JPH0976074A - 抵抗溶接用電極材及び抵抗溶接用複合電極並びにその製造方法 - Google Patents

抵抗溶接用電極材及び抵抗溶接用複合電極並びにその製造方法

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JPH0976074A
JPH0976074A JP25943795A JP25943795A JPH0976074A JP H0976074 A JPH0976074 A JP H0976074A JP 25943795 A JP25943795 A JP 25943795A JP 25943795 A JP25943795 A JP 25943795A JP H0976074 A JPH0976074 A JP H0976074A
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powder
resistance welding
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copper
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JP25943795A
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Masatoshi Ando
正敏 安藤
Masahiko Yamaguchi
雅彦 山口
Motohisa Miyato
元久 宮藤
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 割れが発生せず、表面処理鋼板と溶着しがた
い特性を有する電極材を得て、表面処理鋼板の抵抗溶接
における電極寿命を向上させる。 【構成】 総酸素量が500ppm以下であるCu、C
r、Zr、Ag、Wの混合粉体を焼結して得られる酸素
量550ppm以下の芯部材1と、クロム銅からなる電
極本体2で構成される複合電極。芯部材における各粉末
の配合比は、Cr粉末が0.3〜1.5重量%、Zr粉
末が0.02〜0.22重量%、Ag粉末が0.01〜
0.5重量%、W粉末が0.1〜5.0重量%、残部が
Cu粉末である。この混合粉体を脱酸銅からなる銅缶体
に封入して真空脱気後、密閉してビレットを製造し、熱
間静水圧押出後、溶体化処理、焼鈍処理及び冷間抽伸加
工を施して芯部材1を形成し、これを電極本体2の先端
部中央に形成した凹み2aに挿入し、一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被溶接材に加圧力を
加えつつ通電を行う抵抗溶接技術に関し、この抵抗溶接
において使用される電極材、その電極材を使用した複合
電極及びその製造方法、並びに抵抗スポット溶接に適す
る一対の抵抗溶接用電極に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、スポット抵抗溶接またはシーム
溶接等の抵抗溶接に使用される電極には、大電流が流れ
る。そして、電極はそれ自体に抵抗発熱が生じるととも
に溶接部で発生した熱量の多くを受けるため、電極材と
しては耐熱性、高温強度、高導電性および高熱伝導性が
要求されている。このため、従来の抵抗溶接用電極材は
通常Cu−Cr合金、Cu−Cr−Zr合金からなって
いる。また、被溶接材と溶着しにくくするため、Cu合
金粉末にセラミックス粉末又は高融点金属を添加した分
散強化銅合金からなる電極が実用化されている。さら
に、かかる分散強化型銅合金を被溶接材に接触する電極
先端部に配置した複合電極も知られている(例えば特開
昭64−78683号公報、特公昭51−24991号
公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、車両
等の耐食性向上を目的とし、亜鉛めっき鋼板や有機被覆
鋼板等の表面処理鋼板が使用されることが多くなってき
た。しかし、従来からの電極材であるCu−Cr合金や
アルミナ分散銅を使用して表面処理鋼板を抵抗溶接する
と、溶接中に被溶接材との溶着が発生したり、表面に脆
い合金層が生成されて、電極寿命が短くなる欠点があ
る。Cu合金粉末にセラミックス粉末または高融点金属
を添加した分散強化型銅合金についても、内部に割れが
発生したり、溶接中に被溶接材との溶着が発生したり、
表面に脆い合金層が生成されて、電極寿命が短くなる欠
点がある。
【0004】一方、抵抗スポット溶接は、電極を介して
被溶接材に加圧力を加えつつ瞬間的に電流を流して溶接
するが、電極先端の曲率半径が小さい場合、特にドーム
型やコーンフラット型である場合に被溶接材である板材
表面に電極先端の圧痕(凹み)が生じ、外観が損なわれ
る。このため、表面性状を考慮する場合には、考慮する
面側において電極先端部の曲率半径を大きくした電極や
フラット形状の電極が使用される。しかし、市販のクロ
ム銅電極を両極に使用し、一方の電極を先端部の曲率半
径を大きくした形状やフラット形状とし、他方の電極を
ドーム型やコーンフラット型として、表面処理鋼板を抵
抗スポット溶接した場合は、ドーム型やコーンフラット
型とした側に溶着やスパークの発生が多く、電極寿命が
短くなるという問題がある。また、両極に溶着しにくい
複合電極を用いた場合でも、先端部の曲率半径を大きく
した形状やフラット形状の電極側に溶着や分流痕が発生
し、やはり電極寿命が短くなるという問題がある。
【0005】本発明は、従来技術のかかる問題点に鑑み
てなされたものであって、割れの発生が少なく、溶着し
にくく、脆い合金層の生成が少ない電極材を得て、抵抗
溶接における電極寿命を向上させることを目的とする。
また、本発明は、複合電極を用いた抵抗スポット溶接に
おいて溶着やスパーク、分流痕の発生を抑制し電極寿命
を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に関わる抵抗溶接
用銅ベース電極材(請求項1、3)は、総酸素量が50
0ppm以下であるCu、Cr、Zr、Ag、Wの混合
粉体を焼結して得られた電極材であり、混合粉体の配合
比は、好ましくは、Cr粉末が0.3〜1.5重量%、
Zr粉末が0.02〜0.22重量%、Ag粉末が0.
01〜0.5重量%、W粉末が0.1〜5.0重量%、
残部がCu粉末であることを特徴とする。いうまでもな
いが、各粉末は通常含有される程度の不可避不純物を含
み得る。また、本発明に関わる抵抗溶接用銅ベース電極
材(請求項2、4)は、Cu、Cr、Zr、Ag、Wの
混合粉体を焼結して得られた酸素量が550ppm以下
の電極材であり、混合粉体の好ましい配合比は、上記の
通りである。なお、混合粉体におけるCu、Cr、Z
r、Ag、Wの配合比は、焼結体における各成分の含有
量となる。従って、この電極材は、いいかえればCu、
Cr、Zr、Ag、W及び不可避不純物からなり、酸素
量が550ppm以下の銅ベース焼結体であり、各成分
の好ましい含有量はCr:0.3〜1.5重量%、Z
r:0.02〜0.22重量%、Ag:0.01〜0.
5重量%、W:0.1〜5.0重量%、残部がCuと不
可避不純物、550ppm以下の酸素ということができ
る。
【0007】本発明に関わる抵抗溶接用電極(請求項
5)は、上記銅ベース電極材からなる芯部材と、Cu−
Cr合金又はCu−Cr−Zr合金からなる電極本体で
構成され、前記芯部材が被溶接材に接触すべく前記電極
本体の先端部に嵌合され一体化されてなる複合電極であ
ることを特徴とする。この複合電極は、上記混合粉体を
銅缶体に封入して真空脱気後、密閉してビレットを製造
し、このビレットを熱間静水圧押出後、溶体化処理、焼
鈍処理及び冷間抽伸加工等を施して芯部材を作製し、こ
れをCu−Cr合金又はCu−Cr−Zr合金からなる
電極本体の先端部に形成した凹部に挿入し一体化すると
いう方法(請求項6)で効率的に製造することができ
る。
【0008】また、本発明に関わる抵抗溶接用電極(請
求項7〜10)は、抵抗スポット溶接機に配設される一
対の電極であって、一方の電極が、電極本体の被溶接材
に接触すべき先端部に異なる材質の電極材が一体的に配
置された複合電極であり、他方の電極が単体電極である
ことを特徴とする。上記一方の電極に使用される複合電
極としては、例えば上記請求項5の抵抗溶接用電極が特
に好適に使用できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前述した従来技術
の有する欠点を解消するため、表面処理鋼板の抵抗溶接
用電極材の材質につき種々実験検討を行った。本発明者
らは、先に本発明者らが特開平6−210463号公報
にて提案したCu、Cr、Zr、Ag、Wの混合粉体か
らなるCuベース焼結体に着目し、これを表面処理鋼板
と接触する電極材として使用する場合、脆い合金層の生
成が少なく、また、当該混合粉末の総酸素量を所定量以
下に低減するとともに、当該酸素をZrの酸化物として
安定させ固溶酸素量を低減すれば、割れの発生がなく、
被溶接材と溶着しにくく、強度の優れた電極材を得るこ
とができることを見い出した。
【0010】次に本発明に係る抵抗溶接用電極材につい
て具体的に説明する。初めに、Cu、Cr、Zr、A
g、Wからなる混合粉体の総酸素量の限定理由、電極材
の酸素量の限定理由及び各成分粉末の添加理由とその好
適な添加範囲について説明する。
【0011】混合粉体の総酸素量:500ppm以下 混合粉体に含まれる酸素は、熱間静水圧押出及びその後
の熱処理の過程で、酸素との親和力が強いCrと優先的
に結合して酸化物を生成する。そのため、酸素の量が多
いと金属Crとして析出し強度向上に寄与すべきCr析
出物の量が減少し、常温硬さHv160以上が得られな
くなる。また、Cr酸化物の量が増えると電極に割れが
発生しやすくなる。本発明の電極材では、このようなC
rの酸化を抑制するため、Crより酸素との親和力が強
いZr粉末を添加してZrの酸化物を形成させるように
した点に大きい特徴がある。しかし、混合粉体全体の酸
素量が500ppmを超えるようであると0.22重量
%を超えるZrの添加が必要となり、多量に生成した酸
化Zrが加工性を劣化させる。従って、混合粉体の酸素
量は500ppm以下とする。
【0012】総酸素量を500ppm以下にするには、
低酸素量の粉末を用いる必要があり、特に主成分である
銅粉末の酸素量を低減させる必要がある。例えば、市販
の酸素量の低い還元銅粉の酸素量は200〜300pp
mであり、この粉末を使用すれば、総酸素量を500p
pm以下に制限することが可能となる。さらに酸素量を
低減させる場合は、還元銅粉をH2ガス雰囲気で加熱
(400〜500℃)して還元すると、100ppm以
下の銅粉末を得ることができる。
【0013】電極材の酸素量:550ppm以下 電極材の酸素量が550ppmを超えるようであると
0.22重量%を超えるZrの添加が必要ということに
なり、多量に生成した酸化Zrが加工性を劣化させる。
なお、混合粉体の上限酸素量を500ppm以下とすれ
ば、その混合粉体を銅缶体に真空封入してビレットを製
造する際に持ち込まれる酸素量は最大で50ppmであ
るので、電極材(焼結後)の酸素量を550ppm以下
とすることができる。
【0014】Cr粉末:0.3〜1.5重量% 溶体化処理によって固溶したCrは、その後の析出焼鈍
によって、微細な金属Crとして析出し、強度の向上に
寄与する。Cr粉末が0.3重量%未満では、析出焼鈍
を行っても析出するCrが少ないので強度の向上は余り
期待できず、またCr粉末が1.5重量%を超えて含有
されても、延性の低下により溶接時の加圧によって電極
先端部に割れが発生しやすくなり、電極寿命を縮める原
因ともなる。従って、Cr粉末の含有量は好ましくは
0.3〜1.5重量%とする。
【0015】Zr粉末:0.02〜0.22重量% 混合粉体中の酸素及び粉体を銅缶体に真空封入してビレ
ットを製造する際に持ち込まれる酸素は、酸素との親和
力が強いCrと優先的に結合して酸化物を形成するが、
酸素との親和力がCrより強く、添加しても導電率の低
下の少ないZr粉末を混合することにより、Crの酸化
を抑制できる。混合粉体を銅缶体に真空封入してビレッ
トを製造する際に持ち込まれる酸素量は最大で50pp
mで、この酸素と結び付くのに必要なZr量は0.02
重量%であり、0.02重量%未満では添加効果が少な
い。一方、混合粉体に含まれる上限酸素量の500pp
mと、持ち込まれる最大酸素量の50ppmの合計55
0ppmと結び付くのに必要なZr量は0.22重量%
であり、これを超える添加は無駄になる。従って、Zr
粉末の含有量は、好ましくは0.02〜0.22重量%
とする。
【0016】Ag粉末:0.01〜0.5重量% AgとCuの共晶温度は779℃であるため、Cu粉末
にAg粉末を混合することによって、導電率を劣化させ
ることなく、焼結を促進させ、充填率を高めることがで
きる。Ag粉末の含有量が0.01重量%未満では効果
は小さく、0.5重量%を超えて含有しても効果は飽和
するばかりでなく、高価なAg粉の使用は無駄となる。
従って、Ag粉末の含有量は、好ましくは0.01〜
0.5重量%とする。
【0017】W粉末:0.1〜5.0重量% Wは高融点金属であり、Zn等の拡散を抑える効果があ
るとともに、Zn等の溶融金属に対して優れた耐濡れ性
を発揮し、電極の表面に脆い合金層が形成されるのを抑
制する。加えて導電率もW自体31%IACSとセラミ
ックスと比べて格段に高く、抵抗溶接用電極材の構成材
料として有用である。W粉末が0.1重量%未満の場合
は、耐濡れ性向上の効果が小さく、5.0重量%を超え
るとその効果が飽和するばかりでなく、延性の低下及び
被削性の低下等の電極チップ加工上の弊害が大きくなる
ため、好ましくない。さらに、延性の低下等により、溶
接時の加圧によって電極先端部に割れが発生しやすくな
り、電極寿命を縮める原因ともなる。従って、W粉末の
含有量は好ましくは0.1〜5.0重量%する。
【0018】次に本発明に係る抵抗溶接用複合電極とそ
の製造方法について図1を参照して具体的に説明する。 〔芯部材〕まず、脱酸銅からなる銅缶体にCu、Cr、
Zr、Ag、W混合粉体を封入後、脱気管がついた銅製
の蓋をTIG溶接にて缶体に取り付け、真空脱気を行っ
た後脱気管をTIG溶接にて密閉してビレットを製造す
る。次いで、このビレットに対し、950℃×1時間の
均一化処理、850℃で熱間静水圧押出後、950℃×
1時間熱処理し続いて水中急冷にて溶体化処理を行い、
1回以上の焼鈍処理および冷間抽伸加工を実施する。得
られた焼結体を所定長さに切断し、切削して芯部材1を
製造する。 〔電極本体との嵌合〕Cu−Cr合金又はCu−Cr−
Zr合金を鍛造して先端部に芯部材1が嵌入する穴2a
を備えた電極本体2を成形し、次いで冷間鍛造により上
記芯部材1を穴2aに圧入するとともに底部に冷却水穴
2bを形成し、続いて先端部を切削加工により所望の形
状に仕上げ、複合電極を完成する。
【0019】なお、上記複合電極は、電極本体と芯部材
を電極形状仕上げ時に一体化する工程を必要とするた
め、その分の工数が増加するが、芯部材の材質のみで構
成される単体電極と比べると、全体の工数が著しく低減
できる。すなわち、上記複合電極の製造工程のうちでは
ビレットの加工に最も多くの工数がかかっているが、芯
部材は電極本体(例えば直径16mm)に比べ小径(例
えば直径6mm)であるため、同じビレットを直径6m
mと直径16mmに抽伸したとして、一本のビレットか
ら得られる個数は、直径6mmの芯部材は直径16mm
の単体電極の約7倍になる。言い換えれば、芯部材の材
質のみで構成される単体電極を所定数作製するために
は、複合電極を作製する場合の7倍のビレット本数を要
することになる。従って、芯部材を電極本体へ冷間鍛造
で埋め込み一体化する複合電極の方が、工程全体の工数
が著しく減少できる。また、高価な芯部材と経済的な電
極本体を一体化することにより、経済的に寿命の長い電
極材を得ることができる。
【0020】次ぎに本発明に係る抵抗溶接用電極、すな
わち抵抗スポット溶接機に配設される一対の電極につい
て若干説明する。先に[発明が解決しようとする課題]
の欄でも述べたが、表面処理鋼板を曲率半径の小さいド
ーム型やコーンフラット型の電極と、先端部の曲率半径
を大きくした形状やフラット形状の電極を対にして抵抗
スポット溶接する場合、両極に溶着しにくい複合電極を
用いた場合でも、先端部の曲率半径を大きくした形状や
フラット形状の電極側に溶着や分流痕が発生する。これ
は、複合電極の芯部材と電極本体では導電率が若干異な
るため、溶接時の通電経路が芯部材に集中せず、溶着や
分流痕が生ずるものと考えられる。
【0021】これを解消するには一方の電極を単体電極
とすることが考えられる。しかし、粉末焼結体で単体電
極を構成した場合、コストが高くなるので、一方側の電
極のみ例えば従来のクロム銅を用いることとすれば、通
電経路は乱れずに、溶接電流は電極中央部に集中し、溶
着や分流痕の発生は低減できる。すなわち、ドーム型や
コーンフラット型の電極の側に溶着の少ない複合電極を
用い、一方、電極先端部の曲率半径を大きくした形状や
フラット形状の電極の側に、例えば単体クロム銅電極を
配置することにより、溶着、スパッタ、分流痕の発生を
低減できるようになり、コスト低減にも寄与できる。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。な
お、下記実施例1は請求項1〜6の発明に対応し、実施
例2は請求項7〜10の発明に対応するものである。
【0023】〔実施例1〕表1に示す成分を同表に示す
配合比で含有する混合粉体(試験No.1〜3)を、脱
酸銅からなる缶体(内径:131mmφ、外径:143
mmφ)に封入した。次に、これを真空脱気してTIG
溶接により缶体を密閉後950℃で1時間加熱し、その
後、850℃にて静水圧押出しを実施し、外径が29m
mφの押出棒を得た。これを950℃で1時間熱処理し
て水中急冷にて溶体化処理した後、抽伸加工により外径
を13mmφにし、425℃で5時間焼鈍した。さら
に、抽伸加工を施し外径が6.1mmφの芯部材を得
た。
【0024】
【表1】
【0025】次にCu−1.3wt%Cr合金からなる
16mmφの丸棒材に、図1に示すように、中心部に直
径6mmφの凹み2aを冷間加工により形成し、この凹
み2aに芯部材1を冷間加工を施すことにより挿入し、
芯部材1と電極材本体2を一体化した。抵抗溶接試験に
際し、これを外径が16mmφ、先端半径8mm、先端
曲率半径が40mm、長さが25mmの水冷孔付き電極
チップに加工した。なお、比較のため試験No.4、5
として、市販のクロム銅(Cu−1.3wt%Cr)及
び0.3wt%Al23を含むアルミナ分散銅からなる
単体電極チップを用いた。
【0026】被溶接材として0.8mmtの亜鉛めっき
鋼板を用い、これを重ねて抵抗溶接を施し、溶接部のナ
ゲット径がJISZ3140A級の最小値(3.8mm
t)を下回った時の打点数を電極寿命とした。なお、溶
接機は単相交流式のものを用いた。溶接条件は溶接電流
10kA、溶接加圧力2.5kNである。以上の試験結
果を表2に示す。なお、表2には、各電極のビッカース
硬さと導電率を併せて示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2をみると、試験No.4、5は被溶接
材に対して溶着が発生しやすいため電極寿命が短い。試
験No.3は酸素濃度が高くCr粒子が酸化し組織内に
割れが発生したため電極寿命が短くなっている。これに
対し、本発明の実施例に相当する試験No.1、2は、
総酸素量500ppm以下を満足するため、Crも酸化
せず内部での割れ発生もなく、表面処理鋼板に対して溶
着しにくく、電極寿命が試験No.3〜5より著しく長
い。
【0029】〔実施例2〕表3に示す組成の電極を用
い、抵抗溶接試験を行った。複合電極は、Cu−1.0
重量%Crからなる外径16mmφの電極本体の中央部
に、外径6mmのCu−1.2重量%Cr−0.2重量
%Zr−0.1重量%Ag−1.6重量%Wからなる芯
部材を挿入して一体化し作製した。なお、芯部材の製造
方法及び芯部材と電極本体の一体化方法は〔実施例1〕
と同じである。
【0030】
【表3】
【0031】図2に示す上部駆動側の電極3と下部固定
電極4に表3の組み合せで電極をそれぞれ配置した。上
部電極形状はいずれも外径が16mmφ、先端曲率半径
が40mmφ、長さが25mm、下部電極形状はいずれ
も外径が16mm、先端がフラット、長さが25mmと
し、それぞれ水冷穴付きの電極チップとした。被溶接材
として、0.8mmtの亜鉛めっき鋼板5を用い、これ
を重ね合わせて抵抗溶接を施し、溶着、スパーク、分流
痕の発生数、発生率を測定した。なお、溶接機は定置型
単相交流式のものを用いた。溶接条件は溶接電流10k
A、通電時間12サイクル、溶接加圧力1.96kNで
ある。以上の試験結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】試験No.7は芯部材と電極本体において
導電率が若干異なるため、下部電極側において溶接時の
通電経路が中央部に集中せず、溶着や分流痕が生じた。
試験No.8はクロム銅電極と亜鉛めっき鋼板が溶着し
やすく、上部電極先端に脆い合金層を形成して電極損耗
が激しく、通電時に局部発熱を生じスパークが多く発生
する。これに対し、本発明の実施例に相当する試験N
o.6は、ドーム型の上部電極に溶着の少ない複合材電
極を用い、フラット形状の下部電極側にクロム銅電極を
配置することにより、溶着、スパッタ、分流痕の発生を
低減できた。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る抵抗溶
接用電極材は、表面に脆い合金層を形成せず、割れが発
生せず、表面処理鋼板と溶着しがたい特性を有している
ため、表面処理鋼板の抵抗溶接時の電極寿命を著しく向
上できるという優れた効果を奏する。本発明に関わる抵
抗溶接用電極の製造方法によれば、先端部を電極材本体
へ冷間鍛造にて埋め込む工程を採用したことで工数を著
しく低減できるという優れた効果を奏する。また、同時
に1回の静水圧押出により芯部材を多量に製造すること
が可能となり、工業的にも対応できる。さらに、本発明
に係る抵抗溶接用電極、すなわち抵抗スポット溶接機に
配設される一対の電極によれば、通電経路が乱れず、溶
着、スパッタ、分流痕の発生が低減し、表面処理鋼板の
抵抗溶接時の電極寿命を向上できるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合電極の製造方法を示す模式図であ
る。
【図2】実施例2の電極形状と配置を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 芯部材 2 電極本体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 総酸素量が500ppm以下であるC
    u、Cr、Zr、Ag、Wの混合粉体を焼結して得られ
    た抵抗溶接用銅ベース電極材。
  2. 【請求項2】 Cu、Cr、Zr、Ag、Wの混合粉体
    を焼結して得られた酸素量が550ppm以下の抵抗溶
    接用銅ベース電極材。
  3. 【請求項3】 総酸素量が500ppm以下であるC
    u、Cr、Zr、Ag、Wの混合粉体を焼結して得られ
    た抵抗溶接用銅ベース電極材であり、前記混合粉体中の
    配合比は、Cr粉末が0.3〜1.5重量%、Zr粉末
    が0.02〜0.22重量%、Ag粉末が0.01〜
    0.5重量%、W粉末が0.1〜5.0重量%、残部が
    Cu粉末であることを特徴とする抵抗溶接用銅ベース電
    極材。
  4. 【請求項4】 Cu、Cr、Zr、Ag、Wの混合粉体
    を焼結して得られた酸素量が550ppm以下の抵抗溶
    接用銅ベース電極材であり、前記混合粉体中の配合比
    は、Cr粉末が0.3〜1.5重量%、Zr粉末が0.
    02〜0.22重量%、Ag粉末が0.01〜0.5重
    量%、W粉末が0.1〜5.0重量%、残部がCu粉末
    であることを特徴とする抵抗溶接用銅ベース電極材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載さ
    れた銅ベース電極材からなる芯部材と、Cu−Cr合金
    又はCu−Cr−Zr合金からなる電極本体で構成さ
    れ、前記芯部材が被溶接材に接触すべく前記電極本体の
    先端部に嵌合され一体化されていることを特徴とする抵
    抗溶接用複合電極。
  6. 【請求項6】 被溶接材と接触する芯部材をCu−Cr
    合金又はCu−Cr−Zr合金からなる電極本体の先端
    部に嵌合一体化してなる抵抗溶接用複合電極の製造方法
    であって、請求項1又は請求項3に記載の混合粉体を銅
    缶体に封入して真空脱気後、密閉してビレットを製造
    し、このビレットを熱間静水圧押出後、溶体化処理、焼
    鈍処理及び冷間抽伸加工を施して芯部材を作製し、Cu
    −Cr合金又はCu−Cr−Zr合金からなる電極本体
    の先端部に形成した凹部に前記芯部材を挿入し、前記芯
    部材と電極本体を一体化することを特徴とする抵抗溶接
    用複合電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 抵抗スポット溶接機に配設される一対の
    電極であって、一方の電極が、電極本体の被溶接材に接
    触すべき先端部に異なる材質の電極材が一体的に配置さ
    れた複合電極であり、他方の電極が単体電極であり、か
    つ単体電極が複合電極より曲率半径が大きいかフラット
    な先端部形状を有することを特徴とする抵抗溶接用電
    極。
  8. 【請求項8】 前記一方の電極が、総酸素量が500p
    pm以下であるCu、Cr、Zr、Ag、Wの混合粉体
    を焼結して得られた銅ベース電極材からなる芯部材と、
    Cu−Cr合金又はCu−Cr−Zr合金からなる電極
    本体で構成され、前記芯部材が被溶接材に接触すべく前
    記電極本体の先端部に嵌合され一体化された複合電極で
    あることを特徴とする請求項7に記載された抵抗溶接用
    電極。
  9. 【請求項9】 前記一方の電極が、Cu、Cr、Zr、
    Ag、Wの混合粉体を焼結して得られた酸素量が550
    ppm以下の銅ベース電極材からなる芯部材と、Cu−
    Cr合金又はCu−Cr−Zr合金からなる電極本体で
    構成され、前記芯部材が被溶接材に接触すべく前記電極
    本体の先端部に嵌合され一体化された複合電極であるこ
    とを特徴とする請求項7に記載された抵抗溶接用電極。
  10. 【請求項10】 前記混合粉体中の配合比は、Cr粉末
    が0.3〜1.5重量%、Zr粉末が0.02〜0.2
    2重量%、Ag粉末が0.01〜0.5重量%、W粉末
    が0.1〜5.0重量%、残部がCu粉末であることを
    特徴とする請求項8又は9に記載された抵抗溶接用電
    極。
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