JP2000147479A - マイクロカプセル化されたゲスト・ホスト液晶材料を使用するカラ―液晶ディスプレイ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒色２色性染料混合物を含むマイクロカプセ
ル化された液晶フィルムにカラーフィルターを接着する
ことによって製造されるカラー液晶ディスプレイを提供
する。 【解決手段】 単層カラー液晶ディスプレイは、液晶と
２色性染料と３グループで補色の形になっている３原色
の等方性染料とを含むマイクロカプセルを使用するか、
あるいは別々のカプセルに封入されているか別のバイン
ダー内に分散されている黒色２色性染料と３原色等方性
染料とを含む液晶マイクロカプセルを使用して製造され
る。これら三つのグループの異なる液晶インクは、マル
チカラー液晶ディスプレイを形成するために基板上にモ
ザイク状またはストライプ状またはトライアド状に配列
してコーティングまたは印刷される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一般的にカラー液
晶表示ディスプレイに関し、特に液晶ディスプレイだけ
でなくカラー・フィルターとして役立つマイクロカプセ
ル化されたゲスト・ホスト液晶フィルムの使用に関す
る。本発明はまた、出力のマルチカラー化を生成する加
法混色法の使用にも関する。

【０００２】

【従来の技術】カラー液晶ディスプレイは、１）赤、
緑、青のネマティック曲線整列位相（ＮＣＡＰ）フィル
ムを使用する加法混色法またはシアン、マゼンタ、イエ
ローＮＣＡＰフィルムを使用する減法混色法によって製
造できる。これらは、Ｆｅｒｇａｓｏｎに付与された米
国特許第４，４３５，０４７号、第４，８３４，５０８
号、第４，８７８，７４１号、第４，９５３，９５３
号、第５，０５２，７８４号、第５，１３２，８１５
号、第５，１４２，３８９号に開示されている。これら
のカラー液晶ディスプレイは、一般に少なくとも２層の
フィルムから製造されるか、あるいは２）減法混色法を
使用したシアン、マゼンタ、イエローという３枚のゲス
ト・ホスト液晶ディスプレイを積み重ねることによって
製造される。これは、Ｔｒｉｍｍｉｅｒ等の論文、ＳＰ
ＩＥＶｏｌ．１２５７、Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｒｙｓｔａｌ
ａｎｄ Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎｓ（液晶と応用）（１
９９０年）、「Ｆｕｌｌ−Ｃｏｌｏｒ Ｓｕｂｔｒａｃ
ｔｉｖｅ ＬｉｇｈｔＶａｌｖｅ ｆｏｒ Ｄｉｓｐｌａ
ｙ Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎｓ（ディスプレイ応用のた
めのフルカラー減法混色ライトバルブ）」、９５〜１０
３ページと、Ｓｕｎｏｈａｒａ（スノハラ）らの論文、
ＳＩＤ ９６ Ｄｉｇｅｓｔ、「Ａ Ｒｅｆｌｅｃｔｉｖ
ｅ Ｃｏｌｏｒ ＬＣＤ ｕｓｉｎｇ Ｔｈｒｅｅ−Ｌａ
ｙｅｒ ＧＨ−Ｍｏｄｅ（３層ＧＨモードを使った反射
型カラーＬＣＤ）」、１０３〜１０６ページとに記述さ
れている。Ｓｕｎｏｈａｒａ（スノハラ）らの別の論
文、ＳＩＤ ９６ Ｄｉｇｅｓｔ、「Ｒｅｆｌｅｃｔｉｖ
ｅ Ｃｏｌｏｒ Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｒｙｓｔａｌ Ｄｉｓ
ｐｌａｙＣｏｍｐｏｓｅｄ ｏｆ Ｓｔａｃｋｅｄ Ｆ
ｉｌｍｓ ｏｆ Ｅｎｃａｐｓｕｌａｔｅｄ Ｌｉｑｕｉ
ｄ Ｃｒｙｓｔａｌ（カプセル入り液晶の積層フィルム
で構成される反射型カラー液晶ディスプレイ）」、７６
２〜７６５ページにも、カプセル入りゲスト・ホスト液
晶層を積み重ねることによるカラー液晶ディスプレイが
述べられており、あるいは３）現在のパソコンに使われ
ているものと同様にツイステッド・ネマティック液晶デ
ィスプレイ（ＴＮ ＬＣＤ）にカラーフィルターを接着
することによるカラー液晶ディスプレイが述べられてい
る。

【０００３】Ｆｅｒｇａｓｏｎに付与された上記の米国
特許に開示されている液晶小滴または液晶カプセルは、
すべてエマルジョン法によって準備される。Ｄｒｚａｉ
ｃ論文、Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ａｐｐｌｉｅｄ Ｐｈ
ｙｓｉｃｓ、Ｖｏｌ．６０、Ｎｏ．６、１９８６年９月
１５日発行の２１４２〜２１４８ページに、エマルジョ
ン法から用意された水性ベースのＮＣＡＰシステムはカ
プセル化された液晶よりもむしろポリマー・マトリック
ス内の液晶の相互浸透ネットワークであるということが
報告されている。したがってＦｅｒｇａｓｏｎに付与さ
れた上記の米国特許では完全に分離した染料と液晶の混
合物小滴を得ることが困難である。Ｄｒｚａｉｃ論文、
ＳＩＤ ９２ Ｄｉｇｅｓｔ、「３１．１招待講演：Ｄ
ｉｃｈｒｏｉｃ−Ｂａｓｅｄ Ｄｉｓｐｌａｙｓ ｆｒ
ｏｍ Ｎｅｍａｔｉｃ Ｄｉｓｐｅｒｓｉｏｎ（ネマテ
ィック分散からの２色性ベースのディスプレイ）」５７
１〜５７４ページには、ＮＣＡＰフィルムへの黒色２色
性染料混合物の混入は光学効率を改善するための偏光子
をなくすことができるということと、フルカラーＮＣＡ
Ｐ ＬＣＤは、カラーフィルターが接着されるときに製
造できるということが述べられている。この方法の欠点
は、このシステムにおける２色性染料の安定性問題であ
る。３枚のシアン、マゼンタ、イエローのゲスト・ホス
トＬＣＤを積み重ねることによって製造されるカラー液
晶ディスプレイは、高い輝度を発生させる。しかしその
光透過性は減少し、生産コストは、商業用多量生産用と
しては高価である。ＴＮ ＬＣＤへのカラーフィルター
の接着によって用意されるカラーＬＣＤは、入射光が偏
光子とカラーフィルターとによって大きく吸収されるた
めに低い光学効率を持っている。ＴＮ ＬＣＤとしての
十分な輝度を得るためには、バックライトによる透過モ
ードを使用することが必要である。その結果、重いバッ
テリーが必要となり、またバッテリーの短い寿命は実用
的な携帯型装置用には不適当である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ディスプレイの製造プ
ロセスを単純化し、製造コストを削減し、電力消費を低
減するために、カラーフィルターと偏光子とを使用しな
い単層のマルチカラーＬＣＤが望まれている。Ｗｕ等の
論文、ＳＩＤ ９０ Ｄｉｇｅｓｔ、「Ｍｉｎｉａｔｕ
ｒｅ Ｃｏｌｏｒ Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｒｙｓｔａｌ Ｄ
ｉｓｐｌａｙ （小型カラー液晶ディスプレイ）」、２
１７〜２１９ページには、単層のゲスト・ホスト・ポリ
マー分散型液晶ディスプレイ（ＰＤＬＣ）は、異なる性
質（例えば誘電率、複屈折、二重周波数）を有する３グ
ループの液晶の中に原色の２色性染料を溶解することに
よって製造できることが述べられている。Ｆｅｒｇａｓ
ｏｎに付与された米国特許第５，１３２，８１５号に
は、単層のカラー液晶ディスプレイを構成するために二
重周波数性を有する液晶の使用のことが述べられてい
る。上記の単層ディスプレイはそれぞれ、相分離法とエ
マルジョン法とを使用している。これら二つの方法によ
って用意された結果得られる染料と液晶の混合物小滴
は、分離した染料と液晶の小滴よりもむしろ、異なる染
料と液晶の混合物小滴を形成する傾向がある。単層カラ
ーＬＣＤに使用するために混合されるそれぞれの染料と
液晶の小滴は、分離したカプセルであって、カプセル壁
によって十分に保護されているべきである。このように
してこれらは、実用的な単層カラーＬＣＤを製造するた
めに使用できる。

【０００５】Ｈｓｕによって出願された２件の米国特許
出願第０８／８２７，５７９号と第０９／０４２，３９
４号は、参考として本出願に組み入れられる。これは、
２色性染料または等方性染料またはこれらの混合物を含
む個別の液晶カプセルの形をしたマイクロカプセル化さ
れた液晶（ＭＬＣ）材料のことを述べている。これらの
異なる染料と液晶の混合物のカプセルがバインダーに混
合されると、これらは攪拌混合しても安定である。更に
カプセル内の染料の安定性は、劇的に改善されて実用的
な用途に適するようになる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、マイクロカプ
セル化された染料と液晶の混合物と、等方性染料または
顔料を含むかあるいは含まない分散バインダーとを使用
するカラー液晶ディスプレイに関する。この染料と液晶
の混合物は、２色性染料と液晶、または２色性染料と等
方性染料と液晶、または等方性染料と液晶によって形成
することができる。他の観点では、本発明は、加法混色
法を用いた補色のカラー要素によるマルチカラー生成に
も関している。更に他の観点では、本発明は、単層のマ
ルチカラー液晶ディスプレイの製造方法に関している。
なお更に別の他の観点では、本発明は、コーティングと
印刷の方法によってカラー液晶ディスプレイを製造する
方法を述べている。

【０００７】

【発明の実施の形態】マイクロカプセル化された液晶
（ＭＬＣ）の準備 本発明で使用される液晶と染料とを含むマイクロカプセ
ルは、米国特許出願第０８／８２７，５７９号と第０９
／０４２，３９４号とに開示された方法にしたがって準
備される。本発明によれば、ＭＬＣ材料は、分散した染
料／液晶の小滴を封入する、ポリウレタンとポリユリ
ア、ポリユリア、メラミン・フォルムアルデヒド、ユリ
ア・フォルムアルデヒドのいずれかの薄いカプセル壁を
形成する界面重合によって準備することがもできる。染
料と液晶とポリイソシアネートとの均質な溶液が準備さ
れる。水性乳化溶液は、長首ビーカーに入れられ、５０
℃のウォーター・バス（温浴）内に保持される。ポリイ
ソシアネートと染料と液晶の溶液は、所望の液晶小滴サ
イズ（２〜３ミクロン）が得られるまで激しく攪拌しな
がら水性乳化溶液に加えられる。それから攪拌速度を減
らして、８〜１０時間のあいだ５０℃で反応を継続す
る。この反応中にポリオールおよび／またはポリアミン
と触媒とが加えられる。重合の終了時に、活性残留−Ｎ
ＣＯ基を後硬化するために水性ＮＨ４ ＯＨ溶液が加え
られる。この結果得られたスラリーは、過剰な反応物と
乳化剤とを除去して清浄な液晶マイクロカプセル・ウェ
ットケーキを得るために遠心分離器によって浄化され
る。カプセル壁は、ポリウレタン／ポリユリアまたはポ
リユリアから作られる。

【０００８】他のマイクロカプセル化の方法は、エチレ
ン無水マレイン酸（ＥＭＡ）コポリマー（共重合体）の
水溶液に２色性染料と液晶の混合物を乳化させることで
ある。この乳化剤は、温かい温度の水にＥＭＡコポリマ
ーを溶解することによって準備され、そのｐＨは、Ｎａ
ＯＨ溶液を加えることによって４〜５に調整される。こ
のマイクロカプセル化は、３０％のシメル３７２水溶液
を加えて６０〜９０℃の温度で液晶小滴を取り巻く薄い
メラミン・フォルムアルデヒド・フィルムを生成するこ
とによって実行される。形成された液晶小滴は、ウェッ
トケーキを形成するために遠心分離機によって浄化され
る。

【０００９】図１は、それぞれ二つの２色性染料と一つ
の等方性の赤、緑、青の染料または顔料を含む三つの黒
色ポリマー分散マイクロカプセル化された液晶（ＰＤＭ
ＬＣ）材料を使用する本発明の好適なカラー液晶ディス
プレイの図である。これらは、補色混合物を形成し、ま
た三つのサブピクセルの上に別々にコーティングされ
る。 図１に示す単層カラー液晶ディスプレイに使用さ
れる三つの黒色マイクロカプセル化された液晶（ＭＬ
Ｃ）材料は、下記の組合せにしたがって製剤される： 黒色２色性／等方性ＭＬＣ オン状態のカラー ２色性染料 等方性染料 緑／青 赤 赤 赤／青 緑 緑 赤／緑 青 青

【００１０】図２は、それぞれ三つのカプセル内に２色
性染料を含む黒色ＰＤＭＬＣと等方性の赤、緑、青の顔
料または染料を含むバインダーとの三つの混合物を使用
する、本発明の好適なカラー液晶ディスプレイの図であ
る。単層カラー液晶ディスプレイもまた、下記の製法に
したがって、黒色２色性ＭＬＣカプセルと三つの等方性
の赤、緑、青のカプセルとの三つの組合せから製造する
ことができる。このカラーＬＣＤの構造を図２に示す。 黒色２色性ＭＬＣ 等方性染料 オン状態のカラー 赤／緑／青 赤 赤 赤／緑／青 緑 緑 赤／緑／青 青 青

【００１１】原色等方性染料または顔料もまた、バイン
ダー内に直接溶解するか、分散することができるが、こ
れらのバインダーはその後に黒色ゲスト・ホストＭＬＣ
材料と混合されてカラー液晶印刷インクを形成する。こ
のカラーＬＣＤの構造を図３に示す。図３は、２色性染
料を含む黒色ＰＤＭＬＣと、それぞれ等方性の赤、緑、
青の顔料または染料が分散されているバインダーとの三
つの混合物を使用する、本発明の好適なカラー液晶ディ
スプレイの図である。これらのＰＤＭＬＣ材料は、三つ
のサブピクセル上に別々にコーティングされる。

【００１２】ポリマー分散ＭＬＣ（ＰＤＭＬＣ）フィル
ムの準備 バインダーと界面活性剤とに十分に混合した後の浄化さ
れた染料と液晶の混合物のカプセル・ケーキは、インジ
ウム酸化錫（ＩＴＯ）被覆基板上にコーティングまたは
印刷することができる。それからゲスト・ホストＰＤＭ
ＬＣフィルム上に、紫外線硬化性の光学的接着剤の層が
コーティングされるが、これはその後、別のＩＴＯ被覆
基板に積層されてＰＤＭＬＣディスプレイを形成する。
このカラー液晶ディスプレイは、このＰＤＭＬＣフィル
ムにカラーフィルターを接着することによって製造する
ことができる。３原色のＭＬＣ材料は、別々に、１）モ
ザイク、または、２）ストライプ、または、３）トライ
アド（三つ組）配列になっているサブピクセルとしてＩ
ＴＯ基板上に印刷されると、単層のカラーフィルターと
ゲスト・ホスト液晶を組み合わせるディスプレイが製造
できる。

【００１３】さて図１を参照すれば、本発明のマルチカ
ラー液晶ディスプレイ１は基本的に、共通のＩＴＯ３と
ピクセルＩＴＯ４とを有するガラス基板２と、バインダ
ー６内に分散された黒色ゲスト・ホスト（ＧＨ）ＰＤＭ
ＬＣ材料５の層とから構成される。このＰＤＭＬＣフィ
ルム内の黒色マイクロカプセルは、カプセル壁７と液晶
８と二つの２色性染料９と一つの等方性染料１０とから
構成される。オフ状態では、このカプセル内の液晶８と
染料分子９、１０とはランダムに配向されており、これ
が入射光を散乱・吸収する。光とカラー出力が存在しな
いので、このディスプレイの外観は黒くなる。オン状態
では、カプセル内の液晶と２色性染料分子は印加された
電界に平行に整列しており、等方性染料だけがそのカラ
ーを表す。三つのサブピクセルすべてがオン状態になる
と、ディスプレイは白く見える。

【００１４】今度は図２を参照すれば、本発明の他のマ
ルチカラー液晶ディスプレイは、黒色ＧＨ・ＰＤＭＬＣ
カプセル５と等方性染料カプセル１１を含むバインダー
６とから構成される。オフ状態では、このディスプレイ
は黒い外観を示す。赤色サブピクセルの一つがオン状態
になると、液晶８と２色性染料９は、印加された電界に
平行に整列し、等方性赤色染料１０だけがこれに対応す
る赤色を表す。同様にして図３では赤と緑のサブピクセ
ルがオンになると、バインダー６内に緑の染料１０また
は顔料１０が分散しているところは緑色に見える。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、それぞれ二つの２色性染料と一つの等
方性の赤、緑、青の染料または顔料を含む三つの黒色ポ
リマー分散マイクロカプセル化された液晶（ＰＤＭＬ
Ｃ）材料を使用する本発明の好適なカラー液晶ディスプ
レイの図である。

【図２】図２は、それぞれ三つのカプセル内に２色性染
料を含む黒色ＰＤＭＬＣと等方性の赤、緑、青の顔料ま
たは染料を含むバインダーとの三つの混合物を使用す
る、本発明の好適なカラー液晶ディスプレイの図であ
る。

【図３】図３は、２色性染料を含む黒色ＰＤＭＬＣと、
それぞれ等方性の赤、緑、青の顔料または染料が分散さ
れているバインダーとの三つの混合物を使用する、本発
明の好適なカラー液晶ディスプレイの図である。

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 染料と液晶材料を含むマイクロカプセル
   を使用したカラー液晶ディスプレイ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のカラー液晶ディスプレ
   イにおいて、前記染料と液晶材料は、１）ポリウレタン
   とポリユリアまたはポリユリア単独の壁、または２）メ
   ラミン・フォルムアルデヒドまたはユリア・フォルムア
   ルデヒドの薄い壁の中に封入されていることを特徴とす
   るマイクロカプセル。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のカラー液晶ディスプレ
   イにおいて、前記液晶は、ネマティック、スメクティッ
   クＡ、コレステリック、強誘電性材料およびそれらの混
   合物から構成されることを特徴とするマイクロカプセ
   ル。
4. 【請求項４】 請求項１に記載のカラー液晶ディスプレ
   イにおいて、前記染料は、２色性および／または等方性
   とそれらの混合物または顔料とを含むことを特徴とする
   マイクロカプセル。
5. 【請求項５】 請求項１に記載のカラー液晶ディスプレ
   イにおいて、前記染料は、１）一つのカプセル内に封入
   するためにの相補性黒色を形成する少なくとも二つの２
   色性染料と一つの等方性染料、または２）別々にカプセ
   ル化され、それからこれらのカプセルが混合されて相補
   性黒色を形成する少なくとも二つの２色性染料と一つの
   等方性染料、または３）一つのカプセル内に相補性黒色
   を形成する少なくとも三つの２色性染料と一つの等方性
   染料または顔料とをバインダー内に分散させたものから
   形成されることを特徴とするマイクロカプセル。
6. 【請求項６】 請求項４に記載の等方性染料または顔料
   において、前記カラーは、原色の赤または緑または青で
   あることを特徴とする等方性染料または顔料。
7. 【請求項７】 前記マイクロカプセル、界面活性剤、水
   性または溶剤ベースのバインダーとからなることを特徴
   とするコーティングまたは印刷のための組成物。
8. 【請求項８】 １）スクリーン印刷、または２）フレキ
   ソ印刷、または３）オフセット印刷、または４）フォト
   リソグラフィー（写真平版印刷）、または５）インクジ
   ェット印刷からなることを特徴とする基板へのコーティ
   ングまたは印刷の方法。
9. 【請求項９】 モザイクまたはトライアドまたはストラ
   イプ含むことを特徴とする印刷の配列。
10. 【請求項１０】 請求項８に記載の基板において、ガラ
    ス、プラスチック、金属またはシリコーンのウェーハか
    らなることを特徴とする基板。
11. 【請求項１１】 黒色ゲスト・ホスト・マイクロカプセ
    ル化された染料と液晶の混合物とカラーフィルターとを
    利用することを特徴とする装置。
12. 【請求項１２】 カラーフィルターとゲスト・ホスト液
    晶ディスプレイとを単一層に構成するのに、請求項５に
    記載されたカラー形成物を利用することを特徴とする装
    置。
13. 【請求項１３】 請求項１１と１２に記載の装置におい
    て、バインダーと接着剤とＩＴＯ被覆基板とを更に備え
    たことを特徴とする装置。
14. 【請求項１４】 請求項１３に記載の装置において、ア
    ドレス指定要素がＴＦＴとＴＦＤとプラズマとを含むこ
    とを特徴とする装置。