画像処理部30において平滑化処理を行なう場合を以下に説明する。上記白トナー画像処理部30による平滑化処理では、最初に、図5に示すように、エッジの内側にエッジ領域(図中、黒塗り部)が認識される。上記エッジ領域も、にじみ領域と同様に領域分離処理部29によって検出される。
次いで、上記白トナー画像処理部30は、上記エッジ領域上において白トナーを作用させる画素を決定する。すなわち、生成された黒データのエッジ領域に対して、平滑化効果を高めるために白トナーを印字するためのデータを生成する。尚、上記エッジ領域としては、抽出されたエッジ部分の内側において予め設定された幅を有する領域がこれに設定されるものとする。図5では、上記エッジ領域の幅は5画素分の幅に設定されているが、該エッジ領域の幅はユーザが任意の幅に設定することができる。
【0050】
尚、上記画像処理装置11においては、上記領域分離処理部29が、特許請求の範囲に記載のにじみ領域抽出手段、エッジ領域設定手段に相当し、白トナー画像処理部30が、白色データ形成手段に相当する。
【0051】
ここで、上記エッジ領域において白トナーを作用させる画素の割合は、ユーザが設定する平滑度(画質の滑らかさ)に応じて任意に設定させることが可能である。この時の白トナーを作用させる画素の割合は、プリント処理の実行前にユーザが図示しない操作パネル(印字率設定手段)等で選択するものとする。
【0052】
例えば、ユーザが出力画像における平滑度を向上させることを要求する場合、図6(a)に示すように、エッジ領域において白トナーを作用させる画素の割合の上げればよい(80%)。但し、この場合、白トナーが印字された後のエッジ領域の濃度は、エッジ周辺のにじみ領域の濃度よりも小さくならないようにする必要があり、白トナーを作用させる画素の割合は100%に設定することはできない。
【0053】
一方、ユーザがエッジが出力画像の平滑度を要求しない場合には、図6(d)に示すように、白トナーをエッジ領域に印字しないようにする(0%)。また、上記図6(b)および(c)は、エッジ領域において白トナーを作用させる画素の割合を、それぞれ50%、20%に設定した場合を示しており、滑らかさの度合いに応じてエッジ領域への白トナー供給量を可変とし、ユーザの好む印字品質に対応してエッジ領域に白トナーを印字することができる。
【0054】
また、上記説明ではエッジ領域のみに白トナーを作用させて平滑化処理を行なっているが、平滑化処理の場合には、エッジ領域だけでなくにじみ領域においても白トナーを作用させ、濃度の可変領域をより大きくとることで、より滑らかな平滑化処理を行なうことも可能である。例えば、図7に示すように、エッジ領域のみに白トナーを作用させて濃度コントロールを行なう場合、濃度が可変となる領域はエッジ濃度からにじみ濃度の間であるのに対し、エッジ領域とにじみ領域との両方に白トナーを作用させて濃度コントロールを行なう場合には、エッジ濃度から下地濃度にかけての濃度が可変となるため、エッジから下地にかけて滑らかに濃度変化するような平滑化処理が行なえる。
【0055】
尚、上記画像処理装置11においては、領域分離処理部(領域分離手段)29によって文字領域と判定された領域に対して強調処理を行ない、領域分離処理部29によって中間調領域(写真領域)と判定された領域に対して平滑化処理を行なう構成としてもよい。
【0056】
以上、図1に示す構成の画像処理装置11では、白トナー画像処理部30は黒生成/下色除去部25の下段、かつ空間フィルタ処理部26の上段に設けられ、該白トナー画像処理部30による強調/平滑化処理は、黒生成処理が施された後の画像データに対して実施されている。
【0057】
しかしながら、上記白トナー画像処理部30による強調/平滑化処理において、該白トナー画像処理部30によって形成される白トナーデータ(Wデータ)は、空間フィルタ処理部26、出力階調処理部27、および階調再現処理部28での各処理に用いられるC,M,Y,Bkの画像データに対して、単に最終的に付加されるものであり、上記各部の処理に対し影響を及ぼすものでない。このため、上記白トナー画像処理部30での強調/平滑化処理は、黒生成/下色除去部25による黒生成処理後に行うのであればどのタイミングでもよく、該白トナー画像処理部30の配置箇所は、少なくとも黒生成/下色除去部25の下段であればよい。
【0058】
次いで、本発明に係る画像処理装置の変形例として、上記図1の構成による画像処理装置11とは異なる処理によって強調処理を行なう画像処理装置を図8に示す。
【0059】
図8における画像処理装置14は、図1における画像処理装置11と同様に、画像入力装置12から入力される画像データに対して画像処理を施し、処理が施された画像データを画像出力装置13に送信して出力させる。また、画像処理装置14および画像出力装置13のそれぞれを、画像処理部および画像出力部として具備した画像形成装置や、画像処理装置14、画像入力装置12、および画像出力装置13のそれぞれを、画像処理部、画像入力部、および画像出力部として具備した画像形成装置として提供されるものであってもよい。
【0060】
上記画像処理装置14は、A/D変換部41、シェーディング補正部42、入力階調補正部43、色補正部44、黒生成/下色除去部45、空間フィルタ処理部46、白トナー画像処理部50、出力階調補正部47、階調再現処理部48、および領域分離処理部49を含んでいる。尚、上記画像処理装置14において、A/D変換部41ないし領域分離処理部49は、図1の画像処理装置11におけるA/D変換部21ないし領域分離処理部29と同様の構成および作用を有するものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0061】
上記画像処理装置14における白トナー画像処理部50は、空間フィルタ処理部46の下段に設けられ、該空間フィルタ処理部(フィルタ処理手段)46における強調フィルタ処理が施された後の画像データに対して、強調効果をより高めるための白トナーデータを形成する処理を施す。
【0062】
上記白トナー画像処理部50における強調処理を図9を参照して以下に説明する。
【0063】
エッジ部分を含むフィルタ処理前の画像データに対してフィルタ処理によるエッジ強調を行なった場合、通常、256階調の画像では、該エッジ部分の高濃度側において濃度値255を超える画素や、低濃度側において濃度値が0より小さい画素が発生する。この時、印字出力される画像データの各濃度値は0〜255の範囲でなければならないため、従来であれば、濃度値255を超える画素や、濃度値が0より小さい画素の濃度値を255または0に置き換える処理が行なわれる。
【0064】
これに対し、画像処理装置14では、図9に示すように、空間フィルタ処理部46にてフィルタ処理が施された後の画像データを、上述のような濃度値の置き換えを行なわずに白トナー画像処理部50に転送する。そして、上記白トナー画像処理部50は、空間フィルタ処理部46から転送されてきた画像データに対して、濃度値255を超える画素や、濃度値が0より小さい画素の濃度値を255または0に置き換える処理を施すと同時に、濃度値が0より小さい(濃度値が負である)画素を白トナー印字をする画素として決定し、白トナーデータを形成する。但し、濃度値255を超える画素については、空間フィルタ処理部46にて濃度値を置き換える構成としてもよい。
【0065】
このように、上記構成の画像処理装置14では、フィルタ処理により強調処理を行なった画像データに対して、さらに、フィルタ処理によって濃度値が負となった画素に白データを印字することでその強調効果をより高めることが可能となる。尚、上記構成では、白トナー画像処理部50が特許請求の範囲に記載白色データ形成手段に相当する。
【0066】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置は、以上のように、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の外部周辺に存在するにじみ領域を抽出するにじみ領域抽出手段と、上記にじみ領域抽出手段によって抽出されたにじみ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えている構成である。
【0067】
それゆえ、上記画像処理装置では、にじみ領域に白トナーを作用させることにより、エッジの内外での濃度差を際立たせて該エッジ部分を強調することができ、上記強調処理効果をより高めることができるという効果を奏する。
【0068】
また、本発明の画像処理装置は、以上のように、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の内部周辺にエッジ領域を設定するエッジ領域設定手段と、上記エッジ領域設定手段によって設定されたエッジ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えている構成である。
【0069】
それゆえ、上記画像処理装置は、文字等の画像のエッジ内部のエッジ領域を設定し、該エッジ領域に白トナーを作用させる画素を決定することにより、エッジの内外での濃度差を抑制し、画像の平滑化を行なうことができるという効果を奏する。
【0070】
また、本発明の画像処理装置は、以上のように、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の外部周辺に存在するにじみ領域を抽出するにじみ領域抽出手段と、上記画像データ内に存在する画像のエッジ部分の内部周辺にエッジ領域を設定するエッジ領域設定手段と、上記画像データに対して、文字領域と中間調領域との分離を行う領域分離手段と、上記領域分離手段によって分離された文字領域においては、上記エッジ領域設定手段によって設定されたエッジ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成すると共に、上記領域分離手段によって分離された中間調領域においては、上記にじみ領域抽出手段によって抽出されたにじみ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えている構成である。
【0071】
それゆえ、文字部分等では鮮鋭さが優れ、写真画像等の部分は滑らかさが向上し、白色顕像剤を使用しないフィルタ処理のみの場合に比べて、さらに画質を向上させることができるという効果を奏する。
【0072】
また、本発明の画像処理装置は、上記白色領域データにおける白色顕像剤の印字率を設定する印字率設定手段が設けられ、上記白色データ形成手段は、上記印字率設定手段にて設定された白色顕像剤の印字率に応じて、上記白色領域データにおける白色顕像剤の印字率を可変とする構成とすることができる。
【0073】
それゆえ、ユーザの画質の好みに応じて、にじみ領域への白トナーの印字率やエッジ領域への白トナーの印字率を可変とすることにより、鮮鋭さの度合いや平滑性の度合いを制御することができるという効果を奏する。
【0074】
また、本発明の画像処理装置は、以上のように、有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、フィルタ処理によって強調処理を施すフィルタ処理手段と、上記フィルタ処理手段によって強調処理が施された画像データに対して、フィルタ処理後の濃度値が負となる画素に、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備えている構成である。
【0075】
それゆえ、フィルタ処理による強調処理後に算出された負の濃度値を有する画素に白トナーを印字することによって、上記フィルタ処理による強調処理の効果をより高めて、鮮鋭度が向上した画像を再現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記画像処理装置で処理された画像データを印字出力する画像形成部の構成の一例を示す説明図である。
【図3】上記画像処理装置による強調処理時に、白トナーデータを形成されるにじみ領域を示す説明図である。
【図4】図4(a)〜(e)は、上記にじみ領域に対して任意の印字率で白トナーを印字した場合を示す説明図である。
【図5】上記画像処理装置による平滑化処理時に、白トナーデータを形成されるエッジ領域を示す説明図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、上記エッジ領域に対して任意の印字率で白トナーを印字した場合を示す説明図である。
【図7】上記画像処理装置による平滑化処理において、エッジ領域のみに白トナーを作用させる場合と、エッジ領域およびにじみ領域に白トナーを作用させる場合との比較を行なう説明である。
【図8】本発明の一実施形態を示すものであり、図1の画像処理装置とは他の構成の画像処理装置を示すブロック図である。
【図9】上記画像処理装置による強調処理時における白トナーデータ形成動作を示す説明図である。
【図10】従来の強調/平滑化処理で用いられるフィルタ処理の原理を示す説明図である。
【図11】従来の強調処理におけるフィルタ処理例を示す説明図である。
【図12】従来の平滑化処理におけるフィルタ処理例を示す説明図である。
【図13】従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11、14 画像処理装置(画像処理手段)
13 画像出力装置(画像出力手段)
29 領域分離処理部(領域分離手段)
30 白トナー画像処理部(にじみ領域抽出手段、エッジ領域設定手段、白色データ形成手段)
46 空間フィルタ処理部(フィルタ処理手段)
50 白トナー画像処理部(白色データ形成手段)

Claims (5)

  1. 有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の外部周辺に存在するにじみ領域を抽出するにじみ領域抽出手段と、上記にじみ領域抽出手段によって抽出されたにじみ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備え
    上記白色データ形成手段は、上記にじみ領域の画素のうちから、白色顕像剤によって印字される画素を決定することにより上記白色領域データを形成することを特徴とする画像処理装置。
  2. 有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の内部周辺にエッジ領域を設定するエッジ領域設定手段と、上記エッジ領域設定手段によって設定されたエッジ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備え
    上記白色データ形成手段は、上記エッジ領域の画素のうちから、白色顕像剤によって印字される画素を決定することにより上記白色領域データを形成することを特徴とする画像処理装置。
  3. 有色顕像剤によって画像形成される有色領域データのみからなる画像データに対し、該画像データ内に存在する画像のエッジ部分の外部周辺に存在するにじみ領域を抽出するにじみ領域抽出手段と、上記画像データ内に存在する画像のエッジ部分の内部周辺にエッジ領域を設定するエッジ領域設定手段と、上記画像データに対して、文字領域と中間調領域との分離を行う領域分離手段と、上記領域分離手段によって分離された文字領域においては、上記エッジ領域設定手段によって設定されたエッジ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成すると共に、上記領域分離手段によって分離された中間調領域においては、上記にじみ領域抽出手段によって抽出されたにじみ領域に対して、白色顕像剤によって画像形成される白色領域データを形成する白色データ形成手段とを備え
    上記白色データ形成手段は、上記にじみ領域の画素のうちから、白色顕像剤によって印字される画素を決定するとともに、上記エッジ領域の画素のうちから、白色顕像剤によって印字される画素を決定することにより上記白色領域データを形成することを特徴とする画像処理装置。
  4. 上記白色領域データにおける、白色顕像剤によって印字される画素の割合である白色顕像剤の印字率を設定する印字率設定手段が設けられ、上記白色データ形成手段は、上記印字率設定手段にて設定された白色顕像剤の印字率に応じて、上記白色領域データにおける白色顕像剤の印字率を可変とすることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の画像処理装置。
  5. 請求項1ないし4の何れかに記載の上記画像処理装置を画像処理手段として備え、さらに、有色顕像剤を用いて上記有色領域データの画像形成を行なう有色画像形成部と、白色顕像剤を用いて上記白色領域データの画像形成を行なう白色画像形成部とを含み、上記画像処理手段によって白色領域データが形成された後の上記画像データを印字出力する画像出力手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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