JP2003188574A - 電磁波シールド材、及び電磁波シールド付きフラットケーブル - Google Patents

電磁波シールド材、及び電磁波シールド付きフラットケーブル

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JP2003188574A
JP2003188574A JP2001385361A JP2001385361A JP2003188574A JP 2003188574 A JP2003188574 A JP 2003188574A JP 2001385361 A JP2001385361 A JP 2001385361A JP 2001385361 A JP2001385361 A JP 2001385361A JP 2003188574 A JP2003188574 A JP 2003188574A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁波シールド性に優れ、かつ、難燃性、可と
う性、導体への接着性が良く、しかも安価な電磁波シー
ルド材、及びそれを用いた電磁波シールド付きフラット
ケーブルを提供する。 【解決手段】基材フィルムの一方の面に、金属層、接着
層を順次積層し、該接着層が、ニッケルフィラー及びス
テンレスフィラーからなる導電材成分と、合成樹脂成分
と、難燃剤成分とを含む組成物からなる電磁波シールド
材、及び該電磁波シールド材を、複数の平角導線を同一
平面内で配列した導線列を両面より接着剤層を有する帯
状被覆材にて被覆してなるフラットケーブルの少なくと
も片面に加熱加圧して一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波シールド
材、及びそれを用いた電磁波シールド付きフラットケー
ブルに関し、さらに詳しくは、シールド層とグランド線
との導通が容易で、電磁波シールド性に優れる電磁波シ
ールド材、及びそれを用いた電磁波シールド付きフラッ
トケーブルに関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、通信機、コンピューターなどの電子
機器の装置内及び装置間の、信号や電気的な接続にフラ
ットケーブルが、横巻きシールド線や同軸線に代わって
使用されている。フラットケーブルは、電子機器内や外
部からの種々の電波、電磁波などが発生する環境下で使
用されるので、これらの影響を受けて、コンピューター
や電子機器を誤作動させる原因になることが多くなって
いる。このために、フラットケーブルを、電磁波からシ
ールドする技術が種々開発されている。しかしながら、
特開平6−283053号公報のシールド層に金属層を
用いて電気絶縁性の接着剤層を設けた電磁波シールド材
は、シールド層とグランド線が導通しないので、導通さ
せるためにスポット溶接などの別加工が必要となる。金
属によるシールド材では柔軟性がないので、電子機器へ
の敷設作業性が悪く、可とう性も悪いので敷設装着時に
傷がついたり、穴があいてしまうという問題があった。
また、特開平8−7664号公報のPPSなどのエンジ
ニアリングプラスチックフィルムへ金属フィラーを含有
させた接着層を設けた電磁波シールド材では、難燃性性
能も併せ持たせることができるが、エンジニアリングプ
ラスチックのコストが非常に高く実用的でない。特開平
7−122883号公報、特開平10−145080号
公報、特開平11−120831号公報の基材へ金属
層、導電性フィラー入り接着層を順次設けた電磁波シー
ル材では、いずれも、グランド線と導通をとるために、
接着層へ銀やニッケルなどの金属フィラーを大量に混入
させる必要があり、高価な銀やニッケルを用いるコスト
面で、また、金属フィラーを大量に混入させた接着層を
形成するために製造に高度な技術を要するという欠点が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はこの
ような問題点を解消するためになされたものである。そ
の目的は、基材フィルムへ、金属層と、該金属層へ少な
くともニッケルフィラー及びステンレスフィラーを含有
する接着層と、を設けた電磁波シールド材を、導線と接
触させて加熱加圧するだけで、接着させると同時に、金
属層とグランド線とを導通させアースできる電磁波シー
ルド材、及び電磁波シールド付きフラットケーブルを提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1の発明に係わる電磁波シールド材は、基
材フィルムの一方の面に、金属層、接着層を順次積層
し、該接着層が、ニッケルフィラー及びステンレスフィ
ラーからなる導電材成分と、合成樹脂成分と、難燃剤成
分とを含む組成物からなり、それぞれの成分が所定重量
%を含むようにしたものである。本発明によれば、導体
へ接着性、難燃性、シールド性に優れる電磁波シールド
材が提供される。
【0005】請求項2の発明に係わる電磁波シールド材
は、ニッケルフィラー及びステンレスフィラーからなる
導電材成分の、それぞれの成分が所定重量%を含むよう
にしたものである。本発明によれば、導体へ接着性、難
燃性、シールド性に優れる電磁波シールド材が提供され
る。請求項3の発明に係わる電磁波シールド材は、基材
フィルムがポリエチレンテレフタレート、金属層が厚さ
0.5μm〜1.2μmのアルミニウム、接着層の合成
樹脂成分がポリエステル系合成樹脂であるようにしたも
のである。本発明によれば、導体へ接着性、難燃性、シ
ールド性に優れる電磁波シールド材が提供される。請求
項4の発明に係わる電磁波シールド材は、接着層に含ま
れる合成樹脂成分、及び難燃剤成分がハロゲン元素を含
まないようにしたものである。本発明によれば、導体へ
接着性、難燃性、シールド性に優れ、かつ環境への負荷
が少ない電磁波シールド材が提供される。
【0006】請求項5の発明に係わる電磁波シールド付
きフラットケーブルは、複数の平角導線を同一平面内で
配列した導線列を、両面より接着剤層を有する帯状被覆
材にて被覆し、さらに該被覆材の少なくとも片側に、請
求項2〜4のいずれかに記載の電磁波シールド材を被覆
するようにしたものである。本発明によれば、難燃性、
シールド性に優れる電磁波シールド付きフラットケーブ
ルが提供される。
【0007】請求項6の発明に係わる電磁波シールド付
きフラットケーブルは、請求項2〜4のいずれかに記載
の電磁波シールド材を被覆するようにしたものである。
本発明によれば、難燃性、シールド性に優れる電磁波シ
ールド付きフラットケーブルが提供される。請求項7の
発明に係わる電磁波シールド付きフラットケーブルは、
前記接着層が、グランド線の非絶縁部に接するように被
覆するようにしたものである。本発明によれば、金属層
と導体がアースされて、よりシールド性に優れる電磁波
シールド付きフラットケーブルが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様について、図面
を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の電磁波シー
ルド材の1実施例の構成を示す模式的な断面図である。
本発明の電磁波シールド材10は、基材フィルム11の
一方の面に、金属層13と、接着層14とがこの順に順
次積層されている。
【0009】基材フィルム11の材料としては、機械的
強度、耐薬品性、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて
種々の素材を適用できる。例えば、ポリエチレンテレフ
タレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン
ナフタレ−ト等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン610等のポリアミド系樹脂、ポリ
エチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹
脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメ
チルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカ−
ボネ−ト、ポリスチレンなどがある。
【0010】これら樹脂の少なくとも1層からなるフィ
ルム、シート、又はボード形状として使用するが、これ
ら形状を本明細書ではフィルムと総称する。通常は、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
等のポリエステルのフィルムが好適に使用され、ポリエ
チレンテレフタレートが最適である。該樹脂フィルムの
厚さは、通常は4〜100μmが適用でき、4〜25μ
mが好適である。このような厚さで、本発明の電磁波シ
ールド材10に必要とされる強度が得られ、かつ、該電
磁波シールド材10に良好な可撓性を得られる。該樹脂
フィルムは、延伸フィルムであってもよいし、未延伸フ
ィルムであってもよいが、強度を向上させる目的で、一
軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであることが好
ましい。該樹脂フィルムは、必要に応じて、充填剤、着
色剤、可塑剤などの添加剤を加えても良い。
【0011】次に、該基材フィルム11の一方の面に、
金属層13を設ける。電磁波シールド機能を持つ金属層
13としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、銀な
どが適用できる。できるだけ導電性の高いもの、例え
ば、銅、アルミニウムが好適で、さらに安価で加工性の
良いアルミニウムが最も好適である。同一の金属層で
は、その厚さが厚いほど電磁波シールド性は高いが、電
磁波シールド材自身が硬くなって摺動性や曲げ適性が悪
くなる。一方、金属層13の厚さが薄いほど電磁波シー
ルド材はやわらかいものとなり、シールド性はやや低い
ものとなる。
【0012】該金属層13の形成は、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の真
空薄膜形成法が適用できるが、真空蒸着法が好適であ
る。該金属層13の厚みは0.01μm〜30μm程
度、好ましくは0.1μm〜10μmとすることができ
る。特に好ましくは、厚さが0.5μm〜1.2μmの
アルミニウムである。該アルミニウム層は0.5μm以
下ではシールド性が減少し、1.2μm以上では基材フ
ィルムの耐熱性などの問題から、1〜2回の蒸着加工で
製膜ができないので、3回以上の蒸着加工をせねばなら
ず、コストが高くなる。このように厚さを0.5μm〜
1.2μmとすることで、電磁波シールド性と、適度の
摺動性、曲げ適性を併せ持つ電磁波シールド材とするこ
とができる。
【0013】図には示していないが、基材フィルム11
の金属層13を形成する面、金属層13の接着剤層12
を設ける面には、必要に応じて接着力を強めるために、
予めコロナ処理、プラズマ処理をしたり、プライマー層
を設けたりしても良い。プライマ−層としては、例え
ば、熱、光あるいは電子線等の作用で硬化性を有するポ
リエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂のなどの樹脂を
使用することができる。該樹脂をビヒクルの主成分と
し、これに硬化剤、架橋剤、充填剤、その他等の所望の
添加剤等を任意に添加し、溶剤・希釈剤等で混練し、充
分に溶解ないし分散して、塗布し乾燥すれば良い。
【0014】次いで、金属層13へ接着層14を設け
る。接着層14は、柔軟性に富み、かつ金属層13及び
フラットケ−ブルの表面とのヒ−トシ−ル性を有してい
ることが必要である。また、環境への負荷を少なくする
ために、塩素、臭素などのハロゲン元素を含まない接着
性樹脂が、好適である。接着層14を構成する材料とし
ては、例えば、アイオノマ−樹脂、酸変性ポリオレフィ
ン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのポ
リオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポ
リアミド系などのホットメルト系樹脂や、ゴム系、アク
リル系、ポリビニールエーテルなどのビニール系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などの接着性樹
脂が適用できる。
【0015】電磁波シールド材10は、フラットケーブ
ルの最外面の材料に多く使用されるポリエステル樹脂、
及び導体の両方に接着させる必要がある。このために、
接着層14の樹脂としては、両方に接着性の良いポリエ
ステル系樹脂が好適である。該ポリエステル系樹脂は、
飽和共重合ポリエステル樹脂であって、ガラス転移点が
−50℃〜80℃で、かつ重量平均分子量が7000〜
50000の範囲の樹脂を主成分とする樹脂組成物から
なるものが好適である。また、ガラス転移点が比較的低
く柔軟性に富むポリエステル系樹脂と、ガラス転移点の
比較的高く耐熱性に富むポリエステル系樹脂とを、配合
して使用しても良い。言い換えるなら、非晶性のポリエ
ステル系樹脂と、結晶性のポリエステル系樹脂を、適
宜、配合して使用しても良い。
【0016】このようなポリエステル系樹脂を接着層1
4とし、基材フィルム11をポリエチレンテレフタレー
トとし、金属層13を厚さ0.5μmから1.2μmの
アルミニウムと組み合わせが最適であり、耐熱性、摺動
性、電磁波シールド性、電子機器へ装着する作業適性な
どに優れており、請求項3の実施態様である。
【0017】接着層14へは、ヒートシール性の合成樹
脂成分へ、ニッケルフィラー及びステンレスフィラーか
らなる導電材成分と、難燃剤成分を含有させる。接着層
14が、接着層組成物中の含有率で、導電材成分5.5
〜35重量%と、合成樹脂成分35〜79.5重量%
と、難燃剤成分15〜30重量%とを含む組成物からな
るものが、請求項1の本発明である。上記導電材成分
が、接着層組成物中の含有率で、ニッケルフィラー5〜
25重量%と、ステンレスフィラー0.5〜10重量%
とからなるものが、請求項2の本発明である。上記接着
層に含まれる合成樹脂成分、及び難燃剤成分がハロゲン
元素を含まないものが、請求項4の本発明である。ま
た、接着層14へは、体質顔料2〜15重量%などを含
有させると、塗布時の塗膜が安定して、製造適性が良化
するとともに、金属層及びフラットケーブル最外層への
接着性も高まる。
【0018】該導電材成分、即ち、導電性フィラーとし
ては、通常、ファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク、アセチレンブラックなどのカーボンブラックやグラ
ファイトなどのカーボン粒子、ニッケル、銅、銀などの
金属紛、ハンダなどの合金紛、金属ウィスカー、金属メ
ッキを施したガラス繊維などが用いられるが、本発明で
は、ニッケルフィラーと、ステンレスフィラーを併用す
る。接着層14は、ニッケルフィラー、及びステンレス
フィラーの導電性フィラーを含有する。しかし、該接着
層14にはシールド性がなく、グランド線へのアース機
能を受け持ち、シールド性の機能は金属層13が受け持
って、金属層13及び接着層14の2層で優れた電磁波
シールド性が発現される。
【0019】該ニッケルフィラー、及びステンレスフィ
ラーの粒径は、0.1〜10μm程度、好ましくは1〜
5μmである。該導電性フィラーの含有量は、多いほう
が導電性は良いがコスト的に高くなるので、高価なニッ
ケルフィラーを、ステンレスフィラーを併用すること
で、減量することができる。このようにして、コスト面
とグランド線へのアース機能を両立させることを見出し
た。
【0020】接着層14へ含有させる導電性成分として
は、接着層組成物中の含有量でニッケルフィラー5〜2
5重量%と、ステンレスフィラー0.5〜10重量%と
する。また、ニッケルフィラーとステンレスフィラーの
総量は、接着層組成物中の含有量で、5.5〜35重量
%とする。接着層14に含有するニッケルフィラーが2
5重量%を超えるとコストが高く、30重量%を超える
と、接着層14、金属層13、及びフラットケーブル外
層との接着性を阻害する。また、ステンレスフィラーは
ニッケルフィラーと併用することで、アース機能が著し
く向上する。ステンレスフィラーは、接着層組成物中の
含有量で、0.5重量%未満では効果がなく、10重量
%以上では、表面抵抗値が高くなり過ぎる。電磁波シー
ルド材10としては、金属層13を導通し表面抵抗値が
100〜101Ωが好ましい。このような、ニッケルフィ
ラー及びステンレスフィラーを含有させた接着層14を
有する電磁波シールド材10を、後述するようにフラッ
トケーブルの外層へ加熱加圧してヒートシールすると、
接地部を通じて導電性が良化し、アース性が著しく向上
する。ヒートシール時の熱と圧力で、フィラー同志が、
接触又は近づいて導電性が良化すると推定される。
【0021】また、本発明の接着層14には、難燃剤を
接着層組成物中の含有率で15〜30重量%含有させ、
さらに、体質顔料を接着層組成物中の含有率で2〜15
重量%添加する。該体質顔料としては、例えば、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸
化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛などが適用でき
る。好ましくは、接着層組成物を塗布液(インキ)化し
たときの難燃性を向上させる水酸化アルミニウムであ
る。このような該体質顔料を添加すると、接着層組成物
の塗布液の流動性が良く、また、塗布後の塗膜も安定し
て、接着層14と金属層13が強固に接着する。また、
フラットケーブルへ被覆する際には、フラットケーブル
の外層へも強固に接着する。体質顔料は2〜15重量%
を添加するが、接着層組成物中の含有率で2重量%添以
下では塗液の分散効果が少なく、15重量%以上では、
シールド機能の金属層13とグランド線との導通を阻害
する。
【0022】接着層14に難燃剤を含有させることで、
電磁波シールド材付きフラットケーブルとしての難燃性
を与える。該難燃性は、UL規格のVW−1燃焼試験
で、酸素指数を21以上に設定する。また、環境への負
荷を少なくするために、塩素、臭素などのハロゲン元素
を含まない難燃剤が、好適である。該難燃剤としては、
例えば、赤燐・トリアリルホスフェート・アルキルアリ
ルホスフェート・アルキルホスフェート・ホスフォリネ
ート・ジメチルホスフォネート・トリメチルホスフェー
ト・トリエチルホスフェート・トリブチルホスフェート
・トリオクチルホスフェート・トリブトキシエチルホス
フェート・オクチルジフェニルホスフェート・トリクレ
ジルホスフェート・クレジルジフェニルホスフェート・
トリフェニルホスフェート・ポリフォスホネート・ポリ
フォスフェート・芳香族ポリフォスフェートなどのリン
酸エステル又はリン化合物、フォスホネート型ポリオー
ル・フォスフェート型ポリオールなどのポリオール化合
物、水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム・酸化ジ
ルコニウム・水酸化カルシウム・水酸化チタン・水酸化
亜鉛などの水和金属化合物、三酸化アンチモン・三塩化
アンチモン・五酸化アンチモン・ホウ酸亜鉛・ホウ酸ア
ンチモン・メタホウ酸バリウム・ホウ酸・モリブデン酸
アンチモン・酸化モリブデン・リンー窒素化合物・スズ
酸亜鉛・酸化モリブデン酸・酸化スズ・酸化ホウ素・二
酸化珪素・酸化銅・酸化ジルコニウムなどの酸化金属化
合物、カルシウムーアルミニウムシリケート・ジルコニ
ウム化合物・ドーソナイト・アルミン酸カルシウム水和
物・炭酸カルシウム・金属銅紛などの金属粉や無機化合
物、硫酸メラミン・硫酸アセトグアナミン・硫酸グアニ
ルメラミン・硫酸メレム・硫酸メラムなどのトリアジン
化合物、メラミン(シアヌル酸トリアミド)・アムメリ
ン(シアヌル酸ジアミド)・アムメリド(シアヌル酸モ
ノアミド)・メラム・メラミンシアヌレート(メラミン
とシアヌール酸との縮合)・イソシアヌレート・ホモグ
アナミン・ベンゾグアナミン・アセトグアナミンなどの
メラミン誘導体、メラミン樹脂、グアニジン化合物、尿
素などの窒素化合物、その他、シリコーン系ポリマー、
フェロセン、フマール酸、マレイン酸、スルファミン酸
などが適用できる。これらは単独で使用しても、二種以
上を併用してもよい。
【0023】難燃剤は、接着層組成物の含有率で15〜
30重量%含有させる。15重量%以下では難燃性が劣
り、接着層14を大幅に厚膜にせねばならず、30重量
%あれば難燃性は充分であり、多過ぎると接着などの物
性が低下する。接着層中に用いられる含有量は、15〜
30重量%が好ましい。これらは単独で使用しても、二
種以上を併用してもよい。
【0024】また、接着層14には、本発明の効果に影
響のない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば、ワック
スなどの滑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤
(顔料、染料)、ブロッキング防止剤、樹脂と難燃剤と
の間の凝集力を上昇させる各種カップリング剤、架橋
剤、架橋助剤、充填剤、帯電防止剤、難燃触媒を適宜添
加してもよい。上記の無機系難燃剤の粒子の大きさとし
ては、一次粒子として、約0.01μないし15μ位で
ある。
【0025】本発明の電磁波シールド材10は、基材フ
ィルム11へ金属層13を形成し、次いで接着層14を
形成して得られる。接着層14は、前述の合成樹脂成分
と、導電材成分としてのニッケルフィラーと、ステンレ
スフィラーと、難燃剤と、体質顔料とからなる成分を、
有機溶剤などへ溶解又は分散して、塗布し乾燥すること
で形成する。塗布は公知のコーティング法で良く、例え
ば、バーコータ・コンマコータ・ダイコータ・ロールコ
ータ・リバースロールコータ・グラビアコータ・グラビ
アリバースコータ・フローコータなどが適用できる。該
接着層14の厚さとしては、5〜80μm程度、好まし
くは10〜50μmである。
【0026】図2は、本発明の電磁波シールド付きフラ
ットケーブルの1実施例の構成を示す模式的平面図であ
る。図3は、図2のAA断面図である。上記の電磁波シ
ールド材10を用いて、電磁波シールド機能を付与させ
た電磁波シールド付きフラットケーブル1が、請求項5
ないし請求項7の発明である。
【0027】図2に示した電磁波シールド付きフラット
ケーブル1は、まず、銅、スズメッキ軟銅箔などからな
る導線21A、及びグランド導線21Bを所定の間隔を
あけて平行に配置し、両側からフラットケーブル被覆材
20で覆って、導線21A、及びグランド導線21Bを
埋め込むように加熱加圧して一体化させて、フラットケ
ーブルを製作する。次に、該フラットケーブルのグラン
ド導線21Bの片側の被覆材20を長さ方向に部分的に
切除して、グランド線21Bを露出させた後、その外周
を前記電磁波シールド材10で、その導電性の接着層1
4を内側に向けてくるみ、両端が重なるように配置し、
片側又は両側から加熱ロールなどで加熱加圧して熱接着
させ一体化させて構成したものである。また、電磁波シ
ールド材10の被覆は、用途によっては片面でも良い。
【0028】このような構成をとることで、グランド導
線21Bの露出部と、電磁波シールド材10の金属層1
3とが、加熱加圧のみにより導電性の接着層14を介し
て、接地部22で容易に導通されて、優れた電磁波シー
ルド性が付与されると共に、摺導性、耐熱性、電子機器
への装着作業適性にも優れる電磁波シールド付きラット
ケーブル1が、生産性良く提供することができる。
【0029】さらに、上記導電性の接着層14へ難燃剤
が含有されているので、基材フィルム11としてポリエ
チレンテレフタレートを用いていても、電磁波シールド
材付きフラットケーブルとしての難燃性を、UL規格の
VW−1燃焼試験に合格し、かつ、酸素指数(JIS
K7201−2)21以上にすることができる。また、
接着層14の難燃剤、及び合成樹脂成分は、もちろん、
電磁波シールド材10の全体でも、ハロゲン元素を含む
成分を含有させていないので、環境への負荷が少ない。
【0030】
【実施例】(実施例1)まず、厚さ25μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラーTタ
イプ)と、厚さ35μmの難燃剤とポリエステル樹脂か
らなる接着層からなるフラットケーブル被覆材20を作
成する。該フラットケーブル被覆材20を、幅30c
m、長さ100mの2枚とし、その接着層の面が対向す
るように重ね合わせる。該フラットケーブル被覆材20
間に、厚さ50μm、幅0.8mmの平角スズメッキ軟
銅箔からなる導線を、導体ピッチ1.0mmで15本を
並べて挟み込み、150℃に加熱した金属ロールとゴム
ロールとの間を3m/minのスピードで通過させて加
熱加圧して、フラットケーブルを製造した。
【0031】次いで、電磁波シールド材10を製造す
る。基材フィルム11として厚さ12μmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを用いて、該基材フィルム1
1の一方の面に、真空蒸着法で1.0μmのアルミニウ
ム層を金属層13を形成した。次いで、金属層13面
へ、合成樹脂成分としてポリエステル系樹脂(東亜合成
化学社製、PES−320SBH)45重量%と、ニッ
ケルフィラー(平均粒径2〜3μm)20重量%と、ス
テンレスフィラー(平均粒径2〜3μm)5重量%と、
難燃剤としてリン系難燃剤20重量%と、体質顔料とし
て水酸化アルミニウムを10重量%と、からなる接着剤
組成物を、同量のトルエン/メチルエチルケトン=1/
1の混合溶剤へ溶解又は分散させた塗布液を、公知のリ
バースロールコーティング法で塗布し乾燥して、厚さ3
3μmの接着層14を形成して、電磁波シールド材10
とした。
【0032】次いで、該電磁波シールド材10を用い
て、先に作っておいたフラットケーブルをシールドす
る。まず、多数の導線21A、21Bが包み込まれてい
るフラットケーブルの、導体1本に面する片面のフラッ
トケーブル被覆材20を、長さ方向に連続して露出させ
てグランド線21Bとする。次いで、電磁波シールド材
10を用いてフラットケーブルを包み、加熱加圧してヒ
ートシールする。露出部も加熱されて、電磁波シールド
材10の接着層14が溶融して、露出している導線21
B(グランド線)と導通して、電気的に接続された電磁
波シールド付きフラットケーブルを得た。
【0033】(実施例2〜4、比較例1〜2)金属層1
3及び接着層14を形成する接着剤組成物を、表1に表
わす材質と含有率(重量%)にした以外は、実施例1と
同様にして、電磁波シールド材10を得た。
【0034】
【表1】
【0035】(評価)上記の実施例1〜4、比較例1〜
2のフラットケーブル被覆材10付きフラットケーブル
1について、下記に示す項目について試験して評価し
た。 (1)アース性 フラットケーブル被覆材10の接着層14の面と、厚さ
50μmのスズメッキ軟銅導体とをヒートシーラーで接
着(温度160℃、圧力40N/cm2、時間3秒間)
後に、スズメッキ軟銅導体を丁寧に剥がして、接着層1
4面の表面抵抗を測定した。10Ω以下を合格とし、合
格を「○」、不合格の場合を「×」で表わし、表1の下
欄の「表面抵抗値」欄に併記した。 (2)難燃性試験 フラットケーブル被覆材10付きフラットケーブル1の
難燃性を、UL規格VW−1燃焼試験で評価した。合格
を「○」、不合格の場合を「×」で表わし、表1の下欄
の「難燃性」欄に併記した。 (3)熱接着層/導体間のT字剥離強度試験 フラットケーブル被覆材10の接着層14の面と、厚さ
50μmのスズメッキ軟銅導体とをヒートシーラーで接
着後(温度160℃、圧力40N/cm2、時間3秒
間)、引っ張り試験機でT字剥離強度(g/巾10m
m)を、測定環境温度を25℃で測定して評価した。1
80度剥離法で測定し、50g以上を合格とし、合格を
「○」、不合格の場合を「×」で表わし、表1の下欄の
「導体接着力」欄に併記した。
【0036】上記の表に示す結果より明らかなように、
実施例1〜4では、アース性、難燃性試験、及び導体接
着力のいずれもが、合格範囲であった。比較例1〜2で
は、アース性、又は導体接着力が不合格であった。
【0037】
【発明の効果】請求項1の本発明の電磁波シールド材1
0は、金属層13がシールド性のない接着層14を介し
てグランド線へアースすることで、電磁波シールド性を
有する金属層13と相乗して、優れた電磁波シールド性
を発揮する。また、接着層14はフラットケーブルの外
層、及び導体の両方に良好な接着性を有している。さら
に、難燃剤を含有させているので、UL規格のVW−1
難燃性試験に合格する。請求項1ないし請求項4の本発
明によれば、接着層14に所定のニッケルフィラー及び
ステンレスフィラーを含有させることで、加熱加圧によ
って導電性が高まり、金属層13がシールド性のない接
着層14を介してグランド線へアースすることで、電磁
波シールド性を有する金属層13と相乗して、優れた電
磁波シールド性を発揮する。
【0038】請求項2の発明の電磁波シールド材は、ニ
ッケルフィラー及びステンレスフィラーからなる導電材
成分としたもので、高含有量のニッケルフィラーのみか
らなる従来と比較して安価である。請求項3の発明の電
磁波シールド材は、基材フィルムがポリエチレンテレフ
タレート、金属層が厚さ0.5μm〜1.2μmのアル
ミニウム、接着層の合成樹脂成分がポリエステル系合成
樹脂であるようにしたもので、導体へ接着性、難燃性、
シールド性、可とう性などのバランスの取れた機能で、
かつ安価である。請求項4の発明の電磁波シールド材
は、接着層に含まれる合成樹脂成分、及び難燃剤成分が
ハロゲン元素を含まないので、環境への負荷が少ない。
【0039】請求項5の発明の電磁波シールド付きフラ
ットケーブルは、請求項1〜4のいずれかに記載の電磁
波シールド材を被覆したもので、フラットケーブル最外
層及び導体へ接着性、難燃性、シールド性に優れる。請
求項7の発明の電磁波シールド付きフラットケーブル
は、前記接着層が、グランド線の非絶縁部に接するよう
に被覆したもので、金属層と導体がアースされて、より
シールド性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電磁波シールド材の1実施例の構成
を示す模式的な断面図である。
【図2】 本発明の電磁波シールド付きフラットケーブ
ルの1実施例の構成を示す模式的平面図である。
【図3】 図2のAA断面図である。
【符号の説明】
1 電磁波シールド付きフラットケーブル 10 電磁波シールド材 11 基材フィルム 12 接着層 13 金属層 14 接着層 20 フラットケーブル被覆材 21A 導線 21B 導線(グランド線) 22 接地部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの一方の面に、金属層、接
    着層を順次積層した電磁波シールド材において、接着層
    が、ニッケルフィラー及びステンレスフィラーからなる
    導電材成分と、合成樹脂成分と、難燃剤成分とを含む組
    成物からなり、さらにまた、前記接着層成分が、接着層
    組成物中の含有率で、導電材成分5.5〜35重量%
    と、合成樹脂成分35〜79.5重量%と、難燃剤成分
    15〜30重量%とを含む組成物からなることを特徴と
    する電磁波シールド材。
  2. 【請求項2】 上記導電材成分が、接着層組成物中の含
    有率で、ニッケルフィラー5〜25重量%と、ステンレ
    スフィラー0.5〜10重量%とからなることを特徴と
    する請求項1記載の電磁波シールド材。
  3. 【請求項3】 上記基材フィルムがポリエチレンテレフ
    タレートであり、金属層が厚さ0.5μm〜1.2μm
    のアルミニウムであり、接着層の合成樹脂成分がポリエ
    ステル系合成樹脂であることを特徴とする請求項1〜2
    のいずれかに記載の電磁波シールド材。
  4. 【請求項4】 上記接着層に含まれる合成樹脂成分、及
    び難燃剤成分がハロゲン元素を含まないことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波シールド材。
  5. 【請求項5】 複数の平角導線を同一平面内で配列した
    導線列を、両面より接着剤層を有する帯状被覆材にて被
    覆し、さらに該被覆材の少なくとも片側に、電磁波シー
    ルド材を被覆してなるフラットケーブルにおいて、前記
    電磁波シールド材が、基材フィルムの一方の面に、金属
    層、接着層を順次積層した電磁波シールド材において、
    接着層が、ニッケルフィラー及びステンレスフィラーか
    らなる導電材成分と、合成樹脂成分と、難燃剤成分と、
    を含む組成物からなり、さらにまた、前記接着層成分
    が、接着層組成物中の含有率で、導電材成分5.5〜3
    5重量%と、合成樹脂成分35〜79.5重量%と、難
    燃剤成分15〜30重量%とを含む組成物からなること
    を特徴とする電磁波シールド付きフラットケーブル。
  6. 【請求項6】 複数の平角導線を同一平面内で配列した
    導線列を、両面より接着剤層を有する帯状被覆材にて被
    覆し、さらに該被覆材の少なくとも片側に、電磁波シー
    ルド材を被覆してなるフラットケーブルにおいて、前記
    電磁波シールド材が、請求項2〜4のいずれかに記載の
    電磁波シールド材であることを特徴とする電磁波シール
    ド付きフラットケーブル。
  7. 【請求項7】 前記ニッケルフィラー及びステンレスフ
    ィラーを含有する接着層が、グランド線の非絶縁部に接
    するように被覆することを特徴とする請求項5〜6のい
    ずれかに記載の電磁波シールド付きフラットケーブル。
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