JP2006095549A - Mg成分含有Zn系合金めっき鋼板スポット溶接用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Mg成分を含有するZn合金めっきを施しためっき鋼板を大電流下でスポット溶接にする際にあっても、めっき金属との溶着・合金化を抑え、亀裂の発生を防止して長寿命化を可能としたスポット溶接用電極を安価に提供する。
【解決手段】 電極本体、又は芯材を埋め込んだ二重構造の電極では芯材として、Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれた少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を用いる。
分散された微粒子の作用によりめっき金属中のMg成分の酸化が抑制されるために、電極先端部へのMgOの堆積が抑制されて電極とめっき金属が溶着し難くなり、電極寿命が向上する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Mg成分を含有するZn系合金めっきを施しためっき鋼板をスポット溶接する際に用いる電極に関する。
従来から、自動車や家電製品等の組立てラインにおいては、抵抗溶接法の中でも作業効率の高いスポット溶接法が多用されている。そして、大量生産ラインでは、連続的にスポット溶接が実施されている。このため、スポット溶接用の電極は、高熱,高負荷を繰り返し受ける状況下にあり変形しやすいので、その素材としては変形に耐え得るものでなければならない。しかも、抵抗溶接用電極の本来の必要条件である、高電気伝導度,高熱伝導性及び高強度,高耐摩耗性を備えていることが要求される。このような背景のもと、スポット溶接用電極としてはCu−Cr、Cu−Cr−Zr等のCu合金や、Al23等の硬質物質を分散させたCu材が用いられている。熱伝導特性や強度、コスト等の総合的な観点から、Cu−Cr合金が用いられる場合が多い。
また一方で、耐久性向上のために自動車や家電製品等の素材として、ZnめっきまたはZn合金めっきが施されためっき鋼板が多く使用されるようになっている。これらのめっき鋼板をスポット溶接する際には、冷延鋼板をスポット溶接する際と比較して、大電流を流すことになるため、電極先端部がさらに過酷な条件下におかれることになる。溶接中の電極先端では、めっき層の成分であるZnやAl、或いはめっき鋼板の母材成分であるFeと電極の主成分であるCuとが合金化反応を起こし、Cu−ZnやCu−Zn−Al−Fe等の金属間化合物を形成してしまう。これらの金属間化合物は非常に脆いため、溶接時の加圧で剥離してしまい、結果として電極先端径が拡大して電流密度が低下することになる。このように、めっき鋼板の溶接では、普通鋼やステンレス鋼などの冷延鋼板を溶接する場合と比較すると、電極寿命が短いという欠点がある。
そこで、電極の高寿命化を狙って、電極本体をW−Mo合金、或いは各種ドープ剤を添加したW−Mo合金材料で構成したものや、電極先端中央部に埋め込んだ材料とその周囲の材料とが異なる二重構造の電極等が提案されている。
W−Mo合金材料からなる電極としては、例えば特許文献1に、酸化物,窒化物,金属単体,炭化物,ホウ化物の形態で、Kを10〜100ppm含有させたW−Mo合金を用いたものが、また特許文献2に、酸化物,窒化物,金属単体,炭化物,ホウ化物の形態で、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Yの希土類元素を10〜100ppm含有させたW−Mo合金を用いたものが提案されている。
二重構造の電極としては、例えば、特許文献3に、高強度高導電性のCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、その20〜70%の面積領域を占めるように、前記被溶接材と合金化し難い、或いは溶着し難い、例えばAl23分散Cu合金等の金属を埋設したものが提案されている。
また、特許文献4には、高電気伝導材であるCuもしくはCu−Cr合金によって形成された外周部と、セラミックス等の非電気伝導材によって形成された中央部とからなる二重構造のものが提案されている。
さらに、特許文献5には、電極本体が被溶接材に当接する面に、電気伝導度及び熱伝導度に優れ、しかもCu若しくはCu合金からなる電極本体よりも高強度の、例えばWやMoからなる芯材を、当接面の5〜20%の面積を占めるように埋設したものが提案されている。
さらにまた、特許文献6には、W,Mo又はこれらの合金の焼結体からなるチップ主体を、保持リングに嵌着した電極チップを備えたものが提案されている。
特開平10−291078号公報 特開平10−314957号公報 特公昭63−33949号公報 特開昭64−62287号公報 特開平4−4984号公報 特公昭59−41838号公報
近年、耐食性を高め、耐久性を向上させるために、Zn系めっき鋼板として、Mg成分を含むZn−Al−Mg系合金めっきを施したものが多用されるようになった。
Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板のスポット溶接を行う際、特許文献1,2で提案されたようなWやMoからなる電極や、WとMoとの合金材料からなる電極を用いても、めっき金属との合金化反応を比較的抑制でき、効率良く溶接できる。
しかしながら、電極寿命を極力延ばしたいという願望のもとでは、WやMo、或いはW−Mo合金材料で構成した電極でも、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板のスポット溶接を行う際には、必ずしも十分な電極寿命は得られない。
WやMo基の金属・合金も、CuないしCu合金と比べるとめっき金属との合金化反応性は低いが、皆無ではない。特にめっき合金中に含まれているMg成分との反応性については検討の余地がある。また、WやMo基の金属・合金は硬質であるが故に、加圧時の衝撃でクラックの発生等、破損しやすい欠点も有している。このために、WやMoからなる電極や、WとMoとの合金材料からなる電極の改良の余地があると言える。
また、特許文献3のように、芯材にもCu合金を用いたものにあっては、めっき金属との合金化は避け難い。また、特許文献5のように、芯材として単にWやMo基の金属・合金を用いたものにあっても、特許文献1,2で問題になるような点は解消されない。
さらに、特許文献4で提案された電極のように脆いセラミックスを芯材として用いたものは、電極加圧時の割れにより剥離しやすくなり、ナゲット形成が不安定となる。
さらにまた、特許文献6で提案された電極では、保持リングに、強度と靭性の高い例えば析出硬化型のステンレス鋼が用いられており、保持リング部の電気伝導性が良くない。また、芯材自体の問題点も解消できない。しかも電極そのものの製造コストが高くなっている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Mg成分を含有するZn合金めっきを施しためっき鋼板を大電流下でスポット溶接にする際にあっても、めっき金属との溶着・合金化を抑え、亀裂の発生を防止して長寿命化を可能としたスポット溶接用電極を安価に提供することを目的とする。
本発明のMg成分含有Zn合金めっき鋼板スポット溶接用電極は、その目的を達成するため、Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれた少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金から構成されていることを特徴とする。
Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を埋設した電極であって、前記芯材が、Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれた少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金から構成されていることを特徴とする。
本発明は、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金から構成されたスポット溶接用電極にあって、当該W,Mo系合金として、Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたものを用いることにより、Mg成分を含有したZn合金めっき鋼板をスポット溶接しても、めっき金属との溶着・合金化を抑制し、かつ溶接時の加圧による亀裂発生を抑制して、スポット溶接用電極としても寿命を長くすることができる。
上記微粒子を含有するW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を、Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に芯材を埋設した二重構造電極の、前記芯材材料として用いるときも同様に、めっき金属との溶着・合金化を抑制し、かつ溶接時の加圧による亀裂発生を抑制して、スポット溶接用電極としても寿命を長くすることができる。
このため、最近多用されているMg成分を含有したZn合金めっき鋼板を生産性良くスポット溶接することが可能になる。
本発明者等は、前述した従来技術の有する欠点を解消するために、Mg成分を含有したZn合金めっき鋼板をスポット溶接する際に用いる電極の寿命向上策について、材質或いは形状の面から種々の実験・検討を重ねてきた。
本発明者等は、まず、電極素材として用いるWやMo基の金属・合金の特性の向上策について検討した。W,Mo系の金属・合金はCuないしCu合金と比べるとめっき金属との反応性は低いが、大気雰囲気下では皆無ではなく、溶着しやすいという欠点がある。また、W,Mo系の金属・合金は硬質であるが故に、加圧時の衝撃でクラックの発生等、破損しやすい欠点も有している。
そこで、電極素材として用いるW又はMo若しくはそれらを基材とする合金も、めっき金属との溶着を抑制し、かつ加圧時のクラック発生を抑制できるように改良したものを用いると寿命が延びることが予測される。
ところで、めっき金属にMg成分が含まれているときに電極とめっき金属が溶着しやすい理由として、めっき金属中のMg成分が酸化されやすいために、抵抗溶接中に形成されたMgOが電極先端部に堆積することが挙げられる。電極先端部に堆積したMgOは、電極とめっき鋼板間の抵抗を高くして当該部分の温度を高め、さらにMgOの生成・堆積を助長することになる。そして、電極とめっき鋼板間の抵抗が高くなりすぎると、通電した電流が電極とめっき鋼板間で消費されるために、被溶接材であるめっき鋼板間でのナゲット形成に寄与し難くなり、結果的に良好なスポット溶接部が得難くなる。
改良手段としては、電極基材のW又はMo若しくはそれらを基材とする合金中にBe,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させることが有効であることを確認した。
電極基材に金属酸化物の微粒子を分散させた場合、電極とめっき金属とが反応し難くなり、溶着が起こり難くなると考えられるが、より確実に溶着を抑制するためには、電極に分散させる金属酸化物とめっき層に含まれる金属の双方の物性に着目する必要がある。
上記金属の酸化物は、標準生成自由エネルギーがMgOの標準生成自由エネルギーよりも低いか或いは同等であるので、Mg成分を含有するZn系合金めっき鋼板をスポット溶接する際、溶融ないし半溶融状態のめっき層中に含まれるMgが上記金属酸化物の還元によって酸化することはなくなる。MgOの生成・堆積が抑制されるので、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる電極とめっき金属との濡れ性を阻害する効果が向上し、めっき金属の溶着をより確実に抑制できることになる。
さらに、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金中に分散させた酸化物微粒子は、電極が衝撃を受けた際の転位の伝播をピン止めする作用を発揮し、結果的に耐衝撃性に優れ、クラックの発生等を抑制することができる。さらにまた、これらの酸化物は融点が高いために、WやMo中に分散させても焼結体の強度が維持でき、電極の長寿命化には好適である。
上記酸化物微粒子の配合割合は0.5〜10体積%にすることが好ましい。上記作用を効果的に発揮させるためには0.5体積%以上分散させることが好ましい。また10体積%を超えて多量に含有させると、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金の電気伝導度が低くなりすぎ、抵抗溶接中に電極先端の温度が高くなりすぎて、却って溶着を起こしやすくなる。また、酸化物微粒子を多量に含有させると、焼結体が脆くなり、後述のスエージング加工等、所望形状への加工が困難になる。好ましい配合割合は、0.8〜3体積%である。
また、Ce23等、含有させる酸化物微粒子の粒径は、0.5〜10μm程度が好ましい。10μmを超えるほどに大きな粒子を分散させると、熱膨張率の差によって破壊の起点になりやすい。
なお、スポット溶接用電極として使用されるWやMoは、それぞれの金属単独で用いられてもよいし、例えば互いに5〜95質量%の割合の合金として用いられても良いことは言うまでもない。
さらに、電極等に用いられるWやMoの通電焼結体にあっては、10〜200ppm程度のK(カリウム)を、酸化物,窒化物,金属K,炭化物或いは硼化物の形態でドープされたものが多用されている。本明細書中に記載のWやMo、或いはW−Mo系合金は上記ドープタングステンをも包含していることも言うまでもない。
本発明者等はまた、前記特許文献5で提案されている、Cu又はCu合金からなる電極本体が被溶接材に当接する面に、電気伝導度及び熱伝導度に優れ高強度のWやMoからなる芯材を埋設した二重構造の電極に着目し、その電極を構成する各材質を種々に変更して、Mg成分を含有したZn合金めっき鋼板のスポット溶接を実施して、電極寿命を調査した。
その結果、電極本体にCu又はCu合金を用い、芯材に上記Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を用いた場合、電極自体に当該W−Mo系合金を用いた場合と同様に、芯材のMg含有めっき金属との耐溶着性を向上させるとともに、溶接時に電極の亀裂発生を抑制し、電極が長寿命化できることを確認した。
従来から、例えば図1に示すような、芯材3を周囲材2に埋め込んだ二重構造の埋め込み型電極1は電極寿命が長いとされているが、その理由は、溶接打点を重ねても埋め込んだ芯材により一定面積の通電路が確保され、それによって安定したナゲットの形成ができる点にある。そのため、芯材の材質としては、WやMoのように硬質で、めっき金属と溶着し難いものが好ましいことになっている。
そこで、芯材として、Mgを含むめっき金属に対する耐溶着性に優れる前記酸化物微粉末含有のW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を用い、電極本体である周囲材を純Cuとした電極を使用してスポット溶接するとき、従来の単なるW系やMo系の合金を用いた電極を使用してスポット溶接したときよりも、電極先端部へのMgOの堆積が抑制され、長期間にわたっても安定したスポット溶接部が得られることを確認した。
上述しているように、芯材であるW又はMo若しくはそれらを基材とする合金の特性を改良しても、芯材の周囲を取り囲むCu材が、スポット溶接時に被溶接材であるMg成分含有Zn合金めっき鋼板に当接すると、めっき金属、特に含有MgとCu材との合金化反応が起こって、結果的に電極寿命を短くすることになる。したがって、周囲材であるCu材が被溶接めっき鋼板に直接当接しないような電極先端形状にすることが好ましい。このためには、研削により所定形状のコーナーRを付した電極にあっては、被溶接材との当接面が全て芯材のW又はMo若しくはそれらを基材とする合金で占めるように、芯材として、当接面よりも直径の太い棒体を用いることが好ましい。
ただし、図1中、直径bで示す芯材の断面積と直径aで示す当接面の面積との面積比率(芯材/当接面)が300%を超えるような大きな径の芯材3を用いると、周囲材2による芯材の冷却作用が非常に小さくなり、芯材表面にめっき金属が多く堆積して電極と被溶接材との電気抵抗が高くなりすぎてナゲットが形成しにくくなる。逆に、しかし、当接面の面積の7割を下回るほどに小さい芯材径にすると、めっき金属と接触する周囲材の面積が大きくなり、周囲材とめっき金属との合金化による変形が拡径を起こすまでになり、電極全体としてその先端部形状を変形させることになる。
したがって、芯材/当接面の面積比率として表示したとき、その比率は70〜300%程度とすることが好ましい。なお、好ましい範囲は、100〜200%である。
ところで、一般的に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金は焼結法により製造される。本発明で電極本体或いは二重構造電極の芯材として用いられるW又はMo若しくはそれらを基材とする合金も通常通り焼結法で製造される。
上記Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子とW及び/又はMoからなる酸化物粉末を混合し、円柱状にプレス成形した後、還元雰囲気で通電焼結を行う。その後、得られた焼結体にスエージング加工やセンターレス研磨等を施して所望の径の棒体を得た後、適当に切断する。原料として、酸化物粉末に代えて金属W及び/又は金属Moの粉末を用い、酸化物微粒子を加えてそのまま成形してもよい。
得られた丸棒状焼結体の先端に研削加工を施して、R形,DR形,CF形等、所望の先端部形状に整える。
二重構造電極の場合、電極本体である周囲材のCu又はCu合金にも、通常のものが使用される。市販の純Cu、或いはCu−Cr合金,Cu−Cr−Zr合金等が使用される。さらには、Al23等の微粒子を分散させた分散強化Cu合金でも良い。
芯材をCu材からなる周囲材に埋め込む態様も、従来法をそのまま適用できる。穿った孔に芯材を圧入しても良いし、ロウ材を介して挿し込んでも良い。或いは焼き嵌めを行なっても良いし、芯材をCu材で鋳包んだ後冷間鍛造を施しても良い。芯材と周囲材が密に接合されていれば、電気伝導,熱伝導の点で問題になることはない。
二重構造の電極構造体を形成した後、先端に研削加工を施して、R形,DR形,CF形等、所望の先端部形状に整える。
実施例1:
Zn−6%Al−3%Mg合金めっきを片面当り30g/m2で施した板厚0.7mmの2枚のZn−Al−Mgめっき鋼板を、先端直径が6mm,全体直径が16mmのDR型で、先端直径6mmの部分に曲率半径40mmの円弧と他の部分に曲率半径8mmの円弧を付与した電極であって、純度99.95%のW粉末に種々の配合割合で粒径0.5μmのCe23粉末を分散させた混合粉末を仮成形後、通電焼結した後にスエージング加工とセンターレス研磨を行ったW材からなる電極を上下に用い、表1に示す条件で連続打点の溶接を行った。そして、形成されたナゲット径を測定し、ナゲット径が4√t=3.35(tは板厚)を下回るものを溶接不良として、電極寿命を求めた。
その結果を表2に示す。
Figure 2006095549
Figure 2006095549
表2に示す結果からもわかるように、W材にCe23の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させた電極を用いた場合、比較的に長い電極寿命を得ることができている。また電極断面を観察してもMgOの堆積が非常に少ない状態であった。W材中に分散させたCe23の微粒子がめっき金属との濡れを抑制したためと考えられる。
一方、微粒子を11体積%の割合で分散させたW材の場合には、電極寿命が低下し、電極断面を観察するとMgOが比較的多く堆積している状態であった。W材に分散させた微粒子の割合が大きすぎたために、W材自身の電気抵抗が上昇して電極とめっき鋼板間の発熱量が多くなり、微粒子分散による濡れ抑制作用が低減したためと考えられる。
また微粒子の分散割合が0.2体積%のW材の場合にも、電極寿命が比較的短く、電極断面を観察するとMgOが比較的多く堆積している状態であった。W材に分散させた微粒子が少ないために、濡れ抑制作用を発揮できずに電極とめっき金属が濡れやすかったためと考えられる。
W材にCe23の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させた電極では、MgOの堆積が比較的少なく、MgOによる電極とめっき鋼板との間の抵抗の上昇を抑制することができるために、めっき金属との溶着が発生し難い状態であった。
これに対して、Ce23微粒子の分散割合が多すぎたものや少なすぎたW材からなる電極では、MgOの堆積が比較的多く、このMgOによって電極とめっき鋼板間の抵抗が上昇してめっき金属との溶着が起こりやすい状態であった。また、W材が一部剥離・脱落していた。
実施例2:
W材に分散させる微粒子として、Ce23の代わりにCaOを用いた以外は実施例1と全く同じ条件で同じめっき鋼板を連続打点溶接し、電極寿命を調査した。
その結果を表3に示す。
Figure 2006095549
表2,3に示された結果を比較すると、表3の結果、すなわち、Ce23を分散させたものよりもCaOを分散させたものの方が電極寿命は向上している。
Ce23と比べてCaOの方が標準生成自由エネルギーが低いために、めっき金属との濡れ性をより大きく阻害することができ、電極寿命の延びに繋がったものと思われる。また、電極断面を観察すると、CaOを分散させたものの方が電極先端の堆積物は少ない状態であった。
実施例3:
先端直径が6mm,全体直径が16mmのDR型で、先端直径6mmの部分に曲率半径40mmの円弧と他の部分に曲率半径8mmの円弧を付与した電極であって、芯材として、W粉末に種々の配合割合で粒径0.5μmのCe23粉末を分散させた径6mmの焼結・鍛造品を、純Cuからなる周囲材に埋め込んだ電極を上下に用いる点以外は実施例1と全く同じ条件で、同じめっき鋼板を連続打点溶接した。なお、芯材として径6mmの円筒体を用いているので、本実施例では芯材/当接面の面積比率は100%となっている。
そして、実施例1と同じ評価方法で電極寿命を求めた。
その結果を表4に示す。
Figure 2006095549
表4に示す結果からもわかるように、一定通電路を確保した二重構造の埋め込み型電極では、Ce23微粒子の分散量が11体積%以上になると、分散量が少ないものと比べて寿命に達するまでの打点数が少なくなっている。Ce23微粒子の分散量が多すぎると芯材の材質が脆くなって、連続打点中に割れが生じ、安定してナゲットが形成し難くなったものと思われる。
Ce23微粒子の分散量が11体積%未満のものにあっては10000打点以上の電極寿命が得られている。Ce23微粒子の分散量が0.5体積%に満たない電極にあっても、面積比効果によって電極寿命が延びたものと思われる。しかしながら、電極断面を観察してみると、Ce23微粒子の分散量が0.5体積%に満たない電極では、その先端に、0.5体積%以上のものと比較して比較的多いMgOが堆積していた。このMgOは当然ながらナゲットの形成状況に影響を与える。したがって、正常なナゲットを長期間にわたって安定的に形成するためには、Ce23微粒子の分散量が0.5〜10体積%にすることが有効であることがわかる。
二重構造の埋め込み型電極の構造を模式的に説明する図

Claims (2)

  1. Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれた少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金から構成されていることを特徴とするMg成分含有Zn系合金めっき鋼板スポット溶接用電極。
  2. Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を埋設した電極であって、前記芯材が、Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれた少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金から構成されていることを特徴とするMg成分含有Zn系合金めっき鋼板スポット溶接用電極。
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