JP4285011B2 - 液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は少なくともネマチック液晶およびカイラル材からなり、室温でコレステリック相を示し可視領域の光を選択反射可能なカイラルネマチック液晶組成物、および該液晶組成物を用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、基本的に透明電極を有する1対の基板とこの基板間に挟持された液晶層とからなる。この液晶層に駆動電圧を印加することで液晶分子の配列を制御し、素子に入射される外光を変調して目的とする画像の表示等を行う。
【0003】
液晶表示方式として様々な方法が提示されている。近年、ネマチック液晶にカイラル材を添加することにより、室温においてコレステリック液晶相を示すようにしたカイラルネマチック液晶組成物を用いた液晶表示素子が種々研究されている。
【0004】
かかる液晶表示素子は、例えば、カイラルネマチック液晶の選択反射を利用した低消費電力を特徴とする反射型の液晶表示素子として用いられることが知られている。この反射型表示素子では高低のパルス電圧を印加することにより液晶をプレーナ状態(着色状態)とフォーカルコニック状態(透明状態)とに切り替えて表示を行なう。また、パルス電圧を印加した後もプレーナ状態であった領域はプレーナ状態が、フォーカルコニック状態であった領域はフォーカルコニック状態が保持されることで、電圧の印加を停止した後も表示が保たれるようにすることが可能である。このようにプレーナ及びフォーカルコニックの各状態が保持される特性を一般的に「メモリー性」と呼ぶ。
【0005】
カイラルネマチック液晶組成物に含有されるカイラル材として、式;R1-A1-CHX-Y-A2-(Z-A3)m-R2(式中、A1は非置換の1,4-フェニレン基等、A2およびA3は非置換の1,4-フェニレン基等、R1およびR2は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基等、Xは-CH3等、Yは-CH2CO-等、Zは-COO-等、mは0または1である)で表される化合物(特許文献1)、および式;
【化1】
(式中、nは1〜5 の整数、Aは単結合(-)等、XおよびYは水素原子等、C*は不斉炭素原子である)で表される化合物(特許文献2)等が知られている。
【0006】
また、液晶表示素子のフルカラー表示を実現する一つの方法として、赤色表示を行なうR液晶層、緑色表示を行なうG液晶層、青色表示を行なうB液晶層の三層を含む液晶表示素子を採用することが考えられる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−328955号公報(第2頁請求項1等)
【特許文献2】
特開2002−212145号公報(第2頁請求項1等)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記カイラルネマチック液晶組成物は以下のような問題があった。
・プレーナ状態とフォーカルコニック状態との間でコントラストが低かった。
・プレーナ状態およびフォーカルコニック状態を達成するための駆動電圧が高かった。
・高温環境下での放置前後で、選択反射波長、コントラストおよび駆動電圧が変動するため、高温信頼性が低かった。
・周囲環境、特に周囲温度の変化によって選択反射波長がシフトするため、所定の波長の光が選択的に反射されず、選択反射波長の温度依存性が大きかった。
【0009】
本発明は、駆動電圧が比較的低く、温度依存性が比較的小さく、コントラストおよび高温信頼性に優れた液晶組成物および液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、少なくともネマチック液晶、温度による選択反射波長のシフト方向が長波長方向である第1カイラル材、および温度による選択反射波長のシフト方向が短波長方向である第2カイラル材を含んでなる液晶組成物であって、
第1カイラル材が一般式1;
R1−Ph1−C*HX1−CH2−Ph2−A1−(A2)m−R2 (1)
で表される化合物および/または一般式2;
R3−Ph3−C*HX2−A3−(Ph4)n−A4−(Ph5)p−R4 (2)
で表される化合物であり、
第2カイラル材が一般式3;
R5−A5−Ph6−A6−Ph7−COO−C*HX3−CH2−R6 (3)
で表される化合物および/または一般式4;
R7−CH2−C*HX4−A7−Ph8−A8−Ph9−A9−C*HX5−CH2−R8 (4)
で表される化合物であることを特徴とする液晶組成物;
(式1〜4中、R1は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基である;
R2は水素原子、1個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数1〜10のアルコキシル基、フッ素原子、またはシアノ基である;
A1は単結合(−)、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、または-CH2-である;
A2は置換基を有してもよいフェニレン基またはシクロヘキシレン基である;
mは0、1または2である;
Ph1、Ph2、Ph3、Ph4、Ph5、Ph6、Ph7、Ph8、およびPh9はそれぞれ独立して置換基を有してもよいフェニレン基、ビフェニレン基またはシクロヘキシレン基である;
C*は不斉炭素原子である;
X1、X2、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して-CH3、-CHF2、-CH2F、-CF3またはフッ素原子である;
R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基である;
A3は-CH2CO-、-COCH2-、-CH2CH2CO-、-CH2COCH2-、-COCH2CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2O-、-CH2CH2O-、-CH2OCH2-、-CO-または-COO-である;
A4は単結合、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CH2-または-O-である;
nは1または2である;
pは0、1または2である;
R4は水素原子、1個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数1〜10のアルコキシル基、フッ素原子、またはシアノ基である;
R5は炭素数1〜10のアルキル基である;
A5は単結合、-COO-、-OCO-または-O-である;
R6、R7、R8は(C2H5)2CH-である;
A6は-COO-、-OCO-、-CH2-または-CO-である;
A7およびA9はそれぞれ独立して-COO-または-OCO-である;
A8は単結合、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、-CH2-、-CO-、-CH2CH2-、-O-、-OCO-Phs-COO-(Phsは置換基を有しても良いフェニレン基を示す)または-OCO-Nps-COO-(Npsは置換基を有しても良いナフチレン基)である)
および該液晶組成物を用いた液晶表示素子に関する。
【0011】
第2の発明は、少なくともネマチック液晶、温度による選択反射波長のシフト方向が長波長方向である第1カイラル材、および温度による選択反射波長のシフト方向が短波長方向である第2カイラル材を含んでなる液晶組成物であって、
第2カイラル材が一般式3;
R5−A5−Ph6−A6−Ph7−COO−C*HX3−CH2−R6 (3)
で表される化合物および/または一般式4;
R7−CH2−C*HX4−A7−Ph8−A8−Ph9−A9−C*HX5−CH2−R8 (4)
で表される化合物であり、
液晶組成物の屈折率異方性(Δn)が0.14〜0.22、誘電率異方性(Δε)が16〜25、等方相転移温度が75〜90℃、粘度が20〜60mPa・sであることを特徴とする液晶組成物;
(式3〜4中、Ph6、Ph7、Ph8、およびPh9はそれぞれ独立して置換基を有してもよいフェニレン基、ビフェニレン基またはシクロヘキシレン基である;
C*は不斉炭素原子である;
X3、X4およびX5はそれぞれ独立して-CH3、-CHF2、-CH2F、-CF3またはフッ素原子である;
R5は炭素数1〜10のアルキル基である;
A5は単結合、-COO-、-OCO-または-O-である;
R6、R7、R8は(C2H5)2CH-である;
A6は-COO-、-OCO-、-CH2-または-CO-である;
A7およびA9はそれぞれ独立して-COO-または-OCO-である;
A8は単結合、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、-CH2-、-CO-、-CH2CH2-、-O-、-OCO-Phs-COO-(Phsは置換基を有しても良いフェニレン基を示す)または-OCO-Nps-COO-(Npsは置換基を有しても良いナフチレン基)である)
および該液晶組成物を用いた液晶表示素子に関する。
【0012】
本明細書中、選択反射波長とは、波長(横軸)−反射率(縦軸)の相関図を作成したとき、反射率が最も高くなるピークを示すときの波長を指すものとする。
【0013】
【発明の実施の形態】
<液晶組成物>
第1の発明および第2の発明の液晶組成物は少なくともネマチック液晶、温度による選択反射波長のシフト方向が長波長方向である第1カイラル材、および温度による選択反射波長のシフト方向が短波長方向である第2カイラル材からなる。以下、「第1の発明」および「第2の発明」を包含して意味するとき、「本発明」と表記するものとする。
【0014】
本発明において使用されるネマチック液晶は、カイラル材を添加されることにより室温でコレステリック相を示し可視領域の光を選択反射可能なカイラルネマチック液晶組成物となりうるものであれば、従来から液晶表示素子の分野で知られているネマチック液晶を使用可能である。例えば、液晶性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性シアノビフェニル化合物、液晶性フェニルシクロヘキサン化合物、液晶性多環化合物、液晶性トラン化合物、液晶性ジフルオロスチルベン化合物、ならびにフッ素原子、フルオロアルキル基およびシアノ基等の極性基を有する他の液晶性化合物等を単独で、または混合して使用することができる。
【0015】
ネマチック液晶は、コントラスト、駆動電圧、安定性等の観点から、誘電率異方性(Δε)が15〜50、特に20〜40、屈折率異方性(Δn)が0.11〜0.25、特に0.15〜0.23、およびネマチックアイソトロピック相転移温度(TNI)が90〜180℃、特に95〜150℃であることが好ましい。ネマチック液晶が混合物の場合、該混合物が上記物性を有することが好ましい。
【0016】
誘電率異方性とは一軸対称性を有する液晶系試料における対称軸方向の誘電率から当該対称軸に垂直な方向の誘電率を減じた値(Δε)(25℃)である。本明細書中、誘電率異方性はLCRメータ4192(HP社製)を用いて25℃で測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。上記誘電率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0017】
屈折率異方性とは一軸対称性を有する液晶系試料における対称軸方向の屈折率から当該対称軸に垂直な方向の屈折率を減じた値(Δn)(25℃)である。本明細書中、屈折率異方性はアッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて25℃で測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。上記屈折率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0018】
ネマチックアイソトロピック相転移温度(TNI)とは、温度を上げていったとき、ネマチック相が等方相に転移するときの温度である。本明細書中、TNIは、融点測定システム(メトラートレード社製)を用いて測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。TNIを測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0019】
本発明において使用されるカイラル材は、ネマチック液晶に添加することにより、当該液晶材料に、室温でコレステリック相を示させ、かつ可視領域の光を選択反射させるようにするものである。詳しくは室温でネマチック液晶の分子に層状のヘリカル構造(液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回転した分子構造)を形成させ得るものである。そのようなカイラル材は、ネマチック液晶と混合されて、当該混合物を温度上昇させたとき、混合物の選択反射波長を、温度上昇させる前の混合物の選択反射波長を基準として、長波長方向または短波長方向のいずれかの方向にシフトさせる特性を有する。本明細書においてはそのような長波長方向または短波長方向のシフト方向が「温度による選択反射波長のシフト方向」である。
【0020】
「温度による選択反射波長のシフト方向」が「長波長方向」とは、「使用されるネマチック液晶材料に25℃でコレステリック液晶相を示すのに十分な量のカイラル材を添加し、25℃の当該混合物を60℃まで上昇させたとき、混合物の選択反射波長を、温度上昇させる前の混合物の選択反射波長を基準として、長波長方向に1nm以上シフトさせる特性」を言う。
また、「温度による選択反射波長のシフト方向」が「短波長方向」とは、「使用されるネマチック液晶材料に25℃でコレステリック液晶相を示すのに十分な量のカイラル材を添加し、25℃の当該混合物を60℃まで上昇させたとき、混合物の選択反射波長を、温度上昇させる前の混合物の選択反射波長を基準として、短波長方向に1nm以上シフトさせる特性」を言う。
【0021】
以下、「第1の発明」と「第2の発明」とに分けて詳しく説明する。
(第1の発明)
第1の発明においては、上記のような第1カイラル材として一般式1;
R1−Ph1−C*HX1−CH2−Ph2−A1−(A2)m−R2 (1)
で表される化合物および/または一般式2;
R3−Ph3−C*HX2−A3−(Ph4)n−A4−(Ph5)p−R4 (2)
で表される化合物を使用し、かつ
上記のような第2カイラル材として一般式3;
R5−A5−Ph6−A6−Ph7−COO−C*HX3−CH2−R6 (3)
で表される化合物および/または一般式4;
R7−CH2−C*HX4−A7−Ph8−A8−Ph9−A9−C*HX5−CH2−R8 (4)
で表される化合物を使用する。
【0022】
一般式1〜4中、
R1は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基である。炭素数1〜10のアルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシル基の具体例として、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基およびデシルオキシ基が挙げられる。好ましいR1は水素原子または炭素数1〜10、特に3〜5のアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはCH3CH(CH3)CH2-である。
【0023】
R2は水素原子、1個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数1〜10のアルコキシル基、フッ素原子、またはシアノ基である。R2は不斉炭素原子を含んでいてもよく、その場合には該不斉炭素原子にはメチル基またはトリフルオロメチル基が連結されていることが好ましい。好ましいR2は非置換の炭素数2〜7のアルキル基、非置換の炭素数4〜9のアルコキシル基、1個以上のフッ素原子が置換した炭素数7〜9のアルコキシル基、またはシアノ基である。好ましいR2の具体例として、例えば、-C3H7、-C4H9、-C6H13、-O-C5H11、-O-C6H13、-O-C*H(CH3)-C6H13、-O-C*H(CF3)-C6H13またはシアノ基等が挙げられる。より好ましいR2は-C3H7、-O-C*H(CH3)-C6H13またはシアノ基である。
【0024】
A1は単結合(−)、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、または-CH2-であり、好ましくは単結合または-COO-である。「単結合」は一般式における該結合の左隣の基と右隣の基とが直接連結されることを意味する(以下、A1以外の基においても同様とする)。また左右対称性を有しない基、例えば「-COO-」、「-OCO-」等の場合、該基の向きは記載の通りであり、すなわち該基の左側が一般式におけるA1の左隣の基と連結され、右側が一般式におけるA1の右隣の基と連結される(以下、A1以外の基においても同様とする)。
A2は置換基、特に1個以上のハロゲン原子を有してもよいフェニレン基またはシクロヘキシレン基である。好ましいA2は非置換のフェニレン基もしくはシクロヘキシレン基、または1個以上のハロゲン原子、特にフッ素原子が置換したフェニレン基であり、より好ましくは非置換のフェニレン基もしくはシクロへキシレン基、モノフルオロフェニレン基、またはジフルオロフェニレン基である。
mは0、1または2であり、好ましくは0または1、特に1である。
【0025】
Ph1、Ph2、Ph3、Ph4、Ph5、Ph6、Ph7、Ph8、およびPh9はそれぞれ独立して置換基、特に1個以上のハロゲン原子を有してもよいフェニレン基、ビフェニレン基またはシクロヘキシレン基である。好ましいPh1、Ph3、Ph4およびPh6はそれぞれ独立して置換基を有してもよいフェニレン基、特に非置換のフェニレン基である。好ましいPh2は置換基を有してもよいフェニレン基またはビフェニレン基、特に非置換のフェニレン基である。好ましいPh5は置換基、特に1個以上のフッ素原子が置換してもよいフェニレン基またはシクロヘキシレン基であり、より好ましくは非置換のフェニレン基、モノフルオロフェニレン基、ジフルオロフェニレン基、または非置換のシクロへキシレン基、特に非置換のフェニレン基である。好ましいPh7は置換基を有してもよいビフェニレン基、特に非置換のビフェニレン基である。好ましいPh8は置換基を有してもよいフェニレン基またはビフェニレン基、特に非置換のフェニレン基またはビフェニレン基である。好ましいPh9は置換基、特に1個以上のフッ素原子が置換してもよいフェニレン基またはビフェニレン基、特に、非置換のフェニレン基、モノフルオロフェニレン基、または非置換のシクロへキシレン基である。
【0026】
C*は不斉炭素原子である。
X1、X2、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して-CH3、-CHF2、-CH2F、-CF3またはフッ素原子、好ましくは-CH3または-CF3、特に-CH3である。
【0027】
R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基である。炭素数1〜10のアルキル基の具体例として、R1における「炭素数1〜10のアルキル基」として例示した同様の具体例が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシル基の具体例として、R1における「炭素数1〜10のアルコキシル基」として例示した同様の具体例が挙げられる。好ましいR3は水素原子または炭素数1〜10、特に4〜6のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0028】
A3は-CH2CO-、-COCH2-、-CH2CH2CO-、-CH2COCH2-、-COCH2CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2O-、-CH2CH2O-、-CH2OCH2-、-CO-または-COO-であり、好ましくは-CH2CO-、-CH2CH2CO-、-CH2CH2-、-CH2O-または-CO-、特に-CH2O-である。
A4は単結合、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CH2-または-O-であり、好ましくは単結合、-COO-または-O-、特に単結合である。
nは1または2であり、好ましくは1である。
pは0、1または2であり、好ましくは0または1、特に1である。
【0029】
R4は水素原子、1個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数1〜10のアルコキシル基、フッ素原子、またはシアノ基である。R4は不斉炭素原子を含んでいてもよく、その場合には該不斉炭素原子にはメチル基またはトリフルオロメチル基が連結されていることが好ましい。好ましいR2は水素原子、非置換の炭素数2〜7のアルキル基、非置換の炭素数4〜9のアルコキシル基、またはシアノ基である。好ましいR2の具体例として、例えば、水素原子、-C3H7、-C4H9、-C6H13、-O-C5H11、-O-C6H13、-O-C*H(CH3)-C6H13またはシアノ基等が挙げられる。より好ましいR2は-O-C*H(CH3)-C6H13である。
【0030】
R5は炭素数1〜10のアルキル基である。炭素数1〜10のアルキル基の具体例として、R1における「炭素数1〜10のアルキル基」として例示した同様の具体例が挙げられる。好ましいR5は炭素数2〜7、特に2〜4のアルキル基であり、より好ましくはC3H7-である。
A5は単結合、-COO-、-OCO-または-O-であり、好ましくは単結合、-COO-または-O-、特に単結合または-COO-である。
【0031】
R6、R7、R8は(C2H5)2CH-である。
A6は-COO-、-OCO-、-CH2-または-CO-であり、好ましくは-COO-である。
A7およびA9はそれぞれ独立して-COO-または-OCO-である。好ましいA7は-OCO-である。好ましいA9は-COO-である。
A8は単結合、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、-CH2-、-CO-、-CH2CH2-、-O-、-OCO-Phs-COO-(Phsは置換基を有しても良いフェニレン基を示す)または-OCO-Nps-COO-(Npsは置換基を有しても良いナフチレン基)であり、好ましくは単結合、-COO-、-OCH2CH2O-、-OCO-Phs-COO-または-OCO-Nps-COO-、特に-COO-である。
【0032】
一般式1〜4で表される化合物の好ましい具体例を以下に示す。なお、具体例においてPhは非置換の1,4-フェニレン基、Ph(3-F)は3-フルオロ-1,4-フェニレン基、Ph(3,5-F)は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、Cyは非置換のトランス-1,4-シクロヘキシレン基、Npは非置換の2,6-ナフチレン基を示す。Ph(3-F)およびPh(3,5-F)のフッ素原子の置換位置はそれぞれ、各構造式においてPh(3-F)およびPh(3,5-F)における左隣の基と連結される炭素原子を1位としたときの置換位置である。
【0033】
一般式1で表される化合物の好ましい具体例として、例えば、
【化2】
【0034】
【化3】
等が挙げられる。より好ましい具体例は化合物1、2、6、8、13、14および16である。
【0035】
一般式2で表される化合物の好ましい具体例として、例えば、
【化4】
【0036】
【化5】
等が挙げられる。より好ましい具体例は化合物23である。
【0037】
一般式3で表される化合物の好ましい具体例として、例えば、
【化6】
等が挙げられる。より好ましい具体例は化合物35および39である。
【0038】
一般式4で表される化合物の好ましい具体例として、例えば、
【化7】
等が挙げられる。より好ましい具体例は化合物42、43および47である。
【0039】
なお、一般式1及び一般式2の化合物は例えば特開平10-251185号公報、特開平11-255675号公報、特開2001-328955号公報、特開2002-234853号公報に記載の方法に準じて生成することができ、また、一般式3及び一般式4の化合物は例えば特開2002-212145号公報、特開2002-338526号公報、特開2002-338527号公報、特開2002-322135号公報、特開2002-308833号公報に記載の方法に準じて生成することができる。
【0040】
第1の発明においては以上のような第1カイラル材と第2カイラル材とを組み合わせて使用する。これによって、後述の液晶組成物の屈折率異方性、誘電率異方性、等方相転移温度および粘度を容易に達成でき、結果として低い駆動電圧、小さい温度依存性、ならびに優れたコントラストおよび高温信頼性が達成される。
【0041】
第1カイラル材および第2カイラル材はそれぞれ独立して2種類以上の化合物を使用してもよい。低い駆動電圧、小さい温度依存性、ならびに優れたコントラストおよび高温信頼性をより有効に達成する観点からは、第1カイラル材として少なくとも上記一般式1で表される化合物を、第2カイラル材として少なくとも上記一般式4で表される化合物を使用することが好ましい。より好ましくは第1カイラル材として上記一般式1で表される化合物のみを、第2カイラル材として上記一般式4で表される化合物を使用する。
【0042】
カイラル材は一般にヘリカル構造の螺旋方向を右巻きまたは左巻きのいずれかの方向にする特性を化合物固有の特性として有している。第1および第2カイラル材の選択に際しては、本発明の効果が得られる限り、そのような特性を考慮する必要はないが、好ましくはヘリカル構造の螺旋方向を同一の方向にする特性を有するカイラル材のみを組み合わせて選択する。
【0043】
第1カイラル材と第2カイラル材との合計使用量は得られる液晶組成物の選択反射波長を調整する重要な因子であり、当該合計使用量を調整することによって、液晶組成物の選択反射波長を450〜700nmの範囲で有効に調整できる。合計使用量は使用されるネマチック液晶およびカイラル材の種類にも依存するため、一概には規定できないが、通常、ネマチック液晶とカイラル材との合計量に対して8〜45重量%が適当である。合計使用量が少なすぎると十分な反射波長やメモリー性を得られないことがあり、多すぎると室温でコレステリック相を示さなくなったり、固化したりすることがある。特に、選択反射波長を680nm程度の赤波長に設定したい場合、第1カイラル材と第2カイラル材との合計使用量はネマチック液晶とカイラル材との合計量に対して8〜40重量%が好適である。また、選択反射波長を550nm程度の緑波長に設定したい場合、合計使用量は13〜30重量%が好適である。また、選択反射波長を480nm程度の青波長に設定したい場合、合計使用量は10〜45重量%が好適である。液晶組成物の選択反射波長は、カイラル材の合計使用量を上記範囲内で増大すると短くなり、低減すると長くなる。
【0044】
第1の発明は、低い駆動電圧、小さい温度依存性、ならびに優れたコントラストおよび高温信頼性が達成される限り、上記した一般式1〜4で表されるカイラル材以外の他のカイラル材(以下、「他のカイラル材」という)を使用することを妨げるものではない。その場合、全カイラル材の合計使用量がネマチック液晶と全カイラル材との合計量に対して上記範囲内であればよい。
【0045】
第1カイラル材使用量(第1カイラル材として複数のカイラル化合物を使用した場合はそれらの合計量)と第2カイラル材使用量(第2カイラル材として複数のカイラル化合物を使用した場合はそれらの合計量)との比率(第1カイラル材;第2カイラル材)は温度依存性をより有効に向上させる重要な因子であり、5:1〜1:1の範囲、特に4:1〜1:1の範囲で、長波長へのシフトと短波長へのシフトが相殺されるようになるような割合で使用する。
【0046】
液晶組成物にはさらに色素を添加してもよい。その場合、添加される色素としては、従来から知られている各種色素を使用することができ、液晶と相溶性の良好なものが好適に用いられる。例えば、アゾ化合物、キノン化合物、アントラキノン化合物等、あるいは二色性色素等が使用可能であり、これらの色素を複数種類用いてもよい。添加量としては、例えば、ネマチック液晶とカイラル材の合計量に対して3重量%以下が望ましい。添加量が多すぎると液晶の選択反射量が低くなり逆にコントラストが下がってしまう。
【0047】
第1の発明において上記のように特定の第1および第2カイラル材を使用して所定の選択反射波長に設定されたカイラルネマチック液晶組成物は通常、屈折率異方性(Δn)が0.14〜0.22、特に0.15〜0.20、誘電率異方性(Δε)が16〜25、特に18〜25、等方相転移温度が75〜90℃、特に79〜85℃、25℃における粘度が20〜60mPa・s、特に25〜50mPa・sである。このため、駆動電圧が比較的低く、温度依存性が比較的小さい、コントラストおよび高温信頼性に優れた高反射率の液晶組成物および液晶表示素子を容易に提供可能である。
【0048】
屈折率異方性が小さすぎると、反射率が低くなりコントラストが無くなる。屈折率異方性が大きすぎると、液晶素子の信頼性、安定性が低下してしまう。
また誘電率異方性が小さすぎると、駆動電圧が高くなってしまう。誘電率異方性が大きすぎると、液晶素子の信頼性、安定性が低下してしまう。
また等方相転移温度が低すぎると、保存安定性が低下する。等方相転移温度が高すぎると、低温保存時での安定性が低下し、駆動電圧も高くなる。
また粘度が低すぎると、液晶素子の信頼性、安定性が低下する。粘度が高すぎると、駆動電圧が顕著に高くなり、液晶表示素子の製造に際して均一な品質の素子製造が難しくなり歩留まりが低下する。
【0049】
カイラルネマチック液晶組成物の等方相転移温度はコレステリックアイソトロピック温度(Tc)とも呼ばれる温度であって、温度を上げていったとき、コレステリック相が等方相に転移するときの温度である。Tcは融点測定システム(メトラートレード社製)を用いて測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。Tcを測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0050】
粘度は25℃においてE型粘度計(東京計器社製)を用いて測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。上記装置と同様の原理により25℃の粘度を測定可能な装置であれば、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0051】
(第2の発明)
第2の発明は、第1の発明において第1カイラル材が特に制限されることなく、第1の発明におけるカイラルネマチック液晶組成物の前記特定の屈折率異方性、誘電率異方性、等方相転移温度および粘度(以下、単に「所定の屈折率異方性等」という)が達成されること以外、第1の発明と同様である。すなわち、第2の発明は、第1の発明と同様の第2カイラル材を使用して液晶組成物の前記所定の屈折率異方性等を達成することによって、第1の発明と同様の効果(すなわち、低い駆動電圧、小さい温度依存性、ならびに優れたコントラストおよび高温信頼性)を達成するものである。
【0052】
以下、第2の発明について詳しく説明するが、特記しない限り、第2の発明は第1の発明の説明を準用できるものとする。
第2の発明において第1カイラル材は、温度による選択反射波長のシフト方向が長波長方向であり、かつ所定の屈折率異方性等を達成できる限り、特に制限されるものではない。所定の屈折率異方性等を容易に達成する観点からは、前記一般式1で表される化合物および/または一般式2で表される化合物、好ましくは前記一般式1で表される化合物、特に化合物1、2、6、8、13、14および16を使用することが望ましい。
【0053】
第2カイラル材としては、第1の発明と同様の第2カイラル材、すなわち前記一般式3で表される化合物および/または前記一般式4で表される化合物、好ましくは前記一般式4で表される化合物、特に化合物42、43および47を使用する。第2カイラル材として上記化合物を使用しないと、所定の屈折率異方性等を達成できない。
第1カイラル材および第2カイラル材はそれぞれ独立して2種類以上の化合物を使用してもよい。
【0054】
第2の発明において第1カイラル材と第2カイラル材との合計使用量およびそれらの比率は、第1カイラル材が上記のように特に制限されないこと以外、第1の発明においてと同様である。
【0055】
第2の発明は、低い駆動電圧、小さい温度依存性、ならびに優れたコントラストおよび高温信頼性が達成される限り、前記一般式3〜4で表されるカイラル材以外の他のカイラル材を第2カイラル材として使用することを妨げるものではない。その場合、全カイラル材の合計使用量がネマチック液晶と全カイラル材との合計量に対して前記範囲内であればよい。
【0056】
<液晶表示素子>
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子について図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る液晶表示素子の一実施形態の断面構造を示す概略図であり、図1(A)に高電圧パルスを印加したときのプレーナ状態(着色状態)を示し、図1(B)に低電圧パルスを印加したときのフォーカルコニック状態(透明/黒色表示状態)を示す。なお、この液晶表示素子はメモリー性を有しており、プレーナ状態及びフォーカルコニック状態はパルス電圧印加後も維持される。なお、図1(A)および図1(B)は印加電圧が異なること以外、同様であり、図1(A)および図1(B)のいずれの図面をも指すときは単に図1と示すものとする。
【0057】
図1に示す液晶表示素子は、一対の基板11,12間に液晶組成物21が挟持された構造を有する。図1において、11、12は透光性を有する透明基板であり、透明基板11、12のそれぞれの表面に、互いに平行な複数の帯状に形成された透明電極13、14が設けられている。これらの電極13、14は互いに交差するように向かい合わされて配置されている。電極13,14上には絶縁性薄膜がコーティングされていることが好ましく、ここでは電極13上にのみ絶縁性薄膜15がコーティングされている。絶縁性薄膜15におけるセルの内部側には液晶の配向を安定化させる配向安定化膜(図示せず)が設けられている。また光を入射させる側と反対側の基板の外面(裏面)には、必要に応じて黒色の可視光吸収層16が設けられる。20はスペーサー保持部材としての柱状構造物、21は室温でコレステリック相を示すカイラルネマチック液晶組成物である。24はシール材であり、液晶組成物21を基板11、12間に封入するためのものである。
以下、液晶表示部材の主要な構成部材について詳しく説明する。
【0058】
(基板)
図1において基板11、12は、既述の通り、いずれも透光性を有しているが、本実施形態の液晶表示素子に用いることができる一対の基板は、少なくとも一方の基板(少なくとも、光を入射させる側の基板)が透光性を有していればよい。透光性を有する基板としては、ガラス基板を例示できる。ガラス基板以外にも、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAr)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフレキシブル基板を使用することができる。基板として、そのようなフレキシブルプラスチック基板を用いることにより、軽量で薄型の素子が作製できる。また、割れる心配がない。
【0059】
(電極)
電極としては、例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜や、アルミニウム、シリコン等の金属電極、あるいは、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等の光導電性膜等を用いることができる。図1に示す液晶表示素子においては、既述の通り、透明基板11、12の表面に互いに平行な複数の帯状の透明電極13、14が形成されており、これらの電極13、14は互いに交差するように向かい合わされている。電極をこのように形成するには、例えば基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。
【0060】
(絶縁性薄膜)
本実施形態の液晶表示素子は電極間の短絡を防止したり、液晶表示素子のガスバリア性に対する信頼性を向上させたりするために、絶縁性薄膜が形成されていてもよい。既述の通り、ここでは電極13上に絶縁性薄膜15がコーティングされている。絶縁性薄膜としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウムやそのアルコキシド等から成る無機材料やポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜を例示できる。これらの材料を用いて蒸着法、スピンコート法、ロールコート法などの公知の方法によって形成することができる。絶縁性薄膜は前記の材料に色素を添加すればカラーフィルターとしても機能する。このようにカラーフィルターとしても機能させることによって、電極間の短絡防止特性と素子の信頼性を向上させながら、色純度を向上させることができる。さらに、絶縁性薄膜は柱状構造物に用いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
【0061】
(配向安定化膜)
配向安定化膜は液晶組成物の配向を有効に制御し、かつ安定化させるために、形成されることが好ましいが、形成されていなくてもよい。配向安定化膜が形成される場合、電極上に絶縁性薄膜が形成されているときは当該絶縁性薄膜上に、電極上に絶縁性薄膜が形成されていないときは電極上に形成される。配向安定化膜としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機膜が例示される。これらの材料を用いて形成した配向安定化膜は、ラビング処理等の配向処理を施してもよいが、施さなくても良好な反射特性を示す。配向安定化膜はラビング処理を行うことにより、さらに反射率を向上させることが出来る。しかし、両面の配向安定化膜をラビング処理するとフォーカルコニック状態でのメモリー性が無くなってしまう。また配向安定化膜を絶縁性薄膜と兼用してもよい。
【0062】
配向安定化膜の膜厚を10〜150nmに設定することによって、駆動電圧が比較的低く、温度依存性が比較的小さく、コントラストおよび高温信頼性に優れた液晶表示素子をより容易に提供できる。配向安定化膜が10nmよりも薄いと充分な配向制御の役割を果たさず、150nmよりも厚いと駆動電圧が上昇したり、配向むらが発生しやすいという問題がある。特に、膜厚が30〜100nmのときに塗工性が良好で、ムラの無い膜が形成可能であり、駆動電圧も低く良好な特性を示す。
配向安定化膜に可溶性を有するポリイミド化合物を使用することで、プラスチック基板でも成膜可能である。また液晶と配向安定化膜の相互作用が強くなって液晶分子が均一に配向され、フォーカルコニック状態での散乱が少なくなり、素子としてのコントラストが向上する。またラビングしないことで視野角依存性を少なくすることができる。
【0063】
(スペーサー)
本実施形態の液晶表示素子は、一対の基板間に、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。なお、図1に示すように、基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物20のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みに相当する。
【0064】
(液晶組成物)
液晶組成物は前記した本発明のカイラルネマチック液晶組成物である。所望により、イオン交換樹脂・吸着剤等と接触させて精製を行ない水分や不純物を除去した後で、素子の製造に用いるとよい。
【0065】
(柱状構造物)
図1に示すように、本実施形態の液晶表示素子は、強い自己保持性(強度)を付与するために、一対の基板はそれらの間で構造物によって支持されていてもよい。本例の液晶表示素子には、基板11、12間に柱状構造物20が設けられている。柱状構造物としては、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体、円錐柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は液晶表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、適度な強度を保持しながら液晶表示素子として実用上満足できる表示特性が得られる。樹脂材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂等一般的な樹脂であれば使用は可能である。柱状構造物の高さはセルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みに相当する。
【0066】
次に、ポリエステル樹脂を用いた柱状構造物の製作方法の一例について説明する。例えば、まず、所定のパターンが形成されたITO電極を形成した基板上にポリエステル樹脂溶液をロールコーターやグラビアコーター等の印刷機を用いて印刷した後、基板を貼り合わせて乾燥、硬化させる。その後、液晶表示素子とするには、柱状構造物を挟持した基板間に液晶組成物を真空注入法等によって注入すればよい。あるいは、基板を貼り合わせる際に、液晶組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
【0067】
さらに、基板間ギャップ制御の精度向上のため、柱状構造物を形成するときに、柱状構造物の膜厚より小さいサイズのスペーサー材料、例えば、ガラスファイバー、ボール状のガラスやセラミックス粉、あるいは有機材料からなる球状粒子を配置し、加熱や加圧でギャップが変化しないようにすると、よりギャップ精度を向上させることができ、それだけ電圧ムラ、表示ムラ等を低減できる。
【0068】
(カラーフィルター)
また、液晶組成物への色素添加に代えてカラーフィルターを採用することが出来る。この場合、例えば液晶表示素子にフィルター層を設ける事ができる。このフィルタ層に用いられる材料としては、例えば、無色透明物質に色素を添加したものであってもよいし、色素を添加せずとも本質的に着色状態にあるものであってもよい。例えば、フィルタ層が色素と同様の働きをする特定の物質からなる薄膜であってもよい。液晶表示素子を構成するための透明基板自体を以上のようなフィルタ層材料と置き換えても同様の効果が得られる。
【0069】
図2は液晶層が3つ積層されてなるフルカラー表示用積層型液晶表示素子の一例の断面構造を示す概略図である。詳しくは、図2の積層型液晶表示素子は、可視光吸収層16が形成されていないこと以外、図1と同様の液晶表示素子が3つ積層されてなっており、最も下の液晶表示素子の底面にのみ可視光吸収層16が形成されている。また、最も下の液晶表示素子31の基板12以外の基板は透光性を有することを要する。図2において、図1と同じ部材には同じ符号を付しているので、それらの説明は省略する。
【0070】
液晶表示素子(31、32、および33)はそれぞれ所定波長の光を選択反射するように調製された前述のカイラルネマチック液晶組成物21を収容している。図2において、液晶表示素子(31、32、および33)の選択反射波長はぞれぞれ赤波長(R)、緑波長(G)、および青波長(B)に設定されているが、R、GおよびBの順序は特に制限されるものではない。なお、液晶層間に位置する基板の数を1枚にして上下の素子で兼用するようにしてもよい。この場合、使用する基板の枚数が減少するため不要な散乱等を抑えて表示特性を向上させやすくなる。
【0071】
図2においては、青色表示用液晶表示素子33のみが比較的高い電圧パルスを印加されてプレーナ状態にあり、赤色表示用液晶表示素子31および緑色表示用液晶表示素子32は比較的低い電圧パルスを印加されてフォーカルコニック状態にあり、フルカラー用の積層型液晶表示素子全体として青色のみを選択反射するようになっている。
【0072】
液晶表示素子(31、32、および33)の積層は接着層30によって達成されている。そのような接着層30は、透明性を有し、かつ液晶表示素子(31、32、および33)を一体化できればいかなる材料によって形成されてもよく、例えば、両面粘着シート等が挙げられる。
【0073】
【実施例】
以下、本発明を実験例を用いて具体的に説明するが、本発明はそれらの実験例に限定されるものではない。以下に説明する各実験例における液晶表示素子においては、液晶表示素子をプレーナ状態としたときに高反射率状態となり、フォーカルコニック状態としたときに低反射率状態となる。また、部は重量部を表す。
【0074】
[実施例1]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)84部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物1)を13部、[一般式4]で示されるカイラル材(化合物42)を3部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:18.1、屈折率異方性Δn:0.1781、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:79.7℃、粘度:39mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。
【0075】
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0076】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、40Vで着色状態、20Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は26.4、透明時の視感反射率Y値は2.8、コントラスト9.4であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0077】
評価方法を以下に示す。なお、評価方法は以下の実施例及び比較例でも同様である。
反射率の測定は反射型分光測色計CM-3700d(ミノルタ社製)を用いて視感反射率(Y値)を測定することで行った。Y値が小さいほど透明である。また、Y値が大きいほど明るい。
コントラストは「高反射率状態でのY値/低反射率状態でのY値」で評価した。
反射波長は分光光度計(U-3410:日立製作所社製)を用いて測定した。
高温の信頼性試験では得られた液晶表示素子を80℃の恒温槽に300時間入れ、その前後での素子特性(反射波長、着色状態および透明状態を達成する駆動電圧、ならびに着色時および透明時のY値)の変化度合により下記基準に従って評価を行った。
◎;素子特性が変化しなかった;
○;素子特性がわずかに変化したが、実用上問題なかった;
△;素子特性が変化し、実用上問題があった;
×;素子特性が大きく変化した。
【0078】
[実施例2]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)84.2部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物1)を10部、[一般式1]で示されるカイラル材(化合物14)を3部、[一般式4]で示されるカイラル材(化合物42)を2.8部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:19.5、屈折率異方性Δn:0.1792、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:80.5℃、粘度:42mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。
【0079】
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0080】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、35Vで着色状態、17Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は27.8、透明時の視感反射率Y値は2.9、コントラスト9.6であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0081】
[実施例3]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)82部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物2)を11部、[一般式3]で示されるカイラル材(化合物35)を7部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:17.4、屈折率異方性Δn:0.1765、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:80.2℃、粘度:45mPa・s(25℃)であった。また、585nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。
【0082】
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0083】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、40Vで着色状態、20Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は24.6、透明時の視感反射率Y値は2.7、コントラスト9.1であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0084】
[実施例4]
ネマチック液晶B(誘電率異方性Δε:36.4、屈折率異方性Δn:0.1651、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:108.7℃)80.2部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物1)を11.4部、[一般式1]で示されるカイラル材(化合物13)を2.6部、[一般式3]で示されるカイラル材(化合物35)を5.8部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:22.5、屈折率異方性Δn:0.1585、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:79.2℃、粘度:48mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。
【0085】
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0086】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、38Vで着色状態、18Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は26.3、透明時の視感反射率Y値は2.7、コントラスト9.7であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0087】
[実施例5]
ネマチック液晶B(誘電率異方性Δε:36.4、屈折率異方性Δn:0.1651、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:108.7℃)80.1部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物6)を13.4部、[一般式3]で示されるカイラル材(化合物39)を6.5部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:20.9、屈折率異方性Δn:0.1565、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:80.2℃、粘度:46mPa・s(25℃)であった。また、585nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。
【0088】
次に、ガラス基板上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み1400Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成しその上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのガラス基板上のITO透明電極上にも、厚み140Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0089】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、39Vで着色状態、19Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は27.4、透明時の視感反射率Y値は2.8、コントラスト9.8であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0090】
[実施例6]
ネマチック液晶B(誘電率異方性Δε:36.4、屈折率異方性Δn:0.1651、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:108.7℃)83.7部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物8)を13.2部、[一般式4]で示されるカイラル材(化合物43)を3.1部を混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:21.4、屈折率異方性Δn:0.1578、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:82.5℃、粘度:40mPa・s(25℃)であった。また、540nmに反射強度のピーク波長がある選択反射波長を示した。
【0091】
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み500Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、この基板を弱くラビングした。ラビング処理の条件としては、レーヨンのラビング布を巻いたローラーの回転数を5Orpm、配向安定化膜の形成されたプラスチック基板に対するラビングローラーの相対移動速度を140cm/分、ラビング布のパイルの押し込み量を0.3mmとした。その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み500Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。なおこちらの基板にはラビング処理は行わなかった。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0092】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、38Vで着色状態、18Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は30.4、透明時の視感反射率Y値は3.0、コントラスト10.1であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0093】
[実施例7]
ネマチック液晶B(誘電率異方性Δε:36.4、屈折率異方性Δn:0.1651、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:108.7℃)84.2部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物11)を10部、[一般式1]で示されるカイラル材(化合物16)を2.8部、[一般式4]で示されるカイラル材(化合物47)を3部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:24.3、屈折率異方性Δn:0.1535、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:79.6℃、粘度:47mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。まず、第1のポリカーボネート(PC)フィルム基板上に設けられたITO透明電極上に酸化チタン微粒子を含有する有機ケイ素化合物を含む絶縁膜材料の塗布液をフレキソ印刷で塗布した。その後、80℃のオーブン中で溶剤を乾燥させ、高圧水銀灯でUV照射(3J)し、さらに140℃のオーブンで1時間焼成して厚み200nmの絶縁膜を得た。
【0094】
前記絶縁膜の上に可溶性ポリイミドの塗布液をフレキソ印刷で塗布した。その後、140℃のオーブン中で焼成し、厚み50nmのボリイミド系配向安定化膜を得た。そして、その上に5μm径の接着スペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。また、第2のPCフィルム基板上のITO透明電極上にも同様に絶縁膜と配向安定化膜を形成し、対向基板とした。
【0095】
続いて、第1の基板上の周縁部にシール材XN21(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定の高さの壁を形成した。
次に第2の基板上の表示部分に、ポリウレタン樹脂パンデックスT-5210(DIC社製)とジメチルホルムアミドを重量比50対50で混合したものをスクリーン印刷した後、100℃で2時間乾燥させ、直径50μmの概ね円柱形状の柱状構造物をピッチ300μmで格子状に形成した。
【0096】
その後、該第2の基板上にシール材の高さと面積から計算された量の液晶組成物を塗布した後、該第1の基板を加圧・加熱しながら貼り合わせ、150℃で1時間加熱し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0097】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、35Vで着色状態、15Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は28.1、透明時の視感反射率Y値は2.9、コントラスト9.7であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0098】
[実施例8]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)81部に[一般式2]で示されるカイラル材(化合物23)を12部、[一般式3]で示されるカイラル材(化合物35)を7部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:16.9、屈折率異方性Δn:0.1739、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:79.6℃、粘度:43mPa・s(25℃)であった。また、585nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。
【0099】
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0100】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、40Vで着色状態、19Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は25.2、透明時の視感反射率Y値は2.7、コントラスト9.3であり、コントラストの高い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後でも反射波長のズレは無く、また着色状態および透明状態を達成する駆動電圧ならびに着色時および透明時のY値にズレは無かった。
【0101】
[比較例1]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)84.7部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物1)を15.3部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:16.1、屈折率異方性Δn:0.1754、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:81.5℃、粘度:38mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み8O0Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0102】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、50Vで着色状態、25Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は25.1、透明時の視感反射率Y値は3.0、コントラスト8.4であり、コントラストの少し低い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後で反射波長は長波長にずれ、またズレの幅は大きく、さらに着色時および透明時のY値が大きくズレた。
【0103】
[比較例2]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)88部に[一般式4]で示されるカイラル材(化合物42)を12部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:16.8、屈折率異方性Δn:0.1803、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:82.7℃、粘度:65mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み8O0Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0104】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、50Vで着色状態、27Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は25.8、透明時の視感反射率Y値は3.0、コントラスト8.6であり、コントラストの少し低い素子であった。しかし、粘度が高く、高温信頼性試験では80℃、300時間後で反射波長は短波長にずれ、またズレの幅は大きく、さらに着色時および透明時のY値が大きくズレた。
【0105】
[比較例3]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)76.5部に[一般式1]で示されるカイラル材(化合物1)を14部、カイラル材(S-811:メルク社製)を9.5部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:13.5、屈折率異方性Δn:0.1705、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:75.6℃、粘度:53mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0106】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、60Vで着色状態、35Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は24.6、透明時の視感反射率Y値は3.1、コントラスト7.9であり、コントラストが少し低い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後で反射波長のズレはなかったが、素子の駆動電圧が少し高くなった。
【0107】
[比較例4]
ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:21.2、屈折率異方性Δn:0.205、ネマチックアイソトロピック相転移温度TNI:104.8℃)78.1部に[一般式4]で示されるカイラル材(化合物42)を14.8部、カイラル材(CB15:メルク社製)を7.1部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物は、誘電率異方性Δε:15.8、屈折率異方性Δn:0.1724、コレステリックアイソトロピック相転移温度Tc:70.2℃、粘度:68mPa・s(25℃)であった。また、580nmに反射強度のピーク波長がある選択反射特性(黄色)を示した。次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成し、その上に5μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL-4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入し、光を入射させる側とは反対側の基板に黒色の光吸収層を設け、液晶表示素子を作製した。
【0108】
上記の液晶表示素子の電極間に着色状態(プレーナー状態)と透明状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、55Vで着色状態、30Vで透明状態を示した。着色時の視感反射率Y値は25.4、透明時の視感反射率Y値は3.1、コントラスト8.2であり、コントラストの少し低い素子であった。高温信頼性試験では80℃、300時間後で反射波長のズレは無かったが、素子の駆動電圧が非常に高くなった。
【0109】
【表1】
【0110】
【発明の効果】
本発明の液晶組成物および液晶表示素子は、駆動電圧および粘度が比較的低く、温度依存性が比較的小さく、さらにコントラストおよび高温信頼性に優れている。
【0111】
本発明の液晶組成物および液晶表示素子は駆動電圧、特に着色状態を達成するための駆動電圧を50V以下、好ましくは40V以下に設定可能である。そのため、安価なICが使用可能となり、液晶表示素子が安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示素子の一例の概略断面図であり、(A)はプレーナ状態を示し、(B)はフォーカルコニック状態を示す。
【図2】 本発明の液晶表示素子の一例の概略断面図である。
【符号の説明】
11、12:基板、13、14:電極、15:絶縁性薄膜、16:可視光吸収層、20:柱状構造物、21:液晶組成物、24:シール材、30:接着層、31:赤色表示用液晶表示素子、32:緑色表示用液晶表示素子、33:青色表示用液晶表示素子。
Claims (5)
- 少なくともネマチック液晶、温度による選択反射波長のシフト方向が長波長方向である第1カイラル材、および温度による選択反射波長のシフト方向が短波長方向である第2カイラル材を含んでなる液晶組成物であって、
第1カイラル材が一般式1;
R1−Ph1−C*HX1−CH2−Ph2−A1−(A2)m−R2 (1)
で表される化合物および/または一般式2;
R3−Ph3−C*HX2−A3−(Ph4)n−A4−(Ph5)p−R4 (2)
で表される化合物であり、
第2カイラル材が一般式3;
R5−A5−Ph6−A6−Ph7−COO−C*HX3−CH2−R6 (3)
で表される化合物および/または一般式4;
R7−CH2−C*HX4−A7−Ph8−A8−Ph9−A9−C*HX5−CH2−R8 (4)
で表される化合物であることを特徴とする液晶組成物;
(式1〜4中、R1は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基である;
R2は水素原子、1個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数1〜10のアルコキシル基、フッ素原子、またはシアノ基である;
A1は単結合(−)、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、または-CH2-である;
A2は置換基を有してもよいフェニレン基またはシクロヘキシレン基である;
mは0、1または2である;
Ph1、Ph2、Ph3、Ph4、Ph5、Ph6、Ph7、Ph8、およびPh9はそれぞれ独立して置換基を有してもよいフェニレン基、ビフェニレン基またはシクロヘキシレン基である;
C*は不斉炭素原子である;
X1、X2、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して-CH3、-CHF2、-CH2F、-CF3またはフッ素原子である;
R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基である;
A3は-CH2CO-、-COCH2-、-CH2CH2CO-、-CH2COCH2-、-COCH2CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2O-、-CH2CH2O-、-CH2OCH2-、-CO-または-COO-である;
A4は単結合、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CH2-または-O-である;
nは1または2である;
pは0、1または2である;
R4は水素原子、1個以上のハロゲン原子が置換してもよい炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数1〜10のアルコキシル基、フッ素原子、またはシアノ基である;
R5は炭素数1〜10のアルキル基である;
A5は単結合、-COO-、-OCO-または-O-である;
R6、R7、R8は(C2H5)2CH-である;
A6は-COO-、-OCO-、-CH2-または-CO-である;
A7およびA9はそれぞれ独立して-COO-または-OCO-である;
A8は単結合、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、-CH2-、-CO-、-CH2CH2-、-O-、-OCO-Phs-COO-(Phsは置換基を有しても良いフェニレン基を示す)または-OCO-Nps-COO-(Npsは置換基を有しても良いナフチレン基)である)。 - 少なくともネマチック液晶、温度による選択反射波長のシフト方向が長波長方向である第1カイラル材、および温度による選択反射波長のシフト方向が短波長方向である第2カイラル材を含んでなる液晶組成物であって、
第2カイラル材が一般式3;
R5−A5−Ph6−A6−Ph7−COO−C*HX3−CH2−R6 (3)
で表される化合物および/または一般式4;
R7−CH2−C*HX4−A7−Ph8−A8−Ph9−A9−C*HX5−CH2−R8 (4)
で表される化合物であり、
液晶組成物の屈折率異方性(Δn)が0.14〜0.22、誘電率異方性(Δε)が16〜25、等方相転移温度が75〜90℃、粘度が20〜60mPa・sであることを特徴とする液晶組成物;
(式3〜4中、Ph6、Ph7、Ph8、およびPh9はそれぞれ独立して置換基を有してもよいフェニレン基、ビフェニレン基またはシクロヘキシレン基である;
C*は不斉炭素原子である;
X3、X4およびX5はそれぞれ独立して-CH3、-CHF2、-CH2F、-CF3またはフッ素原子である;
R5は炭素数1〜10のアルキル基である;
A5は単結合、-COO-、-OCO-または-O-である;
R6、R7、R8は(C2H5)2CH-である;
A6は-COO-、-OCO-、-CH2-または-CO-である;
A7およびA9はそれぞれ独立して-COO-または-OCO-である;
A8は単結合、-COO-、-OCO-、-OCH2CH2O-、-CH2-、-CO-、-CH2CH2-、-O-、-OCO-Phs-COO-(Phsは置換基を有しても良いフェニレン基を示す)または-OCO-Nps-COO-(Npsは置換基を有しても良いナフチレン基)である)。 - カイラル材の合計含有量がネマチック液晶とカイラル材との合計量に対して8〜45重量%であり、第1カイラル材と第2カイラル材との含有量の比率(第1カイラル材;第2カイラル材)が5:1〜1:1である請求項1または2に記載の液晶組成物。
- 選択反射波長が450〜700nmの波長域に存在する請求項1〜3のいずれかに記載の液晶組成物。
- 少なくとも一方が透明な一対の基板間に、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶組成物が挟持されてなる液晶表示素子。
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