JP2006045988A - レール締結装置 - Google Patents

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健丸 高橋
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Abstract

【課題】絶縁機能及び弛み防止機能を有するレール締結装置を提供する。
【解決手段】絶縁機能を有しレール1のフランジ部に絶縁ゲージブロック5を当接させ、枕木2に埋設固定され上面にねじ穴3bを有するショルダー3に跨って弾性変形可能にバネクリップ7を設置する。ショルダー3のねじ穴3bにねじ込まれたボルト6にナット9をねじ込みバネクリップ7を押圧する。絶縁ゲージブロック5とショルダー3にはそれぞれ規制部5a,3cを設けて水平位置を物理的に規制している。レール1は絶縁され且つ弛み防止されて締結される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄道等のレールを枕木に締結するためのレール締結装置に関する。更に詳しくは、レールを枕木に絶縁機能且つ弛み防止機能を有して締結するレール締結装置に関する。
鉄道等のレールは、従来から枕木に固定され、そのための締結具が種々使用されている。一般には弾性変形する押さえ板を介してボルトによりレールを枕木に締結するものである。この締結は枕木個々に施工され、レールにおける締結箇所は非常に多くなる。これは安全に関わるので、そのための規格も制定されている。この従来の締結構成の例を図8、図9に示す。
図において、レール50は枕木51との間にパッド52を敷設して枕木51に設置される。枕木51はコンクリート製であり、ナット体である埋め込み栓53が埋設固定されている。枕木51の上部には受け栓54が設置され、この受け栓54の凹部54aに支持された状態で板バネ55の一端が支えられる。この板バネ55の他端はレール50を弾性力で直接押圧する状態になっている。
一方、枕木51上部の受け栓54上にゲージブロック56がレール50と板バネ55との間に設けられ、板バネ55の所定位置を規制している。埋め込み栓53には六角ボルト57がねじ込まれ、板バネ55、ゲージブロック56を貫挿し板バネ55上部を座金58を介し弾性力に抗して押圧している。このように六角ボルト57を締め込むことにより板バネ55の弾性力でレール50を押圧し締結するのが従来のレール締結構成である。
六角ボルト57には板バネ55が弾性力により一方の側に押し付けられる構成になるので弛み防止がなされる。この構成は図に示すようにレールを挟んで対向する反対側にも施工されるようになっている。ねじによる締結方法は、ねじ締結の弛み対策は避けて通れない。このため前述のとおり、バネの弾性力を利用して弛みを防止する方法を講じているのであるが、しかし、確実に防止できる構成でないので、従来から弛みがしばしば生じている。そのため、点検作業は欠かせない状態である。
又、板バネがレールに直接接触しているので、板バネとレールは電気的に接続された状態(導通状態)にある。このため、受け栓又はバネ受け台、埋め込み栓等でレールとレールの締結具との絶縁処理を図っている。これらレール締結に伴う改善策は従来からも種々行われており、例えば、レール締結装置に改良を施したもの(特許文献1、2参照)、特に絶縁処置を施したもの(特許文献3、4参照)、弛みを検知するための検知装置を備えたもの(特許文献5、6参照)等が知られている。
特開平6−322703号公報 特開平8−049201号公報 特開2003−105702号公報 特開2000−265403号公報 特開平9−315304号公報 特開平9−089695号公報
前述の従来方式は長年の経緯で施工されているものであるが、完全なものではない。人命の安全に関わる装置であるのでメンテナンスは欠かせないが、特に弛み状態を確認するためにレールは常に定期的に検査を行わねばならない。レールは自然環境下に放置されているので、雨風等にさらされ予測のつかない事態に遭遇するおそれがある。
レールは信号等を流す媒体にも利用されていることから、絶縁性も要求される。従来のボルトによる締結は、ねじ山のピッチが定められている。このピッチは比較的大きいためナットとの摩擦力が小さくなる傾向にあり、弛みがちであった。前述の特許文献の技術は、部分的に改良はされているもののバネの弾性力による締結に変わりはなく、レールに対して物理的にずれを生じさせない締結技術は含まれていない。
又、絶縁性の関係においては、絶縁性に加え振動を防止することも含めて対策が施されることが多く、そのための種々の装置が提案されている。しかし、前述の特許文献の技術は弛みを止める根本的な解決策を組み合わせた構成のものではなく不完全である。又、一般的に板バネがレールに直接接触していることから、その絶縁性を実現させるために座金、受け栓、バネ受け台及び埋め込み栓等多数の他の部品に絶縁処理を施さねばならない問題点があった。
いずれにしても、構成が複雑になる傾向があり、また改善策も部分的で一方の機能のみであるなど完全なものではない。更に締結のために工数を多く必要とし、歪や振動、弛み防止の上ではまだ難点がある。前述の従来提案された技術であっても必ずしも確実性を満たすものではない。従って、メンテナンスを考慮して、締結に確実性が増すと、点検作業が楽になり、安全状態を長期間維持することが可能となる。
このように確実で安全性のある締結装置としては、振動、ショック等があっても弾性力による規制のみならず、物理的にずれることなく、結果的に弛まない方策、しかも絶縁性が維持された構成のものが理想の形で求められている。また定期的な管理頻度の少ない構成の装置であるものが要求されている。
本発明は、このような従来の問題点を解決するために想起されたもので、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、レールを弛むことなく確実に締結のできるレール締結装置を提供することにある。本発明の他の目的は、レールを簡素な構成で絶縁できる機能を有するレール締結装置を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1のレール締結装置は、レールを枕木に押圧固定する締結装置であって、
絶縁機能を有し前記レールのフランジ部に当接して前記枕木側に押し付けられ水平位置を規制するブロック規制部を有する絶縁ゲージブロックと、前記レールとの間で前記絶縁ゲージブロックを前記ブロック規制部で位置規制し、前記枕木に埋設固定され上面にねじ穴と上部規制部を有するショルダーと、前記上部規制部に水平位置規制されて前記ショルダーと前記絶縁ゲージブロックに跨り設置される弾性変形可能な押え部材と、この押え部材を弾性力に抗して押圧するため前記ねじ穴にねじ込まれるネジ体とからなる。
本発明2のレール締結装置は、本発明1において、
前記ショルダーの上部規制部は、前記押え部材を位置規制させるための凹部又は凸部状の規制部であることを特徴とする。
本発明3のレール締結装置は、本発明1において、
前記絶縁ゲージブロックのブロック規制部は、前記ショルダーに位置規制されるための凹部又は凸部状の規制部であることを特徴とする。
本発明のレール締結装置は、簡素な絶縁構造で、各構成体の位置を規制する構造にしたので、確実な弛み止めの行える締結構造になった。この結果、振動、ショックにも耐えて弛みが防止でき、しかも防蝕構造を有する構成となった。又、点検時期の間隔を長くとれるようになり、安全状態を長く維持できるようになったことから、メンテナンス性を向上させることができた。
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のレール締結装置の断面図である。図の右側が断面図で、左側は外形図となっている。図2はその部分平面図である。レール1を締結する対象物はコンクリート製の枕木2である。この枕木2には、金属の止め部材であるショルダー3が埋設固定されている。ショルダー3の埋設先端部3aは、2つの鉤状足部を構成し、コンクリート製の枕木2に埋設成形されたとき、枕木2から離脱しないように、枕木2と強固に一体化される構成になっている。
このショルダー3は枕木2に対し決められた位置に埋設され、上部にねじ穴3bが設けられたものである。又このショルダー3の上面の端部は上面規制部である突起部3cを構成している。このショルダー3はレール1を挟んで対称位置である反対側にも設けられている。この2つのショルダー3で挟まれたレール1の底部には枕木2との間にパッド4が敷設されている。
このパッド4は、例えば合成ゴム製のもので、振動の吸収性がよく絶縁機能(絶縁効果)を有するものである。レール1とショルダー3の間は空間になっていて、この空間に絶縁体である絶縁ゲージブロック5がはまり込んでいる。この絶縁ゲージブロック5、ショルダー3のレール1の長手方向に沿う両側には、凹部又は凸部状のブロック規制部5aが設けられていて、ショルダー3を挟持する状態ではまり込み、ショルダー3に対し前後左右方向の位置が規制されている。このため水平状態で位置がずれることは物理的に生じない。すなわち、水平面内又は略水平面内で、ショルダー3が絶縁ゲージブロック5の前後左右方向の位置を規制する構成になっている。
この絶縁ゲージブロック5を部品状態で示したのが図3である。又ショルダー3を部品状態で示したのが図4である。2つで構成されるブロック規制部5aがショルダー3を挟む状態で規制する。この規制により絶縁ゲージブロック5は前後左右方向、即ちレール1の長手方向とこの長手方向の直角方向が規制される。又、ショルダー3の上面には突起部3cが上面規制部として設けられている。この突起部3cはコ字状の形状で配置されていて、このコ字状内に後述するバネクリップ7の一端7bが当接される。この結果、バネクリップ7は前後左右方向、即ちレール1の長手方向とこの長手方向の直角方向の位置が規制される。
この絶縁ゲージブロック5のブロック規制部5aの凹凸部は、本実施の形態においてはショルダー3に対し凹部状であるが、凸部状であってもよい。ショルダー3側の凹凸は絶縁ゲージブロック5に対し反対の凹凸を有する構成となる。ショルダー3に交叉してはまりこむことにより、ずれを防止できる。この絶縁ゲージブロック5は例えばナイロン等で絶縁機能(絶縁効果)を有する材料で形成されているものである。絶縁ゲージブロック5は、押し付け部5bがレール1のフランジ部の上面に当接されている。
この絶縁ゲージブロック5がレール1とショルダー3の間に挿入されたことで、両者は電気的に遮断された状態となる。つまり、レール1と直接接触する部材はこの絶縁ゲージブロック5とパッド4のみである。この絶縁ゲージブロック5はレール1と当接する垂直部の厚さを異ならせておくと、レール1の位置調整が容易となる。ショルダー3のねじ穴3bにはボルト6がねじ込まれている。このボルト6は全長に亘ってねじの設けられたもので、その一端がねじ穴3bにねじ込まれ、他端は上部方向に突き出した構成になっている。
ショルダー3と絶縁ゲージブロック5に跨って押え部材であるバネクリップ7が設けられている。このバネクリップ7の中央部にはボルト穴7aが設けられ、このボルト穴7aにボルト6を貫挿させ、上方に突き出させている。このバネクリップ7は、弾性変形可能な略四角形状のバネ板である。即ち、外力で弾性変形はするが、外力が取り除かれた後は弾性力でもとの形状に復元する。バネクリップ7の一端7bはショルダー3の突起部3cに突き当てられている。
従って、バネクリップ7がショルダー3に取り付けられたときは、突起部3cへの突き当てでずれないように位置が規制された状態となる。この位置規制は水平状態で前後左右方向である。すなわち、水平面内又は略水平面内で、ショルダー3がバネグリップ7の前後左右方向の位置を規制する構成となっている。ボルト6がバネクリップ7の上面に突き出されているので、平座金8を介してナット9をねじ込むとバネクリップ7は弾性力に抗して押圧され、バネクリップ7は絶縁ゲージブロック5を押圧することになる。ボルト、ナットのネジピッチは、従来は比較的大きいピッチであるが、本発明の場合は小さいピッチにしている。
このため、締結の際の摩擦力が大きくなり締結力が高まる。結果的にバネクリップ7が押圧されるとレール1は押圧され枕木2に締結される。ナット9の締結が完了すると、従来はこの状態でレール1の締結完了となるが、本実施の形態の場合は更に弛み止めと防蝕処理を施している。ナット9締結後、このナット9を密閉するようにキャップ10を被せる。
このキャップ10は、図5、図6に図示しているように内部にセレーション10aが設けられている。図6は、図5の底面図である。六角形状のナット9に対し、被せた状態でナット9外形とセレーション10aが噛み合い、ナット9とキャップ10とは相対的に回転しない状態となる。又、キャップ10の一部が張り出し、先端部に突起部10bを構成している。張り出し部10cは、弾性変形可能な形状の部材となっていて、キャップ10がナット9に被せられたとき、突起部10bはバネクリップ7の下面にひっかかる状態となる。
即ち、この突起部10bは図5に示すように先端部が鉤状になっていて、途中の張り出し部10cは弾性変形するので、キャップ10がナット9にはめ込まれたとき先端の突起部10bは弾性変形し外側に広がりナット9、バネクリップ7に沿ってバネクリップ7の下面に導かれ、バネクリップ7に弾性力で閉じ係止される。従って、キャップ10がナット9に嵌め込まれると、ナット9はこのキャップ10に対して相対回転不可となり、且つ、キャップ10は突起部10bがバネクリップ7に係合することで、ナット9がバネクリップ7に対して回り止めされる。すなわち、ナット9がショルダー3等に対して回転して、ナット9に弛みを生じることが防止されている。
この結果、ナット9に振動等で弛み方向に回転させるような力が作用しても、前記ナット9外形とセレーション10aとの規制、及び突起部10bとバネクリップ7との規制により相互にずれて回転することが防止される。
本発明は、以上説明したようにバネクリップによるレール締結技術であるが、各締結部材は相互に物理的にずれが生じない規制構成で組み立てられている。このため、バネクリップが衝撃、振動等でも弛みの生じにくい構成になっている。
位置規制については、以上のようにバネクリップをショルダーの突起部に突き当て位置を規制することで説明したが、他の形態として図7に示すようにショルダー11に溝11aを設け、この溝11aにバネクリップ12の端部12aを差し込むようにして位置を規制する方法であってもよい。ショルダーの係合部分は凹部又は凸部のどちらの構成であってもよい形態である。
このように、本発明は物理的に形成された凹凸形状を有する規制部に相互に噛み合わせることで前後左右方向の位置ずれを防止する構成にしている。ナット9に対しても、ナット9とキャップ10のセレーション10a、バネクリップ7とキャップ10の突起部10bの2つの係合で、物理的にナット9の回転が防止できる構成になっている。従って、ナット9は振動等があっても弛みにくい構造になっているので、外部から強制的にこじられない限りは、弛むことはない。又、絶縁性においては、従来のように板バネを直接レールに当接するようにせず、絶縁ゲージブロックを介することでしかも位置ずれが防止された状態で絶縁状態を維持する構成になっている。このように簡素な形態にしており、他の部材に絶縁処理を施す必要はない。
以上、種々の形態について説明したが、本発明は、本実施の形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、ネジ体をボルトとナットで説明したが、構成が逆であってもよい。又、従来通りボルトとナットを一体化した頭付ボルトであってもよい。
図1は、本発明のレール締結装置の断面図である。 図2は、図1の部分平面図である。 図3は、絶縁ゲージブロックの外観図である。 図4は、ショルダーの外観図である。 図5は、キャップの断面図である。 図6は、図5の底面図である。 図7は、他の実施の形態の構成を示す断面図である。 図8は、従来の例を示す断面図である。 図9は、従来の例を示す平面図である。
符号の説明
1…レール
2…枕木
3…ショルダー
4…パッド
5…絶縁ゲージブロック
6…ボルト
7…バネクリップ
8…平座金
9…ナット
10…キャップ

Claims (3)

  1. レールを枕木に押圧固定する締結装置であって、
    絶縁機能を有し前記レールのフランジ部に当接して前記枕木側に押し付けられ水平位置を規制するブロック規制部を有する絶縁ゲージブロックと、
    前記レールとの間で前記絶縁ゲージブロックを前記ブロック規制部で位置規制し、前記枕木に埋設固定され上面にねじ穴と上部規制部を有するショルダーと、
    前記上部規制部に水平位置規制されて前記ショルダーと前記絶縁ゲージブロックに跨り設置される弾性変形可能な押え部材と、
    この押え部材を弾性力に抗して押圧するため前記ねじ穴にねじ込まれるネジ体と
    からなるレール締結装置。
  2. 請求項1に記載されたレール締結装置において、
    前記ショルダーの上部規制部は、前記押え部材を位置規制させるための凹部又は凸部状の規制部である
    ことを特徴とするレール締結装置。
  3. 請求項1に記載されたレール締結装置において、
    前記絶縁ゲージブロックのブロック規制部は、前記ショルダーに位置規制されるための凹部又は凸部状の規制部であること
    を特徴とするレール締結装置。
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