JP2006083246A - 酸化亜鉛蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】略球形で粒子径の揃った微粒子状に形態制御された酸化亜鉛蛍光体を効率よく製造することのできる方法を提供すること。
【解決手段】酸化亜鉛蛍光体を製造する方法であって、 (1)Znの有機金属キレート錯体からなる粉末を製造する工程、 (2)前記工程(1)で得た粉末を焼成して酸化亜鉛粉末を得る工程、 (3)前記工程(2)で得た酸化亜鉛粉末を還元する工程を含む、特に電子線励起により390nm付近に発光ピークを有する紫外線発光型酸化亜鉛蛍光体の製法を開示する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子線励起により紫色または緑色領域の蛍光を発する酸化亜鉛蛍光体の製造方法に関し、より詳細には、出発原料としてZnキレート錯体を用いることにより、粒径のほぼ揃った球状微粒子状に形態制御され、また該出発原料の焼成温度を制御することによって、電子線励起により紫外線発光もしくは緑色発光を発する酸化亜鉛蛍光体の新規な製造方法に関するものである。
酸化亜鉛蛍光体は導電性を有し、低加速電圧でも効率的に緑色蛍光を発するという特徴を有していることから、主に蛍光表示管などの如き低電圧駆動タイプの緑色蛍光体として広く利用されている。この蛍光体は、ZnOの酸素欠損によって生じたZnが発光中心を形成するいわゆる自己賦活型であることが知られており、ZnO:Znと記述される。ZnOの発光特性は、結晶内に存在する不純物準位の制御や、セラミックス中に存在する粒界界面準位の状態と強く関係しており、例えば上記ZnO:Znの緑色発光は、バンドギャップ内に存在する酸素欠損などの不純物準位に起因するものである。
一方、格子欠陥をなくして酸化亜鉛の結晶性を高めていくと、バンドギャップが3.3eVのバンド端発光(エキシトン発光)の効率が上がり、結果として385nmにピークを有する紫外線発光が得られる。この紫外線発光を有する酸化亜鉛は、近年盛んに行われている紫外線発光の高効率化を実現するための材料の一つとして有望視されている。
緑色蛍光を発するZnO:Znは、一般的にはZnCO3やZnOに少量のZnSを加えて粉砕・混合した後、窒素ガス/水素ガスの混合雰囲気中で還元焼成することにより得ているが、粉砕・混合工程では、固相同士を均一に混合できるようボールミル等で十分に混合しなければならない。また、焼成物は塊状で得られるため、蛍光体粉末とするには該焼成物を粉砕し、更に水洗処理しなければならず、工程が非常に煩雑となる。
また紫外線発光を有する酸化亜鉛は、前述の如く酸化亜鉛の結晶性を高めることにより得られる。例えば、酸化亜鉛を酸素雰囲気中でアニール処理することによって得られることが知られており(特許文献1など)、また、酸化亜鉛結晶内の欠陥に基づく電気的に活性な電子は、水素プラズマ処理により不活性化する所謂パッシベート処理によって紫外線発光強度が増大することも知られている(非特許文献1)。
ところが、酸化亜鉛が前述の様に紫外線発光素子として有望視されている中で検討されているのは、専らPVDやCVDにより得られた高結晶性の酸化亜鉛薄膜であり、結晶内の欠陥が生じ易い粉体の形態ではあまり検討されていないのが現状である。
また、今後ディスプレイの高精度・高緻密化が進むにつれて、蛍光面への蛍光体の塗布は一段と精密かつ均一に行なわねばならなくなるので、こうした要望に対応するには、蛍光体自体の粉末状態での分散性を高めると共に、粒径を小さくする必要がある。この様な条件を満たすには、蛍光体粉末が略球状で且つ粒径のほぼ揃った微粒子であることが望まれる。しかし、現在実用化されている粉末状酸化亜鉛蛍光体の殆どは歪な塊状であり、こうした観点からの改質が求められる。
特開平8−127769号公報 Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 36 (1997) 289-291
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、上述した如くディスプレイの高精度・高緻密化などにも容易に対応できる様、略球形で粒子径の揃った微粒子状に形態制御された酸化亜鉛蛍光体を効率よく製造することのできる方法を提供することにある。
上記課題を達成することのできた本発明に係る酸化亜鉛蛍光体の製造方法とは、
(1)Znの有機金属キレート錯体からなる粉末を製造する工程、
(2)前記工程(1)で得た粉末を焼成して酸化亜鉛粉末を得る工程、
(3)前記工程(2)で得た酸化亜鉛粉末を還元する工程
を含むところに特徴を有している。
本発明によって得られる上記酸化亜鉛蛍光体は、粒径のほぼ揃った略球形の微粉末状であり、該蛍光体の中でも代表的なものは、電子線励起によって390nm付近に発光ピークを有する紫外線発光型酸化亜鉛蛍光体、あるいは、電子線励起によって500nm付近に発光ピークを有する緑色発光型酸化亜鉛蛍光体である。
上記本発明の製造方法を実施するに当たっては、上記工程(1)で、Znおよび/またはZn化合物と有機キレート形成剤を反応させることによって得られるZnキレート錯体水溶液を噴霧乾燥して粉末とする方法を採用すれば、酸化亜鉛蛍光体の前駆体となるZnキレート錯体粉末を瞬時の乾燥でほぼ球形で粒径の揃った微粉末として効率よく得ることができ、延いてはその形態を継承することで、その後に焼成工程および還元工程を経て得られる酸化亜鉛蛍光体も、略球形で粒径のほぼ揃った微粉末状のものとして得ることができるので好ましい。但し、上記において略球形とは、個々の粉体が概ね球形を呈していることを意味するもので、完全な球形である必要はなく、楕円状や卵状、或いは一部が破壊された破砕片状のものであってもよく、その形状自体が発光特性に影響を及ぼすものではない。
本発明で使用する前記有機キレート形成剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤および/またはその塩が最適である。
本発明によれば、電子線励起によって390nm付近に発光ピークを有する紫外線発光型、もしくは500nm付近に発光ピークを有する緑色発光特性を有し、しかも粒径のほぼ揃った略球形で微粉末状の酸化亜鉛蛍光体を効率よく製造できる。そして得られる酸化亜鉛蛍光体は、緑色蛍光体ZnO:Znについては、電界放射ディスプレイ(FED)や蛍光表示管(VFD)向け低電圧駆動型の緑色蛍光体として、また紫外線発光型については、紫外線発光素子、レーザー発光素子、蛍光体の励起源などとして極めて有効に活用できる。
本発明では、酸化亜鉛蛍光体を製造する際に、原料としてZnキレート錯体粉末を使用するところに特徴を有している。ここで前駆体となる該Znキレート錯体粉末は、亜鉛原料(Znおよび/またはZn化合物)と有機キレート形成剤を反応させて澄明な有機Znキレート錯体水溶液を調製した後、この水溶液を例えば噴霧乾燥することによって容易に得ることができる。
上記有機キレート形成剤としては、乾燥工程で熱分解を起すことのないよう、好ましくは200℃程度の温度では熱分解しないアミノカルボン酸系キレート剤が好ましく使用される。有機Znキレート錯体水溶液の調製に当たっては、Znイオンが完全に錯塩を形成し得る様に、Znに対し当量以上のキレート剤を用いて澄明な水溶液とするのがよい。
上記の様にZnキレート錯体の澄明な水溶液を使用し、好ましくは該澄明な水溶液を噴霧乾燥で瞬時に乾燥する方法を採用することによって得られる有機Znキレート錯体粉末は、アモルファス状であって分子レベルで均一な組成を有するものとなり、外観は略球形で粒子径の揃った微粉末として得られるからである。しかも後記実施例でも明らかにする様に、従来の酸化亜鉛蛍光体の製法に比べると少ない工程で製造できる。更には、該有機Znキレート錯体粉末の焼成条件を制御することにより、電子線励起による緑色発光型酸化亜鉛蛍光体と紫外線発光型酸化亜鉛蛍光体を容易に製造することができる。
すなわち噴霧乾燥法によって得られる有機Znキレート錯体粉末は、その特徴である略球形を有しており粒度もほぼ揃っているため、これを焼成すると、焼成前の形状や粒径をほぼ保った状態の酸化亜鉛蛍光体粉末として得ることができる。しかも、噴霧乾燥時の粉体化条件を適正にコントロールし、且つ、前駆体であるZnキレート錯体からなる粉体の形状や粒径を調整すれば、得られる酸化亜鉛蛍光体粉体の形状や粒径、更には粒度分布を任意に調整することが可能となる。
また、該有機Znキレート錯体粉末から作製した酸化亜鉛蛍光体は、上記の様に略球形で方向性を有していないので、例えば励起源に電子線を用いる様々の用途に適用できるが、特に紫外線発光素子、レーザー発光素子を始めとして、蛍光体の励起源などに高い適性を発揮する。もっとも本発明では、先にも述べた様に個々の粉体が略球形であるものに制限される訳ではなく、楕円状や卵状、或いはそれらの一部が破壊された破砕片状のものであってもよく、それらも本発明の技術的範囲に包含される。
次に、酸化亜鉛蛍光体の製法についてより詳細に説明する。
(1)本発明の蛍光体を製造するに当たっては、まず第1の工程で有機Znキレート錯体からなる粉末を製造する。該粉末の製造は、例えば次の様にして行われる。まずZnおよび/またはZn化合物を有機キレート形成剤と反応させて、澄明な有機Znキレート錯体水溶液を調製する。この反応は、水性媒体中で、たとえば温度20℃〜沸点、好ましくは50〜70℃の範囲で行われる。好ましい水溶液濃度は、固形分換算で5質量%以上30質量%以下、より好ましくは10質量%以上20質量%以下であるが、勿論これらの温度域および濃度域に限定されるわけではない。
有機キレート形成剤の使用量は、全Znを完全溶解できるよう、Znイオンに対して当量以上とするのがよく、好ましくは1.0倍モル以上1.5倍モル以下である。尚、Znキレート錯体が完全に溶解しない場合は、アンモニアやアミン等を加えて完全溶解させるのがよい。
Zn原料としては、金属亜鉛、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物などを使用できるが、本発明において特に好ましいのは、反応後に余分なイオン等が残らないという観点から金属亜鉛、炭酸塩、水酸化物、酸化物が好ましく、最も好ましいのは、反応性も良好である酸化物や炭酸塩である。
ところで、酸化亜鉛蛍光体を製造する際に一番問題となるのは、不純物元素の混入であり、殊に有機金属キレート錯体の中でもナトリウム塩やカリウム塩などは熱分解後も蛍光体内に残留するため使用は避けるべきである。また塩素、硫黄、リン等が含まれる無機酸や無機酸塩(塩酸、硫酸、リン酸またはこれらの塩など)および有機物(チオール化合物など)は、焼成過程でほぼ完全に熱分解するが、均一組成のZnキレート錯体の生成に悪影響を及ぼす恐れもあるので、極力少なく抑えることが望ましい。
本発明で用いる有機キレート形成剤としては、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ジアミノプロパノール四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヘキサメチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジ(o−ヒドロキシフェニル)酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミン二こはく酸、1,3−ジアミノプロパン二こはく酸、グルタミン酸−N,N−二酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸、などの水溶性のアミノカルボン酸系キレート剤を挙げることができ、これらのモノマー、オリゴマー或はポリマーのいずれも用いることができる。
また、遊離酸タイプやアンモニウム塩またはアミン塩などを、Znとのキレート生成定数や、キレート錯体の安定性、更にはキレート錯体の水またはアルカリ水溶液中への溶解性などを考慮して使用することが好ましい。
上記の様にして調製された有機Znキレート錯体水溶液は、次いで噴霧乾燥によって粉体化される。噴霧乾燥する際の条件は、水溶液の濃度や溶液処理速度、噴霧空気量、熱風空気量等によって適宜に設定すればよいが、乾燥温度は、好ましくは有機物が分解しない温度を上限とし、また十分に乾燥できる温度を採用すればよい。こうした観点から、乾燥温度は100〜200℃程度の範囲がよく、より一般的なのは140〜180℃の範囲である。こうした乾燥温度を考慮すると、本発明で用いる上記アミノカルボン酸系キレート剤としては、200℃程度以下の温度で熱分解しないものを選択することが望ましい。
(2)前記工程(1)で得た粉末は、次いで焼成することにより金属酸化物粉末とされる。この際の好ましい条件は下記の通りである。
前記工程(1)で得られた有機Znキレート錯体を含む粉末は、そのまま焼成すると有機成分が熱分解して酸化亜鉛の粉末となる。500℃以上で焼成すると、有機成分は全て分解焼失して酸化亜鉛となるが、焼成温度が800℃未満では、その後に還元処理を行ってもごく微弱な発光しか得られないので、焼成温度は800℃以上とすることが望ましい。なお、焼成時および熱処理時の雰囲気は必ずしも空気中である必要はなく、必要に応じて酸素富化雰囲気や中性雰囲気、還元雰囲気で行ってもよい。
(3)上記工程(2)で得た酸化亜鉛粉末は、次いで還元処理を行う。このときの還元処理は、上記工程(2)で得た酸化亜鉛粉末を還元雰囲気中で熱処理すればよい。好ましい熱処理温度は500〜1200℃であり、より好ましくは600〜1000℃の範囲である。また還元雰囲気は水素を含む弱還元性雰囲気であれば特に制限されないが、好ましいのは、アルゴン/水素混合雰囲気あるいは窒素/水素混合雰囲気である。上記工程(2)において900℃で焼成したものを還元処理すると発光ピークが約500nmの緑色発光が得られ、また1000℃で焼成したものを還元処理すると発光ピークが約390nmである紫外線発光が得られる。
なお、前記工程(2)および(3)は、各々異なる焼成炉を用いて行ってもよく、或は、1つの焼成炉で焼成雰囲気と温度を変えることで連続的に行うことも勿論可能である。
上記の様に本発明によれば、有機Znキレート錯体粉末を酸素の存在下で有機物を分解して酸化亜鉛粉末を作製する工程と、得られた酸化亜鉛粉末を水素含有還元雰囲気中で処理する工程を実施することで、発光ピークが390nm付近である紫外線発光を有する酸化亜鉛蛍光体、あるいは発光ピークが500nm付近である緑色発光を有するZn蛍光体を容易に得ることができる。
本発明を実施する際に使用される前記有機Znキレート錯体粉末は、前述した如くZn原料と有機キレート形成剤を反応させることにより澄明な有機Znキレート錯体水溶液を調製した後、該水溶液を乾燥することによって製造されるが、この時の乾燥には噴霧乾燥法を採用することが望ましい。すなわち噴霧乾燥法では、前述した様に微細で粒径の揃った球状粒子が得られ易いからである。ここで使用する有機キレート形成剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤が好ましく使用される。
本発明に係る紫外線発光型酸化亜鉛蛍光体粉末は、例えば励起源として電子線を用いる様々の用途に適用できるが、特に紫外線発光素子、レーザー発光素子を始めとして、蛍光体の励起源などに極めて有効に活用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
1リットルのビーカーに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)115gと水を加えて総量を500gとした後、アンモニア水54gを加えて溶解させた。これを撹拌しながら、酸化亜鉛31gを加えた後、100℃に昇温して0.5時間撹拌を続けることにより完全に溶解させた。この溶液に水を加えて濃度調整し、無色透明のZn−EDTA錯体水溶液を得た。
この溶液を、噴霧乾燥法によって乾燥温度160℃で粉末化することにより、Zn−EDTA錯体粉末を得た。この粉末のX線回折チャートを確認したところ、入射X線の散乱によるハロー図形を示し、結晶構造はアモルファス(非晶質)のものであった。
この錯体粉末を、大気開放型の電気炉を用いて大気雰囲気下に700〜1000℃で3時間焼成することにより、有機物を熱分解除去して酸化亜鉛粉末を得た。図1は、大気雰囲気下に1000℃で焼成したときの該粉末のSEM写真であり、粒径の揃った略球形の微粉末であることを確認できる。
また図3は、大気雰囲気下に700〜1000℃で3時間焼成して得た酸化亜鉛粉末に、室温で30kVの電子線を照射することにより観測された発光スペクトルである(図中の符号は実験Noを表わす)。大気雰囲気下において900℃以上で焼成を行なうと、500nm付近をピークとする発光が表れるが、その輝度は微弱であることが確認できる。
各焼成温度で得られた酸化亜鉛粉末をAr+H2(3.8%)の気流中で800℃×1時間処理することにより、酸化亜鉛蛍光体粉末を得た。図2は大気雰囲気下に1000℃で焼成した後に還元雰囲気で処理して得られた酸化亜鉛粉末のSEM写真であり、還元雰囲気処理後も還元前の形状をほぼ維持していることが確認できる。
各焼成温度で得られた酸化亜鉛蛍光体粉末に、室温で30kVの電子線を照射することにより観測された発光スペクトルを図4(図中の符号は実験Noを表わす)に示す。この図からも明らかな様に、大気雰囲気での焼成温度が800℃以下では微弱な緑色発光が確認されるのみであるが、900℃では発光ピーク波長が約500nmの緑色発光を確認できる。また、1000℃では発光ピーク波長が390nmである非常にシャープな紫外線発光を示すことが分かる。
実施例に記載したZn−EDTA錯体粉末を大気雰囲気下1000℃で3時間焼成して得た酸化亜鉛粉末のSEM写真である。 実施例に記載した図1の酸化亜鉛粉末をAr+H2(3.8%)の気流中で800℃×1時間処理することにより得た酸化亜鉛蛍光体粉末のSEM写真である。 実施例で大気雰囲気下に700〜1000℃で3時間焼成して得た酸化亜鉛粉末に、30kVの電子線を室温で照射することによって観測された発光スペクトルである。 実施例で大気雰囲気下に700〜1000℃で3時間焼成したのち還元雰囲気で処理して得た酸化亜鉛粉末に、30kVの電子線を室温で照射することによって観測された発光スペクトルである。

Claims (6)

  1. 酸化亜鉛蛍光体を製造する方法であって、
    (1)Znの有機金属キレート錯体からなる粉末を製造する工程、
    (2)前記工程(1)で得た粉末を焼成して酸化亜鉛粉末を得る工程、
    (3)前記工程(2)で得た酸化亜鉛粉末を還元する工程
    を含むことを特徴とする酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  2. 酸化亜鉛蛍光体が、電子線励起によって390nm付近に発光ピークを有する紫外線発光型酸化亜鉛蛍光体である請求項1に記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  3. 酸化亜鉛蛍光体が、電子線励起によって500nm付近に発光ピークを有する緑色発光型酸化亜鉛蛍光体である請求項1に記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  4. 前記酸化亜鉛蛍光体は、粒径のほぼ揃った略球形のものである請求項1〜3のいずれかに記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  5. 前記工程(1)では、Znおよび/またはZn化合物と有機キレート形成剤を反応させることにより得られたZnの有機金属キレート錯体水溶液を噴霧乾燥して粉末を得る請求項1〜4のいずれかに記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  6. 前記有機キレート形成剤として、アミノカルボン酸系キレート剤および/またはその塩を使用する請求項1〜5のいずれかに記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。

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