JP5484335B2 - 広葉樹機械パルプを用いる印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。特に本発明は、広葉樹機械パルプ(LMP)を用いて優れた品質の印刷用塗工紙を効率よく製造する技術に関する。
近年、印刷用塗工紙は、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメールなどの広告・宣伝を目的とした商業印刷分野での需要が伸びている。これら商業印刷物は、印刷物自体の商品価値は高くないが、宣伝媒体として目的が達成されることが重要であるので、低コストで印刷仕上がりの良いものが求められる。
特に、近年の低成長時代に入ってからは、印刷用紙のコストダウンに伴い、塗工紙においては低坪量化によるグレードダウンが急速に進行している。商業印刷用紙の低坪量化の背景としては、原材料価格の高騰による企業収益の悪化や輸送コストの抑制といった経済的な対応としての原価削減、および、省資源・環境問題などの社会的要求などの要因が挙げられる。さらにここ数年、市場が拡大している通信販売業界においても、カタログ・DMなどの配達コスト抑制、倉庫保管料の削減、増ページ対策などのために低坪量化への要求が高まっている。
このような印刷用紙の低坪量化のなかにおいても、印刷用塗工紙の印刷品質を維持することが求められている。具体的には、不透明性が高く、裏抜けがないこと(特に印刷時にインキが裏面に抜けないこと)が特に重要であり、白色度や白紙光沢度、印刷後の品質、つまり印刷仕上がりの良好なことが求められる。
しかし、低坪量化と、不透明性及び印刷画像の再現性とは相反する事柄であるため、印刷用紙の低坪量化と優れた印刷品質とを両立させることは技術的に難しく、低坪量化を実施すると特に重要な不透明度が低下してしまう。
一般に、紙の不透明性を左右する要因は紙層内での光の散乱と吸収であり、紙層内で光の散乱が多いと紙を透過する光が少なくなり、紙は不透明になる。したがって、不透明度を上げる方法としては、吸収係数を上げることと散乱係数を上げることが考えられる。しかし、吸収係数を上げることは、紙の白色度を下げ、塗工紙の品質低下につながるため、紙の散乱係数を上げることが特に重要である。
不透明度が高く低密度な紙を得るための方法として、薬品面からは、多価アルコールと脂肪酸エステルからなる嵩高剤を添加してパルプ繊維表面の疎水化を行い、密度の低い紙を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この方法は、高価な薬品を使用する必要がありコストが増加することや、紙の強度が低下する欠点がある。
国際公開WO2003/056101
低密度で不透明性が高い塗工紙を得るための方法として、原料面からは、機械パルプの使用が検討される。一般に、化学薬品により木材繊維中の補強材料であるリグニンを抽出して得られた化学パルプと比較して、グラインダーで木材を磨り潰すグランドウッドパルプやリファイナーで木材を精砕するリファイナーメカニカルパルプ、またはサーモメカニカルパルプのような機械パルプは、比散乱係数が高く、また、繊維が剛直であるため低密度化には効果的である。しかし、繊維長の短い広葉樹由来の機械パルプ(LMP)を使用すると、針葉樹由来の機械パルプ(NMP)を使用した場合と比較して、強度が低くなるため断紙などのトラブルが発生しやすいとされており、低坪量の印刷用塗工紙の分野においては、針葉樹機械パルプの使用が検討されたことはあったものの、広葉樹機械パルプは一般に使用されていない。また、針葉樹由来の機械パルプはリグニン含有量の高い針葉樹から製造されており、白色度の高いパルプを製造しにくいことから、高白色度が要求される紙製品を製造する場合に問題がある。
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、白色度および不透明度が高く、印刷適性に優れた印刷用塗工紙を高い操業性で効率よく製造する技術を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を行った結果、抄紙および塗工がオンマシンで連続して行われる印刷用塗工紙の製造方法において、原料となるパルプとして広葉樹由来の機械パルプ(LMP)を使用すると、白色度および不透明度が高く、印刷適性に優れた印刷用塗工紙を操業性を低下させることなく製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。特に、広葉樹由来の機械パルプ(LMP)として、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)であって、JIS P8207に準拠して測定されるとき、繊維の95重量%以上がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20重量%以上がスクリーンの42メッシュを通過しないCTMPを使用することが好ましい。このような広葉樹機械パルプを使用することにより、優れた品質を有する印刷用塗工紙を効率よく製造することができる。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) 原料中のパルプの5〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプ(LMP)である原料から原紙を抄造する工程と、顔料と接着剤を含有する塗工液をオンマシンコータで塗工して塗工層を設ける工程と、を含んでなり、これらの工程がオンマシンで連続して行われる印刷用塗工紙の製造方法。
(2) 前記広葉樹由来の機械パルプ(LMP)が、JIS P8207に準拠して測定されるとき、繊維の95重量%以上がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20重量%以上がスクリーンの42メッシュを通過しないケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)である、(1)に記載の方法。
(3) 前記広葉樹由来の機械パルプ(LMP)が、容積重が450kg/m以上のユーカリ属由来である、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 操業速度が1100m/分以上である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5) 塗工層を表面処理する工程をさらに含み、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程がオンマシンで連続して行われる、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) 前記塗工工程が、ブレード式コーターおよび/またはフィルム転写方式のコーターを用いて行われる、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、優れた品質を有する印刷用塗工紙を高い操業性で効率よく製造することができる。特に本発明によれば、抄紙、塗工、表面処理をオンマシンで連続して行なうことができ、高品質の印刷用塗工紙を高速で製造することができる。
本発明は、広葉樹由来の機械パルプ(LMP)を含む原料から抄紙する工程と、顔料と接着剤を含有する塗工液をオンマシンコータで塗工して塗工層を設ける工程と、を含んでなり、これらの工程をオンマシンで連続して行うことによって、印刷用塗工紙を製造する。本発明で使用するLMPは、機械パルプでありながら高速での操業性に優れるため、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程をオンマシンで連続して行うこともできる。オンマシンでの高速操業においては、断紙トラブルにより操業性が著しく低下してしまうところ、本発明の製造方法は断紙トラブルが生じにくいため、オンマシンでの高速操業に有利である。
本発明の製造方法において操業速度は特に制限されないが、本発明は高速操業において優位性が高く、好適である。特に、1100m/分以上の条件で操業することが好ましく、1200m/分以上がより好ましく、1300m/分以上がさらに好ましく、1500m/分以上であっても問題なく操業できる。
本発明の印刷用塗工紙の坪量は、特に制限されないが、例えば、30〜200g/m、好ましくは30〜100g/mとすることができる。より好ましい態様において、坪量の下限は、35g/m以上であり、40g/m以上がより好ましい。一方、坪量の上限は、70g/m以下がより好ましく、60g/m以下がさらに好ましい。さらに、本発明においては、55g/m以下、さらには50g/m以下の低坪量の塗工紙も安定して製造可能である。また、本発明の印刷用塗工紙の密度は、好ましくは0.60〜0.75g/m、より好ましくは0.60〜0.70g/mである。
本発明の印刷用塗工紙は、種々の印刷方式に対応することができ、オフセット印刷用塗工紙、凸版印刷用塗工紙、グラビア印刷用塗工紙などに好適に使用することができる。本発明の印刷用塗工紙は、ラフニングが抑制され、表面強度および耐ブリスター性が向上するため、オフセット印刷用途に特に好適に使用することができる。
本発明の印刷用塗工紙は、好ましくは表面粗さが2.0μm以下であり、より好ましくは1.8μm以下であり、さらに好ましくは1.6μm以下、最も好ましくは1.5μm以下である。本発明において表面粗さとは、PPSラフネスを意味し、ISO8791に準じてハードパッキング、1000kPaの条件で測定される。本発明の印刷用塗工紙は表面性に優れるため、微小光沢ムラやインキ着肉ムラが少なく、微細な画像を再現することができるため、印刷用途に特に好適に用いることができる。
このような平滑性を有する本発明の印刷用塗工紙は、微細な画像を再現することができ、印刷適性に優れる。また、本発明の印刷用塗工紙は、好ましくは比散乱係数が45cm/g以上であり、より好ましくは50cm/g以上である。このような比散乱係数を有する本発明の印刷用塗工紙は、低坪量でありながら不透明性が高く、印刷の裏抜けなどが生じにくく好適である。好ましい態様において、本発明の塗工紙は、表面粗さが2.0μm以下、塗工紙の比散乱係数が45cm/g以上、塗工紙の坪量が30〜55g/mである。
好ましい態様において本発明の印刷用塗工紙は、白色度が80%以上であり、より好ましくは81%以上、さらに好ましくは82%以上である。また、好ましい態様において本発明の印刷用塗工紙は、不透明度が84%以上であり、より好ましくは84.5%以上、さらに好ましくは85%以上である。
抄紙工程
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、原料中のパルプの5〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプ(LMP)である原料から原紙を抄造する工程を含んでなる。本発明において、LMPの使用量が5重量%未満であると発明の効果が小さくなり、また、LMPの使用量が80重量%を超えると強度低下により操業性が悪化し、ラフニングなどが生じ易くなって表面性も低下する。LMPの使用量の下限は、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい。一方、LMPの使用量の上限は、70重量%以下であることが好ましく、60重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。
本発明の塗工原紙に使用する広葉樹機械パルプ(LMP)としては、広葉樹を原料とする機械パルプ(LMP)であれば特に制限されず、グランドウッドパルプ(GP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、アルカリ過酸化水素メカニカルパルプ(APMP)、アルカリ過酸化水素サーモメカニカルパルプ(APTMP)等が挙げられる。特に、嵩高性、高不透明度、高白色度が得られる点から、本発明においてはTMPを使用することが好ましく、中でも、CTMP、APMP、APTMP、特にCTMPを使用することが好ましい。本発明において広葉樹機械パルプの製法は特に制限されず、常法で得られた広葉樹機械パルプを使用することができる。本発明において、サーモメカニカルパルプ(TMP)とは、木材チップに温度と圧力をかけて繊維と繊維の接着剤の役割をしているリグニンを柔らかくした状態で、木材チップをすりつぶすことによって得られるパルプである。TMPは、グラウンドウッドパルプ(GP)と同様に、木材チップを機械ですりつぶすものの、リグニンを柔らかくしているため、繊維が傷つくことも少ない。また、本発明においてケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)とは、TMPの一種であり、木材チップを薬品に浸してから製造されるパルプである。
本発明において広葉樹機械パルプ(LMP)の繊維長は特に制限されないが、製品の平滑性や強度、ラフニングなどの観点から、JIS P8207に準拠して測定される24メッシュのスクリーンを通過する繊維の割合が95%以上であることが好ましく、97%以上とすることがより好ましい。一般に、機械パルプを使用すると、剛直で大きな繊維による平滑性の悪化と、顔料塗工時と印刷時に起こるラフニング(繊維の盛り上がり)が生じやすくなるが、上述のように24メッシュのスクリーンを通過する繊維の割合が高い広葉樹機械パルプを使用することによって、平滑性と不透明性に優れ、ラフニングなどの印刷適性、特に優れた画像再現性と裏抜け性を合わせ持つ印刷用塗工紙を得ることができる。
なお、機械パルプのうちサーモメカニカルパルプは比較的繊維長が大きいことが特徴であり、典型的なサーモメカニカルパルプは、JIS P8207に準拠して測定すると、24メッシュを通過しない繊維が80%以下である。そのため、製造したシートは平滑性が低く、印刷時の画像再現性が低くなる傾向にある。また、顔料を塗工する場合、またはヒートセット型オフセット輪転機にて印刷する場合に、繊維が紙表面に浮き上がるラフニングが発生しやすい。
また、良好な平滑性発現を損なわず、機械パルプ使用による操業性の悪化を最小限に抑制できることから、本発明の広葉樹機械パルプは、JIS P8207に準拠して測定される42メッシュのスクリーンを通過しない繊維の割合が20%以上であることが好ましく、20%以上60%以下がより好ましい。このような広葉樹機械パルプを用いることにより、強度低下が最小限に抑え断紙トラブルを抑制し、オンマシンコーターでの操業性の悪化を防止することができる。
ここで、典型的なグランドウッドパルプは、JIS P8207に準拠して測定すると、24メッシュを通過する繊維が90%以上であり、良好な平滑性を得ることができるものの、42メッシュを通過しない繊維が10%台であり短繊維多いため、製造したシートは強度が低く、断紙などによって操業性の低下を招きやすい傾向にある。
本発明において広葉樹機械パルプ(LMP)の樹種は、広葉樹であれば特に制限されないが、例えば、ユーカリ属を好適に使用することができ、ユーカリグロビュラス、ユーカリユーログランディス、ユーカリナイテンス、ユーカリレグナンス、ユーカリファスティガタ等を例示することができる。本発明においては、ユーカリ属由来の機械パルプは繊維の嵩高性が維持されやすく、紙の不透明度を向上できるため好ましい。中でも入手性と品質を勘案すると、ユーカリユーログランディス、ユーカリグロビュラスが特に好ましい。特に、容積重450kg/m以上の広葉樹材を用いることが好ましい。このような特性を持つユーカリユーログランディスやユーカリグロビュラスなどの広葉樹材から作られた広葉樹機械パルプは、繊維内腔(ルーメン)がつぶれにくく剛直であるため、嵩高構造を維持することができる。本発明で用いる広葉樹から製造する機械パルプは、当該パルプから作製した手抄きシートの密度が0.45g/cm以下となるものが好ましく、0.35g/cm以下となるものがより好ましい。
本発明においては、原紙の原料パルプとして、上記の広葉樹機械パルプ以外に、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP)等)、機械パルプ(グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、脱墨パルプ(DIP)などを単独または任意の割合で混合して使用する。
本発明においては、公知の填料を任意に使用でき、例えば、ホワイトカーボン、タルク、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素―ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用又は併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物が好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、下限は3固形分重量%以上が好ましく、10固形分重量%以上がより好ましく、12固形分重量%以上がさらに好ましく、15固形分重量%以上配合してもよい。紙中填料率の上限は、40固形分重量%以下が好ましく、35固形分重量%以下がより好ましく、30固形分重量%以下がさらに好ましく、25固形分重量%以下であってもよい。紙中填料率が3固形分重量%より少ないと、十分な白色度、不透明度を得ることが難しく、40固形重量%より多いと、紙の強度(引張強度、引裂強度など)が弱くなり、また操業時の断紙トラブルにもつながる。
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
本発明において原紙の抄造は、長網抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ(オントップフォーマ)など公知の抄紙機にて行うことができる。中でも、ヘッドボックスから噴射された紙料が2枚のワイヤーに挟まれて走行し、湿紙の両側からほぼ均等に脱水するギャップフォーマ型抄紙機を用いることが好ましい。ギャップフォーマ抄紙機の中でも特にフォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いることにより、紙の表層に填料や微細繊維をより多くとどまらせることができ、ベッセルなどの印刷時の剥け原因となるものを覆いやすいために表面強度に優れ、表裏差がなく表面性が良好な原紙を得ることができる。その抄造条件は特に規定されるものではなく、抄紙時のpHは酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。
一般に、塗工紙の印刷品質を決める要因の一つとして、塗工液を原紙表層により多くとどまらせることがあるところ、特にカレンダー処理前の嵩高な原紙に塗工層を設ける場合、低速では原紙表層に塗工液をとどまらせることが困難であるため、抄紙から塗工、カレンダー処理までを1100m/分以上、さらには1300m/分以上という高速で連続的に処理することが好ましく、より好ましくは1500m/分以上、さらに好ましくは1600m/分以上で処理することができ、1800〜2500m/分程度での操業にも適用できる。
また、本発明の抄紙機のプレスパートはシュープレスを用いることが好ましく、抄紙速度が高速の場合、プレス後水分を鑑みてタンデムタイプのシュープレスを1段以上で処理することが好ましく、2段以上で処理することにより、層間強度、耐ブリスター性が向上するのでより好ましい。シュープレスの処理条件は100kN/m〜1100kN/mが好ましく、より好ましくは500kN/m〜1100kN/mである。また、前記シュープレスを2基以上使用する場合、ドライヤーパート側のシュープレスにトランスファーベルトが接触するように通紙することが、断紙等が起こりにくく、高速操業性に優れるものである。
抄紙機プレドライヤー、アフタードライヤーも公用の装置を用いることができ、乾燥条件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
また、表面強度を向上させるために、原紙に、澱粉などの水溶性高分子を主成分とするクリアー塗工液を塗工して、塗工原紙とすることもできる。クリアー塗工液を塗工することによって、塗工原紙の表面性改善に加えて、接着剤の浸透による層間強度を向上することができる。
澱粉などの接着剤を主成分とするクリアー塗工液としては、固形分で澱粉を5重量%以上、好ましくは8重量%以上含有するクリアー塗工液を塗工することができる。使用する澱粉としては、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル澱粉、酵素変性澱粉等の澱粉を単独、あるいは混合して使用することができる。また、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等も一部混合して使用することができる。また、必要に応じて表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤等の助剤を加えても良い。また、耐ブリスター性、ラフニングの観点から澱粉塗工液の塗工量は0.5〜4.0g/mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0g/mである。
本発明のクリアー塗工装置としては、ロッドメタリングサイズプレスコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、2ロールサイズプレスが使用できるが、特に高速時における層間強度向上の点からロッドメタリングサイズプレスコーターを使用することが好ましい。
本発明において塗工原紙の坪量は、次の工程である塗工工程とのバランスを取りながら設定することができ、特に制限されないが、例えば20〜180/m程度、好ましくは20〜80g/m程度、より好ましくは20〜50g/m程度、さらには25〜45g/m程度の低坪量であってもよい。
また本発明においては、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。
広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)
本発明の広葉樹機械パルプとしてCTMPを用いる場合、CTMPは通常の方法により製造することができる。1つの態様においてCTMPは、亜硫酸ナトリウムによるチップの予備処理工程、一次リファイニングによる解繊工程、二次リファイニングによる叩解工程を含む製造工程よって得ることができる。このような製造工程を経て製造された機械パルプは、紙を高不透明度化し、紙の強度が高いため好適である。例えば、亜硫酸ナトリウムによるチップの予備処理として、亜硫酸ナトリウム水溶液による含浸処理を行うことができ、この場合、チップを圧縮し、圧縮した状態、あるいは圧縮した後に亜硫酸ナトリウム水溶液にチップを浸漬させ、圧を解放しチップを膨張させながら亜硫酸ナトリウムを含浸させることができる。この工程では、亜硫酸ナトリウム水溶液をチップ中に十分含浸させることが好ましく、圧縮比は4:1〜16:1にすることが好ましい。圧縮比が4:1より低い場合にはチップの復元力が弱く、チップ中への亜硫酸ナトリウム水溶液の浸透が不充分となり、一方、圧縮比が16:1を超えることは装置的に非現実的である。ここで、圧縮比とは、圧縮前容積:圧縮後容積と定義する。なお、亜硫酸ナトリウム水溶液の含浸を完全にするため、プレックススクリューまたはインプレッサーの後にサージビンを設けることもできる。
好ましい態様において亜硫酸ナトリウムの添加率は、絶乾チップに対して0.5〜2.0重量%である。亜硫酸ナトリウム水溶液のpHによって、一次リファイニング後の平均繊維長が若干異なる。含浸させる亜硫酸ナトリウム水溶液の初期pHは4.5〜9.5であり、好ましくは7.0〜9.5である。このpH調整には硫酸または水酸化ナトリウムが使用される。この範囲ではpHが高いほど長繊維含有量が多くなり、平均繊維長が大きくなる。pH=9.5を超えるとレベルオフするので、薬品効率が悪くなる。pH=4.5未満では機器の金属腐食の恐れがあるので好ましくない。
亜硫酸ナトリウム水溶液を含浸させたチップは、解繊を良好とする目的で一次リファイニングに先立って予熱処理(プレヒーティング)することが好ましい。この場合の温度は100〜135℃が好ましい。
予備処理工程の後、チップは一次リファイニングによる解繊工程に供される。この工程では、加圧リファイニング装置を用いることができ、リファイナープレート(リファイナセグメント)を除き、他の条件は公知の方法でパルプ繊維に解繊される。リファイニング装置は、シングルディスクリファイナー、コニカルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、ツインディスクリファイナー等を用いることができるが、解繊時の濃度が高いほどパルプ繊維のフィブリル化が進行し高品質のパルプを得られることから、好適にはシングルディスクリファイナーが用いられる。リファイニング工程中のチップの濃度は約20〜60固形分重量%で実施するのが好ましく、処理温度は100〜180℃が好ましい。更に好ましくは120〜135℃である。
次いで、解繊パルプは常圧下で二次リファイナーに送られ、目標濾水度まで叩解される。二次リファイニングによる叩解工程では、公知のリファイニング装置を公知の条件で使用して精砕することができ、所望のパルプ濾水度まで低下させる。この工程は常圧下で行い、リファイニング装置は一般の常圧型装置を用いるのが好ましく、濃度は約4〜60%で実施することができる。二次リファイナーは1段でも良いし、複数段であっても良い。
二次リファイニング後、必要に応じて漂白処理を施してもよい。漂白剤としては、BCTMPの製造に使用されている公知の漂白剤を使用でき、特に限定はない。好ましくは、過酸化水素などの過酸化物を使用する。この場合、金属イオンによる過酸化物の分解を防止する目的で、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)などのキレート剤を併用することもできる。これらの処理は公知の条件で実施することができる。また、本発明の広葉樹機械パルプは、カナダ標準濾水度が50〜350mlであることが好ましい。
塗工工程
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、以上のように得られた塗工原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工液をオンマシンコータで塗工する工程を含んでなる。したがって、本発明の印刷用塗工紙は、原紙上に顔料塗工層を有する。
本発明で用いる顔料に、特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている顔料を使用することができる。例えば、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料、有機・無機複合顔料などを使用することができ、これらの顔料は必要に応じて単独または二種以上混合で使用することができる。
本発明においては、低坪量の塗工紙であることから塗工層の被覆性を考慮した場合、粒度分布が狭く、粒径がより均一なたエンジニアードカオリンを使用することが望ましい。好ましい態様においてその配合量は、顔料100重量部当たり40〜80重量部が好ましく、50〜70重量部がより好ましい。
また、本発明の顔料塗工用の顔料として、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕することにより得られる炭酸カルシウムであって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径であ
る]
で表される粒度分布のシャープ度が50以上である炭酸カルシウムを使用することが好ましく、60以上である炭酸カルシウムを使用することがより好ましい。このような炭酸カルシウムを顔料塗工すると、裏抜けに優れた印刷用塗工紙が得られるため好ましい。
また、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用いることが好ましく、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が1.4〜3.0μmであり、BET比表面積が4〜12m/gであることがより好ましい。さらに、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、マルチパス型粉砕機を使用して湿式粉砕を行うことが好ましい。この粉砕した炭酸カルシウムの配合量は、顔料100重量部当たり20〜60重量部が好ましく、30〜50重量部がより好ましい。
本発明で用いられる接着剤は、特に制限は無く、塗工紙用に従来から用いられている接着剤(バインダー)を使用することができる。例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。好ましい態様において、これらの接着剤は顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部程度の範囲で使用される。接着剤の量が多いと、フィルム転写方式で塗工する際にボイリング等の操業トラブルが生じ易く、接着剤の量が少ないと、原紙にフィルム転写方式で塗工した際に、十分な表面強度を得難いためである。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
本発明において顔料と接着剤を主成分とした塗工液を塗工する場合、ブレードコータ、バーコータ、ロールコータ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータ、ゲートロールコータを用いて塗工原紙に塗工する方式、或いはオプティスプレーのような塗料をスプレーノズルにより塗工原紙に直接吹き付ける方式の塗工機等によって一層もしくは二層以上を原紙上に片面或いは両面に塗工することができる。
その中でも、印刷後の画像再現性を考慮した場合、フラデッドニップ式ブレードコータ、ジェットファウンテン式ブレードコータ、ショートドウェルタイムアプリケート式ブレードコータ等によるブレード方式が好ましく、特に高速塗工適性の観点からショートドウェルタイムアプリケート式ブレードコーターを採用することが好ましい。また、本発明においては、オンマシン塗工でブレード方式にて高速で塗工しても、塗料を原紙に供給してからブレードで掻き取るまでの時間が短い、即ち原紙が塗料によって濡れる時間が短いため、断紙等が起こりにくく、操業性が良好である。
本発明の他の好ましい態様においては、ゲートロールコータ、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのフィルム転写方式の塗工装置を用いて、顔料と接着剤を含有する塗料を一層もしくは二層以上原紙に片面或いは両面に塗工して、顔料塗工層を設ける。ゲートロールコータ、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのフィルム転写方式の塗工装置は、計量されたアプリケーターロール上の塗工液を原紙に転写して塗工層を設ける塗工方式であり、塗工時に原紙にかかる負荷が小さいため、操業時の断紙トラブル等が少ないという利点がある。また本発明においては、塗料の粘度を適正な範囲に調整することにより、ゲートロールコータなどのフィルム転写方式の塗工装置による塗工で問題となるボイリングを抑制し、操業性を向上させることができる。本発明において塗工は、オンマシンあるいはオフマシンコータによって行うことができるが、本発明の製造方法は操業性、特に高速での操業性に優れるため、操業速度が1100m/分以上での実施に特に適しており、オンマシンコータで行う場合に利点が大きい。
また、上記塗工方法による塗工される塗工液の塗工量は、原紙片面当たり2〜20g/mが好ましく、3〜15g/mがより好ましく、4〜12g/mがさらに好ましく、4〜8g/mでもよい。塗工量がこの範囲であると、塗工層が十分に原紙を被覆することができ、塗工紙の印刷適性が優れたものになる。また顔料塗工層は1つであっても複数であってもよい。
顔料塗工液の調製方法は特に限定されないが、好ましい態様において、塗工液の固形分濃度は30〜68重量%程度である。フィルム転写方式の好ましい態様とは、塗工液の固形分濃度は40〜55重量%、より好ましくは45〜55重量%であり、塗工液粘度は60rpmで測定したB型粘度が500〜1000mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
本発明においては、原紙にクリアー塗工の代わりに顔料と接着剤を含有する顔料塗工液を下塗り塗工した塗工紙の上に、上述の顔料と接着剤を含有する顔料塗工液を上塗り塗工をすることもできる。
下塗り塗工で用いる顔料については、重質炭酸カルシウムが主に使用されるが、要求品質に応じて軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、プラスチックピグメント、二酸化チタン等を併用する。また、顔料塗工液に使用する接着剤としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系等の各種共重合体エマルジョン及びポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体等の合成系接着剤、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン等を用いる。本発明の顔料塗工液には分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を使用しても良い。本発明の下塗り塗工する装置としては、ロッドメタリングサイズプレスコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、2ロールサイズプレスが使用できるが、特に高速時における層間強度向上の点からロッドメタリングサイズプレスコーターを使用することが好ましい。
下塗り顔料塗工液の塗工量は、好ましくは、原紙片面当たり固形分で1〜12g/mの範囲で両面に塗工するものであり、より好ましくは1〜10g/m、さらに好ましくは2〜8g/m、最も好ましくは2〜5g/mである。1g/mより少ない量は塗工しにくく、塗工液濃度を下げた場合には、塗工液の原紙内部への浸透が大きくなり表面性が低下しやすい。12g/mより多い量を塗工する場合は、塗工液濃度を高くする必要があり、装置上塗工量のコントロールがしにくい。塗工後乾燥された塗工紙は、上塗り顔料塗工液の塗工前にチルドカレンダ、ソフトカレンダー等によるプレカレンダ処理を施しても良い。
表面処理工程
本発明においては、以上のように塗工層を設けた紙を、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどを用いて必要に応じて表面処理する。表面処理により、塗工紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。
好ましい態様において、本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、塗工層を表面処理する工程を含んでなる。特に本発明における表面処理としては、金属ロールと弾性ロールで構成されるソフトカレンダーにより表面処理することが好ましく、オンラインのカレンダーであるとより好ましい。
一般に、塗工層を設けた後、金属ロールと弾性ロールで構成されるオンライン熱ソフトカレンダーを用いて表面処理を行う場合、金属ロールの表面温度とカレンダーのニップ圧は、密度に与える影響が大きく、密度は光沢度と不透明性に大きく寄与するため、重要な要素である。
本発明の表面処理においては、2ニップ以上が好ましく、3ニップ以上がより好ましく、4ニップ以上の条件で表面処理することがさらに好ましい。一般に、低坪量の塗工紙においては、平滑性の改善のためにカレンダー負荷を強くすることは、不透明性の低下を招き、また、断紙などが発生しやすくなる。4ニップ以上の条件で表面処理することによりカレンダー負荷を分散させることができ、目標の平滑性を得ながら不透明性に影響を及ぼす密度上昇を抑えることができる。特に、少なくとも4ニップ以上の熱ソフトカレンダーで表面処理することによって、低坪量の塗工紙でありながら、高速の操業条件で、品質を損なうことなく印刷用塗工紙をオンマシンで製造することが可能となった。
金属ロールの表面温度は、好ましくは100℃以上300℃以下である。塗工紙の含有水分が適当であれば、100℃以上に加熱された金属ロールを用いることにより、低いニップ圧あるいは短いニップ滞留時間で塗工層を平滑化することができ、塗工紙の密度は低くなり、不透明度が高く、良好な平滑性を合わせ持つ塗工紙となり、その上従来のスーパーカレンダーよりも処理速度が速く、巻取りの枠替えなどが省略できるため、効率よく生産でき操業性に優れる。
また、通紙速度は1000〜3000m/分程度が好ましく、線圧は30〜500kg/cm程度であることが好ましい。また、カレンダー前塗工水分は、3〜12%であることが好ましいが、平滑性と操業性を両立させるため、4〜8%がより好ましい。
ソフトカレンダーの金属ロールと対をなして使用される弾性ロールの材質については特に限定されないが、一般に変性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアクリレート樹脂等の高温高圧で耐久性を示す樹脂ロールが好ましく利用される。また、樹脂ロールの硬度としては、ショアD硬度が、80〜100°であることが好ましく、85〜97°であることがより好ましく、90〜96°であることがさらに好ましく、92〜96°であることが最も好ましい。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1
<評価方法>
塗工液および印刷用塗工紙について、以下に示すような評価法に基づいて試験を行った。
(1)表面粗さ(PPSラフネス)
ISO 8791に準じてハードパッキング、1000kPaで測定した。
(2)比散乱係数
ISO 9416にしたがって算出した。
(3)印刷品質(印刷画像の再現性)
オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製レオエックスM)を用いて墨→藍→紅→黄の順に印刷速度500rpmで2万部印刷した後、印刷画像の再現性を目視評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎=非常に良好、○=良好、△=やや劣る、×=劣る
(4)印刷品質(裏抜け)
オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製レオエックスM)を用いて墨→藍→紅→黄の順に印刷速度500rpmで2万部印刷した後、裏抜け具合を目視評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎=非常に良好、○=良好、△=やや劣る、×=劣る
(5)ラフニング
Fibro社製のペーパーサーフェイスアナライザーFIBRO1000により塗工紙のラフニングを測定した。この測定器は、試料表面に水を塗布し、赤外線ランプにより乾燥後、表面繊維の盛り上がりの程度をCCDカメラにより画像解析を行なって評価する。測定は、水塗布量8.0g/m、乾燥温度150℃の条件で行ない、基準線より0.1mm以上に盛り上がった繊維の数をQty値(本/m)として、ラフニングを評価した。したがって、Qty値が小さいほどラフニングは良好である。
(6)高速操業性
高速操業性を目視により評価した。高速操業性は、プレスパート部を含めた各工程での断紙の起こり難さ、塗工時のミストなどの発生、カレンダー時の収縮シワの発生などの観点から評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎=非常に良好、○=良好、△=やや不良、×=不良
<印刷用塗工紙の製造>
[実施例1]
広葉樹機械パルプとして、容積重580kg/mのユーカリグロビュラスチップを原料として明細書に記載の方法により亜硫酸ナトリウムを用いて、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製された広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.37g/m、カナダ標準フリーネス 128ml)を使用した。なお、CTMPの手抄きシートは、JIS P 8222:1998に基づいて坪量60g/mで作成し、作成した手抄きシートの厚さ、坪量を実際に測定し、これを元に密度を算出した。他のパルプについても同様にJIS P 8222:1998に基づいて坪量60g/mの手抄きシートを作成し、シート密度を測定した。
原紙の原料として、この広葉樹CTMPを20部、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を20部、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を35部、古紙パルプ(DIP)を25部含有するパルプスラリーを調成し、填料として軽質炭酸カルシウムを12部、内添紙力剤としてカチオン性の紙力増強剤を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、抄紙速度が1200m/分にてオントップ形式のフォーマーで抄紙し、坪量37g/mの原紙を得た。
次に、重質炭酸カルシウム39部及びカオリン61部を含有する顔料100部に対して、接着剤として酸化デンプン6.5部とカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックス13部配合して併せて19.5部配合して固形分濃度60%の塗工液を調製し、ショートドウェルタイムアプリケート式ブレードコーターで、塗工量が片面当たり5g/mとなるように両面に顔料塗工して乾燥した。
引き続き、表面処理の工程にて2ロール・4スタックの熱ソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度は200℃、線圧250kN/mの条件にて連続処理して印刷用塗工紙を得た。
本実施例においては、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程を連続して行ったため、抄紙速度だけでなく、塗工速度、カレンダー速度も1200m/分だった。
[実施例2]
実施例1において、原紙のパルプ配合を広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ40部、広葉樹クラフトパルプ20部、針葉樹クラフトパルプ35部、古紙パルプ5部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、広葉樹ケミサーモメカニカルパルプがJIS P 8207に準拠した測定で繊維の98%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の33%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製された広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.33g/m、カナダ標準フリーネス 249ml)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、重質炭酸カルシウムに代えて、以下の粉砕した軽質炭酸カルシウムを使用した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
本実施例においては、炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BMを固形分濃度20%にし、ポリアクリル酸塩系分散剤を1.5重量部加えて、スラリーとした後、マルチパス型粉砕機であるSCミルロング(三井鉱山社製:SCミル100型)を使用して湿式粉砕を行うことにより得られる炭酸カルシウムを顔料として使用した。粉砕した炭酸カルシウムは、X線透過法の粒度分布測定器で測定した平均粒子径(d50)が0.38μm、BET比表面積が22.5m/gであり、シャープ度が62だった。ここで、シャープ度とは、X線透過式粒度分布測定器(セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径であ
る]
で表される粒度分布のシャープさを示す指標である。また、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用い、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)は2.2μmであり、BET比表面積は5.9m/gであった。
[実施例5]
実施例1において、広葉樹メカニカルパルプとして、容積重380kg/mのアスペンを用いて、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の26%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製された広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.41g/m、カナダ標準フリーネス 130ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
実施例1において、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の93%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の41%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製された広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.30g/m、カナダ標準フリーネス 267ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例7]
実施例1において、塗工に引き続き行われる表面処理の工程で、2ロール・2スタックの熱ソフトカレンダーで連続処理した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、針葉樹チップを用いて製造したサーモメカニカルパルプ(TMP:手抄きシート密度 0.48g/m、カナダ標準フリーネス 90ml)を20部、広葉樹クラフトパルプを20部、針葉樹クラフトパルプを35部、古紙パルプを35部にに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、赤松より製造したグラウンドウッドパルプ(GP:手抄きシート密度 0.48g/m、カナダ標準フリーネス 64ml)を20部、広葉樹クラフトパルプを20部、針葉樹クラフトパルプを35部、古紙パルプを35部にに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
<実験結果>
表1に評価結果を示す。表1から明らかなように、広葉樹由来の機械パルプを原料中に配合することで、画像再現性(写実性)と裏抜け性などの印刷品質を合わせ持ち、安定した操業性で塗工紙を製造することができることが確認できた。
Figure 0005484335
実験2
<評価方法>
(1)白色度:JIS P 8123に準じて測定した。
(2)不透明度:JIS P 8138に準じて測定した。
(3)表面粗さ:ISO 8791/4に準じて測定した。
(4)高速操業性
プレスパートでの断紙が起こりにくいこと、カレンダー時の収縮シワの発生が少ないこと、弾性ロールの耐久性が高いことという観点から高速操業性の適性を評価した。高速操業性が非常に良好なものを◎、良好なものを○、やや不良なものを△、不良なものを×とした。
(5)微小光沢ムラ
最終製品の微小光沢ムラをを目視判定した。ブリスターが全く発生しないものを◎、ほとんど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。
(6)インキ着肉ムラ
ローランド平判印刷機(4色)にて、印刷用インキ(ハイユニティM;東洋インキ社製)を用いて藍→紅→黄→墨の順に印刷速度8000枚/分で印刷し、得られた印刷物の特に2色(藍紅)印刷部及び藍単色ベタ印刷部及びハーフトーン(50%)印刷部の印刷面感(インキ着肉ムラ)を目視判定した。インキ着肉ムラが非常に良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、劣るものを×とした。
(7)表面強度
RI−II型印刷試験機を用い、東洋インキ製造株式会社製枚葉プロセスインキ(商品名:SMXタックグレード20)を0.40cc使用して印刷を行ったのち印刷面を台紙に写し取った。写し取った台紙から以下のように表面強度を評価した。表面の剥けが全く見られないものを◎、剥けが若干認められるが問題ないものを○、剥けがやや多く、少し問題となるものを△、剥けが酷く、使用できないものを×とした。
<印刷用塗工紙の製造>
[実施例1]
広葉樹機械パルプとして、容積重580kg/mのユーカリグロビュラスチップを原料として明細書に記載の方法により亜硫酸ナトリウムを用いて製造したケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)であって、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の100重量%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20重量%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製された広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.37g/m、カナダ標準フリーネス 128ml)を使用した。
このCTMP20部、LBKP20部、NBKP35部、DIP25部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを紙中灰分が11%になるように添加し、内添紙力剤としてカチオン化澱粉を4部添加して紙料を調成した。
この紙料を用いて2基のタンデムシュープレスを有するロールアンドブレードフォーマー形式ギャップフォーマ型抄紙機で、1600m/分で抄紙、乾燥し、43.0g/mの塗工原紙を得た。
さらに、重質炭酸カルシウム73部及びカオリン27部を含有する顔料100部に対して接着剤として酸化澱粉4.5部とカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックスを8.2部配合して固形分濃度64%の塗工液を調製し、原紙片面当たり8.3g/mをファウンテン式ブレードコータで両面に塗工、乾燥した。
次いで、ショアD硬度94°の弾性ロールを有する2ロール・6スタックの高温ソフトカレンダーを使用し、1ニップ目と2ニップ目の金属ロール表面温度を100℃、3〜6ニップが金属ロール表面温度150℃、1〜6ニップの線圧250kN/mの条件でカレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を製造した。本実施例においては、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程を連続して行ったため、抄紙速度だけでなく、塗工速度、カレンダー速度も1600m/分だった。
[実施例2]
実施例1において、パルプ配合を、LBKP20部、NBKP5部、DIP25部、および、容積重580kg/mのユーカリグロビュラスチップから製造した広葉樹機械パルプ50部に変更した以外は全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例3]
実施例1において、1ニップ目と2ニップ目の金属ロール表面温度を60℃に変更した以外は全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例4]
実施例1において、3〜6ニップ目の金属ロール表面温度を220℃に変更した以外は全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例5]
実施例1において、広葉樹機械パルプであるCTMPとして、容積重380kg/mのアスペンチップから製造した広葉樹機械パルプであって、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の26%がスクリーンの42メッシュを通過しない広葉樹機械パルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.41g/m、カナダ標準フリーネス 130ml)を使用した以外は全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例6]
実施例1において、広葉樹機械パルプであるCTMPとして、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の98%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の33%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製されたCTMP(手抄きシート密度 0.33g/m、カナダ標準フリーネス 249ml)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例7]
実施例1において、重質炭酸カルシウムに代えて、実験1の実施例4と同じ軽質炭酸カルシウムを使用した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、パルプ配合をLBKP40部、NBKP35部、DIP25部に変更した以外は全く同様に塗工紙を製造した。
[比較例2]
実施例1において、広葉樹機械パルプの代わりに、容積重430kg/mの針葉樹(ラジアータパイン)チップから製造した針葉樹機械パルプ(TMP:手抄きシート密度 0.48g/m、カナダ標準フリーネス 90ml)に変更した以外は全く同様に塗工紙を製造した。
<実験結果>
実施例では、本願発明の印刷用塗工紙は比較例に対し、高速操業性に優れ、かつ高白色度、高不透明度であり、微小光沢ムラ、インキ着肉が良好であった。
Figure 0005484335
実験3
<評価方法>
(1)密度:JIS P 8118に準じて測定した。
(2)白色度:JIS P 8123に準じて測定した。
(3)不透明度:JIS P 8138に準じて測定した。
(4)表面強度:RI−I型印刷機(明製作所)を用い、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製:TKマークV617)を使用し、インキ量0.4cc一定で片面印刷し、塗工紙表面のムケの度合いを評価した。ムケが全く発生しないものを◎、ほとんど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。
(5)耐ブリスター性:RI−I型印刷機(明製作所)を用い、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製:TKマークV617)を使用し、インキ量0.8cc一定で両面印刷して一昼夜調湿(23℃、50%RH)した後、この試験片を温度140℃に設定した恒温オイルバスに浸し、ブリスターの発生状況を目視判定した。ブリスターが全く発生しないものを◎、ほとんど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。
(6)裏抜け:オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製レオエックスM)を用いて墨→藍→紅→黄の順に印刷速度500rpmで2万部印刷した後、裏抜け具合を目視評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎=非常に良好、○=良好、△=やや劣る、×=劣る
(7)高速操業性:操業性を、断紙の頻度や塗工時におけるボイリングの発生程度の点から評価した。断紙やボイリングがほとんど発生しないものを○、やや発生するものを△、ボイリングが著しいものを×とした。
<印刷用塗工紙の製造>
[実施例1]
広葉樹機械パルプとして、容積重580kg/mのユーカリグロビュラスチップを原料として明細書に記載の方法により亜硫酸ナトリウムを用いて、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製した広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.37g/m、カナダ標準フリーネス 128ml)を使用した。
この広葉樹CTMPを50部、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を35部、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を15部含有するパルプスラリーを調成し、填料として軽質炭酸カルシウムを12部、内添紙力剤としてカチオン性紙力増強剤を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、抄紙速度が1200m/分にてオントップ形式のフォーマーで抄紙し、坪量37g/mの原紙を得た。
次に、重質炭酸カルシウム90部(FMT-90、ファイマテック社製)及びカオリン10部(Hydragloss、Imerys社製)を含有する顔料100部に対して、接着剤として酸化デンプン20部とカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックスを15部配合し、さらに、分散剤としてポリアクリルソーダを0.05部添加して、固形分濃度50%の塗工液を調製し、ゲートロールコーターを用いて、原紙片面当たり5.0g/mとなるように両面に顔料塗工して乾燥し、坪量47g/mの塗工紙を得た。
引き続き、ソフトカレンダーを用いて表面処理を行い、印刷用塗工紙を得た。抄紙、塗工、表面処理を連続して行ったため、抄紙速度だけでなく、塗工速度、表面処理速度も1200m/分だった。
[実施例2]
実施例1において、原紙のパルプ配合を広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ70部、広葉樹クラフトパルプ15部、針葉樹クラフトパルプ15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、塗工液における接着剤の含有率を顔料100部に対して合計25部(酸化デンプン14部、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックス11部)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、広葉樹ケミサーモメカニカルパルプとして、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の98%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の33%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製したCTMP(手抄きシート密度 0.33g/m、カナダ標準フリーネス 249mlを用いた以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、重質炭酸カルシウムに代えて、実験1の実施例4と同じ軽質炭酸カルシウムを使用した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
実施例1において、広葉樹メカニカルパルプとして、容積重380kg/mのアスペンを用いて、JIS P 8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の26%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製した広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度 0.41g/m、カナダ標準フリーネス 267ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、原紙のパルプ配合が広葉樹ケミサーモメカニカルパルプを100部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、原紙のパルプ配合を針葉樹チップを用いて製造したサーモメカニカルパルプ(TMP:手抄きシート密度 0.48g/m、カナダ標準フリーネス 90ml)を50部、広葉樹クラフトパルプ35部、針葉樹クラフトパルプ15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、赤松より製造したグラウンドウッドパルプ(GP:手抄きシート密度 0.48g/m、カナダ標準フリーネス 64ml)を50部、広葉樹クラフトパルプを35部、針葉樹クラフトパルプを15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
<実験結果>
表3に評価結果を示す。表3から明らかなように、広葉樹由来の機械パルプを原料中に配合し、フィルム転写方式により顔料塗工層を設けることによって、低密度、高白色度、高不透明度を有し、さらに優れた表面強度や耐ブリスター性などの印刷品質を備えた印刷用塗工紙を、良好な操業性で製造することができた。
Figure 0005484335

Claims (6)

  1. 原料中のパルプの5〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプ(LMP)である原料から原紙を抄造する工程と、
    顔料と接着剤を含有する塗工液をオンマシンコータで塗工して塗工層を設ける工程と、
    ソフトカレンダーを用いて塗工層を表面処理する工程と、
    を含んでなり、これらの工程が1100m/分以上の操業速度にてオンマシンで連続して行われる、坪量が30〜55g/m 、比散乱係数が45cm /g以上、PPSラフネスが2μm以下である印刷用塗工紙の製造方法であって、
    広葉樹由来の機械パルプ(LMP)が、JIS P8207に準拠して測定されるとき、繊維の95重量%以上がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20重量%以上がスクリーンの42メッシュを通過しないケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)である、上記方法。
  2. 前記広葉樹由来の機械パルプ(LMP)が、容積重が450kg/m以上のユーカリ属由来である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記広葉樹由来の機械パルプ(LMP)が、ユーカリグロビュラスおよび/またはユーカリユーログランディス由来である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記塗工工程が、ブレード式コーターおよび/またはフィルム転写式コーターを用いて行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)が、亜硫酸ナトリウムによるチップの予備処理工程、一次リファイニングによる解繊工程、二次リファイニングによる叩解工程を含む製造工程によって製造される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  6. 前記ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)のカナダ標準濾水度が、50〜350mlである、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
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