JP2006090059A - 軒先面戸および屋根の軒先構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軒先の瓦と広小舞との間の隙間を塞ぎつつ、屋根下地への雨水の浸入を効果的に防ぐとともに雨水の排水を円滑に行うことによって軒先の防汚を図り、軒先への取付作業を容易にする。
【解決手段】 本発明の軒先面戸1は、帯状の固定板部11の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部12が延設され、この基板部12の水下側の端縁に軒先の隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部13が基板部12に対してほぼ垂直に立設されている。基板部12と面戸板部13との隅部には、水抜き孔14が形成されている。固定板部11は、広小舞4の上部に固定され、基板部12および面戸板部13は広小舞4の先端よりも軒先方向に張り出して固定される。
【選択図】 図4
【解決手段】 本発明の軒先面戸1は、帯状の固定板部11の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部12が延設され、この基板部12の水下側の端縁に軒先の隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部13が基板部12に対してほぼ垂直に立設されている。基板部12と面戸板部13との隅部には、水抜き孔14が形成されている。固定板部11は、広小舞4の上部に固定され、基板部12および面戸板部13は広小舞4の先端よりも軒先方向に張り出して固定される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、軒先面戸およびこの軒先面戸を用いた屋根の軒先構造に関する。
波形瓦を用いた屋根の軒先側には、瓦下面と軒先の広小舞との間に隙間があり、この隙間から雀などの小動物が侵入して巣を作ってしまうので、この隙間を面戸により塞いで小動物の侵入を防ぎ、軒先の外観を整える対応がなされている。
従来の軒先面戸としては、例えば、特許文献1、2等に記載されているような面戸板が知られている。この種の面戸は、野地板の軒先端に沿って配置される帯状基板の長手方向端縁に、軒先の瓦と野地板との間を塞ぐ鼻隠しが、瓦の起伏ピッチを一致させて複数個立設されている。また、これらの鼻隠し同士の間の帯域には、野地板との間に水抜き用小空間を形成する突条が並設されている。このような面戸は、軒先端に広小舞を固定した後、ルーフィングシートを敷設し、次いでその上に面戸を、屋根上に葺かれる瓦の配列ピッチに一致するように配置して釘打ちし、軒先側より瓦を葺き並べて施工されている。
また、特許文献3に記載されている面戸板においては、軒先に取着可能なレール部材を備えており、このレール部材のU字状装着部に面戸板を嵌め込む構成とされている。かかる面戸板は、レール部材を利用して、瓦葺き施工の進行状態に合わせて任意の位置に嵌め入れることができるように意図されている。
実開昭64−33839号公報
実開昭61−39782号公報
実開平4−86831号公報
前記特許文献1,2に記載されているような面戸は、瓦と広小舞との間の隙間を塞ぐので小動物の侵入を防ぐことはできるが、面戸を固定している釘孔から雨水等が屋根下地に浸水するおそれがあるので、釘周囲のシール処理を施さなければならず、取付作業に手間がかかっていた。また、前記特許文献3に開示されているような面戸では、レール部材のU字状装着部に、軒先から排水すべき雨水を滞留させてしまう懸念があった。
さらに、上記のような面戸は、いずれも軒先から排水される雨水が軒先端を伝って軒樋に集水されるので、雨垂れによって広小舞等の軒先端面が汚れたり腐食したりしてしまうという問題点もあった。
このように面戸は、水仕舞を考慮すると、屋根材を軒先からある程度延出させて雨水が軒先端面から離れた位置に流れ落ちるように排水処理できることが好ましく、また、面戸を釘留めするので、釘孔から雨水が侵入しないように処理する必要があった。
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、軒先の瓦と広小舞との間の隙間を塞ぎつつ、屋根下地への雨水の浸入を効果的に防ぐとともに雨水の排水を円滑に行うことによって軒先の防汚を図り、軒先への取付作業を容易にすることができる軒先面戸および屋根の軒先構造を提供するものである。
上記した目的を達成するため、本発明は、野地板上に配設された広小舞と、葺き重ねられる断面波形状の桟瓦との隙間を塞ぐ軒先面戸であって、帯状の固定板部の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部が延設され、この基板部の水下側の端縁に前記隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部が基板部に対してほぼ垂直に立設され、基板部と面戸板部との隅部に接して水抜き孔が形成されて、前記固定板部が広小舞の上部に固定されるとともに、基板部および面戸板部が広小舞の先端よりも軒先方向に張り出して固定されたことを特徴ととしている。
この発明によれば、基板部および面戸板部が広小舞の先端よりも軒先方向に張り出したことによって、桟瓦と広小舞との隙間を面戸板部で効果的に塞ぎつつ、水抜き孔からの排水が軒先よりも遠い位置で流れ落ちるので、雨水を滞留させたり軒先を汚したりすることなく、雨水を処理することができる。
また本発明は、上記構成の軒先面戸において、葺き重ねられる桟瓦のすくい側の端縁に対応する墨ライン上に位置するように水抜き孔が設けられ、この水抜き孔近傍に前記墨ラインとの位置合わせマークが形成されていることを特徴としている。
この発明によると、軒先面戸を軒先に配置する際、前記墨ラインと位置合わせマークとが合致するように、水抜き孔から確認しつつ位置合わせをすることができるので、軒先面戸を所定位置に配置することが容易であり、正確に取り付けることができる。
また、本発明の屋根の軒先構造は、帯状の固定板部の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部が延設され、この基板部の水下側の端縁に、断面波形状の桟瓦と広小舞との隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部がほぼ垂直に立設され、基板部と面戸板部との隅部に接して水抜き孔が形成されている軒先面戸を用いた屋根の軒先構造であって、野地板上の軒先側に広小舞が配設され、この広小舞の上部に前記軒先面戸の固定板部が配設されるとともに広小舞に釘留めされ、水抜き孔は桟瓦のすくい側の端縁に対応する墨ライン上に配置されて、広小舞の先端よりも軒先前方に張り出した固定板部の上面にルーフィングシートが敷設されるとともに、面戸板部の上部に桟瓦が葺き重ねられたことを特徴としている。
この構成によれば、基板部および面戸板部が広小舞の先端よりも軒先方向に張り出したことによって、この面戸板部が桟瓦と広小舞との隙間を効果的に塞ぎつつ、水抜き孔からの排水によって雨水を滞留させたり軒先を汚したりすることなく雨水を処理することができ、また、釘留めされた固定板部の上面にルーフィングシートが敷設されるので、釘孔からの浸水も回避できるので、屋根の水仕舞を健全な状態で維持することができる。
上述のように構成される本発明の軒先面戸および屋根の軒先構造によれば、軒先の瓦と広小舞との間の隙間を効果的に塞ぎながら、雨水を円滑に排水することができるので、雨水の浸入や軒先の汚れや腐食を防止することができる。
また、本発明では、瓦割の墨ラインに位置合わせするための位置合わせマークを設けたため、取付作業時の位置決めも容易であり、作業が極めて簡単で施工を容易にすることができる。
以下、本発明に係る軒先面戸および屋根の軒先構造を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る軒先面戸と屋根の桟瓦の一例を示し、(a)は桟瓦の平面図、(b)は葺き重ねられた桟瓦を示す正面図、(c)は軒先面戸の正面図、(d)は軒先面戸の上面図である。また、図2および図3は軒先面戸の部分拡大図である。
図示するように、軒先面戸1は、帯状の固定板部11を有し、この固定板部11の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部12が延設されている。さらに、この基板部12の水下側の端縁には、桟瓦と広小舞との隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部13が基板部12に対してほぼ垂直に立設されている。
例示の形態において、桟瓦2は、かぶせ側21とすくい側22、および桟側23と軒側24がそれぞれ相対する略四角形で構成されており、図1(b)に示すように、かぶせ側21とすくい側22を横断する断面が波形状に形成されている。また、桟側23の裏面には、屋根の桟に引っ掛けるための突部が設けられている。一般に、この種の桟瓦2の施工は、桟瓦2を屋根の桟に掛止させ、この桟瓦2のすくい側22の表面に他の桟瓦2のかぶせ側21を重ね合わせるようにして、屋根の左右方向の左側から右側へと順に葺き重ねられる。
そこで、この軒先面戸1の基板部12は、重ね葺かれる桟瓦2の働き幅Aの整数倍に対応させた材長Bで形成されている。また、図1(c)に示すように、軒先面戸1の面戸板部13は、葺き重ねられた桟瓦2…2が形成する広小舞間との間の隙間形状に合致する丸波形状に形成されており、桟瓦2同士の重なり部分ごと覆い隠すことができるようになっている。かかる面戸板部13は、帯状の基板部12に対して、材長Bに対応する桟瓦2の枚数分が連続して形成されている。例示の形態では、基板部12は桟瓦2の働き幅Aの4倍の材長Bを有し、面戸板部13は基板部12に4個連続して形成されている。
また、図1(d)に示すように、固定板部11には、桟瓦2の働き幅Aに等しい間隔で複数の取付孔16が形成されている。この取付孔16を介して固定板部11が軒先に固定されるが、固定板部11の左側端部の取付孔16aは長孔状に形成されており、固定位置を幅方向に寸法調整をすることができるようになっている(図2参照)。
このような軒先面戸1は例えば、鉄板、アルミニウム、鋼板等の材料から構成されていることが望ましい。また、図3に示すように、軒先面戸1には、基板部12と面戸板部13との隅部に接して水抜き孔14が形成されている。例示の形態では、水抜き孔14は、これらの隅部の基板部12側に形成されており、略長方形状に穿設されている。また、この水抜き孔14は、葺き重ねられる桟瓦2のすくい側22の端縁に対応する墨ラインN上に位置するように設けられており、この水抜き孔14の中央部に墨ラインNとの位置合わせマーク15が水抜き孔14と一体に穿設されている。
このような水抜き孔14が存在することによって、軒先面戸1の内側に雨水を滞留させることなく軒先から円滑に排水することができ、その雨垂れも広小舞の前面を伝うことなく軒樋に集水されるので軒先端面の汚れを防いで、水仕舞を健全な状態に維持することができる。また、略三角形の位置合わせマーク15が設けられていることによって、水抜き孔14から墨ラインNの位置を確認しながら、墨ラインNと位置合わせマーク15とを合致させることができ、軒先面戸1を軒先の所定位置に容易に配置することができる。さらに、このように正確に配置された軒先面戸1が、桟瓦2の働き幅Aを基準に形成されているので、軒先に取り付けられた軒先面戸1をもとに、桟瓦2の施工位置を把握でき、容易に葺き重ねていくことが可能になる。
次に、上記構成の軒先面戸1を用いた屋根の軒先構造について、図面を参照しつつ説明する。図4は本発明の屋根の軒先構造を示す断面図であり、図5は軒先面戸の施工工程を示す斜視図である。
図示するように、屋根10の野地板3の軒先には、断面が直角三角形の広小舞4が配設されている。また、この広小舞4の上面には広小舞水切5が配設されている。広小舞水切5は、広小舞4の上面端部から軒先側へ斜め下方に傾斜して延出されている。
この広小舞水切5の上面には、軒先面戸1の固定板部11が配設されて広小舞4に釘留めされている。釘留めされた軒先面戸1は、広小舞4の先端よりも軒先前方に張り出し、基板部12に形成されている水抜き孔14も広小舞4の先端よりも軒先前方に位置することになる。
さらに固定板部11の上面には、ルーフィングシート6の先端部がかぶせられている。ルーフィングシート6は、固定板部11から基板部12側に10mm程度出るように敷設されることが好ましい。本発明ではこのように、釘留めした固定板部11を釘孔ごとルーフィングシート6で覆うので、別途釘孔のシール処理を行う必要がなく、軒先における止水性を高めることができる。固定された軒先面戸1の面戸板部13の上部には、面戸板部13の丸波形状に合わせて桟瓦2…2が葺き重ねられている。
かかる構成の軒先構造は、例えば、屋根10の野地板3上に敷設されたルーフィングシート6の軒先側を部分的にめくり上げ、軒先面戸1をルーフィングシート6の下側へ差し込み、広小舞4および広小舞水切5の上面に軒先面戸1の固定板部11を留め付け、この固定板部11の上面にルーフィングシート6を敷設し直して、基板部12および面戸板部13が広小舞4の先端より軒先方向に張り出すように固定して施工される。このとき軒先面戸1は、固定板部11の長孔16aにより取付位置の微調整をしつつ、瓦施工と同様に、左右方向の左から右方向へ順に取り付けられる。
以上説明したように、本発明に係る軒先面戸1および屋根の軒先構造によれば、軒先の隙間を桟瓦2の重なり部分ごと塞ぐことができるので、小動物の侵入を防ぐだけでなく、軒先の美観を格段に向上させることができる。また、基板部12および面戸板部13が広小舞4から軒先方向に張り出した構造となるので、雨水が軒先端面を汚すことがなく、水抜き孔14から円滑に排水することができる。また、かかる軒先面戸1の取付作業も、水抜き孔14および位置合わせマーク15が形成されていることによって容易に行うことができ、固定した軒先面戸1を基準にして瓦施工を手際よく行うことができるようになる。
本発明は、瓦葺屋根の軒先の空間を塞ぎ、小動物等の侵入を防ぎつつ美観を整えるのに有効に利用することができる。
1 軒先面戸
11 固定板部
12 基板部
13 面戸板部
14 水抜き孔
15 位置合わせマーク
16 長孔
2 桟瓦
3 野地板
4 広小舞
5 広小舞水切
6 ルーフィングシート
7 桟
10 屋根
11 固定板部
12 基板部
13 面戸板部
14 水抜き孔
15 位置合わせマーク
16 長孔
2 桟瓦
3 野地板
4 広小舞
5 広小舞水切
6 ルーフィングシート
7 桟
10 屋根
Claims (3)
- 野地板上に配設された広小舞と、葺き重ねられる断面波形状の桟瓦との隙間を塞ぐ軒先面戸であって、
帯状の固定板部の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部が延設され、この基板部の水下側の端縁に前記隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部が基板部に対してほぼ垂直に立設され、基板部と面戸板部との隅部に接して水抜き孔が形成されて、
前記固定板部が広小舞の上部に固定されるとともに、基板部および面戸板部が広小舞の先端よりも軒先方向に張り出して固定されることを特徴とする軒先面戸。 - 水抜き孔は、葺き重ねられる桟瓦のすくい側の端縁に対応する墨ライン上に位置するように設けられ、この水抜き孔近傍に前記墨ラインとの位置合わせマークが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先面戸。
- 帯状の固定板部の水下側端縁から斜め下方に傾斜して基板部が延設され、この基板部の水下側の端縁に、断面波形状の桟瓦と広小舞との隙間の前面形状に合致する薄板状の面戸板部がほぼ垂直に立設され、基板部と面戸板部との隅部に接して水抜き孔が形成されている軒先面戸を用いた屋根の軒先構造であって、
野地板上の軒先側に広小舞が配設され、この広小舞の上部に前記軒先面戸の固定板部が配設されるとともに広小舞に釘留めされ、水抜き孔は桟瓦のすくい側の端縁に対応する墨ライン上に配置されて、広小舞の先端よりも軒先前方に張り出した固定板部の上面にルーフィングシートが敷設されるとともに、面戸板部の上部に桟瓦が葺き重ねられたことを特徴とする屋根の軒先構造。
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JP2004278874A JP2006090059A (ja) | 2004-09-27 | 2004-09-27 | 軒先面戸および屋根の軒先構造 |
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5484308A (en) * | 1977-12-15 | 1979-07-05 | Matsushita Electric Works Ltd | Device for placing eave tile |
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2004
- 2004-09-27 JP JP2004278874A patent/JP2006090059A/ja active Pending
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