JPH06292982A - スポット溶接用電極 - Google Patents

スポット溶接用電極

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JPH06292982A
JPH06292982A JP35752191A JP35752191A JPH06292982A JP H06292982 A JPH06292982 A JP H06292982A JP 35752191 A JP35752191 A JP 35752191A JP 35752191 A JP35752191 A JP 35752191A JP H06292982 A JPH06292982 A JP H06292982A
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良 丹
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム、アルミニウム合金等の電気伝
導度、熱伝導度の大きな金属板のスポット溶接に適した
電極を供する点にある。 【構成】 アルミニウム合金の如き電気伝導度および熱
伝導度の大きい図示されない金属製被溶接材を重合せ、
これを上下1対の電極1Aで挟み、この電極1Aは、C
u −Cr 合金製電極本体2Aの先端に銀製介装板15を当
接させた状態で、該電極本体2Aの先端のネジ部にチタ
ン製コップ形キャップ4Aを一体に螺嵌し、キャップ4
Aの頭頂壁5Aの頭頂面6を球面の一部として形成し、
頭頂面6の中央部に丸穴形状の凹み8を形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気伝導度、熱伝導度の
大きな金属材料のスポット溶接を行うために用いられる
電極に係り、特に小電流溶接に好適な電極構造に関する
ものである。
【0002】
【従来技術および解決しようとする課題】スポット溶接
とは、二枚の金属板を重ね合せ、これを一対の丸棒状の
電極で挟持加圧して通電し、発生したジュール熱により
金属板を加熱溶融させて圧接する方法である。このスポ
ット溶接法によって電気伝導度、熱伝導率の大きなアル
ミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金
属板の溶接を行う場合には、ジュール熱の発生量が少な
く、しかも発生した熱が熱伝導性の良好な被溶接材を通
じて逸散してしまうため、鋼板等の溶接に比して大電
流、大きな加圧力(電極による)を必要とし、しかも短
時間で溶接を完了しなければならない。したがって、大
型トランスが必要であり、また大きな加圧力に対応して
作業性を損う大型スポット・ガンを採用しなければなら
ず、溶接機のポータブル化は難しかった。
【0003】さらに、大電流を用いるにしても、多点ス
ポット溶接を行うに当っては、被溶接材の良好なる電気
伝導度に起因して、既溶接完了点を経由する分流が生
じ、現溶接箇所の溶接が健全に行われないという不具合
もあった。
【0004】このような不具合を解消するために発明さ
れたものとして、特開昭57-56175号公報がある。該公報
に記載された発明では、電極の先端と被溶接材との間
に、該被溶接材より熱伝導度および電気伝導度が低く融
点温度の高い金属材料からなる当て金を介在させてい
た。
【0005】前記公報の発明においては、被溶接材より
熱伝導度および電気伝導度が低い金属材料製当て金に電
気抵抗熱たるジュール熱を集中して発生させ、この当て
金を高温に加熱させることにより、熱伝導度および電気
伝導度の高い被溶接材にナゲットを形成してスポット溶
接を行うようになっているが、電極の先端にこの当て金
を直接に接触させているため、電極と当て金との間に大
きな接触電気抵抗により、該電極と当て金との接触部が
過熱状態となり、単位表面積当りの加圧力の大きな電極
の先端が損傷し易い。特に電極と当て金との接触面の平
面度が低いと、両者の間に隙間が生じて接触電気抵抗が
一段と大きくなり、前記した不具合が顕著に現われる。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用効果】本発明は
このような難点を克服したスポット溶接用電極の改良に
係り、被溶接材より熱伝導度および電気伝導度が低くか
つ融点温度の高い材料よりなるコップ形のキャップを電
極本体の先端に被嵌させてなり、該キャップと電極本体
の先端との間に、該キャップよりも熱伝導度が高くて硬
度が小さな金属を介装したことを特徴とするものであ
る。
【0007】本発明は前記したように被溶接材より熱伝
導度および電気伝導度が低くかつ融点温度の高い材料よ
りなるコップ形のキャップを電極本体の先端に被嵌した
ため、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の材質の
比較的薄い2枚の重合せ被溶接材に1対の電極本体を先
端のキャップを挟み、該1対の電極を介して2枚の被溶
接材に通電を行うと、電気抵抗の大きな前記キャップの
抵抗発熱と、該キャップと被溶接材との接触抵抗発熱と
で、前記被溶接材における両キャップで挟まれた部分が
高温に加熱されて、該挟持部分の電気抵抗が大きくな
り、該被溶接材挟持部分に高温のナゲットが生じ、所要
のスポット溶接が遂行される。
【0008】また本発明では、前記キャップと電極本体
の先端との間に、該キャップよりも熱伝導度が高くて硬
度が小さな金属を介装したため、たとえ前記キャップの
頭頂部内面と電極本体の先端面と介装金属の挟着面との
平面度が低くても、該介装金属が変形して、前記キャッ
プの頭頂部内面と電極本体の先端面とに密着し、該電極
本体とキャップとの間の接触電気抵抗が低下し、キャッ
プの頭頂部の中央部に集中しがちなジュール熱が介装金
属を介して頭頂部の周辺部に拡散し、前記中央部と周辺
部との温度差が小さくなり、その結果、被溶接材の局部
過熱が防止される。
【0009】このように本発明のスポット溶接用電極を
用いてスポット溶接を行えば、局部過熱のない高温のナ
ゲットを被溶接材における両キャップで挟まれた部分に
発生させることができ、しかも被溶接材よりも融点温度
の高い材料よりなるコップ形のキャップを電極本体の先
端に被嵌させたため、被溶接材が電極に付着するピック
アップや、電極に付着した被溶接材が電極内部に拡散し
浸透するエロージョンを抑制し、良好な溶接部分を得る
ことができる。
【0010】
【実 施 例】以下第1図ないし第3図に図示された本
発明の一実施例について説明する。図1、図2は、アル
ミニウム合金の如き電気伝導度および熱伝導率の大きい
金属材料で形成された板材である被溶接材12,13を重合
せ、これを上、下の電極1,1で挟みつけた状態を示し
ている。電極1は、第3図に図示されるように、汎用電
極材(例、Cu −Cr 合金)で形成された電極本体2の
先端部に形成されたネジ3部に、被溶接材12,13に比し
て電気伝導度および熱伝導率が小さく、融点温度の高い
チタン(Ti )で形成されたコップ形のキャップ4を螺
嵌することによって構成されている。
【0011】また、キャップ4の頭頂面6は球面の一部
として形成され(R形と称する)、その結果頭頂壁5の
肉厚は中央部7で大きく周辺部9で小さくなっており、
かつ頭頂壁5の外表面、すなわち頭頂面6の中央部に丸
穴形状の凹み8が形成されている(電極本体2の先端は
F形電極形状になされている)。
【0012】図1ないし図3に図示された実施例は前記
したように構成されているので、軟鋼板の溶接と同程度
の電流条件(小電流)で被溶接材12,13に通電を行う
と、被溶接材12,13の接触界面Aで接触抵抗発熱が生じ
るのは勿論であるが、電気抵抗の大きなチタンで形成さ
れたキャップ4,4と被溶接材12,13トの接触界面B,
Bで大きな接触抵抗発熱が生じ、キャップ4自体も抵抗
発熱することにより、接触界面B,Bで発生した熱が、
矢印Cで示すように、良好な熱伝導体である被溶接材1
2,13に効率良く伝えられる。被溶接材が軟鋼板であれ
ば、接触界面Aで生ずる接触抵抗発熱によって該界面A
の近傍にナゲット(溶融部)が生じるはずである。しか
しながら、この例では被溶接材12,13がアルミニウム合
金の如き電気伝導度および熱伝導率の大きな材料で形成
されているため、接触界面Aで生じる発生熱のみではナ
ゲットが生ずることはなく、接触界面Bから伝えられる
熱(矢印C)によってキャップ4,4間に挟まれた部分
が温度上昇し、それに伴って該部分の電気抵抗が大きく
なり、被溶接材12,13(キャップ4,4に挟まれた部
分)の抵抗発熱量が増大することともあいまって、被溶
接材12,13が円柱状に溶融し、第2図に示すようなナゲ
ット14が生ずる。このとき、被溶接材12,13に比してチ
タン製キャップ4の融点温度が十分高いため、キャップ
4の溶融が生じることはない。
【0013】ところで、スポット溶接用電極に要求され
る重要な条件は連続打点性の良好なることである。アル
ミニウム合金等の被溶接材12,13に比して電気伝導度、
熱伝導率の小さなキャップ4用材料として炭素鋼、ステ
ンレス鋼、チタン(Ti )等を上げ得るが(表1参
照)、連続打点性を考慮すればチタンが最も適してい
る。チタンは、融点が高い、熱膨張係数が小さい、熱伝
導率が低いという特性の他に、適当に大きな強度、靱性
を有しており、チタン製キャップ4を用いることによっ
てピックアップ(被溶接材が電極に付着する現象)、エ
ロージョン(電極に付着した被溶接材が電極内部に拡散
浸透し合金化する現象)を抑制し、良好な連続打点性を
確保することができる。
【0014】
【表1】
【0015】また、キャップ4の形状はその連続打点性
を向上させる上で重要である。キャップ4の頭頂面は球
面に近い形状、すなわちR型になされるが、被溶接材1
2,13との接触面圧は頭頂面中央部において最も大き
く、通電によってキャップ4、被溶接材12,13が温度上
昇してそれ等が熱膨張すると、その傾向がますます顕著
になる。そのため、キャップ4の頭頂面中央部に電流が
集中し、該中央部が過熱状態になり、小さな面積範囲で
集中的に被溶接材12,13に熱が投入される結果、ナゲッ
ト14の径が小さくなるとともにナゲット14も過熱状態に
なってピックアップ現象が生じ、結果的にキャップ4の
連続打点性が低下する傾向があるが、本実施例では、チ
タン製キャップ4の頭頂壁肉厚を中央部で大きく、周辺
部で小さく形成することによってこの問題を解決した。
【0016】本実施例は、通電抵抗が肉厚の大きさに比
例することを利用したものであり、頭頂壁5の肉厚が均
一である場合に比して頭頂壁5の中央部7における電流
密度が低下し、周辺部9における電流密度が増大する。
その結果、頭頂壁中央部7に集中しがちな電流が頭頂壁
5全体に分散され、頭頂面6と被溶接材12,13との接触
界面全体に均等な接触抵抗熱が生じ、被溶接材12,13へ
の入熱が大きな面積範囲で均等に行われ、局部過熱のな
い状態で図2に図示の如き大きなナゲット径を得ること
ができる。
【0017】また、頭頂面6における電流密度が中央部
7から周辺部9に亘って均等化することにより、被溶接
材12,13の局部過熱が防止され、鋼に比して熱膨張係数
の大きなアルミニウム合金、マグネシウム合金等で形成
された被溶接材12,13が溶融熱膨張してキャップ4の頭
頂面6との間で増大する接触面圧が頭頂壁中央部7にお
いて過度に大きくなる現象を避けることができピックア
ップおよびそれに伴うエロージョンが抑制され良好な連
続打点性が保証される。さらに、小電流の通電を行なっ
てキャップ4と被溶接材12,13との接触界面Bで発生し
た接触抵抗熱を被溶接材12,13に投入してナゲットを生
成させるのであるから、既溶接点を経由する分流は問題
にならない。
【0018】そして、頭頂壁5の中央部7に凹み8を形
成したため、周辺部9に比して中央部7の肉厚が大きい
ことともあいまって、通電時に電流が周囲に効果的に分
散されて頭頂面6と被溶接材12,13との接触界面で均等
に接触抵抗熱が発生し、頭頂壁5および被溶接材12,13
の局部過熱が起らず、十分大きな径のナゲット14(図2
参照)が形成されるとともに、ピックアップおよびそれ
に伴うエロージョンが抑制され、連続打点性が向上す
る。さらにまた、アルミニウム合金、マグネシウム合金
等で形成された被溶接材の熱膨張率は大きく(アルミニ
ウム合金の熱膨張係数は鋼の約3倍である)、通電時に
大きく熱膨張した被溶接材12,13の高温の溶融部が頭頂
面6を押して頭頂面6と被溶接材12,13との間の面圧が
過大になるところ、頭頂面6の中央部7には凹み8が形
成されているため、該凹み8内に熱膨張した高温の溶融
部(中央に位置する部分が最も高温である)が一部進入
し、面圧の上昇が緩和されてピックアップおよびそれに
伴うエロージョンの発生が防止される。
【0019】しかも電極1,1を被溶接材12,13に接触
させて加圧、通電を行うとき、加圧による大きな荷重が
キャップ4に作用するとともに急激な温度上昇による熱
衝撃応力がキャップ4に生じる。荷重の作用および熱衝
撃によってキャップ4に生じる応力を緩和させる上でキ
ャップ4の丈長(L)を大きくするのは有効であり、熱
容量が増すとともに、螺合部11における電極本体2との
接触面積の増大によって水冷された電極本体2への熱伝
達が良好に行われ、かつ電極本体2との結合面積が増し
て反復使用する間のキャップ4の緩みを防止できる。ま
た、キャップ4の緩みが生じるとキャップ4の頭頂壁5
が電極本体2の先端面から離れ、加圧力によって頭頂壁
5が後退変形し、被溶接材12,13との接触が正しく行わ
れなくなることを考慮するならば、キャップ4の緩みを
防ぐことはその耐久性を向上させ得ることを意味してい
る。
【0020】そしてスポット溶接を行うに当って、キャ
ップ4の頭頂面6または被溶接材12,13の電極当接面に
予めシリコーンオイルを塗布しておくのは有効であり、
ピックアップおよびそれに伴うエロージョンが抑制さ
れ、連続打点性が向上する。シリコーンオイルの引火点
は低く(172 ℃)、キャップ4と被溶接材12,13との接
触界面で生じる接触抵抗熱によって大きな圧力下で気
化、燃焼、炭化して高温強度の大きな硬い薄被膜が形成
される。この被膜はキャップ4の頭頂面6を保護し、ピ
ックアップ、エロージョンを抑制し、常に安定した品質
のナゲットを得ることができる。
【0021】図4に示された本発明の別実施例の電極1
Aでは、チタン製キャップ4Aの全表面に窒化処理を施
すとともに、全内面に窒化処理後の銅メッキ処理を施
し、電極本体2Aと頭頂壁5Aとの間に銀製介挿板15に
挟み込んだ点で電極1の構造と相違している。
【0022】電極1と異なる構造を採用したことによる
作用効果は以下の通りである。 窒化処理…窒化処理によってキャップ4Aの表面硬
度、剛性が向上する。窒化処理されないチタン材の硬度
はHv200 程度、窒化処理後のチタン材の硬度はHv1000程
度であり硬度の上昇は著しい。キャップ4Aの表面硬度
が大きければ、溶融した被溶接材が付着し難く、したが
ってピックアップ、エロージョンが効果的に抑制され、
耐摩耗性が良好であることともあいまって、連続打点性
の向上を企図し得る。
【0023】キャップ4Aの剛性が大きければ、被溶接
材12,13との加圧接触による歪発生、および通電時の急
激な温度上昇に伴う熱衝撃応力発生による歪発生が少な
く、変形防止効果が大きい。また、窒化処理されないチ
タンの電気比抵抗が最大50μΩ・cmであるのに対し、T
i Nの電気比抵抗が最大130 μΩ・cmであり、窒化処理
によってキャップ4Aの電気抵抗が増大する。したがっ
て、キャップ4Aと被溶接材12,13間の接触抵抗が増大
し、発熱促進を計ることができ、ナゲットの生成が更に
容易になる。
【0024】銅メッキ処理…銅メッキ処理を施さない
場合には、通電時にキャップ4Aにおける頭頂壁5Aの
中央部7にジュール熱が集中し、中央部7と周辺部9と
の温度差が大きい。(図5(a)温度分布曲線参照)のに
対し、図4の実施例のようにキャップ4Aの内面に銅メ
ッキ処理を施したものでは、中央部7へのジュール熱の
集中が緩和され、中央部7と周辺部9の温度差が小さい
(図5(b) 温度分布曲線参照)。したがって、銅メッキ
処理を施すことによって被溶接材12,13の局部過熱を防
ぐことができ、ピックアップ、エロージョンの発生を抑
え、連続打点性の向上を企図し得る。
【0025】また、キャップ4Aは被溶接材12,13に対
する熱源として機能する部材であるから或る程度温度上
昇するのは好ましいことであるが、過度の温度上昇はそ
の劣化を促進するため避けなければならない。この意味
では、キャップ4Aの内面に熱伝導性の良好な銅メッキ
皮膜を付すのは有効であり、通水冷却された電極本体2
Aへの熱伝達が円滑に行われることから、キャップ4A
の過熱が防止される。
【0026】銀製介挿板15の使用…介挿板15は、銀に
限定されず、電極本体2Aよりも電気伝導性良好、キャ
ップ4Aよりも熱伝導性良好、キャップ4Aよりも硬度
小なる金属で形成したものであればよい。そして銀製介
挿板15を電極本体2Aと頭頂壁5Aとの間に介装した作
用効果は、銅メッキ処理の場合と類似しており、介挿板
15が電極本体2Aおよびキャップ4Aに対してよく密着
し、電極本体2A−キャップ4A間の接触抵抗の低減化
によって電流効率が向上するとともに、頭頂壁5Aの中
央部に集中しがちなジュール熱が介挿板15を通じて頭頂
壁5Aの周辺部9に拡散され、中央部7と周辺部9との
温度差が小さくなることから、被溶接材12,13の局部過
熱防止によるナゲット径の拡大、およびピックアップ、
エロージョンの抑制による連続打点性の向上を企図し得
る。また、介挿板15はキャップ4Aから電極本体2Aへ
の熱伝達を良好ならしめ、キャップ4Aの過熱が防止さ
れる。
【0027】さらに、加圧通電する際、加圧による大き
な荷重がキャップ4Aに作用するとともに急激な温度上
昇による熱衝撃応力がキャップ4Aに生じることは前述
の通りである。この荷重の作用および熱衝撃によって頭
頂壁キャップ4Aに生じる応力を緩和させる上で、頭頂
壁5Aと電極本体2Aとの間に介挿板15を介在させるの
は有効である。すなわち、加圧力によって頭頂壁5Aに
作用する荷重に対しては介挿板15が緩衝体として機能
し、熱衝撃に対しては、水冷された電極本体2に対する
良好な熱伝達媒体として介挿板15が機能することにより
頭頂壁5Aの急激な温度上昇が防止され、頭頂壁5Aの
劣化が抑制される。
【0028】<溶接試験>斯かる作用効果が得られる電
極1Aを本発明例とし、鋼板溶接用単相交流式ポータブ
ル溶接機を用いて二枚のアルミニウム合金板(板厚1.0m
m )のスポット溶接を行なった。また、比較のためにチ
タン製キャップを用いることなく、鋼板溶接用単相交
流式ポータブル溶接機(比較例I)、単相交流式定置
溶接機(比較例II)、アルミニウム溶接用単相整流式
ポータブル溶接機(比較例III )にて二枚のアルミニウ
ム合金板(板厚1.0mm )のスポット溶接を行なった。そ
の溶接条件および溶接結果(ナゲット径、引張りせん断
強さ(平均値))を表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】<試験結果の評価> 本発明例と比較例Iの対比から、チタン製キャップ4
Aを用いることにより、従来不可能であった小電流、短
い溶接時間での溶接が可能になることが判る。 本発明例と比較例III 、IVとの対比から、チタン製キ
ャップを用いることにより、小電流、小さな加圧力で溶
接しても大電流、大加圧で溶接したものと同等以上のナ
ゲット径、引張りせん断強度が得られることが判る。
【0031】また、本発明例にあっては、連続100 打
点の溶接を行い得ることが確認された。
【0032】電極にピックアップ、エロージョンが生
じたときにはその部分を除去しなければならないが、比
較例III 、IVでは5打点溶接毎に除去作業が必要であっ
たのに対し、本発明例では10打点溶接毎に除去作業が必
要であった。このことから、チタン製キャップ4Aでは
ピックアップ、エロージョンが生じ難く、連続打点性が
向上し、結果的に生産性の向上を計り得ることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスポット溶接用電極の一実施例を用い
てスポット溶接を行なう状態を図示した概略図である。
【図2】前記実施例において、ナゲットができた状態の
概略図である。
【図3】前記実施例の要部拡大縦断正面図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部拡大縦断正面図であ
る。
【図5】図1ないし図3に図示の実施例と図4に図示の
実施例の溶接通電時のキャップ頭頂面の温度分布の違い
を示す図で、(a) は第1実施例、(b) は第2実施例を示
している。
【符号の説明】
1…電極、2…電極本体、3…ネジ、4…キャップ、5
…頭頂壁、6…頭頂面、7…中央部、8…凹み、9…周
辺部、10…周壁、11…ネジ、12,13…被溶接材、14…ナ
ゲット、15…介挿板。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接材より熱伝導度および電気伝導度
    が低くかつ融点温度の高い材料よりなるコップ形のキャ
    ップを電極本体の先端に被嵌させてなり、該キャップと
    電極本体の先端との間に、該キャップよりも熱伝導度が
    高くて硬度が小さな金属を介装したことを特徴とするス
    ポット溶接用電極。
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