JP2004095373A - フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープおよびそれを用いたフレキシブルフラットケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】非ハロゲン、非リンで、難燃性および接着性の双方の特性に優れたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルム1からなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が設けられたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープであって、上記絶縁フィルムとなるポリエステルフィルム1の少なくとも片面に、耐熱性樹脂層4が形成されているフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープである。
【選択図】図1
【解決手段】ポリエステルフィルム1からなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が設けられたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープであって、上記絶縁フィルムとなるポリエステルフィルム1の少なくとも片面に、耐熱性樹脂層4が形成されているフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープである。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープおよびそれを用いたフレキシブルフラットケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フレキシブルフラットケーブルに用いられる絶縁テープは、絶縁フィルム上に、接着剤層が形成されて構成されている。フレキシブルフラットケーブルには、VW−1という難燃性に関する規格が定められており、この規格を満たすために、通常は、絶縁テープの接着剤層中に、難燃剤を配合することにより、フレキシブルフラットケーブルに難燃性を付与している。上記難燃剤としては、一般に、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤は、人体に悪影響を与えるおそれがあるため、近年、環境対応として、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤に代えて、非ハロゲン系難燃剤を使用したフレキシブルフラットケーブルの開発ニーズが高まりつつある。ところが、上記ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤に代えて、非ハロゲン系難燃剤を用いると、難燃性の付与が困難となり、特に厚みが25μm以上の絶縁フィルムを用いた場合には、上記VW−1規格の難燃性を備えた、フレキシブルフラットケーブルを得ることが困難となる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、非ハロゲン、非リンで、難燃性および接着性の双方の特性に優れたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープおよびそれを用いたフレキシブルフラットケーブルの提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ポリエステルフィルムからなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層が設けられたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープであって、上記絶縁フィルムとなるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、耐熱性樹脂層が形成されているフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを第1の要旨とし、上記フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを用いたフレキシブルフラットケーブルを第2の要旨とする。
【0006】
すなわち、本発明者らは、非ハロゲン、非リンで、難燃性および接着性の双方の特性に優れたフレキシブルフラットケーブルを得るため、フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを中心に鋭意研究を重ねた。まず、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム等の絶縁フィルムは、ポリエステル(PET)フィルムに比べて、約4〜30倍もコストが高く、実用性がないため、絶縁フィルムとしてPETフィルムを用いることを想起した。しかし、PETフィルムは可燃性の材料であるため、PETフィルムの厚みが25μm以上になると、PETフィルム自身が燃えやすくなり、フレキシブルフラットケーブルに充分な難燃性を付与することは困難であった。そこで、PETフィルムを用いた絶縁テープの層構成について、研究を続けた結果、ポリエステルフィルムからなる絶縁フィルムの片面もしくは両面に耐熱性樹脂層を設けることを着想し、これに非ハロゲン系難燃性接着剤層を設けると、フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープが、フレキシブルフラットケーブルに充分な難燃性を付与することができるとともに、非ハロゲン、非リンで、接着性にも優れていることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0008】
本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープは、例えば、図1に示すように、ポリエステル(PET)フィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面にアンカーコート層2が形成され、さらにこのアンカーコート層2の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が形成されて構成されている。上記構成では、PETフィルム1の片面が非ハロゲン系難燃性接着剤層3で被覆され、他面が耐熱性樹脂層4で被覆されているため、充分な難燃性を有している。
【0009】
上記絶縁テープの絶縁フィルム(基材)として用いられるPETフィルム1は、特に限定はなく、汎用のPETフィルムが使用可能であるが、二酸化チタンやシリカ(SiO2 )を含有させたPETフィルムを用いた場合には、難燃性がより向上するため好ましい。
【0010】
上記PETフィルム1の厚みは、特に限定はなく、通常、8〜100μmの範囲内である。
【0011】
上記耐熱性樹脂層4の形成に用いる耐熱性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリシロキサンイミド、ポリベンゾイミダゾール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れていることから、難燃性がより向上するとともに、溶剤に可溶で、コーティングが容易にできる点で、ポリアミドイミドが好適に用いられる。
【0012】
上記ポリアミドイミドは、例えば、下記のようにして合成することができる。すなわち、下記の酸成分と、ジイソシアネート成分とを反応させることにより、一般式(1)で表される構造単位を有するポリアミドイミドを合成することができる。
【0013】
【化1】
【0014】
上記PETフィルム1の片面に形成される耐熱性樹脂層4の厚みは、0.5〜5μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜3μmの範囲内である。すなわち、上記耐熱性樹脂層4の厚みが0.5μm未満であると、厚みが薄すぎるため、所望の難燃効果を得ることが困難となり、逆に5μmを超えると、フラットケーブルのフレキシブル性に劣る傾向がみられるからである。
【0015】
上記アンカーコート層2の形成材料となるアンカーコート剤としては、特に限定はなく、例えば、汎用のウレタン系アンカーコート剤や、アルコキシチタン化合物(アルキルチタネート),チタンキレート化合物等の有機チタン化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記アンカーコート層2は、PETフィルム1と非ハロゲン系難燃性接着剤層3の接着性を補助的に向上させるために形成されるものであるが、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の接着性が充分な場合は、上記アンカーコート層2は省略しても差し支えない。
【0016】
上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3を形成する難燃性接着剤は、非ハロゲン系で、非リン系の難燃性接着剤であれば特に限定はなく、例えば、ポリエステル系樹脂と、金属水酸化物とが必須成分として用いられる。
【0017】
上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、吸熱量が大きく、難燃効果が大きいという点から、水酸化アルミニウムが好適に用いられる。
【0018】
上記金属水酸化物の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して、50〜200部の範囲内が好ましく、より好ましくは80〜150部の範囲内である。
【0019】
また、上記難燃性接着剤には、上記各成分に加えて、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、充填剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
【0020】
上記三酸化アンチモンの配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、10〜200部の範囲内が好ましく、より好ましくは50〜150部の範囲内である。
【0021】
上記炭酸カルシウムの配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、1〜50部の範囲内が好ましく、より好ましくは5〜30部の範囲内である。
【0022】
上記ホウ酸亜鉛の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、5〜150部の範囲内が好ましく、より好ましくは10〜100部の範囲内である。
【0023】
上記炭酸亜鉛の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、5〜150部の範囲内が好ましく、より好ましくは10〜100部の範囲内である。
【0024】
上記充填剤としては、例えば、タルク、クレー、合成マイカ、重質炭酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記二酸化チタンは、通常、フラットケーブルの導体配線を見えなくさせる隠蔽性付与のために用いられる。
【0025】
上記充填剤の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、5〜60部の範囲内が好ましく、特に好ましくは5〜40部の範囲内である。
【0026】
上記難燃性接着剤は、例えば、上記各成分を配合し、これらを2軸混練機、ニーダー等の混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0027】
前記図1に示した、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂を、DMF(N,N′−ジメチルホルミアミド),NMP(N−メチル−2−ピロリドン),キシレン,MEK(メチルエチルケトン),トルエン,メタノール等の溶剤に溶解させて耐熱性樹脂溶液を調製する。この耐熱性樹脂溶液を、コンマコーター,リップコーター(ファウンテンコーター),リバースコーター,グラビアコーター等のコーティング機を用いて、PETフィルム1の片面にコーティングした後、乾燥して耐熱性樹脂層4を形成する。一方、上記耐熱性樹脂層4を形成したPETフィルム1の他面に、ウレタン系アンカーコート剤等のアンカーコート剤を、グラビアコート法等により塗布し、乾燥してアンカーコート層2を形成する。ついで、前記のようにして調製した難燃性接着剤を、上記アンカーコート層2の表面に、Tダイ押出しラミネーションすることにより、非ハロゲン系難燃性接着剤層3を形成する。このようにして、図1に示したような、PETフィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面にアンカーコート層2が形成され、さらにこのアンカーコート層2の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が形成されてなるフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを作製することができる。なお、上記アンカーコー層2は、難燃性接着剤の塗工工程前に、上記PETフィルム1の表面に予め形成させているが、これに限定するものではなく、上記難燃性接着剤の塗工工程と同時にグラビアコート法等によりアンカーコート層2を形成することも可能である。
【0028】
また、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープの製法としては、上記のTダイ押出しラミネーション製法に限定されるものではなく、例えば、インフレーション製法等により作製した接着フィルムをドライラミネーションする製法、コーティング製法も可能である。
【0029】
このようにして得られた本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープにおいて、上記PETフィルム1の厚みは、先に述べたように、8〜100μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは厚み12μm(薄番手)、厚み25μm(標準)、厚み50μm(厚番手)のものが好適に用いられる。上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは、用いるPETフィルム1の厚みに応じて適宜決定されるが、例えば、厚み12μm(薄番手)のPETフィルム1を用いる場合は、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは15〜50μmの範囲内に設定することが好ましく、厚み25μm(標準)のPETフィルム1を用いる場合は、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは20〜80μmの範囲内に設定することが好ましく、厚み50μm(厚番手)のPETフィルム1を用いる場合は、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは30〜100μmの範囲内に設定することが好ましい。上記PETフィルム1の片面(最表面)に形成される耐熱性樹脂層4の厚みは、先にも述べたように、0.5〜5μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜3μmの範囲内である。また、上記アンカーコート層2の厚みは、1〜3μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2μm程度である。
【0030】
また、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープにおいては、上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3の表面に、接着性向上のため、トップコート層を形成しても差し支えない。上記トップコート層の形成に用いるトップコート剤としては、特に限定はなく、例えば、熱可塑型ウレタン樹脂をメチルエチルケトン等の溶剤で希釈したもの等があげられる。上記トップコート剤の塗布方法は、特に限定するものではなく、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法等があげられる。上記トップコート層の厚みは、0.5〜2.5μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは1.5μm程度である。
【0031】
なお、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープにおける耐熱性樹脂層4は、図1に示したような、PETフィルム1の片面(最表面)のみに形成される場合に限定されるものではなく、例えば、PETフィルム1の両面に耐熱性樹脂層4を形成することも可能である。このように、PETフィルム1の両面に耐熱性樹脂層4を形成してなる、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープとしては、例えば、PETフィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面に耐熱性樹脂層4を介して、アンカーコート層2、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が順次形成されたものがあげられる。なお、先にも述べたように、上記アンカーコート層2は省略しても差し支えなく、また、必要に応じて、上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3の表面に、トップコート層を形成することも可能である。このようにすると、難燃性が一層向上する。
【0032】
本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを用いたフレキシブルフラットケーブルは、例えば、図2に示すようにして作製することができる。すなわち、まず、前記と同様にして、PETフィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面にアンカーコート層2が形成され、このアンカーコート層2の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が形成されてなるフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープ5を2本作製する〔図2(a)〕。つぎに、各絶縁テープ5の非ハロゲン系難燃性接着剤層3側面を、導体6の両面にそれぞれ貼り合わせ、所定形状に成形することにより、図2(b)に示すような、フレキシブルフラットケーブルを作製することができる。
【0033】
上記導体6としては、例えば、スズ系のメッキ処理をした平角銅線等があげられ、その厚みは15〜100μm、幅は0.15〜1.5mmのものが、好適なものとして用いられる。
【0034】
なお、本発明のフレキシブルフラットケーブルは、上記図2に示した構成に限定されるものではなく、使用する絶縁テープの構成により、種々のものがあげられる。例えば、上記PETフィルム1の両面に耐熱性樹脂層4を形成したものや、アンカーコート層2を省略したもの、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の表面に、トップコート層を形成したもの等があげられる。
【0035】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0036】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、混練機を用いて混練することにより接着剤を調製した。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例1】
まず、ポリアミドイミド(数平均分子量:15000、Tg:300℃)を、溶剤(DMF)に溶解させてポリアミドイミド溶液を調製した。このポリアミドイミド溶液を、汎用のPETフィルム(厚み12μm)の片面に、コーティング機(ヒラノテクシード社製、マルチューター)を用いてコーティングした後、乾燥して耐熱性樹脂層を形成した。一方、上記耐熱性樹脂層を形成したPETフィルムの他面にアンカーコート剤(ウレタン系アンカーコート剤)を、グラビアコート法により塗布し、乾燥してアンカーコート層を形成した。つぎに、上記接着剤Aを上記アンカーコート層の表面に押出しラミネーションして、非ハロゲン系難燃性接着剤層を形成した。ついで、熱可塑型ウレタン樹脂(大日本インキ化学工業、タイフォースNT−810−45)を、メチルエチルケトンで固形分重量が20重量%になるまで希釈したトップコート剤を、上記非ハロゲン系難燃性接着剤層の表面に、グラビアコート法により塗布し、乾燥してトップコート層を形成した。このようにして、PETフィルム(厚み12μm)の片面(最表面)に、ポリアミドイミド(PAI)からなる耐熱性樹脂層(厚み3μm)が形成され、上記PETフィルムの他面にアンカーコート層(厚み2μm)が形成され、このアンカーコート層の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層(厚み35μm)、トップコート層(厚み1.5μm)が順次形成されてなる絶縁テープを作製した。
【0039】
【実施例2〜6】
接着剤およびPETフィルムの種類を、後記の表2に示す組み合わせに変更する以外は、実施例1と同様にして、絶縁テープを作製した。
【0040】
【比較例1】
PETフィルムの片面(最表面)に耐熱性樹脂層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、絶縁テープを作製した。
【0041】
【比較例2〜6】
接着剤およびPETフィルムの種類を、後記の表3に示す組み合わせに変更する以外は、比較例1と同様にして、絶縁テープを作製した。
【0042】
このようにして得られた実施例品および比較例品の絶縁テープを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表2および表3に併せて示した。
【0043】
〔難燃性〕
上記各絶縁テープを用いてフラットケーブルを作製し、UL1581に記載の垂直燃焼試験に準じて、難燃性の評価を行った。評価は、燃焼時間が60秒以下のものを○、60秒を超えるもの、および旗燃えしたものを×とした。
【0044】
〔接着性〕
まず、表面に錫めっきを施してなる平角銅線(厚み35μm、幅0.8mm)を用意し、熱ロールを用いて、ロール温度170℃、線速0.5m/min、圧力0.59MPaの条件下、上記平角銅線を各絶縁テープのトップコート層側に貼り合わせた。ついで、JIS K 6854に準拠して、室温(25℃)、引っ張り速度50mm/minの条件で、平角銅線1本ずつの180度剥離試験を行い、剥離させた際の荷重を測定した。評価は、荷重が60g/mm以上のものを○、荷重が60g/mm未満のものを×とした。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
上記結果から、実施例品は、PETフィルムの片面(最表面)に耐熱性樹脂層を形成しているため、難燃性および接着性に優れていることがわかる。なお、厚みが50μmのPETフィルムを用いた場合でも、厚みが12μm,25μmのPETフィルムを用いた場合と同等の、難燃性および接着性が得られることを実験により確認している。また、PETフィルムの片面(最表面)のみではなく、PETフィルムの両面に耐熱性樹脂層を形成した場合も、実施例品と同等の優れた難燃性および接着性が得られることも実験により確認している。
【0048】
これに対して、比較例品は、PETフィルムの片面(最表面)に耐熱性樹脂層を形成していないため、実施例品に比べて、難燃性が劣ることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープは、PETフィルムの少なくとも片面に、耐熱性樹脂層が形成されているため、フレキシブルフラットケーブルに充分な難燃性を付与することができる。また、上記PETフィルムからなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層を形成しているため、ハロゲンやリンを含有せず、人体に悪影響を与えるおそれがなく、接着性にも優れている。さらに、絶縁テープの基材(絶縁フィルム)として、汎用のPETフィルムを用いることができるため、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム等の高価な絶縁フィルムを用いる場合に比べて、充分に低い原価で絶縁テープを製造することができる。
【0050】
また、ポリアミドイミドを用いて上記耐熱性樹脂層を形成すると、上記ポリアミドイミドはガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れることから、難燃性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のフレキシブルフラットケーブルの製法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 PETフィルム
2 アンカーコート層
3 非ハロゲン系難燃性接着剤層
4 耐熱性樹脂層
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープおよびそれを用いたフレキシブルフラットケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フレキシブルフラットケーブルに用いられる絶縁テープは、絶縁フィルム上に、接着剤層が形成されて構成されている。フレキシブルフラットケーブルには、VW−1という難燃性に関する規格が定められており、この規格を満たすために、通常は、絶縁テープの接着剤層中に、難燃剤を配合することにより、フレキシブルフラットケーブルに難燃性を付与している。上記難燃剤としては、一般に、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤は、人体に悪影響を与えるおそれがあるため、近年、環境対応として、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤に代えて、非ハロゲン系難燃剤を使用したフレキシブルフラットケーブルの開発ニーズが高まりつつある。ところが、上記ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤に代えて、非ハロゲン系難燃剤を用いると、難燃性の付与が困難となり、特に厚みが25μm以上の絶縁フィルムを用いた場合には、上記VW−1規格の難燃性を備えた、フレキシブルフラットケーブルを得ることが困難となる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、非ハロゲン、非リンで、難燃性および接着性の双方の特性に優れたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープおよびそれを用いたフレキシブルフラットケーブルの提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ポリエステルフィルムからなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層が設けられたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープであって、上記絶縁フィルムとなるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、耐熱性樹脂層が形成されているフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを第1の要旨とし、上記フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを用いたフレキシブルフラットケーブルを第2の要旨とする。
【0006】
すなわち、本発明者らは、非ハロゲン、非リンで、難燃性および接着性の双方の特性に優れたフレキシブルフラットケーブルを得るため、フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを中心に鋭意研究を重ねた。まず、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム等の絶縁フィルムは、ポリエステル(PET)フィルムに比べて、約4〜30倍もコストが高く、実用性がないため、絶縁フィルムとしてPETフィルムを用いることを想起した。しかし、PETフィルムは可燃性の材料であるため、PETフィルムの厚みが25μm以上になると、PETフィルム自身が燃えやすくなり、フレキシブルフラットケーブルに充分な難燃性を付与することは困難であった。そこで、PETフィルムを用いた絶縁テープの層構成について、研究を続けた結果、ポリエステルフィルムからなる絶縁フィルムの片面もしくは両面に耐熱性樹脂層を設けることを着想し、これに非ハロゲン系難燃性接着剤層を設けると、フレキシブルフラットケーブル用絶縁テープが、フレキシブルフラットケーブルに充分な難燃性を付与することができるとともに、非ハロゲン、非リンで、接着性にも優れていることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0008】
本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープは、例えば、図1に示すように、ポリエステル(PET)フィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面にアンカーコート層2が形成され、さらにこのアンカーコート層2の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が形成されて構成されている。上記構成では、PETフィルム1の片面が非ハロゲン系難燃性接着剤層3で被覆され、他面が耐熱性樹脂層4で被覆されているため、充分な難燃性を有している。
【0009】
上記絶縁テープの絶縁フィルム(基材)として用いられるPETフィルム1は、特に限定はなく、汎用のPETフィルムが使用可能であるが、二酸化チタンやシリカ(SiO2 )を含有させたPETフィルムを用いた場合には、難燃性がより向上するため好ましい。
【0010】
上記PETフィルム1の厚みは、特に限定はなく、通常、8〜100μmの範囲内である。
【0011】
上記耐熱性樹脂層4の形成に用いる耐熱性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリシロキサンイミド、ポリベンゾイミダゾール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れていることから、難燃性がより向上するとともに、溶剤に可溶で、コーティングが容易にできる点で、ポリアミドイミドが好適に用いられる。
【0012】
上記ポリアミドイミドは、例えば、下記のようにして合成することができる。すなわち、下記の酸成分と、ジイソシアネート成分とを反応させることにより、一般式(1)で表される構造単位を有するポリアミドイミドを合成することができる。
【0013】
【化1】
【0014】
上記PETフィルム1の片面に形成される耐熱性樹脂層4の厚みは、0.5〜5μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜3μmの範囲内である。すなわち、上記耐熱性樹脂層4の厚みが0.5μm未満であると、厚みが薄すぎるため、所望の難燃効果を得ることが困難となり、逆に5μmを超えると、フラットケーブルのフレキシブル性に劣る傾向がみられるからである。
【0015】
上記アンカーコート層2の形成材料となるアンカーコート剤としては、特に限定はなく、例えば、汎用のウレタン系アンカーコート剤や、アルコキシチタン化合物(アルキルチタネート),チタンキレート化合物等の有機チタン化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記アンカーコート層2は、PETフィルム1と非ハロゲン系難燃性接着剤層3の接着性を補助的に向上させるために形成されるものであるが、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の接着性が充分な場合は、上記アンカーコート層2は省略しても差し支えない。
【0016】
上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3を形成する難燃性接着剤は、非ハロゲン系で、非リン系の難燃性接着剤であれば特に限定はなく、例えば、ポリエステル系樹脂と、金属水酸化物とが必須成分として用いられる。
【0017】
上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、吸熱量が大きく、難燃効果が大きいという点から、水酸化アルミニウムが好適に用いられる。
【0018】
上記金属水酸化物の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して、50〜200部の範囲内が好ましく、より好ましくは80〜150部の範囲内である。
【0019】
また、上記難燃性接着剤には、上記各成分に加えて、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、充填剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
【0020】
上記三酸化アンチモンの配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、10〜200部の範囲内が好ましく、より好ましくは50〜150部の範囲内である。
【0021】
上記炭酸カルシウムの配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、1〜50部の範囲内が好ましく、より好ましくは5〜30部の範囲内である。
【0022】
上記ホウ酸亜鉛の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、5〜150部の範囲内が好ましく、より好ましくは10〜100部の範囲内である。
【0023】
上記炭酸亜鉛の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、5〜150部の範囲内が好ましく、より好ましくは10〜100部の範囲内である。
【0024】
上記充填剤としては、例えば、タルク、クレー、合成マイカ、重質炭酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記二酸化チタンは、通常、フラットケーブルの導体配線を見えなくさせる隠蔽性付与のために用いられる。
【0025】
上記充填剤の配合割合は、上記ポリエステル系樹脂100部に対して、5〜60部の範囲内が好ましく、特に好ましくは5〜40部の範囲内である。
【0026】
上記難燃性接着剤は、例えば、上記各成分を配合し、これらを2軸混練機、ニーダー等の混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0027】
前記図1に示した、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂を、DMF(N,N′−ジメチルホルミアミド),NMP(N−メチル−2−ピロリドン),キシレン,MEK(メチルエチルケトン),トルエン,メタノール等の溶剤に溶解させて耐熱性樹脂溶液を調製する。この耐熱性樹脂溶液を、コンマコーター,リップコーター(ファウンテンコーター),リバースコーター,グラビアコーター等のコーティング機を用いて、PETフィルム1の片面にコーティングした後、乾燥して耐熱性樹脂層4を形成する。一方、上記耐熱性樹脂層4を形成したPETフィルム1の他面に、ウレタン系アンカーコート剤等のアンカーコート剤を、グラビアコート法等により塗布し、乾燥してアンカーコート層2を形成する。ついで、前記のようにして調製した難燃性接着剤を、上記アンカーコート層2の表面に、Tダイ押出しラミネーションすることにより、非ハロゲン系難燃性接着剤層3を形成する。このようにして、図1に示したような、PETフィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面にアンカーコート層2が形成され、さらにこのアンカーコート層2の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が形成されてなるフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを作製することができる。なお、上記アンカーコー層2は、難燃性接着剤の塗工工程前に、上記PETフィルム1の表面に予め形成させているが、これに限定するものではなく、上記難燃性接着剤の塗工工程と同時にグラビアコート法等によりアンカーコート層2を形成することも可能である。
【0028】
また、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープの製法としては、上記のTダイ押出しラミネーション製法に限定されるものではなく、例えば、インフレーション製法等により作製した接着フィルムをドライラミネーションする製法、コーティング製法も可能である。
【0029】
このようにして得られた本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープにおいて、上記PETフィルム1の厚みは、先に述べたように、8〜100μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは厚み12μm(薄番手)、厚み25μm(標準)、厚み50μm(厚番手)のものが好適に用いられる。上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは、用いるPETフィルム1の厚みに応じて適宜決定されるが、例えば、厚み12μm(薄番手)のPETフィルム1を用いる場合は、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは15〜50μmの範囲内に設定することが好ましく、厚み25μm(標準)のPETフィルム1を用いる場合は、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは20〜80μmの範囲内に設定することが好ましく、厚み50μm(厚番手)のPETフィルム1を用いる場合は、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の厚みは30〜100μmの範囲内に設定することが好ましい。上記PETフィルム1の片面(最表面)に形成される耐熱性樹脂層4の厚みは、先にも述べたように、0.5〜5μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜3μmの範囲内である。また、上記アンカーコート層2の厚みは、1〜3μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2μm程度である。
【0030】
また、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープにおいては、上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3の表面に、接着性向上のため、トップコート層を形成しても差し支えない。上記トップコート層の形成に用いるトップコート剤としては、特に限定はなく、例えば、熱可塑型ウレタン樹脂をメチルエチルケトン等の溶剤で希釈したもの等があげられる。上記トップコート剤の塗布方法は、特に限定するものではなく、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法等があげられる。上記トップコート層の厚みは、0.5〜2.5μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは1.5μm程度である。
【0031】
なお、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープにおける耐熱性樹脂層4は、図1に示したような、PETフィルム1の片面(最表面)のみに形成される場合に限定されるものではなく、例えば、PETフィルム1の両面に耐熱性樹脂層4を形成することも可能である。このように、PETフィルム1の両面に耐熱性樹脂層4を形成してなる、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープとしては、例えば、PETフィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面に耐熱性樹脂層4を介して、アンカーコート層2、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が順次形成されたものがあげられる。なお、先にも述べたように、上記アンカーコート層2は省略しても差し支えなく、また、必要に応じて、上記非ハロゲン系難燃性接着剤層3の表面に、トップコート層を形成することも可能である。このようにすると、難燃性が一層向上する。
【0032】
本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを用いたフレキシブルフラットケーブルは、例えば、図2に示すようにして作製することができる。すなわち、まず、前記と同様にして、PETフィルム1の片面(最表面)に耐熱性樹脂層4が形成され、上記PETフィルム1の他面にアンカーコート層2が形成され、このアンカーコート層2の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層3が形成されてなるフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープ5を2本作製する〔図2(a)〕。つぎに、各絶縁テープ5の非ハロゲン系難燃性接着剤層3側面を、導体6の両面にそれぞれ貼り合わせ、所定形状に成形することにより、図2(b)に示すような、フレキシブルフラットケーブルを作製することができる。
【0033】
上記導体6としては、例えば、スズ系のメッキ処理をした平角銅線等があげられ、その厚みは15〜100μm、幅は0.15〜1.5mmのものが、好適なものとして用いられる。
【0034】
なお、本発明のフレキシブルフラットケーブルは、上記図2に示した構成に限定されるものではなく、使用する絶縁テープの構成により、種々のものがあげられる。例えば、上記PETフィルム1の両面に耐熱性樹脂層4を形成したものや、アンカーコート層2を省略したもの、非ハロゲン系難燃性接着剤層3の表面に、トップコート層を形成したもの等があげられる。
【0035】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0036】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、混練機を用いて混練することにより接着剤を調製した。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例1】
まず、ポリアミドイミド(数平均分子量:15000、Tg:300℃)を、溶剤(DMF)に溶解させてポリアミドイミド溶液を調製した。このポリアミドイミド溶液を、汎用のPETフィルム(厚み12μm)の片面に、コーティング機(ヒラノテクシード社製、マルチューター)を用いてコーティングした後、乾燥して耐熱性樹脂層を形成した。一方、上記耐熱性樹脂層を形成したPETフィルムの他面にアンカーコート剤(ウレタン系アンカーコート剤)を、グラビアコート法により塗布し、乾燥してアンカーコート層を形成した。つぎに、上記接着剤Aを上記アンカーコート層の表面に押出しラミネーションして、非ハロゲン系難燃性接着剤層を形成した。ついで、熱可塑型ウレタン樹脂(大日本インキ化学工業、タイフォースNT−810−45)を、メチルエチルケトンで固形分重量が20重量%になるまで希釈したトップコート剤を、上記非ハロゲン系難燃性接着剤層の表面に、グラビアコート法により塗布し、乾燥してトップコート層を形成した。このようにして、PETフィルム(厚み12μm)の片面(最表面)に、ポリアミドイミド(PAI)からなる耐熱性樹脂層(厚み3μm)が形成され、上記PETフィルムの他面にアンカーコート層(厚み2μm)が形成され、このアンカーコート層の表面に、非ハロゲン系難燃性接着剤層(厚み35μm)、トップコート層(厚み1.5μm)が順次形成されてなる絶縁テープを作製した。
【0039】
【実施例2〜6】
接着剤およびPETフィルムの種類を、後記の表2に示す組み合わせに変更する以外は、実施例1と同様にして、絶縁テープを作製した。
【0040】
【比較例1】
PETフィルムの片面(最表面)に耐熱性樹脂層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、絶縁テープを作製した。
【0041】
【比較例2〜6】
接着剤およびPETフィルムの種類を、後記の表3に示す組み合わせに変更する以外は、比較例1と同様にして、絶縁テープを作製した。
【0042】
このようにして得られた実施例品および比較例品の絶縁テープを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表2および表3に併せて示した。
【0043】
〔難燃性〕
上記各絶縁テープを用いてフラットケーブルを作製し、UL1581に記載の垂直燃焼試験に準じて、難燃性の評価を行った。評価は、燃焼時間が60秒以下のものを○、60秒を超えるもの、および旗燃えしたものを×とした。
【0044】
〔接着性〕
まず、表面に錫めっきを施してなる平角銅線(厚み35μm、幅0.8mm)を用意し、熱ロールを用いて、ロール温度170℃、線速0.5m/min、圧力0.59MPaの条件下、上記平角銅線を各絶縁テープのトップコート層側に貼り合わせた。ついで、JIS K 6854に準拠して、室温(25℃)、引っ張り速度50mm/minの条件で、平角銅線1本ずつの180度剥離試験を行い、剥離させた際の荷重を測定した。評価は、荷重が60g/mm以上のものを○、荷重が60g/mm未満のものを×とした。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
上記結果から、実施例品は、PETフィルムの片面(最表面)に耐熱性樹脂層を形成しているため、難燃性および接着性に優れていることがわかる。なお、厚みが50μmのPETフィルムを用いた場合でも、厚みが12μm,25μmのPETフィルムを用いた場合と同等の、難燃性および接着性が得られることを実験により確認している。また、PETフィルムの片面(最表面)のみではなく、PETフィルムの両面に耐熱性樹脂層を形成した場合も、実施例品と同等の優れた難燃性および接着性が得られることも実験により確認している。
【0048】
これに対して、比較例品は、PETフィルムの片面(最表面)に耐熱性樹脂層を形成していないため、実施例品に比べて、難燃性が劣ることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープは、PETフィルムの少なくとも片面に、耐熱性樹脂層が形成されているため、フレキシブルフラットケーブルに充分な難燃性を付与することができる。また、上記PETフィルムからなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層を形成しているため、ハロゲンやリンを含有せず、人体に悪影響を与えるおそれがなく、接着性にも優れている。さらに、絶縁テープの基材(絶縁フィルム)として、汎用のPETフィルムを用いることができるため、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム等の高価な絶縁フィルムを用いる場合に比べて、充分に低い原価で絶縁テープを製造することができる。
【0050】
また、ポリアミドイミドを用いて上記耐熱性樹脂層を形成すると、上記ポリアミドイミドはガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れることから、難燃性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のフレキシブルフラットケーブルの製法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 PETフィルム
2 アンカーコート層
3 非ハロゲン系難燃性接着剤層
4 耐熱性樹脂層
Claims (3)
- ポリエステルフィルムからなる絶縁フィルムに、非ハロゲン系難燃性接着剤層が設けられたフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープであって、上記絶縁フィルムとなるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、耐熱性樹脂層が形成されていることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープ。
- 上記耐熱性樹脂層が、ポリアミドイミドを用いて形成されている請求項1記載のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープ。
- 請求項1または2記載のフレキシブルフラットケーブル用絶縁テープを用いたことを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
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2002
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