JP2005040756A - ウイルス除去及び洗浄、完全性試験のシステム - Google Patents

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文彦 山口
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Abstract

【課題】 本発明は、低温でウイルス除去から完全性試験まで行う事ができるシステムを構築する事である。
【解決手段】 本発明は、0〜15度において、多孔性分離膜フィルターを用いてウイルス除去処理を行う工程及び界面活性剤とアルカリ性物質を含む洗浄液を用いて多孔性分離膜フィルターの洗浄を行う工程、多孔性分離膜フィルターの完全性試験(金コロイド法及び金コロイド法あるいはLiquid Forward Flow Rate法)を行う工程からなるシステムに関するものである。
【選択図】 選択図なし


Description

本発明は、ウイルス除去及び洗浄、完全性試験のシステムに関するものである。さらに詳しくは、0〜15度において、多孔性分離膜フィルターを用いてウイルス除去処理を行う工程及び界面活性剤とアルカリ性物質を含む洗浄液を用いて多孔性分離膜フィルターの洗浄を行う工程、多孔性分離膜フィルターの完全性試験(金コロイド法及び金コロイド法あるいはLiquid Forward Flow Rate法)を行う工程からなるシステムに関するものである。
血液製剤やバイオ製品を製造する場合、HIVやHBV、HCV等の危険度の高いウイルスを除去する工程は必須である。ウイルス除去方法として、多孔性分離膜フィルターが利用されている。それを使用する際、濾過中に分離膜の構造が変化しなかったかを確認するため、完全性試験(特許文献1や特許文献2)の実施が必要とされている。さらに、完全性試験を行うには、濾過中に多孔性分離膜内に捕捉、又は、吸着されたウイルスや細菌、蛋白や脂質等の生体成分を洗浄する必要がある。
従来、血液製剤やバイオ製品のウイルス除去及び洗浄、完全性試験は常温で行われていた。しかしながら、生体成分の中には熱に不安定な物資、例えば、酵素、抗体、血液凝固因子、インターロイキンやエリトロポエチン等のサイトカインが存在し、常温で取り扱えない場合があった。
そこで、熱不安定な血液製剤やバイオ製品を低温で濾過した後、常温の別の設備で洗浄、完全性試験を行う方法が実施されていた。しかしながら、フィルターが危険度の高いウイルスに汚染されている可能性がある場合、フィルターを別室に移動させる事は、人体へのウイルス被液や設備の汚染等の問題が考えられるため、ウイルス除去処理を行った場所で完全性試験を行う事が推奨されている。
また、GMP上においても、ウイルス除去設備と一般の設備と明確に区別する必要があり、ウイルスに汚染されている可能性のあるフィルターを一般の設備に持ち出す事ができない。そのため、常温で完全性試験を行う場合には、GMPに則った完全性試験のための設備を別に作る必要があった。しかしながら、これは製造現場としては大きな負担であり、ウイルス除去設備内で、低温で測定できる洗浄方法及び完全性試験が強く望まれていた。
一方、多孔性分離膜フィルターを洗浄法として、種々の方法が検討されてきたが、これらは物理的洗浄方法と、化学的洗浄方法とに大別できる。物理的物理的洗浄方法としては、スポンジボール、高圧水流などにより強制的に付着物質をかき取る方法、水、透過液などの液体を濾液側から原液側へ通過させる液体逆洗法、加圧気体を濾液側から原液側へ通過させる気体逆洗法(例えば、特許文献3や特許文献4)、多孔性分離膜の原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を濾液側から導入する加圧操作、原液側に気泡を噴出させるバブリング法、超音波法、電気泳動法などをはじめ、多種多様の方法が提案されている。しかしながら、その洗浄効果は必ずしも満足できるレベルになく、多孔性分離膜の性能を低下させる場合もあった。さらに、これらの洗浄方法は、高価で、特殊な装置を必要とする欠点もあった。
化学的洗浄方法としては、酸、アルカリ水溶液、洗浄剤等からなる洗浄液、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム/水酸化ナトリウム洗浄液等が使用した方法が行われていた。しかしながら、従来の洗浄液は、低温にすると結晶が析出する等の問題点があった。
また、特許文献5に記載されているような方法も報告されているが、低温での洗浄効果については記載されておらず、低温での洗浄方法が強く望まれていた。
特開平7−132215号公報 特開平10−235169号公報 特開昭53−108882号公報 特表平1−500732号公報 特開平9−141068号公報
本発明は、低温でウイルス除去から完全性試験まで行う事ができるシステムを構築する事である。
本発明者は、前記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低温においても洗浄可能な洗浄液を見出し、これを用いる事によって、ウイルス除去から、完全性試験までの一連の作業を低温で行う事ができるシステムを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)以下の工程よりなるウイルス除去及び完全性試験のシステム。
(a)0〜15度において、多孔性分離膜フィルターを用いてウイルス除去処理を行う工程
(b)0〜15度において、界面活性剤とアルカリ性物質を含む洗浄液を用いて、多孔性分離膜フィルターの洗浄を行う工程
(c)0〜15度において、多孔性分離膜フィルターの完全性試験を行う工程
(2)多孔性分離膜が、10〜100nmの孔径を有するセルロース膜である事を特徴とする(1)に記載のシステム。
(3)界面活性剤が、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(2)(C12−15)アルキルエーテル硫酸ナトリウム、あるいは、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンのいずれかである事を特徴とする(1)〜(2)に記載のシステム。
(4)アルカリ性物質が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液のいずれかである事を特徴とする(1)〜(3)に記載のシステム。
(5)完全性試験が金コロイド法あるいはLiquid Forward Flow Rate(LFR)法である(1)〜(4)に記載のシステム。
本発明により、ウイルス除去から完全性試験までの一連の作業を低温で行う事ができる。その結果、熱不安定な物質を失活させる事なく製造する事ができ、かつ、ウイルス被液や設備汚染の可能性を減じることができる。
以下、本発明に係わる洗浄方法について具体的に説明する。
本発明に係る低温は、0℃〜15℃であり、熱安定性が低い酵素、抗体、血液凝固因子、インターロイキンやエリトロポエチン等のサイトカインを取り扱う場合には、3℃〜10℃が好ましい。
本発明に係る多孔性分離膜は、濾過に用いる事ができるならば特に制限されないが、例えば精密濾過膜(ミクロフィルター、MF)、限界濾過膜(UF)、ウイルス分離膜を挙げる事ができる。膜の素材は、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられるが、特にセルロース膜に適する。
本発明に係る多孔性分離膜の孔径は、例えば、10nm〜100nmが例示されるが、目的とする蛋白の大きさや、除去したいウイルスの大きさによって、適宜選択することができる。例えばHIVやHBVの除去を目的とする場合には、10nm〜40nmが好ましい。
本発明に係る多孔性分離膜の形状は、濾過に用いる事ができるならば特に制限されないが、例えば、中空糸、平膜等が挙げる事ができる。
本発明に係る界面活性剤は、低温でアルカリ性物質と接触させた時に結晶が析出しないものであれば特に制限されないが、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面、非イオン性界面活性剤のいずれでも使用する事ができるものであり、陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げる事ができる。陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウムクロリド、アミドアミン等が挙げられる。両性イオン性界面としては、酢酸ベタイン型、アミノ酸型、イミダゾリン型等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。好ましくは陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の使用が有効であり、特に、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル及びポリオキシエチレン(2)(C12−15)アルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンが有効である。
本発明に係る界面活性剤の濃度は、表面張力を低下させて洗浄効果を高める事ができる濃度であれば特に制限されないが、例えば、0.01〜2wt%になるように設定する事ができる。好ましくは0.1〜1wt%、さらに好ましくは0.5〜1wt%での使用が有効である。2wt%より高濃度で使用する場合、膜内に界面活性剤が残存し、洗浄後の完全性試験に影響を与える場合がある。
本発明に係るアルカリ性物質は、濾過により膜に残留した生体成分を加水分解できるものであれば特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等が挙げる事ができる。特に水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが有効である。
本発明に係るアルカリ性物質の濃度は、生体成分の加水分解の効果を十分に得る事ができる濃度であれば特に制限されないが、例えば、0.05〜1Mになるように設定する事ができる。好ましくは0.1〜0.75M、さらに好ましくは0.25〜0.5Mが有効である。高濃度での使用の場合、膜の性能に影響を与える可能性があるため、濾過洗浄時間を1時間以内、好ましくは20分以内で使用する事が好ましい。
本発明に係る洗浄方法は、洗浄液を浸漬する洗浄方法、洗浄液を順洗する洗浄方法、洗浄液を逆洗する洗浄方法等が挙げられる。順洗とは、生体成分の濾過と同方向に洗浄液を流す洗浄方法であり、逆洗とは生体成分の濾過と逆方向に洗浄液を流す洗浄方法である。
洗浄効果の指標としては、例えば濾過・洗浄前後の透水量から求められる透水量回復率を用いる事ができる。透水量回復率は、下式(1)により求めた。
Figure 2005040756
透水量とは1分間、1mあたりに濾過される注射用水の量(ml/min/m)の事である。WFR(R)が高いほど、濾過・洗浄前の状態に回復されたことを示す。洗浄効果は、ブランクフィルターのWFR(R)の平均±2×標準偏差内であれば洗浄できたと判断することができる。
ブランクフィルターとは、蛋白濾過及び洗浄を行っていない、未使用フィルターの事である。
本発明に係る完全性試験法は、多孔性分離膜の除去性能を確認できる方法であれば特に制限されないが、例えば粒子濾過法あるいはバブルポイント法、プレシャーホールド法、フォーワードフロー法等を挙げる事ができる。好ましくは、粒子濾過法である金コロイド法あるいはフォーワードフロー法であるLiquid Forward Flow Rate(LFR)法が挙げられる。
金コロイド法とは、ウイルスと同程度の粒径である金コロイド粒子を利用し、膜が有する孔径分布の大きい孔の変化を測定する方法である(非特許文献1)。
すなわち、金コロイド粒子をフィルターで濾過し、濾過前の溶液に存在する金コロイド量と濾液に存在する金コロイド量から、フィルターの金コロイド除去性能を測定する方法である。
金コロイドの対数除去率は、下式(2)により求めた。
Figure 2005040756
金コロイド測定の判断は、ブランクフィルターのΦの平均±2×標準偏差内であれば金コロイド測定が可能であると判断した。
金コロイド測定を行う時のフィルター内のpHは、金コロイド測定に影響しないpHであれば特に制限されないが、好ましくは、pH5〜pH11が良い。
LFR法とは、液体−液体の低い界面張力を利用し、膜が有する孔径分布の大きい孔の変化を測定する方法である(非特許文献2、非特許文献3)。すなわち、図1に示されるように、表面張力の近似した液体AとBの界面張力γで、圧力Pを掛けると、
Figure 2005040756
に相当する直径D以上の孔からAの液が流出する。Aの液の流出量変化は、直径D以上の孔の割合変化を反映する。LFRとは、1分間、1mあたりに流出するAの液の量(ml/min/m)の事である。
LFR測定の判断は、ブランクフィルターのLFRの平均±2×標準偏差内であればLFR測定が可能であると判断した。
LFR測定を行う時のフィルター内のpHは、LFR測定に影響しないpHであれば特に制限されないが、好ましくは、pH3〜pH10が良い
濾過圧力は、多孔性分離膜の構造に影響しない圧力であれば特に制限されないが、セルロース膜の場合は100kPa以下、ポリフッ化ビニリデン膜やポリスルホン膜の場合は300kPa以下で使用する方が好ましい。
本発明に係る生体成分としては、蛋白、脂質、糖質、核酸を挙げる事ができる。蛋白としては、酵素、抗体、血液凝固因子、インターロイキンやエリトロポエチン等のサイトカイン等が挙げる事ができる。また、脂質としては、長鎖脂肪酸やリン脂質が挙げる事ができる。また、核酸としては、DNAやRNAが挙げる事ができる。特に、グロブリンやアルブミン等の蛋白に対して有効である。
Animal Cell Technology: Basic & Applied Aspect、 Vol.4、15(1992) J.Membrane Science、40、277−295(1988) J.Membrane Science、41、69−86(1989)
本発明を次に実施例及び比較例によって説明するが、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
WO01/14047公報に記載の方法で、平均孔径18.5nmを有する銅アンモニア法再生セルロース多孔性分離膜を製造し、膜面積0.01mのフィルター(フィルターA)に成型した。
使用する注射用水及び3wt%のウシグロブリン、洗浄液はあらかじめ4℃に冷却した。洗浄は全て4℃の恒温室で行った。フィルターAを用いて、注射用水(大塚化学製)を濾過圧力19.6kPaで濾過し、透水量を求めた。次に、3wt%のウシグロブリン(インビトロジェン製)を濾過圧力49kPaで10ml濾過した後、濾過圧力78.4kPaで0.25Mの水酸化ナトリウムと0.5wt%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルからなる洗浄液を10ml濾過した。その後、濾過圧力78.4kPaで注射用水を30ml濾過してフィルター内部の洗浄液を除去し、濾過圧力19.6kPaで透水量を求めた。また5本のブランクフィルターはウシグロブリン濾過及び洗浄を行わず透水量測定のみ行った。フィルターAのWFR(R)は98.4%、ブランクフィルターのWFR(R)は98.9±5.1%(mean±2SD)であった。
[実施例2]
実施例1で濾過、洗浄を行った後のフィルターAを用いて、LFR測定を行った。
水630gに硫酸アンモニウム(和光純薬製)190gを溶解し、イソプロピルアルコール(和光純薬製)180gを加えて30分間撹拌混合し、4℃で静置した。混合液が4℃になった時点で再び30分間撹拌した後、30分間静置して2相を分離させ、検査液を得た。
測定は全て4℃の恒温室で行った。初めに、検査溶液中の下層液を29.4kPaの圧力で濾過し、フィルターに充填されていた水を置換するとともに膜を充分に濡らした。その後、検査溶液中の上層液を膜の上流側から44.1kPaで押し込み、0.3ミリリットルの漏出に要する時間を測定し、1分間、膜面積1平方メートル当たりの漏出速度を算出した。同じLFRの方法で5本のブランクフィルターを測定した。その結果、フィルターAのLFRは5.46ml/min./m、ブランクフィルターのLFRは5.50±0.68ml/min./m(mean±2SD)であった。
[実施例3]
実施例1で濾過、洗浄を行った後のフィルターAを用いて、金コロイド測定を行った。金コロイドの調製は以下の通りに行った。
6.0mMの塩化金酸水溶液80gと注射用水320g、4%のクエン酸ナトリウム水溶液15.9gを混合し、70℃±2℃で60分間撹拌した。撹拌後、水浴で15分間冷却し、30%のポリビニルピロリドンK−15(東京化成製)水溶液39.8gを添加した。その混合液を十分に撹拌した後、5.4%のドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬製)水溶液24.0gを添加する。溶液のpHを4.7〜5.3に調整し、赤紫色の金コロイド水溶液(A)を得た。金コロイドの平均粒径は22.5nmであった。さらに、金コロイド水溶液(A)10mlと0.271%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液90mlを混合し、4℃まで冷却して検査液を得た。
検査液を26.7kPaの圧力で濾過する。5mlを流してフィルターに充填されていた水を置換した後、次の5mlを分取した。その濾液の526nmの吸光度を測定し、金コロイドの対数除去率(Φ)を算出した。同じ金コロイド測定方法で5本のブランクフィルターを測定した。その結果、フィルターAのΦは2.40、ブランクフィルターのΦは2.37±0.11(mean±2SD)であった。
[実施例4]
特開平4−371221号公報に記載の方法で、平均孔径35.4nmを有する銅アンモニア法再生セルロース多孔性分離膜を製造し、膜面積0.01mのフィルター(フィルターB)に成型した。
使用する注射用水及び5wt%のウシグロブリン、洗浄液はあらかじめ4℃に冷却した。洗浄は全て4℃の恒温室で行った。フィルターBを用いて、注射用水(大塚化学製)を濾過圧力19.6kPaで濾過し、透水量を求めた。次に、5wt%のウシグロブリン(インビトロジェン製)を濾過圧力49kPaで200ml濾過した後、濾過圧力78.4kPaで0.25Mの水酸化ナトリウムと0.5wt%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルからなる洗浄液を10ml濾過した。その後、濾過圧力78.4kPaで注射用水を30ml濾過してフィルター内部の洗浄液を除去し、濾過圧力19.6kPaで透水量を求めた。また、5本のブランクフィルターはウシグロブリン濾過及び洗浄を行わず透水量測定のみ行った。フィルターBのWFR(R)は96.4%、ブランクフィルターのWFR(R)は98.0±6.9%(mean±2SD)であった。
[実施例5]
実施例4で濾過、洗浄を行った後のフィルターBを用いて、LFR測定を行った。
水580gに硫酸アンモニウム(和光純薬製)240g、溶解しイソプロピルアルコール(和光純薬製)180gを加えて30分間撹拌混合し、4℃で静置した。混合液が4℃になった時点で再び30分間撹拌した後、30分間静置して2相を分離させ、検査液を得た。
測定は全て4℃の恒温室で行った。初めに、検査溶液中の下層液を29.4kPaの圧力で濾過し、フィルターに充填されていた水を置換するとともに膜を充分に濡らした。その後、検査溶液中の上層液を膜の上流側から68.6kPaで押し込み、0.3ミリリットルの漏出に要する時間を測定し、1分間、膜面積1平方メートル当たりの漏出速度を算出した。同じLFRの方法で5本のブランクフィルターを測定した。その結果、フィルターAのLFRは1.13ml/min./m、ブランクフィルターのLFRは1.02±0.20ml/min./m(mean±2SD)であった。
[実施例6]
実施例4で濾過、洗浄を行った後のフィルターBを用いて、金コロイド測定を行った。金コロイド検査液は、実施例3のクエン酸ナトリウム水溶液の量を13.1g、温度を78℃±2℃とした以外は同様の方法で調製した。その結果、赤紫色の金コロイド水溶液(B)得られた。金コロイドの平均粒径は32.7nmであった。
検査液を26.7kPaの圧力で濾過する。5mlを流してフィルターに充填されていた水を置換した後、次の5mlを分取した。その濾液の534nmの吸光度を測定し、金コロイドの対数除去率(Φ)を算出した。同じ金コロイド測定方法で5本のブランクフィルターを測定した。その結果、フィルターAのΦは2.93、ブランクフィルターのΦは3.15±0.30(mean±2SD)であった。
[実施例7]
実施例1のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルをポリオキシエチレン(2)(C12−15)アルキルエーテル硫酸ナトリウムに変えた以外、実施例1−3と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は98.4%、LFRは5.11ml/min./m、Φは2.33であった。
[実施例8]
実施例1のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルをポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンに変えた以外、実施例1−3と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は98.3%、LFRは5.05ml/min./m、Φは2.48であった。
[実施例9]
実施例1の水酸化ナトリウムを水酸化カリウムに変えた以外、実施例1−3と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は98.8%、LFRは5.25ml/min./m、Φは2.41であった。
[実施例10]
実施例1−3の温度を4℃から10℃に変えた以外、実施例1−3と同様の実験を行った。その結果、WFR(R)は98.6%、LFRは5.13ml/min./m、Φは2.30であった。
[比較例1]
使用する注射用水及び3wt%のウシグロブリンはあらかじめ4℃に冷却した。洗浄は全て4℃の恒温室で行った。フィルターAを用いて、注射用水(大塚化学製)を濾過圧力19.6kPaで濾過し、透水量を求めた。次に、3wt%のウシグロブリン(インビトロジェン製)を濾過圧力49kPaで10ml濾過した。次に、濾過圧力78.4kPaで注射用水を30ml濾過し、その後、濾過圧力19.6kPaで透水量を求めた。WFR(R)は70.3%であった。
[比較例2]
比較例1の方法で濾過、注射用水のみで洗浄した後のフィルターAを用いて、実施例2−3と同様の実験を行った。その結果、LFRは2.78ml/min./m、Φは3.45であった。
[比較例3]
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルの代わりにドデシル硫酸ナトリウムを使用した以外、実施例1と同様の洗浄を行った。その結果、洗浄液に沈殿が発生し、洗浄する事ができなかった。
本発明により、ウイルス除去から完全性試験までの一連の作業を低温で行う事ができる。その結果、熱不安定な物質(例えば、グロブリンやエリスロポエチン、インターロイキン等のバイオ製剤)を失活させる事なく製造する事ができ、かつ、ウイルス被液や設備汚染の可能性を減じることができる。
LFR法の原理を説明する模式図。D = 4Kcosθ×γ/P(D:検出孔径、K:形状因子、θ:接触角、γ:界面張力、P:圧力)

Claims (5)

  1. 以下の工程からなるウィルス除去および完全性試験のシステム。
    (a)0〜15度において、多孔性分離膜フィルターを用いてウィルス除去処理を行う工程
    (b)0〜15度において、界面活性剤とアルカリ性物質を含む洗浄液を用いて、多孔性分離膜フィルターの洗浄を行う工程
    (c)0〜15度において、多孔性分離膜フィルターの完全性試験を行う工程
  2. 多孔性分離膜が、10〜100nmの孔径を有するセルロース膜であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 界面活性剤が、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(2)(C12−15)アルキルエーテル硫酸ナトリウム、あるいは、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜2に記載のシステム。
  4. アルカリ性物質が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3に記載のシステム。
  5. 完全性試験が金コロイド法あるいはLiquid Forward Flow Rate法である請求項1〜4に記載のシステム。

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