JP2004231033A - 車両用クロスカービームの支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量の増加や材料コストの上昇を伴うことなく、支持剛性を向上させることができる車両用クロスカービームの支持構造を提供する。
【解決手段】車幅方向に沿って運転席側から助手席側にかけてクロスカービーム12を延設し、クロスカービーム12の運転席側に対応する部位の開口端部に、全周に亘ってリブ25を形成し、該リブ25の下部側に支持部材用取付部26を形成し、この取付部26に支持スティ16の一端側を取り付け、他端側をフロアパネルのトンネル部18の上面18aに固定することによって、クロスカービーム12の車幅方向中央側を支持スティ16を介して車体に支持している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用クロスカービームの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、クロスカービームはインストルメントパネルの内方に配設され、車幅方向の両端を車体側部のピラー部材やダッシュパネルに固定するとともに、車幅方向の中央側を支持スティを介して車体側のフロアパネル等に支持している。前記クロスカービームは、インストルメントパネルやステアリングを支持しており、剛性を必要とする。このため、クロスカービームには、鋼(スチール)やマグネシウム等の高剛性の支持部材用取付部が設けられ、この取付部に、支持部材である支持スティの一端側を固定すると共に、他端側を車体のフロアパネルに支持することによって、クロスカービームを車体に支持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−284018公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術によるクロスカービームの支持構造では、支持部材用取付部を機械的強度の高い材料から形成しており、この材料として、鋼(スチール)を用いた場合は、重量が増加し、マグネシウムを用いた場合は材料コストが高くなるという問題があった。
【0005】
また、クロスカービーム及び支持部材用取付部を樹脂で成形した場合、クロスカービームの支持剛性が前記鋼やマグネシウムに比較して低下するおそれがあった。
【0006】
さらに、クロスカービームを第一の筒状体と第二の筒状体からなる二重管構造とすると、外周側に配設された第二の筒状体の端部が開口し、この端部に支持部材用取付部を形成すると支持部材用取付部の強度が必ずしも大きくなかった。
【0007】
そこで、本発明は、重量の増加や材料コストの上昇を伴うことなく、支持剛性を向上させることができる車両用クロスカービームの支持構造を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記請求項1にあっては、車幅方向に沿って運転席側から助手席側にかけてクロスカービームを延設し、該クロスカービームの運転席側に対応する部位に、支持部材を固定するための支持部材用取付部を設け、この取付部に前記支持部材の一端側を取り付け、他端側を車体のフロアパネルに固定することによって、前記クロスカービームを支持部材を介して車体に支持した車両用クロスカービームの支持構造であって、前記支持部材用取付部を、クロスカービームの外周面の全周に亘って形成したリブに設けたことを特徴としている。
【0009】
前記請求項2に係る発明は、前記クロスカービームを、運転席側から助手席側にかけて車幅方向に沿って延設した第一筒状体と、該第一筒状体よりも車幅方向で短く形成されて、運転席側に対応する前記第一筒状体の外周側に巻回した第二筒状体とからなる二重管構造とし、この第二筒状体の車幅方向内側の端部全周に亘って前記リブを鉢巻き状に形成したことを特徴としている。
【0010】
前記請求項3に係る発明は、前記支持部材用の取付部を、クロスカービームの車両下方側のリブに設けたことを特徴としている。
【0011】
前記請求項4に係る発明は、前記クロスカービームの二重管構造に構成された部分に、ステアリング装置の支持部を設けたことを特徴としている。
【0012】
【発明の効果】
前記請求項1によれば、クロスカービームの全周に亘って形成したリブに支持部材用取付部を設けているため、材料コストの上昇や重量の増加をほとんど伴うことなく、支持部材用取付部の機械的強度を向上させることができる。これによって、合成樹脂製のクロスカービームであっても、確実に車体側に支持することができる。
【0013】
前記請求項2によれば、第二筒状体の車幅方向内側の端部に前記リブを形成しているため、開口部となる第二筒状体の端部の強度を大幅に向上させることができる。これにより、剛性が必要とされる運転席側を第一筒状体と第二筒状体との二重管構造にしてクロスカービームの剛性向上を図るとともに、第二筒状体の開口部による強度低下を抑えることができる。
【0014】
前記請求項3によれば、クロスカービームを下部側から支持するため、クロスカービームの荷重が支持部材に効率的に伝達され、クロスカービームを確実に車体側に保持することができる。
【0015】
前記請求項4によれば、クロスカービームの部位のうち、二重管構造に構成された剛性の高い部分にステアリング装置を支持しているため、車両走行時の振動に対しても確実にステアリング装置を保持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態によるクロスカービームの取付構造を適用した車体10の車両室内を示している。
【0018】
車両室内の前部には、車幅方向に沿ってインストルメントパネル11が運転席側から助手席側にかけて配設されている。前記インストルメントパネル11の内方、即ち車両前方側にはクロスカービーム12が延設されている。
【0019】
図2に示すように、クロスカービーム12の左右両端には取付フランジ13,13が形成されている。また、クロスカービーム12の車両前方側には、ダッシュロアパネル14が配設されており、該ダッシュロアパネル14の車幅方向側縁から後方へ折曲したサイドパネル部15a,15aの後縁から車外方向に折曲された取付フランジ15,15に、前記クロスカービーム12の取付フランジ13,13がボルト43によって締結されている。さらに、クロスカービーム12の車幅方向中央側は、支持部材である支持スティ16とL字型の取付ブラケット17を介してフロアパネルのトンネル部18の上面18aに支持されている。なお、運転席側の車両前方側には、取付ブラケット21が設けられており、該取付ブラケット21は、コ字状に形成された支持ブラケット48を介してダッシュロアパネル14の後面14aに取り付けられている。
【0020】
図3は、本実施形態によるクロスカービーム12の斜視図である。車幅方向の左右両端には、前述したように、車幅方向の外方に延びる板状の取付フランジ13,13が形成されている。該取付フランジ13には、ボルト43を挿入するための挿通孔19が穿設されている。また、クロスカービーム12の運転席側には、車両後方側の外周面にステアリング装置を支持するためのステアリング支持用ブラケット20が設けられており、前述のように、車両前方側にはクロスカービーム12をダッシュロア14に固定するための取付ブラケット21が形成されている。このステアリング支持用ブラケット20には、後述するように、植込ボルト52が下方に突出してインサート成形されている。一方、助手席側にはエアバック収容用ケーシング22が設けられており、左右両端部の上面には円筒状のベント吹出口23,24が開口している。そして、クロスカービーム12の車幅方向中央付近の運転席側には、支持スティ16が接続されるリブ25が、後述するように形成され、該リブ25の後方斜め下方側に支持部材用取付部26が形成されている。
【0021】
そして、図4は、支持部材用取付部26がリブ25の真下側、即ちクロスカービーム12の軸心の下方に設けられている状態を示すクロスカービームの斜視図である。同図に示すように、車幅方向の中央近傍には、クロスカービーム12の全周に亘って、いわゆる鉢巻き状のリブ25が連続して一体成形されている。このリブ25は、クロスカービーム12の上部側の高さHが低く形成されており、下部側は下方に突出した支持部材用取付部26に形成されている。この取付部26にはボルト孔27が穿設されており、該ボルト孔27には前述した支持スティ16の上端部がボルトによって締結されるように構成されている。
【0022】
図5は、本実施形態によるクロスカービーム12の分解斜視図である。
【0023】
クロスカービーム12は、予め樹脂により成形された第一筒状体28と、該第一筒状体28の助手席側(左側)の端部の外周側に樹脂により鋳ぐるみ成形される蓋状部材29と、第一筒状体28の運転席側(右側)の外周側に樹脂により鋳ぐるみ成形される第二筒状体30とから構成されている。
【0024】
前記第一筒状体28は、上部側の断面略U字状の半割部材31と下部側の断面略U字状の半割部材32とからなる。これら半割部材31,32の長手方向端部は縦壁31a,32aにより塞がれている。そして、上部側の半割部材31における車幅方向外側部分の上面には、ベント吹出口23,24となる開口44,24が、上方に延びるフランジ44a,24aによって囲まれて一体に形成されている。下部側の半割部材32の助手席側の後面には前述のエアバック収容用ケーシング22が斜め上後方に向けて開放した有底の箱形状で一体形成されており、その底部分には図示しない円盤状のエアバックインフレータが収まる開口22aが設けられている。
【0025】
一方、第二筒状体30の車幅方向内側の端部は開口しており、前述したように、この端部を全周に亘って取り囲むようにリブ25がクロスカービーム12の径方向に連続して突出するように一体成形されている。この第二筒状体30の車幅方向外側の端部には略垂直方向に延びる板状の取付フランジ13が、そしてこの取付フランジ13の近傍の車幅方向内方の上面には上方に延びるフランジを備えた吹出口45が、さらに車幅方向内方の後面には上方に向けて開放した有底の箱形状のステアリング支持用ブラケット20が一対、また前面には取付ブラケット21が、それぞれ一体で形成されている。なお、図3における前記ベント吹出口23は、第一筒状体28の吹出口44と第二筒状体30の吹出口45とから密着状態の二重管構造に構成されている。
【0026】
簡単にクロスカービーム12の成形方法を説明する。
【0027】
まず、第一筒状体28を成形する。予め、上部側の半割部材31と下部側の半割部材32とを別々に樹脂により射出成形し、これらの周縁部同士33,34を互いに振動溶着させることによって、内部が中空の第一筒状体28を成形する。
【0028】
次いで、第一筒状体28の左右両端部の外周側に、蓋状部材29及び第二筒状体30を樹脂により鋳ぐるむ。第二筒状体30は、図6に示すように、上型35、下型36及びサイド型37から構成された金型38を用いて鋳ぐるむことができる。
【0029】
予め成形された第一筒状体28を金型38内に収容し、上型35、下型36及びサイド型37を移動させて金型38を閉成すると、図6に示すように、第一筒状体28と金型38の内面との間にキャビティ40が形成される。上型35に設けられた湯口39から前記キャビティ40内に溶融樹脂41を注入して該溶融樹脂41をキャビティ40内に充填させ、この状態で溶融樹脂41を硬化させることによって、第一筒状体28の外周側に第二筒状体30を鋳ぐるむことができる。こののち、矢印に示す方向に上型35、下型36及びサイド型37を移動させることによって金型38を開くと、本実施形態によるクロスカービーム12が得られる。ここで、前記溶融樹脂41は、第一筒状体28を構成する樹脂よりも高い強度を有するものを用いることが好ましい。例えば、繊維を混入させた溶融樹脂等を用いることができる。
【0030】
さらに、上型35及び下型36は、図7に示すように、略水平状に配置されたパーティングライン42を境にして、矢印に示す上下方向に移動することにより、金型38が開成される。
【0031】
なお、図8に示すように、ステアリング装置の支持部であるステアリング支持用ブラケット20は第二筒状体30の車両後方側のみならず、車両前方側の外周面にも設けることもできる。
【0032】
第二筒状体30の車両後方側のステアリング支持用ブラケット20について説明すると、このステアリング支持用ブラケット20は、車両後方側の外周面30aから車両後方に向けて延びる断面コ字状の本体部50と、該本体部50の車両後方側の開口端部を塞ぐ側壁部51とから構成されており、前記本体部50は略水平状に配置された底面部50aと、該底面部50aの左右両端から上方に立設した側面部50b,50bとから断面コ字状に形成されている。よって、これらの外周面30a、底面部50a、側面部50b,50b及び側壁部51によって、上方側が開口した略蓋状に形成されている。また、前記底面部50aには、下方に向けて延びる植込ボルト52がインサート成形されている。この植込ボルト52の上面は、底面部50aとほぼ面一の高さに設けられている。
【0033】
前記構成を有するステアリング支持用ブラケット20の植込ボルト52に、下方から図示しないステアリング装置を固定することによって、ステアリング装置をステアリング支持用ブラケット20に取り付けることができる。
【0034】
前記構成を有する本実施形態によるクロスカービームの支持構造によれば、クロスカービーム12のうち、ステアリング等を支持するためにより高い剛性が必要とされる運転席側の部位を第一筒状体28と第二筒状体30とで密着状態の二重管構造にすると共に、二重管の外周側に配置される第二筒状体30の開口端部をリブ25によって効率的に補強することができる。このリブ25によって、第二筒状体30の開口端部における断面係数を向上させることができる。
【0035】
また、第一筒状体28を高剛性の溶融樹脂41で鋳ぐるむことによって、高い剛性を有するクロスカービーム12を得ることができる。
【0036】
なお、第二筒状体30の開口端部は、図6に示すように、リブ25のうち支持部材取付部26となる部位におけるサイド型37の抜き勾配がなく、サイド型37の側面37aに平行となり、支持部材取付部26の支持スティ16に対する締結強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるクロスカービームを配設した車体前部の斜視図である。
【図2】図1のインストルメントパネルを外した、クロスカービームの取付状態を示す斜視図である。
【図3】本実施形態によるクロスカービーム全体を示す斜視図である。
【図4】図3の要部を示す拡大斜視図である。
【図5】本実施形態によるクロスカービームの分解斜視図である。
【図6】本実施形態によるクロスカービームを成形する金型の断面図である。
【図7】本実施形態によるクロスカービームのパーティングラインを示す斜視図である。
【図8】ステアリング支持用ブラケットを車両前方側と車両後方側の双方に設けたクロスカービームの斜視図である。
【符号の説明】
12 クロスカービーム
16 支持スティ(支持部材)
18 トンネル部(車体部材)
20 ステアリング支持用ブラケット(ステアリング装置の支持部)
25 リブ
26,56 支持部材用取付部
28 第一筒状体
30 第二筒状体

Claims (4)

  1. 車幅方向に沿ってクロスカービーム(12)を延設し、該クロスカービーム(12)の車幅方向中央側に支持部材(16)を固定するための支持部材用取付部(26)(56)を設け、該支持部材用取付部(26)(56)に、前記支持部材(16)の一端を取り付けると共に、他端を車体部材に固定することによって、前記クロスカービーム(12)の中央側を支持部材(16)を介して車体部材に支持した車両用クロスカービームの支持構造において、
    前記クロスカービーム(12)のうち、運転席側に対応する部位の外周面の全周に亘って連続するリブ(25)を形成し、該リブ(25)に前記支持部材用取付部(26)(56)を設けたことを特徴とする車両用クロスカービームの支持構造。
  2. 前記クロスカービーム(12)を、運転席側から助手席側にかけて車幅方向に沿って延設した第一筒状体(28)と、該第一筒状体(28)より車幅方向で短く形成され、かつ運転席側に対応する前記第一筒状体(28)の外周側にこの外周面に密接した状態で設けられた第二筒状体(30)とから二重管構造に構成し、この第二筒状体(30)の車幅方向内側の端部に前記リブ(25)を形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用クロスカービームの支持構造。
  3. 前記支持部材用取付部(56)を、前記リブ(25)のうち、クロスカービーム(12)の下部側に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用クロスカービームの支持構造。
  4. 前記二重管構造に構成された部分に、ステアリング装置の支持部(20)を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用クロスカービームの支持構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006306248A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Showa Denko Kk ステアリングサポートビーム及びその製造方法
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