JP2007263898A - 膜の性能および完全性試験用の水酸化第二鉄コロイド粒子を分散した水溶液およびその製法 - Google Patents

膜の性能および完全性試験用の水酸化第二鉄コロイド粒子を分散した水溶液およびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】
膜の微粒子除去能を確定する性能試験および使用後の膜が微粒子除去性能においてあらかじめ設定内であることを確認する完全性試験の新しい方法を提供する。
【解決方法】
平均粒子径9〜70nmの水酸化第2鉄コロイド粒子を含む水溶液を試験液として粒子除去性能を測定する。該コロイド粒子を安定させる複数の水溶性成分を含むことによってコロイド粒子の安定化を増加させる。この水酸化第2鉄コロイド粒子の粒子径を2価の鉄イオン濃度と3価の鉄イオン濃度の混合比で制御して作製した水溶液を用いて膜の粒子除去性能を評価する
【選択図】 図1

Description

本発明は微粒子除去を目的とした平均孔径5nm以上200nm以下の高分子多孔膜を使用後または使用前に行う膜の完全性試験または膜のウイルス除去の性能試験に供する水溶液とその製法に関する。除去対象とする微粒子とはウイルスや細菌などの感染性粒子あるいはタンパク凝集体,タンパクと他の分子との複合化した凝集体や無機粒子である。これらの微粒子を膜によって除去する技術を提供したりあるいはその技術を適切に利用したりする際には、膜の供給側は膜の微粒子除去性能を評価(この評価試験を性能試験と略称)したり、あるいは膜の使用者側は膜が適切に使用されたことを確認する完全性試験を実施することが必要である。
本発明は膜の微粒子除去性能試験および完全性試験用に供する水溶液を与えさらに該水溶液の製法を提供する。該水溶液中には指定された大きさ(通常5〜100nm直径)をもつ微粒子を含み、その微粒子が安定に分散していなくてはならず通常1週間以上は平均の粒径は変化しないことが必要である。
膜分離技術は分離に要するエネルギーが小さいこと、温和な条件での分離であることにより生物資源を利用する分野に利用されている。特にバイオ医薬品や飲食品分野の精製工程では多用されている。これらの分野での膜技術は、感染性粒子(ウイルム,細菌,プリオンなど)を除去することにより安全性対策上不可欠である。実際に市場ではウイルス除去膜や除菌用フィルターとして膜を用いた濾過技術(膜濾過技術と略称)としてバイオ医薬品の製造工程で利用され、この分野では使用後の膜の完全性試験が義務付けられている。
従来より提案された膜の完全性試験法には、直接法と間接法との二種類がある。直接法とはある特定の大きさを持つ微粒子を同じ大きさのウイルスのモデル物質とみなし、この微粒子を分散した水溶液を用いた膜の微粒子除去性能試験である。完全性試験の性格から膜としては使用後の膜である。実際に使われている微粒子は金コロイド粒子である。(特許文献1)一方、性能試験は膜の使用前に膜のメーカーが起う試験であり、この金コロイド粒子を用いる場合には膜の性能試験の直接法である。性能試験の直接法において技取り検査では金コロイド粒子が採用されているが全数検査での直接法は開発されていない。
間接法による完全性試験では微粒子の除去性能を測定する代りに、孔特性に関連した物性値を測定することによって間接的に使用後の膜についての微粒子の除去性能が設定された基準以上であることを確認する試験法である。たとえば膜中の孔を介して2種の液体相を接触させた際に生じる界面張力が既知であれば2液体の一方を加圧して最初に加圧された液体が孔を通過する瞬間の圧力を測定すれば最大孔径が定まる。この圧力が所定の圧力以上であることによって膜中の最大の孔の大きさが設定された孔径内であることが原理上確認できる。(特許文献2)
間接法での実際の測定では一定の膜間差圧を与えた際の液体の膜透過速度を測定する場合が多い(特許文献2)。しかしこの方法では界面張力が重要であるため使用後の膜の洗浄と測定時の温度制御が必要であり、しかも測定後の膜は測定時に使用していた液体で汚染される。また界面張力の大きな液体(例、水など)の場合には膜への負荷圧力が大きくなるため完全性試験によって孔が力学的に変形あるいは破壊される。したがってこの方法も破壊試験となるため全数検査が必要な性能試験としては使えない。
全数検査で性能試験としての非破壊の間接法の例として、孔を介しての気体と液体との表面張力を利用して最大径またはその近傍の孔を上述の液/液界面での間接法の場合と類似の気/液界面での気体の透過速度を測定する検査法も実際の膜の製造現場では利用されている。しかしこの方法では膜としては乾燥状態であることが必要であり、かつ膜間差圧も数気圧〜十数気圧必要なためこの方法は完全性試験には使えない。
本発明でいう膜分離技術とは(1)圧力差を物質移動の駆動力として孔径と粒子径との関係で物質を分離する膜濾過技術と、(2)濃度差を物質移動の駆動力とし、分子あるいは粒子自体の持つ熱運動性(いわゆるブラウン運動の激しさ)の差を利用した分離と膜中の孔の径と粒子径との関係で生じるふるい効果によって分離する孔拡散技術と(3)半透膜をへだてた濃度差を物質移動の駆動力として、膜と物質との親和力差と膜素材高分子の熱運動性(ミクロブラウン運動の激しさ)で生じる自由体積の空間部の大きさと分子の大きさとの差で分子を分離する拡散透析技術とを意味する。
従来から提案されていた直接法あるいは間接法の完全性試験法ではいずれの方法でも使用後の膜を洗浄して完全性試験の正確度を高めなくてはならない現状である。その理由は直接法では(A)採用されている微粒子が金コロイド粒子であること,(B)膜分離技術として膜濾過技術を採用しているためである。(A)の理由は金コロイド粒子とタンパク質との相互作用が強く(特にグロブリンとは吸着する)膜表面や内部の孔にタンパクが残存すると見掛上微粒子除去能は増加するためである。(B)の理由は濾過により膜表面には濃度分極により水溶液中の溶解成分が高濃度に局在化し、また膜中の孔には微粒子が目詰まりを起こして残留しているためである。
特開2005−40756 特開17−132215
一度微粒子除去用として使用された膜に対して再生処理した膜が再び微粒子除去用として再利用することができるがどうかを決定する試験法を開発することができればこの分野での膜の再利用の道が開ける。従来、膜を使用した後に行われる完全性試験では、この試験自体が膜の孔構造を破壊するものと考えが定着していた。すなわち微粒子除去用としての膜の再利用が可能になるにはまず完全性試験法が非破壊試験であることが必要である。膜の供給側である膜の製造者は非破壊型試験で間接法による性能試験を行っているが、この場合には性能試験後の膜の表面および内部が清浄で未使用状態と同一の状態であることか必要である。性能試験では膜の状態が未使用状態を前提としているためこの方法は完全性試験としては利用できないとされている。結局は適切な完全性試験法がないため膜はシングルユースであるとする膜の製造者の指導に従っているのが現状である。
本発明では非破壊試験で、しかも直接法による試験用の水溶液を提供することにより、膜の微粒子除去用としての再使用の可能性を阻外する上述の問題を解決する。すなわち本発明の第1の特徴は微粒子除去を目的とした膜に対して膜製造者が行う使用前の膜の直接法の除去性能試験と膜の使用者が行う使用後の膜の完全性試験との共通の試験用水溶液を与える点にある。非破壊型の試験法であるためには、水溶液中には試験後に簡単に除去できる微粒子を分散しているのが望ましい。また試験法としては濾過法よりも孔拡散法の方が膜中の粒子除去が容易なために望ましい。同じ理由で膜の使用方法も孔拡散法が望ましい。従来微粒子除去を目的とした膜分離技術は膜濾過法のみであったため孔拡散法が開発されるまで膜の再生使用の可能性はなかったといえる。
本発明の第2の特徴は、水溶液中に水酸化第2鉄コロイド粒子を分散させている点である。水酸化第2鉄コロイド粒子はほとんど無定形であるため、試験後に膜中に残存しても酸等により簡単に溶解除去できる。水酸化第1鉄は化学的に不安定で酸化され第2鉄に変化する。水酸化第2鉄コロイド粒子にすることにより水中の3価の鉄イオン濃度を0.1ppm以下に低下させることは可能である。透析によりさらに3価の鉄イオン濃度をさげることも可能である。水酸化鉄コロイド粒子を乾燥すると脱水や酸化状態が変化し、結晶化が進み、コロイド粒子は酸への溶解速度が著しく低下する。そのため試験後の粒子除去が困難となり破壊型の試験法となり好ましくない。水酸化第2鉄コロイド粒子を無定形状態に保持させておくことも重要である。
本発明の水酸化第2鉄コロイド粒子を作製するには第2鉄塩と第1鉄塩を溶解して水溶液中に塩基性物質を添加するか、水溶液を50℃以上に加熱すれば良い。PHの制御下でコロイド粒子を安定化させるための親水性物質をあらかじめ添加しておく、第1鉄塩と第2鉄塩の混合比は粒子径や磁性と結晶性を決定する重量な変数である。
本発明の第3の特徴は水酸化第2鉄コロイドの平均粒子径を9〜70nmの特定値に設定している点である。微粒子除去を目的とする膜の微粒子の具体的な種類として、細菌,マイコプラズマ,リケッチャ,クラミジア,ウイルス,プリオンその他タンパクの会合体や無機粒子等がある。これらの微粒子を除去する性能を膜が有することを確認するには、その対象とする微粒子径より小さな水酸化鉄コロイド粒子の膜除去性能によって確定される。この水酸化鉄コロイド粒子の除去機構はふるい効果のみであることが必要である。他の効果、例えば吸着効果によって除去される場合には膜の界面特性や微粒子界面の特性によって除去性能が変化するためである。すなわち試験法としては、除去性能に対して理論上予測性を持たなくてはならない。そのためにはふるい効果のみで粒子を除去する性能を確定し、他の除去機構が付与される場合には除去性能はふるい機構のみの場合の値以上となることが必要である。
除去対象のウイルスがHIV(粒径100nm),あるいは細菌類,マインプラズマ,リケッチャ,クラミジアであれば粒径70nmの水酸化鉄コロイド粒子をC型肝炎ウイルス(粒径35nm)あるいはB型肝炎ウイルス(42nm)であれば粒子径30nmのコロイド粒子を、ポリオウイルス(15nm)やA型肝炎ウイルス(20nm)やプリオン(10nm)については粒子径9nmを試験用水溶液に含まれるコロイド粒子の径として設定する。除去対象微粒子よりもわずかに小さいコロイド粒子を試験用の水溶液を用いることにより完全性試験および性能試験の信頼度が高くなる。
水酸化第2鉄コロイド粒子の粒子径は鉄塩水溶液中の2価の鉄イオン濃度と3価の鉄イオン濃度の比によって制御できる。3価の鉄イオン濃度比が大きくなると平均粒子径は小さくなる。鉄塩の組合せの例として塩化第1鉄と塩化第2鉄との組み合わせがコロイド溶液を調製し、コロイド粒子を安定化させるのに望ましい。
本発明の第4の特徴はコロイド粒子を安定化させる複数の水溶性成分を含んだ水溶液である点である。該水溶性成分として水素イオンが調整が容易であることとこのイオンを試験後膜中より除去するのは簡単である。水素イオンの濃度を10-4〜10−7モル/ℓ含むとコロイド粒子は電気的反揆力により安定化する。この範囲の水素イオン濃度は塩化第1鉄と塩化第2鉄の濃度さらに苛性ソーダやアンモニアを添加することによって実現される。
水酸化第2鉄コロイド粒子の安定度は下記の化合物を水溶液中に添加するかあるいはコロイド粒子発生の際にあらかじめ水溶液に加えていると良い。すなわちポリエチレングリコール,ポリビニールアルコールおよびポリビニールピロリドンなどの非イオン性の水溶性高分子,陽イオン界面活性剤,非イオン界面活性剤,陰イオン界面活性剤,両性イオン界面活性剤などの界面活性剤である。
完全性試験および微粒子除去性能試験とが非破壊でかつ試験前に膜を洗浄処理することなく実施する試験方法としては孔拡散技術であることが望ましい。
本発明の試験用水溶液は微粒子除去性能試験と完全性試験との両者に利用される。両試験方法の一致は膜の再生利用の道を開く。一方、現状の完全性試験においてのみ使用する場合でも従来法に比較して簡便で洗浄処理を必要としない。さらに性能試験において性能試験の直接法でかつ除去性能の検出感度として従来の金コロイドの10〜100倍の高い検出感度を与える。
塩化第一鉄水溶液と塩化第二鉄水溶液を混合し、その混合比率によって第一鉄イオン濃度と第二鉄イオン濃度との比を設定する。この水溶液に苛性ソーダ水溶液を添加して水溶液のPHを約5に設定し、ポリビニールアルコールを0.005〜0.02重量%の濃度になるように添加し、さらに陽イオン界面活性剤(日本油脂製カチオンAB)を約2重量%加え、80℃に加熱する。このように調整した後に純水で透析し溶解した鉄イオンを除去し、コロイド水溶液の鉄イオン濃度を0.1ppm以下にする。粒子径を動的光散乱法および電子顕微鏡で確定する。この水溶液を20℃で2ヶ月間保管し、その後平均粒子径の変化を測定しても10%以内である。
ミクロ相分離法で作製した再生セルロース多層構造平膜(例えば平均孔径30nm,空孔率65%,膜厚180ミクロン)の微粒子除去性能を孔拡散法で評価する。拡散液中の粒子濃度は以下のような錯体形式法を採用し、鉄イオンに換算で0.01ppmまで測定する。試験液中の鉄イオンに換算した粒子濃度を例えば200ppmとすると微粒子除去性能の測定は4logまで可能である。
微粒子除去性能を評価した後、0.1規定の塩酸を孔拡散式平膜モジュールに充填し、30℃で2時間ごとに内部の液を0.1規定の塩酸で置換を繰り返す。48時間この処理により流出する鉄イオン濃度は検出限界以下となり平膜は再生される。再生後の平膜モジュールで1重量%のガンマグロブリン水溶液を孔拡散法で微粒子除去する。拡散処理後、膜表面を純水を流すことで清浄化する。
上述のコロイド水溶液を用いて孔拡散法で完全性試験を実施する。拡散液中の水酸化第二鉄コロイド粒子濃度を測定するために拡散液中に1規定の塩酸を加えPHを約1に設定し、80℃に30分間加熱する。20℃に冷却後、少量のチオシアン酸ナトリウムを添加し着色する。着色した後に分光支度計を用いて吸着度を測定することによりあらかじめ求めた検量線より鉄イオン濃度を決定する。この方法で測定される鉄イオン濃度は0.01ppmである。
2種の塩化鉄塩(すなわちFeCl・4HOとFeCl・6HO)を水に溶解させる。この際3価の鉄イオンと2価の鉄イオンとの混合において3価の鉄イオンのモル相対濃度の8,33,50,67,92%になるように調整した。ただし2価と3価との両イオンの総和としての濃度は0.0045モル/lで一定にした。それぞれの溶液に0.1規定の苛性ソーダ溶液を加えてPHを約5.5になるように加えた。添加後の水溶液を80℃に1時間加熱した。溶液は黒色〜褐色に変化した。水溶液中には水酸化鉄コロイド粒子とわずかに残存する鉄イオンが共存しているためこれをセロハン(平均孔径2.5nm)を用いて透析した。透析後の水溶液を動的光散乱(DLS)を用いてコロイド粒子の平均粒子径を測定した結果、3価の鉄イオンの相対濃度8%のときには200nm,33%のときには50nm,50%のときには43nm,67%のときには25nm,92%で34nmであった。3価の鉄イオンと2価の鉄イオンとの比によって水酸化鉄コロイド粒子の平均粒子径を制御できることがわかる。
これらのコロイド水溶液を20℃で静置保存すると粒子径が大きいほど沈降が早く200nmの粒子径の溶液では1時間以内で沈降が認められた。平均粒径が25nmでは2ヶ月間はまったく変化が認められず2ヶ月後のDLS測定では平均孔径25nmと変化が認められなかった。ただし3ヶ月後には平均粒子径は30nm以上となり、粒子の凝集が起っていた。すなわちこの水溶液を完全性試験用として利用出来るのは調製後2ヶ月以内である。
実施例1と同様にコロイド粒子を作製する際、加熱前の水溶液中にポリピニールアルコールを0.01重量%添加して調整したコロイド粒子の水溶液は2ヶ月以上安定であった。この水溶液中に下記の物質を添加し、コロイド粒子の安定性を確認した。
(1)水による稀釈と濃縮・・・稀釈倍率10倍〜濃縮倍率10倍で安定
(2)食塩水添加・・・食塩濃度が1,2重量%以上で不安定化
(3)卵アルブミン水溶液・・・0〜1重量%で安定
(4)牛ガンマーグロブリン・・・10ppm〜0.1重量%で不安定で0.2重量%以上で安定
(5)牛胸腺由来DNA・・・5ppm以上で不安定
実施例2で得られたポリビニールアルコール添加の水酸化第二鉄コロイド粒子を含む水溶液はアルブミン水溶液から膜によってウイルス除去する場合の完全性試験に適することがわかる。特に膜表面に濃縮はほとんど起らない孔拡散法で使用された膜の使用後の膜の完全性試験用として、本水溶液は適する。グロブリンやDNAを含む液を膜処理(濾過や孔拡散)した後、膜に対しては、本水溶液を用いた完全性試験を行う前にあらかじめ膜を洗浄する必要がある。
実施例1と同様にコロイド粒子を作製する際に、加熱前の水溶液中にポリビニールアルコールを0.01重量%添加し、さらにカチオン性界面活性剤(商品名カチオンAB,日本油脂製)を0.56重量%添加した実施例と同様にコロイド粒子を含む水溶液を作製した。この水溶液中のコロイド粒子は室温で2ヶ月間以上安定である。この水溶液中に実施例2と同様に種々の物質を混入した場合の安定度を測定した。
(1)水による稀釈と濃度・・・稀釈倍率10倍〜濃縮倍率10倍で安定
(2)食塩水添加・・・食塩濃度1重量以上で不安定
(3)卵アルブミン水溶液・・・0〜200ppmで安定
(4)牛ガンマーグロブリン水溶液・・・0〜0.2重量%で安定
(5)牛胸腺由来DNA・・・5ppm以上で不安定
実施例2の場合と比較してグロブリンに対する安定性が増している。
膜表面に高分子物質が濃縮することのない孔拡散法で使用された膜では、膜表面を水で洗浄するのみで本実施例の水溶液で完全性試験を直ちに実施できる。ただしDNAを高濃度で含む液について膜処理を行った場合には、使用後には、ヌクレアーゼを含む酵素水溶液であらかじめ浸漬後、0.1規定の苛性ソーダ水溶液、0.1規定の塩酸水溶液で膜表面を洗浄し、最後に水で洗浄することが必要である。
バイオ医薬品製造工程の精製工程でウイルス等の感染性粒子を除去する膜の製造時に行う微粒子除去性能試験および膜の使用者が膜の使用状態が設定どおりであったことを確認するための完全性試験に利用される。
水酸化第2鉄コロイド粒子のモデル図
符号の説明
1:水酸化第2鉄コロイド粒子,2:正に荷電した粒子表面,3:親水性高分子
4:コロイド粒子を取り囲む親水層,5:安定化成分

Claims (4)

  1. 微粒子除去用膜の完全性試験用および微粒子除去性能試験用水溶液において平均粒子径9〜70nmの水酸化第2鉄コロイド粒子と該コロイド粒子を安定化させる複数の水溶性成分を含むことを特徴とする水溶液および該コロイドの平均孔径を2価の鉄イオン濃度と3価の鉄イオン濃度の混合比で制御することを特徴とする完全性試験用および微粒子除去性能試験用水溶液の製法。
  2. 請求項1において該コロイド粒子を安定化させる成分として水素イオンを10−4〜10−7モル/ℓ含むことを特徴とする水溶液であり、その水溶液を作製するために塩化第1鉄と塩化第2鉄の混合水溶液中に苛性ソーダあるいはアンモニアを添加させることをよって制御することを特徴とする水溶液の調製方法。
  3. 請求項1,2においてコロイド粒子を安定化させる成分が下記物質より選定されることを特徴とする完全性試験用水溶液。
    ポリエチレングリコール,ポリビニールアルコール,ポリビニールピロリドン,陽イオン界面活性剤,非イオン界面活性剤,陰イオン界面活性剤。
  4. 請求項1,2,3において完全性試験と微粒子除去性能試験とが孔拡散技術で行われる試験であることを特徴とする試験用水溶液。
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