JP2003295224A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP2003295224A
JP2003295224A JP2002094117A JP2002094117A JP2003295224A JP 2003295224 A JP2003295224 A JP 2003295224A JP 2002094117 A JP2002094117 A JP 2002094117A JP 2002094117 A JP2002094117 A JP 2002094117A JP 2003295224 A JP2003295224 A JP 2003295224A
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msec
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JP2002094117A
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Fumie Mototsugu
文絵 本告
Satoshi Hisamitsu
聡史 久光
Noboru Ueda
昇 上田
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応答速度が速く、駆動電圧が低減され、コン
トラストが良好で、かつ耐熱安定性に優れた液晶表示素
子を提供すること。 【解決手段】 少なくともネマチック液晶混合物および
カイラル材料を含んでなり、室温でコレステリック相を
示しピーク波長420nm〜490nmの光を選択反射可能であっ
て、粘度が50〜90cP、誘電率異方性(△ε)が10〜30、
屈折率異方性(△n)が0.15〜0.20、および等方相転移
温度が75℃〜100℃であるカイラルネマチック液晶組成
物と、該液晶組成物を挟持する少なくとも一方が透明な
一対の電極付き基板と、を備えたことを特徴とする液晶
表示素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は少なくともネマチッ
ク液晶材料およびカイラル材料からなるカイラルネマチ
ック液晶組成物を用いた液晶表示素子、および該液晶表
示素子を含む積層型液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ネマチック液晶材料にカイラル材
料を添加することにより、室温においてコレステリック
相を示すようにしたカイラルネマチック液晶組成物を用
いた反射型の液晶表示素子が研究されている。そのよう
な液晶表示素子は基本的には、透明電極を有する一対の
基板間にカイラルネマチック液晶組成物が挟持されてな
り、電極間に高低のパルス電圧(駆動電圧)を印加する
によって液晶をプレーナ状態とフォーカルコニック状態
に切り替えて表示が行われる。特に、プレーナ状態で特
定波長の光が選択反射されるようになっている。
【0003】液晶表示素子(液晶組成物)が選択反射す
る光のピーク波長は液晶組成物におけるカイラル材料の
添加量によって調整されるのが一般的である。すなわ
ち、青色波長のような比較的短波長の光を選択反射させ
ようとする場合はカイラル材料を比較的増量し、一方で
赤色波長のような比較的長波長の光を選択反射させよう
とする場合はカイラル材料を比較的減量する。
【0004】しかしながら、比較的短波長の光を選択反
射させるべく、カイラル材料を増量したカイラルネマチ
ック液晶組成物は粘度が高くなるために、フォーカルコ
ニック状態とプレーナ状態との間の応答速度、特にフォ
ーカルコニック状態からプレーナ状態への立下り応答速
度が遅くなるという問題が生じていた。また、カイラル
材料を増量されたカイラルネマチック液晶組成物は等方
相転移温度が比較的低くなり、液晶組成物の使用可能な
温度範囲が狭くなるため、耐熱安定性が悪化し易いとい
う問題が生じていた。
【0005】そこで、液晶組成物の粘度を低くするため
には、液晶組成物の誘電率異方性を下げること、液晶組
成物の屈折率異方性を下げること、液晶組成物の等方相
転移温度を低くすることが有効であることが知られてい
る。
【0006】しかしながら、液晶組成物の誘電率異方性
を下げると、当該液晶組成物をプレーナ状態またはフォ
ーカルコニック状態に駆動させるための電圧(駆動電
圧)が上昇することが判明した。また、液晶組成物の屈
折率異方性を下げると、反射率が低下し、プレーナ状態
とフォーカルコニック状態とのコントラストが悪化する
ことが判明した。また、液晶組成物の等方相転移温度を
さらに低くすると、耐熱安定性が一層、悪化することが
判明した。
【0007】このように従来のカイラルネマチック液晶
組成物を用いた液晶表示素子では、応答速度、駆動電
圧、コントラストおよび耐熱安定性に関し、十分に満足
できるものは存在しなかった。
【0008】さらに、周囲環境、特に周囲温度の変化に
よって、調製時に設定されていた液晶組成物の選択反射
波長がシフトすることも問題となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたものであって、応答速度が速く、駆動電圧が
低減され、コントラストが良好で、かつ耐熱安定性に優
れた液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0010】本発明はまた、周囲温度の変化による選択
反射波長のシフトが抑制され優れた温度補償特性を有す
るとともに、応答速度が速く、駆動電圧が低減され、コ
ントラストが良好で、かつ耐熱安定性に優れた液晶表示
素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともネ
マチック液晶混合物およびカイラル材料を含んでなり、
室温でコレステリック相を示しピーク波長420nm〜490nm
の光を選択反射可能であって、粘度が50〜90cP、誘電率
異方性(△ε)が10〜30、屈折率異方性(△n)が0.15
〜0.20、および等方相転移温度が75℃〜100℃であるカ
イラルネマチック液晶組成物と、該液晶組成物を挟持す
る少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板と、を備
えたことを特徴とする液晶表示素子に関する。
【0012】カイラル材料として、2種類以上のカイラ
ル化合物を含むものを使用してもよい。また、カイラル
ネマチック液晶組成物の粘度を50〜80cP、誘電率異方性
(△ε)を15〜25、屈折率異方性(△n)を0.15〜0.1
8、等方相転移温度を80〜95℃としてもよい。基板間に
挟持された液晶層の厚みが2.5〜6μmであってもよい。
【0013】また、それぞれが一対の電極付き基板に挟
持された複数の液晶層を複数積層してなる積層型液晶表
示素子であって、前記複数の液晶層の少なくとも一つが
その液晶層を挟持基板とともに請求項1〜4のいずれかに
記載の液晶表示素子を構成するものであってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態である液
晶表示素子(青色表示用)の一例の断面構造を示す概略
図である。図1に示す液晶表示素子は、一対の基板11,12
間に液晶組成物21が挟持されてなる構造を有する。図1
において、11、12は透光性を有する透明基板であり、透
明基板11、12のそれぞれの表面に、互いに平行な複数の
帯状に形成された透明電極13、14が設けられている。透
明電極13と透明電極14とは互いに交差するように向かい
合わされて配置されている。電極13,14上には絶縁性薄
膜15がコーティングされている。さらに、絶縁性薄膜15
の上には配向膜17が形成されている。20はスペース保持
部材としての高分子構造物、23は同様にスペース保持部
材としてのスペーサー、21は室温でコレステリック相を
示す液晶組成物である。22は液晶組成物21をセル内部に
封じこめるためのシール材である。また光を入射させる
側と反対側の基板12の外面(裏面)には、必要に応じて
黒色の可視光吸収層19が設けられる。なお、可視光吸収
層19を設ける代わりに、基板12自体が可視光吸収性を有
するものを用いても良い。以下、液晶表示素子の主要な
構成部材について詳しく説明する。
【0015】(基板)図1において基板11、12は、既述
の通り、いずれも透光性を有しているが、上記の液晶表
示素子に用いることができる一対の基板は、少なくとも
一方の基板(少なくとも、光を入射させる側の基板11)
が透光性を有していればよい。透光性を有する基板とし
ては、ガラス基板、ならびにポリカーボネート、ポリエ
ーテルスルホン、ポリアリレートおよびポリエチレンテ
レフタレート等のフレキシブル基板を使用することがで
きる。素子の軽量化の観点からはフレキシブル基板を使
用することが好ましい。一対の基板のうち少なくとも一
方の基板、好ましくは両方の基板としてフレキシブル基
板を用いると、軽量で薄型の素子を作製でき、また破損
(割れ)を抑えることができる。
【0016】(電極)電極13、14としては、例えば、IT
O(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(In
dium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導
電膜や、アルミニウム、シリコン等の金属電極、あるい
はアモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxid
e)等の光導電性膜等を用いることができる。図1に示す
液晶表示素子においては、既述の通り、透明基板11、12
の表面に互いに平行な複数の帯状の透明電極13、14が形
成されており、これらの電極13、14は互いに交差するよ
うに向かい合わされている。電極をこのように形成する
には、例えば基板上にITO膜をスパッタリング法等でマ
スク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソ
グラフィ法でパターニングすればよい。
【0017】(絶縁性薄膜)電極間の短絡を防止した
り、液晶表示素子のガスバリア性に対する信頼性を向上
させたりするために、電極13、14の少なくとも一方に絶
縁性薄膜15が形成されていることが好ましいが、形成さ
れていなくてもよい。絶縁性薄膜15としては、例えば、
酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウムやそのア
ルコキシド等から成る無機膜やポリイミド樹脂、エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜を例示
できる。これらの材料を用いて蒸着法、スピンコート
法、ロールコート法などの公知の方法によって形成する
ことができる。さらに、絶縁性薄膜は高分子構造物に用
いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもでき
る。
【0018】(配向膜)配向膜は液晶組成物の配向を有
効に制御し、かつ安定化させるために、形成されること
が好ましいが、形成されていなくてもよい。配向膜が形
成される場合、電極上に絶縁性薄膜が形成されていると
きは当該絶縁性薄膜上に、電極上に絶縁性薄膜が形成さ
れていないときは電極上に形成される。配向膜16として
は、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、アクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸
化アルミニウム等の無機膜が例示される。これらの材料
を用いて形成した配向膜は、ラビング処置等を施しても
よい。さらに、配向膜は高分子構造物に用いる高分子樹
脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
【0019】(スペーサー)一対の基板間には、該基板
間のギャップを均一に保持するためのスペーサー23が設
けられている。このスペーサーとしては、樹脂製または
無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑
性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適
に用いられる。なお、図1に示すように、基板間のギャ
ップを均一に保持するために当該スペーサー23と高分子
構造物20を設けることが好ましいが、スペーサーまたは
高分子構造物のいずれか一方を設けてもよい。スペーサ
ーの直径は高分子構造物を形成する場合はその高さ以
下、好ましくは当該高さに等しい。高分子構造物を形成
しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚み、
すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みに相当する。
【0020】(液晶組成物)液晶組成物21は、少なくと
もネマチック液晶材料およびカイラル材料を含んでな
り、以下に示すような物性値を有する青色表示用の液晶
組成物である。すなわち、本実施形態のカイラルネマチ
ック液晶組成物(以下、単に「液晶組成物」ということ
がある)は粘度(η)が50〜90cP、好ましくは50〜80c
P、誘電率異方性(△ε)が10〜30、好ましくは15〜2
5、屈折率異方性(△n)が0.15〜0.20、好ましくは0.1
5〜0.18、および等方相転移温度(Tc)が75℃〜100℃、
好ましくは80〜95℃である。
【0021】上記範囲内の粘度とすることによって、優
れた応答速度を達成することができる。すなわち、粘度
が高すぎると、応答速度、特にフォーカルコニック状態
からプレーナ状態への立下り応答速度が遅くなる。一
方、粘度が低すぎると、 複数のパネルを積層した際、
長波長側に設定された他パネルよりも速くなり過ぎ表示
性能が劣る。
【0022】本明細書中、粘度は20℃でRheoStress RS5
0パラレルプレート20(HAAKE社製)によって測定された
値を用いているが、当該装置によって測定されなければ
ならないというわけではない。上記装置と同様の原理に
よって測定可能な装置であれば、いかなる装置によって
測定されてもよい。
【0023】また、上記範囲内の誘電率異方性とするこ
とによって、優れた応答速度と低減された駆動電圧を両
立することができる。すなわち誘電率異方性が大きすぎ
ると液晶組成物の粘度が高くなり、応答速度、特に立下
り応答速度が遅くなる。一方、液晶組成物の誘電率異方
性があまり低いと液晶素子の駆動電圧が上昇する。
【0024】誘電率異方性(△ε)とは一軸対称性を有
する液晶系試料における対称軸方向の誘電率から当該対
称軸に垂直な方向の誘電率を減じた値(室温)である。
本明細書中、誘電率異方性はLCRメータ4192A(HP社製)
を用いて室温で測定された値を用いているが、上記装置
によって測定されなければならないわけではない。誘電
率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定
されてもよい。
【0025】また、上記範囲内の屈折率異方性とするこ
とによって、優れた応答速度と優れたコントラストを両
立することができる。すなわち屈折率異方性が大きすぎ
ると液晶組成物の粘度が高くなり、応答速度、特に立下
り応答速度が遅くなる。一方、液晶組成物の屈折率異方
性があまり低いと、プレーナー状態(着色状態)でピー
ク反射率が低下し、プレーナ状態とフォーカルコニック
状態とのコントラストが悪化する。
【0026】屈折率異方性(△n)とは一軸対称性を有
する液晶系試料における対称軸方向の屈折率nと当該
対称軸に垂直な方向の屈折率nから次式により求めら
れた値(25℃)である。 △n=√(2n 2−n 2)−n 本明細書中、屈折率異方性はアタゴ社製アッベ屈折率計
1型を用いて25℃で測定された値を用いているが、上記
装置によって測定されなければならないわけではない。
屈折率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて
測定されてもよい。
【0027】また、上記範囲内の等方相転移温度とする
ことによって、優れた応答速度と優れた耐熱安定性を両
立することができる。すなわち等方相転移温度が大きす
ぎると液晶組成物の粘度が高くなり、応答速度、特に立
下り応答速度が遅くなる。一方、液晶組成物の等方相転
移温度があまり低いと、周囲温度の上昇によって劣化が
起こり、耐熱安定性が悪化し、表示特性が悪化する。
【0028】等方相転移温度(Tc)とは、液晶系試料を
加温していったときに、当該試料の液晶相が等方相に転
移するときの温度である。本明細書中、等方相転移温度
はコントローラーFP90(METTLER社製)、ホットステー
ジFP82HT(METLLER社製)、及び偏光顕微鏡BX50(オリ
ンパス光学工業社製)から構成された液晶評価装置によ
って測定された値を用いているが、上記装置によって測
定されなければならないわけではない。等方相転移温度
を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されても
よい。
【0029】ネマチック液晶材料の種類は、室温でコレ
ステリック相を示し青色波長の光を選択反射可能なカイ
ラルネマチック液晶組成物となりうるものであれば、特
に制限されるものではない。従来から液晶表示素子の分
野で知られているネマチック液晶材料が、上記物性値を
呈するように、ブレンドされてなる混合物が有用であ
る。従来から液晶表示素子の分野で知られているネマチ
ック液晶材料としては、例えば、液晶性エステル化合
物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性シアノビフェニル
化合物、液晶性トラン化合物、液晶性フェニルシクロヘ
キサン化合物、液晶性ターフェニル化合物、ならびにフ
ッ素原子、フルオロアルキル基およびシアノ基等の極性
基を有する他の液晶性化合物、およびそれらの混合物等
がある。
【0030】カイラル材料としては、ネマチック液晶材
料に添加することにより、当該液晶材料に、室温でコレ
ステリック相を示させ、かつ青色波長の光を選択反射さ
せるようにするものが使用される。詳しくは室温でネマ
チック液晶材料の分子に層状のヘリカル構造(液晶分子
の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回転した分子構
造)を形成させ得るものである。
【0031】そのようなカイラル材料は液晶表示素子の
分野で従来から種々のものが知られている。例えば、コ
レステリック環を有するコレステリック化合物、ビフェ
ニル骨格を有するビフェニル化合物、ターフェニル骨格
を有するターフェニル化合物、2つのベンゼン環がエス
テル結合によって連結されてなる骨格を有するエステル
化合物、シクロヘキサン環がベンゼン環に直接的に連結
されてなる骨格を有するシクロヘキサン化合物、ピリミ
ジン環がベンゼン環に直接的に連結されてなる骨格を有
するピリミジン化合物、2つのベンゼン環がアゾキシ結
合またはアゾ結合によって連結されてなる骨格を有する
アゾキシまたはアゾ化合物等が挙げられる。
【0032】周囲温度の変化によっても選択反射波長が
ほとんどシフトしない優れた温度補償特性を確保する観
点からは、上記カイラル化合物の中でも、構造の異なる
2種類以上のカイラル化合物を用いることが好ましい。
さらに好ましくは構造が異なり、かつ「温度による選択
反射波長のシフト方向」が異なる2種類以上のカイラル
化合物を用いる。カイラル材料は、ネマチック液晶材料
と混合されて、当該混合物を温度上昇させたとき、混合
物の選択反射波長を、温度上昇させる前の混合物の選択
反射波長を基準として、長波長方向または短波長方向の
いずれかの方向にシフトさせる特性を有する。本明細書
においてはそのような長波長方向または短波長方向のシ
フト方向が「温度による選択反射波長のシフト方向」で
ある。
【0033】なお、カイラル化合物はヘリカル構造の螺
旋方向を右巻きまたは左巻きのいずれかの方向にする特
性を化合物固有の特性として有している。カイラル材料
の選択に際しては、特にそのような特性を考慮する必要
はないが、好ましくはヘリカル構造の螺旋方向を同一の
方向にする特性を有するカイラル化合物のみを組み合わ
せて選択する。
【0034】カイラル材料の使用量は、得られる液晶組
成物の選択反射波長が、いわゆる青色波長(420〜490n
m)となるような量である。詳しくは、ネマチック液晶
材料とカイラル材料(使用される全てのカイラル化合
物)との合計量に対して8〜30重量%、好ましくは10〜2
5重量%である。カイラル材料の使用量が少なすぎる
と、液晶組成物は室温でコレステリック相を示さなくな
り、多すぎると当該液晶組成物の粘度が高くなり応答速
度、特に立下りの応答速度が遅くなる。カイラル材料は
2種類以上のカイラル化合物を用いてもよく、その場合
はそれらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0035】カイラルネマチック液晶組成物には、紫外
線吸収剤等の添加剤をさらに添加してもよい。
【0036】紫外線吸収剤は、液晶組成物の紫外線劣
化、例えば経時に伴なう退色や応答性の変化等を防止す
るものである。例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾ
トリアゾール化合物、サリシレート化合物等の材料が使
用可能である。添加量は、ネマチック液晶材料とカイラ
ル材料との合計使用量に対して、5重量%以下、好まし
くは3重量%以下である。
【0037】このようなカイラルネマチック液晶組成物
は各材料を所定の比率で混合して得られ、応答速度、駆
動電圧、コントラスト、および耐熱安定性が向上すると
いう効果を奏する。さらに、好ましくは優れた温度補償
特性を有している。
【0038】液晶組成物は所望により、イオン交換樹脂
・吸着剤等と接触させて精製を行ない水分や不純物を除
去した後で、素子の製造に用いるとよい。
【0039】(シール材)シール材22は液晶組成物21が
基板11、12の間から外に漏れないように封入するための
ものであり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性
樹脂、あるいは光硬化性接着剤等を使用することができ
る。
【0040】(高分子構造物)高分子構造物20は、円柱
状体、楕円柱状体、四角柱状体など、形状はどのような
ものでもよく、また、その配置はランダムであってもよ
いし、格子状などの規則性を有するものであってもよ
い。このような高分子構造物を設けることにより、基板
間ギャップを一定に保つことが容易になり、また、液晶
表示素子自身の自己保持性を高めることができる。特
に、ドット形状の高分子構造物を一定間隔で配置する
と、表示性能を均一化しやすい。高分子構造物の高さは
セルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶
層の厚みに相当する。
【0041】高分子構造物を形成するには、紫外線硬化
型モノマーからなるホトレジスト材料などの光硬化性樹
脂材料を用いて、所望の厚さで基板の最表面膜(絶縁性
薄膜、配向膜)に塗布し、これにマスクを通して紫外線
を照射するなどしてパターン露光を行い、未硬化部分を
除去するいわゆるフォトリソグラフィ法を用いることが
できる。
【0042】また、熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶かし
た樹脂材料などを用いて、熱可塑性樹脂からなる高分子
構造物を形成してもよい。この場合、スクリーン版やメ
タルマスク等を用いて熱可塑性樹脂材料をスキージで押
し出すことにより基板上に印刷を行う印刷法や、デイス
ペンサ法やインクジェット法などの、樹脂材料をノズル
の先から基板上に吐出して形成する方法、あるいは、樹
脂材料を平板あるいはローラー上に供給した後、これを
基板表面に転写する転写法などにより高分子構造物を配
置することができる。こうして配置された高分子構造物
上に対向基板を載せた後、加熱・加圧することにより基
板間に高分子構造物が狭持された液晶セルを作製するこ
とができる。
【0043】液晶表示素子とするには、高分子構造物を
狭持した基板間に液晶組成物を真空注入等によって注入
すればよい。基板を貼り合わせる際に液晶組成物を滴下
しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入
するようにしてもよい。
【0044】さらに、基板間ギャップ制御の精度向上の
ため、高分子構造物を形成した後、樹脂の膜厚より小さ
いサイズ(構造物の高さ以下の粒径)のスペーサ材料、
例えば、ガラスファイバー、ボール状のガラスやセラミ
ックス粉、あるいは有機材料からなる球状粒子を、構造
物が形成されていない領域に配置し、加熱や加圧でギャ
ップが変化し難いようにすると、よりギャップ精度が向
上し、電圧むら、発色むら等が軽減できる。
【0045】(表示方法)以上の構成からなる液晶表示
素子では、電極13、14にパルス電圧を印加することで表
示が行われる。すなわち、比較的高いエネルギーのパル
ス電圧を印加することで、液晶がプレーナ状態となり、
液晶分子のらせんのピッチと屈折率に基づいて決まる波
長の光を選択的に反射する。比較的低いエネルギーのパ
ルス電圧を印加することで、液晶がフォーカルコニック
状態となり、透明状態となる。このような液晶表示素子
はメモリー性を有しており、プレーナ状態及びフォーカ
ルコニック状態はパルス電圧印加停止後も維持される。
すなわち、パルス電圧印加停止後もプレーナ状態であっ
た領域はプレーナ状態が、フォーカルコニック状態であ
った領域はフォーカルコニック状態が保持される。
【0046】また上記液晶表示素子ではフォーカルコニ
ック状態とプレーナ状態との中間状態も存在するため、
中間的なエネルギーのパルス電圧を印加することによ
り、中間調の表現も可能である。中間状態では、フォー
カルコニック状態とプレーナ状態とが混在するものと考
えられ、この状態も電圧印加停止時に維持されるように
構成することができる。なお、可視光吸収層19を設ける
と、フォーカルコニック状態では黒色を表示することに
なる。
【0047】本液晶表示素子では帯状の電極13と電極14
とが交差する領域が表示画素となる。また本液晶表示素
子では、液晶が光変調を行う画素からなる領域が光変調
領域であって、表示領域であり、それ以外の領域は光変
調が行われない光変調領域外であって、非表示領域であ
る。
【0048】液晶表示素子におけるセルギャップの厚
み、すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みは2.5〜6
μmが適当である。
【0049】図2に積層型液晶表示素子の断面構造を示
す。この積層型液晶表示素子は三つの液晶表示素子(3
1、32および33)がそれぞれ異なる選択反射波長を有す
る液晶組成物(21''、21'および21)を狭持したフルカ
ラー表示用の反射型液晶表示素子である。詳しくは、最
も上に積層されている液晶表示素子33は青色表示用であ
り、当該液晶表示素子は可視光吸収層19が形成されてい
ないこと以外、図1の液晶表示素子と同様である。液晶
表示素子32および液晶表示素子31は、可視光吸収層19が
形成されていないこと、および液晶組成物の選択反射波
長が異なること以外、図1の液晶表示素子と同様であ
り、最も下の液晶表示素子31の底面にのみ可視光吸収層
19が形成されている。また、最も下の液晶表示素子31の
基板12以外の基板は透光性を有することを要する。図2
において、図1と同じ部材には同じ符号を付しているの
で、それらの説明は省略する。
【0050】図2において各液晶組成物(21、21'および
21'')の選択反射波長は、観察者側から順に470nm付近
(B)、550nm付近(G)、660nm付近(R)に調整されて
いる。このように選択反射波長が異なる液晶組成物を収
容する液晶表示素子(21、21'および21'')の応答速度
は近似していることが好ましい。
【0051】液晶表示素子(31、32、および33)の積層
は接着層24によって達成される。そのような接着層24
は、透明性を有し、かつ液晶表示素子(31、32、および
33)を一体化できればいかなる材料によって形成されて
もよく、例えば、アクリル樹脂等の粘着材を使用でき
る。
【0052】このような積層型液晶表示素子は、画像デ
ータをR、G、Bに分解されたそれぞれの色画像データに
基づいて、各液晶表示素子をプレーナ状態、フォーカル
コニック状態、またはそれらの中間状態に切りかえるこ
とにより、フルカラー表示を良好に行うことができる。
【0053】
【実施例】(実施例1)基板間に挟持するカイラルネマ
チック液晶組成物として、カイラル材CB15、R811、R101
1(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量
に対して8.26wt%、5.93wt%、6.25wt%含み、470nm付
近の波長の光を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性
△n:0.159、誘電率異方性△ε:17.8、等方相への相
転移温度Tc:79.7℃、粘度η:54.4cP)を使用した。
【0054】次に、パターニングされた透明電極が形成
されたPESフィルムの透明電極形成面に、ポリイミド系
配向制御膜AL4552(JSR社製)を800オングストロームの
厚さで形成し、第一基板とした。そしてこの第一基板の
配向制御膜形成面に、直径2.5μmのギャップ制御用スペ
ーサを所定量散布した後、周辺部にシール材XN21S(三
井化学社製)を切れ目のない桝目状にスクリーン印刷し
た。同時に、パターニングされた透明電極が形成された
いま一つのPESフィルム(第二基板)上に、絶縁膜HIM30
00(日立化成社製)を厚さ2000オングストロームに形成
し、さらにその上に配向制御膜AL4552を厚さ800オング
ストロームに形成した。なお、両基板とも配向制御膜に
はラビング処理を行わなかった。
【0055】続いて、第二基板上に熱可塑性樹脂を主成
分とする樹脂材料を、直径約100μmの多数の穴が約500
μmの間隔で形成されたメタルマスク上に載置し、スキ
ージを用いてスクリーン印刷を行い、高さ約2.5μmの円
柱状に高分子構造物を形成した。そして、第一基板上に
前記液晶組成物を塗布し、貼り合わせ装置を用いて第一
および第二基板を貼り合わせ、150℃で1時間加熱し
た。
【0056】このような液晶素子にあっては、電極間に
30V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、17V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、17V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は0.98を示した。また、電極間に30V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、30V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、30V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.01を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は0.95、プレーナー状態のY値は8.97を示し劣化は
起こっていなかった。
【0057】また、液晶素子の応答性を確認するため、
実体顕微鏡にフォトダイオードを設置し液晶素子に比較
的高い電圧(液晶層をホメオトロピック状態に保てる程
度の電圧)を印加し、電圧印加停止から反射率の急激な
変化が終了するまでに要する時間を立下り応答時間とし
て測定したところ、0.40msであった。測定は室温で行っ
た。なお、電圧印加されてホメオトロピック状態にある
液晶は、電圧印加が停止されると最終的にはプレーナ状
態になる。その際の反射率の変化には通常2つの段階が
観測され、ホメオトロピック状態から急速に反射率が増
大して中間状態に遷移する第1段階と、その後反射率が
徐々に大きくなってプレーナ状態で落ち着き一定になる
第2段階とが存在する。ここでは、電圧印加停止からの
経過時間に対する反射率変化を示すチャートにおいて、
第1段階における接線と第2段階における接線との交点
での経過時間を立下り応答時間と見なした。以下の実施
例、比較例でも同様である。なお、Y値や反射率の測定
は、白色光源を有する分光測色計CM-3700d(ミノルタ社
製)を用いて行った。以下の実施例、比較例でも同様で
ある。
【0058】(実施例2)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材CB15、R1011
(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量に
対して6.48wt%、6.66wt%含み、470nm付近の波長の光
を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△n:0.17
7、誘電率異方性△ε:23.9、等方相への相転移温度T
c:90℃、粘度η:67.8cP)を使用した。次に、実施例1
と同様の方法で液晶素子を作製した。ただし、ギャップ
制御用スペーサの直径は4μm、円柱状の高分子構造物の
高さは約4μmで行った。
【0059】このような液晶素子にあっては、電極間に
35V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、20V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、20V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.02を示した。また、電極間に35V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、35V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、35V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.33を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は1.05、プレーナー状態のY値は9.32を示し劣化は
起こっていなかった。立下りの応答時間を測定したとこ
ろ0.48msであった。
【0060】(実施例3)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材CNL-611(アデ
カ社製)、R1011(メルク社製)をそれぞれ液晶組成物
の全量に対して10.80wt%、3.49wt%含み、480nm付近の
波長の光を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△
n:0.186、誘電率異方性△ε:12.3、等方相への相転
移温度Tc:79.1℃、粘度η:88.3cP)を使用した。次
に、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。ただ
し、ギャップ制御用スペーサの直径は6μm、円柱状の高
分子構造物の高さは約6μmで行った。
【0061】このような液晶素子にあっては、電極間に
60V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、30V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、30V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.12を示した。また、電極間に60V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、60V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、60V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.63を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は1.10、プレーナー状態のY値は9.65を示し劣化は
起こっていなかった。立下りの応答時間を測定したとこ
ろ0.60msであった。
【0062】(実施例4)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材MLC-6247、R101
1(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量
に対して8.91wt%、4.50wt%含み、470nm付近の波長の
光を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△n:0.18
7、誘電率異方性△ε:20.0、等方相への相転移温度T
c:80.1℃、粘度η:77.7cP)を使用した。次に、実施
例1と同様の方法で液晶素子を作製した。ただし、ギャ
ップ制御用スペーサの直径は5μm、円柱状の高分子構造
物の高さは約5μmで行った。
【0063】このような液晶素子にあっては、電極間に
55V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、25V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、25V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.05を示した。また、電極間に55V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、55V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、55V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.02を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は1.07、プレーナー状態のY値は9.05を示し劣化は
起こっていなかった。立下りの応答時間を測定したとこ
ろ0.56msであった。
【0064】(実施例5)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材R811、R1011
(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量に
対して8.50wt%、4.44wt%含み、470nm付近の波長の光
を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△n:0.19
5、誘電率異方性△ε:22.8、等方相への相転移温度T
c:81.9℃、粘度η:66.5cP)を使用した。次に、実施
例1と同様の方法で液晶素子を作製した。ただし、ギャ
ップ制御用スペーサの直径は5μm、円柱状の高分子構造
物の高さは約5μmで行った。
【0065】このような液晶素子にあっては、電極間に
55V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、25V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、25V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.08を示した。また、電極間に55V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、55V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、55V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.00を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は1.10、プレーナー状態のY値は9.03を示し劣化は
起こっていなかった。立下りの応答時間を測定したとこ
ろ0.54msであった。
【0066】(実施例6)青色表示用カイラルネマチッ
ク液晶組成物として、実施例4と同じものを使用した。
また、緑色表示用カイラルネマチック液晶組成物とし
て、カイラル材MLC-6247、R1011(いずれもメルク社
製)をそれぞれ液晶組成物の全量に対して4.20wt%、5.
26wt%含み、550nm付近の波長の光を選択反射する液晶
組成物(屈折率異方性△n:0.179、誘電率異方性△
ε:15.4、等方相への相転移温度Tc:81.3℃、粘度η:
62.1cP)に色素(Kayaset Yellow GN)を0.6wt%添加し
たものを使用した。さらに、赤色表示用カイラルネマチ
ック液晶組成物として、カイラル材MLC-6247、S1011
(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量に
対して8.73wt%、2.36wt%含み、660nm付近の波長の光
を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△n:0.23
9、誘電率異方性△ε:15.6、等方相への相転移温度T
c:80.0℃、粘度η:50.8cP)に色素(SI-426)を0.8wt
%添加したものを使用した。
【0067】次に、実施例1と同様の方法で各液晶組成
物を用いて3つの液晶素子を作製し、ギャップ制御用ス
ペーサの直径、および円柱状高分子構造物の高さは、反
射波長470nm、550nmの素子では約4μm、660nmの素子で
は約5.5μmとした。これらの素子を観察側から反射波長
460nm、550nm、660nmの素子の順に粘着層で貼り合わせ
観察側と反対の面に可視光吸収層を設けた。
【0068】このような液晶素子にあっては、すべての
素子の電極間に50V、5msecのパルス電圧、2msec空け
て、25V、2msecのパルス電圧、2msec空けて、25V、2mse
cのパルス電圧を印加すると、透明状態となり(フォー
カルコニック状態)、Y値は4.60を示した。また、電極
間に50V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、50V、2mse
cのパルス電圧、2msec空けて、50V、2msecのパルス電圧
を印加すると、着色状態となり(プレーナー状態)、Y
値は28.0を示した。立下りの応答時間は、(B)0.56m
s、(G)0.61ms、(R)0.76msであった。このときの色
度座標は(x、y)=(0.31、0.32)であった。この液晶素
子を80℃の高温槽に24時間放置した後、同様にY値を測
定すると、フォーカルコニック状態のY値は4.57、プレ
ーナー状態のY値は28.2((x、y)=(0.31、0.33))を示し劣
化は起こっていなかった。
【0069】(比較例1)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材CB15、R1011
(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量に
対して8.47wt%、6.48wt%含み、470nm付近の波長の光
を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△n:0.17
6、誘電率異方性△ε:27.6、等方相への相転移温度T
c:80.0℃、粘度η:130cP)を使用した。次に、実施例
1と同様の方法で液晶素子を作製した。ただし、ギャッ
プ制御用スペーサの直径は4μm、円柱状の高分子構造物
の高さは約4μmで行った。
【0070】このような液晶素子にあっては、電極間に
40V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、20V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、20V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.01を示した。また、電極間に40V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、40V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、40V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.27を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は1.02、プレーナー状態のY値は9.27を示し劣化は
起こっていなかった。立下りの応答時間を測定したとこ
ろ1.05msと遅かった。これは粘度が大きいことが影響し
ているためである。
【0071】(比較例2)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材R811(メルク社
製)を液晶組成物の全量に対して32.6wt%含み、480nm
付近の波長の光を選択反射する液晶組成物(屈折率異方
性△n:0.140、誘電率異方性△ε:23.7、等方相への
相転移温度Tc:65.5℃、粘度η:65.8cP)を使用した。
次に、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。た
だし、ギャップ制御用スペーサの直径は5μm、円柱状の
高分子構造物の高さは約5μmで行った。
【0072】このような液晶素子にあっては、電極間に
55V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、25V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、25V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.05を示した。また、電極間に55V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、55V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、55V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.33を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は3.45、プレーナー状態のY値は8.05を示し劣化を
示した。これは等方相への転移温度が低いため、80℃に
24時間放置したことで、液晶組成物が劣化し特性が変化
したためである。高温テスト前の立下りの応答時間を測
定したところ0.42msで、高温テスト後の応答時間は0.44
msであった。
【0073】(比較例3)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材MLC-6247、R101
1(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全量
に対して8.72wt%、4.29wt%含み、470nm付近の波長の
光を選択反射する液晶組成物(屈折率異方性△n:0.11
0、誘電率異方性△ε:20.0、等方相への相転移温度T
c:60.3℃、粘度η:73.5cP)を使用した。次に、実施
例1と同様の方法で液晶素子を作成し、ギャップ制御用
スペーサの直径、および円柱状高分子構造物の高さは約
4μmとした。
【0074】このような液晶素子にあっては、電極間に
50V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、25V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、25V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は1.35を示した。また、電極間に50V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、50V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、50V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は8.21を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は5.30、プレーナー状態のY値は7.95となり劣化が
おこっていた。
【0075】(比較例4)基板間に挟持するカイラルネ
マチック液晶組成物として、カイラル材CB15、R811、R1
011(いずれもメルク社製)をそれぞれ液晶組成物の全
量に対して11.07wt%、6.02wt%、4.52wt%含み、470nm
付近の波長の光を選択反射する液晶組成物(屈折率異方
性△n:0.185、誘電率異方性△ε:32.3、等方相への
相転移温度Tc:75.6℃、粘度η:95.7cP)を使用した。
次に、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。た
だし、ギャップ制御用スペーサの直径は4μm、円柱状の
高分子構造物の高さは約4μmで行った。
【0076】このような液晶素子にあっては、電極間に
30V、5msecのパルス電圧、2msec空けて、15V、2msecの
パルス電圧、2msec空けて、15V、2msecのパルス電圧を
印加すると、透明状態となり(フォーカルコニック状
態)、Y値は0.99を示した。また、電極間に30V、5msec
のパルス電圧、2msec空けて、30V、2msecのパルス電
圧、2msec空けて、30V、2msecのパルス電圧を印加する
と、着色状態となり(プレーナー状態)、Y値は9.20を
示した。この液晶素子を80℃の高温槽に24時間放置した
後、同様にY値を測定すると、フォーカルコニック状態
のY値は3.56、プレーナー状態のY値は8.05を示した。立
下りの応答時間を測定したところ0.95msであった。
【0077】以上の評価結果を下記の表に示す。
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子は応答速度が比較
的速く、駆動電圧が低減され、コントラストが良好で、
かつ耐熱安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示素子の一例の概略断面図で
ある。
【図2】 図1の液晶表示素子を用いた積層型液晶表示
素子の概略断面図である。
【符号の説明】
11、12:基板、13、14:電極、15:絶縁性薄膜、17:配
向膜、19:可視光吸収層、20:高分子構造物、21:液晶
組成物、22:シール材、24:接着層、31:赤色表示用液
晶表示素子、32:緑色表示用液晶表示素子、33:青色表
示用液晶表示素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 昇 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 Fターム(参考) 2H048 AA06 AA12 AA18 2H049 BA05 BA18 BA42 BA43 BB03 BB62 BC22 2H088 EA02 GA02 GA03 GA17 HA02 HA05 JA14 JA28 KA06 KA19 KA20 KA26 KA29 MA02 MA10 2H089 HA21 QA05 QA11 QA12 QA13 RA11 SA18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともネマチック液晶混合物および
    カイラル材料を含んでなり、室温でコレステリック相を
    示しピーク波長420nm〜490nmの光を選択反射可能であっ
    て、粘度が50〜90cP、誘電率異方性(△ε)が10〜30、
    屈折率異方性(△n)が0.15〜0.20、および等方相転移
    温度が75℃〜100℃であるカイラルネマチック液晶組成
    物と、該液晶組成物を挟持する少なくとも一方が透明な
    一対の電極付き基板と、を備えたことを特徴とする液晶
    表示素子。
  2. 【請求項2】 カイラル材料が2種類以上のカイラル化
    合物を含む請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 カイラルネマチック液晶組成物の粘度が
    50〜80cP、誘電率異方性(△ε)が15〜25、屈折率異方
    性(△n)が0.15〜0.18、等方相転移温度が80℃〜95℃
    である請求項1または2に記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 基板間に挟持された液晶層の厚みが2.5
    〜6μmである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示素
    子。
  5. 【請求項5】 それぞれが一対の電極付き基板に挟持さ
    れた複数の液晶層を複数積層してなる積層型液晶表示素
    子であって、前記複数の液晶層の少なくとも一つがその
    液晶層を挟持する一対の基板とともに請求項1〜4のいず
    れかに記載の液晶表示素子を構成することを特徴とする
    積層型液晶表示素子。
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