JP4961530B2 - 抵抗スポット溶接による異種金属の接合方法 - Google Patents
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例えば、アルミニウム合金と鋼材とを異種溶接する場合、高硬度で脆弱なFe2Al5やFeAl3などの金属間化合物が生成するため、継手強度を確保するためには、これら金属間化合物の生成をコントロールする必要がある。
さらに、爆着や熱間圧延などによる接合も知られているが、設備面や能率面での問題が多く、異種金属接合一般に広く適用することはできないという問題がある。
したがって、図に示した共晶点(TE)を利用してAlとZnの共晶溶融を作り出し、アルミニウム材の接合時における酸化皮膜除去や相互拡散などの接合作用に利用することによって、低温での接合が実施できるため、接合界面におけるFe2Al5やFeAl3などの金属間化合物の成長を極めて効果的に抑制することができる。
したがって、両金属の清浄面を接触させ、655K以上に加熱保持すると反応が生じる。これを共晶溶融といい、Al−95%Znが共晶組成となるが、共晶反応自体は合金成分に無関係な一定の変化であり、合金組成は共晶反応の量を増減するに過ぎない。
すなわち、加圧によって材料表面の微視的な凸部同士が擦れ合うことから、一部の酸化皮膜の局所的な破壊によってアルミニウムと亜鉛が接触した部分から共晶溶融が生じ、この液相の生成によって近傍の酸化皮膜が破砕、分解されてさらに共晶溶融が全面に拡がる反応の拡大によって、酸化皮膜破壊の促進と液相を介した接合が達成される。
まず、図2(a)に示すように、その表面に、Alと共晶を形成する第3の金属材料として機能する亜鉛めっき層1pが施された亜鉛めっき鋼板1と、アルミニウム合金材2を用意し、図2(b)に示すように、これら亜鉛めっき鋼板1とアルミニウム合金材2を亜鉛めっき層1pが内側になるように重ねる。なお、アルミニウム合金材2の表面には酸化皮膜2cが生成している。
図3は、接合面内の入熱分布と強度分布の関係を示す概念図であって、図3(b)に示すように、ナゲット面内において均一な温度分布、加圧分布を生じさせることによって、適切なナゲットの領域を増大させ、図3(a)に示した不均一な入熱分布状態に較べて、高強度かつ均一なな接合強度を実現することができるようになる。
すなわち、これら金属とAlとの共晶金属は、母材であるアルミニウム合金材の融点以下の温度で溶融するため、脆弱な金属間化合物が生成し易い鋼材とアルミニウム合金材の接合においても、低温で酸化皮膜を除去することができ、接合過程での接合界面における金属間化合物の生成が抑制でき、強固な接合が可能になる。
鋼材とマグネシウムとの接合に際しては、後述する実施例と同様に鋼材側にめっきした亜鉛とマグネシウムの間に共晶反応を生じさせて接合することが可能である。さらに、アルミニウムとマグネシウムを接合する場合においても、亜鉛や銀を第3の金属材料として利用することが可能である。
すなわち、電極先端中心部に、低ヤング率、高降伏点を有する材料から成る部材を組み込むことによって、電極中心部の加圧力を低減させることができ、電極周辺部における被接合材の密着性が上がる結果、図3(a)に示したように電極中心部に集中していた電流密度を、図3(b)のように全体的に分散させることができ、ナゲット形成領域における温度の均一化を図ることができ、適切な状態のナゲットを拡大し、高強度化の実現が可能となる。そして、電極先端部の曲面によって、接合過程に生じる共晶溶融金属や被接合材表面の酸化皮膜等の排出が促進され、接合界面にこれらが残存することによる強度低下の防止とを両立させることができる。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の異種金属パネルの接合方法においては、互いに異なる材料から成る金属パネルであって、少なくとも一方が表面に強固な酸化皮膜を生成する材料から成る第1の金属パネルと第2の金属パネルを重ね合わせて接合するに際して、第1及び第2の金属パネル双方の接合面に、接合線に対して略直角をなす方向から高エネルギービームを照射しながら、両パネルを相対加圧して、これら両パネルを連続的又は断続的な線状に接合することを特徴としている。
また、電極先端部が曲面形状をなしており、特に中心側から周辺に向かって順次接合していくことによって、接合過程で生じる共晶溶融金属や酸化皮膜等の排出をより効果的に促進させることができ、これら夾雑物の残存による強度低下を防止することができる。
図4に示したような交流電源タイプの抵抗スポット溶接装置を用いて、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金材2と、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板1との接合を行った。
なお、亜鉛めっき鋼板1の亜鉛めっき厚さについては、約20μmのめっき厚のものを使用した。
なお、ここでは、異種材料片20としてβ型チタン合金を用いたが、電極本体部よりも低ヤング率、高降伏点であればこれに限定されることはない。
図6に示すように、同心円状に3個に分割され、先端が曲面形状に形成され、それぞれ独立に作動する可動片13a、13b及び13cから成る電極13を使用して、上記アルミニウム合金材2と亜鉛めっき鋼板1との接合を行った。
このとき、電極13の材質は、上記実施例と同様のCu−Cr系合金を使用すると共に、可動片13a、13b及び13cを合わせた全体形状・寸法についても、上記実施例と実質的に変わらないようにした。
これによって、一度に広い領域で接合を実施する場合に比べて、接合領域面内での温度差を縮小することができ、接合面内のナゲット形成領域における温度分布の均一化によって、適切な状態のナゲットを拡大し、継手強度の向上が可能となった。また、各可動片13a、13b、13cの先端が曲面となっており、中心側から周辺に向かって順番に接合していくようにしたことによって、接合過程に生じる共晶溶融金属や酸化皮膜等の夾雑物の排出がより円滑に行われ、強度低下をより効果的に防止することができた。
1p 亜鉛めっき層(第3の材料)
2 アルミニウム合金材(被接合材)
E、10、13 電極
20 異種材料片
13a、13b、13c 可動片
Claims (4)
- 互いに異なる金属材料同士を重ね合わせた被接合材の間に上記金属材料とは異なる金属から成る第3の材料を介在させ、上記被接合材の少なくとも一方の材料と第3の材料との間で共晶溶融を生じさせて抵抗スポット溶接するに際し、先端部に曲面を有すると共に、接合面内のナゲット形成領域における温度を均一にする均一化手段として、電極本体よりも低ヤング率、高降伏点を有する異種材料片が中心部に組み込まれた電極を少なくとも一方の電極として使用することを特徴とする異種金属接合方法。
- 上記電極本体がCu−Cr系合金から成り、電極中心部に組み込まれる異種材料片がβ型チタン合金から成ることを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合方法。
- 互いに異なる金属材料同士を重ね合わせた被接合材の間に上記金属材料とは異なる金属から成る第3の材料を介在させ、上記被接合材の少なくとも一方の材料と第3の材料との間で共晶溶融を生じさせて抵抗スポット溶接するに際し、先端部に曲面を有すると共に、接合面内のナゲット形成領域における温度を均一にする均一化手段として、中心軸に沿って同心円状に分割され、独立的に作動する複数の可動片から成る電極を少なくとも一方の電極として使用し、微少な領域ごとに順次接合していくことを特徴とする異種金属接合方法。
- 中心部から周辺に向かって順次接合していくことを特徴とする請求項3に記載の異種金属接合方法。
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