JP4157773B2 - 車両用クロスカービームの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用クロスカービームの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、クロスカービームはインストルメントパネルの内方に配設され、車幅方向の左右両端に設けられた取付面が車体側部のピラー部材やダッシュパネルにボルトを介して締結されている。ここで、クロスカービームは、インストルメントパネルやステアリング装置を支持するために剛性を必要とするので、鋼(スチール)等の高剛性の材料を用いて成形されている。また、クロスカービームを合成樹脂から成形する場合は、前記取付面にリブを追設したり取付面の板厚を厚くすることによって取付面の強度を保持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−211441公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術では、クロスカービームをスチール等から成形した場合、クロスカービームの重量が大きくなるという問題があった。一方、前記合成樹脂から成形した場合は、重量は軽減されるものの、板厚を大きくしたりリブを形成する分だけ材料の使用量が増大し、材料コストが上昇するという問題があった。
【0005】
さらに、クロスカービームの左右両端にベント吹出口を開口すると、該ベント吹出口近傍の強度が低下するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、重量の増加や材料コストの上昇を伴うことなく、取付剛性を向上させることができる車両用クロスカービームの取付構造を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記請求項1にあっては、車幅方向に沿ってクロスカービームを延設し、該クロスカービームの左右両端に取付部を設け、該取付部の取付面を車体部材に固定することによって、前記クロスカービームを車体側に取り付けた車両用クロスカービームの取付構造において、前記取付部をハニカム構造体から構成すると共に、前記クロスカービームを、左右両端の前記取付部が固定される車体部材間の幅よりも短く形成された樹脂製の内側筒状部材と、該内側筒状部材よりも高い剛性の樹脂であって該内側筒状部材の端末近傍の外周部分を包んで端末に前記取付部を備える外皮部材と、で構成し、前記取付部の車幅方向内側に隣接して配置されるベント吹出口を、前記内側筒状部材の吹出口と外皮部材の吹出口とから密着状態の二重管構造に形成し、前記取付部のハニカム構造体は、クロスカービームの軸心から径方向に向けて放射状に延びる複数の板状リブを備えると共に、前記軸心はハニカム構造体の中心部に配置され、前記板状リブは、車両前方に延びるリブと、前方斜め上方に延びるリブと、前方斜め下方に延びるリブと、車両後方に延びるリブと、後方斜め上方に延びるリブと、後方斜め下方に延びるリブと、から断面が略対称な形状から構成されていることを特徴とする。
【0009】
前記請求項2に係る発明においては、前記クロスカービームを、内部が中空の筒状体から構成する一方、前記取付部の近傍のクロスカービームの外周面にクロスカービーム内部に連通するベント吹出口を開口したことを特徴とする。
【0010】
前記請求項3に係る発明においては、前記取付部の近傍部に、ステアリング装置を支持するステアリング支持部を設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
前記請求項1によれば、クロスカービームの左右両端の取付部をハニカム構造体に形成しているため、材料コストの上昇や重量の増加をほとんど伴うことなく、取付部の機械的強度を向上させることができる。これによって、合成樹脂製のクロスカービームであっても、確実に車体側に取り付けることができる。また、中空の第一筒状体である内側筒状部材を短く形成してクロスカービーム全体の剛性の低下を抑えつつ、取付部においては、第二筒状体である外皮部材によって高い剛性を維持することができる。
【0013】
前記請求項1によれば、複数の板状リブによって取付部をハニカム構造体に形成しているため、クロスカービームに入力されるねじれトルクを板状リブに効率的に分散させてかつ車体側に効率的に伝達することができる。
【0014】
前記請求項2によれば、クロスカービームの取付部の剛性が向上しているため、この取付部近傍におけるベント吹出口の開口による強度低下を抑えることができる。
【0015】
前記請求項3によれば、クロスカービームの取付部の剛性が向上しているため、クロスカービームの取付部近傍に形成したステアリング支持部の剛性も向上する。従って、車両走行時の振動に対しても確実にステアリング装置を保持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態によるクロスカービームの取付構造を適用した車体10の車両室内を示している。
【0019】
車両室内の前部には、インストルメントパネル11が配設されており、該インストルメントパネル11の内方、即ち車両前方側には、運転席側から助手席側にかけてクロスカービーム12が延設されている。
【0020】
図2に示すように、クロスカービーム12の左右両端には取付部13,13が設けられ、該取付部13には取付面51が形成されており、この取付面51には、ボルト孔52が穿設されている。また、クロスカービーム12の車両前方側には、ダッシュロアパネル14が配設されており、該ダッシュロアパネル14の車幅方向側縁から後方へ折曲したサイドパネル部15a,15aの後縁から車外方向に折曲された取付フランジ15,15に、前記クロスカービーム12の取付部13,13がボルト43によって締結されている。さらに、クロスカービーム12の車幅方向中央側は、支持スティ16とL字型の取付ブラケット17を介してフロアパネルのトンネル部18の上面18aに支持されている。なお、運転席側の車両前方側には、取付ブラケット21が設けられており、該取付ブラケット21は、コ字状に形成された支持ブラケット48を介してダッシュロアパネル14の後面14aに取り付けられている。
【0021】
図3は、本実施形態によるクロスカービーム12の斜視図である。クロスカービーム12の運転席側には、車両後方側の外周面にステアリング装置を支持するステアリング支持用ブラケット(ステアリング支持部)20が設けられており、前述のように、車両前方側にはクロスカービーム12をダッシュロア14に固定するための取付ブラケット21が形成されている。このステアリング支持用ブラケット20には、植込ボルト49が下方に突出してインサート成形されている。一方、助手席側の後面にはエアバック収容用ケーシング22が設けられており、左右両端部の上面には円筒状のベント吹出口23,24が開口している。そして、クロスカービーム12の車幅方向中央付近の運転席側には、支持スティ16が接続されるリブ25が形成され、該リブ25の下方側に支持スティ用取付部26が形成されている。
【0022】
図4は、本実施形態によるクロスカービーム12の分解斜視図である。
【0023】
クロスカービーム12は、予め樹脂により成形された第一筒状体28と、該第一筒状体28の助手席側(左側)の端部の外周側に樹脂により鋳ぐるみ成形される蓋状部材29と、第一筒状体28の運転席側(右側)の外周側に樹脂により鋳ぐるみ成形される第二筒状体30とから構成されている。
【0024】
前記第一筒状体28は、上部側の断面略U字状の半割部材31と下部側の断面略U字状の半割部材32とからなる。これら半割部材31,32の長手方向端部は縦壁31a,32aにより塞がれている。そして、上部側の半割部材31における車幅方向外側部分の上面には、ベント吹出口23,24となる開口44,24が、上方に延びるフランジ44a,24aによって囲まれて一体に形成されている。また、下部側の半割部材32の助手席側の後面には前述のエアバック収容用ケーシング22が斜め上後方に向けて開放した有底の箱形状で一体形成されており、その底部分には図示しない円盤状のエアバックインフレータが収まる開口22aが設けられている。
【0025】
一方、第二筒状体30の車幅方向内側の端部は開口しており、前述したように、この端部を全周に亘って取り囲むようにリブ25がクロスカービーム12の径方向に連続して突出するように一体成形されている。この第二筒状体30の車幅方向外側の端部には略垂直方向に延びる板状の取付フランジ13が、そしてこの取付フランジ13の近傍の車幅方向内方の上面には上方に延びるフランジを備えた吹出口45が、さらに車幅方向内方の後面には上方に向けて開放した有底の箱形状のステアリング支持用ブラケット20が一対、また前面には取付ブラケット21が、それぞれ一体で形成されている。なお、図3における前記ベント吹出口23は、第一筒状体28の吹出口44と第二筒状体30の吹出口45とから密着状態の二重管構造に構成されている。
【0026】
また、クロスカービーム12の左右両端部は、ダッシュロアパネル14に取り付けられる取付部13に形成されている。図5はこれらのうち運転席側(車両右側)の端部に形成された取付部13を示す斜視図、図6は図5を右側方から見た側面図である。
【0027】
これらの図に示すように、取付部13はハニカム構造体に形成されている。即ち、取付部13は、外側略八角形に形成された外周面58で囲われた車幅外方向に開放した凹部の中に、後述する複数のリブ等(51,53,54,55,56,57)を立設することにより凹部の内部を更に多角形に区画することで構成されている。詳述すると、取付部13の車両前後方向の中央部には、軸心方向でかつ車両上下方向に延びる取付面51が凹部から車幅方向外方へ突出するように凹部内から延設して形成されている。該取付面51の車両後方側の上部と下部には、車両後方に延びる補強リブ53,54が形成されており、この補強リブ53,54も凹部内から延設して形成されており、凹部から飛び出た部分の車幅方向外方の端縁は斜め後方側がカットされた形状とされて、その後方端末が外周面58に繋がっている。また、取付面51の車両前方側の凹部内には、前記補強リブ53,54と同じ高さ位置に形成され、それぞれ車両前方に延びる支持リブ55,56が設けられている。即ち、凹部から車幅方向外方へ突出した取付面51の車両前方側は、取付フランジ51に重合するため、リブなどは形成されない面一な部分とされている。取付面51は、ボルト孔52の形成された部分はその肉厚が大きく、補強リブ53,54間の部分は薄く形成されている。
【0028】
さらに、図6に示すように、取付面51の凹部内の径方向中央部(軸心)51aから放射状に複数の固定リブ57が延設されている。即ち、これらの各リブは、取付部13の径方向に延びて外周面58の内面に固定されている。なお、本実施形態での各リブ等(51,53,54,55,56,57)の先端は、略八角形とされた外周面58の平面部分に繋がっている。また、取付部13のすぐ車幅方向中央側は、ベント吹出口23の外側部となる吹出口45にも繋がって、この部分を補強するようにしている。
【0029】
なお、本実施形態では、図6に示すように、取付部13の外形は略八角形に形成したが、これに限定されず、種々の多角形、円形及び楕円形でも良い。また、前記リブ53〜57は、板状リブに形成されている。
【0030】
なお、図5におけるA−A線断面図である図7に示すように、前記取付部13は第二筒状体30の一部であり、該第二筒状体30は、第一筒状体28の外周側に高剛性樹脂によって鋳ぐるみ成形される。
【0031】
簡単にクロスカービーム12の成形方法を説明する。
【0032】
まず、第一筒状体28を成形する。予め、上部側の半割部材31と下部側の半割部材32と(図4参照)を別々に樹脂により射出成形し、これらの周縁部同士33,34を互いに振動溶着させることによって、内部が中空の第一筒状体28を成形する。
【0033】
次いで、第一筒状体28の左右両端部の外周側に、蓋状部材29及び第二筒状体30を樹脂によって鋳ぐるむ。第二筒状体30は、上型、下型及びサイド型から構成される簡単な構造を有する金型(図示せず)を用いて鋳ぐるむことができる。
【0034】
予め成形された第一筒状体28を金型内に収容し、上型、下型及びサイド型を移動させて金型を閉成し、該金型内部に溶融樹脂を注入して硬化させることによって、第一筒状体28の外周側に第二筒状体30を鋳ぐるむことができる。こののち、図5の矢印に示す略水平方向にサイド型を移動させる。ここで、前記溶融樹脂は、第一筒状体28を構成する樹脂よりも高い強度を有するものを用いることが好ましく、例えば、繊維を混入させた溶融樹脂等を用いることができる。
【0035】
本実施形態によるクロスカービームの取付構造によれば、クロスカービーム12の部位のうち、車体側のダッシュロアパネル14に取り付けるためにより高い剛性が必要とされる左右両端の取付部13,13をハニカム構造体に構成したため、クロスカービーム12を確実に車体側に締結することができる。また、図5に示すように、ベント吹出口23が開口していても、前記ハニカム構造によってベント吹出口23近傍の強度も保持される。
【0036】
さらに、従来は、ベント吹出口23と取付面51との間はデッドスペースとなっていたが、本実施形態によれば、ハニカム構造を有する高剛性の取付部13として有効に利用することができる。また、取付部13を複数のリブによってハニカム状に形成しているため、クロスカービーム12に入力されるねじれトルクをリブ53〜57(図6参照)に効率的に分散させて車体側に効率的に伝達することができる。
【0037】
なお、前記ベント吹出口23は、内周側と外周側の吹出口44,45を一体に成形するため、ベント吹出口23の開口の強度が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるクロスカービームを配設した車両室内前部の斜視図である。
【図2】図1のインストルメントパネルを外した、クロスカービームの取付状態を示す斜視図である。
【図3】本実施形態によるクロスカービーム全体を示す斜視図である。
【図4】本実施形態によるクロスカービームを示す分解斜視図である。
【図5】本実施形態によるクロスカービームの運転席側の取付部を示す斜視図である。
【図6】図5の取付部を右側方から見た側面図である。
【図7】図5のA−A線による断面図である。
【符号の説明】
12 クロスカービーム
13 取付部
14 ダッシュロアパネル(車体部材)
20 ステアリング支持用ブラケット(ステアリング支持部)
23,24 ベント吹出口
28 第一筒状体(内側筒状部材)
29 蓋状部材(外皮部材)
30 第二筒状体(外皮部材)
51a 径方向中央部(軸心)
57 固定リブ(板状リブ)

Claims (3)

  1. 車幅方向に沿ってクロスカービーム(12)を延設し、該クロスカービーム(12)の左右両端に取付部(13)を設け、該取付部(13)の取付面(51)を車体部材(14)に固定することによって、前記クロスカービーム(12)を車体側に取り付けた車両用クロスカービームの取付構造において、
    前記取付部(13)をハニカム構造体から構成すると共に、
    前記クロスカービーム(12)を、左右両端の前記取付部(13)が固定される車体部材(14,14)間の幅よりも短く形成された樹脂製の内側筒状部材(28)と、該内側筒状部材(28)よりも高い剛性の樹脂であって該内側筒状部材(28)の端末近傍の外周部分を包んで端末に前記取付部(13)を備える外皮部材(30)と、で構成し、
    前記取付部(13)の車幅方向内側に隣接して配置されるベント吹出口(23)を、前記内側筒状部材(28)の吹出口(44)と外皮部材(30)の吹出口(45)とから密着状態の二重管構造に形成し、
    前記取付部(13)のハニカム構造体は、クロスカービーム(12)の軸心(51a)から径方向に向けて放射状に延びる複数の板状リブ(57)を備えると共に、
    前記軸心(51a)はハニカム構造体の中心部に配置され、前記板状リブ(57)は、車両前方に延びるリブ(57)と、前方斜め上方に延びるリブ(57)と、前方斜め下方に延びるリブ(57)と、車両後方に延びるリブ(57)と、後方斜め上方に延びるリブ(57)と、後方斜め下方に延びるリブ(57)と、から断面が略対称な形状から構成されていることを特徴とする車両用クロスカービームの取付構造。
  2. 前記クロスカービーム(12)を、内部が中空の筒状体から構成し、前記取付部(13)の近傍のクロスカービーム(12)の外周面に内部に連通するベント吹出口(23)(24)を開口したことを特徴とする請求項1に記載の車両用クロスカービームの取付構造。
  3. 前記取付部(13)の近傍部に、ステアリング装置を支持するステアリング支持部(20)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用クロスカービームの取付構造。
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