JP2006093483A - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 デラミネーションがなく、寸法精度の高い電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体1上に導体層2を形成する工程と、その支持体1上に第1のCGS層3を形成する工程と第1のCGS層3上にセラミックスラリー4を塗布し乾燥させて第2のCGS層4’を形成して導体層2と第1,第2のCGS層3,4’とから成る積層CGS5を得る工程と、積層CGS5を複数枚積層して加熱することによってCGS積層体6を作製する工程と、CGS積層体6を焼成する工程とを具備しており、セラミックスラリー4はCGS積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有し、第1のCGS層3の溶解度パラメータとセラミックスラリー4の溶解度パラメータとの差が3乃至8である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、積層コンデンサや積層セラミック配線基板等のような電子部品の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、積層コンデンサや積層セラミック配線基板のような電子部品において、小型化および高性能化が望まれている。例えば、積層コンデンサにおいては小型化および高容量化のためにより薄い誘電体層および導体層を多層化したものが求められている。また、積層セラミック配線基板においては小型化および配線導体の高密度化のためにより薄い絶縁層および配線導体層を多層に形成し、配線導体層の幅および間隔もより微細なものが求められている。
このような電子部品は、セラミック粉末に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりセラミックグリーンシート(Ceramic Green Sheetで、以下CGSともいう)を成形した後、金属粉末を含有する導体ペーストを印刷するなどして上述のCGS上に導体層を形成し、次に複数枚の導体層が形成されたCGSを積層して加圧することにより圧着して積層体を得て、この積層体を焼成することで得られる。
電子部品に対する要求に対応して導体層が形成されたCGSを多数積層すると、導体層が形成された領域が重なる部分とそうでない部分ではその厚み差が大きくなる。このため、積層されたCGSを厚み方向に加圧した場合、導体層が形成された領域が重なる部分においては加圧力が十分に加わるものの、そうでない部分においては加圧力が十分に加わりにくくなるので、不十分な圧着となり易い。その結果、そのような積層体を焼成すると、圧着が不十分な部分でデラミネーション(層間剥離)が発生するという問題があった。
このようなデラミネーションが電子部品の内部に存在すると、電気的な容量値の変化や絶縁破壊が起りやすくなるので電気的な特性が確保できないという問題があった。この問題に対して、特許文献1では、加圧された際の流動性が高い高流動性部分を有する積層体を用いることが提案されている。積層体を厚み方向に加圧した際に、内部電極が積層されている領域に存在する高流動性部分が残りの部分に移動して残りの部分の厚みが増大しようとすることにより、加圧力が全体に均一に加わることとなるので、デラミネーションが生じ難くなるものである。
この問題に対して、特許文献2では、CGSの少なくとも片面にセラミック粉末に対して78体積%以上の有機バインダー(以下、バインダーともいう)を含むセラミック層を設け、この上面に内部導体層を形成することが提案されている。多くのバインダーを含むセラミック層は、バインダーが十分流動し、焼成時のデラミネーションが解消される。
このように、積層体中に高流動性層を形成したり、通常のCGS上に高流動性層が形成されたCGSを積層することにより、デラミネーションの発生を解消していた。
また、CGS上に形成された導体層の上に別のCGSを積層する場合、この導体層の断面形状にCGSが追従し難いために導体層の周辺に空隙が発生し、この空隙を起因とするデラミネーションが発生し易いという問題があった。特に導体層の間隔が微細な場合は、導体層間に空隙が発生しやすかった。この問題に対して、特許文献3では、CGS上に導体層を形成した後、導体層の形成されている部分の周囲の領域にセラミックペーストを印刷することが提案されている。この方法を用いれば、導体層の形成されている部分の周囲の領域にセラミックペーストを印刷することで導体層とCGSとの段差をなくすことができる。このため、導体層の周辺や配線導体層間に空隙が発生することを抑え、空隙に起因するデラミネーションの発生も抑えることが可能となる。また、導体層が形成されたCGSを複数枚積層しても厚み差が発生しないので、ムラなく加圧して圧着することが可能となり、圧着が不十分な部分が発生することを抑え、デラミネーションの発生を抑えることが可能となる。
また、特許文献4に記載されているような、導体が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを塗布して乾燥した後に剥離することにより、導体が形成された面が平坦なCGSを形成する製法が提案されている。この方法でも同様に、配線導体層間の空隙に起因するデラミネーションや厚み差による圧着時の加圧ムラに起因するデラミネーションの発生を抑えることが可能となる。
特許第3344100号公報 特開昭61−229551号公報 特開平5−217448号公報 特開昭50−64768号公報
しかしながら、従来の高流動性層の形成方法は、バインダー量や可塑剤量を増加させた高流動性のCGSを通常のCGS上に積層する方法(方法A)、乾燥後に高流動性のセラミック層となるようなスラリーを通常のCGS上に塗布乾燥して形成する方法(方法B)であったので、次のような問題点があった。
方法Aでは、通常のCGSのみを用いる場合に対して、高流動性のCGSを成型する工程、高流動性のCGSを穴あけする工程、高流動性のCGSを積層する工程が加わることとなるので、工程数、積層数の増加による、工期の長期化、コストアップ、歩留まり低下、層間の導体接続信頼性の低下といった問題があった。また、高流動性のCGSは厚みが薄く、バインダーや可塑剤を多く含むことから粘着性が高く、変形し易いものであるので、ハンドリングが容易ではなく、積層時に空気を巻き込んでも抜けにくく、デラミネーションの原因になり易いという問題があった。
方法Bでは、積層数の増加はないものの、通常のCGSを成型した後にその上に乾燥後に高流動性のセラミック層となるスラリーを塗布乾燥する工程を追加することとなるので、上記と同様な工期の長期化、コストアップ、歩留まり低下といった問題があった。また、スラリー中の溶剤を十分検討しなければ、スラリー中の溶剤により下側の通常のCGSが溶解したり、高流動性層と下のCGSとの密着が不十分となり、剥離や空隙を発生させるという問題があった。
また、従来の高流動性部分を有する積層体を用いる方法においては、高流動性部分を移動させてデラミネーションが発生しないような圧着を行なうためには、例えば厚み方向に180MPaという高い圧力を加える必要がある。このような高い圧力を導体層が形成されたCGSに加えると、CGSや導体層のパターンの形状が変形することとなる。その結果、積層セラミック配線基板の所望の寸法精度が得られないために、積層セラミック配線基板上への部品実装が困難となったり、設計通りの導体層パターンの形状が得られないために、特に高周波用配線基板等ではインピーダンス整合等の電気的特性が得られなくなるという問題があった。さらに、導体層パターンの間隔が微細な場合の導体層の周囲に発生する空隙の問題は解決されないままであった。
また、CGSの少なくとも片面にセラミック粉末に対して78体積%以上のバインダーを含むセラミック層を設ける方法においても、2MPaという圧力により圧着しているので、上記のようなCGSや導体層パターンの形状の変形という問題があった。また、30℃程度の温度で圧着するので、78体積%以上のバインダーを含むセラミック層は常温で粘着性の高いものとなるため、ハンドリングが容易でなく、そのため積層時に空気を巻き込み易いのでデラミネーションが発生する場合があった。
また、導体層の形成されている部分の周囲の領域にセラミックペーストを印刷する方法においては、導体層が形成されたCGS上にさらにセラミックペーストを印刷するという工程が加わるばかりでなく、微細な導体層パターンに正確に位置合わせして印刷するのが困難であり、特に導体層パターンの間隔が微細な場合、隣り合う導体層間にセラミックペーストを印刷することが困難であった。このため、導体層の上にもセラミックペーストが印刷されてしまい、導体層上に印刷されたセラミックペーストにより、積層されて上下に配置される導体層間を接続するための貫通導体が導体層と接続されなくなるという問題があった。
さらに、導体が表面に形成された支持体上にセラミックスラリーを塗布し、乾燥後剥離することにより平坦なCGSを形成する方法においては、積層工程において5乃至30MPaという高い圧力を加える必要がある。このような高い圧力をCGSに加えると、CGSや導体層パターンの形状が変形する。その結果、電子部品を作製した際、所望の寸法精度が得られないために、電子部品上への部品実装が困難となったり、設計通りの導体層パターンの形状が得られず、特に高周波用配線基板等ではインピーダンス整合等の電気的特性が得られなくなるという問題があった。
さらに、キャビティを有する電子部品を製造する場合、キャビティとなる貫通穴を形成したCGSとキャビティの底部となる貫通穴が形成されていないCGSとを積層して圧着すると、CGS積層体のキャビティ底部が反るという問題があった。これは、圧着するための加圧によりキャビティの周囲だけに圧力が加わり、キャビティ周囲のCGSが加圧により伸びるのに対して、キャビティ底部には圧力が加わらないのでキャビティ底部のCGSは周囲から押されることによるものである。これは、電子部品がより小型でキャビティ底部の厚みがより薄い場合により発生し易いものであった。キャビティ底部が反ると、水晶振動子やICチップ等の電子素子を搭載することが困難となる。また搭載できても搭載された部品が傾くので、CCDやC−MOS等の光半導体素子を搭載した場合は受光精度が悪くなるという問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、デラミネーションがなく、かつ高い寸法精度を有する電子部品の製造方法を提供することである。
本発明の電子部品の製造方法は、支持体上に導体層を形成する工程と、該導体層を形成した支持体上に第1のセラミックグリーンシート層を形成する工程と、前記第1のセラミックグリーンシート層上にセラミックスラリーを塗布し乾燥させて第2のセラミックグリーンシート層を形成して前記導体層と前記第1,第2のセラミックグリーンシート層とから成る積層セラミックグリーンシートを得る工程と、前記積層セラミックグリーンシートを複数枚積層して加熱することによってセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを具備しており、前記セラミックスラリーは前記セラミックグリーンシート積層体を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有し、前記第1のセラミックグリーンシート層の溶解度パラメータと前記セラミックスラリーの溶解度パラメータとの差が3乃至8であることを特徴とする。
本発明において好ましくは、前記溶融成分の融点が35℃乃至100℃であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至30質量部であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの分子量が8万乃至30万であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gであることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して10乃至19質量部であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの分子量が10万乃至80万であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至20℃であることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれるバインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gであることを特徴とする。
本発明の電子部品の製造方法によれば、支持体上に導体層を形成する工程と、導体層を形成した支持体上に第1のCGS層を形成する工程と、第1のCGS層上にセラミックスラリーを塗布し乾燥させて第2のCGS層を形成して導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを得る工程を有することから、通常のCGS層と高流動性層のような関係にある第1のCGS層と第2のCGS層を同時に成形することができるので、工程数、積層数の増加による、工期の長期化、コストアップ、歩留まり低下、層間の導体接続信頼性の低下、といった問題を発生させることなく高流動性層を形成することが可能となる。また、高流動性層の積層工程がないので高流動性層の積層時の空気の巻き込みがなく、導体はCGS内に形成されるためCGSは導体の段差がなく平坦となるため、デラミネーションのない高信頼性の電子部品を得ることができる。
また、第1のCGS層の溶解度パラメータと第2のセラミックスラリーの溶解度パラメータとの差が3乃至8であることから、第1のCGS層上に第2のセラミックスラリーを塗布した際、第1のCGS層と第2のセラミックスラリーが互いに溶解することを抑制するので、第1のCGS層と第2のセラミックスラリーが混合し同一化することを防ぐことができる。また、第1のCGS層上で第2のセラミックスラリーがはじかれることが無いので、第2のセラミックスラリーが全面に均一に塗布され、剥離や空隙のない均一な第2のCGS層を形成することができる。
また、第2のCGS層となるセラミックスラリーはCGS積層体を作製する際の加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、積層CGSは溶融成分を含有する第2のCGS層と溶融成分を含有しない第1のCGS層とから成るものとなり、導体層が形成されたCGSを積層して加熱した際に第2のCGS層が軟化するので、第2のCGS層はその下に位置する積層CGSの第1のCGS層及び導体層の表面形状に追従して変形する。その結果、導体層周囲や導体層間に空隙が発生することなく積層CGS同士が密着することとなり、CGS積層体を焼成して得られる電子部品はデラミネーションの発生のないものとなる。
また、第2のCGS層は、加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、加熱のみで第2のCGS層が軟化して接着性を有するものとなるので、大きな加圧力によりCGS層を圧着させる必要がない。そして、第1のCGS層は上記溶融成分を含有しないことから、第1のCGS層は加熱時に変形することはなく、かつ積層の際の、積層した積層CGS同士が位置ずれしないように押さえる程度の圧力では変形しない。よって、第1のCGS層および導体層の形状が変形しないため、得られるCGS積層体及びそれを焼成して得られる電子部品はデラミネーションがなく、かつ高い寸法精度を有する。
さらに、キャビティを有する電子部品を製造する場合、大きな加圧力により積層CGSを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧によるCGSの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能な電子部品を得ることができる。
また、加熱時に溶融する溶融成分の融点が35℃乃至100℃であるものを用いた場合、常温では第2のCGS層が軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易となり、加熱時にCGS中のバインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスによりデラミネーションが発生せず、より好ましいものとなる。
また、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至30質量部であれば、第1のCGS層の保形性を維持し、かつ導体層が形成されたCGSを積層して加熱した際に第2のCGS層が軟化するので、第2のCGS層はその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層および導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションやブク、ピンホールが発生せず、かつ加圧によるCGSへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さくなり、より好ましいものとなる。
また、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの分子量が8万乃至30万であれば、第1のCGS層の保形性を維持し、かつ第2のCGS層に含有される溶融成分が加熱により溶融した際に均一に分散され、かつCGSを加熱して第2のCGS層の溶融成分が十分な量を維持できる。その結果、第2のCGS層はその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層および導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションやブク、ピンホールが発生せず、かつ加圧によるCGSへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さくなり、より好ましいものとなる。
また、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gであれば、第2のCGS層に含有される溶融成分が加熱により溶融した際に均一に分散され、かつ加熱された際に第2のCGS層の溶融成分が十分な量を維持できることから、第2のCGS層はその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層および導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションが発生せず、かつ加圧によるCGSへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さくなり、より好ましいものとなる。
また、第1のCGS層に含まれるバインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して10乃至19質量部であれば、第1のCGS層上に第2のCGS層を形成する際に、第2のCGS層となるセラミックスラリーから第1のCGS層への溶融成分の拡散量を減少させ、かつ積層時に第1のCGS層および導体層の表面形状に追従して変形するために十分な量の溶融成分が保持されている。そのため、第1のCGS層の脆化による、積層CGSの破けやクラックが発生しなくなり、より好ましいものとなる。
また、第1のCGS層に含まれるバインダーの分子量が10万乃至80万であれば、CGS加工時の、第1のCGS層の生変形による寸法ばらつきを抑え、かつ原料成分の不均一な分散による、第1のCGS層の厚みばらつきや第1のCGS層内のピンホール等の外観不良の発生を抑えることができ、より好ましいものとなる。
また、第1のCGS層に含まれるバインダーの酸価が0.1乃至5KOHmg/gであれば、CGSを加熱したときに、無機粉末とバインダーの結合不足に起因する、第2のCGS層から第1のCGS層への溶融成分の拡散を減少させることができる。その結果、第2のCGS層はその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層および導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションが発生せず、かつ無機粉末同士の凝集による第1のCGS層内のピンホール等の外観不良の発生を防ぐことができ、より好ましいものとなる。
また、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であれば、常温における第2のCGS層の保形性を維持することができるため、積層工程までのハンドリングが容易となり、かつ積層する際の加熱時の溶融成分の溶融による第2のCGS層の軟化が容易になる。その結果、第2のCGS層を第1のCGS層および導体層の表面形状に良好に追従させることできるため、デラミネーションが発生することなく、より好ましいものとなる。
また、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであれば、第2のCGS層に含有される溶融成分が加熱により溶融した際に均一に分散され、積層時にCGSを加熱した際に第2のCGS層の溶融成分が十分な量を維持できる。そのため、第2のCGS層はその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層および導体層の表面形状に追従して変形するため、デラミネーションが発生せず、かつ加圧によるCGSへの歪みが無いほどの低い加圧力で圧着できるため寸法ばらつきが小さくなり、より好ましいものとなる。
また、第1のCGS層に含まれるバインダーのガラス転移点が−20乃至20℃であれば、第1のCGS層が脆くなることによる積層CGSの付着や取り扱う際に割れや欠け等の外観不良が生じることがなく、より好ましいものとなる。
また、第1のCGS層に含まれるバインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gであれば、水酸基のもつ電荷が無機粉末表面に存在する電荷との引き寄せ合いによりセラミックスラリー中に溶媒和が形成される。その結果、CGSが均一な状態で成形されるので、第1のCGS層に含有する無機粉末およびバインダーが均一に分散され、CGSを積層し加熱した際に、第2のCGS層が軟化しても積層CGS全体の寸法変形を抑制することができるため、寸法ばらつきが小さく、かつデラミネーションの発生がなく、より好ましいものとなる。
また、キャビティを有する電子部品を製造する場合、大きな加圧力により積層CGSを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧による積層CGSの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能な電子部品を得ることができる。
このように本発明の製造方法によれば、CGS層間に空隙を発生させることがなく、CGS層や導体層の変形を抑えたCGS積層体を得ることが可能となり、本発明の製造方法により作製された電子部品はデラミネーションがなく、高い寸法精度を有するものとなる。
本発明の電子部品の製造方法について以下に詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図であり、1は支持体、2は導体層、3は第1のCGS層、4は第2のセラミックスラリー、5は積層CGS、6はCGS積層体である。
まず図1(a)に示すように、支持体1上に導体層2を形成する。支持体1上に導体層2を形成する方法としては、例えば導体材料粉末をペースト化した導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法、またはインクジェット印刷法等の印刷により形成する方法、または、セミアディテブ法、アディテブ法といっためっき法、サブトラクト法等の金属箔を加工する方法、または蒸着法等の所定パターン形状の金属膜を支持体1に直接形成する方法や、あるいは印刷により所定パターン形状に形成した導体厚膜や所定パターン形状に加工した金属箔、めっき法や蒸着法等により形成した所定パターン形状の金属膜を支持体1に転写する方法がある。
導体材料としては、例えばW,Mo,Mn,Au,Ag,Cu,Pd(パラジウム),Pt(白金)等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。
本発明において、導体層2を印刷法で形成する場合、導体ペーストは、導体粉末、バインダー、溶剤等を混合したものが用いられ、導体粒子の分散性や導体層2の硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してしてもよい。
導体ペーストに適用されるバインダーとしては、従来より導体ペーストに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系、アルキド系のバインダーがより好ましい。またバインダーの添加量としては、導体粒子により異なるが、バインダーの分解性に問題なく、かつ導体粒子を分散できる量であればよい。
さらに、導体ペーストに適用される溶剤としては、上記の導体粉末とバインダーとを良好に分散させて混合できるものであればよく、テルピネオールやブチルカルビトールアセテート及びフタル酸等の可塑剤などが使用可能であるが、導体層2の形成後の溶剤の乾燥性を考慮し、テルピネオール等の低沸点溶剤などが好ましい。
本発明における支持体1は、導体層2及びCGSを成形できるものであればよく、従来から用いられているポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化エチレン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂等の樹脂製の他、上質紙、成形紙等の紙製の支持体を使用できる。
導体層2を形成する支持体1の表面には、積層CGS5成形後に支持体1からの剥がし性を向上させるため、離型層等の表面処理層を形成してもよい。離型層の種類としては、大別してシリコーン系の離型剤と、非シリコーン系の離型剤があり、非シリコーン系の離型剤としてはフッ素系のなどを用いることができる。この離型剤としては、商品形態別にいえば無溶剤型、エマルジョン型、溶剤型のいずれでも使用し得る。またこの離型層の厚みは、用いられる離型剤の種類等により異なるが、積層CGS5を支持体1から剥がすことができ、かつ導体ペーストを用いて導体層2を形成する場合、離型剤により導体層2形成時に導体ペーストのハジキが発生しない程度の厚みであればよい。
支持体1に導体層2を形成する場合、その形成を容易にするため、表面処理を行い粗面化することもできる。粗面の形成方法としては、例えばウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。また、支持体1内に空孔や無機粒子等を混合し埋め込むことにより、支持体1表面を粗面化する方法なども適用できる。また、粗面の形成は、離型層等の表面処理層の性能が維持できる範囲であれば、表面処理層の形成前でも後でもよい。
次に図1(b)に示すように、導体層2の形成された支持体1上に第1のCGS層3を作製し、図1(c)に示すように、第1のCGS層3上にセラミックスラリー4を塗布して乾燥することにより、第1のCGS層3の上に第2のCGS層4’が形成された積層CGS5を形成する。このとき、本発明において、第1のCGS層3の溶解度パラメータとセラミックスラリー4の溶解度パラメータとの差が3乃至8である。
第1のCGS層3および第2のCGS層4’は、セラミック粉末、バインダー、溶剤等を混合して作製したセラミックスラリーを、ドクターブレード法,リップコーター法,ダイコーター法等により形成する方法によって得ることができる。セラミック粉末の分散性や積層CGS5の硬度や強度を調整するために分散剤や可塑剤を添加してしてもよい。また、セラミックスラリー4は、CGS積層体6を作製する工程において加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有している。
第1のCGS層3上に第2のセラミックスラリー4を塗布して積層CGS5を形成することから、高流動性層としての第2のCGS層4’の形成と通常のCGS層としての第1のCGS層3上への積層とを同時に行なうことにより、高流動性のCGSを穴あけする工程および高流動性のCGSを積層する工程がないこととなる。その結果、積層数の増加による、工期の長期化、コストアップ、歩留まり低下、層間の導体接続信頼性の低下といった問題を発生させることなく高流動性層を形成することができ、高流動性層の積層時の空気の巻き込みがなく、デラミネーションのない高信頼性の電子部品を得ることができる。
また、第1のCGS層3の溶解度パラメータとセラミックスラリー4の溶解度パラメータとの差を3乃至8とすることによって、第1のCGS層3上に第2のセラミックスラリー4を塗布した際、第1のCGS層3と第2のセラミックスラリー4が互いに溶解することを抑制するので、第1のCGS層3と第2のCGS層4’が混合、同一化することを防ぐことができる。また、第1のCGS層3上にセラミックスラリー4を塗布した際、第1のCGS層3上のセラミックスラリー4がはじかれること無く塗布することができるので、セラミックスラリー4の塗布時に気泡の巻き込みによる空隙も無くデラミネーションの発生を防ぐことができる。
ここで、溶解度パラメータ(Solubility Parameter)とは、有機成分の性質が似通ったものは相溶け易いという性質をもとに数値化したものであり、SP値とも呼ばれる。溶解度パラメータの値が近いもの同士は溶解し易いことを示し、有機成分の溶解力を示す指標として用いられる。
本発明の第1のCGS層3およびセラミックスラリー4の溶解度パラメータは、各々に含まれる有機成分の溶解度パラメータと各有機成分の体積分率から算出した。例えば、第1のCGS層3中に2つの有機成分が含まれ、それぞれの溶解度パラメータが5,7で、体積分率がそれぞれ70%,30%である場合の第1のCGS層3の溶解度パラメータは5×0.7+7×0.3=5.6とした。また、例えばセラミックスラリー4中に3つの有機成分が含まれ、それぞれの溶解度パラメータが5,7,9で、体積分率がそれぞれ70%,20%,10%である場合のセラミックスラリー4の溶解度パラメータは、5×0.7+7×0.2+9×0.1=5.8とした。なお、本発明の有機成分の溶解度パラメータは、講談社出版「溶剤ハンドブック」(浅原昭三ほか編、1976年初版)による溶解度パラメータのデータを使用した。
第1のCGS層3の厚さは、導体層2の間隔に空隙が発生しないように、導体層2の形状が変化しない程度に導体層2の厚みより厚くなるように形成される。
導体層2の形成された支持体1上に第1のCGS層3を作製する方法として、導体層2の形成された支持体1と別の支持体上に形成された第1のCGS層を積層し、圧力や温度をかけ、導体層2を第1のCG内へ埋め込むことにより、導体層2を第1のCGS層へ転写する方法も適用できる。これは、導体層2を形成した支持体1上にセラミックスラリーを塗布する場合と比較し、導体層2がセラミックスラリー内の溶剤により溶解し易い場合には、導体層2の溶解により、導体欠損による電気接続不良(オープン)や導体層2間の電気的短絡(ショート)等の電気特性不良が発生せず、より好ましい。
上記セラミックスラリーを得るためのセラミック粉末としては、例えばセラミック配線基板であれば、Al,AlN,ガラスセラミック粉末(ガラス粉末とフィラー粉末との混合物)等が挙げられ、積層コンデンサであればBaTiO系,PbTiO系等の複合ペロブスカイト系セラミック粉末が挙げられ、電子部品に要求される特性に合わせて適宜選択される。
ガラスセラミック粉末のガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(ただし、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは同じまたは異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(ただし、MおよびMは上記と同じである),SiO−B−M O系(ただし、MはLi、NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(ただし、Mは上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
また、ガラスセラミック粉末のフィラー粉末としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等のセラミック粉末が挙げられる。
セラミックスラリーに配合されるバインダーとしては、従来よりCGSに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系バインダーがより好ましい。
溶剤としては、上記のセラミック粉末とバインダーとを良好に分散させて混合できるものであればよく、トルエン,ケトン類,アルコール類の有機溶媒や水等が挙げられる。これらの中で、トルエン,メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール等の蒸発係数の高い溶剤はスラリー塗布後の乾燥工程が短時間で実施できるので好ましい。
セラミックスラリー4に含有される溶融成分は、CGS積層体6を作製する際の加熱時に溶融状態となるものであり、炭化水素,脂肪酸,エステル,脂肪アルコール,多価アルコール等が挙げられる。スラリーを調整する際の溶媒への溶解性を考慮すると、分子量が小さくかつ極性を有する炭化水素,エステル,脂肪アルコール,多価アルコールが好ましい。さらに、上述したアクリルバインダーとの相溶性を考慮すると、エステル,脂肪アルコール,多価アルコールがより好ましい。
溶融成分は上記のものの中でも、融点が35乃至100℃であるものが好ましい。この範囲の融点のものを用いると、常温では第2のCGS層4’が軟化して変形することはないので、積層工程までのハンドリングが容易となる。また、CGS積層体6を作製する工程における加熱時に、積層CGS5中のバインダーや可塑剤等の有機成分が分解することがないので、分解ガスによるデラミネーションが発生することがないからである。融点が35乃至100℃である溶融成分としては具体的には、ヘキサデカノール,ポリエチレングリコール,ポリグリセロール,ステアリルアミド,オレイルアミド,エチレングリコールモノステアレート,パラフィン,ステアリン酸,シリコーン等が挙げられる。
第2のCGS層4’に含有される溶融成分の含有量は、使用するバインダー成分およびその量や、使用する溶融成分により異なるが、溶融成分が溶融した状態で第2のCGS層4’が軟化し、その下に位置する積層CGS5の第1のCGS層3およびその中に埋め込まれた導体層2と隙間無く接触するような量であればよい。
また、第2のCGS層4’となるセラミックスラリー4に含まれるバインダーの添加量が19乃至30質量部であることが好ましい。添加量が19質量%よりも低いと、CGSを加熱した際、第2のCGS層4’が充分に軟化しない。そのため、積層CGS5同士を積層した際、別の積層CGS5の第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化しないため、デラミネーションが発生する。また、上記添加量が30質量部よりも高いと、バインダーの流動性が過剰となり、常温での保形成が得られず、ハンドリングが困難となる。また、積層CGS5同士を積層して加熱した際、第2のCGS層4’の変形に伴い積層CGS5全体が変形し、積層寸法ばらつきが大きくなり、かつ焼成時のバインダーの分解ガスが過剰なため、CGS積層体6を焼成した際、セラミック層間にブクやピンホール、デラミネーションが発生する。
また、第2のCGS層4’となるセラミックスラリー4に含まれるバインダーの分子量は8万乃至30万が好ましい。分子量が8万よりも低いと、常温でのバインダーの流動性が過剰となり、第1のCGS層3の保形性が得られずハンドリングが困難とある。また、積層CGS5同士を積層して加熱した際、第2のCGS層4’の変形に伴い積層CGS5全体が変形し、積層寸法ばらつきが大きくなり、第2のCGS層4’のバインダーが過剰に多くなるため、焼成時にバインダーの分解ガスが積層CGS5内部で過剰に発生し、ブクやピンホール、デラミネーションが発生する。上記分子量が30万を超えると、バインダー同士が絡まり易くなり、バインダー同士の凝集が発生し、第2のCGS層4’に含有される溶融成分の分布にムラが発生する。そのため、積層CGS5同士を積層し加熱した際、第2のCGS層4’が充分に軟化せず、かつその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化しないため、デラミネーションが発生する。
また、第2のCGS層4’となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの酸価は0.1乃至0.8KOHmg/gであることが好ましい。酸価が0.1KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、第2のCGS層4’内部に無機粉末とバインダーがそれぞれ凝集し溶融成分の分布にムラが発生する。そのため、積層CGS5同士を積層して加熱した際、第2のCGS層4’が充分に軟化せず、その下に位置する別の積層CGS5の第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化しないため、デラミネーションが発生したり、積層寸法ばらつきも大きくなる。酸価が0.8KOHmg/gを超えると、バインダーの結合性が過剰に強くなり、バインダー同士で凝集し、溶融成分の分布にムラが発生する。そのため、積層CGS5同士を積層して加熱した際、第1のCGS層3が充分に軟化せず、その下に位置する別の積層CGS5の第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化しないため、デラミネーションが発生したり、積層寸法ばらつきも大きくなる。
また、第1のCGS層3に含まれるバインダーの添加量が10乃至19質量部であることが好ましい。添加量が10質量部よりも少なければ、第1のCGS層3の密度が低く、第2のCGS層4’内の溶融成分が拡散しやすくなり、積層CGS5同士を積層して加熱した際、その下に位置する別の積層CGS5の第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化するために必要な溶融成分量を保持できず、デラミネーションが発生する。また、第1のCGS層3に含まれる無機粉末とバインダーとが充分に結合しないために、第1のCGS層3の強度が弱くなり、積層CGS5の破けやクラック等の外観不良が発生する。上記添加量が19質量部より多ければ、第1のCGS層3に含まれるバインダーの添加量が第2のCGS層4’に含まれるバインダーとほぼ同程度の添加量となるため、第2のCGS層4’となるセラミックスラリー内の溶融成分が第1のCGS層3へ拡散しやすく、積層する際の加熱時にCGS層4’はその下に位置する別の積層CGSの第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化するために必要な溶融成分量を保持できず、デラミネーションが発生する。
また、第1のCGS層3に含まれるバインダーの分子量は10万乃至80万であることが好ましい。分子量が10万よりも低いと、CGSを積層し加熱した際、第2のCGS層4’の変形にともない積層CGS5全体が変形し、寸法ばらつきが大きくなる。さらに、バインダーの粘度が低下し、バインダーを添加したセラミックスラリーの粘度が低下するため、スラリー塗布後の乾燥工程において、積層CGS5の破けやクラック等の外観不良が発生する。また、セラミックスラリーのレベリング性が悪化するため、積層CGS5の厚みばらつきが大きくなる。分子量が80万を超えると、バインダー同士の結合力が強くなり、第1のCGS層3に含まれる原料成分が均一に分散されないため、第1のCGS層3内にピンホール等の外観不良が発生し、製品での絶縁不良の要因となる。
また、第1のCGS層3に含まれるバインダーの酸価は0.1乃至5KOHmg/gであることが好ましい。酸価が0.1KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、積層CGS5を積層し加熱した際、第2のCGS層4’の変形にともない積層CGS5全体が変形するため寸法ばらつきが大きくなる。また、積層CGS5を得る際に、第2のCGS層4’となるセラミックスラリーから第1のCGS層3への溶融成分の拡散量が多くなるため、第2のCGS層4’は十分な溶融成分量を維持できず、CGS積層体6を作製する際に、積層CGS5の第2のCGS層4’は、その下に位置する第1のCGS層3及び埋め込まれた導体層2の表面形状に追従できず、デラミネーションが発生する。また、第1のCGS層3の無機粉末とバインダーの分散性が悪くなり、第1のCGS層3内でピンホール等の外観不良が発生する。上記酸価が5KOHmg/gを超えると、無機粉末とバインダーの結合性が過剰に強くなることにより無機原料同士の結合による凝集が発生し、第1のCGS層3内にピンホール等の外観不良が発生し、製品での絶縁不良の要因となる。
また、第2のCGS層4’となるセラミックスラリー4に含まれるバインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であることが好ましい。ガラス転移点が−20℃より低いと、常温でバインダーの軟らかい性質が強く現われるために、第2のCGS層4’は保形成が低く、積層CGS5同士の付着が発生したり、寸法ばらつきも大きくなる。上記ガラス転移点が0℃より高いと、積層CGS5を積層し加熱した際、第2のCGS層4’の軟化が不十分となり、その下に位置する別の積層CGS5の第1のCGS層3および導体層2の表面形状に追従して変化しないため、デラミネーションが発生する。
また、第2のCGS層4’となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの水酸基価は0.1乃至5KOHmg/gであることが好ましい。水酸基価が0.1KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、第2のCGS層4’内部に無機粉末とバインダーが不均一な状態で存在し、溶融成分の分布にムラが発生する。そのため、積層CGS5同士を積層して加熱した際、第2のCGS層4’の軟化が局所的に不十分で、デラミネーションが発生したり、寸法ばらつきも大きくなる。水酸基価が5KOHmg/gを超えると、無機粉末とバインダーの結合性が過剰に強くなり、溶融成分の分布にムラが発生する。積層CGS5同士を積層して加熱した際、第2のCGS層4’の軟化が局所的に不十分で、デラミネーションが発生したり、寸法ばらつきも大きくなる。
また、第1のCGS層3に含まれるバインダーのガラス転移点が−20乃至20℃であることが好ましい。ガラス転移点が−20℃より低いと、常温でバインダーの軟らかい性質が強く現われるために、保形成が低く積層CGS5同士の付着が発生する。上記ガラス転移点が20℃より高いと、第1のCGS層3が脆くなるため、ハンドリングの際に積層CGS5に割れや欠け等の外観不良が生じる。
また、第1のCGS層3に含まれるバインダーの水酸基価は5乃至100KOHmg/gであることが好ましい。水酸基価が5KOHmg/gよりも低いと、無機粉末とバインダーの結合性が弱くなり、第1のCGS層3内部で無機粉末とバインダーが不均一な状態で存在する。そのため、CGS積層体6を作製する際、第1のCGS層3の粗な部分が加圧時に変形しやすくなるため、寸法ばらつきが大きくなる。さらに、第1のCGS層3の無機材料の密度の低い部分に、デラミネ−ションが生じやすくなる。上記水酸基価が100KOHmg/gを超えると、バインダーの結合性が過剰に強くなり、無機粉末と結合せずにバインダー同士で結合し、第1のCGS層3内部に無機粉末とバインダーが不均一な状態で存在する。そのため、CGS積層体6を作製する際、第1のCGS層3の粗な部分が加圧時に変形しやすくなるため、寸法ばらつきが大きくなる。さらに、第1のCGS層3の無機材料の密度の低い部分に、デラミネ−ションが生じやすくなる。
なお、必要に応じて上下の層間の導体層2同士を接続するためのビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を形成してもよい。これら貫通導体は、パンチング加工やレーザ加工等により積層CGS5に形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化した導体ペーストを印刷やプレス充填により埋め込む等の手段によって形成される。貫通穴加工は、積層CGS5が厚い場合、パンチング加工が積層CGS5の表裏の貫通穴径に差異がなく、好ましい。また貫通穴を加工する際、積層CGS5は支持体1から剥がして行ってもよいが、支持体1上に保持したまま行うと積層CGS5の変形を防止できるのでより好ましい。
キャビティを有する電子部品を製造する場合、次の積層体を作製する工程より前に、キャビティ形状の貫通穴を金型による打ち抜き等により積層CGS5の一部に形成しておく。貫通穴の形成は、キャビティの内壁面への導体層2の形成の有無や形成方法に応じて、導体層2を形成する前でもよいし、形成した後でもよい。
次に図1(d)に示すように、位置合わせして積み重ねた積層CGS5を、溶融成分が溶融状態となり第2のCGS層4’が軟化して変形する程度の温度つまり溶融成分の融点程度の温度で加熱することでCGS積層体6を作製する。ここで、積層する際に支持体1から積層CGS5を剥がすことも可能であり、この際に必要に応じて加熱等の処理を施すことも可能である。また、このとき、積層した積層CGS5同士が位置ずれしないように、また、軟化した第2のCGS層4’を第1のCGS層3およびその中に埋没して形成された導体層2に押さえる程度の加圧を行なうと、より精度よく確実な圧着が可能となる。このとき、積層CGS5同士の接着性を向上させるために、溶剤とバインダーや可塑剤等を混合した接着剤を用いてもよい。
CGS積層体6を作製する工程において、第2のCGS層4’は加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、導体層2が埋没された積層CGS5を積層して加熱した際に第2のCGS層4’が軟化するので、第2のCGS層4’はその下に位置する積層CGS5の第1のCGS層3およびその中に埋没された導体層2からなる表面形状に追従して変形することとなる。これにより、導体層2の周囲や導体層2間に空隙が発生することなく積層CGS5同士が密着することとなり、CGS積層体6を焼成して得られる電子部品はデラミネーションの発生のないものとなる。
また、第2のCGS層4’は、加熱時に溶融する溶融成分を含有することから、加熱のみで第2のCGS層4’が軟化して接着性を有するものとなるので、大きな加圧力により積層CGS5を圧着させる必要がない。そして、導体層2が埋め込まれて形成された第1のCGS層3は加熱時に溶融する溶融成分を含有しないことから、第1のCGS層3は加熱時に変形することはなく、積層した積層CGS5同士が位置ずれしないように、また、軟化した第2のCGS層4’を第1のCGS層3およびその中に埋没して形成された導体層2に押さえる程度では変形しないものである。よって、積層CGS5およびその中に埋め込まれて形成された導体層2の形状が変形することがなく、さらに加圧による積層CGS5への歪がなく得られるCGS積層体6およびそれを焼成して得られる電子部品は高い寸法精度を有するものとなる。
例えば、加熱時に溶融する溶融成分を含有しない積層CGS5を用いた場合、CGS積層体6および電子部品の寸法精度は±0.5%(寸法誤差)程度であったが、本発明の溶融成分を含有する積層CGS5を用いた場合、CGS積層体6および電子部品の寸法精度は±0.2%程度となり、大幅に向上することが実験により判明した。
また、キャビティを有する電子部品を製造する場合、大きな加圧力によりCGSを圧着させる必要がないので、キャビティ周囲部とキャビティ底部との加圧によるCGSの伸びの違いによるキャビティ底部の反りの発生を抑えることが可能となり、キャビティ底部に電子素子を精度よく確実に搭載することが可能な電子部品を得ることができる。
図1(d)の最下部に位置する積層CGS5としては、第1のCGS層3のみで構成される積層CGS5’を用いればよい。積層コンデンサのように表面に導体層2が露出しないような電子部品の場合、図1(d)の最上部に位置する積層CGS5には導体層2が形成されていない積層CGS5を用いればよく、積層セラミック配線基板のような両面に導体層2が露出するような電子部品の場合は、最下部の積層CGS5’の両面に導体層2を形成したものを用いればよい。
支持体1上に形成された溶融成分を含有した第2のCGS層4’上に溶融成分を含有しない第1のCGS層3を形成して積層CGS5を形成し、この積層CGS5の第2のCGS層3上に導体層2を形成した後、導体層2が形成された積層CGS5を複数枚加熱して積層する方法でもデラミネーションを防止し、かつ積層加圧による変形のない電子部品を製造することが可能である。この方法では導体層2の厚み以上に溶融成分を含有した第2のCGS層4’の厚みが必要となるので、積層CGS5の厚みが薄い場合、溶融成分を含有した、つまり加熱で変形する第2のCGS層3の厚みの占める割合が高くなり、積層CGS5全体が変形しやすくなる。これに対して、本発明の製造方法は、積層CGS5の導体層2が形成された面は実質的に平坦な面であるため、この面の形状に追従して変形する第2のCGS層4’の厚みを薄くすることができる。よって、積層CGS5の厚みが薄い場合であっても、積層時の加熱による積層CGS5の変形が抑えられて高寸法精度が確保できるのでより好ましいものとなる。
そして最後に、CGS積層体6を焼成することにより本発明の電子部品が作製される。焼成する工程は有機成分の除去とセラミック粉末の焼結とから成る。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲でCGS積層体6を加熱することによって行い、有機成分を分解、揮発させ、焼結温度はセラミック組成により異なり、約800〜1600℃の範囲内で行なう。焼成雰囲気はセラミック粉末や導体材料により異なり、大気中、還元雰囲気中、非酸化性雰囲気中等で行なわれ、有機成分の除去を効果的に行なうために水蒸気等を含ませてもよい。
焼成後の電子部品はその表面に露出した導体層2の表面には、導体層2の腐食防止のために、または半田や金属ワイヤ等の外部基板や電子部品との接続手段の良好な接続のために、NiやAuのめっきを施すとよい。
セラミック材料としてガラスセラミックスのような低温焼結材料を用いる場合、CGS積層体6の上下面にさらに拘束CGSを積層して焼成し、焼成後に拘束シートを除去するようにすれば、より高寸法精度のセラミック基板を得ることが可能となる。拘束CGSは、Al等の難焼結性無機材料を主成分とするCGSであり、焼成時に収縮しないものである。この拘束CGSが積層された積層体は、収縮しない拘束CGSにより積層平面方向(xy平面方向)の収縮が抑制され、積層方向(z方向)にのみ収縮するので、焼成収縮に伴う寸法ばらつきが抑制される。このときの拘束CGSも本発明の積層CGS5と同様の第1のCGS層3と第2のCGS層4’とを有する構成にすると、拘束CGSを積層して圧着する際にも大きな加圧力を必要とせず、得られる電子部品はより高寸法精度のものとなるのでよい。
また、このような拘束焼成法を用いる場合、拘束CGSにより積層平面方向の収縮が抑制されるので、焼成時に収縮しない金属箔や金属膜等を導体層2として用いることがより容易となる。金属箔や金属膜で形成された導体層2は、印刷による方法で形成された導体層2と比較して導体抵抗が小さく、また、その導体層2の形状のばらつきが小さいため、信号伝達速度の向上、導体抵抗等の安定、高周波信号を伝達した際の信号の損失減少による高周波特性の向上等の電気特性の向上が得られるので、より好ましい。
また、拘束CGSには難焼結性無機成分に加えて、焼成温度以下の軟化点を有するガラス成分、例えば積層CGS5中のガラスと同じガラスを含有させるとよい。焼成中にこのガラスが軟化して積層CGS5と結合することにより、積層CGS5と拘束CGSとの結合が強固なものとなり、より確実な拘束力が得られるからである。このときのガラス量は難焼結性無機成分とガラス成分を合わせた無機成分に対して0.5〜15質量%とすると拘束力が向上し、かつ拘束CGSの焼成収縮が0.5%以下に抑えられる。
焼成後、拘束シートを除去する。除去方法としては、例えば研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。
以上のような方法で作製された電子部品は、その内部にデラミネーションを有さず寸法精度の高いものであるので、電子部品として要求される優れた電気特性や気密性の高いものとなる。
本発明の実施例について以下に詳細に説明する。
まず、アルミナ粉末と、表1の第1のCGS層に示すようなバインダーと、溶媒としてイソプロピルアルコールとを混合した第1のCGS層となるセラミックスラリーに、第1のCGS層と第2のCGS層との2層に形成されているかどうかを確認するため、遷移金属の酸化物(三酸化クロム)を添加し混合した後、PETフィルム上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第1のCGS層を形成した。
続いて、表1のセラミックスラリーに示すようなバインダーと溶剤を混合して作製した、第2のCGS層となるセラミックスラリーを、第1のCGS層上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1,第2のCGS層とから成る積層CGを作製した。その後、積層CGS同士を積層して、80℃、0.5MPaで加圧することでCGS積層体を作製した。
Figure 2006093483
実施例1および下記実施例4のCGSの断面を観察すると、第1のCGS層と第2のCGS層の界面において、三酸化クロムの緑色が薄くなっており、若干の拡散が見られたものの、第2のCGS層まで拡散しておらず、きちんと2層が形成されていた。
実施例2,3の積層CGSの断面は拡散もなく剥離もなく、第1のCGS層と第2のCGS層とが形成されていた。また、実施例1〜4においては、積層体の断面まで観察し、デラミネーションもなく積層できていることを確認した。
これに対して、比較例2,3は、第2のCGS層の表面にまで三酸化クロムの緑色で着色されており、第1のCGS層と第2のCGS層が混合し、同一化していた。
また、比較例1,4においては、第1のCGS層上にセラミックスラリーを塗布した際にセラミックスラリーのはじけが見られ、気泡を巻き込んだ。さらに、積層体の断面を観察し、積層CGS層間で剥離とデラミネーションが発生していた。
このように、第1のCGS層の溶解度パラメータと第2のCGS層となるセラミックスラリーの溶解度パラメータとの差を3乃至8とすることによって、第1のCGS層と第2のCGS層が混合、同一化することを防ぐことができる。また、塗布時にセラミックスラリーがはじかれることなく塗布できることより、気泡の巻き込みによる層間での剥離とデラミネーションを防ぐことができる。
最初に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合してセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより、第1のCGを作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を18,19,20,25,30,32,35質量部で各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製し、第2のCGS層用のセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。
導体層を形成した積層CGSをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体(セラミックス)を作製した。この焼結体のクロスセクション(断面)の観察を行い、セラミック層間のデラミネーションを調査した。第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダー量別の評価結果を表2に示す。
表2で、積層CGの保形性の欄が「○」は、積層CGを成形した後、それを5枚重ねて常温で24時間放置しても、互いの積層CGSがくっつくことが無く保形性を維持していたことを示す。「△」は、積層CGSを形成後にそれを5枚重ねて常温で24時間放置すると、互いの積層CGSがくっついてしまい、保形性を維持できなかったことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、ブク/ピンホール有無の欄が「○」は、焼結体内部にブクやピンホールがないことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にブクやピンホールが見られたことを示す。
Figure 2006093483
表2より、第2のCGS層になるセラミックスラリーに含まれるバインダーの添加量が19質量部未満の試料No.1は、剥離箇所は第1のCGS層外であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生した。
また、上記添加量が30質量部より大きい試料No.6,7は、第2のCGS層の保形性が得られず、かつ積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーション、ブクやピンホールが見られた。
これに対して、上記添加量が19乃至30質量部の試料No.2,3,4,5は、第2のCGS層の保形性が得られ、かつ剥離箇所は第1のCGS層内で、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションが無く、ブクやピンホールも見られなかった。
実施例2と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合してセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGS層を形成した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂の分子量を4万,8万,10万,20万,30万,36万,50万で各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGを形成した。
導体層を形成した積層CGSをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体(セラミックス)を作製した。この焼結体のクロスセクション(断面)の観察を行い、セラミック層間のデラミネーションを調査した。第2のCGS層になるセラミックスラリーに含まれるバインダーの分子量別の評価結果を表3に示す。
表3で、積層CGSの保形性の欄が「○」は、積層CGSを成形した後、それを5枚重ねて常温で24時間放置しても、互いの積層CGSがくっつくことが無く保形性を維持していたことを示す。「△」は、成形後に積層CGSを5枚重ねて常温で24時間放置すると、互いの積層CGSがくっついてしまい、保形性を維持できなかったことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、ブク/ピンホール有無の欄が「○」は、焼結体内部にブクやピンホールがないことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にブクやピンホールが見られたことを示す。
Figure 2006093483
表3より、第2のCGS層になるセラミックスラリーに含まれるバインダーの分子量が8万未満の試料No.1は、第2のCGS層の保形性が得られず、焼結体内部にデラミネーションおよびブクやピンホールが見られ、かつ積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であった。
また、上記分子量が30万より大きい試料No.6,7は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、かつ積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であった。
これに対して、上記分子量が8万乃至30万の試料No.2,3,4,5は、第2のCGS層の保形性が得られ、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションが無く、かつブクやピンホールも見られなかった。
実施例3と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合してセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーの酸価を0.0,0.1,0.5,0.8,0.9,1.5KOHmg/gで各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGを形成した。
導体層を形成した積層CGをそれぞれ4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーション及びブクやピンホールの発生の有無及び製品寸法を調査した。第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの酸価別の評価結果を表4に示す。
表4で、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。
Figure 2006093483
表4より、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの酸価が0.1KOHmg/g未満の試料No.1は、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
また、上記酸価が0.8KOHmg/gより大きい試料No.5,6は、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%以上であり、焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
これに対して、上記酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gの試料No.2,3,4は、積層寸法の寸法バラツキが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションはなく、優れたものであった。
実施例4と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で8,9,10,12,15,17,19,20,21質量部を各々外添加し、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第2のCGS層となるセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPET上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより、第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を20質量部で外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。積層CGSを形成後、双眼顕微鏡にて積層CGSの外観を調査した。
導体層を形成した積層CGSを4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションを調査した。第1のCGS層に含まれるバインダー量別の評価結果を表5に示す。
表5おける内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、シート外観の欄が「○」は、積層CGSを成型したときのCGSに破れ、クラックが発生していないことを示す。一方、「△」は積層CGSの一部に破れ、クラックの発生が見られたことを示す。
Figure 2006093483
表5より、第1のCGS層に含まれるバインダーの添加量が10質量部未満の試料No.1,2は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、かつCGS成型後にCGS表面に破れやクラックが確認された。
また、上記添加量が19質量部より大きい試料No.8,9は、焼結体内部にデラミネーションが発生した。
これに対して、上記添加量が10乃至19質量部の試料No.3〜7は、デラミネーションが無く、積層CGSの外観も優れたものであった。
実施例5と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部を外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂の分子量を8万,10万,20万,30万,50万,70万,80万,85万,90万で各々外添加して調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCGS層となるセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより、第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を20質量部で外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。積層CGSの形成後、双眼顕微鏡にて外観を調査し、厚み測定器にて積層CGSの厚みを測定し、平均値とばらつきを評価した。
導体層を形成した積層CGSを4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションを調査した。第1のCGS層に含まれるバインダー量別の評価結果を表6に示す。
表6中の積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、シート外観の欄が「○」は、積層CGSを成型したときの積層CGSに破れ、クラック、またはピンホールが発生していないことを示す。一方、「△」は積層CGSの一部に破れ、クラックまたはピンホールの発生が見られたことを示す。また、積層CGSの厚みばらつきの欄が「○」は、3σ(標準偏差の3倍)が平均厚みの5%以内を示し、一方、「△」は5%以上であったことを示す。
Figure 2006093483
表3より、第1のCGS層に含まれるバインダーの分子量が10万未満の試料No.1は、積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であり、積層CGS表面にクラックや欠けが発生し、厚みばらつきの3σが平均厚みの5%以上であった。
また、上記分子量が80万より大きい試料No.8,9は、積層CGS表面にピンホールが確認された。
これに対して、上記分子量が10万乃至80万の試料No.2〜7は、寸法ばらつきが小さく、積層CGSに破れやクラック、ピンホールが発生せず、厚みばらつきも優れたものであった。
実施例6と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部添加し、このメタクリル酸メチル樹脂の酸価を0,0.1,2.5,4,5,5.5KOHmg/gで各々調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第2のCGS層となるセラミックスラリーを調製し、導体層を形成した支持体上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより、第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を20質量部で外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。積層CGSの形成後、双眼顕微鏡にて積層CGSの外観を調査した。
導体層を形成した積層CGSを4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションを調査した。第1のCGS層に含まれるバインダー量別の評価結果を表7に示す。
表7中の内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、シート外観の欄が「○」は、積層CGSを成型したときの積層CGSにピンホールが発生していないことを示す。一方、「△」は積層CGSの一部に破れ、ピンホールの発生が見られたことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。
Figure 2006093483
表7より、第1のCGS層に含まれるバインダーの酸価が0.1KOHmg/g未満の試料No.1は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、積層CGSにピンホールが発生し、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
また、上記酸価が5KOHmg/gより大きい試料No.6は、積層CGSにピンホールが発生した。
これに対して、上記酸価が0.1乃至5KOHmg/gの試料No.2〜5は、内層デラミネーションが無く、積層CGSにピンホールは発生せず、かつ寸法ばらつきに優れたものであった。
実施例7と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合してセラミックスラリーを調製し、先に形成前記導体層を形成した支持体上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーのガラス転移点を−25,−20,−10,−5,0,5,10℃で各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。
導体層を形成した積層CGSを4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションの有無及び製品寸法を調査した。第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーのガラス転移点別の評価結果を表8に示す。
表8で、第2のCGS層の保形性の欄が「○」は、第2のCGS層を成形した後、積層CGSを5枚重ねて常温で24時間放置しても、積層CGSがくっつくこと無く保形性を維持していたことを示す。「△」は、成形後に積層CGSを5枚重ねて常温で24時間放置すると互いの積層CGSがくっついてしまい、保形性を維持できなかったことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。
Figure 2006093483
表8より、第2のCGS層になるセラミックスラリーに含まれるバインダーのガラス転移点が−20℃よりも低い試料No.1は、第2のCGS層の保形性が維持できず、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
また、上記ガラス転移点が0℃より高い試料No.6,7は、積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
これに対して、上記ガラス転移点が0乃至−20℃の試料No.2〜5は、第2のCGS層の保形性が得られ、かつ積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%よりも小さく、焼結体内部のデラミネーションが無かった。
実施例8と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合してセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を固形分で20質量部、メタクリル酸メチル樹脂のバインダーの水酸基価を0,0.1,1,3,4,5,5.5,6KOHmg/gで各々外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。
導体層を形成した積層CGSを4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
それから、得られたCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションの観察を行い、セラミック層間のデラミネーションの有無及び製品寸法を調査した。第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの水酸基価別の評価結果を表9に示す。
表9における積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。また、内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。
Figure 2006093483
表9より、第2のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの水酸基価が0.1KOHmg/g未満の試料No.1は、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
また、上記水酸基価が5KOHmg/gより大きい試料No.7,8は、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%以上であり、かつ焼結体内部にデラミネーションが発生していた。
これに対して、上記水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gの試料No.2〜6は、積層寸法の寸法ばらつきが±0.05%よりも小さく、かつ焼結体内部のデラミネーションが無かった。
実施例9と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を固形分で10質量部外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂のガラス転移点を−22,−20,0,10,20,25℃で各々外添加して調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第2のCGS層となるセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより、第1のCGS層を作製した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を20質量部で外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。
この積層CGSを用い、常温で取り扱う際の積層CGS同士の付着や、シートの割れ欠けの評価を行った。第1のCGS層に含まれるバインダーのガラス転移点別の評価結果を表10に示す。
表10におけるシート付着の欄が「○」は、積層CGを常温で取り扱う際に積層CG同士が付着せずに取り扱いが容易であったことを示す。一方、「△」は常温で重ねるだけで積層CGS同士が付着し取り扱いが難しいものであったことを示す。シート割れ欠けの欄が「○」は、常温で取り扱う際に積層CGSに割れや欠けが起こらずに取り扱いが容易であったことを示す。一方「△」は、常温で取り扱う際に積層CGSに割れや欠けが起こり、取り扱いが難しいものであったことを示す。
Figure 2006093483
表10より、第1のCGS層に含まれるバインダーのガラス転移点が−20℃未満の試料No.1は、積層CGS同士のシート付着が発生した。
また、上記ガラス転移点が20℃より大きい試料No.6は、積層CGSのシート割れや欠けが発生した。
これに対して、上記ガラス転移点が−20万乃至20の試料No.2〜5は、シート付着が無く、かつシート割れや付着も発生しなかった。
実施例10と同様に、支持体であるPETフィルム上にタングステンを主成分とする導体ペーストを用いスクリーン印刷法により10〜20μmの厚みで所定パターンに印刷し、導体層を形成した。
次に、第1のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、バインダーとしてメタクリル酸メチル樹脂を、セラミック粉末100質量部に対して固形分で10質量部外添加し、このメタクリル酸メチル樹脂の水酸基価を0,3,5,10,20,40,60,80,100,104,110KOHmg/gで各々外添加して調合した。また、可塑剤としてフタル酸ジブチルを1質量部外添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合して第1のCGS層となるセラミックスラリーを調製し、導体層を形成したPETフィルム上にダイコーター法により厚さ100μmで塗布し、乾燥することにより、第1のCGS層を形成した。
次に、第2のCGS層用に、アルミナ粉末とバインダーとして平均粒径1μmのアルミナを90質量部、焼結助剤としてシリカ、マグネシア、カルシアと、着色顔料として遷移金属の酸化物(三酸化クロム)とを合わせて10質量部の割合で調合したセラミック粉末100質量部に対して、メタクリル酸メチル樹脂を20質量部で外添加して調合し、融点が35乃至100℃である溶融成分としてヘキサデカノールを固形分で10質量部、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより混合し、セラミックスラリーを調製し、このセラミックスラリーを第1のCGS層上にリップコーター法により厚さ50μmで塗布し、乾燥させて第2のCGS層を形成し、導体層と第1,第2のCGS層とから成る積層CGSを形成した。
導体層を形成した積層CGSを4層重ねあわせて、厚み方向に0.5MPaの圧力および80℃の温度で加熱圧着してCGS積層体を作製した。
このCGS積層体中のバインダー等の有機成分や、有機成分が分解した後に残留するカーボンを除去するため、7.33×10Paの水蒸気を含んだ窒素雰囲気中に約1000℃の温度で1時間保持する熱処理を行った後、還元雰囲気中にて約1600℃の温度で1時間保持して評価用の焼結体を作製した。この焼結体のクロスセクションを行い、セラミック層間のデラミネーションの有無及び製品寸法を調査した。第1のCGS層に含まれるバインダーの水酸基価別の評価の結果を表11に示す。
表11における内層デラミネーション有無の欄が「○」は、焼結体内部にデラミネーションが見られず優れていたことを示す。「△」は、CGS積層体の形成に問題は無いものの、焼結体内部にデラミネーションが見られたことを示す。また、積層寸法の欄が「○」は、積層後の寸法を3次元測定機で測定し、寸法ばらつきが±0.05%よりも小さいものであったことを示す。「△」は、製品寸法に問題は無いものの、寸法ばらつきが±0.05%以上であったことを示す。
Figure 2006093483
表11より、第1のCGS層となるセラミックスラリーに含まれるバインダーの水酸基価が5KOHmg/g未満の試料No.1,2は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
また、上記水酸基価が100KOHmg/gより大きい試料No.10,11は、焼結体内部にデラミネーションが発生し、かつ積層寸法の寸法ばらつきが0.05%以上であった。
これに対して、上記水酸基価が5乃至100KOHmg/gの試料No.3〜9は、内層デラミネーションが無く、かつ寸法ばらつき優れたものであった。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能である。例えば上述の実施の形態では、無機粉末とバインダーと溶媒を添加混合してセラミックスラリーを作製したが、CGSに柔軟性を付与するために可塑剤を添加してもよく、また無機粉末の分散性を高めるために分散剤を添加してもよい。
(a)〜(d)は、本発明の電子部品の製造方法の実施の形態の一例を示す工程毎の断面図である。
符号の説明
1・・・支持体
2・・・導体層
3・・・第1のセラミックグリーンシート層
4・・・セラミックスラリー
5・・・積層セラミックグリーンシート
6・・・セラミックグリーンシート積層体

Claims (12)

  1. 支持体上に導体層を形成する工程と、該導体層を形成した支持体上に第1のセラミックグリーンシート層を形成する工程と、前記第1のセラミックグリーンシート層上にセラミックスラリーを塗布し乾燥させて第2のセラミックグリーンシート層を形成して前記導体層と前記第1,第2のセラミックグリーンシート層とから成る積層セラミックグリーンシートを得る工程と、前記積層セラミックグリーンシートを複数枚積層して加熱することによってセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを具備しており、前記セラミックスラリーは前記セラミックグリーンシート積層体を作製する際の加熱時に溶融状態となる溶融成分を含有し、前記第1のセラミックグリーンシート層の溶解度パラメータと前記セラミックスラリーの溶解度パラメータとの差が3乃至8であることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記溶融成分の融点が35乃至100℃であることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して19乃至30質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの分子量が8万乃至30万であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至0.8KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの添加量が無機粉末100質量部に対して10乃至19質量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの分子量が10万乃至80万であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの酸価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至0℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記第2のセラミックグリーンシート層となるセラミックスラリーに含まれる有機バインダーの水酸基価が0.1乃至5KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーのガラス転移点が−20乃至20℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記第1のセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーの水酸基価が5乃至100KOHmg/gであることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
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