JP2006083342A - スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法、およびイオン交換膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタノール燃料電池用の隔膜の原料として有用な、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーに基づく重合単位の割合が比較的低い、パーフルオロカーボン重合体であって、製膜性のよい重合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】フッ素系溶剤中で、シクロヘキサン等の炭素数が3〜10の飽和炭化水素からなる連鎖移動剤を用いて、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーと、パーフルオロオレフィンとを共重合させることを特徴とするスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】フッ素系溶剤中で、シクロヘキサン等の炭素数が3〜10の飽和炭化水素からなる連鎖移動剤を用いて、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーと、パーフルオロオレフィンとを共重合させることを特徴とするスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法、およびイオン交換膜の製造方法に関する。
従来、主として食塩電解に利用されるイオン交換膜として、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜が知られている。上記重合体は、例えば、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fのようなスルホン酸型官能基を有するモノマーとCF2=CF2のようなパーフルオロオレフィンとを、フッ素系溶剤の存在下に溶液重合させた後、製膜、加水分解することにより得られる。上記重合体は、例えば特許文献1〜3に記載の方法により製造できる。
しかし、上記重合体の製造においては、連鎖移動剤についての検討はあまりなされておらず、比較的低いイオン交換容量を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法について検討された例はない。
近年、メタノール燃料電池用の隔膜として、種々のイオン交換膜の検討がなされている。上記用途の隔膜としては、メタノールの透過率が低いことが要求されるが、この観点からは、含水率が低い膜、すなわち低イオン交換容量の重合体からなる膜が好ましい。
しかし、低イオン交換容量の重合体は、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーの共重合割合が低いため、高イオン交換容量の重合体と比べると製膜性が悪いという問題があった。
本発明は、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーに基づく重合単位の割合が比較的低い、パーフルオロカーボン重合体であって、製膜性のよい重合体を製造する方法の提供を目的とする。
本発明は、フッ素系溶剤中で、炭素数が3〜10の飽和炭化水素からなる連鎖移動剤を用いて、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーと、パーフルオロオレフィンとを共重合させることを特徴とするスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記製造方法により得られたパーフルオロカーボン重合体を用いてイオン交換膜を製造する方法であって、上記パーフルオロカーボン重合体を製膜する工程、および上記パーフルオロカーボン重合体のスルホン酸型官能基を加水分解によりスルホン酸基に転換する工程を有するイオン交換膜の製造方法を提供する。
本発明により、製膜性のよい、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体を製造できる。この重合体を用いて得られるイオン交換膜はイオン交換容量が低く、メタノール燃料電池用の隔膜として用いた場合に、優れたメタノール遮断性を発現する。
本発明においては、連鎖移動剤として炭素数が3〜10の飽和炭化水素を用いる。これにより、製膜性の良好な重合体を得ることができる。
飽和炭化水素はフッ素系溶剤への分散性がよく、均一に連鎖移動できることから、これを連鎖移動剤として用いた場合は、分子量が比較的均一な重合体を製造できると考えられる。その結果、製膜性が向上すると考えられる。また、炭素数が3〜10の飽和炭化水素は常温での取扱いが容易である。常温での取扱いがより容易であるという観点からは、炭素数が5〜8の飽和炭化水素がさらに好ましい。
炭素数が3〜10の飽和炭化水素としては、直鎖状または分岐構造を有する飽和炭化水素、または環状飽和炭化水素を用いることができるが、より均一に連鎖移動できるという観点からは環状飽和炭化水素がより好ましい。
上記飽和炭化水素は、単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
上記飽和炭化水素は、単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
炭素数が3〜10の飽和炭化水素としては、具体的には、プロパン、またはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンの直鎖状または分岐構造を有するもの、シクロペンタン、シクロへキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンなどが挙げられる。なかでも、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロへキサン、シクロオクタンが好ましく、特にはシクロヘキサンが好ましい。
本発明において、連鎖移動剤の添加量は、フッ素系溶媒とスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーの合計量100質量部に対して0.0001〜0.1質量部とするのが好ましく、特には0.0005〜0.01質量部とするのが好ましい。
本発明におけるフッ素溶媒としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルが好ましい。これらの化合物は、直鎖状、分岐状または環状の構造のいずれであってもよい。
具体的には、CF2ClCF2CHClF、CF2ClCFCl2等のハイドロクロロフルオロカーボン、CF3(CF2)4CHF2、CF3(CHF)2CF2CF3、CF3CH2CF2CH3等のハイドロフルオロカーボン、CHF2CF2OCH2CF3、C4F9OCH3等のハイドロフルオロエーテルが挙げられる。なかでも、生成する共重合体の溶解性の観点からはCF2ClCF2CHClFが好ましい。
フッ素系溶媒の添加量は、パーフルオロカーボンモノマーの転化率の観点から、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーに対する割合、すなわち、フッ素溶媒/スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーが、質量比で、20以下、特には10以下となる量とすることが好ましい。
スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーとしては、公知のものが広範囲にわたって使用できる。ここで、スルホン酸型官能基とは、加水分解によってスルホン酸基に転換し得る前駆体基をいう。上記モノマーとしては、CF2=CF−(OCF2CFX)p−(O)q−(CF2)r−(CF2CFZ)s−Aで表される化合物(式中、pは0〜3の整数、qは0または1、rは0〜12の整数、sは0〜3の整数であり、XおよびZは各々独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Aは加水分解によりスルホン酸基に転換し得る前駆体基である。)が好ましい。
通常は入手容易性の点から、Xはトリフルオロメチル基、pは0または1、sは0、rは0〜8の整数、qは0または1であるのが好ましい。また、Aは共重合反応性等の点から−SO2Fが好ましい。
上記化合物としては、具体的には、CF2=CFO(CF2)1〜8SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)1〜8SO2F、CF2=CF(CF2)0〜8SO2F、CF2=CF(OCF2CF(CF3))1〜5SO2F等が挙げられる。
なお、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーは、1種類で使用するだけでなく、2種類以上を併用してもよい。
なお、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーは、1種類で使用するだけでなく、2種類以上を併用してもよい。
パーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、ヘキサフルオロピロピレン等を用いることができるが、得られるパーフルオロカーボン重合体を製膜した後の膜の機械的強度の観点からTFEを用いるのが好ましい。
また、本発明においては、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーおよびパーフルオロオレフィン以外の成分、例えば、カルボン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマー、CF2=CFORf(Rfは炭素数1〜10の直鎖状または分岐構造を有するパーフルオロアルキル基であって、エーテル結合を含有してもよい。)、CF2=CF−CF=CF2およびCF2=CFO(CF2)1〜4OCF=CF2のようなジビニルモノマー等の1種以上を併用して重合を行ってもよい。
本発明は、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーに基づく重合単位の割合が比較的低い重合体であって、製膜性のよい重合体を製造することを課題としている。得られるスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体における、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーに基づく重合単位の割合は、4〜36質量%、特には10〜25質量%、さらには15〜22質量%であるのが好ましい。
本発明においては、得られる重合体の分子量が、分子量の指標であるTQ値で340℃以下、特には180〜280℃程度となるように反応条件を選択することが好ましい。重合体の分子量は、イオン交換膜として用いる場合の機械的性質および製膜性と関係するため重要である。
なお、本明細書中において、TQ値とは、重合体の分子量に関係するものであって、容量流速100mm3/秒を示す温度である。上記容量流速は、重合体を3MPaに加圧下、一定温度の径1mm、長さ1mmのオリフィスから溶融流出せしめ、流出する共重合体量をmm3/秒の単位で示したものである。
また、本発明においては、重合開始剤として、後述する好適な反応温度において高い活性を示すものを用いることが好ましい。具体的には、高活性の電離性放射線を作用させる方法等も採用できるが、通常は、アゾ化合物やパーオキシ化合物からなるラジカル重合開始剤を用いる方が、工業的実施においては有利である。
ラジカル重合開始剤としては、10〜90℃程度で高活性を示す化合物が好ましく、具体的には、ジコハク酸パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジペンタフルオロプロピオニルパーオキシド、ビス(ヘプタフルオロプロピオニル)パーオキサイド等のジアシルパーオキシド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリアン酸)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシイソブリレート、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、全モノマー100質量部に対して0.0001〜3質量部、特には0.001〜2.0質量部とするのが好ましい。
本発明における重合温度は、重合開始剤の種類や反応モル比などにより最適値が異なるが、通常は工業的実施のしやすさの観点から、20〜100℃、特には30〜80℃の範囲で実施する。
本発明における重合温度は、重合開始剤の種類や反応モル比などにより最適値が異なるが、通常は工業的実施のしやすさの観点から、20〜100℃、特には30〜80℃の範囲で実施する。
本発明における重合圧力は0.1MPa以上とするのが好ましい。重合圧力が低すぎる場合は、反応速度を実用上満足し得る速さに維持することが困難であり、高分子量の共重合体を形成しにくい。また、生成する共重合体のイオン交換容量が高くなりすぎるおそれがある。一方、重合圧力は、工業的実施における反応装置上または作業上などを考慮して5MPa以下とするのが好ましい。5MPaより高い圧力の採用は可能ではあるが、本発明の目的を向上させるものではない。このように重合圧力は0.1〜5MPaとするのが好ましく、特には0.2〜3MPaとするのが好ましい。
本発明においては、反応終期の反応液における共重合体の濃度が40質量%以下、特には30質量%以下となるように制御して重合を行うことが好ましい。あまりに高濃度で反応を行うと、共重合体組成の不均一性の増大、重合トルクの増大による撹拌の停止等が起こるおそれがある。
重合反応終了後の反応液からは重合体を凝集分離するのが好ましい。重合体を凝集分離するにあたっては、CCl2FCH3等のハイドロクロロフルオロカーボン、メタノール等のアルコール類、ヘキサン等のハイドロカーボン、メチレンクロライド、クロロホルム等のハイドロクロロカーボン等を添加するのが好ましい。
本発明で製造されるスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体は、種々の分野で使用されるが、なかでもイオン交換膜の原料として好適である。
本発明のイオン交換膜の製造方法は、上記スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体を製膜する工程、および上記パーフルオロカーボン重合体のスルホン酸型官能基を加水分解によりスルホン酸基に転換する工程を有する。上記製膜の工程と、加水分解によるスルホン酸基への転換の工程は、どちらを先に行ってもよいが、通常は、製膜後に加水分解を行う方が好ましい。
製膜の方法としては、加熱溶融成形、ラテックス成形、適当な溶液に溶解させての注型成形など公知の方法を適宜採用できる。
また、スルホン酸型官能基は、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液中、または、この水溶液に、さらにメタノールやエタノール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒を含有する溶液中で加水分解することにより、−SO3Na基や−SO3K基に転換できる。次いで、塩酸、硫酸および硝酸等の水溶液で処理するとナトリウムイオンやカリウムイオンがプロトンに置換され、スルホン酸基(−SO3H基)に変換される。
本発明により得られるイオン交換膜のイオン交換容量は、0.1〜0.8ミリ当量/グラム乾燥樹脂の範囲であるのが好ましく、特には、0.3〜0.6ミリ当量/グラム乾燥樹脂の範囲であるのが好ましい。
上記のようなイオン交換容量を有するイオン交換体からなる膜は、メタノール燃料電池用の隔膜として用いた場合に、メタノールの透過を抑制できる点で好ましい。
上記のようなイオン交換容量を有するイオン交換体からなる膜は、メタノール燃料電池用の隔膜として用いた場合に、メタノールの透過を抑制できる点で好ましい。
本発明により得られるイオン交換膜は、必要に応じ、織布、不織布等からなる補強支持材と積層させることにより補強してもよい。また、膜の性能向上を目的として、異なるイオン交換容量を有する膜、またはカルボン酸基等の異なる官能基を有する膜と2層以上に積層して用いてもよい。
本発明により得られるイオン交換膜は、拡散透析、オゾン発生電解、電解還元、燃料電池の隔膜、高分子触媒等、各種用途に広く使用でき、特に耐食性を要求される用途で好ましく使用できる。なかでも上記イオン交換膜を、メタノールを燃料とする固体高分子型燃料電池の隔膜として使用する場合は、カソード側へメタノールが透過するのを抑制できる点で非常に好ましい。
以下、実施例(例1、例2)、および比較例(例3、例4)により本発明を具体的に説明する。なお、各例において得られた共重合体の評価は下記の方法により実施した。
<イオン交換容量の測定>
得られた共重合体0.7gをポリカーボネート製の容器に入れ、該容器に0.1NのNaOH水溶液5mLを加えた。これを60℃にて18時間静置することにより、共重合体のスルホン酸型官能基を完全にNa型に転換した。次いで、この溶液中の残存NaOHの量を、0.1Nの塩酸で逆滴定することにより求め、共重合体のイオン交換容量を算出した。
得られた共重合体0.7gをポリカーボネート製の容器に入れ、該容器に0.1NのNaOH水溶液5mLを加えた。これを60℃にて18時間静置することにより、共重合体のスルホン酸型官能基を完全にNa型に転換した。次いで、この溶液中の残存NaOHの量を、0.1Nの塩酸で逆滴定することにより求め、共重合体のイオン交換容量を算出した。
<TQの測定>
島津製作所社製のフローテスターCFT−100Dを用い、得られた共重合体1gを、適切な温度で30kg/cm2加圧下、一定温度の径1mm、長さ1mmのオリフィスから溶融流出させ、流出する共重合体の容量流量(mm3/秒)を計測した。
次いで、温度を変更し、再度、上記と同様にして容量流量を計測した。各測定温度における容量流量を対数プロットし、容量流量が100mm3/秒となる温度「TQ」を算出した。
島津製作所社製のフローテスターCFT−100Dを用い、得られた共重合体1gを、適切な温度で30kg/cm2加圧下、一定温度の径1mm、長さ1mmのオリフィスから溶融流出させ、流出する共重合体の容量流量(mm3/秒)を計測した。
次いで、温度を変更し、再度、上記と同様にして容量流量を計測した。各測定温度における容量流量を対数プロットし、容量流量が100mm3/秒となる温度「TQ」を算出した。
<製膜性の判定>
テスター産業社製のプレス機(SA−301型)を用い、得られた共重合体を、該共重合体のTQ値より10℃高い温度で、膜圧が50μmとなるように、30MPaの圧力で3分間プレス保持して製膜した。得られた膜の状態を目視で観察し、ひび割れ、引裂きを確認した。ここで、ひび割れとは、膜上に白い筋が入っている状態のことであり、引裂きとは、膜が完全に割れている状態のことである。
テスター産業社製のプレス機(SA−301型)を用い、得られた共重合体を、該共重合体のTQ値より10℃高い温度で、膜圧が50μmとなるように、30MPaの圧力で3分間プレス保持して製膜した。得られた膜の状態を目視で観察し、ひび割れ、引裂きを確認した。ここで、ひび割れとは、膜上に白い筋が入っている状態のことであり、引裂きとは、膜が完全に割れている状態のことである。
[例1]
予め真空に脱気した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、CF2ClCF2CHFCl 483g、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F 265g、アゾビスイソブチロニトリル 449mg、およびシクロヘキサン 150mgを吸引注入した。次いで、圧力0.01MPaまでTFEを充填し、オートクレーブの内温が60℃なるように加温した。内温が60℃に到達した後、さらにTFEを1.00MPaまで充填し、重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを導入し、圧力を一定に保持した。8時間後に未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
予め真空に脱気した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、CF2ClCF2CHFCl 483g、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F 265g、アゾビスイソブチロニトリル 449mg、およびシクロヘキサン 150mgを吸引注入した。次いで、圧力0.01MPaまでTFEを充填し、オートクレーブの内温が60℃なるように加温した。内温が60℃に到達した後、さらにTFEを1.00MPaまで充填し、重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを導入し、圧力を一定に保持した。8時間後に未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
得られた共重合体の溶液にCF2ClCF2CHFCl 198gを加えて撹拌し、さらにCFCl2CH3 396gを添加しながら撹拌して、共重合体を凝集させた。同様の操作を2回繰り返して行った後、共重合体をCFCl2CH3 520gで3回洗浄し、真空下で乾燥して76gの共重合体を得た。
得られた共重合体のイオン交換容量は0.531ミリ当量/グラム乾燥樹脂、TQは272℃であった。また、この共重合体の製膜性は良好であり、強靭な透明の膜が得られた。得られた膜における、ひび割れや引裂きが認められた領域は5%以下であった。
[例2]
アゾビスイソブチロニトリルの注入量を898mgとし、内温が60℃に到達した後にTFEを0.90MPaまで充填した以外は例1と同様にして重合を行った。
得られた共重合体の溶液にCF2ClCF2CHFCl 140gを加えて撹拌し、さらにCFCl2CH3 281gを添加しながら撹拌して、共重合体を凝集させた。同様の操作を2回繰り返して行った後、共重合体をCFCl2CH3 270gで3回洗浄し、真空下で乾燥して54gの共重合体を得た。
アゾビスイソブチロニトリルの注入量を898mgとし、内温が60℃に到達した後にTFEを0.90MPaまで充填した以外は例1と同様にして重合を行った。
得られた共重合体の溶液にCF2ClCF2CHFCl 140gを加えて撹拌し、さらにCFCl2CH3 281gを添加しながら撹拌して、共重合体を凝集させた。同様の操作を2回繰り返して行った後、共重合体をCFCl2CH3 270gで3回洗浄し、真空下で乾燥して54gの共重合体を得た。
得られた共重合体のイオン交換容量は0.640ミリ当量/グラム乾燥樹脂、TQは248℃であった。また、この共重合体の製膜性は良好であり、強靭な透明の膜が得られた。得られた膜における、ひび割れや引裂きが認められた領域は5%以下であった。
[例3(比較例)]
予め真空に脱気した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、CF2ClCF2CHFCl 392g、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F 327g、アゾビスイソブチロニトリル 412mg、およびメタノール 717mgを吸引注入した。次いで、圧力0.01MPaまでTFEを充填し、オートクレーブの内温が65℃なるよう加温した。内温が65℃に到達した後、さらにTFEを1.50MPaまで充填し、重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを導入し、圧力を一定に保持した。1.5時間後に未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
予め真空に脱気した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、CF2ClCF2CHFCl 392g、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F 327g、アゾビスイソブチロニトリル 412mg、およびメタノール 717mgを吸引注入した。次いで、圧力0.01MPaまでTFEを充填し、オートクレーブの内温が65℃なるよう加温した。内温が65℃に到達した後、さらにTFEを1.50MPaまで充填し、重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを導入し、圧力を一定に保持した。1.5時間後に未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
得られた共重合体の溶液にCF2ClCF2CHFCl 231g加えて撹拌し、さらにCFCl2CH3 463gを添加しながら撹拌して、共重合体を凝集させた。同様の操作を2回繰り返して行った後、共重合体をCFCl2CH3 304gで3回洗浄し、真空下で乾燥して97gの共重合体を得た。
得られた共重合体のイオン交換容量は0.552ミリ当量/グラム乾燥樹脂、TQは274℃であった。また、この共重合体は製膜性が悪く、得られた膜には多数のひび割れや引裂かれ等が見られた。得られた膜における、ひび割れや引裂きが認められた領域は50%以上であった。
[例4(比較例)]
予め真空に脱気した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、CF2ClCF2CHFCl 610g、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F 335g、アゾビスイソブチロニトリル 567mg、およびメタノール 1890mgを吸引注入した。次いで、圧力0.01MPaまでTFEを充填し、オートクレーブの内温が60℃なるよう加温した。内温が60℃に到達した後、さらにTFEを 1.00MPaまで充填し、重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを導入し、圧力を一定に保持した。18時間後に未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
予め真空に脱気した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、CF2ClCF2CHFCl 610g、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F 335g、アゾビスイソブチロニトリル 567mg、およびメタノール 1890mgを吸引注入した。次いで、圧力0.01MPaまでTFEを充填し、オートクレーブの内温が60℃なるよう加温した。内温が60℃に到達した後、さらにTFEを 1.00MPaまで充填し、重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを導入し、圧力を一定に保持した。18時間後に未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
得られた共重合体の溶液にCF2ClCF2CHFCl 335g加えて撹拌し、さらにCFCl2CH3 711gを添加しながら撹拌して、共重合体を凝集させた。同様の操作を2回繰り返して行った後、共重合体をCFCl2CH3 934gで3回洗浄し、真空下で乾燥して110gの共重合体を得た。
得られた共重合体のイオン交換容量は0.564ミリ当量/グラム乾燥樹脂、TQは248℃であった。また、この共重合体は製膜性が悪く、得られた膜には多数のひび割れや引裂かれ等が見られた。得られた膜における、ひび割れや引裂きが認められた領域は50%以上であった。
本発明の製造方法により得られる重合体からなるイオン交換膜は、メタノール燃料電池用の隔膜として有用である。
Claims (7)
- フッ素系溶剤中で、炭素数が3〜10の飽和炭化水素からなる連鎖移動剤を用いて、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーと、パーフルオロオレフィンとを共重合させることを特徴とするスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
- スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体における、スルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボンモノマーに基づく重合単位の割合が4〜36質量%である請求項1に記載のスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
- 上記飽和炭化水素が環状飽和炭化水素である請求項1または2に記載のスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
- 上記飽和炭化水素がシクロヘキサンである請求項1または2に記載のスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
- スルホン酸型官能基を含有パーフルオロカーボンモノマーが、CF2=CF−(OCF2CFX)p−(O)q−(CF2)r−(CF2CFZ)s−Aで表される化合物(式中、pは0〜3の整数、qは0または1、rは0〜12の整数、sは0〜3の整数であり、XおよびZは各々独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Aは加水分解によりスルホン酸基に転換し得る前駆体基である。)である請求項1〜4のいずれかに記載のスルホン酸型官能基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られたパーフルオロカーボン重合体を用いてイオン交換膜を製造する方法であって、上記パーフルオロカーボン重合体を製膜する工程、および上記パーフルオロカーボン重合体のスルホン酸型官能基を加水分解によりスルホン酸基に転換する工程を有するイオン交換膜の製造方法。
- 得られるイオン交換膜のイオン交換容量が0.1〜0.8ミリ当量/g乾燥樹脂である請求項6に記載のイオン交換膜の製造方法。
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