JP2006077151A - 液晶組成物および液晶素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い表示性能を示す液晶素子及びその作製に有用な液晶組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも1種の二周波駆動可能なスメクチック液晶と、少なくとも1種の二色性色素とを含む液晶組成物、及び該液晶組成物を含有する液晶層を有する液晶素子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶組成物、および該液晶組成物を含有する液晶層を有する液晶素子、特にゲストホスト方式の液晶素子に好適に利用できる液晶素子に関する。
デジタル情報の普及に伴い、デジタル情報を表示するためのディスプレイ(以下、電子ペーパーと呼ぶ)の重要性が増している。電子ペーパーに要求される性能としては、高い視認性と低消費電力が挙げられる。高い視認性とは、紙に近い白地を意味しており、そのためには、紙と同様の散乱白地に基づく表示方式が適している。低消費電力に関しては、反射型表示方式が、自発光型表示方式よりも低消費電力である。これまで、電子ペーパーとして、多くの方式が提案されている。例えば、反射型液晶表示方式、電気泳動表示方式、磁気泳動表示方式、二色球回転方式、エレクトロクロミック表示方式、ロイコサーマル表示方式などである。いずれの方式についても、高い視認性という観点からは、満足できるレベルにはなく、その改善が求められていた。
液晶素子(液晶表示素子)については、すでに多くの方式が提案されており、中でもゲストホスト方式の液晶素子は、明るい表示が可能であって、反射型に適した液晶素子として期待されている。ゲストホスト方式の液晶素子では、ネマチック液晶中に二色性色素を溶解させた液晶組成物をセル中に封入し、これに電場を与え、電場による液晶の動きに合わせて、二色性色素の配向を変化させ、セルの吸光状態を変化させることによって表示する方式である。このゲストホスト方式の液晶素子では、従来の液晶表示方式と比較して、偏光板を用いない駆動方式が可能であるため、より明るい表示が期待されている。また、一般的に液晶素子のスイッチングは、電場のON/OFFによる液晶の配向変化によって行われている。しかしながら、従来のスイッチング方式では、応答速度が遅い場合があった。
これに対し、印加電圧の周波数を増大していくと、誘電率異方性(Δε)が正から負へと変化する二周波駆動液晶を利用して、液晶の配向変化を電場の周波数切り替えにより可逆的に行う「二周波駆動方式」が知られている(非特許文献1参照)。この方式では、能動的に液晶の配向をスイッチングできるため、応答速度が速いという利点を有し、プロジェクター用途として利用されてきたことがある。この二周波駆動用液晶として、スメクチック相を示す液晶が報告されているが、ゲストホスト方式に関する記載はない(非特許文献2参照)。
Applied Physics Letters, 第25巻、第186〜188頁、1974年 Mol. Cryst. Liq. Cryst., 第49巻、第83〜87頁、1978年
本発明は、視認性が高く、且つ表示コントラストの高い液晶素子を作製するのに有用な液晶組成物、および視認性が高く、且つ表示コントラストの高い液晶素子を提供することを課題とする。
ゲストホスト方式液晶素子の表示コントラストは、液晶層を構成する液晶組成物中の二色性色素のオーダーパラメーターもしくはホスト液晶、又はセル構造によって左右されることが知られていた。一般に、ネマチック液晶と二色性色素を組み合わせた液晶組成物は、ネマチック相の秩序度が低いため、表示コントラスト比が改善されない。スメクチック液晶は、ネマチック液晶と比較して、より高い秩序度を有しているが、そのために、実用的な電圧による配向変化が困難であった。しかし、本発明者は鋭意検討した結果、二周波駆動可能なスメクチック液晶中に二色性色素を存在させることにより、電圧駆動による光シャッターが実現でき、また、その表示コントラストが向上するという予期せぬ効果が得られるとの知見を得、この知見に基づいてさらに検討して本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも1種の二周波駆動可能なスメクチック液晶と、少なくとも1種の二色性色素とを含む液晶組成物。
[2] 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記一般式(1)で表される置換基を有する色素である[1]の液晶組成物;
一般式(1)
−(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1
(式中、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、B1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表し、Q1は2価の連結基を表し、C1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表し、jは0または1を表し、p、q、rは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表すが、一般式(1)中に含まれるB1及びB2で表される基の総数は3以上10以下である。p、qおよびrが各々2以上の時、2以上のB1、Q1およびB2は各々同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B1p−(Q1q−(B2r}は同一でも異なっていてもよい。)
[3] 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記一般式(2)で表される化合物である[1]又は[2]の液晶組成物;
Figure 2006077151
1は−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、rおよびnは、[2]中に記載の一般式(1)中のそれぞれと同定義である。R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々水素原子または置換基である。
[4] 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記一般式(3)で表される化合物である[1]〜[3]のいずれかの液晶組成物;
Figure 2006077151
式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は各々水素原子または置換基であるが、少なくとも一つ以上は、−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、rおよびnは、[2]中に記載の一般式(1)中のそれぞれと同定義である。
[5] 前記二周波駆動可能なスメクチック液晶が、スメクチックA相を示す[1]〜[4]のいずれかの液晶組成物。
[6] 少なくとも一方が透明電極である一対の電極と、該一対の電極間に液晶層とを有する液晶素子であって、該液晶層が[1]〜[5]のいずれかの液晶組成物を含有する液晶素子。
本発明の液晶組成物を含有する液晶素子は、高い視認性および表示コントラストを示す。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本発明の液晶組成物は、二色性色素および二周波駆動可能なスメクチック液晶を、それぞれ少なくとも1種含有する。以下、本発明に用いられる種々の材料について説明する。
本発明において、二色性色素は、ホスト液晶中に溶解し、光を吸収する機能を有する化合物と定義される。本発明に使用可能な二色性色素としては、吸収極大ならびに吸収帯に関しては、いかなるものであってもよいが、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する場合が好ましい。また、二色性色素は2種類以上を用いてもよく、Y、M、Cに吸収極大を有する二色性色素の混合物を用いるのが好ましい。イエロー色素、マゼンタ色素ならびにシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(時田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは、430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは、500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲である。
次に、本発明の二色性色素に用いられる発色団について説明する。
前記二色性色素の発色団はいかなるものであってもよいが、例えば、アゾ色素、アントラキノン色素、ペリレン色素、メロシアニン色素、アゾメチン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、アズレン色素、ジオキサジン色素、ポリチオフェン色素、フェノキサジン色素などが挙げられる。好ましくはアゾ色素、アントラキノン色素、フェノキサジン色素であり、特に好ましくはアントラキノン色素、フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)である。
アゾ色素はモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、ペンタキスアゾ色素などいかなるものであってもよいが、好ましくはモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素である。
アゾ色素に含まれる環構造としては芳香族基(ベンゼン環、ナフタレン環など)のほかにも複素環(キノリン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環など)であってもよい。
アントラキノン色素の置換基としては、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。該置換基の置換数はいかなる数であってもよいが、ジ置換、トリ置換、テトラキス置換が好ましく、特に好ましくはジ置換、トリ置換である。該置換基の置換位置はいかなる場所であってもよいが、好ましくは1,4位ジ置換、1,5位ジ置換、1,4,5位トリ置換、1,2,4位トリ置換、1,2,5位トリ置換、1,2,4,5位テトラ置換、1,2,5,6位テトラ置換構造である。
フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)の置換基としては、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。
本発明の二色性色素は、下記一般式(1)で表される置換基を有することが好ましい。
一般式(1)
−(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1
式中、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、B1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表し、Q1は2価の連結基を表し、C1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表す。jは0または1を表し、p、qおよびrは各々0〜5までの数を表し、nは1〜3までの数を表すが、一般式(1)中に含まれるB1及びB2で表される基の総数は3以上10以下である。p、qおよびrが各々2以上の時、2以上のB1、Q1およびB2は各々同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B1p−(Q1q−(B2r}は同一でも異なっていてもよい。
Hetは酸素原子または硫黄原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表す。B1およびB2が表す2価のアリール基、ヘテロアリール基及び環状脂肪族炭化水素基には、置換基を有する2価のアリール基、ヘテロアリール基及び環状脂肪族炭化水素基も含むものとする。
2価のアリール基としては、好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、好ましいアリール基の具体例を挙げると、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の基である。特に好ましくは、ベンゼン環、置換ベンゼン環の基であり、さらに好ましくは1、4−フェニレン基である。B1およびB2の表す2価のヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜20のヘテロアリール基であり、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びトリアゾール環の基、ならびにこれらが縮環して形成される縮環ヘテロアリール基である。B1およびB2の表す2価の環状炭化水素基としては、好ましくは、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタンー1,3−ジイル基であり、特に好ましくは、(E)−シクロヘキサン−1、4−ジイル基である。
1およびB2の表す2価のアリール基、ヘテロアリール基及び環状炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としては、下記の置換基群Vが挙げられる。
置換基群V:
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカロボニル)、炭素数0〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルフォニル)、ニトロ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、エタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8の置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、炭素数6〜80、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の無置換アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の置換アルキル基{例えばヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする}、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15、更に好ましくは炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数4〜6の置換又は無置換のヘテロアリール基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)。
これら置換基群Vはベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造もとることができる。さらに、これらの置換基上にさらに此処までに説明したVの説明で示した置換基が置換していてもよい。
置換基群Vとして好ましいものは、上述のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
1は2価の連結基を表す。好ましくは、炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含む原子団からなる連結基である。Q1が表す2価の連結基としては、炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、シクロヘキシル−1,4−ジイル)、炭素数2〜20のアルケニレン基(例えば、エテニレン)、炭素数2〜20のアルキニレン基(例えば、エチニレン)、アミド基、エーテル基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子またはアルキル基、アリール基をあらわす)、アゾ基、アゾキシ基、複素環2価基(例えば、ピペラジン−1,4−ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。Q1の表す2価の連結基として、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、およびそれらを組み合わせた基である。Q1はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表す。C1が表すアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基には、置換基を有するそれぞれの基も含むものとする。C1は好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルおよびシクロアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアシル基(例えばアセチル、ホルミル基、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、又は炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)を表す。C1は特に好ましくは、アルキル基又はアルコキシ基であり、さらに好ましくは、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基又はトリフルオロメトキシ基である。C1はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
jは0または1を表し、好ましくは0である。
p、q及びrは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表す。p、q、r及びnが2以上の場合、その繰り返し単位は同一であっても異なっていてもよい。但し、一般式(1)中に含まれるB1及びB2で表される基の総数は3以上10以下であり、即ち、(p+r)×nは3以上10以下の数である(但し、nが2以上で、p及びrがそれぞれ異なる場合、例えば、n=2で、pがp1とp2及びrがr1とr2の場合は、(p1+r1+p2+r2)は3以上10以下である)。
好ましいp、q、r及びnの組合せを以下に記す。
(i) p=3、q=0、r=0、n=1
(ii) p=4、q=0、r=0、n=1
(iii) p=5、q=0、r=0、n=1
(iv) p=2、q=0、r=1、n=1
(v) p=2、q=1、r=1、n=1
(vi) p=1、q=1、r=2、n=1
(vii) p=3、q=1、r=1、n=1
(viii) p=2、q=0、r=2、n=1
(ix) p=1、q=1、r=1、n=2
(x) p=2、q=1、r=1、n=2
特に好ましくは、(i)p=3、q=0、r=0、n=1;(iv)p=2、q=0、r=1、n=1;及び(v)p=2、q=1、r=1、n=1;の組合せである。
なお、−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1としては、液晶性を示す部分構造を含むことが好ましい。ここでいう液晶とは、いかなるフェーズであってもよいが、好ましくはネマチック液晶、スメクチック液晶、ディスコティック液晶であり、特に好ましくは、ネマチック液晶である。
−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない(図中、波線は連結位置を表す)。
Figure 2006077151
Figure 2006077151
本発明に用いられる二色性色素は、−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基を1以上有しているのが好ましく、1〜8有しているのがより好ましく、1〜4有しているのがさらに好ましく、特に好ましくは1または2である。
前記一般式(1)で表される置換基の好ましい構造は、Hetが硫黄原子であり、B1がアリール基またはヘテロアリール基を表し、B2がシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、C1がアルキル基を表し、j=1、p=2、q=0、r=1およびn=1を表す構造;およびHetが硫黄原子であり、B1がアリール基またはヘテロアリール基を表し、B2がシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、C1がアルキル基を表し、j=1、p=1、q=0、r=2およびn=1を表す構造;である。特に好ましい構造は、Hetが硫黄原子を表し、B1が1,4−フェニレン基を表し、B2がトランス−シクロヘキシル基を表し、C1がアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基)を表し、j=1、p=2、q=0、r=1およびn=1である下記一般式(a−1)で表される構造;およびHetが硫黄原子を表し、B1が1,4−フェニレン基を表し、B2がトランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、C1がアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基)を表し、j=1、p=1、q=0、r=2およびn=1である下記一般式(a−2)で表される構造;である。
Figure 2006077151
前記一般式(a−1)および(a−2)中、Ra1〜Ra12は各々独立して、水素原子または置換基を表す。該置換基としては、前述の置換基群Vから選ばれる置換基が挙げられる。Ra1〜Ra12はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、アルキル基、アリール基又はアルコキシ基であるのが好ましい。
前記一般式(a−1)および(a−2)中、Ca1およびCa2は各々独立してアルキル基を表し、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基を表す。
なお、本発明に用いられる二色性色素としては、下記一般式(2)または(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006077151
式中、R1は−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、rおよびnは、前記一般式(1)中のそれぞれと同定義であり、好ましい範囲も同様である。R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々水素原子または置換基である。
Figure 2006077151
式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は各々水素原子または置換基であるが、少なくとも一つ以上は、−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、rおよびnは、前記一般式(1)中のそれぞれと同定義であり、好ましい範囲も同様である。
2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8で表される置換基としては、上記置換基群Vが挙げられるが、好ましくは、炭素数6〜80、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、4−エチルフェニルチオ、4−n−プロピルフェニルチオ、2−n−ブチルフェニルチオ、3−n−ブチルフェニルチオ、4−n−ブチルフェニルチオ、2−t−ブチルフェニルチオ、3−t−ブチルフェニルチオ、4−t−ブチルフェニルチオ、3−n−ペンチルフェニルチオ、4−n−ペンチルフェニルチオ、4−アミルペンチルフェニルチオ、4−ヘキシルフェニルチオ、4−ヘプチルフェニルチオ、4−オクチルフェニルチオ、4−トリフルオロメチルフェニルチオ、3−トリフルオロメチルフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、より好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、フェネチルチオ)、置換もしくは無置換のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)、置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチル)、置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ)、置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル)、置換もしくは無置換のヘテロアリール基(例えば、2−ピリジル)、置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基(例えば、3−チエニルオキシ)などである。
2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8として好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、置換もしくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子、置換もしくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基である。
11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミド基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリールチオ基、アミド基である。
16として、好ましくはアミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ基を含む)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり、特に好ましくはアミノ基である。
以下に、本発明に使用可能な二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2006077151
Figure 2006077151
Figure 2006077151
Figure 2006077151
以下に、本発明に使用可能なアゾ系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2006077151
以下に本発明に使用可能なジオキサジン系二色性色素ならびにメロシアニン系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2006077151
前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素は、公知の方法を組み合わせて合成することができる。例えば、特開2003−192664号公報等の記載の方法に従い合成することができる。
次に、二周波駆動可能なスメクチック液晶について説明する。ここで、「二周波駆動可能な液晶」とは、該液晶に印加される電場の周波数が低周波数領域の場合に正の誘電率異方性を示し、高周波数領域の場合に誘電率異方性の符号が負に逆転する液晶である。日本学術振興会第142委員会編、液晶デバイスハンドブック、日刊工業新聞社、1989年、第189〜192頁に詳しい。二周波駆動可能なスメクチック相を示す液晶であれば、その構造については特に制限はないが、クロロフェニルまたはフルオロフェニル骨格がエステル結合により連結された構造が好ましい。スメクチック相は、一般にネマチック相よりも系の秩序度が高いため、同じ二色性色素を用いた場合、スメクチック相のホスト液晶の方が高いオーダーパラメーターを示すことが期待される。また、スメクチック相は、電場を印可しない場合、その配向状態が維持されるというメモリー性を示すことが期待される。高いオーダーパラメーターは高い表示性能、メモリー性は超低消費電力の観点から好ましく、特に、スメクチックA相を示す二周波駆動可能な液晶が好ましい。また、末端に、アルキル基を有する構造が好ましい。本発明では、二周波駆動可能なスメクチック液晶を複数種用いてもよい。また、本発明の液晶組成物は、印加される電場の低周波数領域と高周波数領域で誘電率異方性の符号が逆転しないスメクチック液晶を含んでいてもよい。
本発明の液晶素子において、二周波駆動可能なスメクチック液晶は、二色性色素のオーダーパラメーターを向上させるのに寄与する。その結果、本発明の液晶素子、好ましくはゲストホスト型液晶表示素子の液晶層に用いた場合に、表示コントラストを向上させることができる。
本発明の液晶組成物には、物性を所望の範囲に変化させることを目的として(例えば、液晶相の温度範囲、誘電率異方性、屈折率異方性、又はクロスオーバー周波数を所望の範囲にすることを目的として)、液晶性を示さない種々の化合物を添加してもよい。ここで、クロスオーバー周波数とは、二周波駆動可能な液晶において、誘電率異方性が正から負へと変化する周波数のことを意味する。また、本発明の液晶組成物には、種々の添加剤、例えば、カイラル化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加してもよい。これらの添加剤の具体例については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第199〜202頁に記載のTN、STN用カイラル剤が挙げられる。
本発明の液晶組成物において、ホスト液晶および二色性色素の含有量については特に制限はないが、二色性色素の含有量(混合物の場合には、二色性色素の全含有量)はホスト液晶の含有量に対して0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることが特に好ましい。また、液晶セルの吸収スペクトルを測定することで、所望の光学濃度に必要な色素濃度を決定することが望ましい。本発明の液晶組成物は、前記二色性色素、及び所望により添加される化合物を、ホスト液晶中に溶解することで調製することができる。ホスト液晶への二色性色素の溶解は、機械的攪拌、加熱、超音波、あるいはその組合せなどを利用することができる。
本発明の液晶素子は、本発明の液晶組成物を含有する液晶層を備えた液晶素子である。本発明の液晶素子は、高い表示コントラストを示し、またメモリー性があるので、低消費電力による駆動が可能となる。本発明の液晶素子は、例えば、一対の電極基板(少なくとも一方は透明電極基板であるのが好ましい)間と、一対の電極基板に挟持される本発明の液晶組成物を含有する液晶層とから構成することができる。前記電極基板は、通常ガラスあるいはプラスチックからなる基板上に、電極層を形成したものを用いることができる。プラスチック基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、PESあるいはPENなどが挙げられる。基板については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第218〜231頁に記載のものを用いることができる。基板上に形成される電極層は、好ましくは透明電極層である。例えば、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ等から形成することができる。透明電極については、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第232〜239頁に記載のものが用いられる。
本発明の液晶素子は、例えば、一対の基板をスペーサーなどを介して、1〜50μm間隔で対向させ、基板間に形成された空間に本発明の液晶組成物を配置することにより作製することができる。前記スペーサーについては、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第257〜262頁に記載のものを用いることができる。本発明の液晶組成物は、基板上に塗布あるいは印刷することにより基板間の空間に配置することができる。
本発明の液晶素子は、単純マトリックス駆動方式あるいは薄膜トランジスタ(TFT)などを用いたアクテイブマトリックス駆動方式を用いて駆動することができる。駆動方式については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第387〜460頁に詳細が記載され、本発明の液晶素子の駆動方法として利用できる。
本発明の液晶素子の駆動には低周波領域及び高周波領域の電圧が用いられる。液晶層に印加される電圧の周波数領域の好ましい範囲は、用いる液晶の種類、該液晶のクロスオーバー周波数等によって異なるが、一般的には0.1Hz〜10MHzの範囲が好ましく、1Hz〜1MHzの範囲がより好ましい。ここで、低周波数領域として用いられるのは、一般的には、0.1Hz〜100kHzであるのが好ましく、1Hz〜10kHzであるのがより好ましく、10Hz〜10kHzであるのがさらに好ましい。高周波数領域として用いられるのは、一般的には100Hz〜10MHzであるのが好ましく、100Hz〜1MHzであるのがより好ましく、1kHz〜1MHzであるのがさらに好ましい。
本発明の液晶素子は、複数の二色性色素を含有する液晶組成物を利用したものであってもよい。利用する液晶組成物が示す色についても、いかなるものであってもよい。例えば、複数の二色性色素を混合して用いる等、黒色の液晶組成物を調製した場合には、電圧の印加によって黒色及び透明になる光シャッターとしての利用が挙げられる。また、レッド、グリーン及びブルーに各々着色された液晶組成物を調製し、3種類の組成物を基板上に並置配置することにより、カラー表示用の液晶素子を作製することもできる。また、本発明の液晶素子は、積層構造を有していてもよい。例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンに着色した液晶組成物の各々からなる層を、3層積層させる構成;及び黒に着色した液晶組成物の層と、レッド、ブルー及びグリーンの液晶組成物の各々からなる層を並置配置させた層とを、2層積層させる構成;などが挙げられる。
本発明の液晶素子は、コンピューター、時計、電卓などの表示素子、電子光学シャッター、電子光学絞り、光通信光路切り替えスイッチ、光変調器などの種種の電子光学デバイスとして好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(実施例1)
<液晶組成物の作製>
二色性色素(1−1)及び(1−8)は、特開2003−192664号記載の方法に従い合成した。二色性色素(1−12)は、特願2004-89769号明細書記載の方法に従い、合成した。二色性色素(1−13)、(1−14)は、特願2004−50265号明細書記載の方法に従い、合成した。下記二色性色素(Y−1)、(M−1)及び(C−1)は、Jpn.J.Appl.Phys.vol37、第3422頁、1998年 記載の方法に準じて合成した
Figure 2006077151
二周波駆動可能なスメクチック液晶として、以下の液晶混合物を使用した。合成は、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 第37巻、第249〜262頁、1976年の方法に従い行った。なお、下記の液晶混合物は室温でスメクチックA相を示す。
Figure 2006077151
表1に示す二色性色素1.5mg、及び上記ホスト液晶150mgの混合物を、80℃のホットプレート上で1時間加熱した。該液晶組成物を室温にまで、冷却させ、1晩放置させて、表1に示す二色性色素をそれぞれ含有する液晶組成物を調製した。
<液晶素子の作製>
上記で得られた液晶組成物の各々を、加熱させた状態で、市販の液晶セル用基板に注入し、その後冷却させることで、液晶素子を各々作製した。用いた液晶セル用基板は、E.H.C.社製のもので、ITO透明電極層が形成されたガラス板(厚さ0.7mm)であり、セルギャップ8μmで、エポキシ樹脂シール付きであった。また、一対のガラス基板の対向面には、ラビング処理が施されたポリイミド水平配向膜が形成されていて、封入する液晶をパラレル配向させることができるものであった。
<オーダーパラメーターの評価>
作製した液晶素子に、ラビング方向に平行な偏光および垂直な偏光を各々照射し、それぞれの吸収スペクトル(A‖およびA⊥)を島津製作所製の紫外可視分光光度計(UV2400PC)にて測定した。極大吸収波長におけるA‖およびA⊥から、オーダーパラメーターSを下式1に従い求めた。
式1
S = (A‖ − A⊥) / (A‖ + 2・A⊥)
測定結果を表1に示す。ここで、吸光度とはラビング方向と平行な偏光を照射したときの吸収A‖を示す。
Figure 2006077151
表1から明らかなように、上記調製した本発明の液晶組成物は、高い吸光度および高いオーダーパラメーターを与える。中でも、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素を含有する液晶組成物は、特に高い吸光度及び高いオーダーパラメーターを与える。
<表示性能の評価>
低周波数の電圧印加による透明時、及び高周波数の電圧印加による着色時の濃度比(着色時の吸光度/透明時の吸光度)を、島津製作所製の紫外可視分光光度計(UV2400PC)を用いて測定した。なお、透明時は、50Hz、200Vの電圧を、着色時は、500kHz、200Vの電圧を印加した。結果を表2に示す。
Figure 2006077151
表1から明らかなように、上記作製した本発明の液晶素子に低周波及び高周波の電圧をそれぞれ印加して駆動すると、高い濃度比を与える。中でも、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素を用いた場合は、特に高い濃度比を与える。
また、上記作製した本発明の液晶素子を、散乱白色板上に設置させたところ、透明時に、散乱に基づく白色を示すことが確認された。すなわち、本発明の液晶素子は偏光板が不要であり、紙に近い散乱白地を与える視認性に優れた表示素子となることが確認された。
本発明の液晶組成物は、液晶素子の作製に広く用いることができ、特にゲスト−ホスト方式液晶表示素子の作製に用いるのが好ましい。本発明の液晶組成物を用いて作製されたゲスト−ホスト方式液晶表示素子は、高い表示性能を与え、視認性にも優れる。

Claims (6)

  1. 少なくとも1種の二周波駆動可能なスメクチック液晶と、少なくとも1種の二色性色素とを含む液晶組成物。
  2. 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記一般式(1)で表される置換基を有する色素である請求項1に記載の液晶組成物;
    一般式(1)
    −(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1
    (式中、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、B1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表し、Q1は2価の連結基を表し、C1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表し、jは0または1を表し、p、q、rは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表すが、一般式(1)中に含まれるB1及びB2で表される基の総数は3以上10以下である。また、p、qおよびrが各々2以上の時、2以上のB1、Q1およびB2は各々同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B1p−(Q1q−(B2r}は同一でも異なっていてもよい。)
  3. 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1又は2に記載の液晶組成物;
    Figure 2006077151
    1は−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、rおよびnは、請求項2中に記載の一般式(1)中のそれぞれと同定義である。R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々水素原子または置換基である。
  4. 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶組成物;
    Figure 2006077151
    式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は各々水素原子または置換基であるが、少なくとも一つ以上は、−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、rおよびnは、請求項2中に記載の一般式(1)中のそれぞれと同定義である。
  5. 前記二周波駆動可能なスメクチック液晶が、スメクチックA相を示す請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  6. 少なくとも一方が透明電極である一対の電極と、該一対の電極間に液晶層とを有する液晶素子であって、該液晶層が請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶素子。

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