JP2010285723A - オフセット印刷用紙及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
脱墨パルプを高配合した非塗工紙で軽量であるにもかかわらず、インキ発色性、インキ着肉性、不透明度、白色度が高く、オフセット印刷適性に優れた印刷用紙及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】
次の(1)から(10)の条件を満たすオフセット印刷用紙である。(1)白色度60%以上、(2)不透明度85%以上、(3)平滑度30秒以上、平滑度表裏差5秒以下、(4)吸油度50秒以上、吸油度表裏差10秒以下、(5)坪量35〜50g/m2、(6)全パルプ中機械パルプを20〜60質量%含有、(7)灰分5〜10%、(8)ホワイトカーボンを灰分として0.5〜2.5%含有、(9)紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量が0.035〜0.070cc、(10)澱粉系の表面処理剤を片面0.2〜1.0g/m2塗工。
【選択図】なし
Description
昨今、低コスト化の動きが顕著になっており、用紙をグレードダウンする動きがある。具体的には、低坪量化、上質紙から中質紙や下級紙への変更、塗工紙から非塗工紙への変更が進んでいる。チラシ用途においても、微塗工紙から非塗工紙へ変更する動きがある。ここで非塗工紙とは、顔料を塗工していない印刷用紙を指し、日本製紙連合会「紙・板紙統計年報」の「紙・板紙の品種分類表」にある上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙等に分類されるものを指す。
ところが、非塗工紙は微塗工紙に比べて、インキ発色性が劣るため、チラシに必要とされる、消費者の目を引く美麗な印刷仕上がりは望めない。特に多色印刷のチラシに非塗工紙を用いると、微塗工紙を用いた場合と比べてインキ発色性が悪く、印刷仕上がりの差が顕著なものとなる。そこで、非塗工紙におけるインキ発色性の向上が課題となっている。
軽質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を使用するというもの。(特許文献1)紡錘凝集型軽質炭酸カルシウムまたは、針状凝集型軽質炭酸カルシウムを填料として配合し、6ニップ以上のソフトニップカレンダーで処理するというもの。(特許文献2)2ニップ以上のホットソフトニップカレンダーで処理する前および/または処理している間に金属ロール処理面の表面に水分を付与するというもの。(特許文献3)その他、印刷適性、及び製本適性に優れた低米坪印刷用紙として、摩擦係数、縮率、填料の吸油量、紙1gあたりに含まれる内添填料が持つ吸収量等を特定したものがある。(特許文献4)
しかし、いずれもインキ発色性については十分な検討はされていない。
(1)白色度60%以上
(2)不透明度85%以上
(3)平滑度30秒以上、平滑度表裏差5秒以下
(4)吸油度50秒以上、吸油度表裏差10秒以下
(5)坪量35〜50g/m2
(6)全パルプ中機械パルプを20〜60質量%含有
(7)灰分5〜10%
(8)ホワイトカーボンを灰分として0.5〜2.5%含有
(9)紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量が0.035〜0.070cc
(10)澱粉系の表面処理剤を片面0.2〜1.0g/m2塗工
請求項2に係る発明は、全パルプ中機械パルプを20〜60質量%を含有するパルプスラリーを原料として抄紙するオフセット印刷用紙の製造方法であって、ホワイトカーボンを灰分として0.5〜2.5%含有させるとともに、ホワイトカーボンを除く填料を含有させて、灰分5〜10%、紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量が0.035〜0.070ccとなるように調整することを特徴とするオフセット印刷用紙の製造方法 である。
本発明の印刷用紙の製造には、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。抄紙機の型式は特に限定はなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等を適宜使用できるが、オントップ型やギャップフォーマ型のツインワイヤー抄紙機が望ましく、特に両面から脱水するギャップフォーマー型抄紙機が望ましい。ギャップフォーマー型抄紙機で抄造することで、填料が紙の表層に分布し、印刷時にインキが表層の填料に保持され紙層内部への浸透が抑えられるので、インキ発色性が良くなる。長網型抄紙機の場合には、パルプ繊維や填料の表裏差が出るために、印刷適性の表裏差が発生しやすい。
また、本発明にかかる印刷用紙は、古紙パルプを含有していることが好ましく、その配合率は多いほうが良いが、印刷適性、剛度を考慮すると20〜60質量%とするのが好ましい。
機械パルプの含有率は、機械パルプの配合とDIPの配合を調整することで、範囲内におさめることができる。DIPは新聞古紙、雑誌古紙、上質古紙等から製造されるため、NBKP、LBKP等の化学パルプや前記記載の機械パルプの各パルプが混在している。しかし、DIP中の各パルプの質量比率はほぼ一定であるため、DIPを配合しても機械パルプの質量比率の予測・調整は可能である。
ホワイトカーボン以外の填料の種類は特に限定されず、一般に印刷用紙に使用されている填料を使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、クレー、シリカ等の無機填料やプラスチックピグメント等を使用することができる。
本発明の印刷用紙の灰分(JISP8251)としては5〜10%とするのが好ましい。灰分が5%より低いと不透明度や白色度が不足し、10%より高いとパイリングの発生が顕著となる。
すなわち、紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量を大きくするには、吸油量の小さい填料の含有率を高くするか、吸油量の大きい填料を使用する必要が生じる。前者の場合は填料の存在により繊維間結合が少なくなり、パイリングの問題を起こしやすくなる。後者の場合は吸油量の大きい填料は見掛け比重が小さく、繊維間結合を弱くする傾向が強いので、比較的低い含有率でもパイリングの問題を起こしやすくなる。
塗工紙の場合のインキ発色性の良否は、塗工層のインキ吸収能力等によるが、非塗工紙の場合は、紙表層に現れている填料によるインキ吸収能力に依存していると考えられる。
表面処理剤には、表面強度向上を目的に、澱粉系の表面処理剤を片面0.2〜1.0g/m2塗工するのが好ましい。澱粉系の表面処理剤の塗工量が片面0.2g/m2より少ないと表面強度が不足し、パイリングを起こす。1.0g/m2より多くしても、表面強度向上の効果は大きく変わらず、不経済となる。表面処理剤の塗工量は表裏同じにするのが好ましい。
また、吸油度(旧JISP3001)は50秒以上で、吸油度の表裏差は10秒以下にするのが好ましい。吸油度が50秒未満であるとインキ吸収速度が速いのでインキが紙層内部に浸透し、裏抜けが目立つようになる。
吸油度の表裏差が10秒を超えると、表裏のインキ発色性が異なるので、見た目に違和感を与えることがある。
吸油度は、使用する填料の吸油量や添加率、表面処理剤の塗工量、カレンダー処理条件等により調整することができる。
LBKP25質量部(350mlCSF)、サーモメカニカルパルプ35質量部(110mlCSF)、新聞古紙脱墨パルプ40質量部(230mlCSF、機械パルプの含有率45質量%)からなるパルプ分散液に、填料としてホワイトカーボン(吸油量200cc/100g)を2.2質量%、軽質炭酸カルシウム(吸油量85cc/100g)を5.0質量%含むように添加し、歩留り向上剤(ハイモ社製、商品名:ND260)を対パルプ200ppm添加して抄紙した。ドライヤーパートで表面処理剤として酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり0.50g/m2となるように表裏同一塗工量でゲートロールコーターを用いて塗工、乾燥し、坪量49.0g/m2、水分6.0%のオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
なお、紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量(cc)は、次式により求められる。
紙の密度[g/cm3]×((100−水分[%])/100)×(灰分[%]/100)×填料の吸油量[cc/100g]/100
填料としてホワイトカーボンを1.5質量%、軽質炭酸カルシウムを5.0質量%含むように添加し、抄紙した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
填料としてホワイトカーボンを1.0質量%、軽質炭酸カルシウムを7.0質量%含むように添加し、抄紙した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
填料としてホワイトカーボンを1.0質量%、軽質炭酸カルシウムを5.0質量%含むように添加し、抄紙したことと、ドライヤーパートで表面処理剤として酸化澱粉を塗布量が片面当たり0.25g/m2となるようにした以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
填料としてホワイトカーボンを1.0質量%、軽質炭酸カルシウムを7.0質量%含むように添加し、抄紙したことと、ドライヤーパートで表面処理剤として酸化澱粉を塗布量が片面当たり0.75g/m2となるようにした以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は実施例2と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は実施例3と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は実施例4と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を37.0g/m2、填料としてホワイトカーボンを2.5質量%、軽質炭酸カルシウムを5.0質量%含むように添加し、抄紙したことと、ドライヤーパートで表面処理剤として酸化澱粉を塗布量が片面当たり1.0g/m2となるようにした以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
填料としてホワイトカーボンを0.5質量%、軽質炭酸カルシウムを5.0質量%含むように添加し、抄紙した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
填料としてホワイトカーボンを1.0質量%、軽質炭酸カルシウムを12.0質量%含むように添加し、抄紙した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
填料としてホワイトカーボンを2.7質量%、軽質炭酸カルシウムを5.0質量%含むように添加し、抄紙した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は比較例1と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は比較例2と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
坪量を43.0g/m2とした以外は比較例3と同様にオフセット印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
(坪量)JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(厚さ)JISP8118:1998紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法
(吸油量)紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量(cc/cm3)は、それぞれの填料について次式により求め、合計した。填料の吸油量は、JISK5101−13−2:2004煮あまに油法による。
紙の密度[g/cm3]×((100−水分[%])/100)×(灰分[%]/100)×填料の吸油量[cc/100g]/100
(灰分)JISP8251:2003紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(不透明度)JISP8149:2000紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照射法
(平滑度)JISP8119:1998紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法
(吸油度)旧JISP3001:1995新聞巻取紙に準じて測定した。
(インキ発色性、パイリング評価)オフセット輪転印刷機を用い、印刷速度700rpm、紙面温度120℃で4色印刷(オフ輪用プロセスインキ 墨・紅・藍・黄)を行い、5千部印刷した。
インキ発色性は、◎優れる、○良い、×悪い の3段階で評価した。
パイリングは、ブランケットと印刷面を観察し、次の4段階で評価した。
◎:ブランケットにパイリングの発生がなく良好であった。
○:ブランケットにややパイリングの発生があるが、印刷面に問題のないレベルであった。
△:ブランケットにパイリングが発生し、印刷面にカスレがみられた。
×:ブランケットにパイリングが発生し、印刷面のカスレがひどかった。
比較例1は、紙cm3あたりの吸油量が0.031cc/cm3と低く、インキ発色性評価が悪くなっている。
比較例2は、紙cm3あたりの吸油量が0.074cc/cm3と高く、しかも灰分が14.8%と高いので、インキ発色性評価は良いがパイリング評価が悪くなっている。
比較例3は、ホワイトカーボンの含有率が2.7%と多く、パイリング評価が悪くなっている。
比較例4は、紙cm3あたりの吸油量が0.033cc/cm3と低く、インキ発色性評価が悪くなっている。
比較例5は、紙cm3あたりの吸油量が0.076cc/cm3と高く、しかも灰分が14.8%と高いので、インキ発色性評価は良いがパイリング評価が悪くなっている。
比較例6は、ホワイトカーボンの含有率が2.7%と多く、パイリング評価が悪くなっている。
Claims (2)
- 下記の(1)から(10)の条件を満たすオフセット印刷用紙。
(1)白色度60%以上
(2)不透明度85%以上
(3)平滑度30秒以上、平滑度表裏差5秒以下
(4)吸油度50秒以上、吸油度表裏差10秒以下
(5)坪量35〜50g/m2
(6)全パルプ中機械パルプを20〜60質量%含有
(7)灰分5〜10%
(8)ホワイトカーボンを灰分として0.5〜2.5%含有
(9)紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量が0.035〜0.070cc
(10)澱粉系の表面処理剤を片面0.2〜1.0g/m2塗工 - 全パルプ中機械パルプを20〜60質量%を含有するパルプスラリーを原料として抄紙するオフセット印刷用紙の製造方法であって、ホワイトカーボンを灰分として0.5〜2.5%含有させるとともに、ホワイトカーボンを除く填料を含有させて、灰分5〜10%、紙cm3あたりに含まれる填料がもつ吸油量が0.035〜0.070ccとなるように調整することを特徴とするオフセット印刷用紙の製造方法。
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