JP2006044509A - 車輌用シートバックフレーム及び車輌の騒音低減構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車室内の騒音低減に関し、レゾネータとしての容積を十分に確保でき、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音を効果的に低減すること。
【解決手段】 車輌のシートバックフレームに開口部を設け、シートバックフレームをレゾネータとして機能させる。シートバックフレームは一般に2〜4リットルの容積があるので、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音の低減に効果的である。
【選択図】 図2
【解決手段】 車輌のシートバックフレームに開口部を設け、シートバックフレームをレゾネータとして機能させる。シートバックフレームは一般に2〜4リットルの容積があるので、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音の低減に効果的である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車輌に搭載されるシートのフレーム構造に関し、特に、車輌内の騒音低減を図り得るフレーム構造に関する。
車輌のシートを構成するフレーム構造として、内部に補強リブが一体成形された中空構造の樹脂製フレームを用いることが提案されている。このような樹脂製フレームは主として車輌の軽量化の要請に応じて開発されたもので、補強リブを設けることで剛性を確保でき、従来採用されてきた金属製のパイプ、板材のみからなるフレームに代わるものとして普及しつつある。
一方、車輌内に伝播する騒音を低減すべく様々な騒音低減技術が提案されている。騒音低減技術の代表的なものとして、車輌内の一部の構成をレゾネータとして機能させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には車室内のコンソールボックスをレゾネータとして機能させる騒音低減技術が開示されている。また、車輌のトランクルームをレゾネータとして機能させる試みもなされている。
しかし、特許文献1のように車室内のコンソールボックスをレゾネータとして機能させる場合、一般にコンソールボックス自体が小形のものであるため、レゾネータとしての容積に限界がある。従って、騒音低減効果を期待できるターゲット周波数が限定され、例えば、ロードノイズのように比較的低周波数(150Hz〜300Hz程度)の騒音の低減効果は余り期待できない。一方、トランクルームをレゾネータとして機能させる場合は、レゾネータとしての容積を十分に確保し得るが、トランクルーム内に荷物が詰め込まれるとその容積が変化するため、騒音低減効果を狙うターゲット周波数を絞れない。
従って、本発明の目的は、レゾネータとしての容積を十分に確保でき、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音を効果的に低減することにある。
本発明によれば、正面部と側面部と背面部とを有し、内部に補強リブが一体成形された、樹脂製の中空構造をなす車輌用シートバックフレームにおいて、前記側面部又は前記背面部の少なくともいずれかに、内部空間と連通する少なくとも一つの開口部を有し、前記開口部の開口面積が、直径20mm乃至120mmの円の面積相当の面積を有することを特徴とする車輌用シートバックフレームが提供される。
この車輌用シートバックフレームによれば、その内部空間と連通する前記開口部を設けたことで、これをレゾネータとして機能させることができる。一般にシートバックフレームは2リットル以上の容積を有しており、レゾネータとしての十分な容積を確保できる。従って、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音も効果的に低減することができる。また、当該フレームは樹脂製の中空構造をなすため、車輌の軽量化を図れると共に、内部に前記補強リブが一体成形されているので、前記開口部を設けても、強度や剛性が維持される。
このように本発明は、フレームの軽量化、強度並びに剛性の維持を図りつつ、レゾネータとしての容積を十分に確保でき、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音を効果的に低減することができる。
本発明においては、前記開口部の開口面積が、直径40mm乃至60mmの円の面積相当の面積を有することが望ましい。この構成によれば、比較的低周波数(150Hz〜300Hz程度)の騒音に対して、一般的なフレーム容積である2〜4リットルの範囲について、より効果的な騒音低減効果を得ることができる。
また、本発明においては、前記開口部を、前記車輌用シートバックフレームの中央よりも上方に配設することが望ましい。この構成によれば、乗員の耳の位置に近い領域での騒音をより効果的に低減できる。
また、本発明においては、前記開口部を、前記車輌用シートバックフレームの中央よりも車輌の側方側に配設することが望ましい。この構成によれば、特にロードノイズの音源に近い、車輌の側方側の領域での騒音をより効果的に低減でき、ロードノイズの低減に効果的である。
また、本発明の車輌用シートバックフレームは、ブロー成形品であることが望ましい。この構成によれば、簡易に、より低コストで前記フレームを製造できる。
また、本発明においては、前記補強リブが、前記正面部と前記背面部とを接合して設けられ、かつ、前記内部空間を分断しないように配設されていることが望ましい。この構成によれば、レゾネータとしての容積を確保しつつ、前記フレームの剛性を維持できる。
また、本発明によれば、複数のシートを備えた車輌の騒音低減構造であって、前記複数のシートのうち、車輌内の騒音の音圧が他の領域よりも高い領域に位置するシートとして、側面部と背面部とを有し、内部に補強リブが一体成形された、樹脂製の中空構造をなすシートバックフレームであって、前記側面部又は前記背面部の少なくともいずれかに、内部空間と連通する少なくとも一つの開口部を有するシートバックフレームを備えるシートを配設したことを特徴とする車輌の騒音低減構造が提供される。
この騒音低減構造によれば、車輌内の騒音の音圧が他の領域よりも高い領域に位置するシートに、内部空間と連通する前記開口部が設けられた前記シートバックフレームを採用することで、これをレゾネータとして機能させることができる。一般にシートバックフレームは2リットル以上の容積を有しており、レゾネータとしての十分な容積を確保できる。従って、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音も効果的に低減することができると共に騒音の音圧が高い領域にこれを配設することで騒音をより効果的に低減できる。また、当該フレームは樹脂製の中空構造をなすため、車輌の軽量化を図れると共に、内部に前記補強リブが一体成形されているので、前記開口部を設けても、強度や剛性が維持される。
このように本発明は、フレームの軽量化、強度並びに剛性の維持を図りつつ、レゾネータとしての容積を十分に確保でき、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音を効果的に低減することができる。
本発明において、前記車輌はワゴン車又はハッチバック車であってもよい。この構成によれば、車室内の車輌前後方向における騒音の音圧レベル(モード)との関係により、騒音低減効果をより効果的に得られる。
以上述べた通り、本発明によれば、レゾネータとしての容積を十分に確保でき、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音を効果的に低減することができる。
図1(a)は車輌の車室内における、騒音の車輌前後方向の音圧レベル(破線)の例を示す図である。同図の車輌は車輌前後方向にシートが2列配置されたハッチバック車を想定しており、例えば、前列にはシートが2つ(運転席、助手席)、後列にはシートが2つ又は3つ、車幅方向に配置される。ハッチバック車や或いはワゴン車のように後部座席周辺の上方空間が高い車輌では、騒音の車輌前後方向の音圧レベルは、例えば、同図のように現れ、音圧が高い領域(音圧レベルの腹の周辺)と低い領域(音圧レベルの節の周辺)とが存在する。
以下に述べる本発明の実施形態に係るシートバックフレームは、音圧レベルの腹の位置又はその近傍のように、車輌内の騒音の音圧が他の領域よりも高い領域に位置するシートに用いられる。図1(a)の例の場合、前列及び後列のシートの双方において、音圧が高い領域に位置しており、そのいずれにおいても以下に述べるシートバックフレームを採用することができるが、例えば、後列のシートのみが車輌内の騒音の音圧が高い領域に位置している場合、後列のシートにおいてのみ以下に述べるシートバックフレームを採用してもよい。当該シートバックフレームは、セダン車等にも適用できるが、ハッチバック車や或いはワゴン車のように後部座席周辺の上方空間が高い車輌では、後部座席周辺において騒音の音圧が高くなる傾向にあり、このような車輌については後部座席について以下に述べるシートバックフレームを採用することが特に好適である。このような車輌の騒音低減構造を採用することにより、車室内の騒音を効果的に低減することができる。
図1(b)は本発明の一実施形態に係るシートバックフレームAを正面側から見た外観斜視図、図2(a)はシートバックフレームAの背面図である。シートバックフレームAは、樹脂製のフレーム本体10と、金属製の補強フレーム体20と、を備える。補強フレーム体20は、例えば、中空パイプ状の鋼管を曲折して構成され、実質的にフレーム本体10を取り囲むようにしてフレーム本体10の周縁に不図示の締結要素(ネジ等)により固定される。本実施形態の場合、補強フレーム体20は、第1のフレーム体21と第2のフレーム体22とから構成されている。
第1のフレーム体21は正面視で略方形状をなし、その右上部分が欠落した形状をなしている。第2フレーム体22は、第1のフレーム体21の右上の欠落した部分において、第1のフレーム体21の端部間を掛け渡すようにして第1のフレーム体に接合(例えば、溶接)されており、補強フレーム体20は全体として正面視で概ね方形状をなしている。
シートバックフレームAの正面視で右上部分には、シートベルトのリトラクタ(不図示)が配設されるリトラクタ支持部材30が配設されている。このリトラクタ支持部材30は、第1のフレーム体21の両端部に固定されたブラケット31により支持されている。シートバックフレームAの正面視で下端部左右には、シートバックフレームAを車体側に取り付けるための取付脚部40がそれぞれ配設されている。この取付脚部は第1のフレーム体21に固定されている。
次にフレーム本体10の構成について説明する。フレーム本体10は正面部11と、左右の側面部12と、背面部13と、を有し、樹脂製の中空構造を形成している。フレーム本体10はその内部に補強リブ14、15が一体成形されている。また、補強リブ14、15の途中には、補強リブ14、15の両側においてフレーム本体10の内部空間を連通させる連通部14a、15aがそれぞれ設けられている。図2(b)は図1(b)の線XXに沿う断面図(端面図)である。同図を参照して補強リブ14の構成について説明する。
本実施形態において補強リブ14は正面部11と背面部13とを接合して形成されている。具体的には、正面部11に直線的な溝状の凹部を設け、これを背面部13の内側表面に接合することで形成されている。本実施形態の場合、補強リブ14にはフレーム本体10を上下に略縦断するように配設されているものも含まれる。しかし、補強リブ14によりフレーム本体10の内部空間が完全に分断されないように、各補強リブ14には複数の連通部14aが設けられている。後述するようにフレーム本体10の容積はレゾネータとしての容積となるため、フレーム本体10の内部空間が完全に分断されないようにすることでレゾネータとしての容積を確保しつつ、フレーム本体10の剛性を維持できる。図2(b)に示すように連通部14aにおいても正面部11に凹部が形成されているが、これが背面部13の内側表面に接合されておらず、離間している。従って、補強リブ14の両側の内部空間は相互に連通しており、分断されていない。
補強リブ15も補強リブ14と同様の構成であり、正面部11に直線的な溝状の凹部を設け、これを背面部13の内側表面に接合することで形成されている。補強リブ15は補強リブ14よりも凹部の幅が狭く、また、フレーム本体10を上下に略縦断するように配設されているものはない。しかし、補強リブ15にも連通部14aと同様の連通部15aが設けられ、補強リブ15の両側の内部空間が相互に連通するように構成されている。
これらの補強リブ14、15の構成は上述した例に捕らわれず様々な例を採用することができる。例えば、上述した例では正面部11にのみ直線的な溝状の凹部を設けたが、背面部13にこのような凹部を設けて正面部11の内側表面に接合するようにしてもよい。また、正面部11と背面部13との双方に凹部を設けて凹部同士を接合する構成も採用できる。また、補強リブ14、15は必ずしも正面部11と背面部13とを接合するように形成しなくてもよいが、両者を接合することでより強度を高めることができる。なお、フレーム本体10は、例えば、ブロー成形法により中空状に成形されたブロー成形品であることが望ましい。ブロー成形法の採用により、比較的低コストで、薄肉で、補強リブ14、15を備えたフレーム本体10を比較的簡易に得ることができる。
次に、図2(a)を参照して、フレーム本体10の背面部13には内部空間と連通する開口部16が設けられている。本実施形態では開口部16は、背面部13を円形にくり抜くことで形成され、2つ設けられている。この開口部16は1つでもよいし3以上でもよい。また、本実施形態では開口部16を円形としているが、例えば、方形や三角形等、他の形状であってもよい。
フレーム本体10の内部空間は、この開口部16を除いて略密閉空間とされている。このため、開口部16を騒音の導入口としてフレーム本体10は車室内の騒音低減のためのレゾネータとして機能する。つまり、フレーム本体10内に入った所定周波数の騒音はフレーム本体10の内部空間で共鳴振動を起こして消音され、車室内の騒音を低減することができる。一般に、共鳴振動を起こす音の周波数fは、レゾネータの容積をV、管長をl、開口面積をS、音速をCとすると、以下の式で表せる。なお、図2(c)はレゾネータのモデル図である。
f=C/2π×√(S/l・V)
フレーム本体10では、その内部空間の容積がVに、背面部13の肉厚がlに、開口部16の開口面積がSに、それぞれ相当することになる。従って、フレーム本体10の内部空間の容積、背面部13の肉厚、並びに、開口部16の開口面積を適宜設定して、低減を図りたい騒音の周波数(以下、ターゲット周波数)にチューニングすることで当該周波数の騒音を低減できる。ここで、一般にフレーム本体10の内部空間の容積は2〜4リットル程度は確保できる。従って、本実施形態では特にロードノイズのように比較的低周波数帯(150Hz〜300Hz程度)の騒音にチューニングが可能であり、その低減が図りやすい。
f=C/2π×√(S/l・V)
フレーム本体10では、その内部空間の容積がVに、背面部13の肉厚がlに、開口部16の開口面積がSに、それぞれ相当することになる。従って、フレーム本体10の内部空間の容積、背面部13の肉厚、並びに、開口部16の開口面積を適宜設定して、低減を図りたい騒音の周波数(以下、ターゲット周波数)にチューニングすることで当該周波数の騒音を低減できる。ここで、一般にフレーム本体10の内部空間の容積は2〜4リットル程度は確保できる。従って、本実施形態では特にロードノイズのように比較的低周波数帯(150Hz〜300Hz程度)の騒音にチューニングが可能であり、その低減が図りやすい。
なお、ターゲット周波数を定める上記のパラメータのうち、フレーム本体10の容積、背面部13の肉厚は車輌の設計内容に左右されて制約が多い。従って、開口部16の開口面積を適宜設定してターゲット周波数に対するチューニングを行うのが最も実用的である。尤も例えば補強リブ14又は15によりフレーム本体10の内部空間を完全に分断して複数の空間を形成することでフレーム本体10の大きさを変えずに容積の調整も可能である。
次に、騒音低減効果の実験例について説明する。図3はその実験結果を示す図である。この実験は図2(c)のモデル図で示すようなレゾネータ(開口は一つ)を車室内のシートの位置に設置し、車室内にスピーカを設置して所定周波数の音を騒音の代わりに発生させ、車室内の騒音の状況を計測したものである。
図3(a)は、レゾネータの容積を1〜4.5リットル、管長を10mmとし、スピーカからの音の周波数と、レゾネータの開口面積(断面円形としその開口径)と、を適宜変更した時の車室内の騒音低減効果を測定した結果を示す。同図は、例えば、スピーカからの音の周波数が172Hzで開口径が20mm(開口面積≒314mm2)の場合、レゾネータを設置しない場合よりも約0.15dBだけ音圧が低減していることを示している。この結果から、開口面積が大きい方が低減効果が高く、また、同じ開口面積の場合ターゲット周波数が高い方が低減効果が大きいことが分かる。
次に、図3(b)は、スピーカからの音の周波数を100〜200Hzとし、レゾネータの容積、管長、開口面積(断面円形としその開口径)を適宜変化させた場合に、5dB以上の低減効果(車室内の騒音低減効果として実用上望ましい効果)が得られた組合せを示す。同図において、線L1乃至L4は、それぞれ管長が2mm、6mm、10mm、14mmの場合を示す。同図から、開口径20mm(開口面積≒314mm2)乃至120mm(開口面積≒2826mm2)の範囲では少なくとも実用上望ましい低減効果が得られたことと、管長を短くすると容積を大きくする必要があり、また、開口面積を大きくすると容積を大きくする必要があることが分かる。また、車輌のシートバックフレームの内部空間の容積として実用的な範囲である、2〜4リットルの範囲では開口径が40mm(開口面積≒1256mm2)乃至60mm(開口面積≒2826mm2)が適当であることが分かる。
次に、図3(c)は、レゾネータの容積を0.4〜2.1リットルとし、管長と、スピーカからの音の周波数と、レゾネータの開口面積(断面円形としその開口径)と、を適宜変更した時の車室内の騒音低減効果を測定した結果を示す。同図は、例えば、スピーカからの音の周波数が270Hzで開口径が40mm(開口面積≒1256mm2)、管長が100mmの場合、レゾネータを設置しない場合よりも約0.5dBだけ音圧が低減していることを示している。この結果から、管長は短い方が騒音低減効果があり(望ましくは100mm以下)、また、同じ管長、開口面積で比較した場合、ターゲット周波数が高い方が効果的であることが分かる。
以上のような実験結果から、フレーム本体10の開口部16の開口面積として、直径20mm乃至120mmの円の面積相当の面積があれば一定の騒音低減効果が得られる。また、フレーム本体10の容積として、一般的なシートバックフレームの容積の範囲(2〜4リットル)を考慮すれば、直径40mm乃至60mmの円の面積相当の面積が望ましいと言える。なお、本実施形態のように開口部16を複数設けた場合であっても、開口部16の開口面積はトータルではなく、各開口部16単位で上記範囲とすればよい。
このように本実施形態のフレーム本体10は、その内部空間と連通する開口部16を設けたことで、これをレゾネータとして機能させることができる。一般にシートバックフレームは2リットル以上の容積を有しており、レゾネータとしての十分な容積を確保できる。従って、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音も効果的に低減することができる。また、フレーム本体10は樹脂製の中空構造をなすため、車輌の軽量化を図れると共に、内部に補強リブ14、15が一体成形されているので、開口部16を設けても、強度や剛性が維持される。このように本実施形態は、フレームの軽量化、強度並びに剛性の維持を図りつつ、レゾネータとしての容積を十分に確保でき、ロードノイズのような比較的低周波数の騒音を効果的に低減することができる。
次に、開口部16の配設位置について説明する。開口部16はシートに着座する乗員の耳に近い位置に設けられることが望ましい。こうすることで乗員の耳の位置に近い領域での騒音をより効果的に低減できる。図2の例では開口部16をいずれもシートバックフレームAの中央よりも上方に配設しており、乗員の耳により近い位置に配設している。
また、開口部16は車外に近い位置に設けられることが望ましい。つまり、開口部16を、シートバックフレームAの中央よりも車輌の側方側に配設することが望ましい。こうすることでロードノイズの音源に近い、車輌の側方側の領域での騒音をより効果的に低減でき、ロードノイズの低減に効果的である。図2の例では開口部16を中央部近傍と、リトラクタ支持部材30(車輌の側方側)近傍とに設けており、リトラクタ支持部材30近傍の開口部16は車輌の側方側に位置している。
また、開口部16はフレーム本体10の背面部13ではなく、側面部12に設けてもよい。図5(b)は側面部12に開口部16’を設けた例を示す、シートバックフレームAを正面側から見た外観斜視図である。また、背面部13と側面部12との双方に設けてもよい。要するに、車輌のシートとして完成された時に、騒音が入るように、外部に露出できる部位であることが必要であり、正面部11には通常、クッションや、皮、合成皮革、布等で覆われてしまうため、正面部11に開口部16を設けても通常はレゾネータとしての機能は得られない。
次に、開口部16の周囲の補強リブの配設例について説明する。図4(a)及び(b)並びに図5(a)は開口部16の周囲の補強リブの他の配設例を示す、シートバックフレームAの背面図である。まず、図4(a)の例は複数の補強リブ50及び51が設けられている。補強リブ50は、図2(a)に示す補強リブ14、15のように上下方向のみに配設されておらず、その長手方向が上下又は左右のいずれかを向くように配設されている。そして、開口部16の周囲にこの補強リブ50を配設しており、開口部16から入る騒音が補強リブに干渉せずに伝播する空間が図2(a)の場合よりも多方向に渡っている。これにより、開口部16から入る騒音をフレーム本体10の内部空間全体に伝播し易くすることができ、その容量に応じた騒音低減効果を得られ易い。また、開口部16の周囲の剛性を多方向で高めることができる。
次に、図4(b)の例は、複数の補強リブ60及び61が設けられている。補強リブ61は上述した補強リブ14と同様のもので長さが異なるものである。補強リブ60は、開口部16の周囲において開口部16を中心として放射状に配設されている。この構成により、開口部16から入る騒音が補強リブに干渉せずに伝播する空間が図2(a)や図4(a)の場合よりも多方向に渡っている。これにより、開口部16から入る騒音をフレーム本体10の内部空間全体に伝播し易くすることができ、その容量に応じた騒音低減効果を得られ易い。また、開口部16の周囲の剛性も高められる。
次に、図5(a)の例は、開口部16の周囲に複数の補強リブ70が設けられている。補強リブ70は開口部16を一部を除いて取り囲むように設けられている。同図の例の場合、開口部16の周囲の四方のうち、一方(71)を除いて残り三方が取り囲まれている。この構成では開口部16から入る騒音が前記一方(71)を通ってフレーム本体10の内部空間に伝播する。上述した通り、レゾネータとしてのフレーム本体10は背面部13の肉厚をその管長とするが、図5(a)の例の場合、前記一方(71)の部分の長さもレゾネータの管長として機能しうる。つまり、開口部16の両側の補強リブ70の長さを調整することでレゾネータの管長も調整することが可能となる。
A シートバックフレーム
10 フレーム本体
14、15、50、51、60、61、70、71 補強リブ
16 16’ 開口部
20 補強フレーム体
10 フレーム本体
14、15、50、51、60、61、70、71 補強リブ
16 16’ 開口部
20 補強フレーム体
Claims (8)
- 正面部と側面部と背面部とを有し、内部に補強リブが一体成形された、樹脂製の中空構造をなす車輌用シートバックフレームにおいて、
前記側面部又は前記背面部の少なくともいずれかに、内部空間と連通する少なくとも一つの開口部を有し、
前記開口部の開口面積が、直径20mm乃至120mmの円の面積相当の面積を有することを特徴とする車輌用シートバックフレーム。 - 前記開口部の開口面積が、
直径40mm乃至60mmの円の面積相当の面積を有することを特徴とする請求項1に記載の車輌用シートバックフレーム。 - 前記開口部を、前記車輌用シートバックフレームの中央よりも上方に配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌用シートバックフレーム。
- 前記開口部を、前記車輌用シートバックフレームの中央よりも車輌の側方側に配設したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車輌用シートバックフレーム。
- ブロー成形品であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車輌用シートバックフレーム。
- 前記補強リブが、前記正面部と前記背面部とを接合して設けられ、かつ、前記内部空間を分断しないように配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車輌用シートバックフレーム。
- 複数のシートを備えた車輌の騒音低減構造であって、
前記複数のシートのうち、車輌内の騒音の音圧が他の領域よりも高い領域に位置するシートとして、
側面部と背面部とを有し、内部に補強リブが一体成形された、樹脂製の中空構造をなすシートバックフレームであって、前記側面部又は前記背面部の少なくともいずれかに、内部空間と連通する少なくとも一つの開口部を有するシートバックフレームを備えるシートを配設したことを特徴とする車輌の騒音低減構造。 - 前記車輌がワゴン車又はハッチバック車であることを特徴とする請求項7に記載の車輌の騒音低減構造。
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