JP4869755B2 - 調光材料及び調光方法 - Google Patents

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Description

本発明は、調光材料及び調光方法に関し、特にゲストホスト方式の調光材料及び調光方法の技術分野に属する。
環境に対する関心の高まりにともなって、光の量を電気的に調節できる材料、いわゆる電気的な調光材料の重要性が高まっている。このような調光材料は、インテリア用途、建材用途、車両用途、広告用途など幅広い応用が期待されている。これまで、電気的な調光材料としては、酸化還元反応を利用したエレクトロクロミック方式、液晶とポリマーの複合系を利用した高分子分散型液晶(PDLC)方式などが提案されている。しかしながら、エレクトロクロミック方式では電流駆動による大面積化が難しい点、エレクトロクロミック色素の耐久性に課題が残されているなどの問題があり、また、PDLC方式に関しては、散乱白色と透明状態の切り替えしかできないために用途が限られる点、駆動電圧が高い場合があり、その改善が求められていた。
ゲストホスト方式を用いた調光材料は明るい調光が可能であり、調光用途に適した方式として期待されている。しかしながら、これまでに提案されているものは(例えば、特許文献1参照。)、依然としての調光性能が満足すべきレベルにない場合があり、その改善が求められていた。また、従来のゲストホスト方式では耐久性の観点から問題のある場合があり、その改善が求められていた。
特開2000−347224号公報
本発明の目的は、調光性能の高いゲストホスト方式による調光材料及び調光方法を提供することである。
通常のゲストホスト方式を利用した調光材料では、満足すべき調光性能を得ることが難しかった。そこで、本発明者は、鋭意努力したところ、特定の二色性色素と組合せることで非常に高い調光性能を与える調光材料が実現できるという知見を得、この知見に基づいてさらに検討して本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 一対の電極間に、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種の二色性色素と、少なくとも一種のホスト液晶と、少なくとも一種のカイラル剤と、を含有し、前記一対の電極間の距離が10μm〜16μmであり、入射光の透過率を変化させることを特徴とする調光材料。

〔式中、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 及びR の少なくとも一つは、−(Het) −{(B −(Q −(B −C であり、他は各々独立に水素原子又は置換基である。Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B −(Q −(B }は同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 及びR 17 の少なくとも一つは、−(Het) −{(B −(Q −(B −C であり、他は各々独立に水素原子又は置換基である。Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B −(Q −(B }は同一でも異なっていてもよい。〕
[2] 紫外線吸収層を有することを特徴とする前記[1]に記載の調光材料。
[3] 一対の透明電極を備える支持体間に、前記二色性色素と前記ホスト液晶とを含有する液晶組成物を挟持してなり、着色状態の光の透過率Tに対する無色透明状態の光の透過率Tの比(T/T)が、3〜1000の範囲であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の調光材料。
] 前記ホスト液晶が、ネマチック液晶であることを特徴とする前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の調光材料。
] 前記ホスト液晶が、二周波駆動性を示すことを特徴とする前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の調光材料。
前記二色性色素と前記ホスト液晶と前記カイラル剤とを含む液晶組成物中、前記カイラル剤を0.5質量%〜30質量%含むことを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の調光材料。
前記一対の電極間に、前記ホスト液晶ポリマーを含むことを特徴とする前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の調光材料。
[8] 前記ホスト液晶と前記ポリマーとの含有質量比が、1:10〜10:1であることを特徴とする前記[7]に記載の調光材料。
] 透明着色状態と無色透明状態とに変化して調光する、散乱着色状態と無色透明状態とに変化して調光する、又は高濃度の着色透明状態と低濃度の着色透明状態とに変化して調光することを特徴とする前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の調光材料。
10] ポリマー支持体を有することを特徴とする前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の調光材料。
11] 前記透明電極がITOであることを特徴とする前記[3]〜[10]のいずれか1項に記載の調光材料。
12] 更に、配向膜を有することを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の調光材料。
13] 前記配向膜が、ポリイミド配向膜、又はシランカップリング剤で形成されてなる膜であることを特徴とする前記[12]に記載の調光材料。
14] 更に、反射防止膜を有することを特徴とする前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載の調光材料。
15] 前記反射防止膜が、支持体表面に付設されていることを特徴とする前記[14]に記載の調光材料。
16] 前記反射防止膜が、透明電極表面に付設されていることを特徴とする前記[14]又は[15]に記載の調光材料。
17] 前記反射防止膜が、無機膜、有機膜、又は無機−有機複合膜であることを特徴とする前記[14]〜[16]のいずれか1項に記載の調光材料。
18] 更に、バリア層を有することを特徴とする前記[1]〜[17]のいずれか1項に記載の調光材料。
19] 前記[1]〜[18]のいずれか1項に記載の調光材料を、少なくとも電圧無印加状態と電圧印加状態とを切り替えて駆動することを特徴とする調光方法。
20] 前記[1]〜[18]のいずれか1項に記載の調光材料を、周波数の異なる電圧を印加して切り替えて駆動することを特徴とする調光方法。
本発明によれば、高い調光性能を示す調光材料及び調光方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本発明の調光材料は、少なくとも一種の下記一般式(1)で表される置換基を有する一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種の二色性色素と、少なくとも一種のホスト液晶と、少なくとも一種のカイラル剤と、を含有する。
一般式(1): −(Het)−{(B−(Q−(B−C
式中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B及びBは、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Qは2価の連結基を表し、Cはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB、Q及びBはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B−(Q−(B}は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
例えば、窓からの光の透過率を任意に調節するような調光ガラス等では、ある条件下においては明瞭に着色した状態や散乱して白濁した状態であって、他の条件下においては極めて透明度が高い状態であることが望ましい。
本発明の調光材料は、ホスト液晶の配向状態を変化させることで、透明着色状態と無色透明状態とに変化させて調光したり、又は散乱着色状態と無色透明状態とに変化させて調光させたりすることができる。また、着色透明状態と無色透明状態とを変化させる場合、高濃度の着色透明状態と低濃度の着色透明状態とを変化させる場合もある。
特に本発明の調光材料は、前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素を用いるため、着色状態と無色透明状態における光の吸収量の差が良好となり、ホスト液晶の配向状態が支持体の面に対して水平状態の時には高い発色を示し、配向状態が支持体の面に対して垂直状態の時には、光の透過率が高くなるという、高い調光性能を示す。
なお、調光材料は光が1回だけ調光材料を通過した状態を観測者が観測するのに対して、液晶表示素子の場合には外光が液晶表示素子を通過したあと、反射板で反射され、再度液晶表示素子を通過した状態を観測者が観測するため、調光材料の場合には液晶表示素子の場合よりも効率的に光を二色性色素で吸収させる必要があり、単に液晶表示素子の組成物をそのまま調光材料に用いたときに、高い調光性能が得られるかは明らかではない。
本発明の調光材料は、少なくとも前記二色性色素及び前記ホスト液晶を含有する液晶層を少なくとも1層設けてなる。なお、本明細書においては、液晶層を構成する組成物を「液晶組成物」と称し、該液晶組成物は、少なくとも前記二色性色素と、前記ホスト液晶と、を含有し、更に他の添加剤を含有することもできる。
<液晶層>
(二色性色素)
本発明の調光材料に用いられる二色性色素は、少なくとも1つ以上の下記一般式(1)で表される置換基を有することを特徴とする。
一般式(1): −(Het)−{(B−(Q−(B−C
式中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B及びBは、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Qは2価の連結基を表し、Cはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB、Q及びBはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B−(Q−(B}は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
本発明の調光材料において、二色性色素は、ホスト液晶中に溶解し、光を吸収する機能を有する化合物と定義される。本発明の二色性色素としては、一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有する。イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する場合が好ましい。また、二色性色素は2種類以上を用いてもよく、Y、M、Cに吸収極大を有する二色性色素の混合物を用いるのが好ましい。イエロー色素、マゼンタ色素ならびにシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(時田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは、430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは、500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲である。
下記一般式(1)で表される置換基について説明する。
一般式(1):−(Het)−{(B−(Q−(B−C
式中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B及びBは、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Qは2価の連結基を表し、Cはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表す。jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB、Q及びBはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B−(Q−(B}は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
及びBは、各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、いずれも置換基を有していてもいなくてもよい。
及びBで表されるアリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基である。好ましいアリーレン基の具体例を挙げると、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の基である。特に好ましくは、ベンゼン環、置換ベンゼン環の基であり、さらに好ましくは1、4−フェニレン基である。
及びBで表わされるヘテロアリーレン基としては、好ましくは炭素数1〜20のヘテロアリーレン基であり、より好ましくは炭素数2〜9のヘテロアリーレン基である。好ましいヘテロアリーレン基の具体例は、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びトリアゾール環からなる基、及びこれらが縮環して形成される縮環ヘテロアリーレン基である。
及びBの表す2価の環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは、炭素数3〜20、より好ましくは炭素数4〜10の2価の環状脂肪族炭化水素基である。好ましい2価の環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジイル、シクロペンタンジイルであり、より好ましくはシクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタンー1,3−ジイル基であり、特に好ましくは、(E)−シクロヘキサン−1、4−ジイル基である。
及びBの表す2価のアリーレン基、ヘテロアリーレン基及び2価の環状脂肪族炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としては、下記の置換基群Vが挙げられる。
(置換基群V)
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカルボニル)、炭素数0〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルフォニル)、ニトロ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、エタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8の置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、炭素数6〜80、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の無置換アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の置換アルキル基{例えばヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする}、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15、更に好ましくは炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数4〜6の置換又は無置換のヘテロアリール基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)。
これら置換基群Vはベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造もとることができる。さらに、これらの置換基上にさらに此処までに説明したVの説明で示した置換基が置換していてもよい。
置換基群Vとして好ましいものは、上述のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
は2価の連結基を表す。好ましくは、炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1種の原子から構成される原子団からなる連結基である。Qが表す2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、シクロヘキシル−1,4−ジイル)、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアルケニレン基(例えば、エテニレン)、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアルキニレン基(例えば、エチニレン)、アミド基、エーテル基、エルテル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、Rで表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜10のアルキル基であり、Rで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10のアリール基である。)、アゾ基、アゾキシ基、複素環2価基(好ましくは、炭素数2〜20、より好ましくは炭素数4〜10の複素環2価基であり、例えば、ピペラジン−1,4−ジイル基である。)を1つ又はそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。
の表す2価の連結基として、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、及びそれらを組み合わせた基である。
はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表す。Cが表すアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基には、置換基を有するそれぞれの基も含むものとする。
は好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル及びシクロアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアシル基(例えばアセチル、ホルミル基、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、又は炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)を表す。
は特に好ましくは、アルキル基又はアルコキシ基であり、さらに好ましくは、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基又はトリフルオロメトキシ基である。
はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
で表されるアルキル基の置換基としては、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるシクロアルキル基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキル基であることが好ましい。
で表されるアルコキシ基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるアルコキシカルボニル基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるアシル基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるアシルオキシ基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
jは0又は1を表し、好ましくは0である。
p、q及びrは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表し、B及びBで表される基の総数、すなわち(p+r)×nは、3〜10の整数であり、より好ましくは3〜5の整数である。なお、p、q、又はrが2以上のとき、2以上のB、Q及びBはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B−(Q−(B}は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
好ましいp、q、r及びnの組合せを以下に記す。
(i) p=3、q=0、r=0、n=1
(ii) p=4、q=0、r=0、n=1
(iii) p=5、q=0、r=0、n=1
(iv) p=2、q=0、r=1、n=1
(v) p=2、q=1、r=1、n=1
(vi) p=1、q=1、r=2、n=1
(vii) p=3、q=1、r=1、n=1
(viii) p=2、q=0、r=2、n=1
(ix) p=1、q=1、r=1、n=2
(x) p=2、q=1、r=1、n=2
特に好ましくは、(i)p=3、q=0、r=0、n=1;(iv)p=2、q=0、r=1、n=1;及び(v)p=2、q=1、r=1、n=1;の組合せである。
なお、−{(B−(Q−(B−Cとしては、液晶性を示す部分構造を含むことが好ましい。ここでいう液晶とは、いかなるフェーズであってもよいが、好ましくはネマチック液晶、スメクチック液晶、ディスコティック液晶であり、特に好ましくは、ネマチック液晶である。
−{(B−(Q−(B−Cの具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない(下記化学式中、波線は連結位置を表す)。
本発明に用いられる二色性色素は、−{(B−(Q−(B−Cで表される置換基を1以上有しているのが好ましく、1〜8個有しているのがより好ましく、1〜4個有しているのがさらに好ましく、特に好ましくは1又は2個有している場合である。
前記一般式(1)で表される置換基の好ましい構造は、下記の組み合わせである。
〔1〕 Hetが硫黄原子であり、Bがアリール基又はヘテロアリール基を表し、Bがシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、Cがアルキル基を表し、j=1、p=2、q=0、r=1及びn=1を表す構造。
〔2〕 Hetが硫黄原子であり、Bがアリール基又はヘテロアリール基を表し、Bがシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、Cがアルキル基を表し、j=1、p=1、q=0、r=2及びn=1を表す構造。
特に好ましい構造は、
〔I〕 Hetが硫黄原子を表し、Bが1,4−フェニレン基を表し、Bがトランス−シクロヘキシル基を表し、Cがアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基)を表し、j=1、p=2、q=0、r=1及びn=1である下記一般式(a−1)で表される構造、
〔2〕 Hetが硫黄原子を表し、Bが1,4−フェニレン基を表し、Bがトランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、Cがアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基)を表し、j=1、p=1、q=0、r=2及びn=1である下記一般式(a−2)で表される構造、
である。
前記一般式(a−1)及び(a−2)中、Ra1〜Ra12は各々独立に、水素原子又は置換基を表す。該置換基としては、前述の置換基群Vから選ばれる置換基が挙げられる。
a1〜Ra12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基であるのが好ましい。Ra1〜Ra12で表わされるアルキル基、アリール基、及びアルコキシ基のうち、好ましいものは、前述の置換基群Vに記載のアルキル基、アリール基、及びアルコキシ基と同義である。
前記一般式(a−1)及び(a−2)中、Ca1及びCa2は各々独立してアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基またはノニル基を表す。
前記一般式(a−1)及び(a−2)のうち、特に、Ca1及びCa2が炭素数3〜10の長鎖アルキル基の場合に、ホスト液晶への溶解性が向上し、着色状態における光吸収量が増加するため調光材料に好適である。この理由は明らかとなっていないが、ホスト液晶との相溶性が向上するためではないかと推測される。
本発明の二色性色素としては、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有する。
一般式(2)中、R、R、R、R、R、R、R及びRの少なくとも一つは、−(Het)−{(B−(Q−(B−Cであり、他は各々独立に、水素原子又は置換基である。
一般式(3)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の少なくとも一つ以上は、−(Het)−{(B−(Q−(B−Cであり、他はそれぞれ水素原子又は置換基である。
ここで、Het、B、B、Q、p、q、r、n、及びCは、一般式(1)におけるHet、B、B、Q、p、q、r、n、及びCと同定義である。
一般式(2)中、R、R、R、R、R、R、R及びRで表される前記置換基としては、上記置換基群Vが挙げられるが、好ましくは、炭素数6〜80、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、4−エチルフェニルチオ、4−n−プロピルフェニルチオ、2−n−ブチルフェニルチオ、3−n−ブチルフェニルチオ、4−n−ブチルフェニルチオ、2−t−ブチルフェニルチオ、3−t−ブチルフェニルチオ、4−t−ブチルフェニルチオ、3−n−ペンチルフェニルチオ、4−n−ペンチルフェニルチオ、4−アミルペンチルフェニルチオ、4−ヘキシルフェニルチオ、4−ヘプチルフェニルチオ、4−オクチルフェニルチオ、4−トリフルオロメチルフェニルチオ、3−トリフルオロメチルフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、より好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、置換若しくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、フェネチルチオ)、置換若しくは無置換のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)、置換若しくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチル)、置換若しくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ)、置換若しくは無置換のアリール基(例えば、フェニル)、置換若しくは無置換のヘテロアリール基(例えば、2−ピリジル)、置換若しくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基(例えば、3−チエニルオキシ)などである。
、R、R、R、R、R、R及びRとして好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、置換若しくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子、置換若しくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基である。
また、更に好ましくは、一般式(2)において、R、R、R、及びRの少なくとも一つが、−(Het)−{(B−(Q−(B−Cの場合である。
一般式(3)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミド基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリールチオ基、アミド基である。
16として、好ましくはアミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ基を含む)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり、特に好ましくはアミノ基である。
以下に、本発明に使用可能な二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
以下に、本発明にさらに使用可能なアゾ系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
以下に本発明にさらに使用可能なジオキサジン系二色性色素ならびにメロシアニン系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素は、公知の方法を組み合わせて合成することができる。例えば、特開2003−192664号公報等の記載の方法に従い合成することができる。
(ホスト液晶)
本発明の調光材料に使用可能なホスト液晶とは、電界の作用により、その配向状態を変化させ、ゲストとして溶解されている前記一般式(1)で表される二色性色素の配向状態を制御する機能を有する化合物と定義される。
本発明に使用可能なホスト液晶としては、二色性色素と共存しうるものであれば特に制限はないが、ネマチック相を示す液晶化合物が利用できる。ネマチック液晶の場合には、コレステリック液晶やスメクチック液晶に比べて、配列状態の変化に必要な電圧が低くなる。さらに、カイラル剤と組み合わせた場合に螺旋構造を形成しやすく、表示性能が向上するという利点がある。
ネマチック液晶化合物の具体例としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フッ素置換フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フッ素置換シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン、フッ素置換フェニルシクロヘキサン、シアノ置換フェニルピリミジン、フッ素置換フェニルピリミジン、アルコキシ置換フェニルピリミジン、フッ素置換アルコキシ置換フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、フッ素置換トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第154〜192頁および第715〜722頁に記載の液晶化合物を用いることができる。例えば、Merck社の液晶(ZLI−4692、MLC−6267、6284、6287、6288、6406、6422、6423、6425、6435、6437、7700、7800、9000、9100、9200、9300、10000など)、チッソ社の液晶(LIXON5036xx、5037xx、5039xx、5040xx、5041xxなど)、旭電化社の液晶(HA-11757)が挙げられる。
本発明に使用するホスト液晶の誘電率異方性は、正であっても負であってもよい。正の誘電率異方性を有するホスト液晶を用いる場合には、水平配向の配向膜と組み合わせて用いることが好ましく、負の誘電率異方性を有するホスト液晶を用いる場合には、垂直配向の配向膜と組み合わせて用いることが好ましい。
ホスト液晶を、配向膜や二周波駆動などの原理を利用して水平配向させた場合には、液晶分子が水平に配向しているために二色性色素も追従して水平となる。本発明にかかる二色性色素は正の二色性色素であるため、この状態において光を吸収する。一方、液晶分子が垂直配向する状態では二色性色素も垂直となる。正の二色性色素を用いる本発明では、この状態において光を透過する。
この場合、本発明の調光材料は、電圧無印加状態と電圧印加状態とを切り替えて駆動させることができる。
誘電率異方性が負の液晶となるためには、液晶分子の短軸に誘電率異方性が大きくなる構造にする必要があるが、例えば、「月刊デイスプレイ」(2000年、4月号)の第4頁〜9頁に記載のもの、Syn Lett.,第4巻、第389頁〜396頁、1999年に記載のものが挙げられる。例えば、Merck社の液晶(ZLI−2806など)が挙げられる。中でも、電圧保持率の観点から、フッ素系置換基を有する誘電率異方性が負の液晶が好ましい。例えば、Merck社の液晶(MLC−6608、6609、6610など)が挙げられる。
さらに、本発明の調光材料は、二波長駆動性を示す液晶を用いることもできる。二周波駆動液晶とは、該液晶に印加される電場の周波数が低周波数領域の場合に正の誘電率異方性を示し、高周波数領域の場合に誘電率異方性の符号が負に逆転する液晶である。日本学術振興会第142委員会編、液晶デバイスハンドブック、日刊工業新聞社、1989年、第189〜192頁に詳しい。その具体例として、アルドリッチ社製の二周波駆動液晶を示す。
市販の二周波駆動液晶材料として、チッソ社製DF−02XX、DF−05XX、FX−1001、FX−1002、メルク社製MLC−2048などを挙げることができる。
具体な骨格としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フッ素置換フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フッ素置換シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン、フッ素置換フェニルシクロヘキサン、シアノ置換フェニルピリミジン、フッ素置換フェニルピリミジン、アルコキシ置換フェニルピリミジン、フッ素置換アルコキシ置換フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、フッ素置換トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。
二周波駆動液晶を用いる場合には、本発明の調光材料に、低周波と高周波数の異なる電圧を印加して切り替えて駆動する。
本発明で用いられる二周波駆動液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。さらに、印加される電場の低周波数領域と高周波数領域で誘電率異方性の符号が逆転しない液晶化合物を含んでもよい。
該液晶に印加される電場の周波数領域は、好ましくは0.1Hz〜10MHzの囲であり、より好ましくは1Hz〜1MHzである。ここで、低周波数領域として用いられるのは0.1Hz〜100kHzであり、好ましくは、1Hz〜10kHzであり、より好ましくは10Hz〜10kHzである。高周波数領域として用いられるのは100Hz〜10MHzであり、好ましくは、100Hz〜1MHzであり、より好ましくは1kHz〜1MHzである。
なお、本発明に用いるホスト液晶の屈折率異方性(Δn)は、透明着色状態と無色透明状態を切り替える場合には、Δnの絶対値が小さなものが好ましく、散乱着色状態と無色透明状態を切り替える場合には、Δnの絶対値が小さなものが好ましい。ここでいう屈折率異方性(Δn)とは、液晶分子の長軸方向の屈折率(n‖)と液晶分子の短軸方向の屈折率(n⊥)との差として定義される。
Δn = n‖ − n⊥
透明着色状態と無色透明状態を切り替える方式として相転移方式を用いる場合には、Δnの絶対値が小さな液晶としてΔn=0.1以下のものが好ましい。Δnが小さいと螺旋構造におけるウエーブガイドが抑制されて光漏れが小さくなり、調光性能が向上するためである。
一方、散乱着色状態と無色透明状態を切り替える方式として相転移方式を用いる場合には、Δnの絶対値が大きな液晶としてΔn=0.1以上のものが好ましい。さらに好ましくはΔn=0.12以上である。これは、ランダムなフォーカルコニック状態に基づく散乱状態ではホスト液晶のΔnが大きいほど散乱強度が高くなり、調光性能が向上するためである。
本発明の調光材料におけるホスト液晶及び二色性色素の含有量については特に制限はないが、二色性色素の含有量はホスト液晶の含有量に対して0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜8質量%であることが更に好ましい。また、ホスト液晶および二色性色素の含有量は、双方を含む液晶組成物を調製し、その液晶組成物を封入した液晶セルの吸収スペクトルをそれぞれ測定して、液晶セルとして所望の光学濃度を示すのに必要な色素濃度を決定することが望ましい。
(その他の添加剤)
本発明の調光材料には、ホスト液晶の物性を所望の範囲に変化させることを目的として(例えば、液晶相の温度範囲を所望の範囲にすることを目的として)、液晶性を示さない化合物を添加してもよい。また、本発明の調光材料には、カイラル化合物を添加する。さらに紫外線吸収剤、酸化防止剤などの化合物を含有させてもよい。そのような添加剤は、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第199〜202頁に記載のTN、STN用カイラル剤が挙げられる。カイラル剤を添加すると、コレステリック液晶相を形成し、ネマチック液晶に溶解した二色性色素がらせん状に配列されることになる。よって、互いに直交する直線偏光に関して、両方の偏光を吸収することができるため、着色状態における光の吸収量が増加するので好適である。一方、一軸配向されたネマチック液晶層を用いた場合には、光は理論上半分しか吸収されないこととなる。
カイラル剤の添加量は液晶組成物中、0.5〜30質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。30質量%よりも多い場合、可視域に選択反射を示す場合があり調光性能が低下する、あるいは、カイラル剤がホスト液晶から析出しやすくなる場合がある。また、カイラル剤は複数種類使用してもよい。とくに、カイラルピッチの温度依存性が正のものと負のものとを組合せ使用することで、カイラルピッチの温度依存性が小さくなる場合が好ましい。
以下に本発明に用いられるカイラル剤の具体例を示す。
本発明の調光材料における調光性能については、その着色状態の光の透過率Tに対する透明状態の光の透過率Tの比(T/T)が、3〜1000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜1000の範囲であり、特に好ましくは、8〜1000の範囲である。
本発明の調光材料に用いる液晶組成物は、ポリマーと共存させてもよい。本発明の調光材料が、散乱着色状態と無色透明状態を切り替える方式の場合、ポリマーと共存させることが好ましい。
本発明の調光材料に用いる液晶組成物を分散含有するポリマー媒体層は、例えば、液晶組成物を分散したポリマー溶液を、基板上に塗設することにより形成することができる。ポリマー溶液中に液晶組成物を分散する方法としては、機械的攪拌、加熱、超音波、あるいはその組合せなどを利用して行うことができる。
前記ポリマー媒体層において、高分子媒体中に分散された液晶組成物とポリマー媒体との質量比は、1:10〜10:1が好ましく、1:1〜8:2がより好ましい。
高分子媒体層を形成する方法としては、高分子と液晶組成物とを溶解させた溶液を、基板上に塗設する方法もしくは液晶組成物とポリマーとを共通の溶媒に溶解した後、基板上に塗設し、溶媒を蒸発させる方法が好ましい。
前記ポリマー媒体層に用いる高分子には特に制限はない。シロキサンポリマー、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリビニルブチラール、ゼラチン等の水溶性高分子、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、酢酸ビニルやポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアルコール誘導体類、トリアセチルセルロースのようなセルロース誘導体類、ポリウレタン類、スチレン類等の非水溶性高分子が用いられる。
本発明の調光材料に用いる高分子としては、ホスト液晶との相溶性が高いという観点からシロキサンポリマー、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類が好ましい。
以下に、本発明のシロキサンポリマーの具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
さらに、ポリマー媒体層中には、液晶組成物の分散を安定化することを目的として、界面活性剤を用いることができる。本発明に適用できる界面活性剤に特に制限はないが、非イオン系界面活性剤が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキエチレンアルキルエーテル類、フルオロアルキルエチレンオキシド類等が用いられる。
特に、本発明に係る二色性色素は一般式(1)で表される置換基を有するため、ポリマーとして芳香族基を有するものを用いると、ポリマーとの相溶性が高くなり、調光性能を高めることができる。
本発明の調光材料において、前記ポリマー媒体層の厚みは、1016μmである。
また、調光材料の場合においては、特に二色性色素の添加量が多いほうが、調光性能が向上するため好ましいが、同時に、ポリマー分散型液晶を調整する方法として散乱強度の高くなりやすい重合相分離方式を適用した場合、重合時におけるラジカル種による二色性色素の分解を抑制する観点から、重合温度は室温よりも低くすることが好ましい。また、ラジカル種による反応性が低い場合が二色性色素の分解を抑制する効果があり、その観点からメタクリレート系モノマーを用いることが好ましい。また、光重合を利用する場合には、UV照射時における二色性色素の分解を抑制する観点から、UV照射強度を小さくすることが好ましく、例えば、1〜500mW/cmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜50mW/cmの範囲である。
ポリマーと液晶組成物とをあらかじめ混合してから相分離をさせる方法を適用する場合、適用するポリマーとしては二色性色素の染着を低下させる観点から芳香族基を持たないポリマーが好ましく、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリイミドなどが好ましい。
これらの施策によって透明状態における透過率が高くなるため好適である。
また、カイラル剤の添加濃度は近赤外域に選択反射帯がくるように調整すると、螺旋の回数が増えて二色性色素による光吸収率が高くなり、着色状態における発色が良好となるため好適である。
なお、本発明の調光材料は、1つの液晶層中に複数の二色性色素を混合してもよい。呈示する色についても、いかなるものであってもよい。
また、各色を呈する液晶層を別層にして積層してもよい。更には、各色を呈する液晶層(液晶部)を並置してもよい。
<調光材料の構成>
(基本構造)
調光材料は、少なくともホスト液晶及び二色性色素を含有する液晶層が存在すればよい。したがって、単に一対の支持体間に液晶層を存在させてなる態様であってもよいし、一対の電極基板間に液晶層を存在させ、電気的に調光状態を制御する態様(調光素子)であってもよい。好ましくは、支持体や基板が透明の場合である。
(各構成部材)
−電極基板−
電極基板としては、通常ガラスあるいはプラスチック(ポリマー)からなる基板(支持体)上に、電極層を形成したものを用いることができる。好ましくはプラスチック基板である。プラスチック基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、PESあるいはPENなどが挙げられる。基板については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第218〜231頁に記載のものを用いることができる。基板上に形成される電極層は、好ましくは透明電極層である。例えば、酸化インジウム、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化スズ等から形成することができる。この中でも、低抵抗で高い透明性を有する点から酸化インジウムスズ(ITO)を用いることが好適である。
透明電極については、たとえば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第232〜239頁に記載のものが用いられる。
−スペーサー−
本発明の調光材料は、例えば、一対の基板をスペーサーなどを介して、1〜50μm間隔で対向させ、基板間に形成された空間に液晶組成物を配置することにより作製することができる。前記スペーサーについては、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第257〜262頁に記載のものを用いることができる。本発明の調光材料は、基板上に塗布あるいは印刷することにより基板間の空間に配置することができる。
本発明の調光材料の場合、液晶層の厚さ、すなわちスペーサーにより形成される基板間の間隔は、1016μmであ。50μmより厚いと透明状態における透過率が低下しやすくなり、1μmより薄いと部分的な欠陥による通電のため表示ムラが生じやすくなり好ましくない。
−その他の部材−
その他の部材としては、例えば、バリア膜、紫外線吸収層、反射防止層、ハードコート層、汚れ防止層、有機層間絶縁膜、金属反射板、位相差板、配向膜などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
バリア膜は、調光材料において、水及び/又は酸素の通過を阻止するのに好適である。
バリア膜としては、有機ポリマー系、無機系、有機−無機の複合系いずれでもよい。有機ポリマー系としてはエチレンービニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA/PVOH)、ナイロンMXD6(NーMXD)、ナノコンポジット系ナイロンなどが挙げられる。無機系としてはシリカ、アルミナ、ニ元系などが挙げられる。その詳細は、例えば「ハイバリア材料の開発、成膜技術とバリア性の測定・評価方法」(技術情報協会、2004年)に記載されている。
本発明の調光材料において、バリア層は、製造しやすさの観点から支持体上の透明電極が設置されていない面側に設置することが好ましい。
本発明では、調光材料の紫外線による劣化を防止するために紫外線吸収層を設けることが好ましい。
紫外線吸収層としては、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明の調光材料において、紫外線吸収層は、製造しやすさの観点から支持体上の透明電極が設置されていない面側に設置することが好ましい。また、対向する2つの支持体の双方に設けられていてもよく、片方にのみ設けられていてもよいが、紫外線吸収層の機能を発揮するよう、少なくとも光の入射側の支持体に設けられていることが好ましい。
また、入射する光が防眩ミラーの表面で反射するのを抑え、防眩ミラーに光が充分に入射するよう、反射防止膜を設けることが好ましい。
反射防止膜は、無機材料または有機材料を用いて形成され、膜構成としては、単層であってもよく、または多層であってもよい。さらにまた、無機材料の膜と有機材料の膜とを多層構造とした無機−有機複合膜であってもよい。反射防止膜は、調光材料の一面側又は両面に設けることができる。両面に設ける場合、両面の反射防止膜は、同じ構成であっても別の構成であっても良い。例えば、一方の面の反射防止膜を多層構造とし、他方の面側の反射防止膜を簡略化して単層構造とすることも可能である。また、透明電極又は支持体上に直接反射防止膜を設けることができる。
反射防止膜に用いる無機材料としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WO等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、レンズがプラスチック製のレンズであるので、低温で真空蒸着が可能なSiO、ZrO、TiO、Taが好ましい。
無機材料で形成される多層膜としては、レンズ側からZrO層とSiO層の合計光学的膜厚がλ/4、ZrO層の光学的膜厚がλ/4、最表層のSiO層の光学的膜厚がλ/4の、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に成膜する積層構造が例示される。ここで、λは設計波長であり、通常520nmが用いられる。最表層は、屈折率が低く、かつ反射防止膜に機械的強度を付与できることからSiOとすることが好ましい。
無機材料で反射防止膜を形成する場合、成膜方法は例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。
反射防止膜に用いる有機材料としては、例えばFFP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等を挙げることができ、レンズ材料やハードコート膜(有する場合)の屈折率を考慮して選定される。成膜方法は、真空蒸着法の他、スピンコート法、ディップコート法などの量産性に優れた塗装方法で成膜することができる。
ハードコート層としては、公知の紫外線硬化もしくは電子線硬化のアクリル系もしくはエポキシ系の樹脂を用いることができる。
汚れ防止膜としては、含フッ素有機重合体のような撥水撥油性材料を使用することができる。
配向膜としては、ポリイミド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどを用いることが好ましく、ポリイミド、シランカップリング剤を用いることが、配向能力、耐久性、絶縁性、コストの観点から好ましい。
配向方法については、ラビング処理していても、していなくてもよい。配向状態に関しても、水平状態および垂直状態いずれであってもよい。
<用途>
本発明の調光材料は、高い調光性能を与えることができるため、調光、セキュリテイー、車載用途、インテリア、広告、情報表示板として好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
<調光材料の調製>
1.二色性色素および液晶の調製
二色性色素(1−2)及び(1−8)は、特開2003−192664号記載の方法に従い合成した。二色性色素(1−13)は、特開2005−120334号記載の方法に従い合成した。ホスト液晶ZLI−1132(ネマチック液晶。Δn=0.13)はメルク社から購入した。カイラル剤R−1011はメルク社から購入した。
2.調光素子の調製
透明電極であるITO付きガラス基板上にポリイミド水平配向膜(日産化学製)をスピンコート、焼成により付設した。つぎに、得られた水平配向膜付きガラス基板にラビング処理を施した。
ホスト液晶(ZLI−1132)1.0g中に、下表1に示した二色性色素と、カイラル剤(R−1011)とを、表2に示す組み合わせで加熱して溶解させた後、室温下1日放置させた。各々の二色性色素の添加量は、上記液晶組成物を8μmの液晶評価用セルに注入した場合における透過率が20%となるように調整した。なお、表2中のカイラル剤の濃度は、液晶組成物の総質量に対する濃度(質量%)である。
得られた液晶組成物に16μmの球状スペーサー(積水化学製)を少量混合し、上記のITO付きガラス基板を配向膜側が液晶層に接するようにはさんで、光硬化型シール剤(積水化学製)にて封止した。
3.評価
得られた本発明の調光材料は、電圧無印加時に着色状態であった。信号発生器(テクトロニクス株式会社製)を用いて、電圧(100V、60Hz)を印加した場合には、液晶層は無色透明状態となった。また、二色性色素の極大吸収波長における散乱着色状態と無色透明状態におけるUV/vis吸収スペクトル測定(島津製UV2400)を行い、散乱着色状態と無色透明状態の透過率を測定した。着色状態の光の透過率Tに対する無色透明状態の光の透過率Tの比(T/T)を表2に示す。
表2に示す通り、本発明の調光材料は、電気的に光の透過率を制御できる調光機能を有することが確認された。
[比較例1]
下記に示すイエロー色素Y−1、マゼンタ色素M−1、シアン色素C−1を用いた以外は、実施例1と同様にして調光材料を作製し、実施例1と同様に評価し、その結果を表2に示した。
表2に示すように、本発明の調光素子に比べ、比較の調光素子では、透過率の比が低く調光機能が低いことが明らかとなった。
[実施例2]
<調光材料の調製>
1.プラスチック基板の作製
特開2000−105445号公報の実施例1の試料110の作製と同様にPEN(Dupont−Teijin Q65A)に対し下塗り層及びバック層を作成した。すなわち、ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社製)2重量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行ない、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmの本発明のプラスチック基板(PEN)を得た。
2.透明電極層の作成
上記で得られたプラスチック基板の片面に、導電性のインジウム酸化スズ(ITO)をコーティングして、厚さ200nmの均一な薄膜を積層した。面抵抗約20Ω/cm、光透過率(500nm)85%であった。つぎに、ITO表面上に反射防止膜としてSiO薄膜(100nm)をスパッタにより付設した。光透過率(500nm)90%であった。
(液晶層の調製)
上記支持体を用いて実施例1と同様の操作にて、本発明の調光材料を調製した。
(バリア層の付設)
有機−無機ハイブリッド層の作製ソアノールD2908(日本合成化学工業(株)製、エチレン−ビニルアルコール共重合体)8gを1−プロパノール118.8g及び水73.2gの混合溶媒に80℃で溶解した。この溶液の10.72gに2N塩酸を2.4ml加えて混合した。この溶液を攪拌しながらテトラエトキシシラン1gを滴下して30分間攪拌を続けた。次いで、得られた塗布液を前記調光材料の支持体上にワイヤバーで塗布した。その後120℃で5分間乾燥することにより、調光材料に膜厚約1μmの有機−無機ハイブリッド層を形成した。
(紫外線吸収層の付設)
水42g、シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ社製:商品名R2105)40g、紫外線フィルター用カプセル液13.5gを混合した後、50質量%の2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの水溶液17g、20質量%のコロイダルシリカ分散液(日産化学社製:商品名スノーテックス0)65g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル(東邦化学社製 ネオスコアCM57)2.5gとポリエチレングリコールドデシルエーテル(花王社製 エマルゲン109P)2.5gを混合し、紫外線フィルター層用塗布液を得た。
次いで、得られた塗布液を前記調光材料のバリア層上にワイヤバーで塗布した。その後120℃で5分間乾燥することにより、調光材料に膜厚約1μmの紫外線吸収層を形成した。
ついで、実施例1と同様の操作により調光材料を調製した。
(表示性能の評価)
得られた本発明の調光材料を実施例1と同様に評価したところ、コントラスト比の高い調光が可能であることが確認された。
さらに、図1に示すように、本発明の調光材料10を自動車フロントガラス20の内側に接着剤を用いて接着させて、電気的に散乱着色状態と無色透明状態が切り換えられることを確認した。すなわち、本発明の表示素子がサンバイザーと同様の機能を果たすことを確認した。
また、図2に示すように、本発明の調光材料10をドアのガラス部分30に取り付け、電気的に散乱着色状態と無色透明状態が切り換えられることを確認した。すなわち、本発明の表示素子が調光機能を有するドアとして機能を果たすことを確認した。
[実施例5]
<調光材料の調製>
実施例1において、ホスト液晶を下記二周波駆動液晶1(アルドリッチ製)に変更した以外は実施例1と同様の操作により本発明の調光材料を調製した。
<評価>
本発明の調光材料は、低周波数の電圧(100V、100Hz)を印加した場合には無色透明状態に、高周波数の電圧(100V、100kHz)を印加した場合には着色状態に変化し、高い調光性を示すことが確認された。また、その応答速度は、20msec以下であることが確認された。
[実施例6]
<調光材料の調製>
実施例2において、ホスト液晶をホスト液晶HA−11757(旭電化製、ネマチック液晶、Δn=0.20。)に変更した点以外は実施例2と同様の操作により本発明の調光材料を調製した。
<評価>
実施例2と同様の評価を行ったところ、本発明の調光材料はコントラスト比の高い調光が可能であることが確認された。
[実施例7]
<調光材料の調製>
ホスト液晶E−63(メルク製、ネマチック液晶、Δn=0.13。)1.0g中に、下記表5のシロキサンポリマー、カイラル剤及び二色性色素を加熱溶解させて、液晶組成物を調整した。補助溶剤としてアセトンを使用した。各々の二色性色素の添加量は、上記液晶組成物を15μmの液晶評価用セルに注入した場合における透過率が20%となるように調整した。その他は、実施例2と同様の操作により本発明の調光材料を調整した。シロキサンポリマーは下記スキームに従い合成した。表5中、カイラル剤量及びシロキサンポリマー(高分子)量は、液晶組成物の総質量に対する質量(質量%)を示す。
<評価>
実施例2と同様の評価を行ったところ、本発明の調光材料はコントラスト比の高い調光が可能であることが確認された。また、高分子とカイラル剤とを組み合わせて用いることでも、高い調光性能を与えることが確認された。
本発明の調光材料子を自動車フロントガラスの内側に用いた図。 本発明の調光材料子をドアのガラス部分に取り付けた図。
符号の説明
10 調光材料
20 フロントガラス
30 ドアのガラス部分

Claims (20)

  1. 一対の電極間に、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種の二色性色素と、少なくとも一種のホスト液晶と、少なくとも一種のカイラル剤と、を含有し、前記一対の電極間の距離が10μm〜16μmであり、入射光の透過率を変化させることを特徴とする調光材料。

    〔式中、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 及びR の少なくとも一つは、−(Het) −{(B −(Q −(B −C であり、他は各々独立に水素原子又は置換基である。Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B −(Q −(B }は同一でも異なっていてもよい。〕

    〔式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 及びR 17 の少なくとも一つは、−(Het) −{(B −(Q −(B −C であり、他は各々独立に水素原子又は置換基である。Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上の時、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上の時、2以上の{(B −(Q −(B }は同一でも異なっていてもよい。〕
  2. 紫外線吸収層を有することを特徴とする請求項1に記載の調光材料。
  3. 一対の透明電極を備える支持体間に、前記二色性色素と前記ホスト液晶とを含有する液晶組成物を挟持してなり、着色状態の光の透過率Tに対する無色透明状態の光の透過率Tの比(T/T)が、3〜1000の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調光材料。
  4. 前記ホスト液晶が、ネマチック液晶であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の調光材料。
  5. 前記ホスト液晶が、二周波駆動性を示すことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の調光材料。
  6. 前記二色性色素と前記ホスト液晶と前記カイラル剤とを含む液晶組成物中、前記カイラル剤を0.5質量%〜30質量%含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の調光材料。
  7. 前記一対の電極間に、前記ホスト液晶ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の調光材料。
  8. 前記ホスト液晶と前記ポリマーとの含有質量比が、1:10〜10:1であることを特徴とする請求項7に記載の調光材料。
  9. 透明着色状態と無色透明状態とに変化して調光する、散乱着色状態と無色透明状態とに変化して調光する、又は高濃度の着色透明状態と低濃度の着色透明状態とに変化して調光することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の調光材料。
  10. ポリマー支持体を有することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の調光材料。
  11. 前記透明電極がITOであることを特徴とする請求項3〜請求項10のいずれか1項に記載の調光材料。
  12. 更に、配向膜を有することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の調光材料。
  13. 前記配向膜が、ポリイミド配向膜、又はシランカップリング剤で形成されてなる膜であることを特徴とする請求項12に記載の調光材料。
  14. 更に、反射防止膜を有することを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の調光材料。
  15. 前記反射防止膜が、支持体表面に付設されていることを特徴とする請求項14に記載の調光材料。
  16. 前記反射防止膜が、透明電極表面に付設されていることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の調光材料。
  17. 前記反射防止膜が、無機膜、有機膜、又は無機−有機複合膜であることを特徴とする請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の調光材料。
  18. 更に、バリア層を有することを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の調光材料。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の調光材料を、少なくとも電圧無印加状態と電圧印加状態とを切り替えて駆動することを特徴とする調光方法。
  20. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の調光材料を、周波数の異なる電圧を印加して切り替えて駆動することを特徴とする調光方法。
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