JP2006086019A - 固体酸化物形燃料電池および運転開始時の予熱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 発電セルの割れを防止しつつ、短時間で予熱を行うことのできる固体酸化物形燃料電池の運転開始時の好ましい予熱方法および予熱構造を提供する。
【解決手段】 シールレス構造の固体酸化物形燃料電池において、運転開始の際の予熱時に発電セル5に燃料ガスと酸化剤ガスを供給すると共に、燃料電池スタック1の外周部から外に放出される燃料ガスをスタックの周辺に設けた燃焼手段20により燃焼し、その燃焼熱を利用して発電セル5を運転温度まで昇温する。
【選択図】 図1
Description
このような電極反応で生じた電子は、別ルートの外部負荷にて起電力として取り出すことができる。
空気極: 1/2 O2 + 2e- → O2-
燃料極: H2 + O2- → H2 O+2e-
全体 : H2 + 1/2 O2 → H2 O
そこで、このような燃料電池スタックの内外における温度差の発生を極力防止しつつ加熱・昇温を行おうとすると、スタック内部への熱伝達速度に合わせて昇温しなければならず、発電運転までの待機時間に長時間を要するという問題があった。
加えて、この予熱方法は、ヒータによる電力消費が極めて大きく、その分、発電効率が低下するという問題もあった。
また、発電セルの温度が運転温度より低い所定の温度(例えば、100℃程度)に達した時に、燃料ガスの供給量を爆発限界未満の濃度範囲内において一時的に定格発電時の供給量以上に増加することにより、温度上昇をより一層促進し、予熱時間の更なる短縮を図ることができる。
発電セルの温度が発電反応が生じ得る反応開始温度(例えば、500〜600℃)に達すると未定格発電が開始され、その際のジュール熱により発電セルは内部からも加熱される。
上記予熱方法では、燃料電池スタックの外周部と内部との温度差を小さく抑えながら、発電セルの昇温を促進することができ、発電セルの割れを防ぎながら、発電セルを効率良く昇温させることができる。
上記構成は、従来のヒータ予熱に比べて、予熱のための電力消費を著しく低減することができ、よって、発電セルの割れを防止しつつ短時間で予熱を行うことのできることに加え、発電効率の向上に寄与できる。
図1は本発明が適用された固体酸化物形燃料電池の構成を示し、図2は燃料電池スタックの運転時のガスの流れを示している。
尚、ハウジング30の上部には、内部空間に放出された排ガスをハウジング外に排出するための排気穴30aが設けてある。
すなわち、燃料ガスと酸化剤ガス(空気)は、発電セル5の略中心部から外周方向に拡散するように流れながら固体電解質層2との界面に到達して電気化学反応を起こし、発電に使用されなかった余剰ガスは、そのまま発電セル5の外周部から外へ放出された後、上記燃焼手段20によって緩やかに燃焼されようになっている。
燃焼触媒22は、例えば、薄板状のハニカム触媒を用いて、Pt、Rh、Ce等をアルミナ担体に担持したものを多数のハニカム状の流路内に担持したものを使用できる。
尚、ヒータ21を使用する場合は、ヒータ温度を700℃程度に維持し、イグナイタ21を使用する場合は、常時放電火花を放出させるようにする。
上記した予熱構造は、従来のヒータ予熱に比べて、予熱のための電力消費、すなわち、ヒータ21やイグナイタ21の電力消費を著しく低減することができ、その分、発電効率を向上できる。
コントローラは、温度センサ23からの検出情報に基づいて、燃料ガスの流量調整バルブ24や酸化剤ガスの流量調整バルブ25を制御し、燃料電池スタック1に供給される燃料ガスや酸化剤ガスの流量を調整するように制御する。
図3および図4は、予熱時におけるセパレータ8の温度上昇に対する燃料供給割合(定格発電時の燃料供給量に対する予熱時の燃料供給量の割合)を示している。
ここで、運転温度とは、定格発電時に保たれる発電セル5の温度であり、例えば、低温作動型の固体酸化物形燃料電池では650〜800℃程度である。
そして、燃料電池スタック1の外周部より放出された燃料ガス(この時点では供給された燃料ガスの全てが未反応ガスとして放出される)が、コントローラにより通電制御されたイグナイタ21の放電火花、もしくはヒータ21のジュール熱(700℃程度)によってスタック周辺部において着火すると共に、その近傍に配した燃焼触媒22により燃料ガスの燃焼反応が促進されて燃料電池スタック1(すなわち、発電セル5)を外側より加熱する。
この際の燃料ガスの増加は、安全性等を考慮してスタック外雰囲気中の残留燃料(水素)濃度を爆発限界未満の濃度4%以下に維持しながら行う。また、燃料ガスの増加と並行して酸化剤ガスの流量調整バルブ25を制御し、燃焼反応に必要な酸素量(空気量)も逐次増加していく。
このように、燃料電池スタック1の温度上昇に応じて燃料ガスの供給量を増加していくことにより、スタック周辺部での急激な燃焼を防止したスムースな昇温が得られる。
尚、発電反応開始後は、発電セル5に供給された燃料ガスの内、発電反応で消費されなかった余剰ガス分がスタック周辺で燃焼することになる。
この予熱方法は、上記した図3の予熱方法に比べて昇温速度をさらに速くすることができ、約10分程度で発電可能な状態に昇温可能となる。
また、燃焼手段20を燃料電池スタック1を挟んで対向する2箇所に配設したが、燃料電池スタック1を囲むように多数配設するようにしても良く、この場合は、スタック周辺での確実な燃焼が得られるようになる。
5 発電セル
8 セパレータ
20 燃焼手段
21 着火手段(イグナイタ、ヒータ)
22 燃焼触媒
Claims (6)
- 発電セルとセパレータを交互に積層して燃料電池スタックを構成し、運転時に当該燃料電池スタックの内部に燃料ガスと酸化剤ガスを供給して発電セルに発電反応を生じさせると共に、発電反応に使用されなかった残余のガスを燃料電池スタックの外周部から外部に放出するシールレス構造の固体酸化物形燃料電池において、
運転開始の際の予熱時に、前記発電セルに燃料ガスと酸化剤ガスを供給すると共に、スタックの外周部から外に放出される燃料ガスをスタックの周辺に設けた燃焼手段により燃焼させ、その燃焼熱を利用して前記発電セルを運転温度まで昇温させることを特徴とする固体酸化物形燃料電池の運転開始時の予熱方法。 - 前記発電セルの温度上昇に応じて、前記燃料ガスの供給量を、スタック外雰囲気中の残留燃料濃度を爆発限界未満の濃度以下に維持しながら定格発電時の供給量まで増加することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池の運転開始時の予熱方法。
- 前記発電セルの温度が運転温度より低い所定の温度に達した時に前記燃料ガスの供給量を一時的に定格発電時の供給量以上に増加することを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池の運転開始時の予熱方法。
- 発電セルとセパレータを交互に積層して燃料電池スタックを構成し、運転時に当該燃料電池スタックの内部に燃料ガスと酸化剤ガスを供給して発電セルに発電反応を生じさせると共に、発電反応に使用されなかった残余のガスを燃料電池スタックの外周部から外部に放出するシールレス構造の固体酸化物形燃料電池において、
前記燃料電池スタックの周辺部に、当該燃料電池スタックから放出される燃料ガスを燃焼するための燃焼手段を前記発電セルの積層方向に設け、運転開始の際、請求項1から請求項3までの何れかに記載の予熱動作を行うことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。 - 前記燃焼手段は、着火手段とその近傍に配設された燃焼触媒より成ることを特徴とする請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記着火手段と前記燃焼触媒とを接触させたことを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池。
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