JP2006045699A - 皮革様シート状物およびその製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性とドレープ性に優れた皮革様シート状物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)と編物(B)が積層されてなることを特徴とする皮革様シート状物。0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布とし、次いで編物と重ね合わせて少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って積層させ、その後に染色することにより得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性とドレープ性に優れた皮革様シート状物およびその製造方法に関する。
極細繊維と高分子弾性体からなる合成皮革または人工皮革と称されるものを含む皮革様シート状物は、天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く使用されている。その中でも衣料は、その主用途の一つであり、市場に多く流通している。
かかる合成皮革または人工皮革を製造するにあたっては、一般に繊維シート状物にポリウレタン等の高分子弾性体溶液を含浸せしめた後、その繊維シート状物を水または有機溶剤水溶液中に浸漬して高分子弾性体を湿式凝固せしめる方法が一般に採用されている。
例えば特定のエステル構造を分子鎖中に含ませた耐久性に優れるポリウレタンを用い、耐摩耗性の優れた皮革様シート状物を得る方法がある(例えば、特許文献1)。しかし、ポリウレタン等の高分子弾性体の量が増加するに従い、引張、引裂、耐摩耗性といった物性が向上する反面、ドレープ性や柔軟性といった感性が低下するため、これを改善することが望まれていた。
そこで、ドレープ性や柔軟性を改善するためにポリウレタン等の高分子弾性体を減少させて皮革様シート状物を製造する試みが種々行われてきた。例えば、極細繊維の抄造ウェブを潜在縮性繊維からなる布帛に交絡一体化する方法が開示されている(例えば、特許文献2)。しかし、この方法で製造された皮革様シート状物は、繰り返し摩擦によって繊維が脱落し、耐摩耗性が劣る問題があった。これに対し、無撚捲縮糸の布帛を用いて繊維の交絡を高め、少量の高分子弾性体を付与して皮革様シート状物とする方法がある(例えば、特許文献3)。この方法であればドレープ性は改善され、衣料用に適した風合いとなるが依然として耐摩耗性に劣る問題があった。
従って、これまで耐摩耗性とドレープ性を両立させた皮革様シート状物を得ることができなかった。
特開2000−248037号公報 特公昭54−27402号公報 特開昭62−117884号公報
本発明は、耐摩耗性とドレープ性に優れた皮革様シート状物およびその製造方法に関するものである。
本発明は上記課題を解決するために、以下の構成を有するものである。
すなわち、本発明の皮革様シート状物の一態様は、単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した不織布(A)と編物(B)が積層されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の皮革様シート状物の製造方法の一態様は、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布とし、次いで編物と重ね合わせて少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って積層させ、その後に染色することを特徴とするものである。
本発明の皮革様シート状物の他の態様は、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布としたものと、編物と、抄造ウェブを重ね、少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って積層し、その後に染色することを特徴とするものである。
本発明によれば、ポリウレタン付与量を大きく低減でき、又は全く使用することなく高品位で耐摩耗性が良好であり、かつドレープ性に優れた皮革様シート状物を提供できる。
これにより、特に衣料に好適に用いることができる。
本発明の皮革様シート状物は、少なくとも不織布で構成されている必要があり、これにより天然皮革のような風合いや表面感を得ることが可能となる。
本発明でいう少なくとも一方の表面に配される不織布(A)は、主として繊維長が1〜10cmの短繊維である。繊維長は、1.5〜8cmであることが好ましく、2〜6cmであることがより好ましい。10cmを超える繊維が含まれると、表面品位が低下するため好ましくない。また、繊維長が1cm以上であると、飛躍的に耐摩耗性は向上する。なお、本発明の効果が損なわれない範囲で、この範囲外の繊維長の繊維が含まれていてもよい。
一方、後述するように不織布/編物/不織布の3層以上を積層する場合、裏面に使用する不織布(C)はドレープ性に優れる点で0.1〜1cmの繊維長とする。
不織布(A)を構成する繊維は、単繊維繊度が0.0001〜0.5デシテックスである極細繊維を含んでなるものである。単繊維繊度は、好ましくは0.001〜0.3デシテックス、より好ましくは0.005〜0.15デシテックスである。0.0001デシテックス未満であると、強度が低下するため好ましくない。また0.5デシテックスを越えると風合いが堅くなり、また、絡合が不十分になって表面品位が低下したり、耐摩耗性が低下したりする等の問題も発生するため好ましくない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の範囲を越える繊度の繊維が含まれていてもよい。
本発明では、これらの極細繊維が相互に絡合していることが特に耐摩耗性を向上させるために重要である。極細繊維からなる従来の皮革様シート状物の大半は極細繊維束が絡合した構造を有しているが、本発明においては、期待する耐摩耗性の効果が得られない。すなわち、極細繊維が相互に絡合した構造を有していることが、耐摩耗性を向上させるために好ましい。なお、本発明の効果が損なわれない範囲で極細繊維束が含まれていてもよい。
また、本発明における構成要素である編物(B)は、優れたドレープ性を発現するために必須である。編物としては特に限定されず、緯編でも経編でもよい。よりドレープ性を向上させる必要がある場合は緯編であることが好ましく、例えば丸編、横編等が挙げられる。一方、取り扱いの点でダブル編であることがより好ましい。また、生産性や取り扱いやすさの点では経編であることが好ましく、例えばトリコットが挙げられる。
編物に用いる素材は、特に限定されるものではなく、好ましくはポリエステルやポリアミドであるが、染色性やリサイクル性の点で不織布と同じ素材であることが好ましい。また、適度な反発感を付与する目的で、複合糸や捲縮糸等を用いることもできる。繊維繊度は100デシテックス以下が好ましく、85デシテックス以下がより好ましく、50デシテックス以下がさらに好ましい。100デシテックスを超えると、ドレープ性が悪化するため好ましくない。下限は特に限定されず、より細いほどドレープ性に優れたものとなるが、取り扱い性が優れる点で10デシテックス以上が好ましい。なお単繊維繊度は、0.01〜3デシテックスであることが好ましい。3デシテックスを超えるとドレープ性が低下するため好ましくない。また下限は特に限定されないが、0.01デシテックス未満であるとドレープ性が悪化する傾向があるため好ましくない。編物の目付は皮革様シート状物の目付に合わせ適宜調整することができるが、衣料用途の場合は10〜150g/mであることが好ましく、30〜100g/mであることがより好ましい。10g/m未満であると形態が不安定であり、取り扱い性が悪く、また積層後に期待したドレープ性が得られにくい。また150g/mを超えてもドレープ性が低下するため好ましくない。また編密度も特に限定されるものではないが、絡合性やドレープ性を考慮して、通常20〜60ゲージのものを採用することができる。
少なくとも上述した不織布(A)と編物(B)が積層されているものであれば、他の不織布や編物がさらに積層されていてもよく、例えば不織布(A)/編物(B)/不織布、不織布(A)/不織布/編物(B)、不織布(A)/編物(B)/不織布/編物/不織布、等の3層以上を積層してもよい。特に製品面と裏面が存在する場合であって、裏面にも品位が要求される場合は、表裏とも不織布であることが好ましく、例えば表面を不織布(A)として、中間層に編物(B)とし、裏面に不織布(A)又は他の不織布を積層した3層構造からなることが好ましい。編物の重量比は全体の5〜50%であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましい。5%未満であると、編物の持つドレープ性を皮革様シート状物に十分反映することが困難になり、また50%を超えると編物様の風合いとなり、皮革様シート状物としての高級感が得られにくい。
なお、裏面品位とドレープ性を両立することが容易である点で、裏面の不織布は繊維長1〜10cmの極細繊維が絡合した不織布(A)であるか、又は繊維長0.1〜1cmの極細繊維が絡合した不織布(C)である。不織布(C)としては、低目付化が容易であり、全体の目付を必要以上に増加させることなく、品位を向上させることが可能である点で、抄造法で製造されたものであることが好ましい。但し、不織布(C)からなる面は、高い耐摩耗性を得ることが困難であるため、耐磨耗性が要求される用途には繊維長1〜10cmの極細繊維が絡合した不織布(A)であることが好ましい。
なお不織布(C)は、品位やドレープ性に優れる点で、単繊維繊度が0.01〜0.5デシテックスの範囲にあることが好ましい。素材は上述したように特に限定されるものではないが、表面に用いる不織布や編物と同一素材であることが、染色性やリサイクル性の点で好ましい。
本発明の皮革様シート状物は、ドレープ係数が0.10〜0.50であることが好ましく、0.15〜0.40であることがより好ましく、0.20〜0.30であることがさらに好ましい。0.10未満であると、柔軟すぎ頼りない風合いとなって衣料用には適していない。また0.50を超えると、ぱかぱかした風合いとなり、柔軟でドレープ性の優れる衣料に用いることが困難となる。
またノード数は5〜15であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、7〜10であることがさらに好ましい。5未満であると綺麗なシルエットを得にくくなる。またノード数は多いほど良好ではあるが、皮革様の風合いと両立するためにはおおよそ15が上限となる。
なお、ドレープ係数はJIS L 1096(1999)8.19.7 G法(ドレープ係数)に準じ、ドレープテスター(型式:YD−100、(株)大栄科学精器製作所製)を用い、JISに規定される「試料台を3回上下に振動させ」ることに替え、「試料台を2分間回転させ」る方法(該測定器標準使用方法)に変更して測定した。またノード数は、ドレープ係数の試験によって得た投影図からヒダの数を数えた。ドレープ係数とノード数は表裏共に測定し、その平均値をそれぞれの値とした。
また、耐磨耗性を向上させる目的で、本発明の皮革様シート状物は微粒子を含むことが好ましい。微粒子の材質は水に不溶であれば特に限定されるものではなく、例えばシリカやコロイダルシリカ、酸化チタン、アルミニウム、マイカ等の無機物質や、メラミン樹脂等の有機物質を例示することができる。
また微粒子の平均粒子径は好ましくは0.001〜30μmであり、より好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.05〜10μmである。0.001μm未満であると、期待する効果が得られにくくなり、また30μmを越えると脱落によって洗濯耐久性が低下する。なお平均粒子径は個々の材質やサイズに応じて適した測定方法、例えばBET法やレーザー法、コールター法を採用する。
これらの微粒子は、本発明の効果が発揮できる範囲で適宜使用量を調整することができるが、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.02〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。0.01重量%以上であれば、耐摩耗性の向上効果が顕著に発揮でき、量を増加させる程、その効果は大きくなる傾向がある。ただし、10%を越えると風合いが硬くなり、好ましくない。
なお、微粒子の脱落を防ぎ、耐久性を向上させるためには、少量の樹脂を併用することが好ましい。
また、柔軟な風合いとなめらかな表面タッチを得るために、本発明の皮革様シート状物は柔軟剤を含むことが好ましい。柔軟剤としては特に限定されず、織編物に一般的に使用されているものを繊維種に応じて適宜選択する。例えば染色ノート第23版(発行所 株式会社色染社、2002年8月31日発行)においては、風合い加工剤、柔軟仕上げ剤の名称で記されているものを適宜選択することができ、その中でも柔軟性の効果が優れる点でシリコーン系エマルジョンが好ましく、アミノ変成やエポキシ変成されたシリコーン系エマルジョンがより好ましい。これらの柔軟剤が含まれると耐摩耗性は低下する傾向があるため、この柔軟剤の量と上記の微粒子の量は目標とする風合いと耐摩耗性のバランスを取りながら、適宜調整することが好ましい。従って、その量は特に限定されるものではないが、少なすぎると効果が発揮できず、多すぎるとべたつき感があるため、通常0.01〜10重量%の範囲となる。
目付は好ましくは100〜350g/mであり、より好ましくは120〜300g/m、さらに好ましくは140〜250g/mである。100g/m未満であると、物性が低下し、表面に編物の外観が見えやすくなり、品位が低下するため好ましくない。また350g/mを越える場合は、ドレープ性が低下する傾向があるため好ましくない。また、繊維見掛け密度は、好ましくは0.27〜0.50g/cmであり、より好ましくは0.28〜0.45g/cm、さらに好ましくは0.29〜0.40g/cmである。0.27g/cm未満であると、特に耐摩耗性が低下するため好ましくない。また0.50g/cmを越えるとドレープ性が低下するため好ましくない。
本発明の皮革様シート状物は、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、少なくとも一方の面において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の摩耗減量が20mg以下、好ましくは15mg以下、より好ましくは10mg以下であり、かつ毛玉が5個以下存在することが好ましく、3個以下であることがより好ましく、1個以下であることがさらに好ましい。摩耗減量が20mgを越える場合、実使用において毛羽が服等に付着する傾向があるため好ましくない。一方、下限は特に限定されず、本発明の皮革様シートであればほとんど摩耗減量がないものも得ることが出来る。また発生する毛玉については、5個を越えると、使用した時の外観変化によって品位が低下するため好ましくない。
本発明の皮革様シート状物は、天然皮革のような優れた表面外観を有してなるものであり、好ましくは一方の面に立毛を有し、スエード、ヌバック調の滑らかなタッチと優れたライティングエフェクトを有するものである。立毛を有した皮革様シート状物は、特にその耐摩耗性が低下しやすい傾向を示すことから、本発明の効果が顕著であるため、好ましい態様である。
皮革様シート状物の中でも、一般に合成皮革や人工皮革と称されるものは、ポリウレタン等の高分子弾性体と繊維材料から構成される。本発明の皮革様シート状物においても本発明の効果を逸脱しない範囲で、ウレタン等の高分子弾性体が含まれたものとすることも可能である。かかる高分子弾性体としては、適宜目的とする風合い、物性、品位が得られるものを種々選択して使用することができ、例えばポリウレタン、アクリル、スチレン−ブタジエン等が挙げられる。この中で柔軟性、強度、品位等の点でポリウレタンであることが好ましい。しかしながら、本発明の皮革様シート状物の特徴がより明確であり、従来と比較してより優れる点で、高分子弾性体の含有量は30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることからさらに好ましく、最も好ましいのは高分子弾性体を含まず、実質的に繊維素材からなることが好ましい。さらに、繊維素材についても実質的に非弾性ポリマーの繊維からなることが好ましく、例えば、ポリエーテルエステル系繊維やいわゆるスパンデックス等のポリウレタン系繊維などのゴム状弾性に優れる繊維を除くポリマーであることが好ましい。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる繊維が挙げられる。実質的に非弾性ポリマーの繊維素材からなることにより、ドレープ性に優れ、ゴム感がなく充実感のある風合いを達成することができる。また、さらには、易リサイクル性、高発色性、高耐光性、耐黄変性等種々の効果が達成できる。特にケミカルリサイクルを行うためには、繊維素材が単一成分であることが好ましく、例えばポリエステルやポリアミドからなるものが好ましい。
ポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、繊維化が可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
また、例えば染料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐侯剤等の機能性薬剤も、本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。
次に本発明の皮革様シート状物の製造方法の一例を述べる。
最初に本発明の皮革様シート状物における不織布(A)の製造方法を述べる。不織布(A)を構成する単繊維繊度が0.0001〜0.5デシテックスの範囲にある極細繊維の製造方法は特に限定されず、例えば極細繊維を直接紡糸する方法、通常繊度の繊維であって極細繊維を発生することができる繊維(極細繊維発生型繊維)を紡糸し、次いで極細繊維を発生させる方法がある。そして極細繊維発生型繊維を用いる方法としては、例えば海島型繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、分割型繊維を紡糸してから分割して極細化する方法等の手段を例示することができる。これらの中で、本発明においては極細繊維を容易に安定して得ることが出来、さらに後述する本発明の好ましい製造方法によって、本発明の皮革様シート状物の構造を容易に達成できる点で、海島型繊維または分割型繊維によって製造することが好ましく、さらには皮革様シート状物とした場合、同種の染料で染色できる同種ポリマーからなる極細繊維を容易に得ることが出来る点で、海島型繊維によって製造することがより好ましい。
ここでいう海島型繊維とは、2成分以上の成分を任意の段階で複合、混合して海島状態とした繊維をいい、この繊維を得る方法としては、特に限定されず、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)予め2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で静止混練器等を用い混合する方法、(4)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報等の口金を用いて製造する方法、等が挙げられる。本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することが出来るが、ポリマーの選択が容易である点で上記(4)の方法が好ましく採用される。
かかる(4)の方法において、海島型繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば丸、多角、Y、H、X、W、C、π型等が挙げられる。また用いるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性や染色性を考慮すると2〜3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。またこのときの成分比は、島繊維の海島型繊維に対する重量比で0.3〜0.99であることが好ましく、0.4〜0.97がより好ましく、0.5〜0.8がさらに好ましい。0.3未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また0.99を越えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
海島型繊維で極細繊維を得る場合、その島成分が目的とする極細繊維になる。用いるポリマーは特に限定されず、繊維化が可能なものを適宜選択して使用することができるが、本発明で好ましく用いられるのは上述したポリエステルやポリアミドである。また、海成分として用いるポリマーは、島成分と相溶しないものであれば特に限定されるものではないが、海成分のポリマーよりも使用する溶剤や薬剤に対し溶解性、分解性の高い化学的性質を有するものであることが好ましい。島成分を構成するポリマーの選択にもよるが、例えばポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を共重合したポリエステル等を用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点でスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。かかる共重合比率としては、処理速度、安定性の点から5モル%以上、重合や紡糸、延伸のしやすさから20モル%以下であることが好ましい。本発明において好ましい組み合わせとしては、島成分にポリエステルまたはポリアミド、あるいはその両者を用い、海成分にポリスチレンまたはスルホン基を有する共重合ポリエステルである。これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
このようにして紡出したポリマーは、延伸、結晶化することができ、例えば未延伸糸を引き取った後、湿熱または乾熱、あるいはその両者によって1〜3段延伸することが出来る。なお、分割型繊維を用いる場合は、主に口金内で2成分以上を複合し、上述の海島型繊維の製造方法に準じて行うことができる。
次いで、得られた短繊維を不織布化するが、その方法としては、ウェブをカードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて得る乾式法や、抄紙法等による湿式法を採用することができる。本発明では、本発明の皮革様シート状物の構造を容易に達成できる点でニードルパンチ法と高速流体流処理の2種の絡合方法を組み合わせた乾式法が好ましい。この不織布化する際の繊維の使用量や積層する織編物等の目付によって、皮革様シート状物の目付を適宜調整することが出来る。
次に本発明で好ましく採用する乾式法にて製造する方法を説明するが、これに限定されるものではない。まず、カード、クロスラッパー等を用いて得られるウェブを、ニードルパンチ処理によって、繊維見掛け密度が好ましくは0.12〜0.30g/cm、より好ましくは0.15〜0.25g/cmとする。0.12g/cm未満であると、絡合が不十分であり、引張強力や引裂強力、耐摩耗性等の目的の物性が得られにくくなる。また上限は特に規定されないが、0.30g/cmを越えると、ニードル針の折れや、針穴が残留するなどの問題が生じるため、好ましくない。
また、ニードルパンチを行う際には、極細繊維発生型繊維の単繊維繊度が1〜10デシテックスであることが好ましく、2〜8デシテックスがより好ましく、2〜6デシテックスがさらに好ましい。単繊維繊度が1デシテックス未満である場合や10デシテックスを越える場合は、ニードルパンチによる絡合が不十分となり、良好な物性の極細短繊維不織布を得ることが困難になる。
本発明におけるニードルパンチは、単なる工程通過性を得るための仮止めとしての役割ではなく、繊維を十分に絡合させることが好ましい。従って好ましくは、100本/cm以上の打ち込み密度がよく、より好ましくは500本/cm以上、さらに好ましくは1000本/cm以上がよい。
このようにして得られた不織布は、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
次いで、極細化処理をした後もしくは極細化処理と同時に、または極細化処理と同時さらにその後に、高速流体流処理を行って、極細繊維同士の絡合を行うことが好ましい。高速流体流処理を極細化処理と兼ねる事は可能であるが、少なくとも極細化処理が大部分終了した後にも高速流体流処理を行うことが、より極細繊維同士の絡合を進める上で好ましく、さらに、極細化処理を行った後に高速流体流処理を行うことが好ましい。
極細化処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば機械的方法、化学的方法が挙げられる。機械的方法とは、物理的な刺激を付与することによって極細化する方法であり、例えば上記のニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等の衝撃を与える方法の他に、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行う方法等が挙げられる。また化学的方法とは、例えば、海島型繊維を構成する少なくとも1成分に対し、薬剤によって膨潤、分解、溶解等の変化を与える方法が挙げられる。特にアルカリ易分解性海成分を用いて成る極細繊維発生型繊維で短繊維不織布を作製し、次いで中性〜アルカリ性の水溶液で処理して極細化する方法は、溶剤を使用せず作業環境上好ましいことから、本発明の好ましい態様の一つである。ここでいう中性〜アルカリ性の水溶液とは、pH6〜14を示す水溶液であり、使用する薬剤等は特に限定されるものではない。例えば有機または無機塩類を含む水溶液で上記範囲のpHを示すものであれば良く、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミンや減量促進剤、キャリアー等を併用することもできる。中でも水酸化ナトリウムが価格や取り扱いの容易さ等の点で好ましい。さらにシートに上述の中性〜アルカリ性の水溶液処理を施した後、必要に応じて中和、洗浄して残留する薬剤や分解物等を除去してから乾燥を施すことが好ましい。
このようにして編物と積層するための不織布(A’)を製造することができる。
なお、極細化処理と高速流体流処理を同時に行う方法としては、例えば水可溶性の海成分からなる海島型繊維を用い、ウォータージェットパンチによって除去と絡合を行う方法、アルカリ分解速度の異なる2成分以上の海島型繊維を用い、アルカリ処理液を通して易溶解成分を分解処理した後に、ウォータージェットパンチによって最終除去および絡合処理を行う方法、等が挙げられる。
高速流体流処理としては、作業環境の点で水流を使用するウォータージェットパンチ処理を行うことが好ましい。この時、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流は、通常、直径0.06〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させることで得られる。かかる処理は、効率的な絡合性と良好な表面品位を得るために、ノズルの直径は0.06〜0.15mm、間隔は5mm以下であることが好ましく、直径0.06〜0.12mm、間隔は1mm以下がより好ましい。これらのノズルスペックは、複数回処理する場合、すべて同じ条件にする必要はなく、例えば大孔径と小孔径のノズルを併用することも可能であるが、少なくとも1回は上記構成のノズルを使用することが好ましい。特に直径が0.15mmを超えると極細繊維同士の絡合性が低下し、表面がモモケやすくなるとともに、表面平滑性も低下するため好ましくない。従ってノズル孔径は小さい方が好ましいが、0.06mm未満となるとノズル詰まりが発生しやすくなるため、水を高度に濾過する必要性からコストが高くなる問題があり好ましくない。また、厚さ方向に均一な交絡を達成する目的、および/または不織布表面の平滑性を向上させる目的で、好ましくは多数回繰り返して処理する。その水流圧力は処理する不織布の目付によって適宜選択し、高目付のもの程高圧力とすることが好ましい。さらに、極細繊維同士を高度に絡合させ、目的の引張強力や引裂強力、耐摩耗性等の物性を得るため、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが必要であり、15MPa以上であることが好ましい。また上限は特に限定されないが、圧力が上昇する程コストが高くなり、また、低目付不織布の場合は不織布が不均一になりやすく、繊維の切断により毛羽が発生する場合もあるため、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは30MPa以下である。こうすることによって、例えば極細繊維発生型繊維から得た極細繊維の場合、極細繊維が集束した極細繊維束が絡合しているものが一般的であるが、極細繊維束による絡合がほとんど観察されない程度にまで極細繊維同士が絡合した極細短繊維不織布を得ることができ、またこれにより耐摩耗性等の表面特性を向上させることもできる。なお、ウォータージェットパンチ処理を行う前に、水浸漬処理を行ってもよい。さらに表面の品位を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を相対的に移動させる方法や、交絡後に不織布とノズルの間に金網等を挿入して散水処理する等の方法を行うこともできる。また、高速流体流処理を行う前には、厚み方向に対して垂直に2枚以上にスプリット処理を行うことが好ましい。
本発明は、ニードルパンチにより絡合のしやすい繊維と高速流体流処理により絡合のしやすい繊維の相違に着目し、特に上記のようなプロセスにより製造することで、容易に本発明の優れた皮革用シート状物が得られることを見出したものである。すなわち、1〜10デシテックスの繊維が太い状態ではニードルパンチによる絡合が優れ、0.0001〜0.5デシテックスの極細領域では高速流体流処理による絡合が優れる傾向があることを利用したものである。従って例えば、1〜10デシテックスの状態で高速流体流処理を行う方法や、0.0001〜0.5デシテックスの状態でニードルパンチを行う方法は、使用するニードル針や高速流体流の圧力、不織布の繊維長や目付等にもよるが、一般に本発明の皮革用シート状物を得ることが困難になる。
また、編物(B)の製造方法は特に限定されるものではなく、必要とする組織に応じてそれに適した編機を使用することができる。編機としては、例えば横編機、丸編機、トリコット機、ラッセル機等があげられる。これにより得た編物(B)と不織布を積層する方法は、これらニードルパンチや高速流体流処理等の手段を用いた絡合による方法や、接着による方法の他、種々の方法を適宜単独または組み合わせて採用することができる。これらの内、ドレープ性に優れる点で絡合による方法が好ましく、編物を損傷させずに絡合できる点で高速流体流処理を用いることがより好ましい。
さらに、もう一つの不織布(C)を積層する場合、この不織布の製造方法は特に限定されず種々の用途に応じて適宜使い分けることが出来る。例えば、上述した不織布(A’)を重ねて積層することで、両面共に優れた耐摩耗性を得ることが可能となる。また低目付かつドレープ性を重視するため、抄造法により製造してもよい。また使用する素材としても、難燃性や静電性、抗菌性、消臭性等の機能を付与したものでもよい。
なお、不織布(A’)は積層する手段によって適宜その絡合度を調整することが好ましい。すなわち、絡合により不織布と編物を積層する場合、不織布(A’)自体の絡合度は低めにしておき、編物と重ねてから積層と絡合を同時に行うことが剥離強力や耐摩耗性を向上させる点で好ましい。例えば、不織布(A’)が主として極細繊維束が絡合した状態、すなわち上述の方法であればニードルパンチ処理後に極細化した不織布であることが好ましく、これに編物を積層してウォータージェットパンチにより積層、絡合した状態とする。一方、接着により不織布と編物を積層する場合、不織布(A’)自体の絡合強度は高めにしておくことが、耐摩耗性の点で好ましい。例えば、不織布(A’)が主として極細繊維同士が相互に絡合した状態としてから積層する。高速流体流を用いて積層する場合、不織布(A)の前駆体となる不織布(A’)と編物(B)を重ねた後、不織布(A’)側から処理することが好ましい。
また、不織布(C)を抄造法で製造する場合、あらかじめ準備した抄造法により製造されたウェブ(以下抄造ウェブと記す)と編物を積層し絡合する方法、編物上に抄造ウェブを一挙に形成させる方法等を採用することができ、可能であれば、一挙に積層シートを形成する方法がコスト的に好ましい。特に抄造ウェブを積層する場合、不織布(A)と編物(B)を積層した後に行うと密度上昇によって均一に積層することが困難になるので、先に抄造ウェブと編物(B)を積層した後、不織布(A)を積層することが好ましい。これらの積層によって、不織布単独では発現しにくいドレープ性の向上が期待できる。その後に高速流体流処理を行う。
抄造ウェブの製造方法は特に限定されないが、例えば繊維長0.1〜1cmの繊維を、水溶性樹脂等を含む水中で叩解し、0.0001〜0.1%程度の濃度で分散させた分散液を金網等に抄造して製造することができる。編物上に抄造ウェブを一挙に形成させる場合は、金網上に編物を置き、その上から抄造する方法によって製造することができる。
スエード調やヌバック調の立毛を有した皮革様シート状物を得る場合は、サンドペーパーやブラシ等による起毛処理を行うことが好ましい。かかる起毛処理は後述する染色の前または後、あるいは染色前および染色後に行うことができるが、染色後に行うとサンドペーパーやブラシに着色が生じるため、染色前に行うことが好ましい。また、後述する微粒子の付与後に行うこともできるが、立毛が出にくい傾向を示すことから、微粒子付与後に行うことが好ましい。
このようにして得られた積層シートは、ついで染色する。その方法は特に限定されるものではなく、用いる染色機としても、液流染色機の他、サーモゾル染色機、高圧ジッガー染色機等いずれでもよいが、得られる皮革様シート状物の風合いが優れる点で液流染色機を用いて染色することが好ましい。
また、主として繊維素材からなる皮革様シート状物において、表面の平滑性を向上させる、および/または半銀面調の表面を得る目的で、染色した後、0.1〜0.8倍に圧縮することもできる。
本発明においては、不織布に微粒子を付与することは耐摩耗性が向上できるため好ましい。微粒子を付与することによって、ドライ感やきしみ感等の風合いを与える効果を得ることもできる。この微粒子を付与する手段としては特に限定されるものではなく、パッド法の他、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等、適宜選択することができる。また柔軟剤を付与する場合も同様であり、コストの点からは微粒子と同時に付与することが好ましい。
なお、微粒子や柔軟剤は、好ましくは染色後に付与する。染色前に付与すると、染色時の脱落により効果が減少する場合や、染色ムラが発生する場合があるため好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)目付、繊維見掛け密度
目付はJIS L 1096 8.4.2(1999)の方法で測定した。また、厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、目付の値から計算によって繊維見掛け密度を求めた。
(2)マーチンデール摩耗試験
JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、製品面となる面を20000回の回数を摩耗した後の試験布の重量減を評価すると共に外観から毛玉の数を数えた。
(3)ドレープ係数、ノード数
JIS L 1096(1999)8.19.7 G法(ドレープ係数)に準じ、ドレープテスター(型式:YD−100、(株)大栄科学精器製作所製)を用い、JISに規定される「試料台を3回上下に振動させ」ることに替え、「試料台を2分間回転させ」る方法(該測定器標準使用方法)に変更して測定した。またノード数は、ドレープ係数の試験によって得た投影図からヒダの数を数えた、ノード数とした。なお、測定は表裏3回づつ行い、その平均値をこれらの値とした。
実施例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸積し、PVAの含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.046デシテックスの極細繊維を得た。次いで、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理して不織布(A)の前駆体である不織布(A’)を得た。ついで、33デシテックス12フィラメントのポリエステル繊維からなる44ゲージ、77g/mのダブル丸編(B)を重ねて、不織布(A’)側から0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で10MPaと20MPaで処理し、ついで編物側から10MPaで1回処理してPVAの除去とともに積層、絡合を行った。
次いでサンドペーパーにて起毛処理をし、液流染色機にて“Sumikaron Blue S−BBL200”(住化ケムテックス(株)製)を用い20%owfの濃度で、120℃、45分で染色した。得られた不織布を、柔軟剤(アミノ変性シリコーンエマルジョン“アルダックAN980SF”一方社株式会社製)と微粒子(コロイダルシリカ “スノーテックス20L”日産化学工業株式会社製、平均粒径0.04〜0.05μm:BET法)を含む水溶液に浸積し、コロイダルシリカが0.1%となるように絞った後、ブラッシングしながら100℃で乾燥させた。このようにして得られた不織布(A)と編物(B)で構成する皮革様シートは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、非常にドレープ性と充実感のある風合いであった。評価結果は表1に示した。
実施例2
繊維長が0.5cm、0.1デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維を用い、抄造法により20g/mの抄造ウェブを作製した。これを実施例1と同様の編物(B)に積層し、抄造ウェブの面から0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で5MPaと10MPaの圧力で処理し、編物(B)と不織布(C)の積層物を得た。次いで、実施例1と同様の不織布(A’)を編物(B)が中央になるように重ねて、不織布(A’)からウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で10MPaと20MPaの圧力で処理した。次いで、実施例1と同様に起毛、染色した後、柔軟剤と微粒子を付与して不織布(A)/編物(B)/不織布(C)からなる皮革様シート状物を得た。得られた皮革様シートは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、非常にドレープ性と充実感のある風合いであり、また裏面品位にも優れたものであった。評価結果は表1に示した。
実施例3
極限粘度が0.40と0.75のポリエチレンテレフタレートが1:1で並列型に貼りあわされた未延伸糸を通常の延伸機により延伸し、56デシテックス12フィラメントの複合糸を得た。これを1500T/mで撚をかけた後、28ゲージのトリコットとした。これを編物(B)とした以外は実施例1と同様に処理した。得られた皮革様シート状物は極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、また実施例1と比較してはりと充実感が増して良好な風合いとなった。評価した結果を表1に示した。
比較例1
繊維長が0.5cm、0.1デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維を用い、抄造法により60g/mの抄造ウェブを作製した。これを実施例1の不織布(A’)の代わりに用い、ウォータージェットパンチの圧力を5MPaと10MPaにした以外は実施例1と同様に処理して皮革様シート状物を得た。得られたものはドレープ性に優れていたが、耐摩耗性に劣るものであった。評価した結果を表1に示した。
比較例2
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のPVA12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸積し、PVAの含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.046デシテックスの極細繊維を得た。次いで、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理して不織布(A)の前駆体である不織布(A’)を得た。編物を積層せずに0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で10MPaと20MPaで両面とも処理し、PVAの除去とともに絡合を行った。
次いで実施例1と同様に起毛、染色、柔軟剤と微粒子の付与を行って皮革様シート状物を得た。得られたものは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、耐摩耗性と充実感に優れたものであったが、ドレープ性に劣るものであった。評価した結果を表1に示した。
比較例3
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温したPVAの12%水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸積し、PVAの含浸と同時に2分収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度0.046デシテックスの極細繊維とした後乾燥させた。次いでポリカーボネート系ポリウレタンのDMF溶液をポリウレタンが繊維重量に対し30%付与されるように含侵した後、水にて湿式凝固とPVAの除去を行った。
次いで実施例1と同様に起毛、染色、柔軟剤と微粒子の付与を行って皮革様シート状物を得た。得られたものは、極細繊維が相互に絡合した緻密な構造であり、耐摩耗性に優れたものであったが、ドレープ性に劣るものであった。評価した結果を表1に示した。
Figure 2006045699
本発明によれば、ポリウレタン付与量を大きく低減でき、又は全く使用することなく高品位で耐摩耗性が良好であり、かつドレープ性に優れた皮革様シート状物を提供できる。
これにより、特に薄地を中心としたドレープ性が要求される衣料に好適に用いることができる。

Claims (17)

  1. 単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックス、繊維長1〜10cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(A)と編物(B)が積層されてなることを特徴とする皮革様シート状物。
  2. 不織布(A)を構成する短繊維の繊維長が1.5〜8cmであることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状物。
  3. ドレープ係数が0.10〜0.50であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮革様シート状物。
  4. ノード数が5〜15であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  5. 微粒子が含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  6. 編物(B)が全重量の5〜50%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  7. さらに繊維長0.1〜1cmの極細繊維が相互に絡合した短繊維不織布(C)が積層されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  8. 短繊維不織布(A)がポリエステル繊維および/またはポリアミド繊維を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  9. 繊維を構成する素材がポリエステルまたはポリアミドであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  10. 実質的に繊維素材からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  11. 少なくとも一方の面が立毛を有していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  12. 目付が100〜350g/m、繊維見掛け密度が0.27〜0.50g/cm、であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  13. マーチンデール法における摩耗試験において、少なくとも一方の面において、20000回摩耗した時の摩耗減量が20mg以下であり、かつ毛玉の数が5個以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  14. 0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布とし、次いで編物と重ね合わせて少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って積層させ、その後に染色することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  15. 0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの短繊維をニードルパンチにより絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布としたものと、編物と、抄造ウェブを重ね、少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って積層し、その後に染色することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  16. 抄造ウェブと編物を積層して高速流体流処理によって絡合し、ついで短繊維不織布を積層して高速流体流処理を行って絡合することを特徴とする請求項15に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  17. 染色後に微粒子を付与することを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
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