JP5036414B2 - 表示材料及び自動車部材 - Google Patents

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Description

本発明は、表示材料及び自動車部材に関し、特に電界により光学特性が変化する表示材料及び自動車部材に関する。
コレステリック液晶相は、そのらせんピッチを光の波長程度にすると、特定の波長の光を選択的に反射するという性質を有することから、選択反射を利用した表示材料として用いることができる。また、コレステリック液晶相に二色性色素を添加すると、いわゆるゲストホスト液晶方式を利用した表示材料となる。これらの表示材料は、ドキュメント情報の表示、イメージング情報の表示、また、光を電気的に制御する調光用途に用いられる。
このようにコレステリック液晶相を利用した表示材料は、従来から多くの検討がなされてきたが、駆動電圧が高いという課題があった。駆動電圧が低下すると消費電力の低下につながることから、低い駆動電圧の液晶表示材料は、環境に負荷をかけないという観点から重要である。また、駆動電圧を低下させると駆動用ドライバーを安価にすることが可能となり、コスト的な観点からも重要である。また、駆動電圧を低下させると表示材料の劣化を小さくすることが可能となり、長寿命化が容易となるという点で有利である。
上述のように駆動電圧を低下させることには多くのメリットがあるために、従来から駆動電圧を下げる取り組みがなされてきた。駆動電圧は、液晶化合物の配向を変化させるために必要な電圧であるため、液晶化合物の構造を変えることで、駆動電圧を下げることが可能である。具体的には例えば、フッ素置換された構造を有する液晶化合物は駆動電圧が低下するという報告がある(例えば、特許文献1参照。)。駆動電圧の高低は液晶化合物の構造に直結するため、駆動電圧を下げるには、上述のように、液晶化合物そのものの構造を変えるしかないと一般的に考えられていた。
また、自動車部材において、その光学特性を任意に制御できるものは、環境・省エネルギーの観点から重要である。これまで、自動車部材の光学特性を任意に制御できる技術が検討されてきたが、耐久性、光学特性などの観点から必ずしも満足できるレベルにはなかった。すなわち、自動車のような乗り物の部材として構造色部材を使った場合に、振動や衝撃が加わり、色ムラが発生したり、視認性に劣ることがあった。また、自動車のような比較的大きな面積に構造色を適用した場合、場所により表示性能が変化するという問題もあった。これまで、種々の表示材料が検討されてきたが、振動や衝撃に対して表示性能の優れた表示材料はほとんどないのが実状であった。
特開2004−67996号公報
そこで本発明の課題は、駆動電圧の低いコレステリック液晶相を利用した表示材料を提供することにある。
また、本発明の第二の課題は、駆動電圧の低く、且つ振動や衝撃に対して表示性能の優れた自動車部材を提供することにある。
本発明者の鋭意研究により、特定の材料、すなわち、少なくとも1つのフッ素原子を有する少なくとも1種のカイラル剤と、少なくとも1種のネマチック液晶とを含むコレステリック液晶を用いることで、駆動電圧の低い表示材料を提供できるとの知見を得、この知見に基づいてさらに検討して本発明を完成するに至った。また、このコレステリック液晶を含む自動車部材は、振動や衝撃に対して表示性能が優れているとの知見を得、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 電界により光学特性が変化しうるコレステリック液晶層を少なくとも1層有し、かつ、該コレステリック液晶層が、1つ以上のフッ素原子を有する少なくとも1種のカイラル剤と、少なくとも1種のネマチック液晶とを含有し、前記ネマチック液晶の誘電率異方性の絶対値が、1.0以上であり、前記コレステリック液晶層が、可視域、赤外域もしくは紫外域の光を反射し、前記コレステリック液晶層が、二色性色素を含有し、前記二色性色素が、下記一般式(1)で表される置換基を有し、前記カイラル剤が、下記一般式(2)で表されるカイラル剤および下記カイラル剤1〜5から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする表示材料である。
一般式(1): −(Het) −{(B −(Q −(B −C
〔一般式(1)中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上のとき、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B −(Q −(B }は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。〕

〔一般式(2)中、Ar 及びAr は、各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基を表す。但し、Ar 及びAr のうち少なくとも1つは、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基である。L は単結合または二価の連結基を表し、複数存在するAr 、Ar およびL はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記芳香族炭化水素基、芳香族へテロ環基及び二価の連結基は、置換基を有していてもよい。〕
] 前記コレステリック液晶層が、少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に存在し、シート状であることを特徴とする前記[1]に記載の表示材料である。
] 前記コレステリック液晶層に対して光の入射側に、紫外線吸収層が設置されていることを特徴とする前記[1]又は2]に記載の表示材料である。
] 前記コレステリック液晶層に対して光の入射側に、バリア層が設置されていることを特徴とする前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の表示材料である。
] 前記電極が、導電性ポリマーもしくはカーボンナノチューブで形成されてなることを特徴とする前記[]〜[]のいずれか1項に記載の表示材料である。
] 電界により光学特性が変化しうるコレステリック液晶層を少なくとも1層有し、かつ該コレステリック液晶層が少なくとも1つ以上のフッ素原子で置換されたカイラル剤と、少なくとも1種のネマチック液晶とを含有し、前記ネマチック液晶の誘電率異方性の絶対値が、1.0以上であり、前記コレステリック液晶層が、可視域、赤外域もしくは紫外域の光を反射し、前記コレステリック液晶層が、二色性色素を含有し、前記二色性色素が、下記一般式(1)で表される置換基を有し、前記カイラル剤が、下記一般式(2)で表されるカイラル剤および下記カイラル剤1〜5から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする自動車部材である。
一般式(1): −(Het) −{(B −(Q −(B −C
〔一般式(1)中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上のとき、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B −(Q −(B }は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。〕

〔一般式(2)中、Ar 及びAr は、各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基を表す。但し、Ar 及びAr のうち少なくとも1つは、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基である。L は単結合または二価の連結基を表し、複数存在するAr 、Ar およびL はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記芳香族炭化水素基、芳香族へテロ環基及び二価の連結基は、置換基を有していてもよい。〕
] 前記ネマチック液晶の誘電率異方性の絶対値が、1.0以上であること特徴とする前記[]に記載の自動車部材である。
本発明によれば、駆動電圧の低いコレステリック液晶相を利用した表示材料を提供することができる。また、駆動電圧の低く、且つ振動や衝撃に対して表示性能の優れる自動車部材を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<表示材料>
本発明の表示材料は、少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に、スペーサーなどを介して、コレステリック液晶層を配置する。この電極に電圧を印加することによって、電界により液晶の光学特性が変化し、表示を変化させることができる。
[コレステリック液晶層]
本発明の表示材料は、少なくとも1層の、電界により光学特性が変化しうるコレステリック液晶層を有する。コレステリック液晶層とは、少なくとも5℃〜40℃においてコレステリック相を呈する層を意味する。好ましくは、0℃〜60℃においてコレステリック相を呈する層である。コレステリック液晶は、メモリー性を有してもよいし、有していなくてもよい。透明状態と反射状態とを電気的に切り替えることが可能となる。
本発明にかかるコレステリック液晶層は、少なくともカイラル剤とネマチック液晶とを含有する。以下、コレステリック液晶層の組成物を詳細に説明する。
(カイラル剤)
本発明では、少なくとも1つのフッ素原子を有するカイラル剤を少なくとも1種用いる。一般的に、カイラルピッチ長が同じになるようにカイラル剤の添加量を調整すると、得られる液晶の駆動電圧は、添加したカイラル剤の種類によらず、概ね一定の値を示していた。このことから、これまでは、液晶の駆動電圧を下げるには液晶化合物の構造を変えるしかないと考えられてきた。
しかし、本発明では、フッ素原子を有するカイラル剤を適用することで駆動電圧が低下するという予期せぬ効果が明らかとなった。この効果が奏される理由については明らかとなっていないが、液晶とカイラル剤の相互作用が変化し、駆動電圧を支配するコレステリック相の弾性定数が主に変化したためと推測される。したがって、フッ素原子を有しているカイラル剤であれば同様の効果が得られると考えられる。なお、本発明は上記推測によって限定されない。
また、少なくとも1つのフッ素原子を有するカイラル剤を少なくとも1種用いた表示材料は、振動や衝撃に対して表示性能の劣化も抑制される。振動や衝撃が与えられると、セルギャップが不均一になること、もしくはコレステリック液晶の周期構造が不均一になることにより、表示ムラが発生するなど視認性に劣ることがあった。しかし、本発明にかかるカイラル剤を含むコレステリック液晶を用いれば、速やかに元の状態に回復し、表示性能の低下を抑制できるという予期せぬ効果が発現される。
一方、フッ素原子が導入されていないカイラル剤を用いたコレステリック液晶の場合には、振動や衝撃によって乱れた分子配置が元に戻りにくく、表示ムラがそのまま残ることになる。
本発明に用いられるカイラル剤は、駆動電圧をより低下させることができるという観点から、下記一般式(2)で表される化合物および後述のカイラル剤1〜5から選ばれる少なくとも1種である

一般式(2)中、Ar及びArは、各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基を表す。但し、Ar及びArのうち少なくとも1つは、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基である。Lは単結合または二価の連結基を表し、複数存在するAr、ArおよびLはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記芳香族炭化水素基、芳香族へテロ環基置換基及び二価の連結基は、置換基を有していてもよい。
以下、一般式(2)について、更に詳細に説明する。
一般式(2)中、ArおよびArは、各々独立に、芳香族炭化水素環基または芳香族へテロ環基を表し、ArおよびArのうち少なくとも1つは、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基である。これらの基を構成する芳香族炭化水素環としてはベンゼン、ナフタレン等が挙げられ、また、芳香族へテロ環としてはピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、ピラゾール、イミダゾ−ル、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール等が挙げられる。
一般式(2)におけるArとして、好ましくは芳香族炭化水素環基であり、特に好ましくはベンゼン環を含む基である。
一般式(2)におけるArとして、好ましくは芳香族炭化水素環基または芳香族6員ヘテロ環基であり、特に好ましくは芳香族炭化水素環基であり、更に好ましくはベンゼン環を含む基である。
一般式(2)におけるAr及びArの、芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基が有するフッ素原子の置換位置は、いずれであってもよいが、液晶との相溶性を高める観点からは、芳香族炭化水素に直接フッ素原子が置換していることが好ましい。
Ar及びArの芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基における、それぞれのフッ素原子数は1以上であれば特に限定されないが、フッ素原子数は1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
は単結合または二価の連結基を表す。二価の連結基としては、−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−SO−、−SO−等が挙げられ、これらが複数連結して二価の連結基を形成してもよいが、複数の酸素原子が直接結合することはない。
二価の連結基として好ましくは、−C(=O)−、−CH−または−SO−であり、更に好ましくは、−C(=O)−または−CH−である。
一般式(2)中に複数存在するAr、ArおよびLはそれぞれ同じであっても異なっていてもよいが、同じであることがカイラル剤のねじり力を高めるという観点から好ましい。
一般式(2)においてAr、Arで表される芳香族炭化水素基、芳香族へテロ環基置換基は、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい。一般式(2)におけるLで表される二価の連結基も、置換基を有してもよい。このような置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜20の鎖状または環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数1〜20のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ヘキセニル)、炭素数2〜20のアルキニル基(例えばエチニル、1−ブチニル、3−ヘキシニル)、炭素数7〜20のアラルキル基(例えばベンジル、フェネチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブタンスルホンアミドフェニル)、炭素数1〜20のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、プロパノイル、ブタノイル)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、炭素数7〜20のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ)、炭素数6〜12のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数2〜20のアシル基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜20のスルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ、フェニルスルホニルオキシ)、炭素数0〜20のアミノ基(例えば無置換のアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ)、炭素数1〜20のアシルアミノ基(例えばアセトアミド、ベンズアミド)、炭素数1〜20のスルホニルアミノ基(例えばメチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニルアミノ)、炭素数1〜20のウレイド基(例えばウレイド、メチルウレイド)、炭素数2〜20のウレタン基(例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルフォニル、ブチルスルホニル)、炭素数7〜20のアリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル、2−ナフチルスルホニル)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、メチルスルファモイルなど)、複素環基(例えば、4−ピリジル、ピペリジニル、2−フリル、フルフリル、2−チエニル、2−ピロリル、2−キノリルモルホリノ)等を挙げることができるが、これらにより限定されるものではない。
前記一般式(2)で表される化合物には、不斉炭素原子を有し、複数の立体異性体が存在する。そのような異性体の中でも、下記一般式(3)または一般式(4)で表される構造の異性体が好ましい。


一般式(3)及び(4)におけるAr、Ar及びLは、それぞれ一般式(2)におけるAr、Ar及びLと同義である。
一般式(2)〜(4)における−L−Ar−C≡C−Arは、少なくとも1つのフッ素原子を有していれば特に限定されないが、好適な態様の一つとして下記構造(1)を挙げることができる。

構造式(1)において、−ORは炭素数1〜30のアルコキシ基を表し、好ましくは、炭素数1〜15のアルコキシ基である。Lは−C(=O)−又は−CH−を表す。nは1〜4を表す。
更に具体的な−L−Ar−C≡C−Arは、下記構造式(2)を好適な構造の一つとして挙げることができる。

構造式(2)において、−ORは炭素数1〜30のアルコキシ基を表し、好ましくは、炭素数1〜15のアルコキシ基である。
以下に本発明に用いられるカイラル剤の具体例を示す。



液晶組成物中のカイラル剤の添加量は、コレステリック液晶層の表示形態によって異なるため、後述のように適宜調整することが好適である。各表示形態において最適な添加量よりも多くカイラル剤を添加すると、液晶組成物の粘度が高くなり応答性が低くなる、あるいは、カイラル剤がホスト液晶から析出しやすくなる場合がある。
カイラル剤は複数種類使用してもよい。とくに、カイラルピッチの温度依存性が正のものと負のものとを組み合わせ使用することで、カイラルピッチの温度依存性が小さくなる場合が好ましい。
カイラル剤を複数種類使用する場合、市販のその他のカイラル剤を組み合わせて適用することもできる。市販のカイラル剤としては、R−1011(メルク社製)、S−1011(メルク社製)、R−811(メルク社製)、S−811(メルク社製)、CNL−611L(旭電化社製)、CNL−617L(旭電化社製)、CNL−659L(旭電化社製)などを挙げることができる。
(ネマチック液晶)
本発明に使用可能なコレステリック液晶は、少なくとも1種のネマチック液晶を含む。ネマチック液晶とは、25℃においてネマチック相を示す液晶をいう。
コレステリック液晶層に、誘電率に異方性を有するネマチック液晶を用いれば、電界により光学特性が変化しうる。誘電率異方性の絶対値が大きいほど、しきい値電圧が小さくなるため、消費電力の削減に好適である。したがって、好ましくは誘電率異方性(Δε)の絶対値は1.0以上であり、より好ましくは2.0以上である。誘電率異方性は、誘電率異方性が既知の液晶を用いて外挿法により算出することができる。
ここでいう誘電率異方性(Δε)とは、液晶分子の長軸方向の誘電率(ε‖)と液晶分子の短軸方向の誘電率(ε⊥)との差として定義される。
Δε = ε‖ − ε⊥
本発明に用いるネマチック液晶の誘電率異方性(Δε)は、正であっても負であってもよい。
本発明に用いるネマチック液晶の屈折率異方性(Δn)は、Δnの絶対値が大きいものが好ましい。ランダムなフォーカルコニック状態に基づく散乱状態ではネマチック液晶のΔnが大きいほど散乱強度が高くなり、表示性能が向上するためである。
ここでいう屈折率異方性(Δn)とは、液晶分子の長軸方向の屈折率(n‖)と液晶分子の短軸方向の屈折率(n⊥)との差として定義される。
Δn = n‖ − n⊥
ネマチック液晶化合物の具体例としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フェニルシクロヘキサン、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第154〜192頁及び第715〜722頁に記載の液晶化合物を用いることができる。
例えば、Merck社の液晶Merck社の液晶(ZLI−1132、4692、4792、6609、MLC−6267、6284、6287、6288、6406、6422、6423、6425、6435、6437、6609、7700、7800、9000、9100、9200、9300、10000など)、チッソ社の液晶(LIXON5036xx、5037xx、5039xx、5040xx、5041xxなど)、旭電化社の液晶(HA-11757)が挙げられる。
特に、本発明にかかる前記カイラル剤との組み合わせで好適なネマチック液晶化合物は、誘電率異方性Δεの絶対値が1以上のネマチック液晶であり、Δεが1以上の場合には、液晶分子長軸方向に分極しうる官能基(たとえば、シアノ基、フッ素原子)を有する構造が好ましく、Δεが−1よりも小さい場合には、液晶分子短軸方向に分極しうる官能基(たとえば、シアノ基、フッ素原子)を有する構造である。このような構造を有するネマチック液晶化合物を組み合わせると、駆動電圧を低下させることが可能となる。
(コレステリック液晶層の表示形態)
本発明にかかるコレステリック液晶層は、ネマチック液晶に前記カイラル剤を含有するコレステリック液晶組成物を有する。このコレステリック液晶組成物は、5℃〜40℃においてコレステリック相を呈する。
本発明の表示材料は、少なくとも一方が透明電極である一対の電極間にコレステリック液晶層を挟持する。この電極に電圧を印加することによって、電界により液晶の光学特性が変化し、表示を変化させることができる。
本発明の表示材料は、コレステリック液晶層を有していれば、その形状等は特に制限がない。例えば、(1)コレステリック液晶組成物をシート状としたもの、(2)コレステリック液晶組成物を高分子媒体中に分散したもの、(3)コレステリック液晶組成物に二色性色素を加えて、ゲストホスト液晶モードとしたもの、(4)コレステリック液晶組成物中の前記カイラル剤の添加量を調整して、カイラルピッチ長を適切に設定することによって、構造色を示す表示材料としたもの、等いずれであっても、本発明にかかるカイラル剤を適用することによって駆動電圧を低下させることができる。
(1)シート状のコレステリック液晶組成物
Δnの大きなネマチック液晶をコレステリック液晶組成物に用いると、散乱状態における散乱強度が高くなり、配向状態での透明度に対してのコントラストが高くなる。このようなコレステリック液晶組成物では、白色散乱状態と無色透明状態とを切り替えが可能である。
この場合、コレステリック液晶組成物中のカイラル剤の添加量は、1質量%〜50質量%であることが好ましく、1.5質量%〜30質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
(2)高分子媒体層
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶組成物を高分子媒体中に分散した高分子媒体層であってもよい。
高分子媒体層を形成する方法としては、(1)媒体としてのポリマーとコレステリック液晶組成物とを溶解させた溶液を、基板上に塗設する方法や、(2)高分子媒体液晶組成物とポリマーとを共通の溶媒に溶解した後、基板上に塗設し、溶媒を蒸発させる方法が好ましい。
前記高分子媒体層に用いるポリマーには特に制限はない。ポリマーとしては、例えば、シロキサンポリマー、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリビニルブチラール、ゼラチン等の水溶性高分子、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、酢酸ビニルやポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアルコール誘導体類、トリアセチルセルロースのようなセルロース誘導体類、ポリウレタン類、スチレン類等の非水溶性高分子が用いられる。
この中でも液晶との相溶性が高いという観点からは、シロキサンポリマー、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類が好ましい。また、振動および衝撃に対する表示安定性がよいという観点からは、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましい。
さらに、高分子媒体層中には、コレステリック液晶組成物の分散を安定化することを目的として、界面活性剤を用いることができる。本発明に適用できる界面活性剤に特に制限はないが、非イオン系界面活性剤が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキエチレンアルキルエーテル類、フルオロアルキルエチレンオキシド類等が用いられる。
高分子媒体層において、コレステリック液晶組成物と、媒体してのポリマーとの質量比は、1:10〜10:1が好ましく、1:1〜8:2がより好ましい。
本発明の表示材料において、前記高分子媒体層の厚みは、1〜50μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましい。
この場合、コレステリック液晶組成物中のカイラル剤の添加量は、1質量%〜50質量%であることが好ましく、1.5質量%〜30質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
(3)構造色層
コレステリック液晶層は、カイラル剤の添加量を調整して構造色を示す層としてもよい。構造色とは、特定の波長の光がブラッグ反射しうるように屈折率の差が周期的に変化している媒体を意味し、その周期は光の波長程度の大きさであり、サブマイクロスケールであることが好ましい。その反射する光の波長は、可視域、赤外域もしくは紫外域の波長のいずれであってもよい。
構造色層である場合のカイラル剤の添加量は、所望の反射光が得られるピッチ長となるように、カイラル剤の構造やネマチック液晶との組み合わせ等によって適宜調整する。
この場合、コレステリック液晶組成物中のカイラル剤の添加量は、1質量%〜50質量%であることが好ましく、1.5質量%〜30質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
(4)ゲストホスト液晶層
前記コレステリック液晶組成物に二色性色素を添加してもよい。二色性色素を添加した場合には、いわゆるゲストホスト液晶モードとなり、二色性色素による光の吸収を電気的に制御する表示材料となる。
この場合、コレステリック液晶組成物中のカイラル剤の添加量は、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
−二色性色素−
本発明において、二色性色素は、液晶中に溶解し、光を吸収する機能を有する化合物と定義される。本発明にかかる二色性色素としては、吸収極大ならびに吸収帯に関しては、いかなるものであってもよいが、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する場合が好ましい。また、二色性色素は2種類以上を用いてもよく、Y、M、Cに吸収極大を有する二色性色素の混合物を用いるのが好ましい。イエロー色素、マゼンタ色素ならびにシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(とき田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは、430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは、500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲である。
次に、本発明の二色性色素に用いられる発色団について説明する。
前記二色性色素の発色団はいかなるものであってもよいが、例えば、アゾ色素、アントラキノン色素、ペリレン色素、メロシアニン色素、アゾメチン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、アズレン色素、ジオキサジン色素、ポリチオフェン色素、フェノキサジン色素などが挙げられる。好ましくはアゾ色素、アントラキノン色素、フェノキサジン色素であり、特に好ましくはアントラキノン色素、フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)である。
アゾ色素はモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、ペンタキスアゾ色素などいかなるものであってもよいが、好ましくはモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素である。
アゾ色素に含まれる環構造としては芳香族基(ベンゼン環、ナフタレン環など)のほかにも複素環(キノリン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環など)であってもよい。
アントラキノン色素の置換基としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。該置換基の置換数はいかなる数であってもよいが、ジ置換、トリ置換、テトラキス置換が好ましく、特に好ましくはジ置換、トリ置換である。該置換基の置換位置はいかなる場所であってもよいが、好ましくは1,4位ジ置換、1,5位ジ置換、1,4,5位トリ置換、1,2,4位トリ置換、1,2,5位トリ置換、1,2,4,5位テトラ置換、1,2,5,6位テトラ置換構造である。
フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)の置換基としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリーロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。
本発明の表示材料に用いられる二色性色素は、少なくとも1つの下記一般式(1)で表される置換基を有することが、ネマチック液晶への高い溶解性と高いオーダーパラメーターを両立するという観点から好ましい。
一般式(1): −(Het)−{(B−(Q−(B−C
式中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B及びBは、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Qは2価の連結基を表し、Cはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上のとき、2以上のB、Q及びBはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B−(Q−(B}は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。
及びBは、各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、いずれも置換基を有していてもいなくてもよい。
及びBで表されるアリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基である。好ましいアリーレン基の具体例を挙げると、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の基である。特に好ましくは、ベンゼン環、置換ベンゼン環の基であり、さらに好ましくは1、4−フェニレン基である。
及びBで表されるヘテロアリーレン基としては、好ましくは炭素数1〜20のヘテロアリーレン基であり、より好ましくは炭素数2〜9のヘテロアリーレン基である。好ましいヘテロアリーレン基の具体例は、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びトリアゾール環からなる基、及びこれらが縮環して形成される縮環ヘテロアリーレン基である。
及びBの表す2価の環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは、炭素数3〜20、より好ましくは炭素数4〜10の2価の環状脂肪族炭化水素基である。好ましい2価の環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジイル、シクロペンタンジイルであり、より好ましくはシクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタンー1,3−ジイル基であり、特に好ましくは、(E)−シクロヘキサン−1、4−ジイル基である。
及びBの表す2価のアリーレン基、ヘテロアリーレン基及び2価の環状脂肪族炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としては、下記の置換基群Vが挙げられる。
(置換基群V)
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカルボニル)、炭素数0〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルフォニル)、ニトロ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、エタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8の置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、炭素数6〜80、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の無置換アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の置換アルキル基{例えばヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする}、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15、更に好ましくは炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数4〜6の置換又は無置換のヘテロアリール基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)。
これら置換基群Vはベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造となることもできる。さらに、これらの置換基上にさらに此処までに説明したVの説明で示した置換基が置換していてもよい。
置換基群Vとして好ましいものは、上述のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
は2価の連結基を表す。好ましくは、炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1種の原子から構成される原子団からなる連結基である。Qが表す2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、シクロヘキシル−1,4−ジイル)、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアルケニレン基(例えば、エテニレン)、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアルキニレン基(例えば、エチニレン)、アミド基、エーテル基、エルテル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、Rで表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜10のアルキル基であり、Rで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10のアリール基である。)、アゾ基、アゾキシ基、複素環2価基(好ましくは、炭素数2〜20、より好ましくは炭素数4〜10の複素環2価基であり、例えば、ピペラジン−1,4−ジイル基である。)を1つ又はそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。
の表す2価の連結基として、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、及びそれらを組み合わせた基である。
はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表す。Cが表すアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基には、置換基を有するそれぞれの基も含むものとする。
は好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル及びシクロアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアシル基(例えばアセチル、ホルミル基、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、又は炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)を表す。
は特に好ましくは、アルキル基又はアルコキシ基であり、さらに好ましくは、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基又はトリフルオロメトキシ基である。
はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては上記置換基群Vが挙げられる。
で表されるアルキル基の置換基としては、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるシクロアルキル基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキル基であることが好ましい。
で表されるアルコキシ基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるアルコキシカルボニル基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるアシル基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
で表されるアシルオキシ基の置換基は、置換基群Vのうち、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
jは0又は1を表し、好ましくは0である。
p、q及びrは各々0〜5の数を表し、nは1〜3の数を表し、B及びBで表される基の総数、すなわち(p+r)×nは、3〜10の整数であり、より好ましくは3〜5の整数である。なお、p、q、又はrが2以上のとき、2以上のB、Q及びBはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B−(Q−(B}は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
好ましいp、q、r及びnの組み合わせを以下に記す。
(i) p=3、q=0、r=0、n=1
(ii) p=4、q=0、r=0、n=1
(iii) p=5、q=0、r=0、n=1
(iv) p=2、q=0、r=1、n=1
(v) p=2、q=1、r=1、n=1
(vi) p=1、q=1、r=2、n=1
(vii) p=3、q=1、r=1、n=1
(viii) p=2、q=0、r=2、n=1
(ix) p=1、q=1、r=1、n=2
(x) p=2、q=1、r=1、n=2
特に好ましくは、(i)p=3、q=0、r=0、n=1;(iv)p=2、q=0、r=1、n=1;及び(v)p=2、q=1、r=1、n=1;の組み合わせである。
なお、−{(B−(Q−(B−Cとしては、液晶性を示す部分構造を含むことが好ましい。ここでいう液晶とは、いかなるフェーズであってもよいが、好ましくはネマチック液晶、スメクチック液晶、ディスコティック液晶であり、特に好ましくは、ネマチック液晶である。
−{(B−(Q−(B−Cの具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない(下記化学式中、波線は連結位置を表す)。


本発明に用いられる二色性色素は、−{(B−(Q−(B−Cで表される置換基を1以上有しているのが好ましく、1〜8個有しているのがより好ましく、1〜4個有しているのがさらに好ましく、特に好ましくは1又は2個有している場合である。
前記一般式(1)で表される置換基の好ましい構造は、下記の組み合わせである。
〔1〕 Hetが硫黄原子であり、Bがアリール基又はヘテロアリール基を表し、Bがシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、Cがアルキル基を表し、j=1、p=2、q=0、r=1及びn=1を表す構造。
〔2〕 Hetが硫黄原子であり、Bがアリール基又はヘテロアリール基を表し、Bがシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、Cがアルキル基を表し、j=1、p=1、q=0、r=2及びn=1を表す構造。
特に好ましい構造は、
〔I〕 Hetが硫黄原子を表し、Bが1,4−フェニレン基を表し、Bがトランス−シクロヘキシル基を表し、Cがアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基)を表し、j=1、p=2、q=0、r=1及びn=1である下記一般式(a−1)で表される構造、
〔2〕 Hetが硫黄原子を表し、Bが1,4−フェニレン基を表し、Bがトランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基を表し、Cがアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基)を表し、j=1、p=1、q=0、r=2及びn=1である下記一般式(a−2)で表される構造、
である。

前記一般式(a−1)及び(a−2)中、Ra1〜Ra12は各々独立に、水素原子又は置換基を表す。該置換基としては、前述の置換基群Vから選ばれる置換基が挙げられる。
a1〜Ra12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基であるのが好ましい。Ra1〜Ra12で表されるアルキル基、アリール基、及びアルコキシ基のうち、好ましいものは、前述の置換基群Vに記載のアルキル基、アリール基、及びアルコキシ基と同義である。
前記一般式(a−1)及び(a−2)中、Ca1及びCa2は各々独立してアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基又はノニル基を表す。
前記一般式(a−1)及び(a−2)のうち、前記一般式(1)で表される置換基としては、特に、Ca1及びCa2が炭素数3から10の長鎖アルキル基の場合が、ホスト液晶への溶解性が向上し、着色状態における光吸収量が増加するため表示材料に好適である。この理由は明らかとなっていないが、ホスト液晶との相溶性が向上するためではないかと推測される。
アゾ色素はモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、ペンタキスアゾ色素などいかなるものであってもよいが、好ましくはモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素である。
アゾ色素に含まれる環構造としては芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環など)のほかヘテロ環(キノリン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環など)であってもよい。
アントラキノン色素の置換基としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基である。
該置換基の置換数はいかなる数であってもよいが、ジ置換、トリ置換、テトラキス置換が好ましく、特に好ましくはジ置換、トリ置換である。該置換基の置換位置はいかなる場所であってもよいが、好ましくは1,4位ジ置換、1,5位ジ置換、1,4,5位トリ置換、1,2,4位トリ置換、1,2,5位トリ置換、1,2,4,5位テトラ置換、1,2,5,6位テトラ置換構造である。
アントラキノン系色素としては、より好ましくは、下記一般式(5)で表される化合物であり、フェノキサゾン色素として、より好ましくは、下記一般式(6)で表される化合物である。

一般式(5)中、R、R、R、R、R、R、R及びRの少なくとも一つは、−(Het)−{(B−(Q−(B−Cであり、他は各々独立に、水素原子又は置換基である。



一般式(6)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の少なくとも一つ以上は、−(Het)−{(B−(Q−(B−Cであり、他はそれぞれ水素原子又は置換基である。
ここで、Het、B、B、Q、p、q、r、n、及びCは、一般式(1)におけるHet、B、B、Q、p、q、r、n、及びCと同定義である。
一般式(5)中、R、R、R、R、R、R、R及びRで表される前記置換基としては、上記置換基群Vが挙げられるが、好ましくは、炭素数6〜80、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、4−エチルフェニルチオ、4−n−プロピルフェニルチオ、2−n−ブチルフェニルチオ、3−n−ブチルフェニルチオ、4−n−ブチルフェニルチオ、2−t−ブチルフェニルチオ、3−t−ブチルフェニルチオ、4−t−ブチルフェニルチオ、3−n−ペンチルフェニルチオ、4−n−ペンチルフェニルチオ、4−アミルペンチルフェニルチオ、4−ヘキシルフェニルチオ、4−ヘプチルフェニルチオ、4−オクチルフェニルチオ、4−トリフルオロメチルフェニルチオ、3−トリフルオロメチルフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、より好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、置換若しくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、フェネチルチオ)、置換若しくは無置換のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)、置換若しくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、トリフルオロメチル)、置換若しくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ)、置換若しくは無置換のアリール基(例えば、フェニル)、置換若しくは無置換のヘテロアリール基(例えば、2−ピリジル)、置換若しくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、置換若しくは無置換のヘテロアリールオキシ基(例えば、3−チエニルオキシ)などである。
、R、R、R、R、R、R及びRとして好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、置換若しくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子、置換若しくは無置換の、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基である。
また、更に好ましくは、一般式(5)において、R、R、R、及びRの少なくとも一つが、−(Het)−{(B−(Q−(B−Cの場合である。
一般式(6)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アミド基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリールチオ基、アミド基である。
16として、好ましくはアミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ基を含む)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり、特に好ましくはアミノ基である。
以下に、本発明に使用可能な二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。




以下に、本発明に使用可能なアゾ系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。

以下に本発明に使用可能なジオキサジン系二色性色素ならびにメロシアニン系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。

前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素は、公知の方法を組み合わせて合成することができる。例えば、特開2003−192664号公報等の記載の方法に従い合成することができる。
前記一般式(1)で表される置換基を有する二色性色素は、公知の方法を組み合わせて合成することができる。例えば、特開2003−192664号公報等の記載の方法に従い合成することができる。
ゲストホスト方式において、誘電率異方性が正の液晶を水平配向させた場合には、電圧無印加ときには液晶は水平に配向しているために二色性色素も水平となり光を吸収する。一方、電圧印加ときに液晶分子が垂直に傾いてくるため二色性色素も垂直に傾き、その結果光を透過するようになる。すなわち、電圧印加ときには透明状態、電圧無印加ときには着色状態となる。
誘電率異方性が負の液晶を垂直配向させる場合には、電圧無印加ときには液晶は垂直に配向しているために二色性色素も垂直となり光を吸収することなく透過する。一方、電圧印加ときに液晶分子が水平に傾いてくるため二色性色素も水平に傾き、その結果光を吸収するようになる。すなわち、電圧無印加ときには透明状態、電圧印加ときには着色状態となる。
本発明の表示材料における液晶及び二色性色素の含有量については特に制限はないが、二色性色素の含有量は液晶の含有量に対して0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜8質量%であることが更に好ましい。また、液晶及び二色性色素の含有量は、双方を含む液晶組成物を調製し、その液晶組成物を封入した液晶セルの吸収スペクトルをそれぞれ測定して、液晶セルとして所望の光学濃度を示すのに必要な色素濃度を決定することが望ましい。
(その他の添加剤)
コレステリック液晶の物性を所望の範囲に変化させることを目的として(例えば、液晶相の温度範囲を所望の範囲にすることを目的として)、液晶性を示さない化合物を添加してもよい。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの化合物を含有させてもよい。
本発明の表示材料における表示性能については、その散乱状態もしくは着色状態と透明状態における光の反射率の比(散乱状態もしくは着色状態/透明状態)が2〜1000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜1000の範囲であり、特に好ましくは、8〜1000の範囲である。
なお、コレステリック液晶層は、複数のことなる光を反射もしくは吸収する層を並置配置もしくは積層してもよい。このような構成にすることにより、表示可能な色の数が増加し、より意匠性を高めることができる。
[電極]
電極としては、金、銀、銅、アルミニウムなどが好適に用いられる。また、透明電極としては、例えば、酸化インジウム、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化スズ、透明導電ポリマー(たとえば、PEDOT・PSS、ナガセケミテックス株式会社、シュタルク製など)、カーボンナノチューブ等から形成することができ、導電性ポリマー又はカーボンナノチューブで構成されていることが、曲面の多い自動車部材に適用した場合には、曲げや歪に対する安定性の観点から好ましい。
透明電極については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第232〜239頁に記載のものが用いられる。
[スペーサー]
本発明の表示材料は、例えば、スペーサーなどを介して、一対の基板を1〜50μm間隔で対向させ、基板間に形成された空間に液晶組成物を配置することにより作製することができる。
前記スペーサーについては、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第257〜262頁に記載のものを用いることができる。
本発明の表示材料は、基板上に塗布あるいは印刷することにより基板間の空間に配置することができる。
本発明の表示材料の場合、コレステリック液晶層の厚さ、すなわちスペーサーにより形成される基板間の間隔は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜40μmである。100μmより厚いと透明状態における透過率が低下しやすくなり、1μmより薄いと部分的な欠陥のため表示ムラが生じやすくなり好ましくない。
[支持体]
本発明の表示材料は、少なくとも1つの支持体を有する。支持体としては、特に制限はないが、金属、ガラス、プラスチック、紙、セラミックスが好適に用いられる。
金属としては、鉄、ステンレス、アルミニウムが好適に用いられる。本発明に用いられるプラスチック基板支持体としては、たとえば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレンン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ポリイミド(PI)などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
前記樹脂としては、熱膨張係数が30ppm/℃以下のものが好ましい。ここで言う熱膨張係数は、TMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)にて測定した。例えば、PET(東レルミラー、15ppm/℃),PEN(DuPont-Teijin Q65A 20ppm/℃),PI(宇部興産ユーピレックス、20ppm/℃)、アラミド樹脂(帝人、2ppm/℃)などが上げられる。
また、以下にあげる様な、ガラス転移点(Tg)が150℃以上の樹脂に、ゾルゲル法、ガラスクロス、ガラスファイバー等の無機物を添加して、30ppm以下の熱膨張係数を達成してもよい。
好ましい例としては(括弧内はTgを示す)、ポリカーボネート樹脂(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン樹脂(例えば日本ゼオン(株)製、ゼオノア1600:160℃、JSR(株)製、アートン:170℃)、ポリアリレート樹脂(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES:220℃)、ポリスルホン樹脂(PSF:190℃)、ポリエステル樹脂(例えば鐘紡(株)製、O−PET:125℃、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物:300℃以上)のものが挙げられる。
本発明に用いられるポリマー基板として、耐溶剤性、耐熱性などの観点から架橋樹脂も好ましく用いることができる。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。
[保護層]
本発明に用いられる基板は保護層を有していてもよい。保護層に使用するポリマーとしては、水溶性ポリマー、セルロースアシレート、ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示される。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ナトリウム、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体などであり、セルロースアシレートとしてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどである。ラテックスポリマーとしては塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体などが挙げられる。
前記保護層には、バリア性フィルム基板の透明性を実質的に損なわない程度に無機又は、有機の微粒子をマット剤として含有させることができる。無機の微粒子のマット剤としてはシリカ(SiO),二酸化チタン(TiO),炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを使用することができる。有機の微粒子マット剤としては、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートプロピオネ−ト、ポリスチレン、米国特許第4,142,894号明細書に記載されている処理液可溶性のもの、米国特許第4,396,706号明細書に記載されているポリマーなどを用いることができる。
これらの微粒子マット剤の平均粒子サイズは0.01〜10μmのものが好ましい。より好ましくは、0.05〜5μmである。また、その含有量は0.5〜600mg/mが好ましく、さらに好ましくは、1〜400mg/mである。
前記保護層は、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストルージョンコート法により塗布することができる。
[バリア層]
本発明に用いられる基板は、水もしくは酸素の浸入による部材の劣化を抑制するために、バリア層を有していてもよい。
バリア層としては、有機ポリマー系、無機系、その複合系いずれで形成されてもよい。有機ポリマー系としてはエチレンービニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA/PVOH)、ナイロンMXD6(NーMXD)、ナノコンポジット系ナイロンなどが挙げられる。無機系としてはシリカ、アルミナ、ニ元系などが挙げられる。その詳細は、例えば「ハイバリア材料の開発、成膜技術とバリア性の測定・評価方法」(技術情報協会、2004年)に記載されている。
支持体がプラスチックフィルムの場合には、バリア層は、無機層と有機層とを交互に積層する積層体を適用することも好ましい。水分及び酸素の浸入を効果的に防ぎ、且つ、有機層により高温高湿の条件でも剥離しにくい。
積層体のバリア層は、プラスチックフィルム側から無機層と有機層を交互に積層し、少なくともプラスチックフィルム側から第1の無機層、有機層(第1の有機層)、第2の無機層の順に積層された構造を含むことが好ましい。第2の無機層の上には、第2の有機層、第3の無機層、第3の有機層、第4の無機層、第4の有機層、第5の無機層...の要領で、1以上の層が積層されていてもよい。交互積層体の最上層は無機層であっても有機層であってもよい。
プラスチックフィルム側に無機層を設けると、効果的に水および酸素の浸入を防ぐこととなり、またプラスチックフィルム側から無機層と有機層を交互に有する積層体とすると、その効果がより累積されるため効果的である
バリア層は、構造色層を挟持しない面側の前記支持体の表面に設けられる。一対の支持体のうち一方の支持体にバリア層を設けても、両方の支持体に設けてもよいが、好ましくは両方の支持体にバリア層を設ける場合である。
[帯電防止層]
本発明に用いられる基板は、帯電防止層(導電性層)を有してもよい。帯電防止層は、基板の裏面(無機有機交互積層体が形成されていない面)に形成することが好ましい。帯電防止層は、具体的にはイオン導電性物質や導電性微粒子を含有する層を設けることによって行う。
ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のことであり、例としてはイオン性高分子化合物を挙げることができる。イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、特公昭49−23827号、特公昭47−28937号各公報に見られるようなアニオン性高分子化合物;特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、特公昭57−18175号、特公昭57−18176号、特公昭57−56059号各公報などに見られるような、主鎖中に解離基を持つアイオネン型ポリマー;特公昭53−13223号、特公昭57−15376号、特公昭53−45231号、特公昭55−145783号、特公昭55−65950号、特公昭55−67746号、特公昭57−11342号、特公昭57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、特公昭62−9346号各公報に見られるような、側鎖中にカチオン性解離基を持つカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることができる。
導電性微粒子である金属酸化物の例としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、V等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO及びSnOが好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加、またSnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
[その他の機能性層]
本発明にかかる基板は必要に応じて平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層等を設置してもよい。
[その他の部材]
その他の部材としては、例えば、バリア膜、紫外線吸収層、反射防止層、ハードコート層、汚れ防止層、有機層間絶縁膜、金属反射板、位相差板、配向膜などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収層としては、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
反射防止膜は、無機材料又は有機材料を用いて形成され、膜構成としては、単層であってもよく、又は多層であってもよい。さらにまた、無機材料の膜と有機材料の膜との多層構造であってもよい。反射防止膜は、一面側又は両面に設けることができる。両面に設ける場合、両面の反射防止膜は、同じ構成であっても別の構成であっても良い。
反射防止膜に用いる無機材料としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WO等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、プラスチック製のレンズであるので、低温で真空蒸着が可能なSiO、ZrO、TiO、Taが好ましい。
無機材料で形成される多層膜としては、レンズ側からZrO層とSiO層の合計光学的膜厚がλ/4、ZrO層の光学的膜厚がλ/4、最表層のSiO層の光学的膜厚がλ/4の、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に成膜する積層構造が例示される。ここで、λは設計波長であり、通常520nmが用いられる。最表層は、屈折率が低く、かつ反射防止膜に機械的強度を付与できることからSiOとすることが好ましい。
無機材料で反射防止膜を形成する場合、成膜方法は例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。
反射防止膜に用いる有機材料としては、例えばFFP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等を挙げることができ、レンズ材料やハードコート膜(有する場合)の屈折率を考慮して選定される。成膜方法は、真空蒸着法の他、スピンコート法、ディップコート法などの量産性に優れた塗装方法で成膜することができる。
ハードコート層としては、公知の紫外線硬化又は電子線硬化のアクリル系又はエポキシ系の樹脂を用いることができる。
汚れ防止膜としては、含フッ素有機重合体のような撥水撥油性材料を使用することができる。
配向膜としては、ポリイミド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどを用いることが好ましく、ポリイミド、シランカップリング剤を用いることが、配向能力、耐久性、絶縁性、コストの観点から好ましい。配向方法については、ラビング処理していても、していなくてもよい。配向状態に関しても、水平状態及び垂直状態いずれであってもよい。
本発明の表示材料では、温度センサーを設け、後述のヒート状ヒーターによって0℃以上に保つように温度制御すると、表示性能を更に安定的に維持することができる。具体的に、温度センサーとしては、ナショナルセミコン社製、富士電機システムズ製の温度センサーなどを適用することができる。
温度センサーの設置位置は、本発明の表示材料の温度が正確に測定できる箇所であることが好ましい。
また、上記温度制御を行なうためにシート状ヒーターを設けることが、低温時、とくに氷点下における表示性能維持のためには好適である。具体的に、シート状ヒーターとしては、ハネウエル社製のシート状ヒーターなどを適用することができる。
シート状ヒーターの設置位置は、本発明の自動車部材の光の入射側、もしくは入射側の反対側であることが好ましい。
また、シート状ヒーターは透明であることが、表示性の観点から好適である。
[表示材料の形状]
本発明の表示材料は、平面状もしくは曲面状であってもよい。曲面の場合、単曲面ならびに複曲面であってもよい。曲面の度合いとしては、曲率半径が0でなければどのような値であってもよいが、10mm〜100mの範囲が、とくに好ましくは、20mm〜10mの範囲である。
<用途>
本発明の表示材料は、低い駆動電圧で駆動することができる。駆動電圧を低くすることができると、(1)消費電力を少なくでき、環境に負荷をかけない、(2)駆動用ドライバーが安価になる、(3)表示材料の劣化を抑えることが可能となり、長寿命化できる、という点で有利である。
また上述の通り、本発明の表示材料は、振動や衝撃による表示性能の劣化も抑制される。したがって、耐振動性、耐衝撃性の改良された表示が可能となり、特に自動車に好適に用いることができる。
自動車部材としては、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、サンルーフ、バックミラーなどのガラスへの適用を挙げることができる。これらガラスに本発明の表示材料を適用すると、任意の波長の光を反射できるため、運転時における防眩効果、遮熱による燃費の向上と快適性の向上、セキュリテイー、意匠性の向上が図れる。
具体的には、屋外の晴れた場所で本発明の表示技術を用いることで、自動車室内の照度の電気的な調整が容易に行なうことができ、快適に過ごすことが可能となる。フロントガラスに適用した場合には、トンネルの出口での眩しさ、あるいは西日の直射光を遮光可能となり、より安全な運転が可能となる。また、夏場に使用した場合、車内温度の上昇を防止することが可能であり、車内エアコンの負荷が小さくなり、結果的に燃費の向上につながる。
また、本発明の表示材料を自動車ボディーに適用すると、インテリア、広告、情報表示方法として好適に利用することができる。
本発明の表示材料を自動車部材として用いる場合、白色散乱と無色透明を切り替える表示方法、二色性色素を用いたゲストホスト方式の表示方法などを採用してもよいが、屋外での耐久性を考慮すると、構造色を呈示する表示方法を採用することが好適である。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1] (コレステリック液晶による選択反射方式)
1.プラスチック基板の作製
特開2000−105445号公報の実施例1の試料110の作製と同様にPEN(Dupont-Teijin Q65A)に対し下塗り層及びバック層を作製した。すなわち、ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba-Geigy社製)2重量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行ない、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmの本発明のプラスチック基板(PEN)を得た。
2.透明電極層の作製
上記で得られたプラスチック基板の片面に、導電性のインジウム酸化スズ(ITO)を蒸着によりコーティングして、厚さ200nmの均一な薄膜を積層した。面抵抗約20Ω/cm、光透過率(500nm)85%であった。
次に、ITO表面上に反射防止膜としてSiO薄膜(100nm)をスパッタにより付設した。光透過率(500nm)90%であった。
3.コレステリック層の調製
上記支持体の透明電極側にポリイミド垂直配向膜(日産化学製、SE1211)を塗布した。次に、シアノ系ネマチック液晶(ZLI-1132、Δε=+13、メルク社製)1.0g中に、550nmに選択反射ピークを有するように本発明のカイラル剤No.14の量を調整して添加して、コレステリック液晶組成物を調製した。具体的には、ネマチック液晶(ZLI-1132)100質量%に対してカイラル剤No.14が6.0質量%となるように添加した。
得られたコレステリック液晶組成物に20μmの球状スペーサー(積水化学製)を少量混合した。上記のITO付きプラスチック基板上に、前記コレステリック液晶組成物を塗布し、配向膜側が液晶層に接するように挟んで、光硬化型シール剤(積水化学製)にて封止し配線した。
4.表示性能の評価
得られた実施例1の表示フィルムに対して、信号発生器(テクトロニクス株式会社製)を用いて交流電圧±100V(100Hz)を印加した後、瞬時に印加電圧をゼロにすると実施例1のコレステリック液晶はプレーナ状態となり550nmに選択反射ピークを示した。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性があることが確認された。
また、交流電圧±40V(100Hz)を印加し、徐々に印加電圧をゼロにすると実施例1のコレステリック液晶はフォーカルコニック状態となり透明となった。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性(メモリー性)があることが確認された。
[比較例1]
実施例1と同様の操作により、但し、フッ素が導入されていないカイラル剤として下記化合物C−1を用いて550nmに選択反射ピークを示す比較例1の表示フィルムを作製した。
比較例1の表示フィルムに対して、交流電圧±40V(100Hz)を印加したが、コレステリック液晶の配列は変化しなかった。交流電圧±75V(100Hz)を印加し、徐々に印加電圧をゼロにした場合、コレステリック液晶の配列は変化し、透明となった。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在した。
すなわち、少なくとも1つのフッ素原子を有するカイラル剤を適用する実施例1の表示フィルムは、比較例1の表示フィルムよりも低い駆動電圧であることがわかった。

[実施例2] (コレステリック液晶による選択反射方式の車載用途への応用)
実施例1で得られた表示フィルムを自動車のフロントガラス、リアガラス、サンルーフに内側からエポキシ系粘着剤を用いて貼り合せた。これらのガラスは、いずれも平面ではなく、複曲面であった。
また、得られた表示フィルムの両面に粘着剤を付設した後、2枚の強化ガラスで挟み込んで、実施例2の合わせガラスを作製した。
(表示性能の評価)
実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例2の合わせガラスは、実施例1と同じ駆動電圧で駆動することが確認された。
(耐振動性の評価)
実施例2で得られた合わせガラスに対するMIL-STD-883Eに準じた振動試験を、次の条件で行った。20Hzから1000Hzの振動を加えた後、20Hzに戻す工程を1サイクル(約4分)とし、これを4サイクル行った。
この試験後、上記表示性能の評価を行ったが、とくに表示性能の劣化(表示ムラ、表示コントラスト比の低下など)は見られなかった。すなわち、実施例2の合わせガラスは、振動に対する安定性が向上していることが確認された。
(耐衝撃性の評価)
耐衝撃性についてはJIS D5500の5.5に示される試験方法による試験の結果、とくに表示性能の劣化(表示ムラ、表示コントラスト比の低下など)は見られなかった。すなわち、実施例2の合わせガラスは、衝撃に対する安定性が向上していることが確認された。
(光耐久性の評価)
本発明のフィルムに、Xeランプ(15万ルクス)を照射(480時間)したが電気的な特性に変化はなかった。すなわち、実施例2の合わせガラスは光耐久性に優れていることが確認された。
実施例2の結果から、少なくとも1つのフッ素原子を有するカイラル剤を含むコレステリック液晶組成物を適用すると、耐振動性、耐衝撃性の改良された表示が可能となり、特に自動車部材として好適であることが明らかとなった。
また、実施例2の合わせガラスは、光耐久性に優れていることが明らかとなった。したがって、実施例2の合わせガラスは、屋外で使用した場合の耐久性に優れ、自動車部材として好適であることが明らかとなった。
[比較例2]
実施例2と同様の操作により、比較例2の合わせガラスを作製した。但し、比較例2では、比較例2で得られた表示フィルム(フッ素が導入されていないカイラル剤C−1を含有する表示フィルム)を用いた。比較例2の合わせガラスについても、実施例2と同様の耐振動性と耐衝撃性の評価を行った。
その結果、フッ素が導入されていないカイラル剤を用いた比較例2の合わせガラスでは、振動および衝撃によって表示ムラが生じることが確認された。
[実施例3](近赤外域に選択反射を示すコレステリック液晶相)
実施例1と同様の操作により、但し選択反射のピークが900nmとなるようにカイラル剤の添加量を調整して、実施例3のフィルムを作製した。具体的には、ネマチック液晶(ZLI-1132)100質量%に対してカイラル剤No.14が3.7質量%となるように添加した。
得られた実施例3のフィルムについて実施例1と同様の評価を行った。実施例3のフィルムに、交流電圧±35V(100Hz)を印加した後、瞬時に印加電圧をゼロにするとコレステリック液晶はプレーナ状態となり900nmに選択反射ピークを示した。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性があることが確認された。
また、交流電圧±30V(100Hz)を印加し、徐々に印加電圧をゼロにすると実施例3のコレステリック液晶はフォーカルコニック状態となり透明となった。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性(メモリー性)があることが確認された。
[実施例4](曲面状の表示素子)
平面ではなく曲面であるガラス基板の片面に、導電性のインジウム酸化スズ(ITO)を蒸着によりコーテイングして、厚さ200nmの均一な薄膜を積層した。面抵抗約10Ω/cm、光透過率(500nm)88%であった。それ以外は実施例1と同様の操作により、実施例4の表示素子を作製した。
(表示性能の評価)
得られた実施例4の表示素子を、実施例1と同様の方法で評価した。実施例4の表示素子に、交流電圧±40V(100Hz)を印加した後、瞬時に印加電圧をゼロにするとコレステリック液晶はプレーナ状態となり550nmに選択反射ピークを示した。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性があることが確認された。
また、交流電圧±38V(100Hz)を印加し、徐々に印加電圧をゼロにすると実施例4のコレステリック液晶はフォーカルコニック状態となり透明となった。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性(メモリー性)があることが確認された。
[実施例5]
曲面プラスチック基板としてポリカーボネート(帝人製)を使用し、導電性ポリマーとしてPEDOT・PSS水分散液(ナガセケミカル社製)を塗布、乾燥させた。得られたプラスチック基板の厚みは8μm、面抵抗は約500Ω/cm、500nmでの光透過率は88%であった。
該基板上の透明電極側に、実施例1と同様の操作により、但しホスト液晶としてZLI-4792を使用して、選択反射を示すコレステリック液晶層を有する実施例5の表示素子を作製した。
(表示性能の評価)
得られた実施例5の表示素子を、実施例1と同様の方法で評価した。実施例5の表示素子に、交流電圧±40V(100Hz)を印加した後、瞬時に印加電圧をゼロにするとコレステリック液晶はプレーナ状態となり550nmに選択反射ピークを示した。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性があることが確認された。
また、交流電圧±35V(100Hz)を印加し、徐々に印加電圧をゼロにすると実施例5のコレステリック液晶はフォーカルコニック状態となり透明となった。この状態は室温で1ヶ月以上安定に存在し良好な表示維持性(メモリー性)があることが確認された。
(耐久性の評価)
実施例5の表示素子に、Xeランプ(15万ルクス)を照射(480時間)したが電気的な特性に変化はなかった。すなわち、実施例5の表示素子は光耐久性にも優れていることが確認された。
また、実施例5の表示素子を85℃、95%湿度の環境下、3週間放置したのち、電気的な特性を評価したが、電気的な特性に変化はなかった。すなわち、実施例5の表示素子は高温高湿下における安定性に優れていることが確認された。
更に、実施例5の表示素子を−20℃の環境下、1週間放置したのち、電気的な特性を評価したが、電気的な特性に変化はなかった。すなわち、実施例5の自動車部材は低温下における安定性に優れていることが確認された。
実施例5の表示素子について、実施例2と同様の耐振動性、耐衝撃性の評価を行ったところ、耐振動性、耐衝撃性に優れることが確認された。
[実施例6]
実施例5と同様の操作により、但し実施例6では、光が入射される側の支持体上に紫外線吸収層(UVガード、富士フイルムビジネスサプライ社製)を付設して、実施例6の曲面状自動車部品を作製した。
(表示性能の評価)
得られた実施例6の表示素子は、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同じ駆動電圧で駆動することが確認された。
(光耐久性の評価)
実施例6の表示素子は、紫外線照射による表示性能の劣化が小さいことが確認された。
[実施例7]
実施例2と同様の操作により、選択反射を示すコレステリック液晶層を有する実施例7の曲面状自動車部品を作製した。なお、実施例7では合わせガラスとせずに、片面のみにガラスを付設した。さらに、光が入射される側の支持体上にバリア層を付設した。
バリア層は、第1の無機層として、スパッタリング装置を用いて、無機層(酸化アルミニウム)を形成した。次に、第1有機層として、下記モノマー(M−1)20g、紫外線重合開始剤(CibaイルガキュアーIrg184)0.6g、2−ブタノン200gの混合溶液を液厚5μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布した。室温にて高圧水銀ランプの紫外線を照射して硬化させ(積算照射量約2J/cm)、第1有機層を形成した。膜厚はいずれの場合も約500nmであった。
同様の操作により、第2の無機層、有機層、第3の無機層、有機層を形成することによりバリア層を作製した。
(表示性能の評価)
得られた実施例7の表示素子を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同じ駆動電圧で駆動することが確認された。
(耐久性の評価)
本発明の自動車部品は、高湿下による表示性能の劣化が小さいことが確認された。
[実施例8]
実施例4と同様の操作により、選択反射を示すコレステリック液晶層を有する実施例8のシート状自動車部品を作製した。なお、片側にシート状透明ヒータ(ハネウエル社製)と温度センサー(ナショナルセミコン社製)を設置し、0℃以下になると自動的にヒータが作動し、自動車部品が0℃以上に保たれるように設定した。
得られた実施例8の表示素子を、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例4と同じ駆動電圧で駆動することが確認された。
実施例4の表示素子は、氷点下の環境下においても良好な表示性能を示すことが確認された。
[実施例9](ゲストホスト液晶方式への展開)
(表示材料の調製)
透明電極であるITO付きガラス基板上にポリイミド水平配向膜(日産化学製)をスピンコート、焼成により付設した。つぎに、得られた水平配向膜付きガラス基板にラビング処理を施した。
ホスト液晶(ネマチック液晶:ZLI-1132、Δε=+13)1.0g中に、下表1に示した二色性色素とカイラル剤No.14を加熱して溶解させた後、室温下1日放置させた。
各々の二色性色素の添加量は、上記液晶組成物を8μmの液晶評価用セルに注入した場合における透過率が20%となるように調整した。また、カイラル剤の添加量は8μmセルに注入した場合におけるらせん角度が360°となるように調整した。具体的には、ネマチック液晶(ZLI-1132)100質量%に対してカイラル剤No.14が0.42質量%となるように添加した。
得られた液晶組成物に8μmの球状スペーサー(積水化学製)を少量混合し、上記のITO付きガラス基板を配向膜側が液晶層に接するようにはさんで、光硬化型シール剤(積水化学製)にて封止した。
得られた本発明の表示材料は、電圧無印加時に着色状態であった。いずれの表示素子ともに信号発生器(テクトロニクス株式会社製)を用いて、電圧(±20V、100Hz)を印加した場合には、液晶層は透明状態となった。
[比較例3]
上記実施例9と同様の操作により、カイラル剤として上記化合物C−1に変更した点のみ変更して比較例3の表示素子を作製した。なお、色素は1−1のイエロー色素を用いた。
得られた比較例3の表示素子は、±20V、100Hzの交流電圧では液晶が変化せず、液晶層を透明にするためには、±50V、100Hzの交流電圧が必要であった。すなわち、実施例9のゲストホスト液晶方式の表示素子は、比較例3の表示素子よりも駆動電圧が低いことが確認された。
[実施例10](ゲストホスト液晶方式への展開)
1.プラスチック基板の作製
特開2000−105445号公報の実施例1の試料110の作製と同様にPEN(Dupont-Teijin Q65A)に対し下塗り層及びバック層を作製した。すなわち、ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba-Geigy社製)2重量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行ない、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmの本発明のプラスチック基板(PEN)を得た。
2.透明電極層の作製
上記で得られたプラスチック基板の片面に、導電性のインジウム酸化スズ(ITO)を蒸着によりコーティングして、厚さ200nmの均一な薄膜を積層した。面抵抗約20Ω/cm、光透過率(500nm)85%であった。つぎに、ITO表面上に反射防止膜としてSiO薄膜(100nm)をスパッタにより付設した。光透過率(500nm)90%であった。
3.コレステリック層の調製
上記支持体の透明電極側にポリイミド垂直配向膜(SE1211、日産化学社製)を塗布した。次に、フッ素系ネマチック液晶(ZLI-6609、Δε=−3.7、メルク社製)1.0g中に、本発明のカイラル剤No.14と二色性色素No.1−8を溶解させた液晶組成物に10μmの球状スペーサー(積水化学製)を少量混合した。
各々の二色性色素の添加量は、上記液晶組成物を8μmの液晶評価用セルに注入した場合における透過率が20%となるように調整した。また、カイラル剤の添加量は8μmセルに注入した場合におけるらせん角度が360°となるように調整した。具体的には、ネマチック液晶(ZLI-6609)100質量%に対してカイラル剤No.14が0.42質量%となるように添加した。
上記のITO付きプラスチック基板上に、前記液晶組成物を塗布し、配向膜側が液晶層に接するように挟んで、光硬化型シール剤(積水化学製)にて封止し配線した。
4.評価
得られた本発明の表示材料は、電圧無印加時に透明状態であった。この表示素子に信号発生器(テクトロニクス株式会社製)を用いて、電圧(±8V、100Hz)を印加した場合に、液晶層は着色状態となった。
[比較例4]
カイラル剤として上記化合物C−1に変更した以外は実施例10と同様の操作により、比較例4の表示素子を作製した。なお、二色性色素はNo.1−8のマゼンタ色素を用いた。得られた表示素子は、±8V、100Hzの交流電圧では液晶が変化せず液晶層を透明にするためには、±12V、100Hzの交流電圧が必要であった。すなわち、実施例10のゲストホスト液晶方式の表示素子は、比較例4の表示素子に比べて駆動電圧が低いことが確認された。
[実施例11〜12]
実施例1におけるカイラル剤No.14を下記表2のカイラル剤に変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子を作製した。この表示素子について実施例1と同様の表示性能の評価を行なった。下記表2には、フォーカルコニック状態になる交流電圧を駆動電圧として示した。
[比較例5〜6]
実施例11〜12で使用したカイラル剤と同一の骨格を有し、但しフッ素原子を有さないカイラル剤C−2〜C−3を添加して、比較例5〜6の表示素子を作製した。この表示素子について実施例1と同様の表示性能の評価を行なった。下記表2には、フォーカルコニック状態になる交流電圧を駆動電圧として示した。




Claims (7)

  1. 電界により光学特性が変化しうるコレステリック液晶層を少なくとも1層有し、かつ、該コレステリック液晶層が、1つ以上のフッ素原子を有する少なくとも1種のカイラル剤と、少なくとも1種のネマチック液晶とを含有し、
    前記ネマチック液晶の誘電率異方性の絶対値が、1.0以上であり、
    前記コレステリック液晶層が、可視域、赤外域もしくは紫外域の光を反射し、
    前記コレステリック液晶層が、二色性色素を含有し、
    前記二色性色素が、下記一般式(1)で表される置換基を有し、
    前記カイラル剤が、下記一般式(2)で表されるカイラル剤および下記カイラル剤1〜5から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする表示材料。
    一般式(1): −(Het) −{(B −(Q −(B −C
    〔一般式(1)中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上のとき、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B −(Q −(B }は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。〕

    〔一般式(2)中、Ar 及びAr は、各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基を表す。但し、Ar 及びAr のうち少なくとも1つは、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基である。L は単結合または二価の連結基を表し、複数存在するAr 、Ar およびL はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記芳香族炭化水素基、芳香族へテロ環基及び二価の連結基は、置換基を有していてもよい。〕
  2. 前記コレステリック液晶層が、少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に存在し、シート状であることを特徴とする請求項1に記載の表示材料。
  3. 前記コレステリック液晶層に対して光の入射側に、紫外線吸収層が設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示材料。
  4. 前記コレステリック液晶層に対して光の入射側に、バリア層が設置されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の表示材料。
  5. 前記電極が、導電性ポリマーもしくはカーボンナノチューブで形成されてなることを特徴とする請求項〜請求項のいずれか1項に記載の表示材料。
  6. 電界により光学特性が変化しうるコレステリック液晶層を少なくとも1層有し、かつ、該コレステリック液晶層が少なくとも1つ以上のフッ素原子で置換されたカイラル剤と、少なくとも1種のネマチック液晶とを含有し、
    前記ネマチック液晶の誘電率異方性の絶対値が、1.0以上であり、
    前記コレステリック液晶層が、可視域、赤外域もしくは紫外域の光を反射し、
    前記コレステリック液晶層が、二色性色素を含有し、
    前記二色性色素が、下記一般式(1)で表される置換基を有し、
    前記カイラル剤が、下記一般式(2)で表されるカイラル剤および下記カイラル剤1〜5から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする自動車部材。
    一般式(1): −(Het) −{(B −(Q −(B −C
    〔一般式(1)中、Hetは酸素原子又は硫黄原子であり、B 及びB は、各々独立に、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Q は2価の連結基を表し、C はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表し、jは0又は1を表し、p、q及びrは、各々独立に0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、(p+r)×nは3〜10の整数であり、p、q及びrがそれぞれ2以上のとき、2以上のB 、Q 及びB はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、nが2以上のとき、2以上の{(B −(Q −(B }は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。〕

    〔一般式(2)中、Ar 及びAr は、各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基を表す。但し、Ar 及びAr のうち少なくとも1つは、フッ素原子を有する芳香族炭化水素基または芳香族へテロ環基である。L は単結合または二価の連結基を表し、複数存在するAr 、Ar およびL はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。前記芳香族炭化水素基、芳香族へテロ環基及び二価の連結基は、置換基を有していてもよい。〕
  7. 前記ネマチック液晶の誘電率異方性の絶対値が、1.0以上であることを特徴とする請求項に記載の自動車部材。
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