JP2006037258A - 塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い剛度を有するとともに紙力が高くかつ嵩高で印刷適性に優れた塗工紙を提供する。
【解決手段】 基紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けて成る塗工紙であって、基紙は広葉樹から成る高収率パルプを含有し、かつアスペクト比が20以上の炭酸カルシウムとアスペクト比が12未満の炭酸カルシウムを1:2から2:1の割合で、灰分含有率(JIS P 8128)が10〜15%となるように添加することで、高い剛度を有するとともに紙力が高く、印刷適性に優れた塗工紙が得られるようにした。
【解決手段】 基紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けて成る塗工紙であって、基紙は広葉樹から成る高収率パルプを含有し、かつアスペクト比が20以上の炭酸カルシウムとアスペクト比が12未満の炭酸カルシウムを1:2から2:1の割合で、灰分含有率(JIS P 8128)が10〜15%となるように添加することで、高い剛度を有するとともに紙力が高く、印刷適性に優れた塗工紙が得られるようにした。
Description
本発明は塗工紙に関し、特に嵩高、高平滑でありながら、剛度の高い塗工紙に関するものである。
現在の製紙業界の傾向として、高度情報化社会に対応した高速印刷技術の発達、フルカラー高精細印刷等の発展に伴い、使用する用紙についても、高速、高精細に対応した紙力、印刷適正、紙質の向上が強く要求されている。また、その一方で資源の有効利用や自然に優しい製品化を図るため、古紙使用量の増加、製紙工場からの排出ゼロ(ゼロエミッション)化が進められ、紙中灰分の増加、嵩の減少、紙力・印刷品質等の低下を抑制する技術開発が進められている。特に、紙の剛度は枚葉印刷機における作業性、印刷操業性、印刷版に対するクッション性の観点から更なる品質改善が望まれている。
従来、紙の諸物性の向上を目的として、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロースをはじめとするセルロース誘導体等の天然水溶性高分子、ポリアクリルアミド系重合体、及びポリビニルアルコール等の水溶性合成高分子が使用されている。また、紙の剛度を向上させる技術としては、ポリビニルアルコールとポリアクリルアミドとの共重合物を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、所定の吸油量、形状を有する炭酸カルシウムを塗工層に含有する塗工紙も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開昭60−173197号公報
特開2002−105888号公報
ところが、上記従来の塗工紙では未だに紙の剛度向上に対して満足し得るものが得られていないという問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、高い剛度を有するとともに紙力が高くかつ嵩高で印刷適性に優れた塗工紙を提供することを課題とする。
本発明の塗工紙は、基紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けて成る塗工紙であって、基紙は広葉樹から成る高収率パルプを含有し、かつアスペクト比が20以上の炭酸カルシウムとアスペクト比が12未満の炭酸カルシウムを1:2から2:1の割合で、灰分含有率(JIS P 8128)が10〜15%となるように添加されているものである。
従来の高収率パルプには、繊維長が長く樹脂分が少なく、一般紙力強度の高い紙が得られる針葉樹が好適に用いられ、繊維長が短くかつ太く、樹脂分が多い広葉樹の使用は避けられてきたが、本発明者らは、広葉樹の繊維の太さが、近年要望されている嵩高性と剛度の向上に有効であることを見出し、特に、広葉樹を熱と1kg/cm2 以上の圧力を加えながらパルプ化する加圧式砕木パルプ(PGW)を基紙原料パルプに配合することで、強度を損なうことなく嵩高性と剛度を向上し得ることを見出したことによって、本発明が実現された。また、基紙中にアスペクト比が20以上の炭酸カルシウムとアスペクト比が12未満の炭酸カルシウムを1:2から2:1の割合で、灰分含有率(JIS P 8128)が10〜15%となるように添加することによって、紙力の低下を抑制しつつ表面平滑性、不透明性を得ることができる。アスペクト比が20以上の炭酸カルシウムは、紡錘状、いがぐり状、板状の形態であり、基紙の繊維配向に沿った分散挙動を示すことで紙力の低下を抑制することができ、更にアスペクト比が12未満の炭酸カルシウム、例えば立方体状の炭酸カルシウムを所定量の割合で基紙に配合することで、表面平滑性、不透明性を得ることができる。かくして、高い剛度を有するとともに紙力が高く、印刷適性に優れた塗工紙を得ることができる。
また、基紙の繊維配向値の両面比を0.8〜1.2とすることで、紙面の何れの方向に対しても基紙の剛度を確保することができる。
また、JIS P 8143に規定される抄紙方向の剛度の範囲が49から110cm3 /100であり、JIS P 8119に規定される平滑度が500秒以上となるようにすることで、塗工紙の風合い、手触り、嵩高感を確保することができる。
また、炭酸カルシウムは、平均粒径が1〜3μmで、2μm未満の炭酸カルシウムが60%以上含有する粒度分布を呈していることで、裁断機での紙粉、粉落ちを防止でき、また枚葉印刷機における作業性を向上し、重送防止を図ることができる。
また、塗工層の塗布乾燥後に、弾性ロールと金属ロールから成る組み合わせによる2ロール1ニップの段が1又は複数構成されたオンライン方式のソフトカレンダーで塗工層の表面のカレンダー処理を行って成り、かつそのソフトカレンダーは、金属ロールがロール幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置を装備し、さらに金属ロールの少なくとも1つは外周面近傍にロール幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置が配設されて金属ロールの表面温度が130〜250℃の高温ニップ域を構成するものであると、ロール幅方向に温度制御されたソフトカレンダーにて高温で表面処理することで、不要な圧力を加えず、嵩高を損なうことなく、均一な平滑化処理を実現でき、嵩高でかつ印刷適性に優れた塗工紙を得ることができる。
本発明によれば、嵩高性と剛度の向上に有効な広葉樹の高収率パルプを基紙原料パルプに配合することで、強度を損なうことなく嵩高性と剛度を向上でき、また基紙中に所定のアスペクト比の組み合わせの炭酸カルシウムを適量添加することによって、紙力の低下を抑制しつつ表面平滑性、不透明性を得ることができ、高い剛度を有するとともに紙力が高く、印刷適性に優れた塗工紙を得ることができる。
以下、本発明の塗工紙の実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態の塗工紙においては、基紙として、広葉樹から成る高収率パルプを含有する原料パルプを使用し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機で抄紙したものを使用する。原料パルプ中の広葉樹の高収率パルプの含有量は、5〜50%とするのが好適である。高収率パルプには、TMP、CTMP、BCTMP、GP、RGP、SGP、PGWなどの機械パルプが挙げられるが、中でも熱と1kg/cm2 以上の圧力を加えながらパルプ化したPGWが好適に用いられる。残余のパルプについては、種類も特に限定されず、例えばダグラスファー、ラジアータパイン、杉、松等の針葉樹を原料としたクラフトパルプ(NBKP)、ユーカリ、オーク等の広葉樹を原料としたクラフトパルプ(LBKP)、セミケミカルパルプ(SCP)、DIPなどの古紙パルプなどを配合することができる。また、基紙の坪量は、60g/m2 以上のもの、より好適には80g/m2 以上のものが、本発明の効果が発揮され易いために好適である。
抄紙に際しては、繊維配向値両面比が0.8〜1.2になるように抄紙するのが好適である。ここで、繊維配向値とは、パルプ繊維の並び方を数値化したもので、一般には繊維配向比とも言われるものである。この繊維配向値は、例えば、株式会社東洋精機製作所製の配向試験基などによって測定することができる。また、繊維配向値両面比は、かかる繊維配向値を両面について、例えば表面(フェルト面)及び裏面(ワイヤ面)について測定し、それらの比をとったものである。この繊維配向値両面比の調節は、例えばジェットスピードとワイヤースピードとの比率(J/W比)の変更、リップ開度の変更などにより実現することができる。
また、繊維配向角の絶対値も表裏とも10度以下のものが好適である。繊維配向角とは、繊維配向の向きであり、MD方向からの角度で示される値である。この繊維配向角は、上記繊維配向値の測定試験機と同様の試験機で測定することができる。
また、基紙中には、アスペクト比が20以上の炭酸カルシウムとアスペクト比が12未満の炭酸カルシウムを、1:2から2:1の割合で、原紙配分含有率(JIS P 8128)が10〜15質量%になるように添加されている。炭酸カルシウムは、中性抄紙における填料として安価であるという利点があり、また上記添加量により、JIS P 8138に基づく不透明度が90%以上を確保することができ、この不透明度を確保することで両面記録した場合においても両面相互のインクが互いに干渉する恐れを無くすことができて好適である。
また、炭酸カルシウムは平均粒子径が1〜3μm以下で、かつ2μm未満の炭酸カルシウムを60%以上含有する粒度分布のものを添加することで、裁断機での紙粉、粉落ちを無くし、また枚葉印刷機における作業性及び重送防止特性が向上するので好適である。また、基紙中には、必要に応じてバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留り向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤も配合される。
また、JIS P 8143により規定される塗工紙の抄紙方向における剛度の範囲が49から110cm3 /100となり、JIS P 8119に規定される平滑度が500秒以上となるように抄紙することで、塗工紙の風合い、手触り、嵩高感が得られるので好適である。
このように抄造された基紙上に、オンマシンのゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスなどのサイズプレスにて塗工液の塗工を行って乾燥した後、オンマシンソフトカレンダーにて高温・低ニップ圧・高速にてソフトカレンダー処理を行って塗工層が形成される。
塗工層は、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートから選ばれた複数の材料を少なくとも含有するとともに、必要に応じてその他の材料を添加して成り、Tgが−30〜0℃で、アクリロニトリル量が0〜10%以下となるように配合された接着剤と、顔料とから成る塗工液を塗工して形成されている。塗工量は片面当たり3〜10g/m2 が好適である。
接着剤は、その微粒子の粒子径を100〜170nmの範囲とすることで、塗工層の必要な強度と塗工性の両方を確保することができて好適である。また、接着剤は、そのゲル量が80〜95%と高いものを用いることで、上記のようにアクリロニトリル量を低減しても必要な接着力を確保することができて好適である。また、接着剤の配合量は、全顔料に対して8〜15%が好適である。このように従来に比して10%程度少なくしても必要な接着強度が確保されるとともに接着剤の含有量が少なくてすむことで、耐べたつき性が悪化するようなこともなく、ロール汚れなどの不具合の発生も抑制することができる。
顔料としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、カオリン、無定形シリケート、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、アルミナ、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどから適宜に選択した1種又は2種以上を混合したものを用いることができるが、炭酸カルシウムとクレーを50重量%づつ配合したものを標準として、炭酸カルシウムを30〜80%の間で調整し、それ以外をクレーとした配合が好適である。
また、上記塗工液には、その他の添加剤として、カチオン系染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、潤滑剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤や酸化防止剤などを適宜添加することもできる。
上記オンマシンのソフトカレンダーは、所定温度に加熱した金属ロールと弾性ロールの組み合わせによって2ロール1ニップの段を構成し、この2ロール1ニップの段を2段設けたタンデムタイプが好適に適用される。また、その金属ロールにロール幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置を装備し、さらにロール幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置を金属ロールの外周面近傍に配設し、金属ロールのシェルを内部と外部から電磁誘導加熱によりロール幅方向に分割加熱制御することによって、130〜250℃の高温域においても、ロールプロファイルを悪化させたり、温度応答性の低下を来すことなく、所望の温度に精度良く加熱することができる。また、外部加熱装置に代えて金属ロールの外周面に向けてロール幅方向に分割制御してエアを吹き付けるようにして、同様の作用効果を得ることもできる。かくして、高温域においても、ロールプロファイルの悪化による紙厚プロファイルの制御性の悪化や温度応答性の悪化による歩留り低下を抑制することができる。
具体的には、金属ロールは、回転駆動されるシェルの内部の非回転部に鉄心を配設し、鉄心の周囲に配設した誘導コイルに交流電流を流すことで磁束を発生させ、シェルの内部に誘導電流を誘起させ、その抵抗熱によってシェル自身を自己発熱させるように構成されている。また、誘導コイルはロール幅方向に3〜6分割され、シールに配設された温度センサからの温度信号に基づいて対応する誘導コイルに流す電流量を制御することで、ロール幅方向の温度制御を高精度に行えるように構成されている。また、シェルの内部に長手方向に延びるジャケット路が周方向に間隔をあけて多数本(10〜90本程度)設けられ、これらを相互に連通させるとともに内部に熱媒体を封入してあり、これによってロール表面温度を全体に均一化するように構成されている。また、外部加熱装置は、ワークコイルにインバータから3〜20kHzの高周波電流を流し、磁界を発生させてシェルの表面部に渦電流を発生させ、自己発熱させるもので、ワークコイルとシェルの離間距離は2〜20mm、好適には2〜5mm程度に設定される。また、単位ワークコイルはロール幅方向の制御ピッチが75〜150mm程度となるように配置されるとともに、ロール軸心に対して斜めに交差するように配置され、加熱プロフィルの均一化が図られている。また、弾性ロールは、耐熱性に優れる変性ウレタン系、エポキシ系、ポリエーテル系等のプラスチックにて構成され、ショア硬度が85〜93程度に設定されている。
以上のオンマシンソフトカレンダーを用いて、上記のような130〜250℃の高温域で、かつニップ線圧の合計を125〜350KN/mの低ニップ圧とし、600〜2000m/分、好適には1400〜2000m/分の通紙速度でソフトカレンダー処理を行うことで、高温ソフトカレンダー処理にて表面の平滑性を確実に得つつ、紙の内層部は低い温度状態に維持して嵩を保持することができ、したがって平滑で嵩高で不透明度に優れながら黄変化の少ない塗工紙を製造することができる。
次に、本発明のいくつかの実施例と比較例を説明する。
試料の塗工紙は、次のようにして作製した。LBKPとNBKPと広葉樹の高収率パルプとDIPを表1に示す各組成比で配合するとともに、炭酸カルシウムをそのアスペクト比が20以上のものと12未満のものとの比が0.6〜1.4の範囲で、かつ灰分含有率を7〜25重量%の範囲で変化させて内添し、繊維配向両面比を0.6〜1.4の範囲で変化させて米坪が60g/m2 の基紙を抄造した。次に、オンマシンサイズプレスにて基紙上に、炭酸カルシウムとクレーを50重量%づつ配合した顔料に対して、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを含有し、Tg(ガラス転移温度)が−30〜0℃で、アクリロニトリル量が0〜10%となるように配合した接着剤を、8〜15重量%配合して構成した塗工液を片面当たり3〜10g/m2 の塗工量で塗工した。次に、2ロール1ニップの段が2段構成されたオンマシンフフトカレンダーにて、ニップ圧100〜360KN/m、ロール温度100〜300℃、抄紙速度500〜2500m/分の範囲で変化させてソフトカレンダー処理を行った。
そして、各試料塗工紙について、剛度と平滑度と密度を測定し、印刷機搬送性についての評価を行い、それらによる総合評価を行った。
剛度は、JIS P 8143 に基づいて、クラーク剛度試験機を用いて測定し、その張り出し長さLcmから、剛度=L3 /100で求めた。
平滑度は、JIS P 8119に基づいて、ベック平滑度試験機を用いて測定し、紙面と標準面の間を空気が10ml通過するまでの秒数を測定して求めた。
印刷機搬送性の評価は、インクジェットプリンタにて一方の面に対して印字した後、試験紙を反転して給紙部に再度セットし、他の面に対して同様の印字を行った。1000枚の試験紙中、給紙部から試験紙が搬送されなかったり、搬送中に詰まるなどのトラブルが1枚もなかった場合を○、1〜10枚のトラブルが発生した場合を△、11枚以上のトラブルが発生した場合を×と評価した。
また、総合評価は、剛度が49〜110cm3 /100、平滑度が500秒以上、密度が1.00g/cm3 未満、印刷機搬送性が○の各条件を満たしたものを○、それ以外を×と評価した。
表1において、実施例1〜5では、高収率パルプの配合量を5、10、20、40、50%に設定するととともに、それに対応してLBKPを40〜55%、NBKPを0〜10%、DIPを10〜40%の配合量とし、繊維配向両面比を1.0、炭酸カルシウムのアペクト比による配合比を1:1、灰分含有量を13%、ソフトカレンダーのニップ圧を250KN/m、ロール温度を200℃、抄速を1500m/分とした。その結果、剛度は57〜110cm3 /100、平滑度は530〜790秒、密度は0.89〜0.96、印刷機搬送性はすべて○となり、総合評価はすべて○であった。
また、高収率パルプの配合量を40%、LBKPを50%、NBKPを0%、DIPを10%の配合量とし、繊維配向両面比を1.0、炭酸カルシウムのアペクト比による配合比を1:1、灰分含有量を13%、ソフトカレンダーのニップ圧を250KN/m、温度を200℃、抄速を1500m/分とした実施例4を基準にして、繊維配向両面比だけを0.8と1.2に変えた実施例6、実施例7でもそれぞれ、剛度が90、49、平滑度が540、550、密度が0.91、0.92、印刷機搬送性が共に○となり、総合評価は○となった。
また、実施例4を基準にして、灰分含有率のみを10%と15%に変えた実施例8、実施例9でもそれぞれ、剛度が76、74、平滑度が600、670、密度が0.95、0.94、印刷機搬送性が共に○となり、総合評価は○となった。
また、実施例4を基準にして、炭酸カルシウムのアペクト比による配合比を1:2とするとともにニップ圧を125KN/mとした実施例10と、炭酸カルシウムのアペクト比による配合比を2:1とするとともにニップ圧を350KN/m、ロール温度を130℃とした実施例11でもそれぞれ、剛度が56、66、平滑度が550、580、密度が0.95、0.93、印刷機搬送性が共に○となり、総合評価は○となった。
また、実施例4を基準にして、ソフトカレンダーのロール温度を250℃とした実施例12でも、剛度が99、平滑度が570、密度が0.94、印刷機搬送性が○、総合評価は○となり、抄速を600m/分と2000m/分とした実施例13、14でもそれぞれ、剛度が53、100、平滑度が630、710、密度が0.98、0.97、印刷機搬送性が共に○となり、総合評価は○となった。
一方、比較例1では、LBKPを70%、NBKPを5%、高収率パルプを25%としたLBKPの多いパルプ原料で、灰分含有率が20重量%と多くなっているため、剛度が45cm3 /100、平滑度が480秒となって所望の評価が得られず、総合評価は×となった。比較例2でも、LBKPを20%、NBKPを10%、高収率パルプを20%、DIPを50%としたDIPの多いパルプ原料で、灰分含有率が25重量%と多くなっているため、剛度が42cm3 /100、平滑度が490秒となって所望の評価が得られず、総合評価は×となった。
比較例3では、高収率パルプを60%、DIPを40%の高収率パルプの多いパルプ原料を用いたところ、平滑度が470秒となって所望の評価が得られず、総合評価は×となった。比較例4では、炭酸カルシウムのアペクト比による配合比を0.5:2としたので、剛度が35、平滑度も490、密度も1.13となって所望の評価が得られず、総合評価は×となった。
比較例5では、高収率パルプを配合していないため、剛度が38、平滑度も470、密度も1.05となって所望の評価が得られず、総合評価は×となった。比較例6では、高収率パルプは45%配合したが、DIPを0%としたところ、平滑度が480で、印刷機搬送性が△となり、比較例7では、高収率パルプは45%配合したが、DIPを5%と少なくしたところ、印刷機搬送性が△となり、それぞれ総合評価は×となった。
比較例8では、繊維配向両面比を0.5としたところ、平滑度が490で、印刷機搬送性が×となり、比較例9では、繊維配向両面比を1.4としたところ、印刷機搬送性が×となり、それぞれ総合評価は×となった。また、比較例10、比較例11では、炭酸カルシウムのアペクト比による配合比を3:1、1:3としたところ、それぞれ平滑度が470秒、485秒、密度が1.08、1.21となり、印刷機搬送性も共に×となり、それぞれ総合評価は×となった。
比較例12では、灰分含有率を18%としたところ、平滑度が490秒、密度が1.23、印刷機搬送性が△となり、比較例13では、灰分含有率を7%としたところ、密度が1.12、印刷機搬送性が△となり、共に総合評価は×となった。
比較例14では、ソフトカレンダーにおけるニップ圧を100KN/mとしたところ、平滑度が450秒で、総合評価は×となり、比較例15ではニップ圧を360KN/mとしたところ、密度が10.6で、総合評価は×となった。また、比較例16では、ロール温度を100℃と低くしたところ、剛度が35cm3 /100、平滑度が480秒、密度が1.03で、総合評価は×となり、比較例17ではロール温度を300℃と高くしたところ、剛度が36cm3 /100、密度が1.05で、総合評価は×となった。また、比較例18では、抄速を500m/分と低くしたところ、剛度が35cm3 /100、密度が1.12で、総合評価は×となり、比較例19では、抄速を2500m/分と高くしたところ、剛度が37cm3 /100、平滑度が460秒で、総合評価は×となった。
本発明の塗工紙は、嵩高性と剛度の向上に有効な広葉樹の高収率パルプを基紙原料パルプに配合することで、強度を損なうことなく嵩高性と剛度を向上でき、また基紙中に所定のアスペクト比の組み合わせの炭酸カルシウムを適量添加することによって、紙力の低下を抑制しつつ表面平滑性、不透明性を得ることができ、高い剛度を有するとともに紙力が高く、印刷適性に優れた塗工紙を得ることができ、高速、高精細な枚葉印刷機用の塗工紙などに有用である。
Claims (5)
- 基紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けて成る塗工紙であって、基紙は広葉樹から成る高収率パルプを含有し、かつアスペクト比が20以上の炭酸カルシウムとアスペクト比が12未満の炭酸カルシウムを1:2から2:1の割合で、灰分含有率(JIS P 8128)が10〜15%となるように添加されていることを特徴とする塗工紙。
- 基紙の繊維配向値の両面比を0.8〜1.2としたことを特徴とする請求項1記載の塗工紙。
- JIS P 8143に規定される抄紙方向の剛度の範囲が49から110cm3 /100であり、JIS P 8119に規定される平滑度が500秒以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗工紙。
- 炭酸カルシウムは、平均粒径が1〜3μmで、2μm未満の炭酸カルシウムが60%以上含有する粒度分布を呈していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の塗工紙。
- 塗工層の塗布乾燥後に、弾性ロールと金属ロールから成る組み合わせによる2ロール1ニップの段が1又は複数構成されたオンライン方式のソフトカレンダーで塗工層の表面のカレンダー処理を行って成り、かつそのソフトカレンダーは、金属ロールがロール幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置を装備し、さらに金属ロールの少なくとも1つは外周面近傍にロール幅方向に分割制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置が配設されて金属ロールの表面温度が130〜250℃の高温ニップ域を構成するものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の塗工紙。
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