JP2005126681A - 液晶素子 - Google Patents

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隆志 加藤
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Abstract

【課題】高い表示コントラスト比を示す液晶素子を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明電極である一対の電極3と5の間に、一般式(1):−(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1(式中、HetはOまたはSであり、B1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表し、Q1は2価の連結基を表し、C1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表し、jは0または1を表し、p、q、rは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表し、(p+r)×nは3以上10以下の数である)で表される置換基を有する少なくとも一種の二色性色素と、少なくとも一種のホスト液晶とを含むマイクロカプセル6を含む液晶層4を有する液晶素子1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶素子(液晶表示素子)に関し、特にゲストホスト方式に好適に利用できる。
液晶素子として多くの方式が提案されている。例えば、ゲストホスト方式の液晶素子では、液晶中に二色性色素を溶解させた液晶組成物をセル中に封入し、これに電場を与え、電場による液晶の動きに合わせて、二色性色素の配向を変化させ、セルの吸光状態を変化させることによって表示する方式である。このゲストホスト方式は、偏光板が不要となるため明るい表示が可能である点で、反射型液晶素子として期待されている。
このゲストホスト方式においては、さまざまな方式が提案されてきた。その中でも、マイクロカプセルを利用したGHモードは、二色性色素とホスト液晶とを高分子皮膜によりカプセル化して調製した液晶カプセルを利用する方式であり、取り扱い性に優れており、塗布もしくは印刷により液晶層を簡便に作製できることが報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平11−24090号公報 特開平11−142822号公報 特許2001−264739号公報
このマイクロカプセルを利用したゲストホスト方式の液晶表示素子においては、偏光板等の光損失の大きな光学部材が不要となるため、それらが用いられているTN型やSTN型等のいわゆる捩れネマチック方式の液晶表示素子に比べ、光の利用効率が高いという利点がある。従って、高輝度なカラー表示を実現できる可能性が高く、その更なる実用化の進展が期待されている。しかしながら、このマイクロカプセルを利用した従来のゲストホスト方式の液晶表示素子では、透明時においてもある程度の残色がある。用いている二色性色素のオーダーパラメーターが低いことおよび二色性色素がカプセルと相互作用して配向変化しないことが主な原因である。よって、より高いオーダーパラメーターを有する二色性色素の提供、およびカプセル壁と内部の液晶が明確なコア・シェル構造をとるマイクロカプセルの提供が望まれていた。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、表示コントラストの高い、作製が簡便な液晶素子、特にゲストホスト方式に好適に利用できる液晶素子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有し、前記液晶層が少なくとも一種の二色性色素と、少なくとも一種のホスト液晶とを含むマイクロカプセルを含み、前記二色性色素が、下記一般式(1)で表される置換基を有する液晶素子。
一般式(1)
−(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1
(式中、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、B1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表し、Q1は2価の連結基を表し、C1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表し、jは0または1を表し、p、q、rは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表し、(p+r)×nは3以上10以下の数であり、p、qおよびrが各々2以上の時、2以上のB1、Q1およびB2は各々同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B1p−(Q1q−(B2r}は同一でも異なっていてもよい。)
[2] 前記マイクロカプセルが、少なくとも1種の親水性の単量体と親水性の重合開始剤により形成されたカプセル壁を有する[1]に記載の液晶素子。
[3] 上記マイクロカプセルが、スチレン樹脂、ウレア樹脂、アクリレートエステル樹脂、メタクリレートエステル樹脂、アクリルアミド樹脂、フマル酸エステル樹脂及びその共重合体から選ばれる重合体からなるカプセル壁を有する[1]に記載の液晶素子。
[4] 上記ホスト液晶が、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたネマチック液晶である[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶素子。
[5] 上記二色性色素が、アントラキノン色素又はフェノキサゾン色素である[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶素子。
[6] 前記二色性色素の少なくとも1種が、下記式(2)又は式(3)で表される化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶素子。
Figure 2005126681
1は−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、r、nはそれぞれ、一般式(1)中のそれぞれと同定義である。R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々水素原子または置換基である。
Figure 2005126681
式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は各々水素原子または置換基であるが、少なくとも一つは−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、r、nは、一般式(1)中のそれぞれと同定義である。
[7] 上記式(2)または(3)で表される化合物のうち、j=1、p=2、q=0、r=1、n=1、Het=硫黄原子、B1=アリール基、B2=シクロヘキサン−1,4−ジイル基、C1=アルキル基である[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶素子。
[8] 上記マイクロカプセルが、少なくとも1種の親水性の置換基を有する単量体を用いたIn−situ重合法により調製された[1]〜[7]のいずれかに記載の液晶素子。
[9] 上記マイクロカプセルが、親水性重合開始剤を用いたラジカル重合により調製された[1]〜[8]のいずれかに記載の液晶素子。
本発明によれば、表示コントラストの高い液晶表示装置、特にゲストホスト方式に好適に利用できる液晶素子を、簡便に作製できる。マイクロカプセルを用いることにより、通常の真空注入プロセスではなく、スクリーン印刷法などの塗布による素子作製が可能となる。マイクロカプセルを用いることで、インクジェット法などを利用したパターニングが可能となる。液晶と二色性色素との混合物を液体ではなく、カプセル状にすることにより、インクとして安定に取り扱うことが可能となる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本発明に使用可能な二色性色素(以下、本発明の色素とよぶことがある)としては、吸収極大ならびに吸収帯に関しては、いかなるものであってもよいが、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する場合が好ましい。イエロー色素、マゼンタ色素ならびにシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(時田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは、430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは、500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲である。また、白黒色表示用の液晶素子の態様では、黒色の二色性色素を用いることができる。また、複数の色素を混合して用い(例えば、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する色素を混合して用い)、所望の色相(例えば黒色)に調整することができる。
次に、本発明の二色性色素に用いられる発色団について説明する。
本発明において、二色性色素に用いられる発色団はいかなるものであってもよいが、例えば、アゾ色素、アントラキノン色素、ペリレン色素、メロシアニン色素、アゾメチン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、アズレン色素、ジオキサジン色素、ポリチオフェン色素、フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)などが挙げられ、具体的には、 「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display」(A.V.Ivashchenko著、CRC社、1994年)に記載されているものが挙げられる。
好ましくはアゾ色素、アントラキノン色素、ペリレン色素又はフェノキサゾン色素であり、特に好ましくはアントラキノン色素又はフェノキサゾン色素である。
アゾ色素は、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びペンタキスアゾ色素などいかなるものであってもよいが、好ましくはモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素である。アゾ色素に含まれる環構造としては芳香族基(ベンゼン環、ナフタレン環など)のほかにも複素環(キノリン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環など)であってもよい。
アントラキノン色素の置換基としては、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。該置換基の置換数はいかなる数であってもよいが、ジ置換、トリ置換、テトラキス置換が好ましく、特に好ましくはジ置換、トリ置換である。該置換基の置換位置はいかなる場所であってもよいが、好ましくは1,4位ジ置換、1,5位ジ置換、1,4,5位トリ置換、1,2,4位トリ置換、1,2,5位トリ置換、1,2,4,5位テトラ置換、1,2,5,6位テトラ置換構造である。
フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)の置換基としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。
本発明に用いられる二色性色素は、下記一般式(1)で表される置換基を有する。
一般式(1)
−(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1
式中、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表す。B1およびB2が表す2価のアリール基、ヘテロアリール基及び環状脂肪族炭化水素基には、置換基を有する2価のアリール基、ヘテロアリール基及び環状脂肪族炭化水素基も含むものとする。
2価のアリール基としては、好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、好ましいアリール基の具体例を挙げると、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の基である。特に好ましくは、ベンゼン環、置換ベンゼン環の基であり、さらに好ましくは1,4−フェニレン基である。B1およびB2の表す2価のヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜20のヘテロアリール基であり、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びトリアゾール環の基、およびこれらが縮環して形成される縮環ヘテロアリール基である。B1およびB2の表す2価の環状炭化水素基としては、好ましくは、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタンー1,3−ジイル基であり、特に好ましくは、(E)−シクロヘキサン−1,4−ジイル基である。
1およびB2の表す2価のアリール基、ヘテロアリール基及び環状炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としては、下記の置換基群Vが挙げられる。
置換基群V:
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカロボニル)、炭素数0〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルフォニル)、ニトロ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、エタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8の置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、炭素数6〜80、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の無置換アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の置換アルキル基{例えばヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする}、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15、更に好ましくは炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数4〜6の置換又は無置換のヘテロアリール基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)。
これら置換基群Vはベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造もとることができる。さらに、これらの置換基上にさらに此処までに説明したVの説明で示した置換基が置換していてもよい。
置換基群Vとして好ましいものは、上述のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子である。
1は2価の連結基を表し、炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1種の原子から構成される原子団からなる。2価の連結基としては、炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、シクロヘキシル−1,4−ジイル)、炭素数2〜20のアルケニレン基(例えば、エテニレン)、炭素数2〜20のアルキニレン基(例えば、エチニレン)、アミド基、エーテル基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基をあらわす)、アゾ基、アゾキシ基、複素環2価基(例えば、ピペラジン−1,4−ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。Q1の表す2価の連結基として、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、およびそれらを組み合わせた基である。Q1はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表すが、好ましい例としては、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルおよびシクロアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアシル基(例えばアセチル、ホルミル基、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、又は炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)を表す。C1は特に好ましくは、アルキル基又はアルコキシ基であり、さらに好ましくは、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基又はトリフルオロメトキシ基である。C1はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
jは0または1を表し、好ましくは0である。p、q及びrは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表し、(p+r)×nは3以上10以下の数である。なお、p、q、r及びnが2以上の場合、その繰り返し単位は同一であっても異なっていてもよい。好ましいp、q、r及びnの組合せを以下に記す。
(i) p=3、q=0、r=0、n=1
(ii) p=4、q=0、r=0、n=1
(iii) p=5、q=0、r=0、n=1
(iv) p=2、q=0、r=1、n=1
(v) p=2、q=1、r=1、n=1
(vi) p=1、q=1、r=2、n=1
(vii) p=3、q=1、r=1、n=1
(viii) p=2、q=0、r=2、n=1
(ix) p=1、q=1、r=1、n=2
(x) p=2、q=1、r=1、n=2
特に好ましくは、(i)p=3、q=0、r=0、n=1;(iv)p=2、q=0、r=1、n=1;及び(v)p=2、q=1、r=1、n=1;の組合せである。
なお、−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1としては、液晶性を示す部分構造を含むことが好ましい。ここでいう液晶とは、いかなるフェーズであってもよいが、好ましくはネマチック液晶、スメクチック液晶、ディスコティック液晶であり、特に好ましくは、ネマチック液晶である。液晶化合物の具体例としては、液晶便覧編集委員会編、液晶便覧、丸善、2000年の第3章「分子構造と液晶性」に記載されているものなどが挙げられる。
−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない(図中、波線は連結位置を表す)。
Figure 2005126681
Figure 2005126681
−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基の個数は、1〜8のいかなる数であってもよいが、好ましくは1〜4、特に好ましくは1または2である。
前記式(1)で表される置換基の好ましい構造は、Hetが硫黄原子であり、B1がアリール基またはヘテロアリール基を表し、B2がシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、C1がアルキル基を表し、j=1、p=2、q=0、r=1およびn=1を表す構造;およびHetが硫黄原子であり、B1がアリール基またはヘテロアリール基を表し、B2がシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、C1がアルキル基を表し、j=1、p=1、q=0、r=2およびn=1を表す構造;である。特に好ましい構造は、Hetが硫黄原子を表し、B1が1,4−フェニレン基を表し、B2がトランス−シクロヘキシル基を表し、C1がアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基)を表し、j=1、p=2、q=0、r=1およびn=1である下記一般式(a−1)で表される構造;およびHetが硫黄原子を表し、B1が1,4−フェニレン基を表し、B2がトランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、C1がアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基)を表し、j=1、p=1、q=0、r=2およびn=1である下記一般式(a−2)で表される構造;である。
Figure 2005126681
前記一般式(a−1)および(a−2)中、Ra1〜Ra12は各々独立して、水素原子または置換基を表す。該置換基としては、前述の置換基群Vから選ばれる置換基が挙げられる。Ra1〜Ra12はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基であるのが好ましい。
前記一般式(a−1)および(a−2)中、Ca1およびCa2は各々独立してアルキル基を表し、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基を表す。
なお、本発明に用いられる二色性色素としては、下記一般式(2)または(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005126681
式中、R1は−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、r及びnは、一般式(1)中のそれぞれと同定義である。R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々水素原子または置換基である。
Figure 2005126681
式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は各々水素原子または置換基であるが、少なくとも一つは、−S−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1で表される置換基である。ここで、Sは硫黄原子であり、B1、B2、Q1、p、q、r及びnは、一般式(1)中のそれぞれと同定義である。
2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8で表される置換基としては、上記置換基群Vが挙げられるが、好ましくは、炭素数6〜80、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、4−エチルフェニルチオ、4−n−プロピルフェニルチオ、2−n−ブチルフェニルチオ、3−n−ブチルフェニルチオ、4−n−ブチルフェニルチオ、2−t−ブチルフェニルチオ、3−t−ブチルフェニルチオ、4−t−ブチルフェニルチオ、3−n−ペンチルフェニルチオ、4−n−ペンチルフェニルチオ、4−アミルペンチルフェニルチオ、4−ヘキシルフェニルチオ、4−ヘプチルフェニルチオ、4−オクチルフェニルチオ、4−トリフルオロメチルフェニルチオ、3−トリフルオロメチルフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、より好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、フェネチルチオ)、置換もしくは無置換のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)、置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチル)、置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ)、置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル)、置換もしくは無置換のヘテロアリール基(例えば、2−ピリジル)、置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基(例えば、3−チエニルオキシ)などである。
2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8として好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、置換もしくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子、置換もしくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基である。
11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基又はアミド基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリールチオ基又はアミド基である。
16として、好ましくはアミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ基を含む)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり、特に好ましくはアミノ基である。
以下に、本発明に使用可能な二色性色素の具体例(前記式(2)で表されるアントラキノン化合物の具体例を含む。また、前記式(3)で表されるフェノキサゾン化合物の具体例を含む)を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2005126681
Figure 2005126681
Figure 2005126681
Figure 2005126681
以下に本発明に使用可能なアゾ色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2005126681
以下に本発明に使用可能なジオキサジン色素ならびにメロシアニン色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2005126681
本発明に使用可能な二色性色素は、「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display」(A.V.Ivashchenko著、CRC社、1994年)、「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)およびこれらに引用されている文献に記載の方法を参考にして合成することができる。
前記一般式(1)で表される置換基を有する化合物(以下、「本発明の化合物」という場合がある)は、ホスト液晶に対する溶解度が高く、かつ液晶組成物のオーダーパラメーターの向上に寄与する。特に、TFT駆動に適しているフッ素系ホスト液晶に対する溶解度が高い特徴を有している。また、ゲストホスト型液晶表示素子の二色性色素として機能させた場合に、表示コントラストの向上に寄与する。
本発明の液晶組成物に使用可能なホスト液晶は、本発明の化合物と共存し得るものであれば特に制限はないが、たとえば、ネマチック相あるいはスメクチック相を示す液晶化合物が利用できる。その具体例としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フッ素置換フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フッ素置換シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン、フッ素置換フェニルシクロヘキサン、シアノ置換フェニルピリミジン、フッ素置換フェニルピリミジン、アルコキシ置換フェニルピリミジン、フッ素置換アルコキシ置換フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、フッ素置換トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第154〜192頁および第715〜722頁に記載の液晶化合物を用いることができる。TFT駆動に適したフッ素置換されたホスト液晶を使用することもできる。例えば、Merck社の液晶(ZLI−4692、MLC−6267、6284、6287、6288、6406、6422、6423、6425、6435、6437、7700、7800、9000、9100、9200、9300、10000など)、チッソ社の液晶(LIXON5036xx、5037xx、5039xx、5040xx、5041xxなど)が挙げられる。
本発明に使用するホスト液晶の誘電率異方性は、正であっても負であってもよい。誘電率異方性が正のホスト液晶を水平配向させた場合には、電圧無印加時には液晶は水平に配向しているために二色性色素も水平となり光を吸収する。一方、電圧印加時に液晶分子が垂直に傾いてくるため二色性色素も垂直に傾き、その結果光を透過するようになる。すなわち、電圧印加時には白表示、電圧無印加時には着色表示を行うモードとなる。誘電率異方性が負のホスト液晶を垂直配向させる場合には、電圧無印加時には液晶は垂直に配向しているために二色性色素も垂直となり光を吸収することなく透過する。一方、電圧印加時に液晶分子が水平に傾いてくるため二色性色素も水平に傾き、その結果光を吸収するようになる。すなわち、電圧無印加時には白表示、電圧印加時には着色表示を行うモードとなる。誘電率異方性が負の液晶となるためには、液晶分子の短軸に誘電率異方性が大きななるような構造にする必要があるが、例えば、「月刊デイスプレイ」(2000年、4月号)の第4頁〜9頁に記載のもの、Synlett.,第4巻、第389頁〜396頁、1999年に記載のものが挙げられる。なかでも、電圧保持率の観点から、フッ素系置換基を有する誘電率異方性が負の液晶が好ましい。例えば、Merck社の液晶(MLC−6608、6609、6610など)が挙げられる。
本発明では、ホスト液晶の物性を所望の範囲に変化させることを目的として(例えば、液晶相の温度範囲を所望の範囲にすることを目的として)、液晶性を示さない化合物を添加してもよい。また、カイラル化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの化合物を含有させてもよい。そのような添加剤は、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第199〜202頁に記載のTN、STN用カイラル剤が挙げられる。
本発明の液晶素子における、ホスト液晶および二色性色素の含有量については特に制限はないが、二色性色素の含有量はホスト液晶の含有量に対して0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることが特に好ましい。また、ホスト液晶および二色性色素の含有量は、双方を含むマイクロカプセルを調整し、そのマイクロカプセルを封入した液晶セルの吸収スペクトルをそれぞれ測定して、液晶セルとして所望の光学濃度を示すのに必要な色素濃度を決定することが望ましい。
次に、本発明に用いられるマイクロカプセルについて説明する。
本発明では、ホスト液晶と二色性色素を含むマイクロカプセルを用いる。用いられるマイクロカプセル壁としては、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂、スチレン樹脂、ウレア樹脂、アクリレートエステル樹脂、メタクリレートエステル樹脂、アクリルアミド樹脂、フマル酸エステル樹脂又はこれらの共重合体など、様々なものが使用できる。好ましくは、スチレン樹脂、ウレア樹脂、アクリレートエステル樹脂、メタクリレートエステル樹脂、アクリルアミド樹脂、フマル酸エステル樹脂又はこれらの共重合体である。必要に応じて、マイクロカプセル壁には、架橋構造を導入してもよい。架橋構造の導入には、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミドの架橋前駆単量体を用いた共重合体を熱、紫外線あるいは放射線の照射により行う方法あるいは多官能性単量体(例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなど)を用いる方法が挙げられる。架橋剤の添加量は、いかなるものであってよいが、好ましくは、モノマーに対して、0.0001〜40モル%、より好ましくは、0.01〜30モル%、さらに好ましくは1〜20モル%である。
二色性色素とホスト液晶とを含むマイクロカプセルは種々の方法で製造することができる。例えば、二色性色素とホスト液晶とを混合し、そこに、壁を形成し得るモノマーを添加する。必要に応じて、さらに有機溶剤を添加してもよい。添加できる有機溶剤としては、例えば、芳香族系溶媒(ベンゼン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルビフェニルなど)、炭化水素系溶媒(ヘキサン、オクタンなど)、ハロゲン系炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなど)、エステル系溶媒(酢酸エチルエステル、アジピン酸エステル、フマル酸エステル、炭酸エステルなど)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、二トリル系溶媒(アセトニトリルなど)、ケトン系溶媒(アセトンなど)などが挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
次に、これらの混合物を油滴として、水相中に分散させる。水相中には、分散剤を添加してもよく、たとえば、高分子系分散剤、無機系分散剤、界面活性剤などいずれも用いることができる。高分子系分散剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどが挙げられる。無機分散剤としては、りん酸カルシウム、硫酸カリウム、シリカ、アルミナ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記混合物を油滴として水相中に分散させる方法としては、いかなるものであってもよいが、例えば、ホモジナイザー、分散メデイア、超音波分散機、膜乳化機などを用いることができる。分散メデイアとしては、例えば、サンドミル、ボールミル、アトライザー、三本ロール、バスケットミル、デイスパーサーなどが挙げられる。好ましい分散方法としては、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機、膜乳化機である。
次に、油滴中のモノマーを重合させてマイクロカプセル壁を形成させる。重合の形態としては、ラジカル重合、縮重合、付加重合などが好ましく、特に好ましくは、ラジカル重合である。ラジカル重合開始剤としては、いかなるものであってもよいが、例えば、2、2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤もしくはジアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤;が挙げられる。
また、マイクロカプセル壁の形成方法の態様はいかなるものであってもよく、化学的方法としては、界面重合法、In−situ重合法、液中硬化被覆法などが挙げられ、物理的方法としては相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、空中懸濁被覆法などが挙げられる。好ましくは、界面重合法、In−situ重合法であり、特に好ましくは、In−situ重合法である。
前記マイクロカプセルは、ホスト液晶と二色性色素とを含むコアと、カプセル壁からなるシェルとの組成が明確に区別されているのが好ましい。明確に区別されるコア・シェル構造を有するマイクロカプセルを用いると、駆動時における二色性色素の配向変化がカプセル壁によって阻害される可能性が小さく、コントラスト比の向上に寄与することになる。そのようなコア・シェル構造は、重合反応を、カプセルの表面近傍から開始させるようにすることで形成させることができる。具体的には、単量体および/または重合開始剤として、親水性のものを用いることで形成できる。重合反応をカプセルの表面近傍から進行させれば、コアであるホスト液晶および二色性色素と、シェルであるカプセル壁との相互作用が小さくなり、コア・シェル構造が明確なマイクロカプセルが作製できる。親水性の単量体については種々のものを用いることができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、メチル(メタ)アクリレートである。また、親水性の重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドが挙げられる。一方、疎水性の重合開始剤を用いた場合には、コアであるホスト液晶と二色性色素の近傍で重合反応が進行するため、生成したポリマーと二色性色素が相互作用しやすく駆動時の配向変化が阻害される可能性がある。なお、親水性の単量体および重合開始剤とは、オイル−水の2相系において、水相に存在し得るものを意味する。親水性の置換基としては、たとえば、ヒドロキシ基、スルホ基、エーテル基、アミド基、カルボキシ基、ウレイド基、アンモニウム基およびメチル基が挙げられる。
マイクロカプセル壁とホスト液晶の割合は、いかなるものであってもよいが、好ましくは、質量比でマイクロカプセル壁:ホスト液晶=200:100〜0.1:100の範囲であり、より好ましくは、100:100〜1:100の範囲であり、さらに好ましくは、20:100〜2:100の範囲である。
マイクロカプセルの大きさについては、特に制限はないが、好ましくは、直径0.1μm〜1mmの範囲であり、特に好ましくは、1μm〜100μmの範囲である。
本発明の液晶素子は、前記マイクロカプセルを含有する液晶層を備えた液晶素子である。本発明の液晶素子は、例えば、一対の電極基板間と、一対の電極基板に挟持される前記マイクロカプセルを含有する液晶層とから構成することができる。前記電極基板は、通常ガラスあるいはプラスチックからなる基板上に、電極層を形成したものを用いることができる。プラスチック基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂又はエポキシ樹脂などが挙げられる。基板については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第218〜231頁に記載のものを用いることができる。基板上に形成される電極層は、好ましくは透明電極層である。例えば、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ等から形成することができる。透明電極については、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第232〜239頁に記載のものが用いられる。
本発明の液晶素子の一態様の断面模式図を図1に示す。なお、図1において、図示された各要素の大きさ、個数および位置は、相対的なものであり絶対的なものではない。液晶素子1は、一対の基板2をスペーサーなど(不図示)を介して、1〜50μm間隔で対向させ、基板間に形成された空間に、前記マイクロカプセル6を封入して形成された液晶層4を有する。基板2の対向面には、それぞれ、透明電極層3および5が形成され、電圧を供与可能に構成されている。前記スペーサーについては、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第257〜262頁に記載のものを用いることができる。前記マイクロカプセルは、基板上に塗布あるいは印刷により設置することができる。
本発明の液晶素子は、単純マトリックス駆動方式あるいは薄膜トランジスタ(TFT)などを用いたアクテイブマトリックス駆動方式を用いて駆動することができる。駆動方式については、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第387〜460頁に詳細が記載され、本発明の液晶素子の駆動方法として利用できる。
本発明の液晶素子では、1つのマイクロカプセル中に複数の二色性色素を混合してもよいし、複数の色の異なるマイクロカプセルを併用してもよい。色についても、いかなるものであってもよい。黒色となるように、複数の二色性色素を混合した場合には、黒色と透明という光シャッターとしての利用が挙げられる。また、各々レッド、グリーン、ブルーに各々着色されたマイクロカプセル3種類、あるいは、イエロー、マゼンタ、シアンに各々着色されたマイクロカプセル3種類を並置配置することにより、カラー表示を行うこともできる。
本発明の液晶素子は、積層して用いてもよい。積層構造としては、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンに着色したマイクロカプセル層を3層積層させる構成、黒に着色したマイクロカプセル層とレッド、ブルー、グリーンのマイクロカプセルを並置配置させた層とを2層積層させる構成などが挙げられる。
本発明の液晶素子は、コンピューター、時計、電卓などの表示素子、電子光学シャッター、電子光学絞り、光通信光路切り替えスイッチ、光変調器などの種種の電子光学デバイスとして好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(実施例1)
<マイクロカプセルの作製>
上記二色性色素の例示化合物No.1−2及びNo.1−8は、特願2002−114955号明細書に記載の方法に従い合成した。上記二色性色素の例示化合物No.1−11及びNo.1−12は、特願2004−89769号明細書に記載の方法に従い合成した。上記二色性色素の例示化合物No.1−16は、特願2004−50265号明細書に記載の方法に従い合成した。
上記二色性色素の例示化合物No.1−2の150mg、重合開始剤V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬製)の5mg、モノマーとしてブチルメタクリレートの0.5g、メチルメタクリレートの0.5g及び架橋剤としてジエチレングリコールビスメタクリレートの0.1gを、ホスト液晶ZLI−5086(メルクジャパン製)5gに溶解させ、液晶溶液を調製した。この液晶溶液を、エスピージー社製内圧式マイクロキット(MN−20)SPG膜乳化装置を用いて、直径約30μmの液晶分散液滴を調製した。このとき、分散液として、ポリビニルアルコール2%水溶液(クラレ製ポバールMP−102)を用いた。
この分散液を、窒素雰囲気下80℃5時間に加熱することで、重合させて二色性色素とホスト液晶とを含むマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルを、水で洗浄した後、エチレングリコール水溶液に加えて、スクリーン印刷機を用いて、ITO透明電極付きガラス基板上に塗布した。この塗布物を、120℃で2時間加熱することで、溶媒を蒸発させた後、対向電極付きガラス基板を載せてエポキシ樹脂にて封止した。この様にして、ゲスト−ホスト反射型液晶表示素子(GH1)を作製した。
<反射率・コントラストの評価>
作製したゲスト−ホスト反射型液晶表示素子(GH1)の画像表示面側において、白表示側(透明時)、及び、黒表示側(着色時)の透過率、及び、コントラスト比(白表示の透過率/黒表示の透過率)を、分光光度測定器(島津製作所社製、UV−3100PC)を用いて測定した。なお、白表示側(透明時)は、50Hz、15Vの電圧を印加した。結果を表1に示す。
次に、比較として、以下に示す公知の色素Y−1、M−1及びC−1をそれぞれ用いた以外は、同一の方法によりマイクロカプセル型ゲスト−ホスト方式液晶表示素子をそれぞれ作製し、それぞれ評価した。
二色性色素の例示化合物No.1−8、1−11、1−12、1−16をそれぞれ用いた以外は、同一の方法により液晶素子をそれぞれ作製し、その評価を行った。それらの結果を表1に示す。
Figure 2005126681
Figure 2005126681
表1に示す結果より、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素を用いると、それ以外の二色性色素を用いるより、高いコントラスト比を与えることがわかる。即ち、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素をマイクロカプセル化することにより、コントラスト比の高い表示を与える液晶素子を簡便に作製できた。
(実施例2)
二色性色素(例示化合物No.1−2)の150mg、モノマーとしてメチルメタクリレートの1.0g、及び架橋剤としてジエチレングリコールビスメタクリレートの0.2gを、ホスト液晶ZLI−5081(メルクジャパン製)の6gに溶解させて液晶溶液を調製した。この液晶溶液を、ポリビニルアルコール2%水溶液(クラレ製ポバールMP−102)30ml中に、ホモジナイザー5000回転、10分間攪拌させることで乳化させて、前記直径約5μmの液晶溶液液滴が分散した乳化液を調製した。次に、窒素雰囲気下において、重合開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド)、和光純薬製)10mgを、この分散液に添加し、窒素雰囲気下80℃で5時間加熱することで、ラジカル重合させて二色性色素とホスト液晶とを含むマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルを水で洗浄した後、エチレングリコール水溶液に加えて、スクリーン印刷機を用いて、ITO透明電極付きガラス基板上に塗布した。この塗布物を、100℃1時間加熱することで、溶媒を蒸発させた後、対向電極付きガラス基板を載せてエポキシ樹脂にて封止し、本発明のマイクロカプセル型ゲストホスト方式液晶表示素子を作製した。
次に比較として、上述公知の色素Y−1、M−1、C−1をそれぞれ用いた以外は、同一の方法によりマイクロカプセル型ゲスト−ホスト方式液晶表示素子をそれぞれ作製し、それぞれ評価した。二色性色素の例示化合物No.1−8、1−11、1−12及び1−16を用いた以外は、同一の方法により液晶素子をそれぞれ作製し、その評価をそれぞれ行った。それらの結果を表2に示す。
Figure 2005126681
表2に示す結果から、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素を用いると、それ以外の二色性色素を用いるより、高いコントラスト比を与えることがわかった。即ち、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素を利用したマイクロカプセル型ゲストホスト方式液晶表示素子は、従来の二色性色素を用いた場合と比較して、高いコントラスト比を与えることがわかった。さらに、親水性のモノマーと親水性の重合開始剤を用いて調製したマイクロカプセルを利用した素子のほうが、より高いコントラスト比を与えることがわかった。
本発明の液晶表示素子の一実施形態の断面模式図である。
符号の説明
1 液晶表示素子
2 基板
3 電極層
4 液晶層
5 電極層
6 マイクロカプセル

Claims (2)

  1. 少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有し、前記液晶層が少なくとも一種の二色性色素と、少なくとも一種のホスト液晶とを含むマイクロカプセルとを含み、前記二色性色素が、下記一般式(1)で表される置換基を有する液晶素子。
    一般式(1)
    −(Het)j−{(B1p−(Q1q−(B2rn−C1
    (式中、Hetは酸素原子または硫黄原子であり、B1およびB2は各々2価のアリール基、ヘテロアリール基または環状脂肪族炭化水素基を表し、Q1は2価の連結基を表し、C1はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基を表し、jは0または1を表し、p、q、rは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表し、(p+r)×nは3以上10以下の数であり、p、qおよびrが各々2以上の時、2以上のB1、Q1およびB2は各々同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B1p−(Q1q−(B2r}は同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記マイクロカプセルが、少なくとも1種の親水性の単量体と親水性の重合開始剤により形成されたカプセル壁を有する請求項1に記載の液晶素子。
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