JP2006046663A - 千鳥歯歯たけを有するかみあいクラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 噛み合わせを容易にするとともに、歯間のクリアランスまたはラッシュを低減して騒音および振動を減少させる。
【解決手段】 本発明は、第1のクラッチリングと第2のクラッチリングとを有するかみあいクラッチを含む。かみあいクラッチは、第1のクラッチリングに接続された第1の複数の歯をさらに含む。第1の複数の歯は、第1の歯群と第2の歯群を含む。第1の歯群は、第2の歯群よりも歯たけが高い。千鳥歯歯たけを有する構造は、歯のラッシュの少ない大きな有効係合領域を与える。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両用動力伝達機構に関し、さらに詳しくは千鳥歯歯たけを有するかみあいクラッチに関する。
図1、図2および図3を参照して、従来のかみあいクラッチの一部が示され、全体は参照符号10で示されている。かみあいクラッチ10は、第1のクラッチリング12と第2のクラッチリング14とを有する。第1の複数の歯16が第1のクラッチリング12に配置され、第2の複数の歯18が第2のクラッチリング14に配置される。かみあいクラッチ10が係合するとき、第1の複数の歯16と第2の複数の歯18とは、第1のクラッチリング12と第2のクラッチリング14とが接続され、もはや互いに相関させて回転できないようにともに歯合する。典型的な摩擦クラッチ(図示せず)とは異なり、かみあいクラッチ10は、係合の際にすべらない。
ほとんどの場合、第1のクラッチリング12は、第2のクラッチリング14と回転が一致しておらず、第1のクラッチリング12または第2のクラッチリング14は、第1の複数の歯16と第2の複数の歯18とを整列させるために、互いに相関させて回転させることが必要である。さらに詳しくは、第1のクラッチリング12は、第1の複数の歯16間に空間20を有する。第1のクラッチリング12と同様に、第2のクラッチリング14もまた第2の複数の歯18間に空間22を有する。図3に示されるように、かみあいクラッチ10の整列と係合とは第1の複数の歯16が第2のクラッチリング14の空間22内に移動することを必要とする。同様に、第2の複数の歯18は第1のクラッチリング12の空間20内に移動する必要がある。かみあいクラッチ10の整列と係合とを容易にするために、空間20,22は複数の歯16,18よりも大きい。歯16,18のそれぞれに対して空間20,22が大きくなるにつれて、クラッチ10を係合させることが容易になる。しかしながら、クラッチ10の歯間の相対的に大きな空間は、概して大きな騒音および振動をもたらす。
図2に参照されるように、クラッチリング12,14の形状は極座標で論じられることが理解されるであろう。そのようなものとして、複数の歯16,18の各歯は、クラッチリング12,14に、周方向に所定量の間隔を有することができる。さらに詳しくは、各歯は、たとえば約28度の周方向間隔(参照符号24で示す)を有することができ、一方で各歯間の空間20,22(参照符号26で示す)は約32度の周方向間隔を有することができる。この構成によれば、図2に示されるように各歯間に4度のクリアランスまたはラッシュ(lash)を有する6つの歯を有する。
上述のように、より多くのラッシュが存在すると、少ないラッシュを有する同様のかみあいクラッチと比べて、かみあいクラッチ10を噛み合せることが容易になる。しかしながら、より多くのラッシュによって、動きを生じる歯間の多くの間隔とその間での騒々しさとのために、騒音および振動がかみあいクラッチ10に生じる。騒音および振動を低減するために、歯間のラッシュを減らさなければならない。しかしながら、かみあいクラッチ10の各クラッチリング12,14が互いに相関させて回転し続け、かみあいクラッチ10が係合するまで騒音および振動を生成し続けるであろうので、ラッシュの減少はかみあいクラッチ1が係合することができないことに起因して、さらなる騒音および振動をも生成することがある。
本発明の目的は、噛み合わせを容易にするとともに、歯間のクリアランスまたはラッシュを低減して騒音および振動を減少させるかみあいクラッチを提供することである。
本発明は、第1のクラッチリングと第2のクラッチリングとを有するかみあいクラッチを含む。かみあいクラッチは、第1のクラッチリングに接続される第1の複数の歯をさらに含む。第1の複数の歯は、第1の歯群と第2の歯群とを含む。第1の歯群は第2の歯群よりも歯たけが高い。
さらに詳しくは、本発明は、
第1のクラッチリングと、
第2のクラッチリングと、
第1のクラッチリングに接続される第1の複数の歯とを含み、
第1の複数の歯は、第1の歯群と第2の歯群とを有し、
第1の歯群は第2の歯群よりも歯たけが高いことを特徴とするかみあいクラッチである。
本発明において,第1のクラッチリングと接続されるように構成される第2のクラッチリングに接続される第2の複数の歯をさらに含み、
第2の複数の歯は、第3の歯群と第4の歯群とを有し、
第3の歯群は第4の歯群よりも歯たけが高いことを特徴とする。
本発明において、第2の歯群の歯はそれぞれ、第1の歯群の各2つの歯の間に設けられることを特徴とする。
本発明において、第1の歯群の歯は、予め定めるエッジ処理部高さのエッジ処理部を有するエッジを含むことを特徴とすることを特徴とする。
本発明において、エッジ処理部はべべルであることを特徴とする。
本発明において、エッジ処理部は丸め部であることを特徴とする。
本発明において、第1の歯群は、少なくともエッジ処理部高さの2倍量分だけ第2の歯群よりも歯たけが高いことを特徴とする。
本発明において、第1の歯群の上面は第2の歯群の上面と平行であることを特徴とする。
本発明において、第1のクラッチリングは、第2のクラッチリングとの、時計まわり方向および反時計まわり方向のいずれか一方方向の相対運動によって、第2のクラッチリングと係合することを特徴とする。
本発明は、
歯たけの高い少なくとも2つの第1歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯とを有し、歯たけの低い第1歯がそれぞれ、歯たけの高い第1歯の各対の間に設けられる、第1のクラッチリングと、
歯たけの高い少なくとも2つの第2歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯とを有し、歯たけの低い第2歯がそれぞれ、歯たけの高い第2歯の各対の間に設けられる、第2のクラッチリングとを含むことを特徴とするかみあいクラッチである。
本発明において、歯たけの高い第1歯、歯たけの低い第1歯、歯たけの高い第2歯および歯たけの低い第2歯のそれぞれは、予め定めるエッジ処理部高さのエッジ処理部を有するエッジを含むことを特徴とする。
本発明において、エッジ処理部はべべルであることを特徴とする。
本発明において、エッジ処理部は丸め部であることを特徴とする。
本発明において、歯たけの高い少なくとも2つの第1歯は、少なくともエッジ処理部高さの2倍量分だけ、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯よりも、歯たけが高いことを特徴とする。
本発明において、歯たけの高い少なくとも2つの第2歯は、少なくともエッジ処理部高さの2倍量分だけ、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯よりも、歯たけが高いことを特徴とする。
本発明において、歯たけの高い少なくとも2つの第1歯の上面は、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯の上面と平行であることを特徴とする。
本発明において、歯たけの高い少なくとも2つの第2歯の上面は、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯の上面と平行であることを特徴とする。
本発明において、第1のクラッチリングは、第2のクラッチリングとの、時計まわり方向および反時計まわり方向のいずれか一方方向の相対運動によって、第2のクラッチリングと係合することを特徴とする。
本発明は、
歯たけの高い少なくとも2つの第1歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯とを有する第1のクラッチリングを準備し、
歯たけの高い少なくとも2つの第2歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯とを有する第2のクラッチリングを準備し、
第1のクラッチリングと第2のクラッチリングとをともに移動させ、
第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングのいずれか一方またはそれらの組合せを、歯たけの高い少なくとも2つの第1歯の側面が、歯たけの高い少なくとも2つの第2歯の側面に接触するまで回転させることを特徴とするかみあいクラッチの係合方法である。
本発明において、第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングのいずれか一方を回転させ、それらの間の相対運動が、時計まわり方向および反時計まわり方向のいずれか一方方向であることを特徴とする。
本発明によれば、上述のように構成することによって、噛み合わせを容易にするとともに、歯間のクリアランスまたはラッシュを低減して騒音および振動を減少させるかみあいクラッチを提供することができる。
本発明の適用のさらなる分野は、以下に与えられる詳細説明から明らかになるであろう。本発明の実施形態を示しているが、詳細説明および特定の実施例は説明の目的のためのみに意図されており、本発明の範囲を限定するために意図されていないということは、理解されるべきである。
本発明は、詳細説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面から充分に理解されるであろう。
種々の実施形態の以下の説明は、事実上、単なる例示に過ぎず、本発明、その適用または使用を限定することを何ら意図するものではない。
図4を参照して、車両102の底面から見た典型的な二段変速全輪駆動システム100が示される。車両102は、エンジン104と、変速機106と、センタディファレンシャル108および動力取出しユニット(PTU)110を有することができる駆動系とを含む。PTU入力軸112は、センタディファレンシャル108をPTU110に接続することができる。左半分シャフト114は、センタディファレンシャル108に回転可能に連結可能であり、前輪対118の左前輪116に駆動トルクを与える。右半分シャフト120は、PTU110を介してセンタディファレンシャル108に回転可能に連結可能であり、右前輪122に駆動トルクを与える。右前輪122と左前輪116との両方は、前輪対118を形成する。
駆動トルクは、PTU110から、第1のシャフト部分126と第2のシャフト部分128とをそれぞれ有することができるプロペラシャフト124を介して、駆動ユニット130に分配可能である。駆動ユニット130は、車両102の後車軸132に直接装着可能である。後車軸132は、ディファレンシャル134と、ディファレンシャル134に連結され、回転トルクを後輪対140の左後輪138に伝達する左後車軸シャフト136を含むことができる。後車軸132は、ディファレンシャル134に連結可能であり、駆動トルクを右後輪144に伝達する右後車軸シャフト142をも含むことができる。右後輪144と左後輪138との両方は、組合せて後輪対140を形成する。車両102およびPTU110およびセンタディファレンシャルのさらなる詳細を含む動力伝達機構の種々の構成のさらに詳細な説明は、2004年3月10日付け提出の米国特許出願「二段変速全輪駆動システム」(米国特許出願番号10/797,717)に開示されており、これは、本明細書に充分に記載されているかのように参照によって本明細書に組込まれる。
図5を参照して、第1のコネクタハーフ146は、プロペラシャフト124に連結され、第2のコネクタハーフ148に連結可能であり、該第2のコネクタハーフ148は、駆動ユニット130に関連して、プロペラシャフト124から駆動ユニット130への駆動トルクの伝達を容易にする。駆動ユニット130は、後車軸132のハウジングに接続可能であるハウジング150(図7で最もよく見える)を含むことができる。シャフトユニット152は、ハウジング150に連結可能である。駆動トルクは、駆動ユニット130を経て後車軸132を介して、後輪対140(図4に図示)に伝達可能である。シャフトユニット152は、たとえば車両102によって一般的に提供される電源から動作可能である電気アクチュエータを含むことができる。典型的なシャフトユニットは、マサチューセッツ州ボストンのJoseph Pollak Corporationから商業的に入手可能である。シャフトユニット152は、シフトフォーク154(図6でさらに詳細に記載)を平行移動させるリニアアクチュエータ(図示せず)を含むことができる。シフトユニット152の移動はリニアアクチュエータに限定されず、ソレノイドオペレータ、真空ダイヤフラム、油圧オペレータ、ケーブルまたは類似の適切な装置を用いて達成可能である。
図6を参照して、駆動ユニット130は、プラネットキャリア156を含むことができる。プラネットキャリア156は、複数のピン158を含み、各ピンは複数の遊星歯車160のうちの1つを軸受162で支持する。プラネットキャリア156は、リング歯車164内で回転可能である。第1のクラッチリング166は、複数の固定具(図示せず)によって接続され、またはプラネットキャリア156に適切に接続されてもよい。
シフトカラー168は、リング歯車164を噛み合って係合させることが可能であり、リング歯車内でシフト方向Aまたはシフト方向Bのいずれかに平行移動可能である。第2のクラッチリング170は、シフトカラー168の内面に、たとえば溶接または他の適切な固定技術によって固定的に接続可能である。第3のクラッチリング172は、第2のコネクタハーフ148に関する回転に対して固定的に連結可能である。太陽歯車軸174は、第2のコネクタハーフ148に関する回転に対して固定的に連結可能であり、第3のクラッチリング172、シフトカラー168、第2のクラッチリング170、第1のクラッチリング166、リング歯車164およびプラネットキャリア156のそれぞれを通って配置可能である。ここで、太陽歯車軸174の太陽歯車176は、複数の遊星歯車160と噛み合って係合する。シフトフォーク154は、一対の爪178を有することができ、該爪178は、シフトカラー168の環状溝180に、シフトフォーク154のシフトユニット152による変位がシフトカラー168を、図6に示されるように、シフト方向Aまたはシフト方向Bのいずれかに平行移動させるように配置可能である。
シフトフォーク154は、シフト方向Aに変位して、シフトカラー168および第2のクラッチリング170を、第2のクラッチリング170の複数のクラッチ歯182が第1のクラッチリング166の複数のクラッチ歯184を係合させる位置に平行移動することができる。シフト方向Aにおける変位は、リング歯車164をプラネットキャリア156にロックして、ハイレンジ、すなわち相対的に高い速度比における第2のコネクタハーフ148とプラネットキャリア156との間のトルク伝達を容易にする。したがって、シフト方向Aにおける変位は、プラネットキャリア156、リング歯車164および太陽歯車軸174のそれぞれの、相互間での相対運動のない回転をもたらす。
シフトフォーク154は、シフト方向Bに変位して、シフトカラー168および第2のクラッチリング170を、第2のクラッチリング170の反対側の複数のクラッチ歯186が第3のクラッチリング172の複数のクラッチ歯188を係合させる位置に平行移動することもできる。この位置において、リング歯車164は、遊星歯車160が減速およびトルク増加動作を行うことを可能にする静止状態でロックされ、駆動トルクがローレンジ、すなわち相対的に低い速度比における第2のコネクタハーフ148とプラネットキャリア156との間で伝達される。種々の代替実施形態において、第1のクラッチリング166が、第2のクラッチリング170を省略して、第3のクラッチリング172と接続してもよいことは理解されるであろう。さらに、第1のクラッチリング166および第3のクラッチリング172またはその組合せは、2つの部材の接続および切断を必要とする無数の応用例が適用され、その一例が図12に示される。
図7を参照して、後車軸132(図5)は入力ピニオン190を含むことができ、該入力ピニオン190はスプライン入力軸192を有することができ、該スプライン入力軸192は駆動トルクをディファレンシャル134(図5)に当該技術において周知の方法で伝達する。簡潔には、入力ピニオン190は、駆動トルクをディファレンシャル134のリング歯車(図示せず)に伝達することができ、ディファレンシャル134を後車軸132のハウジング内で回転させる。歯車装置(図示せず)は、一対のサイド歯車(図示せず)と複数のピニオン(図示せず)とを含むことができ、駆動トルクを左右の車軸シャフト136,142(図5)に伝達するのに使用することができる。ナットまたはボルトなどの固定具194は、プラネットキャリア156(図6)を入力軸192に固定的ではあるが着脱可能に連結するのに使用することができる。入力軸192は、プラネットキャリア156のあわせ内側スプライン部196を噛み合って係合させることが可能である。ハウジング150は、ハウジングフランジ198を含むことができる。車軸200は、ディファレンシャルフランジ204を含むことができるディファレンシャルハウジング202内で回転可能に接続される。ハウジングフランジ198およびディファレンシャルフランジ204は、複数の固定具206を用いてともに固定的ではあるが着脱可能に連結される。ハウジング150は、ディファレンシャルフランジ204のあわせ部210を摺動可能に係合させるパイロット部208も含むことができ、駆動ユニット130の種々の構成および後車軸132を参照符号Cで示される共通の中心線に関して整列させることを可能にする。
太陽歯車軸174は、軸受対212によって共通の中心線Cに沿ってハウジング150内で回転可能に支持可能である。軸シール214は、太陽歯車軸174とハウジング150との間の接合部を封止するのに使用可能である。太陽歯車軸174上の太陽歯車176は、複数の遊星歯車160と噛み合って係合する。遊星歯車160は、順に、リング歯車164の内側の歯付き表面(図6)と回転可能に係合する。リング歯車164は、第1の軸受216および第2の軸受218によってプラネットキャリア156の外周に回転可能に支持される。複数の固定具220は、第3のクラッチリング172をハウジング150の一部に連結するのに使用可能である。
図7は、ハイレンジすなわち高速モード運転時の駆動ユニット130の構成を共通の中心線Cよりも下の部分で示し、ローレンジ、すなわち低速モード運転時の構成を共通の中心線Cよりも上の部分で示す。ハイレンジ運転状態では、シフトカラー168は、第2のクラッチリング170と第1のクラッチリング160とがともに係合するように移動する。この状態において、第2のクラッチリング170の複数のクラッチ歯182は、第1のクラッチリング166の複数のクラッチ歯184と係合し、太陽歯車軸174を介して受取った駆動トルクが遊星歯車160を介してリング歯車164に伝達され、シフトカラー168からプラネットキャリア156に伝達される。これによって、プラネットキャリア156は駆動トルクを入力ピニオン190を介してディファレンシャル134にハイレンジで伝達する。
図7の共通の中心線Cの上側に示されるローレンジ、すなわち低速モード運転において、シフトカラー168は図7に示されるように左に変位し、第2のクラッチリング170のクラッチ歯186を第3のクラッチリング172の各クラッチ歯188と係合させる。第3のクラッチリング172はハウジング150に固定的に係合するので、これによってリング歯車164は、シフトカラー168を介してハウジング150に接地され、回転できない。したがって、太陽歯車軸174からの駆動トルクは、太陽歯車176を介して遊星歯車160に伝達され、直接プラネットキャリア156にローレンジで伝達されて、プラネットキャリア156が太陽歯車176に対して所定の速度比、たとえば、限定されるものではないが1:3の比で駆動される。
図8〜図12を参照して、第1のクラッチリング166と第2のクラッチリング170との位置は、2つのクラッチリング166,170の噛み合いの進展が見られるように示される。図8〜図12において、第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170の一部だけが示されており、第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170に対してそれぞれ3つの歯だけが示されていることは理解されるであろう。さらに、第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170の一方または両方が、対向するクラッチリングに向かって、電気アクチュエータ、ばねまたは他の適切な装置のいずれかによって付勢されてもよい。図8に見られるように、第1のクラッチリング166は第2のクラッチリング170とずれており、第1のクラッチリング166または第2のクラッチリング170が対向するクラッチリングに対して回転するまで、かみあいクラッチ222の係合は生じ得ない。図9に示されるように、第1のクラッチリング166または第2のクラッチリング170が他方のクラッチリングに対して回転し続ける。また、図12に示されるように、第1のクラッチリング166が第2のクラッチリング170と噛み合うまでクラッチが回転し続けることは理解されるであろう。さらに、第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170は、かみあいクラッチ222を時計まわり方向または反時計まわり方向に係合させるように、互いに相関させて回転させることができる。
かみあいクラッチ222の噛み合いを容易にするために、第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170は、参照符号224によって大略的に示される千鳥歯歯たけを有する構造を有する。第1のクラッチリング166は、第1のバッキング230に接続される複数の第1歯226および複数の第2歯228を含むことができる。各第2歯228はその間に位置する第1歯226よりも歯たけが低い。第2のクラッチリング170は、第2のバッキング236に接続された複数の第3歯232および第4歯234を有することができる。第1のクラッチリング166と同様に、各第4歯234はその間に位置する第3歯232よりも歯たけが低い。
第1のバッキング230に形成される第1のクラッチリング空間238は、第1のクラッチリング166の歯226,228間に設けられる。同様に、第2のバッキング236に形成される第2のクラッチリング空間240は、第2のクラッチリング170の歯232,234間に設けられる。図8〜図12に示されるような第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170に関して、歯226,228,232,234が、図6および図13に示されるような他の完全なクラッチリング166,170の単なる典型的な一部として示されることは理解されるであろう。
図8〜図12をさらに参照して、第1のクラッチリング166は、第2のクラッチリング170に対して移動して、2つのリング166,170と係合することができる。図8において、第1歯226のうちの1つの端面226aは、第3歯232のうちの1つの端面232aと接触する。この位置において、かみあいクラッチ222は、係合することができない。したがって、第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170は、互いに相関させて回転し続けなければならない。図9において、第3歯232のうちの1つは、第1歯226のうちの1つを越えて回転し続ける。かみあいクラッチ222は、この位置で係合しようとしてもよいが、たいていの場合、第1のクラッチリング166または第2のクラッチリング170への回転力は、クラッチリング166,170が回転し続けるように係合を妨げるであろう。
図10を参照して、第1のクラッチリング166は、第2のクラッチリング170に対して移動し続ける。第3歯232のうちの1つの端面232aは、第2歯228のうちの1つの端面228aと接触する。さらに、第4歯234のうちの1つの端面234aは、第1歯226のうちの1つの端面226aと接触する。この例において、かみあいクラッチ222は係合することは未だにできず、第1のクラッチリング166は第2のクラッチリング170に対して回転し続ける。
図11を参照して、第3歯232のうちの1つが第2歯228のうちの1つを過ぎて前進し、第3歯232のうちの1つの側面232bが第1歯226のうちの1つの側面226bと接触する。この例において、第1のクラッチリング166が、第1歯226のうちの1つと第3歯232のうちの1つとの間の干渉のために、もはや第2のクラッチリング170に対して移動することができないことは理解されるであろう。さらに、クラッチリング166,170のうちの一方または両方は、対向するクラッチリングに向かって付勢され、このことは、2つのリング166,170を図12に示されるような係合状態にするのをさらに助ける。
図12において、かみあいクラッチ222は係合する。たとえば、第1の部材242は第1のクラッチリング166に接続され、第2の部材244は第2のクラッチリング170に接続される。第1の部材242から伝達された回転力は、かみあいクラッチ222を介して第2の部材244に伝達されるであろう。
図13を参照して、第1のクラッチリング166は、図8に示されるような第1のクラッチリング166の一部と同様に構成されてもよく、第1のクラッチリング166の歯は、千鳥歯歯たけを有する構造224を有する。このようなものとして、参照符号246によって示される歯のたけが高くなると、参照符号250で示されるその間の空間をあけて、参照符号248によって示される歯のたけが低くなる。第1のクラッチリング166の円形の性質のためにそれを極座標で記述することは理解されるであろう。そのために、歯246,248は全クラッチリング円の約28度の周方向間隔をそれぞれ包含することができ、その間の空間250は参照符号250aによって示されるクラッチリング円の約32度の周方向間隔を有することができる。さらに、歯たけの高い歯246と歯たけの低い歯248との両方は、円弧状である。さらに詳しくは、歯たけの高い歯246は、上面246cで接触する2つの湾曲した側面246aと2つの真直ぐな側面246bとを有する。同様に、歯たけの低い歯248は、上面248cで交わる2つの湾曲した側面248aと2つの真直ぐな側面248bとを有する。
第1のクラッチリング166が図2に示されるような従来のクラッチリングと同様に構成された場合、空間250は、対向するクラッチリングが嵌まり込む係合溝を提供するであろう。図2の従来のクラッチの例では、係合溝は約32度であった。しかしながら、本発明において、係合溝は有効に拡大され、係合溝は与えられた実施例において参照符号250bによって示されるように92度に拡大される。
それぞれの対向するクラッチリングの歯たけの高い歯246(たとえば第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170の歯たけの高い歯226,232)が接触し、相互を過ぎて回転し続けるので、拡大された係合溝250bは動作可能である。また、第1のクラッチリング166または第2のクラッチリング170は対向するクラッチリングに近接して前進し、したがって第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170間の距離を近づける。この点において、歯たけの高い歯246は、歯に直に隣接する空間において噛み合い、または回転し続けて次の歯たけの低い歯248(たとえば図8における第1のクラッチリング166の歯228のうちの1つ)と接触することができる。
一旦歯たけの高い歯246が対向するクラッチリングの歯たけの低い歯248を越えて前進すると、歯たけの高い歯246は、対向するクラッチリングの次の歯たけの高い歯246の側面に遭遇するであろう。第1のクラッチリング166および第2のクラッチリング170は相互に向かって付勢されるので、歯間の干渉がかみあいクラッチ222を係合させる。歯たけの高い歯246は、それに接触した対向する歯たけの高い歯を越えてもはや回転できないので、かみあいクラッチ222は係合する。したがって、対向するクラッチリングは第1のクラッチリングの回転速度まで加速し、したがってかみあいクラッチは図12に示されるように噛み合う。一方、従来のかみあいクラッチ10(図1)では、歯は係合溝26(図2)に入り、または係合溝26を外れ、次の係合溝26が回転して下に来るまで待機しなければならない。
先に説明したように、係合溝は歯の係合溝への係合を促すために、歯よりも大きい。たとえば、係合溝26(図2)は、円形のクラッチリングの32度を占めることができ、歯は28度を占めることができる。この例によれば、歯と係合溝との間の全間隔は4度である。この4度の広い間隔はラッシュまたはクリアランスと呼ばれる。本発明において、クラッチリングの歯は、従来のかみあいクラッチ10で必要とされたような手法で係合溝に入る必要がないので、ラッシュおよびクリアランスを低減することができる。クリアランスまたはラッシュの低減は、歯と大きな係合溝との間の間隔のために騒音および振動の発生を改善する。さらに、第1のクラッチリングが係合前に第1の歯たけの高い歯および歯たけの低い歯の対を越えて回転することだけを必要とするので、騒音および振動はさらに低減される。一方、従来のかみあいクラッチ10は、歯が係合溝に入り、噛み合うまで、回転し続けなければならない。
図14を参照して、第1のクラッチリング166または第2のクラッチリング170のいずれからの典型的な歯が示され、参照符号252aによって示される。歯252aは、参照符号254によって示されるエッジ処理部を有する。エッジ処理部254は、面取り部または所定の半径への丸め部を含むことができる。エッジ処理が面取り、丸め、べべリングまたは他の適切なエッジ処理を含む場合、エッジ処理部254は参照符号256によって示されるエッジ処理部高さを有する。エッジ処理部高さは参照符号258によって示されるエッジ処理部254の開始から歯252の上面260までの距離で定義されることは理解されるであろう。その点を考慮すると、歯たけの高い歯252a(たとえば図8の第1歯226のうちの1つ)と歯たけの低い歯252b(たとえば図8の歯228のうちの1つ)との間の高さの差262は、エッジ処理部高さ256の約2倍以上である(すなわち高さの差262≧エッジ処理部高さ256の約2倍)。図15において、エッジ処理部254は、種々の形状の典型的なクラッチ歯264について示される。そのため、エッジ処理部254は、種々の角度266での面取り、丸めエッジ268および種々の形状のべべリングを含むことができる。
本発明の説明は、事実上、単なる例示に過ぎず、したがって、本発明の要旨から逸脱しない変形例は本発明の範囲内のものである。このような変形例は本発明の精神および範囲からの逸脱とはみなされない。
従来のかみあいクラッチの従来の第1のクラッチリングおよび従来の第2のクラッチリングの斜視図である。 複数のクラッチ歯とその間の空間を示す図1の第1のクラッチリングの正面図である。 ともに噛み合うように配置された図1の第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングの側面図である。 本発明の教示に従って構成された二段変速全輪駆動システムを有する車両の底面の部分平面図である。 本発明の教示に従って構成されたリアディファレンシャルに直接装着された駆動ユニットを示す図4の後車軸アセンブリの斜視図である。 図5の駆動ユニット分解図である。 ハイレンジ構造およびローレンジ構造を示す図6の駆動ユニットの断面図である。 かみあいクラッチのそれぞれの側の回転、接続および係合の経過をさらに示す、本発明の教示に従って構成されたかみあいクラッチの第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングの側面図である。 かみあいクラッチのそれぞれの側の回転、接続および係合の経過をさらに示す、本発明の教示に従って構成されたかみあいクラッチの第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングの側面図である。 かみあいクラッチのそれぞれの側の回転、接続および係合の経過をさらに示す、本発明の教示に従って構成されたかみあいクラッチの第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングの側面図である。 かみあいクラッチのそれぞれの側の回転、接続および係合の経過をさらに示す、本発明の教示に従って構成されたかみあいクラッチの第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングの側面図である。 かみあいクラッチのそれぞれの側の回転、接続および係合の経過をさらに示す、本発明の教示に従って構成されたかみあいクラッチの第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングの側面図である。 本発明の教示に従って構成された第1のクラッチリングの簡略化された正面図である。 エッジ処理部を示す本発明の教示に従って構成されたクラッチ歯の正面図である。 種々の代替エッジ処理部を示す図14のクラッチ歯の正面図である。
符号の説明
152 シャフトユニット
154 シフトフォーク
156 プラネットキャリア
158 ピン
160 遊星歯車
162 軸受
164 リング歯車
166 第1のクラッチリング
168 シフトカラー
170 第2のクラッチリング
172 第3のクラッチリング
174 太陽歯車軸
176 太陽歯車
178 爪
180 環状溝
182,184,186,188 クラッチ歯

Claims (20)

  1. 第1のクラッチリングと、
    第2のクラッチリングと、
    第1のクラッチリングに接続される第1の複数の歯とを含み、
    第1の複数の歯は、第1の歯群と第2の歯群とを有し、
    第1の歯群は第2の歯群よりも歯たけが高いことを特徴とするかみあいクラッチ。
  2. 第1のクラッチリングと接続されるように構成される第2のクラッチリングに接続される第2の複数の歯をさらに含み、
    第2の複数の歯は、第3の歯群と第4の歯群とを有し、
    第3の歯群は第4の歯群よりも歯たけが高いことを特徴とする、請求項1記載のかみあいクラッチ。
  3. 第2の歯群の歯はそれぞれ、第1の歯群の各2つの歯の間に設けられることを特徴とする、請求項1記載のかみあいクラッチ。
  4. 前記第1の歯群の歯は、予め定めるエッジ処理部高さのエッジ処理部を有するエッジを含むことを特徴とすることを特徴とする、請求項1記載のかみあいクラッチ。
  5. エッジ処理部はべべルであることを特徴とする、請求項4記載のかみあいクラッチ。
  6. エッジ処理部は丸め部であることを特徴とする、請求項4記載のかみあいクラッチ。
  7. 第1の歯群は、少なくともエッジ処理部高さの2倍量分だけ第2の歯群よりも歯たけが高いことを特徴とする、請求項4記載のかみあいクラッチ。
  8. 第1の歯群の上面は第2の歯群の上面と平行であることを特徴とする、請求項1記載のかみあいクラッチ。
  9. 第1のクラッチリングは、第2のクラッチリングとの、時計まわり方向および反時計まわり方向のいずれか一方方向の相対運動によって、第2のクラッチリングと係合することを特徴とする、請求項1記載のかみあいクラッチ。
  10. 歯たけの高い少なくとも2つの第1歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯とを有し、歯たけの低い第1歯がそれぞれ、歯たけの高い第1歯の各対の間に設けられる、第1のクラッチリングと、
    歯たけの高い少なくとも2つの第2歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯とを有し、歯たけの低い第2歯がそれぞれ、歯たけの高い第2歯の各対の間に設けられる、第2のクラッチリングとを含むことを特徴とするかみあいクラッチ。
  11. 歯たけの高い第1歯、歯たけの低い第1歯、歯たけの高い第2歯および歯たけの低い第2歯のそれぞれは、予め定めるエッジ処理部高さのエッジ処理部を有するエッジを含むことを特徴とする、請求項10記載のかみあいクラッチ。
  12. エッジ処理部はべべルであることを特徴とする、請求項11記載のかみあいクラッチ。
  13. エッジ処理部は丸め部であることを特徴とする、請求項11記載のかみあいクラッチ。
  14. 歯たけの高い少なくとも2つの第1歯は、少なくともエッジ処理部高さの2倍量分だけ、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯よりも、歯たけが高いことを特徴とする、請求項11記載のかみあいクラッチ。
  15. 歯たけの高い少なくとも2つの第2歯は、少なくともエッジ処理部高さの2倍量分だけ、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯よりも、歯たけが高いことを特徴とする、請求項11記載のかみあいクラッチ。
  16. 歯たけの高い少なくとも2つの第1歯の上面は、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯の上面と平行であることを特徴とする、請求項10記載のかみあいクラッチ。
  17. 歯たけの高い少なくとも2つの第2歯の上面は、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯の上面と平行であることを特徴とする、請求項10記載のかみあいクラッチ。
  18. 第1のクラッチリングは、第2のクラッチリングとの、時計まわり方向および反時計まわり方向のいずれか一方方向の相対運動によって、第2のクラッチリングと係合することを特徴とする、請求項10記載のかみあいクラッチ。
  19. 歯たけの高い少なくとも2つの第1歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第1歯とを有する第1のクラッチリングを準備し、
    歯たけの高い少なくとも2つの第2歯と、歯たけの低い少なくとも2つの第2歯とを有する第2のクラッチリングを準備し、
    第1のクラッチリングと第2のクラッチリングとをともに移動させ、
    第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングのいずれか一方またはそれらの組合せを、歯たけの高い少なくとも2つの第1歯の側面が、歯たけの高い少なくとも2つの第2歯の側面に接触するまで回転させることを特徴とするかみあいクラッチの係合方法。
  20. 第1のクラッチリングおよび第2のクラッチリングのいずれか一方を回転させ、それらの間の相対運動が、時計まわり方向および反時計まわり方向のいずれか一方方向であることを特徴とする、請求項19記載の方法。
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