JP2007301606A - 抵抗スポット溶接による異種金属の接合方法及び接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】例えば、亜鉛めっき鋼材とアルミニウム合金材とを重ね合わせ、亜鉛めっき鋼材のめっき層中の亜鉛とアルミニウムとの共晶溶融を生じさせて抵抗スポット溶接するに際し、スポット溶接用電極として、先端部を曲面形状にすると共に、例えば電極本体部とはヤング率や電気電動度などの物性が異なる異種材料片20や21を組み込んだ電極10又は11を少なくとも一方の電極として用いる。
【選択図】図5
Description
例えば、アルミニウム合金と鋼材とを異種溶接する場合、高硬度で脆弱なFe2Al5やFeAl3などの金属間化合物が生成するため、継手強度を確保するためには、これら金属間化合物の生成をコントロールする必要がある。
さらに、爆着や熱間圧延などによる接合も知られているが、設備面や能率面での問題が多く、異種金属接合一般に広く適用することはできないという問題がある。
したがって、図に示した共晶点(TE)を利用してAlとZnの共晶溶融を作り出し、アルミニウム材の接合時における酸化皮膜除去や相互拡散などの接合作用に利用することによって、低温での接合が実施できるため、接合界面におけるFe2Al5やFeAl3などの金属間化合物の成長を極めて効果的に抑制することができる。
したがって、両金属の清浄面を接触させ、655K以上に加熱保持すると反応が生じる。これを共晶溶融といい、Al−95%Znが共晶組成となるが、共晶反応自体は合金成分に無関係な一定の変化であり、合金組成は共晶反応の量を増減するに過ぎない。
すなわち、加圧によって材料表面の微視的な凸部同士が擦れ合うことから、一部の酸化皮膜の局所的な破壊によってアルミニウムと亜鉛が接触した部分から共晶溶融が生じ、この液相の生成によって近傍の酸化皮膜が破砕、分解されてさらに共晶溶融が全面に拡がる反応の拡大によって、酸化皮膜破壊の促進と液相を介した接合が達成される。
まず、図2(a)に示すように、その表面に、Alと共晶を形成する第3の金属材料として機能する亜鉛めっき層1pが施された亜鉛めっき鋼板1と、アルミニウム合金材2を用意し、図2(b)に示すように、これら亜鉛めっき鋼板1とアルミニウム合金材2を亜鉛めっき層1pが内側になるように重ねる。なお、アルミニウム合金材2の表面には酸化皮膜2cが生成している。
図3は、接合面内の入熱分布と強度分布の関係を示す概念図であって、図3(b)に示すように、ナゲット面内において均一な温度分布、加圧分布を生じさせることによって、適切なナゲットの領域を増大させ、図3(a)に示した不均一な入熱分布状態に較べて、高強度かつ均一なな接合強度を実現することができるようになる。
すなわち、これら金属とAlとの共晶金属は、母材であるアルミニウム合金材の融点以下の温度で溶融するため、脆弱な金属間化合物が生成し易い鋼材とアルミニウム合金材の接合においても、低温で酸化皮膜を除去することができ、接合過程での接合界面における金属間化合物の生成が抑制でき、強固な接合が可能になる。
鋼材とマグネシウムとの接合に際しては、後述する実施例と同様に鋼材側にめっきした亜鉛とマグネシウムの間に共晶反応を生じさせて接合することが可能である。さらに、アルミニウムとマグネシウムを接合する場合においても、亜鉛や銀を第3の金属材料として利用することが可能である。
すなわち、例えば、電極先端中心部に、低ヤング率、高降伏点を有する材料から成る部材を組み込むことによって、電極中心部の加圧力を低減させることができ、電極周辺部における被接合材の密着性が上がる結果、図3(a)に示したように電極中心部に集中していた電流密度を、図3(b)のように全体的に分散させることができ、ナゲット形成領域における温度の均一化を図ることができ、適切な状態のナゲットを拡大し、高強度化の実現が可能となる。そして、電極先端部の曲面によって、接合過程に生じる共晶溶融金属や被接合材表面の酸化皮膜等の排出が促進され、接合界面にこれらが残存することによる強度低下の防止とを両立させることができる。
また、電極先端部が曲面形状をなしており、特に中心側から周辺に向かって順次接合していくことによって、接合過程で生じる共晶溶融金属や酸化皮膜等の排出をより効果的に促進させることができ、これら夾雑物の残存による強度低下を防止することができる。
図4に示したような交流電源タイプの抵抗スポット溶接装置を用いて、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金材2と、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板1との接合を行った。
なお、亜鉛めっき鋼板1の亜鉛めっき厚さについては、約20μmのめっき厚のものを使用した。
なお、ここでは、異種材料片20としてβ型チタン合金を用いたが、電極本体部よりも低ヤング率、高降伏点であればこれに限定されることはない。
なお、異種材料片21としては鋼材を用いたが、電極本体部よりも電気伝導度が低ければ、これに限定されることはなく、例えばセラミックスなどを用いることができる。
図6に示すように、同一材料から成る同一寸法・形状の本体部の先端曲面上に、半球状の凹部12a(この例では9個)を備えた電極12を用い、240kgfの加圧力を加えながら、24000Aの交流電流を0.24秒間通電することによって抵抗スポット溶接を行い、アルミニウム合金材2と亜鉛めっき鋼板1との接合を行った。なお、上記電極12の先端部の曲率半径Rとしては、40mmとした。
なお、電極12の先端曲面に形成する凹部12aの大きさ、数量及び配置については、被接合材1,2の材質、板厚、溶接条件などに応じて設定することができる。
図7に示すように、同心円状に3個に分割され、先端が曲面形状に形成され、それぞれ独立に作動する可動片13a、13b及び13cから成る電極13を使用して、上記アルミニウム合金材2と亜鉛めっき鋼板1との接合を行った。
このとき、電極13の材質は、上記実施例と同様のCu−Cr系合金を使用すると共に、可動片13a、13b及び13cを合わせた全体形状・寸法についても、上記実施例と実質的に変わらないようにした。
これによって、一度に広い領域で接合を実施する場合に比べて、接合領域面内での温度差を縮小することができ、接合面内のナゲット形成領域における温度分布の均一化によって、適切な状態のナゲットを拡大し、継手強度の向上が可能となった。また、各可動片13a、13b、13cの先端が曲面となっており、中心側から周辺に向かって順番に接合していくようにしたことによって、接合過程に生じる共晶溶融金属や酸化皮膜等の夾雑物の排出がより円滑に行われ、強度低下をより効果的に防止することができた。
図8(a)及び(b)に示すように、上記実施例2と同じ材料から成り、略同一寸法、同一形状の本体部の先端曲面上に、凹凸14a及び15aをそれぞれ形成した電極14及び15を用いて、上記実施例2と同様の条件の下に、アルミニウム合金材2と亜鉛めっき鋼板1との接合を行った。
なお、ここでは、凹凸の形状例として、浪型の凹凸14aや半球状凸部15aを示したが、これらの形状や配置については、共晶溶融物等の排出性と面内温度分布の均一性を両立できることができれば特に限定されることはない。
1p 亜鉛めっき層(第3の材料)
2 アルミニウム合金材(被接合材)
E、10、11、12、13、14、15 電極
20、21 異種材料片
12a 凹部
13a、13b、13c 可動片
14a、15a 凹凸
Claims (5)
- 互いに異なる金属材料同士を重ね合わせた被接合材の間に上記金属材料とは異なる金属から成る第3の材料を介在させ、上記被接合材の少なくとも一方の材料と第3の材料との間で共晶溶融を生じさせて抵抗スポット溶接するに際し、先端部に曲面を有すると共に、接合面内のナゲット形成領域における温度を均一にする均一化手段を備えた電極を少なくとも一方の電極として使用することを特徴とする異種金属接合方法。
- 上記均一化手段が、電極本体とは物性の異なる材料から成り、電極中心部に組み込まれた異種材料片であることを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合方法。
- 上記均一化手段が電極中心部に形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合方法。
- 上記均一化手段として、上記電極を中心軸に沿って同心円状に分割し、独立的に作動する複数の可動片から成るものとしたことを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合方法。
- 上記均一化手段が先端部に形成された凹凸であることを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合方法。
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