JP2006070423A - 皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実質的に繊維素材からなり、かつ、反発感に優れた皮革様シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】実質的に繊維素材からなる皮革様シートであって、平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、平均繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)と、二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された複合繊維を含む織編物(B)とが積層された皮革様シートによって、反発感に優れた皮革様シートを提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、皮革様シートおよびその製造方法に関する。
極細繊維と高分子弾性体からなる、いわゆる合成皮革、人工皮革などの皮革様シートは、天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く使用されている。かかる合成皮革または人工皮革を製造するにあたっては、繊維シート状物にポリウレタン等の高分子弾性体溶液を含浸せしめた後、その繊維シート状物を水または有機溶剤水溶液中に浸漬して高分子弾性体を湿式凝固する方法が一般に用いられている(たとえば、特許文献1)。
しかし、強度や寸法安定性等を得るために多量のポリウレタンが使用されていることから、ポリウレタンの原料コストや製造プロセスの煩雑化等によって、皮革様シートは高価なものになっている。また、ポリウレタンを含浸させる工程に、N,N’−ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶剤が用いられているが、これらの有機溶剤は一般に作業環境の点から好ましくない。
さらに、高分子弾性体が多くなるとゴムライクな風合いになりやすく、天然皮革に似た充実感が得られにくくなることも指摘されている。加えて、高分子弾性体を含むことは、これらの風合い面での課題のみならず、近年の環境や資源の保護等の目的から重視されているリサイクル性の点でも好ましくない。例えば、高分子のリサイクル方法として、ポリエステルの分解回収方法やポリウレタンの分解回収方法が検討されているが、これらの方法はいずれも主として単一成分の高分子に適用される。上記のように繊維と高分子弾性体が一体化した複合素材においては、それぞれの高分子の分解方法が異なるため、適用することが困難になる。そこで、まず繊維と高分子弾性体を分離する必要があるが、これには一般に非常にコストがかかり、また完全に分離することも困難である。
その他、ポリウレタン等はNOxガス等による黄変も指摘されており、白色のスエード調シート状物を得ることが困難である等、種々の課題がある。
これらの観点から、ポリウレタン等の高分子弾性体を低減させた、もしくは実質的に含まない皮革様シートが望まれている。
しかし、本発明者らは高分子弾性体を実質的に含まない皮革様シートについて種々検討した結果、高分子弾性体が含まれる皮革様シートと同様の反発感のある風合いを得ることが困難であることが判った。これは、多様な消費者ニーズを満足することが困難であることを意味し、その改善が望まれていた。
しかし、高分子弾性体を実質的に含まない皮革様シートはこれまでほとんど検討された例がないことから、このような課題を解決する手段が見出されていないのが現状である。
特開2000−336581号公報
本発明は、実質的に繊維素材からなり、かつ、反発感に優れた皮革様シートおよびその製造方法に関するものである。
本発明は上記課題を解決するために、以下の構成を有するものである。
すなわち、本発明の皮革様シートは、実質的に繊維素材からなる皮革様シートであって、平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、平均繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)と、二以上のポリエステルが繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された繊維を含む織編物(B)が積層されたものである。
また、本発明の皮革様シートの製造方法は、平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、平均繊維長1〜10cmの極細繊維が発生可能な、平均単繊維繊度1〜10デシテックスの極細繊維発生型短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布(A’)を得る工程、および該不織布(A’)を二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された複合繊維を含む織編物(B)と重ね合わせて、少なくとも10MPaの圧力で高速流体流処理を行うことにより、不織布(A’)中の極細繊維同士を絡合させ不織布(A)にすると同時に、不織布(A)と織編物(B)を絡合させる工程を含むものである。
本発明によれば、実質的に繊維素材からなる皮革様シートでありながら、反発感に優れる皮革様シートを提供することができる。本発明の皮革様シートは、衣料、資材、家具等に好適に使用することができる。
本発明の皮革様シートは、平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、平均繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)(以下、不織布(A)と呼ぶ)を含む。これにより天然皮革のような風合いや表面感を得ることが可能となる。
本発明において、不織布(A)は、平均繊維長が1〜10cmの短繊維からなる。平均繊維長は、1.5〜8cmであることが好ましく、2〜6cmであることがより好ましい。平均繊維長が10cmを超えると、表面品位が低下するため好ましくない。また、平均繊維長が1cm未満であると、不織布の耐摩耗性が低下する。なお、本発明の効果が損なわれない範囲で繊維長が10cmを超える繊維もしくは繊維長が1cm未満の繊維が含まれていてもよい。繊維長が10cmを超える繊維および繊維長が1cm未満の繊維の含有量は、数にして、不織布(A)を構成する繊維の30%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、全く含まれないことがもっとも好ましい。
また、不織布(A)は、平均単繊維繊度が0.0001〜0.5デシテックスである極細繊維からなる。平均単繊維繊度は、好ましくは0.001〜0.3デシテックス、より好ましくは0.005〜0.15デシテックスである。平均単繊維繊度が0.0001デシテックス未満であると、皮革様シートの強度が低下するため好ましくない。また平均単繊維繊度が0.5デシテックスを越えると、皮革様シートの風合いが堅くなり、また、繊維の絡合が不十分になって、皮革様シートの表面品位が低下したり、耐摩耗性が低下したりする等の問題も発生するため好ましくない。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、単繊維繊度が0.0001デシテックス未満の繊維もしくは単繊維繊度が0.5デシテックスを越える繊維が含まれていてもよい。単繊維繊度が0.0001デシテックス未満の繊維および単繊維繊度が0.5デシテックスを越える繊維の含有量は、数にして、不織布(A)を構成する繊維の30%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、全く含まれないことがもっとも好ましい。
本発明では、これらの極細繊維同士が相互に絡合していることが、皮革様シートの耐摩耗性を向上させるために特に重要である。従来の極細繊維からなる皮革様シートの大半は、図5に示すように、極細繊維が集束した繊維束の状態で絡合した構造を有している。しかし、繊維束の状態で絡合した構造では、本発明において期待される耐摩耗性の効果が得られない。本発明においては、図4に示すように、極細繊維同士が相互に絡合した構造を有していることが、耐摩耗性を向上させるために必要である。なお、本発明の効果が損なわれない範囲で繊維束の状態で絡合した構造が含まれていてもよい。
また、二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維を含む織編物(B)は、皮革様シートに優れた反発感を発現させる効果を有する。ここでいう織編物とは、織物および編物を含む繊維を構成要素とする繊維構造体の総称である。織編物(B)は、かかる複合繊維を含むものであれば、通常の繊維が本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。すなわち、例えば前記複合繊維と通常の繊維を合糸して複合糸として使用してもよい。あるいは、前記複合繊維を緯糸または経糸にのみに使用し、他方には通常の繊維を使用するなどしてもよい。
ポリエステルとは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリマーである。また、二以上のポリエステルとは、物理的および/または化学的性質を異にする二種以上のポリエステルを用いることを意味する。すなわち、二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合されたとは、物理的および/または化学的性質を異にする二以上のポリエステルが、繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合されていることを意味する。これにより、物理的または化学的要因によって、複合繊維に捲縮を発現させることができる。捲縮発現が容易である点で、好ましくは熱収縮性の異なるポリエステルを2種以上使用することが好ましい。これにより、前記複合繊維をリラックス処理することによって、容易に捲縮を発現させることができる。複合繊維に捲縮を発現させることにより、反発感が優れる皮革様シートが得られる。熱収縮性の異なるポリエステルとしては、例えば、ポリマーの重合度が異なるもの、異なるポリマーをブレンドしたもの、等が挙げられる。本発明においては、特に反発感が優れる皮革様シートが得られる点で、極限粘度が0.35〜0.45の低粘度ポリエステルと極限粘度が0.65〜0.85の高粘度ポリエステルとが複合された複合繊維が好ましい。この場合、一般に高粘度ポリエステルの方が、低粘度ポリエステルよりも、熱収縮性が高くなる。低粘度ポリエステルの極限粘度が0.35未満であると紡糸安定性が低下するため好ましくない。また低粘度ポリエステルの極限粘度が0.45を超えると、皮革様シートの反発感が低下するため好ましくない。また高粘度ポリエステルの極限粘度が0.85を超えると紡糸安定性が低下するため好ましくない。高粘度ポリエステルの極限粘度が0.65未満であると、皮革様シートの反発感が低下するため好ましくない。反発感に優れる皮革様シートを得るために、低粘度ポリエステルと高粘度ポリエステルの極限粘度差は、0.20〜0.40の範囲が好ましい。なお、極限粘度[η]は、温度25℃においてオルソクロロフェノール溶液として測定した値を用いた。
また、二以上のポリエステルの複合比率は、製糸性および捲縮を発現させた際の繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:低収縮成分=75:25〜35:65(重量%)の範囲が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ましい。
複合形態としては、サイドバイサイド型および偏心芯鞘型のいずれでもよいが、反発感に優れる皮革様シートが得られる点でサイドバイサイド型が好ましい。
複合繊維の平均単繊維繊度は、特に限定されないが、1〜15デシテックスが好ましい。1デシテックス未満であると良好な反発感が得られにくく、15デシテックスを超えると皮革様シートの風合いが硬くなる傾向がある。
なお、本発明においては、反発感に優れる皮革様シートが得られる点で、前記複合繊維を含む繊維がマルチフィラメントを構成し、該マルチフィラメントの集合体が螺旋形状となり、その螺旋形状の中心部分に長さ方向の中空構造を形成していることが好ましい。このような皮革様シートの一例の断面図を図1に示す。このような中空構造が形成されることにより、皮革様シートの反発感がいっそう向上する。なお、織編物(B)に含まれる全ての繊維がこのような構造を取る必要はなく、一部にこのような中空構造が形成されるだけでも、皮革様シートの反発感を向上させる効果がある。
さらに、この好ましい形状が容易に得られる点で、マルチフィラメントの撚数が500〜3000T/mであることが好ましく、800〜2000T/mであることがより好ましい。単フィラメントが分散した状態や、捲縮の位相がずれている場合はこの好ましい形状が得られ難い傾向を示すため、エアー交絡処理等を行い集合させることが好ましい。
織編物(B)の組織は特に限定されるものではなく、織物であれば平織、綾織、朱子織等が挙げられる。編物の場合は、丸編、トリコット、ラッセル等が挙げられる。これらのうち、反発感に優れる皮革様シートが得られる点で織物であることが好ましく、さらにコストの点で平織であることが好ましい。一方、ドレープ性に優れる皮革様シートが得られる点で編物であることが好ましい。編物とすることによって、適度な反発感とドレープ性をバランスさせることができる。
また、織編物(B)の目付は、皮革様シートの目付に合わせ適宜調整することができる。織編物(B)の目付は、衣料用途の場合は10〜150g/mであることが好ましく、30〜100g/mであることがより好ましい。織編物(B)の目付が10g/m未満であると、織編物(B)の形態が不安定であり、取り扱い性が悪くなり、また皮革様シートとした後に期待した反発感が得られにくい。また織編物(B)の目付が150g/mを超えると、得られる皮革様シートのドレープ性が低下するため好ましくない。一方、家具やカーシート等に使用する場合は、50〜400g/mであることが好ましい。50g/m未満であると、充実感に乏しく、成形性が不足する傾向があり、400g/mを超えると成形性が低下する傾向があるため好ましくない。
少なくとも上述した不織布(A)と織編物(B)が積層されていれば、他の不織布や織編物がさらに積層されていてもよい。例えば不織布(A)/織編物(B)/不織布、不織布(A)/不織布/織編物(B)、不織布(A)/織編物(B)/不織布/織編物/不織布、等のように3層以上が積層されていてもよい。特に皮革様シートに製品面と裏面が存在する場合であって、裏面にも品位が要求される場合は、表裏とも不織布であることが好ましい。例えば表面に不織布(A)、中間層に織編物(B)、裏面に不織布(A)または他の不織布を積層した3層構造が好ましい。なお、ドレープ性を優先させる場合には、2層構造が好ましい。
織編物(B)の重量比は、皮革様シート全体の5〜50%であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましい。重量比が5%未満であると、織編物(B)の持つ反発感を皮革様シートに十分反映することが困難になる。また重量比が50%を超えると、得られた皮革様シートが織編物様の風合いとなり、皮革様シートとしての高級感が得られにくい。
なお、裏面品位が優れる点で、裏面の不織布は、上述した不織布(A)か、または平均繊維長が0.1〜1cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(C)(以下、不織布(C)と呼ぶ)が好ましい。不織布(C)を構成する極細繊維は、得られる皮革様シートの品位に優れる点で、平均単繊維繊度が0.01〜0.5デシテックスの範囲にあることが好ましい。また、不織布(C)を構成する極細繊維は、得られる皮革様シートの目付を抑えることができ、またドレープ性に優れる点で、平均繊維長が0.1〜1cmの範囲にあることが好ましい。また、不織布(C)は、前述の不織布(A)と同様に、極細繊維同士が相互に絡合した構造を有していることが、耐摩耗性を向上させるために好ましい。
不織布(C)の素材は、特に限定されるものではないが、不織布(A)や織編物(B)と同一素材であることが、染色性やリサイクル性の点で好ましいため、ポリエステルが好ましい。
不織布(C)は、低目付化が容易であり、皮革様シート全体の目付を必要以上に増加させることなく、品位を向上させることが可能である点で、抄造法で製造されたものが好ましい。ただし、不織布(C)は、高い耐摩耗性を得ることが困難であるため、耐摩耗性が要求される用途には上述した不織布(A)が好ましい。
また、耐摩耗性を向上させる目的で、本発明の皮革様シートは微粒子を含むことが好ましい。また、皮革様シートは微粒子を含むことによって、ドライ感やきしみ感等の風合いを与える効果を得ることもできる。微粒子の材質は水に不溶であれば特に限定されるものではなく、例えばシリカやコロイダルシリカ、酸化チタン、アルミニウム、マイカ等の無機物質や、メラミン樹脂等の有機物質を例示することができる。
また、微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.001〜30μmであり、より好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.05〜10μmである。微粒子の平均粒子径が0.001μm未満であると、期待する効果が得られにくくなる。また微粒子の平均粒子径が30μmを越えると、微粒子の脱落によって洗濯耐久性が低下しやすくなる。なお、微粒子の平均粒子径は個々の材質やサイズに応じて適した測定方法、例えばBET法やレーザー法、動的散乱法、コールター法などを用いて測定することができる。本発明においては、特にBET法を用いて求めた体積(質量)平均粒子径が好ましい。
これらの微粒子は、本発明の効果が発揮できる範囲で適宜使用量を調整することができる。微粒子の含有量は、好ましくは皮革様シートの0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.02〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。含有量が0.01重量%以上であれば、耐摩耗性の向上効果が顕著に発揮でき、量を増加させる程、その効果は大きくなる傾向がある。ただし、含有量が10重量%を越えると皮革様シートの風合いが硬くなり、好ましくない。
なお、微粒子の脱落を防ぎ、耐久性を向上させるために、少量の樹脂を併用することが好ましい。
また、柔軟な風合いとなめらかな表面タッチを得るために、本発明の皮革様シートは柔軟剤を含むことが好ましい。柔軟剤としては、織編物に一般的に使用されているものを繊維種に応じて適宜選択することが好ましい。例えば染色ノート第23版(発行所 株式会社色染社、2002年8月31日発行)において、風合い加工剤、柔軟仕上げ剤の名称で記されているものを適宜選択することができる。その中でも柔軟性の効果が優れる点でシリコーン系エマルジョンが好ましく、アミノ変成やエポキシ変成されたシリコーン系エマルジョンがより好ましい。これらの柔軟剤が含まれると耐摩耗性は低下する傾向があるため、この柔軟剤の量と上記の微粒子の量は、目標とする風合いと耐摩耗性のバランスを取りながら、適宜調整することが好ましい。従って、その量は特に限定されるものではないが、少なすぎると効果が発揮できず、多すぎるとべたつき感があるため、通常皮革様シートの0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
皮革様シートの目付は、好ましくは150〜550g/mであり、より好ましくは150〜500g/m、さらに好ましくは200〜450g/mである。皮革様シートの目付が150g/m未満であると、良好な反発感が得られにくくなるため好ましくない。また皮革様シートの目付が550g/mを越える場合は、種々の用途への加工性が低下する傾向があるため好ましくない。また、皮革様シートの繊維見掛け密度は、好ましくは0.25〜0.70g/cmであり、より好ましくは0.29〜0.60g/cm、さらに好ましくは0.30〜0.45g/cmである。繊維見掛け密度が0.25g/cm未満であると、特に耐摩耗性が低下するため好ましくない。また繊維見掛け密度が0.70g/cmを越えると、種々の用途への加工性が低下するため好ましくない。
本発明の皮革様シートは、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、少なくとも一方の面において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の摩耗減量が20mg以下、かつ、毛玉の数が5個以下であることが好ましい。摩耗減量は、より好ましくは15mg以下、さらに好ましくは10mg以下である。毛玉の数は、3個以下であることがより好ましく、1個以下であることがさらに好ましい。摩耗減量が20mgを越える場合、実使用において毛羽が服等に付着する傾向があるため好ましくない。一方、下限は特に限定されず、本発明の皮革様シートであればほとんど摩耗減量がないものも得ることができる。また発生する毛玉については、5個を越えると、使用した時の外観変化によって品位が低下するため好ましくない。
本発明の皮革様シートは、ドレープ係数が0.10〜0.50であることが好ましく、0.15〜0.40であることがより好ましく、0.20〜0.30であることがさらに好ましい。ドレープ係数が0.10未満であると、皮革様シートが柔軟すぎて頼りない風合いとなって衣料用には適さない。またドレープ係数が0.50を超えると、柔軟でドレープ性に優れる衣料に用いることが困難となる。
また皮革様シートのノード数は5〜15であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、7〜10であることがさらに好ましい。ノード数が5未満であると、皮革様シートは綺麗なシルエットを得にくくなる。また皮革様シートのノード数は、多いほどドレープ性が良好ではあるが、ノード数が多すぎると皮革様の風合いを得ることが難しくなるため、おおよそ15が上限となる。
なお、ドレープ係数は、ドレープテスターを用いて測定することができる。また、ドレープ係数の試験によって得た投影図から数えたヒダの数をノード数とする。ドレープ係数とノード数は表裏共に測定し、その平均値をそれぞれの値とする。
本発明の皮革様シートは、天然皮革のような優れた表面外観を有することができる。皮革様シートは、一方の面に立毛を有することにより、スエード調あるいはヌバック調の滑らかなタッチと優れたライティングエフェクトを有することが好ましい。
皮革様シートの中でも、一般に合成皮革や人工皮革と称されるものは、ポリウレタン等の高分子弾性体と繊維材料から構成される。しかしながら、本発明の皮革様シートは、上述した種々の課題、例えばリサイクル性、発色性、耐光性、耐黄変性等を解決するため、実質的に繊維素材からなる。ここで、実質的に繊維素材からなるとは、実質的に高分子弾性体を含まないことを言う。また、ここでいう実質的に高分子弾性体を含まないとは、本発明の効果を損なわない範囲の高分子弾性体が含まれていることを許容する。具体的には、皮革様シートに含まれる高分子弾性体が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましく、全く高分子弾性体を含まないことが最も好ましい。さらに、繊維素材は、非弾性ポリマーからなることが好ましい。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる繊維が好ましく用いられる。ポリエーテルエステル系繊維やいわゆるスパンデックス等のポリウレタン系繊維などのゴム状弾性に優れる繊維は好ましくない。
ポリエステルとしては、繊維化が可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
リサイクル性や染色性等を考慮すると、不織布(A)は織編物(B)と同一素材であることが好ましい。この観点から不織布(A)を構成する繊維はポリエステルからなることが好ましい。
これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
また、例えば染料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐侯剤等の機能性薬剤も、本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。
次に本発明の皮革様シートの製造方法の一例を述べる。
最初に不織布(A)の製造方法を述べる。不織布(A)を構成する極細繊維の製造方法は特に限定されず、極細繊維を直接紡糸しても良いし、通常繊度の繊維であって極細繊維を発生することができる繊維(極細繊維発生型繊維)を紡糸し、次いで極細繊維を発生させても良い。極細繊維発生型繊維を用いる方法としては、例えば海島型繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、分割型繊維を紡糸してから分割する方法等の手段を例示することができる。これらの中で、本発明においては、極細繊維を容易に安定して得ることができ、本発明の皮革様シートの構造を容易に達成できる点で、海島型繊維または分割型繊維を用いて製造することが好ましい。さらには同一素材からなる極細繊維を容易に得ることができる点で、海島型繊維を用いて製造することがより好ましい。たとえば、極細繊維がポリエステルのみ、あるいは、ポリアミドのみからなることが好ましい。さらに、前述のように不織布(A)と織編物(B)が同一素材からなることが好ましいため、不織布(A)の素材は、ポリエステルがより好ましい。
本発明において、同一素材からなるとは、たとえばポリエステルの場合、前述の各種ポリエステルから選ばれたポリエステルを組み合わせて用いることも含む。ポリアミドあるいはその他のポリマーの場合も同様である。このような範囲の組み合わせであれば、実用上十分な染色をすることが容易である。異種素材、たとえばポリエステルとポリアミドを組み合わせて用いると、両者の間に染色性あるいは染色堅牢度に違いがあることから、染色した際に色むらなどを発生することがある。なお、リサイクル性の観点からは、完全に同一の素材のみ、たとえばポリエチレンテレフタレートのみ、を用いることが、よりいっそう好ましい。
ここでいう海島型繊維とは、2成分以上の成分を複合もしくは混合して海島状態とした繊維をいう。海島型繊維を得る方法としては、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)予め2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で静止混練器等を用い混合する方法、(4)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報等に記載の口金を用いて、溶融状態の2成分以上のポリマーを口金内で合流させる方法、等が挙げられる。本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することができるが、ポリマーの選択が容易である点で上記(4)の方法が好ましく用いられる。
かかる(4)の方法において、海島型繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば丸、多角、Y、H、X、W、C、π型等が挙げられる。また、用いるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性や染色性を考慮すると2〜3成分が好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。またこのときの成分比は、島成分の海島型繊維全体に対する重量比で0.3〜0.99であることが好ましく、0.4〜0.97がより好ましく、0.5〜0.8がさらに好ましい。島成分の重量比が0.3未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また島成分の重量比が0.99を越えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
海島型繊維で極細繊維を得る場合、その島成分が目的とする極細繊維になる。島成分として用いるポリマーは特に限定されず、繊維化が可能なものを適宜選択して使用することができるが、本発明で好ましく用いられるのは上述したポリエステルやポリアミドである。また、海成分として用いるポリマーは、島成分と相溶しないもので、かつ、海成分のポリマーよりも使用する溶剤や薬剤に対し溶解性または分解性の高い化学的性質を有するものが好ましい。島成分を構成するポリマーの選択にもよるが、例えばポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を共重合した共重合ポリエステル等を好ましく用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点ではスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。かかる共重合ポリエステルにおける、共重合成分の共重合比率としては、処理速度および安定性の点から5モル%以上が好ましく、重合、紡糸および延伸のしやすさから20モル%以下が好ましい。本発明において好ましい組み合わせとしては、島成分にポリエステルまたはポリアミド、あるいはその両者を用い、海成分にポリスチレンまたはスルホン基を有する共重合ポリエステルを用いる組み合わせである。これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
このようにして紡出した海島型繊維は、延伸し、結晶化することができる。例えば未延伸糸を引き取った後、湿熱延伸または乾熱延伸、あるいはその両者によって1〜3段延伸することができる。なお、分割型繊維を用いる場合は、主に口金内で2成分以上を複合し、上述の海島型繊維の製造方法に準じて行うことができる。
次いで、得られた極細繊維発生型短繊維を不織布化する。その方法としては、カード、クロスラッパー、ランダムウエバー等を用いる乾式法や、抄紙法等の湿式法を採用することができる。本発明では、本発明の皮革様シートの構造を容易に達成できる点でニードルパンチ法と高速流体流処理の2種の絡合方法を組み合わせた乾式法が好ましい。この不織布化する際の繊維の使用量や積層する織編物等の目付によって、皮革様シートの目付を適宜調整することができる。
次に乾式法について説明する。まず、極細繊維発生型短繊維から、カード、クロスラッパー等を用いてウェブを得る。得られたウェブを、ニードルパンチ処理によって、繊維見掛け密度が好ましくは0.12〜0.30g/cm、より好ましくは0.15〜0.25g/cmとなるようにする。繊維見掛け密度が0.12g/cm未満であると、繊維の絡合が不十分であり、不織布の引張強力、引裂強力、耐摩耗性等の物性について目的の値が得られにくくなる。また繊維見掛け密度の上限は特に限定されないが、0.30g/cmを越えると、ニードル針の折れや、針穴が残留するなどの問題が生じるため、好ましくない。
また、ニードルパンチを行う際には、極細繊維発生型繊維の平均単繊維繊度が1〜10デシテックスであることが好ましく、2〜8デシテックスがより好ましく、2〜6デシテックスがさらに好ましい。平均単繊維繊度が1デシテックス未満である場合や10デシテックスを越える場合は、ニードルパンチによる絡合が不十分となり、良好な物性の極細短繊維不織布を得ることが困難になる。
本発明におけるニードルパンチは、単なる工程通過性を得るための仮止めとしての役割ではなく、繊維を十分に絡合させることが好ましい。従って好ましくは、100本/cm以上の打ち込み密度がよく、より好ましくは500本/cm以上、さらに好ましくは1000本/cm以上がよい。
このようにして得られた不織布は、乾熱処理または湿熱処理、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
次いで、極細化処理により、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発現させる。さらに、高速流体流処理により、極細繊維同士の絡合を行う。極細化処理をした後に高速流体流処理を行っても良いし、極細化処理と同時に高速流体流処理を行っても良い。また極細化処理と同時に高速流体流処理を行い、その後に、さらに高速流体流処理を行っても良い。高速流体流処理を極細化処理と同時に行う場合、少なくとも極細化処理が大部分終了した後にも高速流体流処理を行うことが、極細繊維同士の絡合をより進める上で好ましい。極細化処理を行った後に、高速流体流処理を行うことがより好ましい。
極細化処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば機械的方法、および、化学的方法が挙げられる。機械的方法とは、物理的な刺激を付与することによって、極細繊維発生型繊維を極細化する方法である。具体的には、例えば上記のニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等の衝撃を与える方法の他に、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行う方法等が挙げられる。また化学的方法としては、例えば、海島型繊維を構成する少なくとも1成分に対し、薬剤によって膨潤、分解、溶解等の変化を与える方法が挙げられる。特に、海成分としてアルカリ易分解性ポリマーを用いた極細繊維発生型繊維で短繊維不織布を作製し、次いで中性〜アルカリ性の水溶液で処理して極細化する方法は、有機溶剤を使用せず作業環境上好ましいことから、本発明の好ましい態様の一つである。ここでいう中性〜アルカリ性の水溶液とは、pH6〜14を示す水溶液である。例えば有機または無機塩類を含み、上記範囲のpHを示す水溶液を好ましく用いることができる。有機または無機塩類としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミンや減量促進剤、キャリアー等を併用することもできる。中でも水酸化ナトリウムが価格や取り扱いの容易さ等の点で好ましい。さらに短繊維不織布に上述の中性〜アルカリ性の水溶液処理を施した後、必要に応じて中和および洗浄して残留する薬剤や分解物等を除去してから乾燥を施すことが好ましい。
高速流体流処理としては、作業環境の点で、水流を使用するウォータージェットパンチ処理が好ましい。ウォータージェットパンチ処理において、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流は、通常、直径0.06〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで水を噴出させることで得られる。効率的な絡合および良好な表面品位の不織布を得るために、ノズルの直径は0.06〜0.15mm、間隔は5mm以下であることが好ましく、直径0.06〜0.12mm、間隔は1mm以下がより好ましい。これらのノズルスペックは、複数回処理する場合、すべて同じ条件にする必要はなく、例えば大孔径と小孔径のノズルを併用することも可能であるが、少なくとも1回は上記構成のノズルを使用することが好ましい。ノズルの直径が0.15mmを超えると極細繊維同士の絡合が低下し、表面がモモケやすくなるとともに、表面平滑性も低下するため好ましくない。従ってノズル孔径は小さい方が好ましいが、0.06mm未満となるとノズル詰まりが発生しやすくなるため、水を高度に濾過する必要性からコストが高くなり好ましくない。また、厚さ方向に均一な交絡を達成する目的、および/または不織布表面の平滑性を向上させる目的で、高速流体流処理を多数回繰り返して行うことも好ましい。
流体流の圧力は、処理する不織布の目付によって適宜選択し、高目付のもの程高圧力とすることが好ましい。さらに、極細繊維同士を高度に絡合させ、目的の引張強力、引裂強力、耐摩耗性等の物性を得るため、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが必要である。圧力は、15MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることがさらに好ましい。また圧力の上限は特に限定されないが、圧力が上昇する程コストが高くなり、また、低目付不織布の場合は不織布が不均一になりやすく、繊維の切断により毛羽が発生する場合もあるため、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは30MPa以下である。
極細繊維発生型繊維から得た極細繊維の場合、極細繊維が集束した繊維束の状態で絡合しているものが一般的であるが、前記のような条件で高速流体流処理を行うことによって、繊維束の状態による絡合がほとんど観察されない程度にまで極細繊維同士が絡合した極細短繊維不織布を得ることができる。またこれにより耐摩耗性等の表面特性を向上させることもできる。なお、高速流体流処理を行う前に、水浸漬処理を行ってもよい。さらに不織布表面の品位を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を相対的に移動させる方法や、交絡後に不織布とノズルの間に金網等を挿入して散水処理する等の方法を行うこともできる。また、高速流体流処理を行う前に、不織布を厚み方向に対して垂直に2枚以上にスプリット処理することが好ましい。
なお、極細化処理と高速流体流処理を同時に行う方法としては、例えば、海成分として水可溶性ポリマーを用いた海島型繊維を用い、ウォータージェットパンチによって海成分の除去と極細繊維の絡合を行う方法、海成分としてアルカリ易溶解性ポリマーを用いた海島型繊維を用い、アルカリ処理液を通して海成分を分解処理した後に、ウォータージェットパンチによって海成分の最終除去および極細繊維の絡合処理を行う方法、等が挙げられる。
次に織編物(B)の製造方法を述べる。織編物(B)に使用される二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された繊維の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば特公昭63−42021号公報、特開平4−308271号公報、特開平11−43835号公報等に記載された方法を適用することができる。また、これらの繊維を用い、必要とする組織に応じてそれに適した織編機を使用することによって、織物または編物等の織編物とすることができる。
つづいて、織編物(B)に用いた複合繊維の捲縮を発現させる工程および織編物(B)と不織布(A)を積層する工程を行う。なお、織編物(B)に用いた複合繊維の捲縮を発現させる工程は、不織布(A)と積層する工程の前でも後でも行うことができる。積層前に行うと得られる皮革様シートの表面品位が優れる点で好ましく、積層後に行うと得られる皮革様シートの耐摩耗性や剥離強度が向上する点で好ましい。また織編物(B)のアルカリ減量加工を行うことも好ましいが、この場合は積層後に行うと不織布(A)を構成する繊維まで減量されるため、積層前に行う必要がある。
なお、複合繊維に捲縮を発現させる工程として、リラックス処理を行う際には、拡布状態または揉み処理を含む工程において、100〜140℃の湿熱条件で十分処理することが好ましい。処理時間は、10秒〜60分間の範囲が、より好ましい。リラックス処理は、複数回行っても良い。リラックス処理を複数回行う場合、各条件は、同じであっても異なっていても良い。また、後述の染色工程において、上記の湿熱条件で染色を行うことにより、染色とリラックス処理を同時に行うことができる。
織編物(B)と不織布(A)を積層する方法としては、上述のニードルパンチや高速流体流処理等の手段を用いた絡合による方法、接着による方法、その他種々の方法を適宜単独または組み合わせて採用することができる。これらの内、剥離強度に優れる点で絡合による方法が好ましい。また、織編物を損傷させずに絡合できる点で高速流体流処理を用いて絡合させることがより好ましい。
絡合により不織布(A)と織編物(B)を積層する場合、積層前の不織布の絡合度は低めである方が、得られる皮革様シートの剥離強力や耐摩耗性を向上させる点で好ましい。この場合、まず不織布(A)の前駆体として、極細繊維束が絡合した状態、すなわち上述の方法であれば、極細化処理後であって、高速流体流処理前の不織布(A’)を準備する。そして、不織布(A’)に織編物(B)を積層した後、ウォータージェットパンチ処理を行うことによって、不織布(A’)中の極細繊維同士を絡合させ不織布(A)にすると同時に、不織布(A)と織編物(B)を絡合させることが好ましい。ウォータージェットパンチは、不織布(A’)側から行うことが好ましい。
また、不織布と織編物(B)を積層した後に、前述のニードルパンチ処理を行っても良い。すなわち、極細繊維発生型繊維からなる短繊維不織布を織編物(B)と重ね合わせた後、ニードルパンチ処理を行い、続いて極細繊維を発生させる処理およびウォータージェットパンチ処理を行ってもよい。要するに、極細繊維発生前にニードルパンチ処理を行い、極細繊維発生と同時または極細繊維発生後にウォータージェットパンチ処理を行うことが、本発明の方法の特徴である。
本発明は、ニードルパンチにより絡合のしやすい繊維と高速流体流処理により絡合のしやすい繊維の相違に着目し、上記のようなプロセスにより製造することで、容易に本発明の優れた皮革様シートが得られることを見出したものである。すなわち、1〜10デシテックスの太い繊維ではニードルパンチによる絡合が優れ、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維では高速流体流処理による絡合が優れる傾向があることを利用したものである。従って、例えば、1〜10デシテックスの繊維に高速流体流処理を行う方法や、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維にニードルパンチを行う方法は、使用するニードル針、高速流体流の圧力、不織布を構成する繊維の繊維長、不織布の目付等の条件にもよるが、一般に本発明の皮革様シートを得る方法として適さない。
一方、接着により不織布と織編物を積層する場合は、まず極細繊維が相互に絡合した不織布(A)を準備し、不織布(A)と織編物(B)を接着することが好ましい。
さらに、もう一つの不織布を裏面に積層する場合、この不織布の製造方法は特に限定されず、種々の用途に応じて適宜使い分けることができる。例えば、裏面側の不織布として不織布(A)と同じ不織布を用いることで、両面共に優れた耐摩耗性を有する皮革様シートを得ることが可能となる。また、裏面側の不織布として平均繊維長0.1〜1cmの不織布(C)を用いることで、得られる皮革様シートの低目付化とドレープ性向上が可能となる。この場合、不織布(C)は、抄造法により製造することが好ましい。また使用する素材としても、難燃性、静電性、抗菌性、消臭性等の機能を付与したものでもよい。
また、不織布(C)を抄造法で製造する場合、あらかじめ準備した抄造法により製造されたウェブ(C’)(以下抄造ウェブ(C’)と記す)と織編物(B)を積層し絡合する方法、織編物(B)上に抄造ウェブ(C’)を一挙に形成させる方法等を採用することができる。可能であれば、織編物(B)上に抄造ウェブ(C’)を一挙に形成させる方法がコスト的に好ましい。抄造ウェブ(C’)を積層する場合、不織布(A)と織編物(B)を積層した後に行うと密度上昇によって均一に積層することが困難になるので、先に抄造ウェブ(C’)と織編物(B)を積層した後、不織布(A)を積層することが好ましい。積層後に高速流体流処理を行って、抄造ウェブ(C’)を構成する繊維を互いに絡合させて不織布(C)にすると同時に、不織布(C)と織編物(B)を絡合させることが好ましい。
抄造ウェブ(C’)の製造方法は、特に限定されないが、例えば平均繊維長0.1〜1cmの繊維を、水溶性樹脂等を含む水中で叩解し、0.0001〜0.1%程度の濃度で分散させた分散液を金網等に抄造して製造することができる。織編物(B)上に抄造ウェブ(C’)を一挙に形成させる場合は、金網上に織編物を置き、その上から抄造する方法によって製造することができる。
このようにして得られた皮革様シートに、必要に応じて、さらにその他の処理を行ってもよい。
スエード調やヌバック調の立毛を有した皮革様シートを得る場合は、皮革様シートの表面にサンドペーパーやブラシ等による起毛処理を行うことが好ましい。かかる起毛処理は、後述する染色工程の後に行うとサンドペーパーやブラシに着色が生じるため、染色前に行うことが好ましい。また、後述する微粒子の付与後に行うこともできるが、立毛が出にくい傾向を示すことから、微粒子付与前に行うことが好ましい。
このようにして得られた皮革様シートを染色することも好ましい。染色方法は特に限定されるものではなく、用いる染色機としても、液流染色機、サーモゾル染色機、高圧ジッガー染色機等いずれでもよいが、得られる皮革様シートの風合いが優れる点で液流染色機を用いて染色することが好ましい。染色工程の条件は、特に限定されないが、前述のリラックス処理を兼ねさせる場合は、液流染色機を用い、100〜140℃で1〜60分間行うことが好ましい。処理時間は、10〜60分間が、より好ましい。
また、皮革様シートの表面の平滑性を向上させる、および/または半銀面調の表面を得る目的で、皮革様シートを染色した後、0.1〜0.8倍に圧縮することも好ましい。
皮革様シートに微粒子を付与する手段としては、パッド法、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等、適宜選択することができる。また、皮革様シートに柔軟剤を付与する場合も同様であり、コストの点からは微粒子と同時に付与することが好ましい。
なお、微粒子や柔軟剤は、好ましくは染色後に付与する。染色前に付与すると、染色時の脱落により効果が減少する場合や、染色ムラが発生する場合があるため好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)目付、繊維見掛け密度
皮革様シートの目付は、JIS L 1096 8.4.2(1999)に記載された方法で測定した。また、皮革様シートの厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、目付の値を厚みの値で割って繊維見掛け密度を求めた。
(2)マーチンデール摩耗試験
皮革様シートから、直径3.8cmの試験片を採取し、重量を測定した。JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に従って、マーチンデール摩耗試験機を用いて耐摩耗試験を実施した。製品面となる面を20000回摩擦したところで試験機を止め、試験前に対する試験後の試験片の重量減を評価した。また、試験後の試験片の外観から毛玉の数を数えた。
(3)反発感
皮革様シートを、官能評価により4段階で評価した。
反発感 良:A、普通:B、やや不良:C、不良:D
(4)繊維長の測定
不織布の任意の3箇所から、それぞれ繊維を100本抜き出して繊維長を測定した。測定した300本分の繊維長の数平均を求めた。
(5)繊度の測定
不織布の断面を光学顕微鏡にて観察した。繊維断面を100個ランダムに選んで断面積を測定し、100個の繊維断面積の数平均を求めた。求められた繊維断面積の平均値と繊維の比重から、繊度を計算により求めた。なお、繊維の比重はJIS L 1015に基づいて測定した。
(6)ドレープ係数、ノード数
皮革様シートのドレープ性は、JIS L 1096(1999)8.19.7 G法(ドレープ係数)に準じ、ドレープテスター(型式:YD−100、(株)大栄科学精器製作所製)を用いて測定した。JISに規定された「試料台を3回上下に振動させ」るという条件に替え、「試料台を2分間回転させ」る条件に変更して測定した。この条件は、前記測定器の標準使用条件である。またドレープ係数の試験によって得た投影図から数えたヒダの数を、ノード数とした。なお、測定は表裏3回ずつ行い、その平均値をこれらの値とした。
参考例1
極限粘度が0.40のポリエチレンテレフタレート100%からなる低粘度成分と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフタレートからなる高粘度成分とを重量複合比50:50でサイドバイサイドに貼りあわせて紡糸および延伸し、110デシテックス24フィラメントの複合繊維を得た。これを1300T/mで追撚して、65℃でスチームセットを行った。この糸を用い、180×90本/2.54cmの織密度で織物(B)を製造した。この織物を単独で、110℃で液流染色機を用いてリラックス処理を行った時の織密度は250×120本/2.54cmであった。
参考例2
極限粘度が0.40のポリエチレンテレフタレート100%からなる低粘度成分と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフタレートからなる高粘度成分とを重量複合比50:50でサイドバイサイドに貼りあわせて紡糸および延伸し、56デシテックス12フィラメントの複合繊維を得た。これを1500T/mで追撚して、65℃でスチームセットを行った。この糸を用い、94×85本/2.54cmの織密度で織物(B)を製造した。この織物を単独で、110℃で液流染色機を用いてリラックス処理を行った時の織密度は136×114本/2.54cmであった。
参考例3
参考例2と同じ糸を用い、28ゲージのトリコット(編物(B))を製造した。ついで、参考例1と同様のリラックス処理を行った。
実施例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる平均単繊維繊度3デシテックス、36島、平均繊維長51mmの海島型複合短繊維を、カード機およびクロスラッパーに通してウェブを作製した。得られたウェブを、1バーブ型のニードルパンチ機を用いて、1500本/cmの打ち込み密度でニードルパンチ処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に2分間浸積し、PVAを不織布に、不織布重量に対し固形分換算で25%の付着量になるように含浸させると同時に収縮処理を行った。その後、不織布を100℃にて乾燥して水分を除去した。次いで、この複合短繊維不織布を30℃のトリクレンでポリスチレンが完全に除去されるまで処理することにより、複合短繊維から平均単繊維繊度0.046デシテックスの極細繊維を発現させた。これにより得られた極細短繊維不織布を、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理して不織布(A)の前駆体である不織布(A’)を得た。ついで、不織布(A’)に参考例1で作製した織物(B)(リラックス処理前)を重ねて、不織布(A’)側から0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドを有するウォータージェットパンチ機にて、1m/分の処理速度で、それぞれ10MPaと20MPaの圧力のウォータージェットパンチ処理を行い、ついで編物側から10MPaの圧力のウォータージェットパンチを1回行った。これらのウォータージェットパンチ処理により、不織布からPVAを除去し、不織布(A’)中の極細繊維同士を絡合させて不織布(A)にすると同時に、不織布(A)と織編物(B)を絡合させた。得られたシートは、ついで100℃の熱水にて2分、拡布状態で収縮処理を行った。
このようにして得られた積層シートの表面を、サンドペーパーにて起毛処理をした。さらに、該積層シートを液流染色機にて“Sumikaron Blue S−BBL200”(住化ケムテックス(株)製)を用い20%owfの濃度で、120℃、45分、液流染色機にて染色した。得られたシートを、柔軟剤(アミノ変性シリコーンエマルジョン“アルダックAN980SF”一方社株式会社製)と微粒子(コロイダルシリカ “スノーテックス(登録商標)20L”日産化学工業株式会社製、平均粒径0.04〜0.05μm:BET法)を含む水溶液に浸積し、コロイダルシリカの含有量が0.1%となるように絞った後、ブラッシングしながら100℃で乾燥させた。このようにして得られた不織布(A)と織物(B)を含む皮革様シートは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、非常に反発感と充実感のある風合いであった。得られた皮革様シートの評価結果を表1に示した。また、皮革様シートの断面をSEMで観察した結果、図1に示すように織物(B)を構成する繊維が螺旋状となり、その中心部分に長さ方向の中空構造を形成していることが確認できた。
実施例2
平均繊維長が0.5cm、平均単繊維繊度が0.1デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維を用い、抄造法により20g/mの目付の抄造ウェブ(C’)を作製した。これを実施例1と同様の織物(B)(リラックス処理前)に積層し、抄造ウェブ(C’)の側から0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドを有するウォータージェットパンチ機にて、1m/分の処理速度で、それぞれ5MPaと10MPaの圧力でウォータージェットパンチ処理した。これらのウォータージェットパンチ処理により、抄造ウェブ(C’)を不織布(C)にすると同時に、織物(B)と不織布(C)を絡合させ、織物(B)と不織布(C)の積層物を得た。次いで、実施例1と同様の不織布(A’)を、織物(B)が中央になるように、不織布(C)の反対面に重ねて、不織布(A’)の側からウォータージェットパンチ機にて、1m/分の処理速度で10MPaと20MPaの圧力でウォータージェットパンチ処理した。これらのウォータージェットパンチ処理により、不織布(A’)中の極細繊維同士を絡合させ不織布(A)にすると同時に、不織布(A)と織編物(B)を絡合させた。ついで、100℃の熱水にて2分、拡布状態で収縮処理を行った。このようにして得られた積層シートを、実施例1と同様に起毛処理および染色した後、柔軟剤と微粒子を付与して不織布(A)/織物(B)/不織布(C)からなる皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、非常に反発感と充実感のある風合いであり、また裏面品位にも優れたものであった。得られた皮革様シートの評価結果を表1に示した。
実施例3
織物(B)として、参考例2で得られる織物(B)(リラックス処理後)を用い、100℃の熱水による収縮処理をしない以外は実施例1と同様にして皮革様シートを得た。このようにして得られた皮革様シートは、実施例1と比較して、やや反発感に劣るが、表面品位はより優れ、また実施例1と同様、充実感のある風合いを有していた。皮革様シートの評価結果を表1に示した。また、皮革様シートの断面をSEMで観察した結果、図2に示すように織物(B)を構成する繊維の内いくつかが螺旋状となり、その中心部分に長さ方向の中空構造を形成していることが確認できた。さらに、この皮革様シートのドレープ性を評価したところ、ドレープ係数は0.41、ノード数は5.5であった。
実施例4
織物(B)の代わりに参考例3で得られる編物(B)(リラックス処理後)を用いた以外は実施例3と同様にして皮革様シートを得た。このようにして得られた皮革様シートは、実施例3と同様、充実感のある風合いを有していた。皮革様シートの断面をSEMで観察すると、編物(B)を構成する繊維の内のいくつかが螺旋状となり、その中心部分に長さ方向の中空構造を形成していることが確認できた。また、この皮革様シートのドレープ性を評価したところ、ドレープ係数は0.32、ノード数は6.5であった。実施例3の皮革様シートと比較して、より優れたドレープ性を有していたが、反発感はやや劣っていた。
比較例1
織物(B)の代わりに、33デシテックス、12フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維からなる44ゲージ、目付77g/mのダブル丸編を用いた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、緯方向にストレッチ性を有するものの反発感に乏しいものであった。皮革様シートを評価した結果を表1に示した。また、皮革様シートの断面をSEMで観察した結果、図3に示すように、織物を構成する繊維が螺旋状となりその中心部分に中空構造を形成した構造は、確認できなかった。
比較例2
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる平均単繊維繊度3デシテックス、36島、平均繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード機およびクロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルパンチ機を用いて、1500本/cmの打ち込み密度でニードルパンチ処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のPVA12%の水溶液に2分間浸積し、PVAを不織布に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように含浸させると同時に収縮処理を行った。その後、不織布を100℃にて乾燥して水分を除去した。ついで、この複合短繊維不織布を30℃のトリクレンでポリスチレンが完全に除去されるまで処理することにより、複合短繊維から平均単繊維繊度0.046デシテックスの極細繊維を発現させた。これにより得られた極細短繊維不織布を、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理して不織布(A)の前駆体である不織布(A’)を得た。不織布(A’)を用い、織物を積層せずに0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドを有するウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で10MPaと20MPaで両面とも処理し、PVAの除去とともに絡合を行った。
次いで実施例1と同様に起毛処理、染色、および柔軟剤と微粒子の付与を行って、皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、耐摩耗性と充実感に優れたものであったが、反発感に劣るものであった。皮革様シートを評価した結果を表1に示した。
本発明によれば、実質的に繊維素材からなる皮革様シートでありながら、耐摩耗性が良好であり、かつ反発感に優れた皮革様シートを提供できる。
本発明皮革様シートは、特に反発感や成形性が要求される衣料、家具、カーシート等に好適に用いることができる。
実施例1で得られる皮革様シートの断面図である。 実施例3で得られる皮革様シートの断面図である。 比較例1で得られる皮革様シートの断面図である。 極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)の一例を示す断面図である。 極細繊維が繊維束の状態で絡合した構造を有する短繊維不織布の一例を示す断面図である。

Claims (19)

  1. 実質的に繊維素材からなる皮革様シートであって、平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、平均繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)と、二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された複合繊維を含む織編物(B)とが積層された皮革様シート。
  2. 前記不織布(A)を構成する繊維の平均繊維長が1.5〜8cmである請求項1に記載の皮革様シート。
  3. 織編物(B)において、前記複合繊維を含む繊維が螺旋状のマルチフィラメントを構成し、該マルチフィラメントの集合体が螺旋形状となり、その螺旋形状の中心部分に長さ方向の中空構造を形成している請求項1または2に記載の皮革様シート。
  4. 該複合繊維を含む繊維の撚数が500〜3000T/mである請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート。
  5. 微粒子が含まれている請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート。
  6. 織編物(B)が全重量の5〜50%である請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート。
  7. 織編物(B)が織物である請求項1〜6のいずれかに記載の皮革様シート。
  8. さらに平均繊維長0.1〜1cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(C)が積層された請求項1〜7のいずれかに記載の皮革様シート。
  9. 不織布(A)を構成する繊維素材がポリエステルである請求項1〜8のいずれかに記載の皮革様シート。
  10. 少なくとも一方の面が立毛を有している請求項1〜9のいずれかに記載の皮革様シート。
  11. 目付が150〜550g/m、繊維見掛け密度が0.25〜0.70g/cm、である請求項1〜10のいずれかに記載の皮革様シート。
  12. マーチンデール法における摩耗試験において、少なくとも一方の面において、20000回摩耗した時の摩耗減量が20mg以下であり、かつ毛玉の数が5個以下である請求項1〜11のいずれかに記載の皮革様シート。
  13. ドレープ係数が0.10〜0.50である請求項1〜12のいずれかに記載の皮革様シート。
  14. ノード数が5〜15である請求項1〜13のいずれかに記載の皮革様シート。
  15. 平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、平均繊維長1〜10cmの極細繊維が発生可能な、平均単繊維繊度1〜10デシテックスの極細繊維発生型短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布(A’)を得る工程、および該不織布(A’)を二以上のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された複合繊維を含む織編物(B)と重ね合わせて、少なくとも10MPaの圧力で高速流体流処理を行うことにより、不織布(A’)中の極細繊維同士を絡合させ不織布(A)にすると同時に、不織布(A)と織編物(B)を絡合させる工程を含む皮革様シートの製造方法。
  16. 織編物(B)に対し極細短繊維不織布(A’)の反対面に、平均繊維長0.1〜1cmの極細繊維からなる抄造ウェブ(C’)を重ね合わせる工程をさらに含む請求項15に記載の皮革様シートの製造方法。
  17. 抄造ウェブ(C’)と織編物(B)とを重ねて高速流体流処理によって絡合し、ついで不織布(A’)を重ねて高速流体流処理を行って絡合する請求項16に記載の皮革様シートの製造方法。
  18. その後染色する工程をさらに含む請求項15〜17のいずれかに記載の皮革様シートの製造方法。
  19. 染色後に微粒子を付与する工程をさらに含む請求項18に記載の皮革様シートの製造方法。
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