JP2009079333A - 皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents

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悟 下山
Tomoyuki Horiguchi
智之 堀口
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健太郎 梶原
Katsufumi Yanai
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Abstract

【課題】ニードルパンチ不織布を高速流体処理して得られる皮革様シート状物の目付バラツキ抑制方法を提供せんとするものである。
【解決手段】平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合繊維を極細化処理した後の目付が100g/m以上の不織布からなる皮革様シート状物の製造方法であって、前記複合繊維を用いて複合繊維不織布を製造し、ついで研削処理により、目付バラツキを10%未満にした後、高速流体処理を行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、目付バラツキが少なく、耐摩耗性に優れた皮革様シートの製造方法に関する。
極細繊維からなる不織布と高分子弾性体を主体とする人工皮革は、本革に比べて取り扱いが容易であることから、衣料、カーシート、家具、雑貨など幅広い用途に用いられるなど、生活に身近なものとなってきている。これら人工皮革に用いられる不織布は主に、ニードルパンチ法、スパンボンド法、抄造法などで製造されており、不織布の製法とその後の製革工程の組合により、各社から種々の製品が上市されている。
例えば、極細繊維を直接紡糸法により得た極細繊維を抄造法により抄造不織布とし、高速水流で繊維を交絡させた後にバフィングし、ポリウレタンエマルジョンを含浸することで得られる人工皮革は、軽量かつ目付ムラのない均一な品位のものを得やすいが、繊維長が短いため、摩擦により繊維が脱落しやすく、耐摩耗性を向上することが難しいという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
また、極細繊維発生型繊維の単繊維を用い、カードやクロスラッパーを用いてウェブとし、さらにニードルパンチを行うことによって不織布とし、極細繊維発生型繊維を極細処理後にバインダーとしてポリウレタンを含浸し、バフィングを用いることにより得られる人工皮革では、耐摩耗性には優れるものの、バインダーを多量に使用するため軽量化が難しく、風合いがゴムライクになりやすいという問題があった(例えば、特許文献2参照)。
一方、極細化処理したニードルパンチ不織布にウォータージェットパンチを行い、バフィングすることによってウレタン使用量を減らす方法が検討されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、ポリウレタンなどの高分子弾性体の使用量を減らすことができるため、風合いが柔らかい人工皮革が得られるが、ニードルパンチ不織布は抄造不織布に比べて目付バラツキが大きくなりやすいため、製品の目付制御が難しいという課題があった。
特公平6−55999号公報 特開2003−89985号公報 特開2006−70423号公報
本発明の課題は、ニードルパンチ不織布を高速流体処理した皮革様シートの目付バラツキ抑制方法を提供せんとするものである。
前記した課題を解決するため本発明は以下の構成を有する。すなわち、
1.平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合繊維を極細化処理した後の目付が100g/m以上の不織布からなる皮革様シート状物の製造方法であって、前記複合繊維を用いて複合繊維不織布を製造し、ついで研削処理により、目付バラツキを10%未満にした後、高速流体処理を行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
2.複合繊維不織布がニードルパンチ処理により得られることを特徴とする前記1に記載の皮革様シート状物の製造方法。
3.複合繊維不織布が織編物と一体化されていることを特徴とする前記2に記載の皮革様シート状物の製造方法。
4.研削処理の前に複合繊維を極細化することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
5.高速流体処理を10MPa以上の圧力で複数回行うことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
6.高速流体処理後、さらに起毛処理を行うことを特徴とする前記1〜5に記載の皮革様シート状物の製造方法。
7.起毛処理後、水系高分子エマルジョンを付与することを特徴とする前記6に記載の皮革様シート状物の製造方法。
上述した本発明の製造方法によれば、複合繊維を極細化処理した後の目付が100g/m以上の不織布からなる皮革様シート状物を製造する場合において、目付バラツキを抑制でき、表面の起毛状態と耐摩耗性が均一である、衣料用素材やシートの表皮材として好適である皮革様シート状物を提供することができる。
本発明の皮革様シート状物の製造方法は、単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合繊維を用いて複合繊維不織布を製造し、ついで研削処理した後に高速流体処理を行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法である。
本発明の皮革様シート状物の製造に用いられる複合繊維不織布は特に限定されるものではなく、ニードルパンチ法、メルトブロー法、スパンボンド法により得られた不織布および、メルトブロー法やスパンボンド法で得られたウェブをニードルパンチした不織布など、乾式法で作製した不織布を用いることができる。特に、短繊維をカードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて作製したウェブをニードルパンチすることにより得られる複合繊維不織布は、高目付のものを得やすく、メルトブロー法やスパンボンド法で得られる不織布よりも寸法安定性に優れるため好ましい。一方、抄造法によって得られる抄造不織布を用いた場合には、繊維長が短いため、得られる皮革様シートは摩擦によって繊維が脱落し易くなるため好ましくない。
なお、該複合繊維不織布を構成する繊維としては、平均単繊維繊度が0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合繊維であることが重要である。複合繊維の繊度が1〜10デシテックスから外れる場合は、ニードルパンチによる繊維絡合が進み難くなるため好ましくない。また、複合繊維を極細化処理することにより発生する繊維の平均単繊維繊度が0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維であることは、後述する高速流体処理により繊維が絡合しやすく、耐摩耗性に優れ、天然皮革のような風合いと表面感の皮革様シート状物を得ることができため好ましく、平均単繊維繊度が0.001〜0.3デシテックスであることはより好ましく、0.005〜0.2デシテックスであることがさらに好ましい。一方、平均繊維繊度が0.0001デシテックス未満であると最終製品の強度が低くなることや、染色を行った場合に濃色が得にくくなる。また、平均単繊維繊度が0.5デシテックスを越えると、高速流体処理で繊維が絡合しにくく耐摩耗性が低下する傾向にあることや、高級な外観を得にくくなるため好ましくない。ただし、本発明の目的を損なわない範囲であれば、平均単繊維繊度が0.0001デシテックス未満の繊維もしくは0.5デシテックスを越える繊維が含まれていてもよい。
極細繊維に用いられるポリマーは特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンなど適宜用途に応じて使用することができるが、染色性や強度の点で、ポリエステル、ポリアミドであることが好ましい。
ポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体およびジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、極細繊維発生型繊維として用いることが可能なものであればよく、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTと略記する)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記する)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明では、中でも、最も汎用的に用いられているPETまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用することができる。
ポリアミドとしては、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12などのアミド結合を有するポリマーを採用することができる。
複合繊維から極細繊維を発生させる方法としては、例えば海島型繊維を用いて海成分を除去する方法、分割型繊維を分割して極細化する方法などの手段を例示することができる。ここでいう海島型繊維としては、2成分以上の成分を任意の段階で複合、混合して海島状態とした繊維を用いることができる。この繊維を得る方法としては、特に限定されず、例えば、
(A)2成分以上の異種のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、
(B)予め2成分以上の異種のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、
(C)溶融状態の2成分以上の異種のポリマーを紡糸機のパック内で静止混練器などを用い混合する方法、
(D)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報などに記載の口金を用いて製造する方法、などが挙げられる。
本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することができるが、ポリマーの選択が容易である点で(D)の方法が好ましく採用される。かかる(D)の方法において、海島型繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば、丸、多角、Y、H、X、W、C、π型などが挙げられる。また、用いるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性を考慮すると2〜3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。またこのときの成分比は、島繊維の海島型繊維に対する重量比で0.3以上であることが好ましく、0.4以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。また、0.99以下であることが好ましく、0.97以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。0.3未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また0.99を越えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
海島型繊維で極細繊維を得る場合、その島成分が目的とする極細繊維になる。島成分に用いるポリマーは特に限定されず、繊維化が可能なものを適宜選択して使用することができるが、本発明で好ましく用いられるのは上述したポリエステルやポリアミドである。また、海成分として用いるポリマーは、島成分と相溶しないものであれば特に限定されるものではないが、島成分のポリマーよりも使用する溶剤や薬剤に対し溶解性、分解性の高い化学的性質を有するものであることが好ましい。島成分を構成するポリマーの選択にもよるが、例えばポリエチレンやポリスチレンなどのポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールもしくはその共重合体、特開昭61−29120号公報、特開昭63−165516号公報、特開昭63−159520号公報、特開平1−272820号公報などに記載されている熱水可溶性ポリエステルなどの熱水可溶性ポリマー、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸などを共重合したポリエステルなどを用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点では熱水可溶性ポリマーやスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。かかる共重合比率としては、処理速度、安定性の点から5モル%以上、重合や紡糸、延伸のしやすさから20モル%以下であることが好ましい。
海島型繊維を用いて乾式不織布を得る際、島成分と海成分の好ましい組み合わせとしては、島成分にポリエチレンテレフタレート、海成分にポリスチレンまたはスルホン基を有する共重合ポリエステルを用いるものである。これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子などの無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤など、種々目的に応じて添加することもできる。
このようにして紡出したポリマーは、延伸、結晶化することができ、例えば未延伸糸を引き取った後、湿熱または乾熱、あるいはその両者によって1〜3段延伸することができる。なお、分割型繊維を用いる場合は、主に口金内で2成分以上を複合し、上述の海島型繊維の製造方法に準じて行うことができる。
上述の方法などにより得られた複合繊維の延伸を行った後、12〜16個/25mmの捲縮を付与し、30mm〜80mmにカットして短繊維を得る。その後、カードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて作製したウェブ、または、メルトブロー法やスパンボンド法で紡糸した複合繊維をネット上に捕集したウェブを針本数が500〜5000本/cmとなるようにニードルパンチ処理し、複合繊維からなる不織布を得る。複合繊維の状態での不織布の目付は、海島成分の海成分の割合により調整することが可能であるが、複合繊維を極細化処理した後の目付が100〜300g/mとなるように不織布を作製することが好ましく、100〜200g/mであることがさらに好ましい。次いで、不織布を熱水浴中などを通過させて湿熱により不織布を収縮させ、カレンダーロールなどによりプレスを行う。プレスを行うことで、表面が平滑で緻密な不織布が得られ、最終的に得られる流体交絡不織布の品位を向上させることができる。また、熱水浴の代わりにポリビニルアルコール水溶液の浴中で不織布を収縮させる方法は、収縮と同時にポリビニルアルコールを付与でき、海成分除去時の伸びを抑制する強度保持材として使用できるため好ましい。
本発明においては、複合繊維を極細化処理した後の目付が100g/m以上であるため、目付バラツキを抑制し、表面の起毛状態と耐摩耗性が均一である皮革様シート状物を得るには、高速流体処理を行う前に不織布の表面を研削処理することが重要である。通常、研削処理を行うことは、工程が複雑となるため、好ましいことではない。しかしながら、複合繊維を極細化処理した後の目付が100g/m以上である場合には、研削工程を設けることにより、目付バラツキを低下させることが可能である。特に、乾式法で得られる不織布は、抄造法で得られる不織布に比べて目付のバラツキが大きくなる傾向にあるため、本発明を適用することが好ましい。そのため、目付バラツキを改善し、製品の品位を向上させるために、エメリーペーパーなどで表面を研削し、目付バラツキを低減させて表面状態の均一化および表面繊維の起毛処理を行う。しかし、不織布の高目付部分では低目付部分に比べて不織布が厚いため、高目付部分が優先的に削られてしまい、高目付部分と低目付部分との起毛状態が異なるものとなる。また、高速流体処理後に研削を行った場合は、絡合した繊維層が削り取られ、研削量が多い程耐摩耗性が低下する傾向にある。そのため、高速流体処理前に不織布を研削して事前に目付バラツキを低減しておくことで、高速流体処理後、研削処理による状態が偏らなくなるため、絡合した繊維層を十分に残すことができ、本発明の効果を達成することができるのである。
不織布の研削処理方法としては特に限定されるものではないが、粒度が150〜600のエメリーペーパーによるバフィングが好ましい。粒度が150未満であると、研削量が多くなる傾向にあるためコントロールが難しく、粒度が600を超えると研削量が少なくなり、研削効率が低下することや目詰まりしやすくなるため好ましくない。
また、高速流体処理前の研削処理により、研削後の目付バラツキを10%未満とすることが好ましく、8%未満であることがより好ましく、5%未満であることがさらに好ましい。
ここでいう、目付バラツキは次の方法で求めることができる。まず、不織布からタテ方向に90cm、ヨコ方向に全幅の大きなピースを採り、次に、このピースから全幅に渡ってタテ15cm、ヨコ15cmの大きさのピースを複数カットし、それぞれのピースの重量を小数点3桁まで測定し、四捨五入して小数点2桁とし、各ピースの目付を次の式1より求める。
Ms=M/S・・・(式1)
ここで、Ms:ピースの目付(g/m)、M:ピースの重量(g)、S:ピースの面積(m
次いで、得られた各ピースの目付から平均値を求め、四捨五入して有効数字を小数点1桁にした値を不織布の平均目付とする。目付バラツキは次の式2により求められ、四捨五入により有効数字を小数点1桁にした値のことである。
Mw=(Max−Min)/Msav×100・・・(式2)
ここで、Mw:目付バラツキ(%)、Msav:平均目付(g/m)、Max:採取したピース中の目付の最大値(g/m)、Min:採取したピース中の目付の最小値(g/m
例えば、研削後の不織布の平均目付が300g/mであり、各ピースの目付の最大値が330g/m、最小値が290g/mである場合、目付バラツキは13.3%であるため、本発明の目的を達成するには再度研削処理を行い、目付バラツキを10%未満にする必要がある。
研削処理後、平均目付からの目付バラツキが10%を超える場合、高速流体処理後の起毛処理で研削量が偏り、高目付の部位で耐摩耗性が低下してしまうためよくない。なお、エメリーペーパーの粒度や回転速度、エメリーペーパーと不織布とのクリアランスなどを適宜調整することにより研削量を容易に変更することができ、目付バラツキをコントロールする事が可能である。
また、本発明の皮革様シート状物の製造方法において、高速流体処理する前に研削処理する複合繊維不織布が、不織布と織物あるいは編物(これらを総称して織編物という)をニードルパンチにより一体化した複合不織布であることは、目付がバラツキやすい不織布の比率を減らすことができる点や、研削処理時、複合繊維の極細処理時または高速流体で処理する際に工程張力による変形を抑制できる点で好ましい。織編物は不織布に比べて目付のバラツキが少ないため、例えば、目付が300g/mの皮革様シート状物を製造する際、織物が占める目付の比率を上げることで、目付バラツキを抑制することができる。
本発明に用いることができる織編物は特に限定されるものではないが、目付は、好ましくは30〜200g/m、より好ましくは50〜150g/mである。また、通気量は、好ましくは150cc/cm/sec以上、より好ましくは250cc/cm/sec以上である。織編物の目付が30g/m未満であると、織編物が目ズレしやすくなり取り扱いが困難になるため好ましくない。また、目付が200g/mを越えたり、通気量が150cc/cm/sec未満であると、高速流体処理時の通水性が低下し、処理面に水が溜まりやすく、水が溜まった状態でさらに流体処理を行った場合、繊維の絡合効率が低下して耐摩耗性が低下するため好ましくない。織編物の通気量の上限は特に限定されるものではないが、通気量が1500cc/cm/secを越えると織編物が目ずれしやすく取り扱い性が低下する傾向があるため、通気量1500cc/cm/sec以下の織編物を用いることが好ましく、700cc/cm/sec以下である織編物を用いることがより好ましい。
本発明に用いる織編物の組織や製造方法は特に限定されるものではなく、織物であれば平織、綾織、朱子織など、編物の場合は、丸編、トリコット、ラッセルなどを挙げることができ、必要とする組織に応じてそれに適した織機や編機を使用することができる。織機としては、例えばエアージェット織機やウォータージェット織機、フライシャトル織機、編機としては、例えば横編機、丸編機、トリコット機、ラッセル機などにより作成することができる。
また、高速流体処理する前に研削する不織布が、複合繊維の極細化処理後の不織布であることは、複合繊維の状態よりも研削処理の効率が向上することや、研削処理後に極細化処理するよりも目付バラツキを把握しやすくなるため好ましい。複合繊維の極細化処理方法としては、海島型複合繊維の場合であれば、海成分を熱水や薬剤によって膨潤、分解、溶解などによって除去することが可能である。例えば、海成分がポリスチレンである場合はトリクロロエチレン、ポリエチレンであればトルエン、ポリエステルの場合は水酸化アルカリ水溶液などの浴に不織布を浸漬することにより、極細化処理を行うことができる。また、極細化処理する際に複合繊維不織布にカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物を含浸しておくことは、研削処理や複合繊維の極細処理や高速流体処理する際に工程張力によるタテ伸びを抑制することができるため好ましい。
また、含浸した水溶性の高分子化合物は高速流体処理により容易に除去することが可能である。水溶性高分子化合物の含浸方法は特に限定されるものではなく、例えば水溶性高分子化合物の水溶液が満たされた浴の中に不織布を浸漬後、マングルで絞り、乾燥機で乾燥させる含浸法などを用いることができる。
本発明の皮革様シートの製造方法において、不織布の研削により目付バラツキを10%以内にした後、高速流体処理を行うことが重要である。高速流体による処理は不織布の繊維同士を3次元的に絡合させる効果が高く、この処理により繊維の絡合構造が高度に形成された場合は、摩擦されても繊維が引き出され難くなるため、高い耐摩耗性を得ることができる。その結果、本発明の目的である目付バラツキを抑制した、表面の起毛状態と耐摩耗性が均一な皮革様シート状物を得ることができるのである。
高速流体処理としては、流体として安価であり、作業環境の面で特別な装置がいらない点で、水流を使用するウォータージェットパンチ処理が好ましい。その際、少なくとも10MPa以上の圧力で複数回繊維を絡合処理することが好ましく、15MPa以上で処理することがより好ましく、20MPa以上で処理することがさらに好ましい。10MPaより低い圧力のみで高速流体処理を行った場合は、不織布の繊維を絡合させる効果が低下し、耐摩耗性に優れた皮革様シートを得ることが難しい。高速流体処理の圧力の上限は特に限定されるものではないが、高圧であるほど流体の使用量が増大しコストアップにつながるため、圧力は50MPa以下であることが好ましい。また、不織布の目付が300g/m以上である場合も高速流体処理による繊維の絡合効果が低下するため、不織布の目付が高い場合は研削前または研削後に、必要に応じて不織布の厚み方向にスライス処理を行うことが好ましい。また、不織布を極細化処理しておくことで流体による処理時の繊維の絡合効果を向上することができるため、高速流体処理前にあらかじめ複合繊維不織布を極細化処理しておくことが好ましい。高速流体処理に用いるノズルは、孔径が大きく、ピッチが広いノズルを用いた場合は、高速流体処理により形成される凹凸スジが目立ち、また繊維の絡合構造が十分に形成されないため、孔径が0.05〜0.14mm、ピッチが0.2〜0.8mmであるノズルを用いることが好ましい。また、噴射孔が1列で配置されていても複数列でも良いが、噴射孔が複数列に配置されている場合は、各噴射孔が重なっているよりも、重ならないように千鳥状に斜めに配列されていることが好ましい。
また、高速流体による処理時に不織布と支持体の間に織編物を挿入し、不織布の繊維を織編物に貫通させ、不織布と織物を一体化することは、形体保持性を向上できるため好ましい。ここでいう支持体とは、高速流体処理装置に付随し、処理を行う基布を高速流体直下に搬送するための装置のことであり、ネットコンベアーやメッシュ状の金属シリンダーなどを用いることができる。また、ネットコンベアーや金属シリンダーのメッシュは特に限定されるものではない。高速流体処理時に挿入される織編物が、2以上の異種のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または、2以上の異種のポリエステル系重合体が偏心芯鞘型に配置された複合繊維により構成され、JIS L 1096(1999)8.14.1 A法で規定される伸長率がタテ方向およびヨコ方向共に15〜40%であることは、不織布と一体化することで好ましい着用感と成形性を付与できるためさらに好ましい。伸長率が15%未満であると動きへの追従性が不足し、伸長率が40%を超えると工程張力で伸びてしまい、織編物に皺が生じるなど取り扱いが難しくなる傾向がある。ここでいうポリエステル系重合体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリマーを用いることができる。また、2以上の異種のポリエステルとしては、物理的および/または化学的性質が異なる2種以上のポリエステルを用いることを意味する。すなわち、2以上の異種のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合されたとは、物理的および/または化学的性質が異なる2以上のポリエステルが、繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合されていることを意味する。これにより、物理的または化学的要因によって、複合繊維にコイル形状の捲縮を発現させることができる。捲縮発現が容易である点で、熱収縮性の異なるポリエステルを2以上使用することが好ましい。これにより、複合繊維を熱水浴中などでリラックス処理することによって、容易に捲縮を発現させることができる。複合繊維に捲縮を発現させることにより、伸縮性を有する繊維を得ることができる。
熱収縮性の異なるポリエステルとしては、例えば、ポリマーの重合度が異なるもの、異なるポリマーをブレンドしたものなどが挙げられる。本発明においては、特に反発感が優れる皮革様シートが得られる点で、極限粘度が0.35〜0.45の低粘度ポリエステルと極限粘度が0.65〜0.85の高粘度ポリエステルとが複合された複合繊維が好ましい。この場合、一般に高粘度ポリエステルの方が、低粘度ポリエステルよりも、熱収縮性が高くなる。低粘度ポリエステルの極限粘度が0.35未満であると紡糸安定性が低下するため好ましくない。また低粘度ポリエステルの極限粘度が0.45を超えると、皮革様シートの反発感が低下するため好ましくない。また高粘度ポリエステルの極限粘度が0.85を超えると紡糸安定性が低下するため好ましくない。高粘度ポリエステルの極限粘度が0.65未満であると、熱収縮性が近くなるため、複合繊維の捲縮発現が弱く皮革様シートのストレッチ性が低下するため好ましくない。
ストレッチ性と反発感に優れる皮革様シートを得るために、低粘度ポリエステルと高粘度ポリエステルの極限粘度差は、0.20〜0.40の範囲が好ましい。なお、極限粘度[η]は、温度25℃においてオルソクロロフェノール溶液として測定した値を用いる。 また、2種類以上のポリエステル系重合体の複合比率は、製糸性および捲縮を発現させた際の繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:低収縮成分=75:25〜35:65(重量%)の範囲が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ましい。
複合繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型および偏心芯鞘型のいずれでもよいが、織編物にして捲縮を発現させた際、伸長性の他に反発感が得られる点でサイドバイサイド型が好ましい。
複合繊維の平均単繊維繊度は、特に限定されるものではないが、1〜15デシテックスであることが好ましい。1デシテックス未満であると繊維が切れやすく、15デシテックスを超えると不織布と一体化した際に風合いが硬くなる傾向があるため好ましくない。
また上記繊維を用いて、伸長率が15〜40%の織編物を得るには、例えば次の式3で表される撚係数Kが3500〜15000となるように撚りを加えた複合糸を用いて織編物を作製し、この織編物を熱水中でリラックス処理し、タテ方向およびヨコ方向に30%程度収縮させて捲縮構造を発現させることで達成することができる。
K=t×d0.5 ・・・(式3)
ここで、K:撚係数、t:糸長さ1m当たりの撚数(回)、d:糸の繊度(デシテックス)のことである。
このような織編物の目付は、不織布の用途に合わせ適宜調整することができるが、織編物の目付は、30〜200g/mであることが好ましい。織編物の目付が30g/m未満であったり、200g/mを超えると着用感向上の効果が得難い傾向にある。
また、織編物と抄造不織布を先に高速流体で処理して一体化させておき、不織布と支持体の間に挿入して、さらに高速流体による処理を行うことにより、織編物が露出することを防ぐことができ、高級感のある皮革様シート状物を得ることができるため好ましい。
本発明の皮革様シート状物の製造方法において、高速流体処理を行った後に起毛処理を行うことは、高速流体処理により生じた凹凸スジが軽減されて表面が均一となり、スエード調あるいはヌバック調の皮革様の外観と優れたライティングエフェクトが得られるため好ましい。起毛処理としては、特に限定されるものではないが、不織布の面を粒度が300〜1000のエメリーペーパーによりバフィングして起毛処理することが好ましい。起毛処理に用いるエメリーペーパーの粒度が300未満であると、繊維が切断されやすいため、立毛長が長く、荒々しい外観となりやすく、高級な表面品位を得難い。粒度が1000を超えるエメリーペーパーによる処理では起毛効率が低下する傾向にある。
また、起毛処理後にバインダーとして水系高分子エマルジョンを付与することにより、皮革様シート状物の耐摩耗性を著しく向上することができるため好ましい。水系高分子エマルジョンは特に限定されるものではないが、水系ポリウレタンであることが好ましい。水系高分子エマルジョンの付与量を増やすことで、耐摩耗性をより向上させる効果が得られるが、風合いが硬くなる傾向にあり、また、付与量が少なければ耐摩耗性向上の効果が低いため、水系高分子エマルジョンは乾燥後に不織布の重量に対して1〜10%の固形分が付着するように付与することが好ましく、固形分が3〜6%付着することがより好ましい。水系高分子エマルジョンの付与方法は特に限定されず、スプレーで噴射する方法や水系高分子エマルジョン浴に浸漬後マングルで絞るなどの方法で付与することができ、付与後は、スチームによる湿熱凝固や乾燥機での乾燥を行う。乾燥後、サンディングロールなどで擦過することにより、高分子により接着された起毛のサバケが良くなるため好ましい。
また、本発明では、水系高分子エマルジョンを乾燥後、液流染色機で染色することが好ましい。染色されることにより皮革様の高級感が得られるだけでなく、液流染色機で揉むことで、ソフトな風合いの皮革様シート状物を得ることができる。
なお、本発明の皮革様シート状物には、柔軟剤、帯電防止剤、吸水剤、撥水剤、SR剤などの機能性薬剤を付与することができ、柔軟性や耐摩耗性の向上や機能性を加えることができるため好ましい。薬剤の付与方法は特に限定されるものではなく、例えば液流染色機の浴中での付与や染色後にパッド・ドライ法などにより、付与することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、「部」は「重量部」の意味である。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)平均単繊維繊度および平均繊維直径の測定
不織布および織編物の作製に使用した繊維の断面を光学顕微鏡にて観察した。繊維断面を100個ランダムに選んで断面を測定し、100個の繊維断面積および繊維直径の数平均を求めた。求められた繊維断面積の平均値と繊維の比重から、平均単繊維繊度を計算により求めた。なお、繊維の比重はJIS L 1015 8.14.1(1999)に基づいて測定した。求められた繊維直径を平均繊維直径とした。また、異型断面の繊維については、求められた断面積と同じ断面積を有する円形断面の繊維の直径を異型断面の平均繊維直径とした。
(2)不織布の平均目付および目付バラツキ
不織布の平均目付は、まず、不織布からタテ方向に90cm、ヨコ方向に全幅の大きなピースを採り、次に、このピースから全幅に渡ってタテ15cm、ヨコ15cmの大きさのピースを複数カットし、それぞれのピースの重量を小数点3桁まで測定して四捨五入して下2桁にして、各ピースの目付を次の式1より求める。
Ms=M/S・・・(式1)
ここで、Ms:ピース目付(g/m)、M:ピースの重量(g)、S:ピースの面積(m
次いで、各ピースの目付の平均値を求め、四捨五入により有効数字を小数点下1桁にした値を不織布の平均目付とした。
目付バラツキは次の式2により求められ、四捨五入により有効数字を小数点下1桁にした値のことである。
Mw=(Max−Min)/Msav×100・・・(式2)
ここで、Mw:目付バラツキ(%)、Msav:平均目付(g/m)、Max:採取したピース中の目付の最大値(g/m)、Min:採取したピース中の目付の最小値(g/m
(3)密度
厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、平均目付の値を厚みの値で割り、四捨五入により有効数字を小数点下3桁にした値を密度とした。
(4)抄造不織布および織編物の目付
抄造不織布および織編物の目付は、JIS L 1096 8.4.2(1999)に記載された方法で測定し、小数点下一桁を四捨五入した。
(5)通気量
織編物の通気量はJIS L 1096 8.27.1 A法(1999)に基づいて測定し、小数点下一桁を四捨五入した。
(6)伸長率
JIS L 1096(1999)8.14.1 A法に基づいて測定し(つかみ間隔20cm)、小数点下一桁を四捨五入した。
(7)耐摩耗性
流体交絡不織布の製品面を起毛して染色を行った後、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)に準じて試験片を採取し、衣料用(9kPa)荷重にて製品面を摩擦した。なお、マーチンデール摩耗試験機のポジション設定はC(THREE DRIVE ROLLERS=POSITION C)で行った。
耐摩耗性の評価は、20000回摩擦したところで試験機を止め、試験後の製品面の外観を○〜×の3段階で評価した。○〜×は次の内容で判定した。
○:「耐摩耗性が優れている」
立毛状態変化無し、ピリングが1個以下、織編物露出無し
△:「耐摩耗性がやや劣る」
2〜4個の小さいピリング有り、織編物露出無し
×:「耐摩耗性が劣る」
5個以上のピリング有、または織編物露出有り。
製造例1(抄造不織布の作製)
0.3デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維を長さ0.5cmにカットし(アスペクト比は962)、抄紙法により30g/mの抄造維不織布を得た。
製造例2(織物1の作製)
極限粘度が0.40のポリエチレンテレフタレートからなる低粘度成分と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフタレートからなる高粘度成分とを重量複合比50:50でサイドバイサイドに貼りあわせて紡糸および延伸し、56デシテックス12フィラメントの複合マルチフィラメント繊維糸を得た。これを1500T/m(撚係数11225)で追撚して、65℃でスチームセットを行った。この糸をタテ糸とヨコ糸に用い、織組織を平織とし、94×64本/2.54cmの織密度で製織した。この織物を98℃で精練した後、110℃で液流染色機を用いてリラックス処理を行い、織密度が122×87本/2.54cm、目付が64g/m、通気量330cc/cm/secの織物1を得た。
実施例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる平均単繊維繊度3デシテックス、36島、平均繊維長51mmの海島型複合短繊維を、カード機およびクロスラッパーに通してウェブを作製した。得られたウェブを、1バーブ型のニードルを用いて、3000本/cmの打ち込み密度でニードルパンチ処理し、繊維見掛け密度0.199g/cmの複合短繊維不織布を得た。該複合単繊維不織布に95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)を12重量%含む水溶液に2分間浸積し、PVAを不織布に、不織布重量に対し固形分換算で15%の付着量になるように含浸させると同時に収縮処理を行った。その後、不織布を100℃にて乾燥して水分を除去した。次いで、この複合短繊維不織布をトリクロロエチレンでポリスチレンが完全に除去されるまで処理することにより、複合短繊維から平均単繊維繊度0.046デシテックスの極細繊維を発現させた。これにより得られた極細短繊維不織布を、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理して、平均目付134g/m、密度0.262g/cm、目付バラツキが15.3%の極細繊維不織布を得た。この極細繊維不織布を粒度320のエメリーペーパーにて研削し、平均目付128g/m、目付バラツキ9.3%の不織布を得た。
製造例2で作成した織物の上に製造例1で作製した抄造不織布を重ね、孔径が0.12mm、ピッチが0.6mmのノズルを装着したヘッドを3台有するウォータージェットパンチ装置から8MPaの水圧で水流を噴射し、加工速度7m/分で抄造不織布面からウォータジェットパンチ処理した。続いて乾燥を行い、織物と抄造不織布が絡合一体化したシート作製した。このシートを抄造不織布を載せた側を下にして置き、その上に研削後のニードルパンチ不織布を置き、上記のウォータージェットパンチ装置にて表1の条件でウォータージェットパンチ処理を行った。
その後、反を裏返して抄造不織布側から表2の条件でウォータージェットパンチ処理を行った。
Figure 2009079333
Figure 2009079333
このようにして得られたシートのニードルパンチ不織布面を粒度320のエメリーペーパーにてバフィングしたところ、表面が均一に起毛されたシートが得られた。
次いで、起毛処理を行ったシートに水系ウレタン樹脂(“エバファノール AP12”日華化学株式会社製)を含む水溶液に浸漬し、マングルで液を絞った後、130℃で2分間乾燥を行った。乾燥後、重量を測定した結果、水系ウレタン樹脂付与前に比べ4%重量が増加していた。水系ウレタン樹脂付与後、ニードルパンチ不織布面を、粒度600のエメリーペーパーにて起毛処理した。
その後、液流染色機にて“Sumikaron Blue S−BBL200”(住化ケムテックス(株)製)を用い20%owfの濃度で、120℃、45分、液流染色機にて染色した。なお、染色により、タテ方向に12.0%、ヨコ方向に3.1%収縮していた。
次いで、柔軟剤(“ベビナーS783”丸菱油化工業株式会社製)と帯電防止剤(“シルスタット1173”三洋化成工業株式会社)を含む水溶液に浸積し、マングルで絞った後、ブラッシングしながら100℃で乾燥させた。
このようにして得られた皮革様シート状物は、表面が均一であり、幅方向に渡って耐摩耗性が均一なものであった。
また、該皮革様シート状物の伸長率はタテ12.1%、ヨコ13.0%とストレッチ性にも優れたものであった。評価結果を表3に示した。
実施例2
実施例1のウォータージェットパンチ処理前の極細繊維不織布を粒度320のエメリーペーパーにて研削し、平均目付124g/m、目付バラツキ4.1%の不織布とした以外は同様に処理し、皮革様シート状物を得た。このようにして得られた皮革様シート状物は、実施例1同様に表面が均一かつ、幅方向に渡って耐摩耗性が均一なものであった。
評価結果を表3に示した。
比較例1
実施例1のウォータージェットパンチ処理前の極細繊維不織布を研削しない以外は同様に処理し、皮革様シート状物を得た。このようにして得られた皮革様シート状物は、反の端の起毛がロングナップになっており、幅方向に渡って耐摩耗性を測定したところ、ロングナップ部の耐摩耗性が低いものであった。
評価結果を表3に示した。
比較例2
実施例1のウォータージェットパンチ処理前の極細繊維不織布を粒度600のエメリーペーパーにて研削し、平均目付132g/m、目付バラツキ12.1%の不織布とした以外は同様に処理し、皮革様シート状物を得た。このようにして得られた皮革様シート状物は、比較例1と同様に反の端の起毛がロングナップになっており、幅方向に渡って耐摩耗性を測定したところ、ロングナップ部の耐摩耗性が低いものであった。
評価結果を表3に示した。
Figure 2009079333
本発明によれば、目付バラツキが少なく、表面の起毛状態が均一である、耐摩耗性に優れた皮革様シート状物が得られ、衣料素材、カーシートの表皮材、家具、雑貨などの用途に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 平均単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な1〜10デシテックスの複合繊維を極細化処理した後の目付が100g/m以上の不織布からなる皮革様シート状物の製造方法であって、前記複合繊維を用いて複合繊維不織布を製造し、ついで研削処理により、目付バラツキを10%未満にした後、高速流体処理を行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  2. 複合繊維不織布がニードルパンチ処理により得られることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  3. 複合繊維不織布が織編物と一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  4. 研削処理の前に複合繊維を極細化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
  5. 高速流体処理を10MPa以上の圧力で複数回行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
  6. 高速流体処理後、さらに起毛処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
  7. 起毛処理後、水系高分子エマルジョンを付与することを特徴とする請求項6に記載の皮革様シート状物の製造方法。
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