JP2006066007A - スピンコート方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光ディスク作製用基板に、均一膜厚で塗膜欠陥の少ない色素記録層を容易に形成することができるスピンコート装置を提供する。
【解決手段】色素記録層を回転塗布により基板上に形成する際、余分な塗布液が基板面に付着するのを防止するための塗布液捕捉用部材として、倒立円錐状の跳ね返り防止リング100を塗布液飛散防止壁30の内側に、所定の態様で2段(100a,100b)に配備するとともに、塗布液飛散防止壁30内の気体を排気するための排気手段を設ける。回転塗布時の余分な塗布液が塗布液飛散防止壁30で跳ね返っても、これを跳ね返り防止リング100で捕捉することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピンコート方法及び装置、光ディスクの製造方法及び装置、並びに光ディスクに関し、特に光ディスクの色素記録層形成に有効に応用できる、スピンコート装置(回転塗布装置)の構造に関するものである。
光ディスク基板の内周側に塗布液を滴下し、該基板を高速回転させ、その遠心力により該塗布液を外周側に流延させて塗膜を形成させ、次いで余分の塗布液を振り切って基板の外周端部(外周縁部)からその周囲に飛散・放出させるようにした薄膜形成法は、スピンコート法として良く知られている。
このスピンコート法は、従来から光ディスクを製造するための有利な方法として利用されている。例えば、CD−R、DVD−R、DVD+Rと称される追記型の情報記録媒体(光ディスク)の代表的な例では、直径120mmの円盤状透明樹脂基板(以下、ディスク基板、あるいは単に基板と称する)の表面上に、色素記録層、光反射層、そして保護層がこの順に積層された構成となっている。また、これら色素記録層及び保護層は、上記のスピンコート法を利用して形成されている場合が多い。
上記スピンコート法を実施するための装置としては、例えば、図2(下記特許文献1から引用)に示されるようなスピンコート装置が知られている。なお、スピンコート装置は、その回転軸を中心として対称の関係にあるため、図2(下記する図3においても同じで)では、その片側の半分のみを示してある。
スピンコート装置40は、塗布液付与装置41、スピナーヘッド装置45、そして飛散防止壁48から構成されている。塗布液付与装置41は、ホッパ42とノズル44とからなり、ホッパ42内に導入された塗布液43は、このノズルを通してその所定量が上記のようなディスク状基板1の表面上に滴下され、塗膜2を形成するようになっている。スピナーヘッド装置45は、上記塗布液付与装置41の下方に配置されており、ディスク基板1を載置するための載置部46と基板を固定するための固定具47からなる。ディスク状基板1は載置部46上に載置された後、固定具47により水平に保持される。そしてスピナーヘッド装置45は駆動モータ(図略)により軸回転が可能とされている。スピナーヘッドにより水平に保持された状態で回転している基板上に上記の塗布液付与装置41から付与された塗布液43は、基板表面上を外周側に流延する。そして基板表面上には塗膜が形成される。塗膜形成に関与しない塗布液(余分の塗布液)43aは、基板の外周縁部から外側に放出される。塗布液飛散防止壁(コーターカップ内壁)48は、この塗布液43aが周辺に飛散するのを防止するために設けられている。
従来から、この飛散防止壁48は、そのスピナーヘッド側表面と、ディスク基板1をスピナーヘッド装置45に装着した時に該基板1の上側表面の延長した面とのなす角度が約5°〜45°となるように配置されている場合が多い。即ち、スピナーヘッド装置45の回転により振り切られた余分の塗布液43aは、基板の外周縁部からその遠心力により外側にほぼ水平方向に飛散し、直接飛散防止壁48の表面に衝突する。飛散防止壁48は、衝突した塗布液がそのまま落下し易いように上記のような角度に傾斜された状態で配置されている場合が多い。
ところが、図2の装置には大きな問題があり、この問題をなくしたスピンコート装置に係る提案が、下記特許文献1に開示されている。
すなわち、下記特許文献1に係る発明の発明者は、検討の結果、(1)図2のスピンコート装置では、これを繰り返し使用している間に、飛散防止壁の表面に衝突した塗布液が徐々に付着し、塗布液の乾燥、固化に伴い塗布液中の不揮発分が前記飛散防止壁に堆積するようになり、この堆積物に衝突した塗布液が多方面に飛び散り、その結果、跳ね返った液が基板上の塗膜面上に落下してその表面に欠陥が生じるという問題があることを知見している。(2)また上記発明者は、光ディスクの色素記録層を形成するための色素溶液は非常に低粘度であることが多く、そのため飛沫となって飛び易という問題があることも確認している。
下記特許文献1に記載のスピンコート装置に係る発明は、基板の外周縁部より放出された塗布液が飛散防止壁面に付着、堆積しにくく、また堆積した場合であっても堆積物からの塗布液の跳ね返りによる塗膜障害を起すことなく、塗膜形成を行なうことができる光ディスク製造用のスピンコート装置を提供することを目的とし、図3および図4に示す構成からなっている。なお、図3は上記図2と同じく、下記特許文献1から引用したものであり、図4はその要部を簡略化して示したものである。
すなわち、この特許文献1に記載されたスピンコート装置60は、塗布液を円盤状透明樹脂基板51の表面に付与して塗膜52を形成するための、ノズル64を有する塗布液付与装置61と、該塗布液付与装置61の下方に配置され、上記基板51を水平に保持するための、駆動モータ(図略)で軸回転自在としたスピナーヘッド装置65と、該スピナーヘッド装置65により水平に保持された状態で回転している基板51上に該塗布液付与装置61から付与されたのち、基板表面上を外周側に流延し、次いで基板の外周端部から外側に放出される塗布液の、周辺への飛散を防止するための飛散防止壁(コーターカップ)68等を備えてなる光ディスク製造用のスピンコート装置であって、前記飛散防止壁68が、スピナーヘッド装置65上に水平に支持される基板51の外周端部から該防止壁のスピナーヘッド側表面までの距離dが8〜25cmの範囲にあり、かつ該防止壁のスピナーヘッド側表面とスピナーヘッド装置65上に水平に支持される基板51の上側表面を延長した平面とが形成する角度(傾斜角度)αが5〜35°の範囲となるように配置されていることを特徴とするスピンコート装置である。
なお、図3および図4に記載されたそのほかの符号について説明すると、63は塗布液、63aは余分の塗布液、64はノズル、66は基板載置部、67は固定具、70は駆動モータである。
また、上記発明では、以下の態様であることが好ましいとされている。
(1)飛散防止壁は、そのスピナーヘッド側表面と、スピナーヘッド上に水平に支持される基板の上側表面を延長した平面とが形成する角度αが5〜15°(特に好ましくは7〜15°、最も好ましくは、8〜12°)の範囲となるように配置されていること。
(2)飛散防止壁は、スピナーヘッド上に水平に支持される基板の外周縁部から該防止壁のスピナーヘッド側表面までの距離dが10〜25cm(更に好ましくは15〜25cm)の範囲となるように配置されていること。
(3)飛散防止壁の上側端部から基板の外周縁部までの鉛直方向の距離d’が、1〜40mm(更に好ましくは、2〜30mm、特に好ましくは、3〜20mm)の範囲にあること。
(4)図3、図4に示すように、飛散防止壁68の上側端部に、下方に伸びるフランジ部69が設けられていること。
(5)上記(4)において、フランジ部69は、その先端を延長した面がスピナーヘッドに水平に支持される基板の表面の外周縁部よりも、飛散防止壁に近い側となるように配置されていること。
(6)塗布液が色素溶液であること。
また、スピナーヘッド65上の基板51に最も近接して配置され、基板から飛散する色素溶液が該基板表面に跳ね返って付着するのを防止するための上記フランジ69を設けた効果として、下記表1の内容が記載されている。
Figure 2006066007
上記表1の結果から、下記特許文献1に記載の発明(実施例1〜5)によれば、従来のスピンコート装置を用いて製造したサンプル(比較例1)の場合に比べて、塗膜障害が少なく、高い製品歩留を示しており、スピナーヘッド装置で振り切った塗布液による塗膜障害を回避することができるため、ディスク状基板上に高品質な塗膜を形成することができるとしている。
しかしながら実際には、上記実施例2のようにフランジ69を取り付け、これを上記d’(=10mm)よりも更に基板外周縁部に接近させた場合、その隙間(気体流下用の開口)が狭すぎる結果となる。すなわち、色素記録層を形成するべく、粘度が比較的低い色素溶液(溶剤含有液)を塗布した場合には、飛散防止壁内で色素溶液からの溶媒揮発ガスの排気を行いながらのスピンコートでは、基板外周部上の排気気流の流速が早くなりすぎ、基板外周部の色素乾燥速度が内中周部に比較して著しく高くなってしまうという不具合が伴う。
その結果として、ディスク外周上の色素膜厚の制御が難しくなったり、基板外周部の塗布膜厚が、基板内中周部の塗布膜厚さが比べて著しく高くなったりして、本来求められている色素面内膜厚の均一性(均一膜厚の色素膜)を確保するのが困難になるという不具合が生じる。また、揮発した溶媒ガスを排気せず、作業空間中にそのまま放出するのは安全衛生上考えられないことであるし、排気操作なしでスピンコートでの高速基板回転処理を行うと、色素溶液の飛沫が飛散防止壁の開口から外部に漏れ出てしまうほど、この飛沫が浮遊する問題が発生するので、これが外へ飛び出さない程度の、飛散防止壁開口部での気流を最低限確保することが必要となる。
以上のことから上記表1中、実施例2のコーティングの場合、顕微鏡観察に基づく色素塗膜欠陥の有無のみの検査では、ディスクを高い歩留まりで製造することができるものの、色素塗膜の膜厚等の品質を考慮すると、十分満足のいく品質のディスクを安定的に作製するのは難しいと考えられる。
特開平11−33469号公報
以上のように、従来のスピンコート装置では、これを繰り返し使用している間に、コーターカップ内壁の表面に衝突した塗布液が徐々に付着し、塗布液の乾燥、固化に伴い塗布液中の不揮発分がコーターカップ内壁に堆積するようになる。そしてこの堆積物に衝突した塗布液が多方面に飛び散り、その結果、跳ね返った液が塗膜面上に落下してその表面に欠陥が生じる。
特に、光ディスクの色素記録層を形成するための色素溶液は非常に低粘度であることが多く、そのため飛沫となって飛び易い。また従来では、上記のような塗膜欠陥を回避するために、堆積物の除去作業が必要とされ、定期的に装置を停止することもあり、生産性の点からも改良が求められている。
本発明は、従来技術の上記問題点(例えば上記特許文献1に開示されたスピンコートト装置に伴う問題点)に鑑みなされたもので、特に光ディスクの記録層形成に有効に応用できる、スピンコート装置の構造を提供すること、すなわちディスク上への塗布液跳ね返り防止用の新規な壁体を設けた、光ディスク製造用に好適なスピンコート装置を提供することである。
より詳しくは、本発明の第1の目的は、リング状の塗布液跳ね返り防止壁を1〜4mmと近接配置しても、基板外周の流速が基板内中周に比較して速くならず、色素塗膜の膜厚均一性を確保することができるスピンコート装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、同じく1〜4mmと近接していることにより、色素が上記塗布液飛散防止壁に堆積した場合であっても、この堆積物からの塗布液の跳ね返りを完全にシャットアウトすることにより、基板上の塗膜欠陥を発生させることがないスピンコート装置を提供することにある。
本発明の特に重要な目的は、光ディスク作製用基板に均一膜厚で塗膜欠陥の少ない色素記録層を容易に形成することができるスピンコート装置を提供することである。
本発明のその他の目的は、上記スピンコート装置を用いるコート方法、上記スピンコート装置を備えてなる光ディスク製造装置、この製造装置を用いる光ディスク製造方法および、該方法により製造された光ディスクを提供することにある。
請求項1に係る発明は、塗布液をディスク基板の表面に付与する塗布液供給装置と、前記基板を水平に保持して回転させるスピナーヘッド装置と、回転塗布時に前記基板の外周端部から外側に遠心力で放出される塗布液が周辺へ飛散するのを防止するキャップ状の塗布液飛散防止壁とを備えてなる光ディスク製造用のスピンコート装置において、
前記飛散防止壁から跳ね返る塗布液が前記基板表面に付着するのを防止するための部材として、倒立円錐状でリング状の跳ね返り防止リングを、前記塗布液飛散防止壁の内側に同心状に、上下多段に、かつ隣り合う跳ね返り防止リング相互間に気体流下用の第1の開口(第1の隙間)を形成して設けることにより、フィン状の跳ね返り防止リングを配備するとともに、
前記基板の上側表面直上の気体がその内周側から外周部側に円滑に流れ、前記第1の開口を介して塗布液飛散防止壁の内側空間に流入し、該塗布液飛散防止壁内の気体が下向きに流下して外部に排出されるようにするための排気手段を設けたことを特徴とするスピンコート装置である。
請求項2に係る発明は、同一形状・寸法の跳ね返り防止リングを上下多段に、かつ互いに平行に配備したことを特徴とする請求項1に記載のスピンコート装置である。
請求項3に係る発明(図1参照)は、最下段の跳ね返り防止リングの内周端部(下端部)から、前記スピナーヘッド装置上に水平に支持される基板の外周端部までの距離D(水平方向の距離ではなく、第2の開口Bの寸法である。)を1〜20mm(好ましくは1〜4mm、特に好ましくは1〜2mm)としたことを特徴とする請求項1または2に記載のスピンコート装置である。
請求項4に係る発明(図1参照)は、前記跳ね返り防止リングを上下多段に、以下のように配備したことを特徴とする請求項3に記載のスピンコート装置である。
(1)最下段の跳ね返り防止リングと、これと隣り合う上側の跳ね返り防止リングとの隙間の上下方向の間隔Hを10〜50mmとする(この間隔Hは、第1の開口Aの高さ方向の寸法である)。
(2)それぞれの跳ね返り防止リングの外径側から内径側に向かって下り勾配で傾斜する傾斜面の、前記スピナーヘッド装置上に水平に支持される基板の上側表面を延長した平面に対する傾斜角度βを5°〜45°とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のスピンコート装置を使用するスピンコート方法であって、前記スピナーヘッド装置に前記基板を水平に保持して回転させ、前記塗布液供給装置から塗布液をディスク基板の表面に付与することにより前記塗布液を、該基板表面上を流延させてして回転塗布し、該回転塗布時に前記基板の外周端部から外側に遠心力で放出される塗布液を前記塗布液飛散防止壁に衝突させ、該塗布液飛散防止壁から跳ね返る塗布液を前記跳ね返り防止リングに衝突させるとともに、前記排気手段により、前記基板の表面直上を内径側から外径側に向かって流れる排気流を発生させ、該排気流を上記第1の開口を通過させ、ついで前記塗布液飛散防止壁内を下向きに流下させて外部に排出することを特徴とするスピンコート方法である。
請求項6に係る発明は、前記塗布液として、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録層形成用塗布液を用いることを特徴とする請求項5に記載のスピンコート方法である。
請求項7に係る発明は、ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクを製造する装置において、前記色素記録層を前記基板表面に形成するための色素塗布液の塗布装置として、請求項1〜4のいずれかに記載のスピンコート装置を備えていることを特徴とする光ディスクの製造装置である。
請求項8に係る発明は、ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクを製造する方法において、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録層形成用の塗布液を用い、請求項5または6に記載のスピンコート方法により前記色素記録層を前記基板表面に形成することを特徴とする光ディスクの製造方法である。
請求項9に係る発明は、ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクにおいて、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録層形成用の塗布液を用い、請求項5または6に記載のスピンコート方法により前記色素記録層を基板表面に形成したことを特徴とする光ディスクである。
請求項1の発明に係るスピンコート装置および、請求項5の発明に係るスピンコート方法によれば、塗布液飛散防止壁から跳ね返る塗布液を跳ね返り防止リングに衝突させるとともに、前記排気手段により基板の表面直上を内径側から外径側に向かって流れる排気流を発生させ、該排気流を上記第1の開口(第1の隙間)を通過させ、ついで塗布液飛散防止壁内を下向きに流下させて外部に排出するように構成したから、基板外周部の塗膜(色素膜等)の膜厚が基板内周部の塗膜のそれに比べて増大する問題を解消しつつ、基板上側表面から振り切った塗布液が塗布液飛散防止壁で跳ね返って基板上側表面に付着することに起因する塗膜欠陥を回避することができるため、ディスク基板上に高品質な塗膜を形成することができ、高性能の光ディスクを高い生産性で製造することが可能となる。
なお、本発明のスピンコート装置では、上下多段型すなわちフィン状の跳ね返り防止リングを配備したので、上記特許文献1に記載の基板外周縁部と塗布液飛散防止壁内面との距離や、塗布液飛散防止壁の傾斜角度αについては、塗布液(色素液等)の飛沫跳ね返り防止の観点からは無視して良く、簡易に色素回収が可能な形状に、自由に変更することが可能である。
請求項2のスピンコート装置では、同一形状・寸法の跳ね返り防止リングを上下多段に、かつ互いに平行に配備したから、この装置の構造が簡単となり、安価に構成することができる。また、基板の表面直上を内径側から外径側に向かって流れる排気流が、上記第1の隙間をより円滑に流下するから、基板上の塗膜の均一性が更に高まる。
請求項3のスピンコート装置では、所定の距離Dを1〜20mmとしたので、塗布液飛散防止壁からスピナーヘッド装置上の基板側に向かって跳ね返る塗布液のすべてが、上下多段に設けた跳ね返り防止リングのいずれかに衝突する。したがって、塗布液が基板上側表面に付着することに起因する塗膜欠陥の割合が著しく低下した高品質の光ディスクを容易に製造することができる。
請求項4のスピンコート装置では、請求項3に記載のスピンコート装置において、所定の間隔Hを10〜50mmとし、さらに所定の傾斜角度βを5°〜45°としたので、跳ね返り防止リングの機能が更に高まるだけでなく、基板の表面直上を内径側から外径側に向かって流れる排気流が、上記第1の開口を特に円滑に流下するから、基板上の塗膜の均一性が著しく高まる。
請求項6のスピンコート方法では、塗布液として有機溶媒中に色素を含有させた色素記録用の塗布液を用いるから、また請求項7の発明では、ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクを製造する装置において、請求項1〜4のいずれかに記載のスピンコート装置を備えていることから、それぞれ高品質の色素記録層塗膜を有する光ディスクを容易に製造することができる。
請求項8の光ディスク製造方法では、有機溶媒中に色素を含有させた塗布液を用い、請求項5または6に記載のスピンコート方法により色素記録層を基板表面に形成するものであるから、高品質の色素記録層塗膜を有する光ディスクを容易に製造することができる。
同様に、請求項9の光ディスクでは、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録用の塗布液を用い、請求項5または6に記載のスピンコート方法により色素記録層を基板表面に形成したものであるから、高品質の色素記録層塗膜を有する光ディスクを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るスピンコート装置を、図面をもとに説明する。図1はスピンコート装置(跳ね返り防止リングを上下2段に設けた場合で、下記試験例1において使用したもの)の要部構造を模式的に示す説明図である。
このスピンコート装置の基本的構造は図2に示す従来例と同様であるが、所定構成の跳ね返り防止リング100を所定の態様で設けた点で従来例と相違している。
このスピンコート装置は、塗布液をディスク基板1の表面に付与する塗布液供給装置10と、基板1を水平に保持して回転させるスピナーヘッド装置20と、回転塗布時に基板1の外周端部から外側に遠心力で放出される塗布液が周辺へ飛散するのを防止するキャップ状の塗布液飛散防止壁(コーターカップ内壁)30とを備えた、光ディスク製造用のスピンコート装置である。
このスピンコート装置ではとくに、飛散防止壁30から跳ね返る塗布液が基板1表面に付着するのを防止するための部材として、倒立円錐状でリング状の跳ね返り防止リング100a,100bを飛散防止壁30の内側に同心状に、上下2段に、これら隣り合う跳ね返り防止リング100a,100b間に気体流下用の第1の隙間(第1の開口)Aをあけて、かつ下段の跳ね返り防止リング100bとスピナーヘッド装置20上の基板外周端部との間に気体流下用の第2の隙間(第2の開口)Bが形成されるように設けた点に特徴がある。
上記塗布液供給装置10は、電磁弁(または空圧弁)11および、その直下に塗布液供給ノズル12を備えている。また、上記スピナーヘッド装置20は、これに保持された基板1の外周端部が、跳ね返り防止リング100a,100bの内径側端部より内側に位置するように構成されている。
このように跳ね返り防止リングを上下多段に設けることにより、フィン状の跳ね返り防止リングを配備される。さらにこのスピンコート装置では、基板1の全体にわたって、基板1の上側表面直上の気体が該基板の内周側から外周部側に円滑に流れ、塗布液飛散防止壁30内の気体が下向きに流下して外部に排出されるようにするための排気手段として、排気ブロワが適所に配備されている。
また、上記スピンコート装置では、上記請求項3および請求項4に記載された構成を備えている。すなわち、
(1)下段の跳ね返り防止リング100bの内周端部(下端部)から、スピナーヘッド装置20上に水平に支持される基板1の外周端部までの距離Dが1〜4mmである。
(2)下段の跳ね返り防止リング100bと、上段の跳ね返り防止リング100aとの隙間の上下方向の間隔Hが10〜50mmである。
(3)上記上下の跳ね返り防止リングの外径側から内径側に向かって下り勾配で傾斜する傾斜面の、スピナーヘッド装置20で保持された基板の上側表面を延長した平面に対する傾斜角度βが5°〜45°である。
図1には上記塗布液供給装置10の全体構造が記載されていないが、この塗布液供給装置は、塗布液ホッパ(図略)と、その下方部に接続した電磁弁11と、この電磁弁の下端部に設けたノズル12を備えており、上記塗布液ホッパから所定量の塗布液を、電磁弁11を介してノズル12から基板1の上側表面に滴下する構造となっている。なお、図1において、符号2aは余分の塗布液を示している。
上記スピナーヘッド20は、基板1を載置するための載置部と、基板1を固定するための固定具(図略)とを備えている。また、上記スピナーヘッド装置20は駆動モータ21に連結されており、この駆動モータ21により軸回転が可能となっている。このスピナーヘッド装置20の周囲には、該装置に近接して上記跳ね返り防止リング100が配置されている。また、上記駆動モータ21の上方および周囲には、これに塗布液が付着するのを防止する隔壁50が配備されている。
図1では、上記跳ね返り防止リングが上下2段に配備されているが、これを上下3段以上に設けても良いし、単段構造(たとえば、図1において上段の跳ね返り防止リング100aを省略したもの)とすることもできる。ただし、単段構造とするよりも、上下に多段に設ける方が好ましい。上下多段の場合、単段構造の場合に比べて塗布液の跳ね返り防止機能がより優れるだけでなく、塗布液飛散防止壁30内空間に存在する溶媒蒸気(色素塗布液等から揮発したもの)の排除機能に優れたものとなる。
つぎに、上記図1のスピンコート装置による塗布液塗布工程の具体例について、塗布液が色素溶液である場合、つまり基板1の表面上に色素記録層を設ける場合を例にとって説明する。
ディスク基板1をスピナーヘッド装置20の基板載置部上に載置した後、これを上記固定具により水平に固定する。上記排気ブロワを作動させるとともに、基板載置部を駆動モータ21により比較的低速で軸回転させ、この間に、基板上に塗布液供給装置10から塗布液を供給する。この場合、塗布液を塗布液供給装置10の電磁弁11に導入し、ノズル12から滴下供給するが、所定量の塗布液が基板上の内周側に供給されるように、給液タンク(図略)内の空気押圧が調整されている。塗布液としては、後述する色素化合物を適当な溶剤に溶解した色素溶液が用いられる。
ついで基板を高速回転させ、基板表面上の塗布液を外周側に向けて流延させることにより均一に塗布する。これにより、基板表面上には塗膜が形成されるとともに、塗膜形成に関与しない塗布液(余分の塗布液)2aは、基板の外周縁部から外側に放出される。
上記余分の塗布液2aは、塗布液飛散防止壁30に衝突し、周辺への塗布液飛散が防止される。さらに、塗布液飛散防止壁30に衝突して跳ね返った塗布液は、基板の上側表面に向かって飛翔するが、この塗布液液滴は上記跳ね返り防止リング100a,100bに衝突捕捉されるため、少なくとも基板の上側表面には、この塗布液液滴が付着することはない。
また、上記のように排気ブロワを作動させることで、基板1の上側表面直上の気体が該基板の内周側から外周部側に円滑に流れ、第1開口Aおよび第2の開口Bを介して塗布液飛散防止壁の内側空間に流入し、該塗布液飛散防止壁内の気体が下向きに流下して外部に排出されるため、塗布液飛散防止壁内の溶媒蒸気や、塗布液の微粒子を的確に排除することができる。
本発明のスピンコート装置では、同一形状・寸法の跳ね返り防止リングを上下3段以上に互いに平行に、かつ隣り合う跳ね返り防止リング相互間の上下方向の隙間間隔を各段で均一にして配備した構造とすることもできる。
また、上記フィン状の跳ね返り防止リングでは、最上段の跳ね返り防止リングを、該リングの外周端部(上端部)を上記塗布液飛散防止壁の上端部に接続して、かつ該接続部に隙間をなくした状態で設けることが好ましい。このように構成した場合には、上記接続部では気体の流通が生じないため、基板の上側表面直上の気体がその内周側から外周部側に円滑に流れ、これが上記第1、第2の開口を介して円滑に飛散防止壁内に流入し、さらにこの気体が飛散防止壁内を下向きに流れた後、外部に排出される。
なお、本発明のスピンコート装置では、上記したように跳ね返り防止リングを一つだけ配備することも可能である。この場合、跳ね返り防止リングの外周端部(上端部)を塗布液飛散防止壁の上端部に、かつこれらの間に隙間がないように接続することが好ましい。また、跳ね返り防止リングの下端部とスピナーヘッド上の基板外周端部との間に適宜の隙間(気体通過用の開口)が形成されるように構成する。さらに、適宜の排気手段、たとえば排気用のブロワまたはファンを配備し、基板上方の気体が基板の内周側から外周部側に流れ、これが上記気体通過用の開口を介して飛散防止壁内に流入し、さらにこの気体が飛散防止壁内を下向きに流れた後、外部に排出されるようにする。
また、上記のように跳ね返り防止リングを一つ配備する場合には、この跳ね返り防止リングの内周端部(下端部)から、スピナーヘッド装置上に水平に支持される基板の外周端部までの距離D(水平方向の距離ではない)が1〜20mm(より好ましくは1〜4mm、特に好ましくは1〜2mm)とする。
次に、本発明のスピンコート装置を用いて作製される情報記録媒体(光ディスク)の構造、構成材料等について説明する。光ディスクは、様々な態様のものが提案されている。本発明のスピンコート装置は、円盤状透明樹脂基板(ディスク基板)上に、色素記録層、光反射層および保護層をこの順に積層させた構造の追記型光ディスクの製造に有利に利用できる。
基板材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂などのプラスチックまたはガラス等が挙げられる。これらのうちポリカーボネートが光学特性、温湿度特性等の物性から特に望ましい。上記のような基板材料で形成される円盤状透明樹脂基板としては、直径120±3mmのものが好ましいが、用途により80±3mm、又は64±3mmの直径のもの、カード型等の特殊形状のディスクを用いることもできる。
なお、基板上には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(グルーブ)が形成されている。このグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する際に直接基板上に形成されることが多い。
色素記録層に用いる色素は特に限定されない。使用可能な色素の例としては、アゾ系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni,Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アルミニウム系・ジンモニウム系色素及びニトロゾ化合物等の有機色素材料が挙げられ、これらの色素を有機溶媒に分散させた塗布液を、後述するスピンコーティング方法によって基板に塗布することにより色素記録層が形成される。上記色素のうちでは、耐光性に優れるフタロシアニン化合物が、色素記録層を形成するための有機色素材料として特に望ましい。記録層の膜厚は、通常300Å〜5000Å、好ましくは、700Å〜2000Åの範囲内に設定する。
色素記録層を形成する塗布液に用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール、セロソルブ、ハロゲン化炭素、ケトン、エーテル等がある。塗布液に使用する有機溶媒は、1種類でもよいし、2種類以上の混合系にしてもよい。
上記色素記録層を形成後、この色素記録層を乾燥させる。その後、色素記録層の上には情報の再生時における反射率向上の目的で、反射層が設けられる。反射層の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としてAu、Ag、Cu、Ni、Al、Pt等の金属や、これら金属の合金が挙げられる。また反射層は、膜厚が300Å以上2500Å以下の範囲内となるように形成される。コスト、ディスク特性等からAg、Al、Ti、Alが反射層を形成する材料として特に望ましい。
保護層は、紫外線硬化樹脂、架橋性モノマーの架橋反応によって、膜厚が1μm以上30μm以下となるように調整されて形成される。保護層の膜厚は、特に1.0μm程度が望ましい。
上記紫外線硬化樹脂としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト−ルペンタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート等のアクリレート樹脂が挙げられる。
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、1.4ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、1.6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジエニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等がある。
硬化性樹脂の場合、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって保護層を形成させることができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。上記塗布液を用いて保護層を形成する場合には、前述したように、本発明に係るスピンコート装置を用いて形成することができる。保護層の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲とする。
なお、以上では光ディスクの製造について、色素記録層の形成を図1に示されるスピンコート装置を用いて行なう場合の例で示したが、色素記録層と同様にして、下塗層、あるいは保護層、ハードコート層などの塗布型の層を形成する場合においても本発明のスピンコート装置を用いることができる。
つぎに参考例および、本発明の試験例について説明する。
[参考例1]
シアニン色素塗布液をポリカーボネート基板(直径:120mm、厚さ:1.2mm、帝人(株)製(商品名:パンライト))のグルーブ側表面に塗布して、色素記録層を形成した。
この場合、図3および図4に示す従来のスピンコート装置を用い、そのスピナーヘッド装置の最高回転速度を300rpm〜6000rpmまで変化させながら塗布し、色素記録層を形成した。このスピンコート装置では、
(1)スピナーヘッド上の基板の外周縁部から塗布液飛散防止壁(コーターカップ内壁)の内面までの水平方向の距離(図3、図4においてdで示される距離)を9cmとし、
(2)スピナーヘッド上の基板の上側表面を延長した平面と、上記飛散防止壁内面とが形成する角度(図3、図4において符号αで示す角度)を22°とし、
(3)基板の外周縁部から飛散防止壁上側端部までの鉛直方向の距離(図3、図4においてd’で示される距離)を15mmとし、
(4)飛散防止壁の開口内径を180mmとした。
(5)また、排気ブロワを使用した。この排気ブロワは、基板表面上の気体がその内周側から外周部側に円滑に流れ、塗布液飛散防止壁の内側空間に流入し、該塗布液飛散防止壁内の気体が下向きに流下して外部に排出されるようにするためのものである。
また、この参考例1では、アネモメーターを使用し、スピナ−ヘッド上の基板表面の風速を測定したところ、半径R=45mm、周方向8点平均で0.27〜0.40m/sであった。
次に、色素記録層上に、Agをスパッタして膜厚140nmの反射層を形成した。更に上記スピンコート装置を用いて、反射層上にUV硬化性樹脂(商品名:SD−1700、大日本インキ化学工業(株)製)を使用し塗布した後、紫外線を照射して保護層を形成した。以上の工程により、基板上に色素記録層、反射層及び保護層を積層したCD−R型の光ディスク(以下、サンプル)を製造した。
[参考例2]
参考例1において、排気ブロワの排気速度のみを増大させ、基板表面の風速が従来の200%となるようにした。その結果、基板外周部の色素膜厚は内周、中周部に比較して114%となり、色素塗布プログラムによっては膜厚均一性を確保することはできないことがわかった。この状態で参考例1と同様に後工程の処理を行いサンプルを製造した。
[参考例3]
基板表面の風速を参考例1の値に戻すとともに、上記αを22°から10°として、水平に近い値にした。この状態で参考例1と同様に後工程の処理を行いサンプルを製造した。
[参考例4]
飛散防止壁の開口内径を160mmにした。また、上記特許文献1に記載されているように、フランジ69(図3、図4)を従来の高さ15mmから5mmへと下ろした(フランジ68下端部と基板表面との鉛直方向の距離を5mmとした)。その結果、基板表面の風速は、従来の300%近傍まで上昇した。また、上記風速の上昇割合は基板の内、中周部に比べて外周部のほうが大きかった。ブロワ風速を従来風速まで落として調節したが。基板外周部の色素膜厚の上昇は残り、内周、中周部に比較して122%となり参考例2と同様に制御不可能なレベルとなった。この状態で参考例1と同様に、後工程の処理を行いサンプルを製造した。なお、サンプル作製の後、ブロア風速を下げても基板外周部の風速が内、中周部に比べて高くなる問題は解消されなかった。
[試験例1(本発明)]
上下2段式(2枚組)の跳ね返り防止リング100を設置してなる、図1に示す本発明のスピンコ−ト装置を使用した。この場合、
(1)飛散防止壁30の位置を参考例1に比べて15mm上げ、
(2)跳ね返り防止リング100a,100b間の開口Aの垂直高さHを15mmとし、
(3)基板の外周縁部から飛散防止壁30上側端部までの鉛直方向の距離(図1においてd’で示される距離)を15mmとし、
(4)跳ね返り防止リング100bの下端部と基板表面との鉛直方向の間隔(上記符号Bで示す第2の開口の鉛直方向の寸法)を2mmとし、
(5)上記角度βを約17°とし、
(6)跳ね返り防止リング100a,100bの内径(開口直径)は140mmとした。
また、基板表面上を流下する気体は、上記開口Aおよび開口Bを通過させるのではなく、開口Aのみ、つまり上下の跳ね返り防止リング間の開口を通過させた後、飛散防止壁30内に導入する構造とした。この場合、直径144mmの円環状の金属板を、基板表面よりも3mm低い位置に、かつ基板載置部の外周端部との間に隙間がないように同心状に嵌合するとともに、この金属板を基板載置部の下方に配置した支持部材で支持した。この状態で参考例1と同様に、後工程の処理を行いサンプルを製造した。
[光ディスクとしての評価]
上記の参考例1〜4および試験例1では、スピンコータの内部がクリーンな状態(スタート状態)でのサンプル作製試験(200枚)と、1日ランニング後の状態(ラン後)でのサンプル作製試験(200枚)とを行った。そして、得られた光ディスクの色素記録層表面に、塗布液の飛沫による30μm以上の欠陥が発生しているか否かを拡大レンズ鏡で観察し、製品としての良品率により評価した。この場合、核が多数集合した点塊から外周に向かって2mm程度のハレー(色素ムラ)が発生するのが、色素跳ね返り欠陥の特徴である。
以上の結果を下記表2に示す。
Figure 2006066007
上記表2において参考例1〜4での塗布条件は、いずれも「跳ね返り防止リング(フィンリング)なし」である。また、参考例4では「フランジあり」、試験例1では「フランジなし」、かつ「跳ね返り防止リングあり」となっている。また、「色素厚外周対内中周」において、「従来なみ」とは、従来と同様に色素層の膜厚均一性が高いことを示し、「上昇悪化」とは、外周部の膜厚が対内中周部のそれよりも厚くなっていることを意味している。
また、上記表2の結果から、参考例2,4は信号品質の点から採用できない。このため、1日製造として流すことはできなかった。また、風速を上げると、目で見たスピンコータ内の飛沫(ミスト)量が減る傾向になったが、参考例2の結果を見ると、風速を上げても良品率は向上しておらず、飛散防止壁(コーターカップ内壁)内で舞っている色素飛沫が悪影響を及ぼすのではなく、飛散防止壁に衝突して跳ね返ってくる色素飛沫が塗膜欠陥増大に影響していることが判った。参考例4は信号悪化が無ければ良品率は改善されている。参考例3のように飛散防止壁の傾斜角度を低くしたものはスタート時に効果があるが、1日もランニングしていると飛散防止壁に色素堆積が発生し、そこで跳ね返りが発生したため、テーパ角度を低くした意味がなくなった。これでは、度々カップ変更、洗浄を実施しなければならず稼働率に悪影響を及ぼす。
これに対し、本発明の試験例1では、外周部塗布膜の膜厚安定により信号レベルを保ち、大きな良品率改善効果が得られている。ランニングしても塗布液の跳ね返りを打ち消すフィンリングによって良品率低下の問題はなくなり、高品質の光ディスクを歩留よく製造することができた。この後、4日ランニングしてもこのレベルを保つことが確認された。これにより8ラインにて、トータル月42時間のコーターカップ交換時間、コーター内部清掃時間が削減された。
本発明のスピンコート装置および、これを使用するスピンコート方法は、光ディスクの製造に限らず、高品位の膜質および高度の膜厚均一性を有する塗膜を形成した、塗膜コーティングフィルムやシートあるいは、塗膜コーティング金属板等に広く、かつ有効に応用することができるものである。
本発明の実施形態に係るスピンコート装置の要部構造を模式的に示す説明図である。 スピンコート装置の従来例を示す断面図である。 スピンコート装置の別の従来例を示す断面図である。 図3のスピンコート装置の構造を、図1と同様に模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 ディスク基板
2 塗膜
2a 余分の塗布液
10 塗布液供給装置
11 電磁弁(または空圧弁)
12 塗布液供給ノズル
20 スピナーヘッド装置
21 駆動モータ
30 塗布液飛散防止壁(コーターカップ内壁)
40 スピンコート装置
41 塗布液付与装置
42 ホッパ
43 塗布液
43a 余分の塗布液
44 ノズル
45 スピナーヘッド装置
46 載置部
47 固定具
48 飛散防止壁(コーターカップ内壁)
51 基板
52 塗膜
60 スピンコート装置
61 塗布液付与装置
63 塗布液
63a 余分な塗布液
64 ノズル
65 スピナーヘッド装置
66 基板載置部
67 固定具
68 飛散防止壁(コーターカップ)
69 フランジ
70 駆動モータ
90 隔壁
100 跳ね返り防止リング
100a 跳ね返り防止リング
100b 跳ね返り防止リング
A 第1の隙間(第1の開口)
B 第2の隙間(第2の開口)

Claims (9)

  1. 塗布液をディスク基板の表面に付与する塗布液供給装置と、前記基板を水平に保持して回転させるスピナーヘッド装置と、回転塗布時に前記基板の外周端部から外側に遠心力で放出される塗布液が周辺へ飛散するのを防止するキャップ状の塗布液飛散防止壁とを備えてなる光ディスク製造用のスピンコート装置において、
    前記飛散防止壁から跳ね返る塗布液が前記基板表面に付着するのを防止するための部材として、倒立円錐状でリング状の跳ね返り防止リングを、前記塗布液飛散防止壁の内側に同心状に、上下多段に、かつ隣り合う跳ね返り防止リング相互間に気体流下用の第1の開口を形成して設けることにより、フィン状の跳ね返り防止リングを配備するとともに、
    前記基板の上側表面直上の気体がその内周側から外周部側に円滑に流れ、前記第1の開口を介して塗布液飛散防止壁の内側空間に流入し、該塗布液飛散防止壁内の気体が下向きに流下して外部に排出されるようにするための排気手段を設けたことを特徴とするスピンコート装置。
  2. 同一形状・寸法の跳ね返り防止リングを上下多段に、かつ互いに平行に配備したことを特徴とする請求項1に記載のスピンコート装置。
  3. 最下段の跳ね返り防止リングの内周端部から、前記スピナーヘッド装置上に水平に支持される基板の外周端部までの距離Dを1〜20mmとしたことを特徴とする請求項2に記載のスピンコート装置。
  4. 前記跳ね返り防止リングを上下多段に、以下のように配備したことを特徴とする請求項3に記載のスピンコート装置。
    (1)最下段の跳ね返り防止リングと、これと隣り合う上側の跳ね返り防止リングとの隙間の上下方向の間隔Hを10〜50mmとする
    (2)それぞれの跳ね返り防止リングの外径側から内径側に向かって下り勾配で傾斜する傾斜面の、前記スピナーヘッド装置上に水平に支持される基板の上側表面を延長した平面に対する傾斜角度βを5°〜45°とする。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のスピンコート装置を使用するスピンコート方法であって、
    前記スピナーヘッド装置に前記基板を水平に保持して回転させ、前記塗布液供給装置から塗布液をディスク基板の表面に付与することにより前記塗布液を、該基板表面上を流延させてして回転塗布し、該回転塗布時に前記基板の外周端部から外側に遠心力で放出される塗布液を前記塗布液飛散防止壁に衝突させ、該塗布液飛散防止壁から跳ね返る塗布液を前記跳ね返り防止リングに衝突させるとともに、
    前記排気手段により、前記基板の表面直上を内径側から外径側に向かって流れる排気流を発生させ、該排気流を前記第1の開口を通過させ、ついで前記塗布液飛散防止壁内を下向きに流下させて外部に排出することを特徴とするスピンコート方法。
  6. 前記塗布液として、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録層形成用の塗布液を用いることを特徴とする請求項5に記載のスピンコート方法。
  7. ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクを製造する装置において、前記色素記録層を前記基板表面に形成するための色素塗布液の塗布装置として、請求項1〜4のいずれかに記載のスピンコート装置を備えていることを特徴とする光ディスクの製造装置。
  8. ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクを製造する方法において、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録層形成用の塗布液を用い、請求項5または6に記載のスピンコート方法により前記色素記録層を前記基板表面に形成することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  9. ディスク基板の表面に少なくとも色素記録層を設けた光ディスクにおいて、有機溶媒中に色素を含有させた色素記録層形成用の塗布液を用い、請求項5または6に記載のスピンコート方法により前記色素記録層を基板表面に形成したことを特徴とする光ディスク。

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