JP2006323914A - 光情報記録媒体の製造方法及び光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】色素溶液のディスペンス時での基板への帯電を最小限に抑えて、エラーの発生を抑圧する。
【解決手段】光情報記録媒体の製造方法は、基板作製工程と、記録層形成工程と、エッジ洗浄工程と、反射膜形成工程と、接着工程とを有する。そして、記録層形成工程に入る前、並びに吐出ノズル28から色素溶液31を吐出させる際に、除電ブロー装置44を通じて除電ブロー46(イオン化エアー)を吐出ノズル28並びに基板10を含めた領域にあてるようにし、色素溶液31のディスペンス時での基板10の最大帯電圧が7kV以下となるようにする。
【選択図】図4
【解決手段】光情報記録媒体の製造方法は、基板作製工程と、記録層形成工程と、エッジ洗浄工程と、反射膜形成工程と、接着工程とを有する。そして、記録層形成工程に入る前、並びに吐出ノズル28から色素溶液31を吐出させる際に、除電ブロー装置44を通じて除電ブロー46(イオン化エアー)を吐出ノズル28並びに基板10を含めた領域にあてるようにし、色素溶液31のディスペンス時での基板10の最大帯電圧が7kV以下となるようにする。
【選択図】図4
Description
本発明は、基板に情報記録層が形成され、レーザ光の照射により情報を記録及び/又は再生することができる光情報記録媒体の製造方法及び光情報記録媒体に関する。
一般に、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)としては、追記型CD(いわゆるCD−R)やDVD−R等があり、従来のCD(コンパクトディスク)の作製に比べて少量のCDを手頃な価格でしかも迅速に市場供給できる利点を有しており、最近のパーソナルコンピュータ等の普及に伴ってその需要も増している。
CD−R型の光情報記録媒体の代表的な構造は、厚みが約1.2mmの透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる光反射層、更に樹脂製の保護層をこの順に積層したものである(例えば特開平6−150371号公報参照)。
また、DVD−R型の光情報記録媒体は、2枚の円盤状基板(厚みが約0.6mm)を各情報記録面をそれぞれ内側に対向させて貼り合わせた構造を有し、記録情報量が多いという特徴を有する。
そして、これら光情報記録媒体への情報の書き込み(記録)は、レーザ光を照射することにより行われ、色素記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的な変化(例えばピットの生成)が生じて、その光学的特性を変えることにより情報が記録される。
一方、情報の読み取り(再生)も、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射することにより行われ、色素記録層の光学的特性が変化した部位(ピットの生成による記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
そして、従来においては、光情報記録媒体の製造過程において発生する静電気による光情報記録媒体へのほこりや塵の付着を防止するために、帯電防止剤や除電を行うようにしている。
例えば特許文献1においては、樹脂製透明基板の一方の面に記録層を有し、他方の面にハードコート層を有する光ディスクにおいて、ハードコート層が活性光線硬化型樹脂の硬化被膜よりなり、かつ、樹脂製透明基板とハードコート層との間に、有機系帯電防止剤を含有した被膜よりなる有機化合物層を設ける例が提案されている。この場合、量産性に優れたスピンコート法によって形成することが可能で、高湿度条件及び低湿度条件のいずれの条件においても表面への塵埃吸着防止効果を発現し、なおかつ、表面平滑性及び光学的均一性、更には十分な耐擦傷性を保持したハードコート層を有する光ディスクを提供することができるというものである。
特許文献2においては、光ディスク基板の表面に保護膜を形成する紫外線硬化型樹脂を供給した状態で該光ディスク基板を回転させた場合に振り切られる紫外線硬化型樹脂を樹脂受け皿により回収し、樹脂塗料受け皿に回収された紫外線硬化型樹脂を第2のフィルターによりろ過した後、再利用する例が提案されている。特に、紫外線硬化型樹脂により形成される保護膜が、記録膜又は反射膜上に形成される保護膜、或いは光ディスク基板のレーザ光照射面に形成される帯電保護膜である例が開示されている。
また、特許文献3においては、従来では、光ディスクがスピンドルに蓄積されていくときに帯電する静電気を除去することができるように、スピンドルに除電装置を設置して、スピンドルに蓄積された光ディスクを5000V以下にまで除電可能にした例が提案されている。
さらに、従来においては、光情報記録媒体における情報記録層を均一に形成させて、エラーの発生を抑制した技術が提案されている。
例えば特許文献4においては、基板上に、情報を記録することができる色素記録層を有する情報記録媒体を製造する方法において、色素記録層が形成された基板を高速回転させながら清浄な空気を流通させて乾燥させる場合に、該基板を高速回転させている装置上部の開口部に、中心部に円形の開口部を有する蓋を配置し、清浄な空気を取り入れるための取入口を狭くすることによって、清浄な空気を色素記録層に均一に流通させて乾燥し、短い乾燥時間で色素記録層の膜厚を均一にし、情報記録媒体のスループットの向上を図ることが開示されている。
特許文献5には、基板上に、情報を記録することができる色素記録層を有する情報記録媒体の製造方法において、基板を回転させながら色素記録層を形成するための色素溶液を基板上に塗布する場合に、色素溶液を吐出するための吐出ノズルの肉厚を少なくとも0.3mm以上の厚肉に形成することで、記録層の形成不良欠陥の発生を抑制し、情報記録媒体の歩留まりの向上を図ることが開示されている。
また、特許文献6には、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の光情報記録媒体の製造方法において、基板を回転させながら色素記録層を形成するための色素溶液を基板上に塗布する場合に、色素溶液の塗布開始時点からバルブ全開となる時点までの時間が0.1秒以上となるようにして、色素溶液の飛散を防止し、外観不良の発生の防止、光情報記録媒体の歩留まりの向上を図ることが開示されている。
特許文献7には、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有し、該色素記録層上に光反射層を有するヒートモード型の光ディスクの製造方法において、基板を回転させながら色素記録層を形成するための色素溶液を基板上に塗布する場合に、基板の内周側に色素溶液を塗布する際に、基板の回転数を増加させて行うことにより、エラーの発生を抑圧することが開示されている。
特許文献8には、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層及びその上に光反射層を有するヒートモード型の光ディスクの製造方法において、色素記録層の形成を行うための処理雰囲気を、抵抗比が0.15MΩ以上の水を用いて加湿しながら、基板上に色素記録層を形成することで、色素塗布面の膜厚の均一化、エラーの発生しない塗布面(色素記録層)の形成を更に効率よく達成させ、保存性も良好とすることが開示されている。
ところで、従来の除電の考え方は、特許文献1及び2では、光情報記録媒体自体に保護膜として帯電防止膜を形成することであり、特許文献3では、製造過程の光情報記録媒体あるいは完成した光情報記録媒体をスピンドルでストックしておく際に、該スピンドルを除電することである。つまり、従来の除電は、主に多数枚の光情報記録媒体をストックする際に静電気が発生することを防止することを念頭においた技術となっている。
従って、例えば特許文献1及び2では、帯電防止膜が形成されるまでは、製造過程での静電気の発生によって光情報記録媒体にほこりや塵等が付着するおそれがある。特許文献3についても同様であり、実際に光情報記録媒体の基板に対して処理を行っている際に静電気が発生し、光情報記録媒体にほこりや塵等が付着するおそれがある。
特に、特許文献4〜8に示すような情報記録層の形成処理においては、光情報記録媒体の基板に発生した静電気の影響を受け易いという問題がある。
すなわち、例えば色素型の情報記録層の形成は、色素を溶剤に溶かしたし基礎溶液を基板上に滴下(ディスペンス)し、スピンコートすることにより行われる。このとき、ディスペンスした色素溶液で基板の表面が十分に濡れずに、液滴がころがったり飛散したりすることがある。これが欠陥となって残り、結果的にエラーの発生という好ましくない事態を招くという問題がある。この原因として、基板が帯電していることにより、色素溶液が跳ね飛ばされることが影響している。基板への帯電が少なければ、ディスペンスされる色素溶液は基板に付着して跳ね飛ばされないが、基板への帯電が多いと、濡れの状態にならずに跳ね飛ばされて周囲に飛散することとなる。
色素溶液のディスペンス時の基板への帯電は、基板自体が有していた帯電によるもの、色素溶液が有していた帯電によるもの、基板が設置されるスピンドルテーブルが有していた帯電によるもの、色素溶液のディスペンス時に基板が回転することによって生ずるものがある。この中で、色素溶液のディスペンス時に基板が回転することによって生ずる帯電が最も大きな影響を及ぼす。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、基板に情報記録層を形成のためのスピンコート中における基板への帯電を最小限に抑えることができ、エラーの発生を抑圧することができる光情報記録媒体の製造方法及び光情報記録媒体を提供することを目的とする。
本発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、基板に情報記録層が形成され、レーザ光の照射により情報を記録及び/又は再生することができる光情報記録媒体の製造方法において、前記基板に情報記録層をスピンコートによって形成するステップを有し、前記ステップは、前記スピンコート中に除電を行うことを特徴とする。
これにより、スピンコート中における基板への帯電を最小限に抑えることができ、エラーの発生を抑圧することができる。
そして、前記製造方法において、前記スピンコート中における基板の最大帯電圧が7kV以下であることが好ましい。
また、前記ステップは、前記基板に色素溶液をディスペンスし、スピンコートすることによって前記情報記録層を形成するようにしてもよい。この場合、前記基板に色素溶液をディスペンスする際に、除電ブローをあてるようにしてもよい。このように、色素溶液のディスペンス時において除電が行われることから、色素溶液のディスペンス時での色素溶液の飛散が抑えられ、エラーの発生を抑圧することができる。
次に、本発明に係る光情報記録媒体は、上述した本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によって製造されていることを特徴とする。これにより、基板に情報記録層を形成のためのスピンコート中における基板への帯電を最小限に抑えることができ、エラーの発生を抑圧することができる
以上説明したように、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法及び光情報記録媒体によれば、基板に情報記録層を形成のためのスピンコート中における基板への帯電を最小限に抑えることができ、エラーの発生を抑圧することができる。
以下、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法及び光情報記録媒体を例えば色素記録層を用いたDVD−R及びCD−Rに適用した実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。
まず、第1の実施の形態に係る製造方法は、色素型の情報記録層を用いたDVD−Rに適用した製造方法であって、図1に示すように、基板作製工程S1と、記録層形成工程S2と、エッジ洗浄工程S3と、反射膜形成工程S4と、接着工程S5とを有する。
基板作製工程S1は、例えば射出成形機、圧縮成形機又は射出圧縮成形機によって基板を作製する工程であって、ポリカーボネート等の樹脂材料を射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形して、図2に示すように、一主面にトラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表す凹凸(プリグルーブ12)が形成された基板10を作製する。
基板10の材料としては、例えばポリカーボネート、ポリメタルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン及びポリエステル等を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。上記の材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び価格等の点からポリカーボネートが好ましい。
また、プリグルーブ12の溝深さDは、0.01〜0.3μmの範囲であることが好ましく、その半値幅は、0.2〜0.9μmの範囲であることが好ましい。特に、青紫色レーザに対応させる場合、プリグルーブ12は以下に示す範囲が好ましい。
すなわち、プリグルーブ12のトラックピッチは、上限値が500nm以下であることが好ましく、420nm以下であることがより好ましく、370nm以下であることがさらに好ましく、330nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることがさらに好ましく、260nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブ12の幅(半値幅)は、上限値が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、170nm以下であることがさらに好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、23nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブ12の溝深さDは、上限値が150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、28nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブ12の角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、60°以下であることがさらに好ましく、50°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることがさらに好ましい。
上述したプリグルーブ12に関する上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
これらプリグルーブ12の値は、AFM(原子間力顕微鏡)により測定することができる。なお、プリグルーブ12の角度とは、プリグルーブ12の溝深さをDとしたとき、溝形成前の基板10の表面を基準とし、その表面からD/10の深さの傾斜部と、プリグルーブ12の最も深い箇所からD/10の高さの傾斜部とを結ぶ直線と、基板10の一つの面(例えばプリグルーブ12の底面)とのなす角である。
このような溝形状のプリグルーブ12を有する基板10を作製するには、射出形成時に用いるスタンパが、高精度なマスタリングによって形成されていることが必要である。このマスタリングには、DUV(波長330nm以下、深紫外線)レーザや、EB(電子ビーム)によるカッティングを用いることが好ましい。
基板10のうち、情報記録層が形成される側の表面には、平面性の改善、接着力の向上及び情報記録層の変質防止等の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、前記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して溶液を調製した後、この溶液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板の表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
次に、記録層形成工程S3は、図3に示すように、基板10の一主面に情報記録層14を形成する工程である。この工程で形成される情報記録層14は、レーザ光で読み取ることができる情報が記録された層又はそのような情報を記録することができる層を包括する概念であり、より具体的には、ピット、色素記録層、相変化型記録層等を含む概念である。なお、ピットは、基板に形成された凹みであり、実際に層を構成しているわけではないが、本明細書においては、情報記録層14にはピットをも含むこととする。つまり、ROM構成の場合、基板10内におけるピットが位置する領域を情報記録層14とする。
第1の実施の形態に係る製造方法における情報記録層14は、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な色素型の情報記録層14であることが好ましい。この色素型の情報記録層14は、記録波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。当該色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、特に、オキソノール色素、フタロシアニン色素が好ましい。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
このような情報記録層14は、色素を結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して色素溶液を調製し、次いで、この色素溶液を基板10の一主面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。その際、色素溶液を塗布する面の温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、上限値が35℃以下であり、30℃以下であることがさらに好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。また、下限値としては、15℃以上であり、20℃以上であることがさらに好ましく、23℃であることが特に好ましい。このように基板10の被塗布面温度が上述の範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一とすることができる。なお、上記の上限値と下限値は、それぞれを任意で組み合わせることができる。
ここで、情報記録層14は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
色素溶液中の色素の濃度は、0.01〜15重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10重量%の範囲、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3重量の範囲である。
色素溶液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;シクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロ−プロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記の溶剤は、使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。色素溶液中には、さらに、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等、各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
塗布の際、色素溶液の温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましい。
このようにして形成された情報記録層14の厚さは、グルーブ12a(基板10において凸部)上で、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましく、180nm以下であることが特に好ましい。下限値としては、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましく、90nm以上であることが特に好ましい。
また、情報記録層14の厚さは、ランド12b(基板10において凹部)上で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることがさらに好ましい。下限値としては、70nm以上であることが好ましく、90nm以上であることがより好ましく、110nm以上であることがさらに好ましい。
さらに、グルーブ12a上の情報記録層14の厚さ/ランド12b上の情報記録層14の厚さの比は、下限値が0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることがさらに好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
色素溶液が結合剤を含有する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。
情報記録層14の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。
また、情報記録層14には、該情報記録層14の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般に、一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを使用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報の各公報、ドイツ特許第350399号明細書、そして、日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜45重量%の範囲、さらに好ましくは3〜40重量%の範囲、特に好ましくは5〜25重量%の範囲である。
上述した例では、情報記録層14が色素型の情報記録層である場合の溶剤塗布法について述べたが、情報記録層14は記録物質の物性に合わせ、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
例えば記録物質として相変化金属化合物を用いた場合には、このような成膜法を用いて情報記録層を形成することが好ましい。ここで、相変化金属化合物としては、SbTe、AgSbTe、InAgSbTe等のいずれを用いてもよい。
この実施の形態では、色素溶液の塗布には、図4に示すようなスピンコート装置20が使用される。すなわち、スピンコート装置20に投入された基板10は、その一主面上に色素溶液31が塗布された後、高速に回転されて色素溶液31の厚みが均一にされた後、乾燥処理が施される。これによって、図3に示すように、基板10の一主面上に情報記録層14が形成されることになる。
図4に示すように、スピンコート装置20に投入された基板10は、回転テーブル22に装着され、図示しない固定具により水平に保持される。次に、加圧式タンク24から供給された色素溶液31は、吐出調整用バルブ26によって所定量が調整され、基板10上の内周側に吐出ノズル28を通してディスペンス(滴下)される。
この吐出ノズル28は、上述したように、吐出ノズル28の先端面及びその先端面から1mm以上の範囲の外側又は内側、あるいは両方の壁面がフッ素化合物からなる表面を有しているため、色素溶液31の付着が生じにくく、また、これが乾燥して色素の析出やその堆積物が生じにくく、従って、塗膜を塗膜欠陥等の障害を伴うことなくスムーズに形成させることができる。
回転テーブル22は駆動モータ30によって高速回転が可能である。基板10上にディスペンスされた色素溶液31は、回転テーブル22の回転によって、基板10の表面上を外周方向に流延し、塗膜を形成しながら基板10の外周縁部に到達する。
そして、この第1の実施の形態では、記録層形成工程S2に入る前、並びに吐出ノズル28から色素溶液31を吐出させる際に、図4に示すように、除電ブロー装置44を通じて除電ブロー46(イオン化エアー)を吐出ノズル28並びに基板10を含めた領域にあてるようにし、色素溶液31をディスペンスする際の基板10の最大帯電圧が7kV以下となるようにしている。もちろん、記録層形成工程S2に入る前の除電ブロー処理を省略するようにしてもよい。
これにより、色素溶液31のディスペンス時での基板10への帯電を最小限に抑えることができる。この場合、吐出ノズル28から吐出する色素溶液31の飛沫の基板10への飛散が抑えられ、エラーの発生を抑圧することができる。
ここで、記録層形成工程S2での好ましい条件について説明する。まず、基板10の帯電圧は上述したように7kV以下であり、好ましくは4kV以下、より好ましくは3kV以下、さらに好ましくは2kV以下、特に好ましくは1kV以下である。
色素溶液31の吐出圧力は、0.1kg/cm2以上、3kg/cm2が好ましい。さらに好ましくは0.3kg/cm2以上、2kg/cm2であり、0.5kg/cm2以上、1.5kg/cm2が最も好ましい。圧力が高すぎると、色素溶液31を多く使用するだけでなく、色素溶液の飛散が発生し、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。反対に低すぎると、情報記録層14の最内周縁部の形状に乱れが生じる。
吐出ノズル28の直径は、0.1〜0.8mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.6mmである。直径が大きすぎると、色素溶液31の流れに乱流が発生し、情報記録層14の最内周縁部の形状に乱れが発生する。反対に小さすぎると、色素溶液31の液量が不足して、色素溶液31の十分な塗布が行えなくなる。
吐出ノズル28の直径が狭いときは、吐出圧力を上げる方が好ましい。この場合、直径と圧力の積(mm・kg/cm2)は、0.2〜2.4が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1、最も好ましくは0.4〜0.6である。
色素溶液31の吐出時間は、0.1〜2秒が好ましい。さらに好ましくは0.2〜1.5秒、最も好ましくは0.3〜1.0秒である。時間が長すぎると、色素溶液31を多く使用するだけでなく、情報記録層14の最内周縁部の形状の乱れや、色素溶液31の飛散による面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。反対に時間が短すぎると、色素溶液31の十分な塗布が行えなくなる。
色素溶液31の吐出開始時における基板10の回転数は、50rpm〜1500rpmが好ましい。さらに好ましくは100〜1000rpm、最も好ましくは200〜700rpmである。回転数が遅すぎると、情報記録層14の最内周縁部の形状に乱れが発生する。反対の速すぎると、色素溶液31の飛散による面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
色素溶液31のディスペンス後に乾燥を行うが、このとき、乾燥を目的として基板10を回転すること(振り切り回転)が好ましい。この基板10の振り切り回転数は、1000rpm以上、10000rpm以下が好ましい。さらに好ましくは2000〜8000rpm、最も好ましくは3000〜7000rpmである。振り切り回転数が遅すぎると、乾きが遅くなり、生産性が低下する。反対に速すぎると、回転駆動部のいたみ(モータやベアリング等)が早まるだけでなく、振り飛ばされた色素溶液31がスピンコート装置20の図示しない塗布カップ内部で飛散し、これにより、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
色素溶液31の吐出量は、0.05cc以上、3cc以下が好ましい。さらに好ましくは0.15cc以上、1cc以下、最も好ましくは0.2cc以上、0.6cc以下である。吐出量が少なすぎると膜形成が不十分となり、多すぎると色素溶液31の飛散が発生し、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
次に、エッジ洗浄工程S3は、情報記録層14が形成された基板10の外周縁及び内周縁(エッジ部分)を洗浄する工程であって、例えば図5に示すエッジ洗浄機32が使用される。
このエッジ洗浄機32は、基板10を保持して回転させる回転テーブル34と、該回転テーブル34を一方向に回転させる駆動モータ36と、外周用の吐出ノズル38(洗浄液(溶剤)を吐出させるためのノズル)と、内周用の吐出ノズル40とを有する。
各吐出ノズル38及び40は、基板10の中心軸mに沿った方向を垂直方向(一点鎖線nで示す)と定義したとき、垂直方向nに対して約45°の角度θ1及びθ2に維持されている。洗浄液の配管途中には、図示しない濾過フィルタが装着されている。
吐出ノズル38及び40が規定の吐出位置にきたとき、図6A及び図6Bに示すように、各吐出ノズル38及び40から洗浄液42が吐出されることになるが、この場合、図6Aに示すように、外周用の吐出ノズル38からは、基板10の内方における上方から基板10の外周縁部10aに向けて洗浄液42が吐出される。また、図6Bに示すように、内周用の吐出ノズル40からは、基板10の内方における上方から基板10の内周縁部10bに向けて洗浄液42が吐出され、これら洗浄液42の吐出によって、図7に示すように、基板10の外周縁部10a及び内周縁部10bにおける情報記録層14(破線で示す)が除去されることになる。
そして、この第1の実施の形態では、エッジ洗浄工程S3に入る前、並びに吐出ノズル38及び40から洗浄液42を吐出させる際に、例えば図示しない除電ブロー装置を通じて除電ブローを吐出ノズル38及び40並びに基板10を含めた領域にあてるようにし、このエッジ洗浄での基板10の最大帯電圧が7kV以下となるようにすることが好ましい。もちろん、エッジ洗浄工程S3に入る前の除電ブロー処理を省略するようにしてもよい。
これにより、エッジ洗浄工程S3における基板10への帯電を最小限に抑えることができ、吐出ノズル38及び40から吐出する洗浄液42の飛沫の情報記録層14への飛散が抑えられ、エラーの発生を抑圧することができる。
ここで、エッジ洗浄工程S3での好ましい条件について説明する。まず、基板10の帯電圧は上述したように7kV以下であり、好ましくは4kV以下、より好ましくは3kV以下、さらに好ましくは2kV以下、特に好ましくは1kV以下である。
洗浄液42は、情報記録層14が溶け、基板10が溶けなければ何でもよいが、ジアセトンアルコール、ジブチルエーテル、2,2,3,3−テチラフルオロ−1−プロパノールが好ましく、その中でもジアセトンアルコールが最も好ましい。
洗浄の開始タイミングは、情報記録層14を形成後、1秒以上、4時間以内に洗浄することが好ましく、5秒以上、2時間以内に洗浄することがさらに好ましい。洗浄の開始タイミングが遅いと洗浄性が低下し、逆に早いとエッジ部(洗浄後の情報記録層14の外周縁部及び内周縁部)の形状が悪くなる。
外周用の吐出ノズル38は、吐出ノズル38の先端(吐出口)が基板10の最外周を向く方向を正の角度としたとき、吐出ノズル38の軸と垂直方向nとのなす角θ1が0〜60°、好ましくは10〜45°となるように設置される。内周用の吐出ノズル40は、該吐出ノズル40の先端が基板10の中心を向く方向を正の角度としたとき、吐出ノズル40の軸と垂直方向nとのなす角θ2が0〜60°、好ましくは10〜45°となるように設置される。各吐出ノズル38及び40の吐出口と基板10までの距離は0.3〜5mmであり、好ましくは0.5〜3mm、さらに好ましくは0.7〜2mmである。吐出ノズル38及び40の軸と垂直方向nとのなす角θ1及びθ2を負の角度にしたり、正の角度を大きく設定しすぎると、エッジ部の形状に乱れが発生する。
外周用の吐出ノズル38並びに内周用の吐出ノズル40はそれぞれ1つ以上、4つ以下が好ましく、さらに好ましくはそれぞれ1つあるいは2つである。吐出ノズルが多すぎると、洗浄液42の量が増え、コスト的に不利になる。また、吐出開始時に不安定な流れが発生することがあり、これが飛沫となって情報記録層14上に飛散し、面状欠陥やエラーの原因になるが、吐出ノズルが多すぎると、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
洗浄液42の吐出圧力は、0.3kg/cm2以上、3kg/cm2が好ましい。さらに好ましくは0.5kg/cm2以上、2kg/cm2であり、0.7kg/cm2以上、1.7kg/cm2が最も好ましい。圧力が高すぎると、洗浄液42を多く使用するだけでなく、飛沫の飛散が発生し、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。反対に低すぎると、エッジ部の形状に乱れが生じる。
吐出ノズル38及び40の直径は、0.1〜0.8mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.6mmである。直径が大きすぎると、洗浄液42の流れに乱流が発生し、エッジ部の形状に乱れが発生する。反対に小さすぎると、洗浄液42の液量が不足して十分な洗浄が行えなくなる。
吐出ノズル38及び40の直径が狭いときは、吐出圧力を上げる方が好ましい。この場合、直径と圧力の積(mm・kg/cm2)は、0.2〜2.4が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1、最も好ましくは0.4〜0.6である。
洗浄液42の吐出時間は、0.1〜1秒が好ましい。さらに好ましくは0.2〜0.8秒、最も好ましくは0.3〜0.6秒である。時間が長すぎると、洗浄液42を多く使用するだけでなく、エッジ部の形状の乱れや、飛沫の飛散による面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。反対に時間が短すぎると、十分な洗浄ができない。
洗浄液42の吐出開始時における基板10の回転数は、1000rpm〜10000rpmが好ましい。さらに好ましくは2000〜8000rpm、最も好ましくは3000〜6000rpmである。回転数が遅すぎると、エッジ部の形状に乱れが発生する。反対の速すぎると、飛沫の飛散による面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
エッジ洗浄後に乾燥を行うが、このとき、乾燥を目的として基板10を回転すること(振り切り回転)が好ましい。この基板10の振り切り回転数は、3000rpm以上、10000rpm以下が好ましい。さらに好ましくは4000〜8000rpm、最も好ましくは5000〜7000rpmである。振り切り回転数が遅すぎると、乾きが遅くなり、生産性が低下する。反対に速すぎると、回転駆動部のいたみ(モータやベアリング等)が早まるだけでなく、振り飛ばされた洗浄液42がエッジ洗浄機32の図示しない塗布カップ内部で飛散し、これにより、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
洗浄液42の吐出量は、0.2cc以上、3cc以下が好ましい。さらに好ましくは0.4cc以上、2cc以下、最も好ましくは0.6cc以上、1.5cc以下である。吐出量が少なすぎると洗浄が不十分となり、多すぎると飛沫の飛散が発生し、面状欠陥やエラーの発生確率が高くなる。
次に、反射膜形成工程S4は、図8に示すように、基板10の一主面中、最外周部分及び最内周部分を除く全面に光反射層50を形成する工程であって、スパッタ装置が使用される。
光反射層50の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。又は合金として用いてもよい。
これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくはAu、Ag、Alもしくはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
次に、接着工程S5は、図9に示すように、基板10の一主面(情報記録層14及び光反射層50が形成された面)にダミー基板52を接着層54を介して接着する工程である。この工程を経て光情報記録媒体100が完成する。接着層54の材質としては、接着剤56又は粘着剤58とすることができる。なお、ダミー基板52は、上述した基板10と同じ材質で同じ大きさに構成されている。基板10に形成されたプリグルーブ12は、このダミー基板52には形成されていない。
基板10とダミー基板52とを貼り合わせるために用いられる接着剤56は、例えばUV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤56としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、あるいはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して溶液を調製し、ディスペンサから基板表面に供給してもよい。なお、作製される光情報記録媒体100の反りを防止するために、接着剤56としてのUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば大日本インキ化学工業社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
接着剤56は、例えば基板10の貼り合わせ面上に、所定量塗布し、その上にダミー基板52を載置した後、スピンコートにより接着剤56を基板とダミー基板52との間に均一になるように広げた後、硬化させることが好ましい。
このような接着剤56からなる接着層54の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、ダミー基板52を貼り合わせるために用いられる接着層54としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤58を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤58が好ましい。アクリル系の粘着剤58としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート等を主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等とを共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分との混合比率、種類を、適宜調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
前記粘着剤58と併用される架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤が挙げられる。このイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製のコロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製のデスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
粘着剤58は、基板10の貼り合わせ面上に、所定量、均一に塗布し、その上にダミー基板52を載置した後、硬化させてもよいし、予めダミー基板52の片面に、所定量を均一に塗布して粘着剤塗膜を形成しておき、該粘着剤塗膜を基板10の貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
このような粘着剤58からなる接着層54の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。
次に、第2の実施の形態に係る製造方法について図10を参照しながら説明する。
第2の実施の形態に係る製造方法は、色素型の情報記録層を用いたCD−Rに適用した製造方法であって、図10に示すように、基板作製工程S11と、記録層形成工程S12と、エッジ洗浄工程S13と、反射膜形成工程S14と、保護層形成工程S15とを有する。
基板作製工程S11、記録層形成工程S12、エッジ洗浄工程S13及び反射膜形成工程S14は、上述した第1の実施の形態に係る製造方法の基板作製工程S1、記録層形成工程S2、エッジ洗浄工程S3及び反射膜形成工程S4とほぼ同じ工程を踏むため、ここではその説明を省略し、保護層形成工程S15を中心に説明する。
保護層形成工程S15は、図11に示すように、基板10の一主面(情報記録層14及び光反射層50が形成された面)の一部分にUV硬化液60が滴下される。その後、基板10は、高速に回転されることにより、基板10上に滴下されたUV硬化液60の塗布厚が基板10の全面において均一にされる。この第2の実施の形態においては、光反射層50の成膜後からUV硬化液60の塗布までの時間が2秒以上、5分以内となるように時間管理されている。
その後、基板10上のUV硬化液60に対して紫外線が照射される。これによって、基板10の一主面上に形成された情報記録層14と光反射層50を覆うようにUV硬化樹脂による保護層62が形成されて光情報記録媒体102として構成されることになる。
保護層62は、情報記録層14等を物理的及び化学的に保護する目的で光反射層50の上に設けられる。保護層62は、基板10の情報記録層14が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設けることができる。保護層62で使用される材料としては、例えば、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si3N4等の無機物質、及び熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、そしてUV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
保護層62は、例えば、プラスチックの押出し加工で得られたフィルムを接着剤を介して光反射層50上及び/又は基板10上にラミネートすることにより形成することができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調整したのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。
UV硬化性樹脂の場合には、上述したように、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。これらの塗布液中には、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層62の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲で設けられる。
この第2の実施の形態においても、記録層形成工程S2に入る前、並びに吐出ノズル28から色素溶液31を吐出させる際に、除電ブロー装置44を通じて除電ブロー46(イオン化エアー)を吐出ノズル28並びに基板10を含めた領域にあてるようにし、色素溶液31をディスペンスする際の基板10の最大帯電圧が7kV以下となるようにしている。
これにより、記録層形成工程S2における基板10への帯電を最小限に抑えることができる。この場合、吐出ノズル28から吐出する色素溶液31の飛散が抑えられ、エラーの発生を抑圧することができる。もちろん、記録層形成工程S2に入る前の除電ブローを省略するようにしてもよい。
ここで、1つの実験例を示す。この実験例は、実施例1〜3、比較例1及び2について、洗浄時の最大帯電圧、半径24mm地点の最大エラー、温度60℃湿度85%で168時間経過後の半径24mm地点の最大エラー及び欠陥による歩留まりを測定した。
実施例1〜3、比較例1及び2は、いずれも以下のように作製した。まず、基板10は、直径を120mm、内径を15mm、厚さを0.6mm、プリグルーブ12の溝深さを140nm、プリグルーブ12の溝幅を300nmとした。
以下の化学式で示されるオキソノール色素をテトラフルオロプロパノール100ccに1.5g調液し、スピンコート法で透過濃度ODを0.77(波長570nmで測定)とした。
スピンコートは色素溶液31のディスペンス時の回転数を400rpmとし、その後、2000rpmまで徐々に上げ、上述した膜厚を得た。
エッジ洗浄は、図5に示すように、外周用の吐出ノズル38及び内周用の吐出ノズル40を、各吐出ノズル38及び40の軸と垂直方向nとのなす角θ1及びθ2がそれぞれ45°となるように設置した。吐出ノズル38及び40の吐出口の内径は0.5mmである。洗浄液42はジアセトンアルコールを用いた。そして、回転テーブル34を4000rpm回転させて、洗浄液42を3秒間吐出してエッジ部分(基板10の外周縁部10a及び内周縁部10b)を洗浄した。
光反射層50は、厚さ150nmのAg膜をスパッタ法にて形成した。
接着層54として、上述した大日本インキ化学工業社製の接着剤「SD−640」を使用し、基板10の貼り合わせ面上に、所定量塗布し、その上にダミー基板52を載置した後、スピンコートにより接着剤56を基板10とダミー基板52との間に均一になるように広げた後、硬化させて、基板10とダミー基板52を貼り合わせた。
ダミー基板52は、基板10と同様のものを使用した。
そして、実施例1〜3、比較例1及び2の内訳は、図12に示すように、実施例1は、記録層形成前に除電ブローをあてる処理を行わず、記録層形成の開始から終了まで除電ブローをあてる処理を行った。実施例2は、記録層形成前に除電ブローをあてる処理を行い、さらに、記録層形成の開始から終了まで除電ブローをあてる処理を行った。実施例3は、記録層形成前に除電ブローをあてる処理を行い、さらに、記録層形成において色素溶液31を吐出するまで除電ブローをあてる処理を行った。
比較例1は、記録層形成前に除電ブローをあてる処理を行い、記録層形成の開始から終了まで除電ブローをあてる処理を行わなかった。比較例2は、記録層形成前に除電ブローをあてる処理を行わず、さらに、記録層形成の開始から終了まで除電ブローをあてる処理を行わなかった。
測定項目である最大帯電圧は、プローブ型帯電圧計を用いて測定した。半径24mm地点の最大エラー並びに温度60℃湿度85%で168時間経過後の半径24mm地点の最大エラーの測定は以下のようにして行った。実施例1〜3、比較例1及び2に、OMT2000(パルステック社製)の評価機を用いてレーザ光の波長780nm(NA0.5にピックアップ)、定線速度1.2m/sec、EFM変調信号を記録パワー7mWで記録した。その後、記録レーザ光と同じ波長のレーザ光を用いて0.5mWのレーザ出力で信号を再生し、エラー(ブロックエラー:BLER)を測定した。特に、温度60℃湿度85%で168時間経過後の半径24mm地点の最大エラーレートは、保存性を確認するために有益である。
欠陥による歩留まりは、100μm以上のコントラストの濃い欠陥をNGとした。
実験例の結果を図12に示す。まず、洗浄時の最大帯電圧について、実施例1〜3は、2.1kV、1.5kV、1.7kVであり、良好な結果を得られた。比較例1及び2は、8kV及び15kVであり、実施例1〜3と比して高い帯電圧となっていた。
半径24mm地点の最大エラーは、実施例1〜3が、50、30、30であり、良好な結果を得られた。比較例1及び2は、100及び200であり、実施例1〜3と比してエラーが多いことがわかる。
温度60℃湿度85%で168時間経過後の半径24mm地点の最大エラーは、実施例1〜3が、80、50、55であり、エラーの増加率も低く良好な結果を得られた。すなわち、実施例1〜3は保存性が高いことがわかる。反対に比較例1及び2は、150及び300であり、実施例1〜3と比してエラーの増加率が高く、エラーも多いことがわかる。
欠陥による歩留まりは、実施例1〜3が、95%、98%、97%であり、良好な結果を得られた。比較例1及び2は、93%及び89%であり、実施例1〜3と比して歩留まりがやや低いことがわかる。
なお、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法及び光情報記録媒体は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…基板 12…プリグルーブ
14…情報記録層 20…スピンコート装置
28…吐出ノズル 31…色素溶液
44…除電ブロー装置 46…除電ブロー
50…光反射層 52…ダミー基板
54…接着層 100、102…光情報記録媒体
14…情報記録層 20…スピンコート装置
28…吐出ノズル 31…色素溶液
44…除電ブロー装置 46…除電ブロー
50…光反射層 52…ダミー基板
54…接着層 100、102…光情報記録媒体
Claims (5)
- 基板に情報記録層が形成され、レーザ光の照射により情報を記録及び/又は再生することができる光情報記録媒体の製造方法において、
前記基板に情報記録層をスピンコートによって形成するステップを有し、
前記ステップは、前記スピンコート中に除電を行うことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記スピンコート中における基板の最大帯電圧が7kV以下であることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1又は2記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記ステップは、前記基板に色素溶液をディスペンスし、スピンコートすることによって前記情報記録層を形成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項3記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記基板に色素溶液をディスペンスする際に、除電ブローをあてることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法によって製造された光情報記録媒体。
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CN110325674A (zh) * | 2016-12-21 | 2019-10-11 | 格罗兹-贝克特公司 | 通过溶液喷吹纺丝来生产纤维和非织造织物的方法以及由此生产的非织造织物 |
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2005
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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