JP2006043974A - 難燃フィルム、接着性難燃フィルム及びフラットケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)塗膜形成樹脂100重量部に対して、(B)硬化剤2〜20重量部、(C)平均粒子径が0.02〜0.5μmの水酸化マグネシウム系化合物の微粒子20〜150重量部及び(D)水酸化アルミニウム20〜150重量部を含有する難燃塗料を、厚さ3〜60μmの基材フィルムに厚さ1〜20μmにコートしてなることを特徴とする難燃フィルム、該難燃フィルムに、厚さ20〜70μmの難燃ホットメルト接着剤層を積層してなることを特徴とする接着性難燃フィルム、及び、導電体を該接着性難燃フィルムにより被覆してなることを特徴とするフラットケーブル。
【選択図】なし
Description
ポリエステルフィルムを難燃化する方法として、ポリエステルフィルムにポリアミド酸溶液を塗布し、これをイミド化して耐熱性樹脂層を形成する方法が検討されてきた。しかし、難燃効果はあるものの色調が黄色であるために用途が限定される。また、ポリアミド酸溶液は高沸点の溶剤を使用しているために、乾燥温度が200℃前後となり、基材フィルムが収縮して加工性不良となる問題がある。さらに、ポリアミド酸のイミド化率を高めるためには高温の熱処理が必要であり、このような高温の熱処理を行うと、フィルムの平面性が悪化するという問題もある。そのために、平面性を悪化させない温度での熱処理が行われているが、ポリアミド酸のイミド化率が低く、高度な耐熱性、難燃性を必要とする用途には使用できない。このために、良好な平面性、耐溶剤性などを有するとともに、難燃性にも優れた積層フィルムの開発が進められている。
例えば、従来技術の問題点を解消した耐溶剤性、平面性、耐熱性、難燃性に優れた積層フィルムの製造方法として、熱可塑性樹脂フィルムの両面に、ポリアミド酸が溶解され、イミダゾール系化合物をポリアミド酸の繰り返し単位に対して1モル%以上含む溶液を塗布し、乾燥し、ポリアミド酸を脱水閉環させ、イミド化率を50%以上とする積層フィルムの製造方法が提案され、150℃で乾燥後、200℃で30秒間熱処理する方法が例示されている(特許文献1)。この方法によれば、平面性と難燃性に優れた積層フィルムを得ることができるが、イミド化率の上昇とともにフィルムが黄変し、現用のフラットケーブルと色相が大きく異なるために、顧客に受け入れられないおそれがある。
すなわち、本発明は、
(1)(A)塗膜形成樹脂100重量部に対して、(B)硬化剤2〜20重量部、(C)平均粒子径が0.02〜0.5μmの水酸化マグネシウム系化合物の微粒子20〜150重量部及び(D)水酸化アルミニウム20〜150重量部を含有する難燃塗料を、厚さ3〜60μmの基材フィルムに厚さ1〜20μmにコートしてなることを特徴とする難燃フィルム、
(2)難燃塗料が、(A)塗膜形成樹脂100重量部に対して、(E)難燃助剤20〜150重量部を含有する(1)記載の難燃フィルム、
(3)(A)塗膜形成樹脂が、ポリエステル系樹脂である(1)又は(2)記載の難燃フィルム、
(4)ポリエステル系樹脂が、ガラス転移温度−30〜80℃、ヒドロキシル価2〜10KOHmg/g、数平均分子量10,000〜35,000のポリエステル系樹脂である(3)記載の難燃フィルム、
(5)(C)水酸化マグネシウム系化合物が、亜鉛固溶水酸化マグネシウムである(1)記載の難燃フィルム、
(6)(E)難燃助剤が、ヒドロキシ錫酸亜鉛、メラミンシアヌレート、ホウ酸亜鉛及びリン系化合物よりなる群から選ばれる1種以上である(2)記載の難燃フィルム、
(7)基材フィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである(1)記載の難燃フィルム、
(8)(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の難燃フィルムに、厚さ20〜70μmの難燃ホットメルト接着剤層を積層してなることを特徴とする接着性難燃フィルム、及び、
(9)導電体を(8)記載の接着性難燃フィルムにより被覆してなることを特徴とするフラットケーブル、
を提供するものである。
本発明に用いる塗膜形成樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などを挙げることができる。これらの中で、ポリエステル系樹脂は、基材フィルムへの密着性が良好なので好適に用いることができる。
本発明に用いる塗膜形成樹脂は、硬化剤と反応して架橋構造を形成する官能基を有する樹脂である。架橋構造を形成する官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、ビニル基などを挙げることができる。本発明においては、塗膜形成樹脂として、有機溶剤に可溶性の樹脂と水溶性の樹脂のいずれをも用いることができる。
本発明に用いる硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、多価アルコール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。これらの中で、塗膜形成樹脂が有する官能基がヒドロキシル基であり、硬化剤がポリイソシアネート化合物である組み合わせは、密着性、可撓性、強度などの物性が優れた難燃コートが形成されるので、特に好適に用いることができる。本発明において、硬化剤の含有量は、塗膜形成樹脂100重量部に対して2〜20重量部、より好ましくは10〜15重量部である。硬化剤の含有量が塗膜形成樹脂100重量部に対して2重量部未満であると、架橋密度が不足して、難燃コートの強度が低くなるおそれがある。硬化剤の含有量が塗膜形成樹脂100重量部に対して20重量部を超えると、硬化が進みすぎて、難燃コートの密着性と可撓性が低下するおそれがある。
本発明においては、水酸化マグネシウム系化合物として、亜鉛固溶水酸化マグネシウムを使用することができる。亜鉛固溶水酸化マグネシウムの亜鉛の固溶量は、マグネシウムに対して0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜10モル%であることがより好ましい。水溶性マグネシウム塩と水溶性亜鉛塩とを水の存在下にアルカリにより中和して共沈物を生成させ、得られた共沈物を100〜250℃で水熱反応させることにより、亜鉛固溶水酸化マグネシウムの粒子を得ることができる。水酸化マグネシウム系化合物として亜鉛固溶水酸化マグネシウムを用いることにより、難燃フィルムの難燃性と透明性をいっそう向上することができる。
本発明においては、基材フィルムの片面又は両面に一つの面に対して難燃塗料を厚さ1〜20μm、より好ましくは厚さ2〜15μmにコートする。基材フィルムの厚さが16μm以下であれば、片面のコートで十分な難燃性を付与することができる。基材フィルムの厚さが16μmを超えると、両面にコートすることが好ましい。形成される難燃コートの厚さが1μm未満であると、十分な難燃性を付与することが困難となるおそれがある。形成される難燃コートの厚さが20μmを超えると、フラットケーブル被覆用のフィルムとして強度が不足するおそれがある。難燃コートの厚さは、基材フィルムの厚さに応じて、必要にして十分な難燃性が付与されるように適宜選択することができる。例えば、基材フィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合、厚さ6μmの基材フィルムに対して厚さ2〜4μmの片面コート、厚さ12μmの基材フィルムに対して厚さ3〜6μmの片面コート、厚さ23μmの基材フィルムに対して厚さ4〜6μmずつの両面コート、厚さ50μmの基材フィルムに対して厚さ10〜15μmずつの両面コートなどとすることができる。
本発明において、難燃塗料を基材フィルムに塗布して難燃コートを形成する方法に特に制限はなく、例えば、エアドクタコーター、フレキシブルブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスコーター、スプレイコーターなどを用いて難燃コートを形成することができる。これらの中で、グラビアコーターは、グラビアロールの版深度を選択することにより、容易に塗工厚さを任意に調整することができるので、好適に用いることができる。
本発明において、接着性難燃フィルムの難燃ホットメルト接着剤層の厚さは、20〜70μmであることが好ましく、30〜50μmであることがより好ましい。フラットケーブルは、平行に引き揃えた導電体の平角線を難燃ホットメルト接着剤層を内側にして2枚の接着性難燃フィルムで挟み込み、熱プレスで2層の難燃ホットメルト接着剤層を融着させ、導電体の平角線を難燃ホットメルト接着剤の中に埋め込んで被覆することにより製造される。難燃ホットメルト接着剤層の厚さが20μm未満であると、導電体の平角線を埋め込むための厚さが確保しがたくなるおそれがある。難燃ホットメルト接着剤層の厚さが70μmを超えると、フラットケーブルの厚さが増し、フレキシブル性を損なうおそれがある。
実施例1
非晶性ポリエステル系樹脂[東洋紡績(株)、バイロン500、ガラス転移温度5℃、ヒドロキシル価5KOHmg/g、数平均分子量25,000]100重量部、イソシアネート系硬化剤[日本ポリウレタン工業(株)、コロネートL、固形分75重量%、NCO13.2重量%]12重量部、水酸化マグネシウム微粒子[堺化学工業(株)、MGZ−4、平均粒子径0.1μm]70重量部、水酸化アルミニウム[昭和電工(株)、ハイジライトH−42M、平均粒子径1.1μm]50重量部及びヒドロキシ錫酸亜鉛[水澤化学工業(株)、アルカネックスZHSF、平均粒子径1μm]80重量部を、トルエン480重量部とメチルエチルケトン200重量部との混合溶剤に加え、均一に混合して難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。難燃剤の分散不良による塗布欠点はなく、塗工性は良好であり、塗膜に厚さむら、つぶ(凝集物)、くぼみ(ピンホール)などの異常は認められず、難燃フィルムの外観は良好であった。
得られた難燃フィルムから長さ200mm、幅50mmの試料5枚を切り出し、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。いずれの接炎の後も10秒以上燃焼を続ける試料がなく、5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が40秒であり、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がなく、試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子を落下させる試料がなく、2回目の接炎の後30秒以上赤熱を続ける試料がなく、VTM−0合格に相当した。
実施例2
実施例1で調製した難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗膜厚さ4μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
実施例3
実施例1で調製した難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ6μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗膜厚さ3μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
実施例4
ヒドロキシ錫酸亜鉛の代わりに、リン酸メラミン[日産化学工業(株)、PMP−100、平均粒子径2.5μm]80重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ14μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
実施例5
ヒドロキシ錫酸亜鉛の代わりに、メラミンシアヌレート[日産化学工業(株)、MC640、平均粒子径3μm]80重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
実施例6
ヒドロキシ錫酸亜鉛を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
実施例7
ヒドロキシ錫酸亜鉛の代わりに、ホウ酸亜鉛[旭電化工業(株)、アデカスタブM2335、平均粒子径1μm]50重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
非晶性ポリエステル系樹脂[東洋紡績(株)、バイロン500]100重量部、イソシアネート系硬化剤[日本ポリウレタン工業(株)、コロネートL]12重量部及び水酸化マグネシウム微粒子[堺化学工業(株)、MGZ−4]200重量部を、トルエン480重量部とメチルエチルケトン200重量部との混合溶剤に加え、均一に混合して難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。難燃剤の分散不良による塗布欠点はなく、塗工性は良好であり、塗膜に厚さむら、つぶ(凝集物)、くぼみ(ピンホール)などの異常は認められず、難燃フィルムの外観は良好であった。
得られた難燃フィルムから長さ200mm、幅50mmの試料5枚を切り出し、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。このフィルムは、1回目の接炎により固定クランプ位置まで燃焼が継続し、難燃性不足によりVTM−2不合格と判定された。
比較例2
非晶性ポリエステル系樹脂[東洋紡績(株)、バイロン500]100重量部、イソシアネート系硬化剤[日本ポリウレタン工業(株)、コロネートL]12重量部、水酸化アルミニウム[昭和電工(株)、ハイジライトH−42M]120重量部及びヒドロキシ錫酸亜鉛[水澤化学工業(株)、アルカネックスZHSF]80重量部を、トルエン480重量部とメチルエチルケトン200重量部との混合溶剤に加え、均一に混合して難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。このフィルムは、1回目の接炎により固定クランプ位置まで燃焼が継続し、難燃性不足によりVTM−2不合格と判定された。
比較例3
非晶性ポリエステル系樹脂[東洋紡績(株)、バイロン500]100重量部、イソシアネート系硬化剤[日本ポリウレタン工業(株)、コロネートL]12重量部、水酸化マグネシウム微粒子[堺化学工業(株)、MGZ−4]120重量部及びメラミンシアヌレート[日産化学工業(株)、MC640]80重量部を、トルエン480重量部とメチルエチルケトン200重量部との混合溶剤に加え、均一に混合して難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。5個の試料について、接炎の後の燃焼継続時間が18〜22秒であった。5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が120秒であり、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がなく、試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子を落下させる試料がなく、2回目の接炎の後30秒以上赤熱を続ける試料がなく、VTM−1合格に相当した。
比較例4
非晶性ポリエステル系樹脂[東洋紡績(株)、バイロン500]100重量部、イソシアネート系硬化剤[日本ポリウレタン工業(株)、コロネートL]12重量部、汎用水酸化マグネシウム細粒子[協和化学工業(株)、キスマ5A、平均粒子径0.9μm]70重量部、水酸化アルミニウム[昭和電工(株)、ハイジライトH−42M]50重量部及びヒドロキシ錫酸亜鉛[水澤化学工業(株)、アルカネックスZHSF]80重量部を、トルエン480重量部とメチルエチルケトン200重量部との混合溶剤に加え、均一に混合して難燃塗料を調製した。
この難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。難燃剤の分散性が悪く塗布欠点が生じ、塗工性は不良であった。塗膜に厚さむらとつぶ(凝集物)が目立ち、難燃フィルムの外観は不良であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。接炎の後30秒以上燃焼を続ける試料があり、VTM−2不合格と判定された。
比較例5
実施例1で調製した難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗膜厚さ0.5μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。このフィルムは、1回目の接炎により固定クランプ位置まで燃焼が継続し、難燃性不足によりVTM−2不合格と判定された。
比較例6
実施例1で調製した難燃塗料を、グラビアコーターを用いて厚さ75μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ14μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。塗工性、難燃フィルムの外観ともに良好であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。いずれの接炎の後も30秒以上燃焼を続ける試料がなく、5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が210秒であり、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がなく、2回目の接炎の後30秒以上赤熱を続ける試料がなかったが、試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子が落下したので、VTM−2相当と判定された。
比較例7
ポリアミドイミド塗料[東洋紡績(株)、バイロマックスHR11NN、固形分15重量%]を、グラビアコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にそれぞれ塗膜厚さ2μmに塗工し、難燃フィルムを作製した。溶剤として用いられているN−メチルピロリドンの沸点が高いために、塗工後の乾燥に高温を要した。得られた難燃フィルムは黄褐色に着色し、平面性が損なわれて外観が不良であった。
得られた難燃フィルムについて、UL94の11.1.1にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃フィルムは、VTM−0合格に相当した。
実施例1〜7の結果を第1表に、比較例1〜7の結果を第2表に示す。
これに対して、第2表に見られるように、実施例1と同じ難燃塗料であっても、コート厚さが薄い比較例5の難燃フィルムは難燃性試験に不合格であり、基材フィルム厚さが厚い比較例6の難燃フィルムは、難燃性が低下している。水酸化マグネシウム微粒子を含有するが水酸化アルミニウムを含有しない難燃塗料をコートした比較例1の難燃フィルムは難燃性試験に不合格であり、比較例3の難燃フィルムも難燃性が低い。水酸化アルミニウムを含有するが水酸化マグネシウム微粒子を含有しない難燃塗料をコートした比較例2のフィルムは、難燃性試験に不合格である。水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムを含有するが、汎用水酸化マグネシウムの平均粒子径が0.8μmである難燃塗料をコートした比較例4のフィルムは、塗工性、外観ともに不良であり、難燃性試験にも不合格である。基材フィルムにポリアミドイミド塗料をコートした比較例7の難燃フィルムは、難燃性はVTM−0合格に相当するが、塗工性、外観ともに不良である。
ポリエステル系樹脂[東レ(株)、ケミットR99、ガラス転移温度−19℃、融点75℃、ヒドロキシル価5KOHmg/g、数平均分子量23,000]100重量部、イソシアネート系硬化剤[日本ポリウレタン工業(株)、コロネートL]3重量部、水酸化マグネシウム微粒子[堺化学工業(株)、MGZ−4、平均粒子径0.1μm]80重量部、水酸化アルミニウム[昭和電工(株)、ハイジライトH−42M、平均粒子径1.1μm]50重量部及びメラミンシアヌレート[日産化学工業(株)、MC640、平均粒子径3μm]40重量部を、トルエン220重量部とメチルエチルケトン220重量部との混合溶剤に加え、均一に混合して難燃ホットメルト接着剤塗工液を調製した。
この難燃ホットメルト接着剤塗工液を、ナイフコーターを用いて実施例1で得られた難燃フィルムの片面に、接着剤層厚さ40μmに塗工し、接着性難燃フィルムを作製した。
厚さ0.050mm、幅0.8mmの錫メッキ軟銅箔15本をピッチ1.25mmで平行に引き揃え、上記の接着性難燃フィルムで挟み込み、160℃で熱プレスし、両側端をスリットすることにより、仕上幅20mmのフラットケーブルを作製した。
得られたフラットケーブルについて、UL758にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃性は、5回の接炎後においても、上部にセットされたインジケーターまで延焼することなく、また、1分以上の燃焼もなく、VW−1合格に相当した。また、UL758にしたがって80℃定格で耐熱性試験を行った。耐熱性試験後のフラットケーブルにクラックや剥がれなどの異常は認められず、合格に相当した。
比較例8
実施例8で作製した難燃ホットメルト接着剤塗工液を、ナイフコーターを用いて厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、接着剤層厚さ40μmに塗工し、フラットケーブル用フィルムを作製した。
厚さ0.050mm、幅0.8mmの錫メッキ軟銅箔15本をピッチ1.25mmで平行に引き揃え、上記のフラットケーブル用フィルムで挟み込み、160℃で熱プレスし、両側端をスリットすることにより、仕上幅20mmのフラットケーブルを作製した。
得られたフラットケーブルについて、UL758にしたがって垂直燃焼試験を行った。難燃性は、初回接炎の際に、上部インジケーターまで延焼が認められ、また燃焼時間も1分を超過し、VW−1に不合格であった。また、UL758にしたがって80℃定格で耐熱性試験を行った。耐熱性試験後のフラットケーブルにクラックや剥がれなどの異常は認められず、合格に相当した。
実施例8及び比較例8の結果を、第3表に示す。
Claims (9)
- (A)塗膜形成樹脂100重量部に対して、(B)硬化剤2〜20重量部、(C)平均粒子径が0.02〜0.5μmの水酸化マグネシウム系化合物の微粒子20〜150重量部及び(D)水酸化アルミニウム20〜150重量部を含有する難燃塗料を、厚さ3〜60μmの基材フィルムに厚さ1〜20μmにコートしてなることを特徴とする難燃フィルム。
- 難燃塗料が、(A)塗膜形成樹脂100重量部に対して、(E)難燃助剤20〜150重量部を含有する請求項1記載の難燃フィルム。
- (A)塗膜形成樹脂が、ポリエステル系樹脂である請求項1又は請求項2記載の難燃フィルム。
- ポリエステル系樹脂が、ガラス転移温度−30〜80℃、ヒドロキシル価2〜10KOHmg/g、数平均分子量10,000〜35,000のポリエステル系樹脂である請求項3記載の難燃フィルム。
- (C)水酸化マグネシウム系化合物が、亜鉛固溶水酸化マグネシウムである請求項1記載の難燃フィルム。
- (E)難燃助剤が、ヒドロキシ錫酸亜鉛、メラミンシアヌレート、ホウ酸亜鉛及びリン系化合物よりなる群から選ばれる1種以上である請求項2記載の難燃フィルム。
- 基材フィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1記載の難燃フィルム。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の難燃フィルムに、厚さ20〜70μmの難燃ホットメルト接着剤層を積層してなることを特徴とする接着性難燃フィルム。
- 導電体を請求項8記載の接着性難燃フィルムにより被覆してなることを特徴とするフラットケーブル。
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