JP2006055784A - 多孔性分離膜の洗浄方法 - Google Patents

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【課題】 ウイルス除去などに用いられる多孔性分離膜の性能を低下させることなく、高い洗浄効果を達成できる洗浄方法を提供する。
【解決手段】 多孔性分離膜の洗浄方法であって、多孔性分離膜内に捕捉された蛋白質(例えばグロブリン及び/又はアルブミン)などの有機物を塩酸、クエン酸、又はスルファミン酸などの酸、及びパンクレアチン、パパイン、又はフィシンなどの酵素により洗浄する工程を含む方法。好ましくは酸洗浄工程及び酵素洗浄工程を同時に、又は別々に行なうことができる。

Description

本発明は、多孔性分離膜の洗浄方法に関するものである。
血液製剤やバイオ製品を製造する場合、HIV、HBV、又はHCV等の危険度の高いウイルスを除去する工程は必須である。ウイルス除去方法として、多孔性分離膜が利用されている。それらを使用する際、濾過中の膜に変化がなかったことを確認するため、完全性試験(特許文献1や特許文献2)の実施が必要とされているが、完全性試験を行うためには、濾過前の膜の状態に戻すために、濾過中に多孔性分離膜内に捕捉又は吸着されたウイルス、細菌、蛋白質、又は脂質等の有機物を洗浄する必要がある。
多孔性分離膜の洗浄方法として種々の方法が検討されてきたが、従来の方法は物理的洗浄方法と化学的洗浄方法とに大別できる。物理的洗浄方法としては、スポンジボール又は高圧水流などにより強制的に付着物質をかき取る方法、水や透過液などの液体を濾液側から原液側へ透過させる液体逆洗法、加圧気体を濾液側から原液側へと透過させる気体逆洗法(例えば、特許文献3や特許文献4)、多孔性分離膜の原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を濾液側から導入する加圧操作法、原液側に気泡を噴出させるバブリング法、超音波法、又は電気泳動法などのほか、多種多様の方法が提案されている。しかしながら、これらの洗浄方法は満足すべき洗浄効果を必ずしも達成できるものではなく、しかも多孔性分離膜の性能を変化させてしまうという問題も有していた。さらに、これらの洗浄方法は、高価で特殊な装置を必要とするという欠点もあった。
化学的洗浄方法としては、アルカリ水溶液や洗浄剤等からなる洗浄液、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム/水酸化ナトリウム洗浄液等を使用する方法が一般的である。しかしながら、親水化高分子からなるウイルス除去膜がアルカリや界面活性剤によって影響を受け、膜の変質が生じるという問題があった。
特開平7−132215号公報 特開平10−235169号公報 特開昭53−108882号公報 特表平1−500732号公報
本発明の課題は、多孔性分離膜の洗浄方法を提供することにある。より具体的には、多孔性分離膜の性能を低下させることなく、高い洗浄効果を達成できる洗浄方法を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸洗浄工程と酵素洗浄工程とを組み合わせた洗浄工程により、多孔性分離膜の性能を実質的に変化させることなく膜を完全に洗浄できることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、多孔性分離膜の洗浄方法であって、多孔性分離膜内に捕捉された有機物を酸及び酵素により洗浄する工程を含む方法が提供される。
この発明の好ましい態様によれば、酸洗浄工程及び酵素洗浄工程を同時に、又は別々に行なう上記の方法;酸洗浄工程に続いて酵素洗浄工程を行なう上記方法;多孔性分離膜がウイルス除去膜である上記の方法;多孔性分離膜がセルロースエステル類及び/又はエステル類により表面修飾された膜である上記の方法;多孔性分離膜の平均孔径が10〜100nmである上記の方法が提供される。
また、さらに好ましい態様によれば、有機物が蛋白質である上記の方法;蛋白質がグロブリン及び/又はアルブミンである上記の方法;酸が塩酸、クエン酸、及びスルファミン酸からなる群から選ばれる1以上の酸である上記の方法;酵素が少なくともパンクレアチン、パパイン、及びフィシンからなる群から選ばれるの1以上の酵素である上記の方法;完全性試験に先立って洗浄を行なう上記の方法;及び完全性試験がフォワードフロー法、金コロイド法、バブルポイント法、又はディフュージョン法である上記の方法が本発明により提供される。
本発明により、多孔性分離膜の性能を実質的に低下させることなく、また膜の構造を破壊することなく、効率的かつ完全に膜の洗浄を行うことができる。その結果、高い信頼性をもった完全性試験を行うことができる。
本発明の洗浄方法で用いられる多孔性分離膜の種類は特に限定されないが、例えば血液製剤やバイオ製品を製造する場合や血液透析などに用いられる多孔性分離膜を好ましい対象として例示することができる。例えば、ウイルスなどを除去するために用いられる多孔性分離膜が好ましい。より具体的には、例えば、精密濾過膜(ミクロフィルター、MF)、限外濾過膜(UF)、又はウイルス分離膜などを挙げることができる。
多孔性分離膜の材質は特に限定されないが、耐アルカリ性の低い材質の多孔性分離膜に対して本発明の方法は特に好適に適用できる。耐アルカリ性の低い材質として、例えば、ポリ酢酸ビニルからなる多孔性分離膜、あるいはセルローストリアセテート等のセルロースエステル類又はアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル等のエステル類をグラフト重合することにより表面修飾が施された多孔性分離膜を挙げることができる。多孔性分離膜の孔径は使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば10nm〜100nm程度である。当業者は、ウイルス等の除去対象物を捕捉することができ、かつ除去対象物以外の生体成分(タンパク質や脂質など)を通過させる孔径を適宜選択することができる。例えば、HIVやHBVの除去を目的とする場合には、10nm〜40nm程度の孔径であることが好ましい。
多孔性分離膜の形状及び構造は、濾過の目的に適したものであれば特に制限されないが、例えば、中空糸膜や平膜等を挙げることができる。本発明の方法で洗浄の対象となる有機物は特に制限されないが、例えば、例えば血液製剤やバイオ製品の製造や血液透析などにおける濾過の際に多孔性分離膜内に捕捉される有機物はいずれも洗浄の対象となる。洗浄の対象としては、濾過による除去対象物であるウイルスなどのほか、本来は濾過による除去対象ではないものの濾過後に多孔性分離膜内に捕捉されてしまうグロブリンやアルブミンなどのタンパク質なども含まれる。より具体的には、例えば、タンパク質、脂質、糖質、核酸、細胞、又はウイルス等を洗浄対象の有機物として挙げることができ、特に、蛋白質は好ましい洗浄対象である。蛋白質としては、例えば、酵素、抗体、血液凝固因子、インターロイキンやエリトロポエチン等のサイトカイン等などを挙げることができ、特に、グロブリンやアルブミン等のタンパク質は好ましい洗浄対象である。
本発明の方法は、多孔性分離膜内に捕捉された有機物を酸及び酵素により洗浄する工程を含むことを特徴としている。
酸は多孔性分離膜の性能に影響を与えないものであれば、その種類は特に制限されず、有機酸又は無機酸のいずれか、又は両方を使用することができる。有機酸としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、又はグルコン酸等を挙げることができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、又はスルファミン酸等が挙げられる。好ましくは塩酸、クエン酸、又はスルファミン酸である。これらの酸は2種類以上組み合わせて使用することもできる。酸は一般的には水溶液として用いることができるが、必要に応じて水性の有機溶媒(例えばグリセリンやエタノールなど)を適宜の割合で添加することもできる。水溶液中の酸の濃度は特に制限されないが、十分な洗浄効果を得る観点から0.01M以上であることが好ましく、洗浄後の完全性試験への影響を排除するためには1M以下であることが好ましい。好ましくは0.05〜0.1Mである。
酵素は有機物を分解でき、かつ多孔性分離膜の性能に影響を与えないものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、パンクレアチン、パパイン、フィシン、ペクチナーゼ、トリプシン、又はペプシン等を挙げることができる。好ましくは、パンクレアチン、パパイン、又はフィシン等が挙げられる。これらの酵素は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。酵素は一般的には水溶液として用いることができるが、必要に応じて水性の有機溶媒(例えばグリセリンやエチレングリコールなど)を適宜の割合で添加することもできる。酵素の濃度は有機物の分解効果を十分に達成できる濃度であれば特に制限されないが、例えば、0.01〜1wt%程度の濃度で用いることができる。好ましくは0.1〜0.5wt%、さらに好ましくは0.25〜0.5wt%程度である。非常に高濃度で酵素を使用すると膜の透過性能に影響を与える場合もあるが、そのような場合には濾紙で濾過してから使用することが好ましい。酵素を含む水溶液のpHは、酵素の活性を有効に発揮できる範囲であれば特に制限されないが、耐アルカリ性の低い多孔性分離膜の場合には10未満であることが好ましい。
酸及び酵素による洗浄は同時に行なってもよいが、それぞれ独立した酸洗浄工程及び酵素洗浄工程として順次行なってもよい。あるいは、どちらかの工程又は両方の工程について適宜の回数の繰り返しを含めて、連続した3以上の工程として行なってもよい。一般的には、酸洗浄工程を先に行い、その工程に続いて酵素洗浄工程を行なうことが好ましい。酸及び酵素による洗浄を同時に行なう場合には、酸及び酵素を含む洗浄液を調製して洗浄を行なうことができる。
洗浄方法は特に限定されず、当業者が利用可能なものであれば任意の洗浄方法を採用することができる。2以上の洗浄方法を適宜組み合わせてもよく、任意の繰り返し工程を採用してもよい。例えば、洗浄液中で超音波洗浄する方法、洗浄液を浸漬する洗浄方法、洗浄液を順洗する洗浄方法、又は洗浄液を逆洗する洗浄方法等が挙げられる。順洗とは濾過方向と同方向に洗浄液を流す洗浄方法であり、逆洗とは濾過方向とは逆方向に洗浄液を流す洗浄方法である。多孔性分離膜の形状及び構造にもよるが、好ましくは順洗洗浄及び/又は逆洗洗浄を行うことが効果的である。洗浄温度は洗浄に用いる酸溶液又は酵素溶液、あるいは多孔性分離膜の性能に影響を与えない温度範囲を適宜選択できるが、通常は0℃〜40℃程度の温度範囲である。
洗浄圧力は多孔性分離膜の構造に影響を与えない圧力であれば特に制限されないが、耐圧性の低いセルロース膜のような場合には、例えば100kPa以下、耐圧性の高いポリフッ化ビニリデン膜やポリスルホン膜のような場合には、例えば300kPa以下であることが好ましいが、できるだけ高い圧力を使用することが洗浄効果の観点から好ましい。洗浄量は、多いほど効果的であるが、例えば5L/m2〜10L/m2が例示される。
洗浄効果の指標として、濾過及び洗浄前後の透水量から求められる透水量回復率を用いることができる。透水量回復率は、下式(1)により求めることができる。
WFR(R)(%)=WFR(A)/WFR(B)×100・・・(1)
WFR(R):透水量回復率、WFR(A):濾過・洗浄後の透水量、WFR(B):濾過・洗浄前の透水量
透水量とは1分間、1m2あたりに濾過される注射用蒸留水の量(ml/min/m2)のことである。洗浄効果の判断は、WFR(R)≧90%であれば十分な洗浄が達成できたと判断できる。
完全性試験方法は、多孔性分離膜の除去性能を確認できる方法であれば特に制限されないが、例えば粒子濾過法、バブルポイント法、プレシャーホールド法、フォーワードフロー法、又はディフュージョン法等を挙げることができる。好ましくは、粒子濾過法である金コロイド法あるいはフォーワードフロー法であるLiquid Forward Flow Rate(LFR)法又はGas Forward Flow Rate(GFR)法を用いることができる。
金コロイド法とは、ウイルスと同程度の粒径である金コロイド粒子を利用し、膜が有する孔径分布の大きい孔の変化を測定する方法である。すなわち、金コロイド粒子をフィルターで濾過し、濾過前の溶液に存在する金コロイド量と濾液に存在する金コロイド量から、フィルターの金コロイド除去性能を測定する方法である。金コロイドの対数除去率は、下式(2)により求めることができる。
Φ=Log10(Go /Gf )・・・(2)
Φ:金コロイドの対数除去率、Go :元液の金コロイド吸光度、Gf:濾液の金コロイド吸光度
金コロイド測定を行うことができるか否かについては、ブランクフィルターのΦ±0.02であれば金コロイド測定が可能であると判断できる。金コロイド測定を行う時のフィルター内のpHは、金コロイド測定に影響しないpHであれば特に制限されないが、好ましくは、pH5〜pH10程度である。洗浄効果の判断は、WFR(R)、及び金コロイド測定値のいずれも判断基準を満たした場合に十分な洗浄が達成されたと判断できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:多孔性分離膜の製造
ポリフッ化ビニリデン樹脂(SOLVAY社製、型番SOLEF1012、結晶融点173℃)50wt%、フタル酸ジシクロヘキシル(大阪有機化学工業株式会社社製 工業品)50wt%からなる組成物を、ヘンシェルミキサーを用いて70℃で撹拌混合した後、冷却して粉体状としたものをホッパーより投入し、二軸押出機(東洋精機株式会社製 商品名ラボプラストミル MODEL 50C 150)を用いて210℃で溶融混合し均一溶解した。続いて、温度が130℃のフタル酸ジブチル(三建化工株式会社製)を中空内部に8ml/minの速度で流しつつ、内直径0.8mm、外直径1.1mmの環状オリフィスからなる紡口より吐出速度17m/minで中空糸状に押し出し、40℃に調節された水浴中で冷却固化させて、60m/minの速度でカセに巻き取った。その後、99%メタノール変性エタノール(今津薬品工業株式会社製 工業品)でフタル酸ジシクロヘキシル及びフタル酸ジブチルを抽出除去し、付着したエタノールを水で置換した後、高圧蒸気滅菌装置(平山製作所株式会社製、型番HV−85)を用いて125℃の熱処理を1時間施した。その後、付着した水をエタノールで置換した後、オーブン中で60℃の温度で乾燥することにより中空糸状の多孔性分離膜を得た。抽出から乾燥にかけての工程では、収縮を防止するために膜を定長状態に固定して処理を行った。
続いて、上記の多孔性分離膜に対し、グラフト法による親水化処理を行った。反応液は、ヒドロキシプロピルアクリレート(東京化成株式会社製、試薬グレード)を8vol%となるように、3−ブタノール(純正科学株式会社製、試薬特級)の25vol%水溶液に溶解させ、40℃に保持した状態で、窒素バブリングを20分間行ったものを用いた。まず、窒素雰囲気下において該多孔性分離膜をドライアイスで−60℃に冷却しながら、Co60を線源としてγ線を100kGy照射した。照射後の膜は、13.4Pa以下の減圧下に15分間静置した後、上記反応液と該膜を40℃で接触させ、1時間静置した。その後、膜をエタノールで洗浄し、60℃真空乾燥を4時間行い、多孔性分離膜を得た。得られた膜は水に接触させた時に自発的に細孔内に水が浸透することを確認した。得られた膜の平均孔径は16.2nm、グラフトによる重量増加率は13.4%であった。最後に、該膜を用いて膜面積0.001m2のフィルターを成型した。
例2
6.0mMの塩化金酸(和光製.試薬特級)の水溶液80gおよび蒸留水320gを反応容器にとり、攪拌しながら70℃に昇温後、4.0%クエン酸ナトリウム水溶液を18.0g添加し60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は、500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%水溶液を37.5g添加し、さらに、40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製 AC−103)9.0gをすることによって濃厚で赤色の金コロイド溶液を得た。濃厚の金コロイド溶液10gを取り、注射用蒸留水88.2gに40wt%のポリアクリル酸ナトリウム(日本純薬製 AC−103)1.8gを添加した水溶液で希釈し、赤色の金コロイド溶液を得た。分光光度計により吸収スペクトルを測定したところ、金プラズモン吸収に由来する527nmに最大吸収が見られた。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固した後、透過型電子顕微鏡により観察した。金微粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は20nmであった。
例3
使用する注射用蒸留水(大塚製薬株式会社製)及び3wt%のウシ血清γグロブリン(インビトロジェン株式会社製)(IgG)、洗浄液はあらかじめ25℃にした。3wt% IgGは、プラノバ35N(旭化成ファーマ株式会社製)を用いてプレフィルトレーションを行った。また、洗浄操作は全て25℃の恒温室で行った。例1で得られたフィルターを用いて、初めに注射用蒸留水を濾過圧力195kPaで濾過し、透水量を求めた。次に、3wt%のIgGを濾過圧力293kPaで初期濾過速度の1/5になるまで濾過した後、濾過圧力195kPaで0.1Mのクエン酸(和光純薬工業株式会社製)水溶液を5分間逆洗濾過した。続いて、濾過圧力195kPaで、0.05wt%のパンクレアチン(和光純薬工業株式会社製)/生理食塩水(大塚製薬株式会社製)溶液をさらに5分間逆洗濾過し、最後に、濾過圧力195kPaで注射用蒸留水(大塚製薬株式会社製)を5分間逆洗濾過してフィルター内部の洗浄液を除去した後に、濾過圧力195kPaで透水量を求めた。その結果、フィルターのWFR(R)は94.1%であり、洗浄効果を確認できた。
例4
例3で使用したフィルターを用いて、金コロイド測定を行った。例2で得られた金コロイド溶液を、該フィルターに98kPaの圧力で濾過した。5mlを流してフィルターに充填されていた水を置換した後、次の5mlを分取した。その濾液の527nmの吸光度を吸光度計(島津製作所製 型番UV−1700)にて測定し、金コロイドの対数除去率(Φ)を算出した。同じ方法でブランクフィルターの吸光度も測定をした。その結果、フィルターのΦは1.63、ブランクフィルターのΦは1.63であり、完全性試験を行えるレベルの洗浄効果があることを確認できた。
例5
例3の逆洗を順洗に変えた以外、例3及び4と同様の方法で実験を行った。その結果、WFR(R)は96.3%、Φは1.62、ブランクフィルターのΦは1.63であり、洗浄効果が確認できた。
例6
例3とは逆に、0.05wt%のパンクレアチン/生理食塩水溶液で逆洗を行った後、0.1Mのクエン酸で逆洗洗浄を行い、最後に例4と同様の測定を行った。その結果、WFR(R)は90.2%、Φは1.63、ブランクフィルターのΦは1.63であり、洗浄効果が確認できた。
例7
例3の濾過する蛋白質を含有する液体をIgGからウシ血清アルブミン(生化学工業株式会社製)に変えた以外、例3及び4と同様の方法で実験を行った。その結果、WFR(R)は92.9%、Φは1.62、ブランクフィルターのΦは1.63であり、洗浄効果が確認できた。
例8(比較例)
注射用蒸留水で洗浄する工程を行うのみとした以外は例3及び4と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は67.8%、Φは1.91、ブランクフィルターのΦは1.63であり、透水回復率、金コロイド測定値、いずれにおいても洗浄効果は不十分であった。
例9(比較例)
0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)を、0.1Mのクエン酸水溶液及び0.05wt%のパンクレアチン/生理食塩水溶液の代わりに用いて例3および例4と同様の洗浄を行った。その結果、WFR(R)は22.0%となり、膜の表面の親水化層が破壊(加水分解)された。
例10(比較例)
0.1Mのクエン酸水溶液のみで洗浄した以外は、例3及び4と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は92.6%、Φは1.81、ブランクフィルターのΦは1.63であり、透水回復率は洗浄条件を満たしたものの、金コロイドの値がブランクフィルターと一致せず、洗浄効果は確認できなかった。
例11(比較例)
0.05wt%のパンクレアチン/生理食塩水溶液のみで洗浄した以外は、例3及び4と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は86.8%、Φは1.64、ブランクフィルターのΦは1.63であり、金コロイドの値は洗浄条件を満たしたものの、透水回復率が低く、洗浄効果が確認できなかった。

Claims (12)

  1. 多孔性分離膜の洗浄方法であって、多孔性分離膜内に捕捉された有機物を酸及び酵素により洗浄する工程を含む方法。
  2. 酸洗浄工程及び酵素洗浄工程を同時に、又は別々に行なう請求項1に記載の方法。
  3. 酸洗浄工程に続いて酵素洗浄工程を行なう請求項2に記載の方法。
  4. 多孔性分離膜がウイルス除去膜である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 多孔性分離膜がセルロースエステル類及び/又はエステル類により表面修飾された多孔性分離膜である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 多孔性分離膜の平均孔径が10〜100nmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 有機物が蛋白質である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 蛋白質がグロブリン及び/又はアルブミンである請求項7に記載の方法。
  9. 酸が塩酸、クエン酸、及びスルファミン酸からなる群から選ばれる1以上の酸である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 酵素が少なくともパンクレアチン、パパイン、及びフィシンからなる群から選ばれるの1以上の酵素である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 完全性試験に先立って洗浄を行なう請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 完全性試験がフォワードフロー法、金コロイド法、バブルポイント法、又はディフュージョン法である請求項11に記載の方法。

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