JP2004146286A - 絶縁難燃接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【目的】燃焼時に機器類を腐食せず人体に有害なガスを発生させることなく、接着性、絶縁性に富み、且つロール状で保管した時ブロッキングせず、更に、フラットケーブル製造時に加熱ロールを汚染することのない、安価で環境に優しいフラットケーブル用ノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムを提供する。
【構成】絶縁フィルムの片面に、ノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を、他面にノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けたことを特徴とするフラットケーブル用ノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルム。
【選択図】 図1
【構成】絶縁フィルムの片面に、ノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を、他面にノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けたことを特徴とするフラットケーブル用ノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルム。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットケーブル作製やフレキシブルプリント基板等の各種電子部品の表面保護層を形成する際に使用する絶縁難燃接着フィルムに関する。より詳しくは、ハロゲン系化合物、リン系化合物を含まず、難燃性でフラットケーブルの製造に適した絶縁難燃接着フィルムに関する。
【従来の技術】
【0002】
絶縁フィルム上に接着剤層が形成された2枚の接着フィルムで、複数のライン上の導体を被覆した構造のフラットケーブルが知られている。フラットケーブルは、自動車、AV機器、コンピューター、複写機配線用などに幅広く利用されている。
【0003】
これらのフラットケーブルに関しては、その電気的用途及び防災の観点から、導体以外の構成材料(即ち、基材フィルムの片面に接着剤と難燃剤からなる難燃接着層が設けられている難燃性接着フィルム)が、良好な絶縁性と導体に対する接着性及び難燃性を示すことが望まれている。
【0004】
従って、フラットケーブルに使用されるような接着フィルムには、火災に対する安全面から、米国難燃規格(UL規格)のUL94薄手材料垂直燃焼試験でVTM−0又はVTM−1に分類されるような高度の難燃性が要求される。このため、従来は難燃剤としてハロゲン系(例えば臭素系、塩素系)の難燃剤が使用されてきた。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にハロゲン化水素が発生し機器類を腐食する恐れがあり、更に燃焼の際に微量ながら人体に有毒なダイオキシン類が発生する可能性が指摘されており、環境問題からノンハロゲン系の絶縁難燃接着フィルムを使用したフラットケーブルが望まれている。
【0005】
これらのことから、絶縁難燃接着フィルムに使用する難燃剤として、赤燐や燐酸エステル等のリン系化合物及び水酸化アルミや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物及びメラミンシアヌレート等の窒素含有有機化合物が検討されている。
【0006】
一方、摺動性が必要なフラットケーブルにおいては、導体との高い接着性および耐久性が要求される。従来使用されているハロゲン系難燃剤は、少量の添加で高い難燃性が得られるため、接着層に使用する樹脂の凝集力及び導体接着力への影響が少ない。このため、10N/cm以上の良好な導体(銅箔)との接着力が得られ、抜群の耐久性が得られる。ハロゲン系難燃剤を使用せずに高い難燃性を得るためには、多量の難燃剤を使用しなければならず、この場合、導体(銅箔)との高い接着力が得られず、ひいては耐久性も得ることができない。ここで言う摺動性とは、プリンターや自動車のハンドル内のエアーバック用など使用時に繰り返し外的な力がフラットケーブルにかかるものに対し必要とする性能(耐久性)を意味する。
【0007】
例えば、特開平6−338225号公報には、フラットケーブル用の接着テープのポリエステル難燃層に赤燐、リン酸エステル、水酸化マグネシウム等のノンハロゲン系難燃剤を添加することが開示されている。また、特開2001−11418号公報には、ポリエステル難燃層にメラミンシアヌレート等の窒素含有有機難燃剤や炭酸カルシウム等のノンハロゲン系難燃剤を添加することが開示されている。
【0008】
しかしながら、赤燐は燃焼時に人体に有害なホスフィンガスを発生させるために好ましくなく、燐酸エステル類は高湿度環境下で加水分解して絶縁性を低下させるなどの問題がある。また、メラミンシアヌレート等の窒素含有有機難燃剤も燃焼時に有害な青酸ガスを発生させる恐れがある。その上、窒素含有有機難燃剤は、熱劣化により変色し、導体(銅箔)との接着力の耐久性に問題がある。
【0009】
一方、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を使用せず、金属水酸化物のみでハロゲン系難燃剤に匹敵する高難燃性を得るためには、難燃接着層に金属水酸化物を多量に添加する必要があるが、この場合、接着層の凝集力が低下し、摺動性を要求されるフラットケーブルにおいて、高い接着力が得られなくなり実用的ではなく、高い難燃性と高い接着性の両立が難しい。また、高湿度環境下では吸湿して絶縁抵抗が低くなる問題もある。
【0010】
ところで、絶縁難燃接着フィルムの基材として、絶縁フィルムそのものを難燃化したフィルムを使用すれば、接着層には金属水酸化物の少量添加でも、難燃性を発現出来、接着性や絶縁性が損なわれることもない。しかしながら、このような難燃フィルムは非常に高価なため、実用的ではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらのことから、本発明は、燃焼時に機器類を腐食せず人体に有害なガスを発生させることなく、接着性、絶縁性に富み、且つロール状で保管した時ブロッキングせず、更に、フラットケーブル製造時に加熱ロールを汚染することのない、安価で環境に優しいフラットケーブル用ノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、可燃性絶縁フィルムであっても、両面に難燃性樹脂層を設けることにより、可燃性絶縁フィルムが燃焼時に空気から遮断されていれば、有害ガスを発生するハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等の従来の難燃剤を使用することなく、ノンハロゲン・ノンリン系難燃剤を使用してハロゲン系難燃剤並の高難燃性を付与することが出来、難燃規格のUL94薄手材料垂直燃焼試験においてVTM−0又はVTM−1を達成できることを見出すと共に、難燃接着層の導体(銅箔)との接着力の向上及び高湿度下での難燃接着層の絶縁低下の抑制及びフラットケーブル製造時に加熱ロールと接触する面の耐熱性(ロール汚染性)を改良して、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムは、絶縁フィルムの片面に、高接着性・高絶縁性のノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を設け、他面に高難燃性のノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けたことを特徴とする。
【0014】
従来のハロゲン系やノンハロゲン系絶縁難燃接着フィルムは、一般に基材たる絶縁フィルムの片面に難燃接着層を設けられているが、ノンハロゲン・ノンリン系難燃接着フィルムの場合、片面に難燃接着層を設けただけではハロゲン系やノンハロゲン系と比較して難燃性が不十分なため、上記垂直燃焼試験に合格できない。ノンハロゲン・ノンリン系で、ハロゲン系に匹敵する難燃性を得る為には、難燃剤の充填量を増やす必要があるが、この場合、導体に対する接着力が低下する。しかしながら、本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムでは、絶縁フィルムの片面に難燃剤の充填量を抑制した高接着性を有するノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を設け、且つ他面に、フラットケーブル製造時の加熱ロールを汚染しない耐熱性を有する高難燃性のノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けて、絶縁フィルムの両面を空気から遮断することにより垂直燃焼試験に合格し、且つ導体に対する高い接着力を有するという、高い難燃性と高い接着性の両立を実現できた。
【発明の実施の形態】
【0015】
以下、本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの実施形態を説明する。
【0016】
本発明の、基材の絶縁フィルムとしては、可撓性があり、機械的特性、電気的特性に優れたフィルムであれば特に制限されないが、分子骨格中に芳香族環を有し、ハロゲンを含まない樹脂が難燃性の付与に有利であり、かつ環境に対する負荷の少ないことから好適に用いられる。これらのフィルムとしては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)やポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)が安価で特に適している。
【0017】
絶縁フィルムの厚みは、19〜50μmが好ましい。厚さが薄過ぎると機械的強度や耐電圧が不足し、厚過ぎると燃えやすくなるため、難燃非接着層を厚くする必要があり、可撓性が失われると共に経済的でない。
【0018】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層は、銅箔との接着性を有する熱可塑性樹脂とノンハロゲン・ノンリン系難燃剤からなる。この熱可塑性樹脂としては、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・グリシジルメタクリレート三元共重合体、飽和共重合ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に絶縁フィルムとして用いるPETフィルムやPBTフィルム及びフラットケーブルの導体(銅箔)との接着性に優れる飽和共重合ポリエステル樹脂が好適に用いられる。
【0019】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層に用いるノンハロゲン・ノンリン難燃剤としては、高湿度下でも1010Ω−cm以上の絶縁性を保持させ、且つ熱可塑性樹脂との親和性を向上させる目的で、ステアリン酸やシランカップリング剤又はチタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、モリブデン化合物等で表面処理をされた水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、含水ホウ酸亜鉛等が挙げられる。この内、接着性・難燃性・価格の面から、水酸化アルミニウム単独または水酸化アルミニウムと含水ホウ酸亜鉛の併用が好適である。表面処理剤は、数種類組み合わせ使用しても良い。
【0020】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層に添加する難燃剤の配合比率は、難燃性と接着性の面から、難燃接着層の熱可塑性樹脂100重量部に対して50〜400重量部が好適である。難燃剤の添加量が50重量部未満では難燃性が不十分で、背面の難燃非接着層を厚くする必要が有り、経済的でない。また、400重量部を越えると導体(銅箔)との接着性が低下し、10N/cm以上の良好な導体(銅箔)との接着力が得られなくなる。
【0021】
難燃接着層の厚さは、使用される導体の厚さによって変わるが、ラミネートされる時、導体側面の空隙を完全に埋めるために、導体厚さの50%以上の厚さが必要である。
【0022】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃非接着層は、可撓性合成樹脂組成物とノンハロゲン・ノンリン系難燃剤からなる。可撓性合成樹脂組成物としては、可撓性を有し、フラットケーブルが製造される温度で溶融しない樹脂又はゴムであれば良いが、熱可塑性樹脂であっても、過酸化物やエポキシ化合物等で架橋させ耐熱性を向上させて用いることもできる。これらの可撓性合成樹脂としては、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム等の低不飽和ゴム又はポリウレタン樹脂、飽和共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・グリシジルメタクリレート三元共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。中でも飽和共重合ポリエステル樹脂は、PETとの接着性に優れかつ可撓性に優れるため、好適に用いられる。
【0023】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃非接着層に用いる難燃剤としては、金属水酸化物、シリコン系、アンチモン化合物、モリブデン化合物、ホウ酸化合物などのノンハロゲン・ノンリン系難燃剤であれば特に限定されないが、中でも、金属水酸化物、含水ホウ酸亜鉛が安価であり好適に用いられる。特に、水酸化マグネシウムと含水ホウ酸亜鉛の併用が難燃効果も高く好適である。水酸化マグネシウムは、有機物の燃焼温度付近で脱水し、冷却による難燃効果が大きく、一方、含水ホウ酸亜鉛は、燃焼物のドリップ防止に効果的である。また、これらの難燃剤は、樹脂との親和性を向上させるために、難燃接着層で使用される難燃剤と同様に表面処理されていることが好ましい。
【0024】
難燃非接着層に使用される難燃剤の内、金属水酸化物の添加量は、可撓性合成樹脂組成物100重量部に対して、100〜500重量部が好ましい。100重量部未満では、難燃性が不十分であり、500重量部を越えると、可撓性が失われて折り曲げ時クラックが入るため好ましくない。また、含水ホウ酸亜鉛の添加量は、合成樹脂組成物100重量部に対し50〜200重量部が好ましい。50重量部未満では燃焼時の耐ドリップ性が不十分であり、200重量部を越えても難燃効果の向上はなく、単にコストアップとなるだけで経済的でない。
【0025】
難燃非接着層の厚さは、絶縁フィルムの厚さの20〜200%、好ましくは50〜100%が好適である。難燃非接着層の厚さが絶縁フィルムの厚さの20%以下では、難燃規格のUL94薄手材料垂直燃焼試験においてVTM−0またはVTM−1を満たすことが出来ない。一方、難燃非接着層の厚さが絶縁フィルムの厚さの200%を超えると、絶縁難燃接着フィルムの可撓性が失われると共に、厚さが厚くなり経済的でない。
【0026】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層及び難燃非接着層の熱可塑性樹脂や可撓性合成樹脂組成物中には、必要に応じてハロゲンやリンを含有しない酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、着色剤、架橋剤、架橋助剤などを適宜添加することが出来る。また、難燃非接着層の可撓性合成樹脂組成物中には、貯蔵時のブロッキングやフラットケーブル製造時の加熱ロールの汚染を防ぐために、シリコン系離型剤やフッ素系離型剤を適宜添加することもできる。
【0027】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの作製方法としては、絶縁フィルム上に押出コーティング法により難燃接着層及び難燃非接着層を積層する方法、あるいは難燃接着層及び難燃非接着層の有機溶剤溶液を絶縁フィルム上に塗布・乾燥(・架橋)して形成する方法などが挙げられる。
【0028】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムに使用する絶縁フィルムは、難燃接着層と絶縁フィルム間または難燃非接着層と絶縁フィルム間の接着力を向上させるために、絶縁フィルムの表面をコロナ処理やプラズマ処理で改質した方が好ましい。また、同じ目的のため絶縁フィルムの表面にアンカーコート剤を塗布しても良い。
【0029】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
表−1に示す配合の難燃接着層組成物、難燃非接着層組成物をそれぞれ、トルエン/MEK=4/1の混合溶剤に溶解分散し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)に所定の厚さ塗布乾燥して、本発明の絶縁難燃接着フィルムを得た。表−1に実施例及び比較例を示す。尚、実施例、比較例で示した配合剤の数値は重量部である。
【0031】
物性の評価は、下記方法で行なった。
【0032】
難燃性:絶縁難燃接着フィルム単体の難燃性を、UL規格のUL94装置・機器内部品用プラスチック材料の燃焼試験第11項の薄手材料垂直燃焼試験に従って評価した。
【0033】
接着力:絶縁難燃接着フィルム及び0.12mm厚さの銅箔をそれぞれ100mm×100mmの大きさに切り取り、絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層面を導体側に向けて重ね合わせ、160℃に加熱された2本のシリコンロールの間を圧力6Kg/cm、速度0.5m/分の条件で通して試料を作製した。その後、10mm幅にカットし、引張試験機を用いて、50mm/分の引張速度で180度剥離を行い、銅箔と絶縁難燃接着フィルム間の接着力を測定した。
【0034】
加熱ロール汚染性:接着力測定用の試料を作製した時、絶縁難燃接着フィルムの難燃非接着層が加熱ロールに移行したかどうかを観察した。この時、加熱ロールへの移行が全くなかったものを○、移行が見られたものを×とした。
【0035】
絶縁抵抗:厚さ0.12mm、幅2mm、長さ100mmの平角導体2本を1mmの間隔を開けて、絶縁難燃接着フィルムで挟み(難燃接着層を導体側に向けて挟む)、160℃に加熱された2本のシリコンロール間を、圧力6kg/cm、速度0.5m/分の条件で通して試料を作製した。この試料を40℃90%RHの恒温恒湿器中に168時間放置した後、2本の導体間の絶縁抵抗を測定した。
【0036】
【表−1】
【0037】
実施例及び比較例で使用した配合剤の材料名を下記に示す。
飽和共重合ポリエステル樹脂1:ガラス転移点20℃、分子量20000
飽和共重合ポリエステル樹脂2:ガラス転移点35℃、分子量30000
水酸化アルミニウム1:表面処理品、水酸化アルミニウム2:未処理品
水酸化マグネシウム1:表面処理品
含水ホウ酸亜鉛1:表面処理品、エポキシ系硬化剤:多官能エポキシ樹脂(エポキシ当量144)
【0038】
表−1の実施例に示した通り、本発明の絶縁難燃接着フィルムは、いずれもUL94薄手材料垂直燃焼試験において、VTM−0又はVTM−1に分類される高い難燃性を有している。また、導体(銅箔)との接着力も10N/cm以上あり、加熱ロール汚染性もなく、絶縁抵抗も良好であった。
【0039】
一方、表−1の比較例に示したように、難燃非接着層の厚さが10μm以下と薄い場合は、難燃性が不足し(比較例1)、難燃非接着層の難燃剤が400重量部以上では接着力が低く(比較例3)、また、難燃接着層の難燃剤が未処理の場合絶縁抵抗が低かった。更に、難燃非接着層に硬化剤が添加されていない場合には難燃非接着層の加熱ロールへの移行が見られた。
【0040】
【発明の効果】
本発明の絶縁難燃接着フィルムには、ハロゲンやリンを含む材料が一切使用されていないことから、燃焼時に有毒ガスを発生させることが無い。その上、本発明の絶縁難燃接着フィルムは、良好な絶縁抵抗と良好な導体(銅箔)との接着性を有し、フラットケーブル製造時に加熱ロールの汚染性が無い。従って本発明の絶縁難燃接着フィルムを用いたフラットケーブルは環境に優しく、電線被覆材料、自動車部材、医療機器、住宅部材など幅広い用途に好適に使用され、工業的価値が極めて大きい。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる絶縁難燃接着フィルム
【符号の説明】
1 難燃接着層
2 アンカーコート層
3 絶縁フィルム
4 難燃非接着層
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットケーブル作製やフレキシブルプリント基板等の各種電子部品の表面保護層を形成する際に使用する絶縁難燃接着フィルムに関する。より詳しくは、ハロゲン系化合物、リン系化合物を含まず、難燃性でフラットケーブルの製造に適した絶縁難燃接着フィルムに関する。
【従来の技術】
【0002】
絶縁フィルム上に接着剤層が形成された2枚の接着フィルムで、複数のライン上の導体を被覆した構造のフラットケーブルが知られている。フラットケーブルは、自動車、AV機器、コンピューター、複写機配線用などに幅広く利用されている。
【0003】
これらのフラットケーブルに関しては、その電気的用途及び防災の観点から、導体以外の構成材料(即ち、基材フィルムの片面に接着剤と難燃剤からなる難燃接着層が設けられている難燃性接着フィルム)が、良好な絶縁性と導体に対する接着性及び難燃性を示すことが望まれている。
【0004】
従って、フラットケーブルに使用されるような接着フィルムには、火災に対する安全面から、米国難燃規格(UL規格)のUL94薄手材料垂直燃焼試験でVTM−0又はVTM−1に分類されるような高度の難燃性が要求される。このため、従来は難燃剤としてハロゲン系(例えば臭素系、塩素系)の難燃剤が使用されてきた。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にハロゲン化水素が発生し機器類を腐食する恐れがあり、更に燃焼の際に微量ながら人体に有毒なダイオキシン類が発生する可能性が指摘されており、環境問題からノンハロゲン系の絶縁難燃接着フィルムを使用したフラットケーブルが望まれている。
【0005】
これらのことから、絶縁難燃接着フィルムに使用する難燃剤として、赤燐や燐酸エステル等のリン系化合物及び水酸化アルミや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物及びメラミンシアヌレート等の窒素含有有機化合物が検討されている。
【0006】
一方、摺動性が必要なフラットケーブルにおいては、導体との高い接着性および耐久性が要求される。従来使用されているハロゲン系難燃剤は、少量の添加で高い難燃性が得られるため、接着層に使用する樹脂の凝集力及び導体接着力への影響が少ない。このため、10N/cm以上の良好な導体(銅箔)との接着力が得られ、抜群の耐久性が得られる。ハロゲン系難燃剤を使用せずに高い難燃性を得るためには、多量の難燃剤を使用しなければならず、この場合、導体(銅箔)との高い接着力が得られず、ひいては耐久性も得ることができない。ここで言う摺動性とは、プリンターや自動車のハンドル内のエアーバック用など使用時に繰り返し外的な力がフラットケーブルにかかるものに対し必要とする性能(耐久性)を意味する。
【0007】
例えば、特開平6−338225号公報には、フラットケーブル用の接着テープのポリエステル難燃層に赤燐、リン酸エステル、水酸化マグネシウム等のノンハロゲン系難燃剤を添加することが開示されている。また、特開2001−11418号公報には、ポリエステル難燃層にメラミンシアヌレート等の窒素含有有機難燃剤や炭酸カルシウム等のノンハロゲン系難燃剤を添加することが開示されている。
【0008】
しかしながら、赤燐は燃焼時に人体に有害なホスフィンガスを発生させるために好ましくなく、燐酸エステル類は高湿度環境下で加水分解して絶縁性を低下させるなどの問題がある。また、メラミンシアヌレート等の窒素含有有機難燃剤も燃焼時に有害な青酸ガスを発生させる恐れがある。その上、窒素含有有機難燃剤は、熱劣化により変色し、導体(銅箔)との接着力の耐久性に問題がある。
【0009】
一方、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を使用せず、金属水酸化物のみでハロゲン系難燃剤に匹敵する高難燃性を得るためには、難燃接着層に金属水酸化物を多量に添加する必要があるが、この場合、接着層の凝集力が低下し、摺動性を要求されるフラットケーブルにおいて、高い接着力が得られなくなり実用的ではなく、高い難燃性と高い接着性の両立が難しい。また、高湿度環境下では吸湿して絶縁抵抗が低くなる問題もある。
【0010】
ところで、絶縁難燃接着フィルムの基材として、絶縁フィルムそのものを難燃化したフィルムを使用すれば、接着層には金属水酸化物の少量添加でも、難燃性を発現出来、接着性や絶縁性が損なわれることもない。しかしながら、このような難燃フィルムは非常に高価なため、実用的ではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらのことから、本発明は、燃焼時に機器類を腐食せず人体に有害なガスを発生させることなく、接着性、絶縁性に富み、且つロール状で保管した時ブロッキングせず、更に、フラットケーブル製造時に加熱ロールを汚染することのない、安価で環境に優しいフラットケーブル用ノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、可燃性絶縁フィルムであっても、両面に難燃性樹脂層を設けることにより、可燃性絶縁フィルムが燃焼時に空気から遮断されていれば、有害ガスを発生するハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤等の従来の難燃剤を使用することなく、ノンハロゲン・ノンリン系難燃剤を使用してハロゲン系難燃剤並の高難燃性を付与することが出来、難燃規格のUL94薄手材料垂直燃焼試験においてVTM−0又はVTM−1を達成できることを見出すと共に、難燃接着層の導体(銅箔)との接着力の向上及び高湿度下での難燃接着層の絶縁低下の抑制及びフラットケーブル製造時に加熱ロールと接触する面の耐熱性(ロール汚染性)を改良して、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムは、絶縁フィルムの片面に、高接着性・高絶縁性のノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を設け、他面に高難燃性のノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けたことを特徴とする。
【0014】
従来のハロゲン系やノンハロゲン系絶縁難燃接着フィルムは、一般に基材たる絶縁フィルムの片面に難燃接着層を設けられているが、ノンハロゲン・ノンリン系難燃接着フィルムの場合、片面に難燃接着層を設けただけではハロゲン系やノンハロゲン系と比較して難燃性が不十分なため、上記垂直燃焼試験に合格できない。ノンハロゲン・ノンリン系で、ハロゲン系に匹敵する難燃性を得る為には、難燃剤の充填量を増やす必要があるが、この場合、導体に対する接着力が低下する。しかしながら、本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムでは、絶縁フィルムの片面に難燃剤の充填量を抑制した高接着性を有するノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を設け、且つ他面に、フラットケーブル製造時の加熱ロールを汚染しない耐熱性を有する高難燃性のノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けて、絶縁フィルムの両面を空気から遮断することにより垂直燃焼試験に合格し、且つ導体に対する高い接着力を有するという、高い難燃性と高い接着性の両立を実現できた。
【発明の実施の形態】
【0015】
以下、本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの実施形態を説明する。
【0016】
本発明の、基材の絶縁フィルムとしては、可撓性があり、機械的特性、電気的特性に優れたフィルムであれば特に制限されないが、分子骨格中に芳香族環を有し、ハロゲンを含まない樹脂が難燃性の付与に有利であり、かつ環境に対する負荷の少ないことから好適に用いられる。これらのフィルムとしては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)やポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)が安価で特に適している。
【0017】
絶縁フィルムの厚みは、19〜50μmが好ましい。厚さが薄過ぎると機械的強度や耐電圧が不足し、厚過ぎると燃えやすくなるため、難燃非接着層を厚くする必要があり、可撓性が失われると共に経済的でない。
【0018】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層は、銅箔との接着性を有する熱可塑性樹脂とノンハロゲン・ノンリン系難燃剤からなる。この熱可塑性樹脂としては、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・グリシジルメタクリレート三元共重合体、飽和共重合ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に絶縁フィルムとして用いるPETフィルムやPBTフィルム及びフラットケーブルの導体(銅箔)との接着性に優れる飽和共重合ポリエステル樹脂が好適に用いられる。
【0019】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層に用いるノンハロゲン・ノンリン難燃剤としては、高湿度下でも1010Ω−cm以上の絶縁性を保持させ、且つ熱可塑性樹脂との親和性を向上させる目的で、ステアリン酸やシランカップリング剤又はチタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、モリブデン化合物等で表面処理をされた水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、含水ホウ酸亜鉛等が挙げられる。この内、接着性・難燃性・価格の面から、水酸化アルミニウム単独または水酸化アルミニウムと含水ホウ酸亜鉛の併用が好適である。表面処理剤は、数種類組み合わせ使用しても良い。
【0020】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層に添加する難燃剤の配合比率は、難燃性と接着性の面から、難燃接着層の熱可塑性樹脂100重量部に対して50〜400重量部が好適である。難燃剤の添加量が50重量部未満では難燃性が不十分で、背面の難燃非接着層を厚くする必要が有り、経済的でない。また、400重量部を越えると導体(銅箔)との接着性が低下し、10N/cm以上の良好な導体(銅箔)との接着力が得られなくなる。
【0021】
難燃接着層の厚さは、使用される導体の厚さによって変わるが、ラミネートされる時、導体側面の空隙を完全に埋めるために、導体厚さの50%以上の厚さが必要である。
【0022】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃非接着層は、可撓性合成樹脂組成物とノンハロゲン・ノンリン系難燃剤からなる。可撓性合成樹脂組成物としては、可撓性を有し、フラットケーブルが製造される温度で溶融しない樹脂又はゴムであれば良いが、熱可塑性樹脂であっても、過酸化物やエポキシ化合物等で架橋させ耐熱性を向上させて用いることもできる。これらの可撓性合成樹脂としては、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム等の低不飽和ゴム又はポリウレタン樹脂、飽和共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・グリシジルメタクリレート三元共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。中でも飽和共重合ポリエステル樹脂は、PETとの接着性に優れかつ可撓性に優れるため、好適に用いられる。
【0023】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃非接着層に用いる難燃剤としては、金属水酸化物、シリコン系、アンチモン化合物、モリブデン化合物、ホウ酸化合物などのノンハロゲン・ノンリン系難燃剤であれば特に限定されないが、中でも、金属水酸化物、含水ホウ酸亜鉛が安価であり好適に用いられる。特に、水酸化マグネシウムと含水ホウ酸亜鉛の併用が難燃効果も高く好適である。水酸化マグネシウムは、有機物の燃焼温度付近で脱水し、冷却による難燃効果が大きく、一方、含水ホウ酸亜鉛は、燃焼物のドリップ防止に効果的である。また、これらの難燃剤は、樹脂との親和性を向上させるために、難燃接着層で使用される難燃剤と同様に表面処理されていることが好ましい。
【0024】
難燃非接着層に使用される難燃剤の内、金属水酸化物の添加量は、可撓性合成樹脂組成物100重量部に対して、100〜500重量部が好ましい。100重量部未満では、難燃性が不十分であり、500重量部を越えると、可撓性が失われて折り曲げ時クラックが入るため好ましくない。また、含水ホウ酸亜鉛の添加量は、合成樹脂組成物100重量部に対し50〜200重量部が好ましい。50重量部未満では燃焼時の耐ドリップ性が不十分であり、200重量部を越えても難燃効果の向上はなく、単にコストアップとなるだけで経済的でない。
【0025】
難燃非接着層の厚さは、絶縁フィルムの厚さの20〜200%、好ましくは50〜100%が好適である。難燃非接着層の厚さが絶縁フィルムの厚さの20%以下では、難燃規格のUL94薄手材料垂直燃焼試験においてVTM−0またはVTM−1を満たすことが出来ない。一方、難燃非接着層の厚さが絶縁フィルムの厚さの200%を超えると、絶縁難燃接着フィルムの可撓性が失われると共に、厚さが厚くなり経済的でない。
【0026】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層及び難燃非接着層の熱可塑性樹脂や可撓性合成樹脂組成物中には、必要に応じてハロゲンやリンを含有しない酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、着色剤、架橋剤、架橋助剤などを適宜添加することが出来る。また、難燃非接着層の可撓性合成樹脂組成物中には、貯蔵時のブロッキングやフラットケーブル製造時の加熱ロールの汚染を防ぐために、シリコン系離型剤やフッ素系離型剤を適宜添加することもできる。
【0027】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムの作製方法としては、絶縁フィルム上に押出コーティング法により難燃接着層及び難燃非接着層を積層する方法、あるいは難燃接着層及び難燃非接着層の有機溶剤溶液を絶縁フィルム上に塗布・乾燥(・架橋)して形成する方法などが挙げられる。
【0028】
本発明のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルムに使用する絶縁フィルムは、難燃接着層と絶縁フィルム間または難燃非接着層と絶縁フィルム間の接着力を向上させるために、絶縁フィルムの表面をコロナ処理やプラズマ処理で改質した方が好ましい。また、同じ目的のため絶縁フィルムの表面にアンカーコート剤を塗布しても良い。
【0029】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
表−1に示す配合の難燃接着層組成物、難燃非接着層組成物をそれぞれ、トルエン/MEK=4/1の混合溶剤に溶解分散し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)に所定の厚さ塗布乾燥して、本発明の絶縁難燃接着フィルムを得た。表−1に実施例及び比較例を示す。尚、実施例、比較例で示した配合剤の数値は重量部である。
【0031】
物性の評価は、下記方法で行なった。
【0032】
難燃性:絶縁難燃接着フィルム単体の難燃性を、UL規格のUL94装置・機器内部品用プラスチック材料の燃焼試験第11項の薄手材料垂直燃焼試験に従って評価した。
【0033】
接着力:絶縁難燃接着フィルム及び0.12mm厚さの銅箔をそれぞれ100mm×100mmの大きさに切り取り、絶縁難燃接着フィルムの難燃接着層面を導体側に向けて重ね合わせ、160℃に加熱された2本のシリコンロールの間を圧力6Kg/cm、速度0.5m/分の条件で通して試料を作製した。その後、10mm幅にカットし、引張試験機を用いて、50mm/分の引張速度で180度剥離を行い、銅箔と絶縁難燃接着フィルム間の接着力を測定した。
【0034】
加熱ロール汚染性:接着力測定用の試料を作製した時、絶縁難燃接着フィルムの難燃非接着層が加熱ロールに移行したかどうかを観察した。この時、加熱ロールへの移行が全くなかったものを○、移行が見られたものを×とした。
【0035】
絶縁抵抗:厚さ0.12mm、幅2mm、長さ100mmの平角導体2本を1mmの間隔を開けて、絶縁難燃接着フィルムで挟み(難燃接着層を導体側に向けて挟む)、160℃に加熱された2本のシリコンロール間を、圧力6kg/cm、速度0.5m/分の条件で通して試料を作製した。この試料を40℃90%RHの恒温恒湿器中に168時間放置した後、2本の導体間の絶縁抵抗を測定した。
【0036】
【表−1】
【0037】
実施例及び比較例で使用した配合剤の材料名を下記に示す。
飽和共重合ポリエステル樹脂1:ガラス転移点20℃、分子量20000
飽和共重合ポリエステル樹脂2:ガラス転移点35℃、分子量30000
水酸化アルミニウム1:表面処理品、水酸化アルミニウム2:未処理品
水酸化マグネシウム1:表面処理品
含水ホウ酸亜鉛1:表面処理品、エポキシ系硬化剤:多官能エポキシ樹脂(エポキシ当量144)
【0038】
表−1の実施例に示した通り、本発明の絶縁難燃接着フィルムは、いずれもUL94薄手材料垂直燃焼試験において、VTM−0又はVTM−1に分類される高い難燃性を有している。また、導体(銅箔)との接着力も10N/cm以上あり、加熱ロール汚染性もなく、絶縁抵抗も良好であった。
【0039】
一方、表−1の比較例に示したように、難燃非接着層の厚さが10μm以下と薄い場合は、難燃性が不足し(比較例1)、難燃非接着層の難燃剤が400重量部以上では接着力が低く(比較例3)、また、難燃接着層の難燃剤が未処理の場合絶縁抵抗が低かった。更に、難燃非接着層に硬化剤が添加されていない場合には難燃非接着層の加熱ロールへの移行が見られた。
【0040】
【発明の効果】
本発明の絶縁難燃接着フィルムには、ハロゲンやリンを含む材料が一切使用されていないことから、燃焼時に有毒ガスを発生させることが無い。その上、本発明の絶縁難燃接着フィルムは、良好な絶縁抵抗と良好な導体(銅箔)との接着性を有し、フラットケーブル製造時に加熱ロールの汚染性が無い。従って本発明の絶縁難燃接着フィルムを用いたフラットケーブルは環境に優しく、電線被覆材料、自動車部材、医療機器、住宅部材など幅広い用途に好適に使用され、工業的価値が極めて大きい。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる絶縁難燃接着フィルム
【符号の説明】
1 難燃接着層
2 アンカーコート層
3 絶縁フィルム
4 難燃非接着層
Claims (6)
- 絶縁フィルムの片面に、ノンハロゲン・ノンリン難燃接着層を、他面にノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層を設けたことを特徴とするノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルム。
- 前記ノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層の厚さが、絶縁フィルムの厚さの20〜200%であることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン・ノンリン絶縁難燃接着フィルム。
- 前記ノンハロゲン・ノンリン難燃非接着層が、可撓性合成樹脂組成物及びノンハロゲン・ノンリン難燃剤からなることを特徴とする請求項1記載の絶縁難燃接着フィルム。
- 請求項3記載のノンハロゲン・ノンリン難燃剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等の金属水酸化物の単独又は2種以上の混合物と含水ホウ酸亜鉛の混合物であって、金属水酸化物の添加量が可撓性合成樹脂組成物100重量部に対し100〜500重量部、含水ホウ酸亜鉛の添加量が、可撓性合成樹脂組成物100重量部に対し50〜200重量部であることを特徴とする請求項1記載の絶縁難燃接着フィルム。
- 前記ノンハロゲン・ノンリン難燃接着層が銅箔と接着性を有する熱可塑性樹脂とノンハロゲン・ノンリン難燃剤からなり、熱可塑性樹脂100重量部に対し難燃剤の添加量が50〜400重量部であることを特徴とする請求項1記載の絶縁難燃接着フィルム。
- 請求項5記載のノンハロゲン・ノンリン難燃剤が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、含水ホウ酸亜鉛の群から選ばれる単独又は2種以上の混合物であって、高級脂肪酸、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、モリブデン化合物の単独又は2種以上の混合物で表面処理されていることを特徴とする請求項1記載の絶縁難燃接着フィルム。
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