JP2007204866A - 片艶クラフト紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供する
【解決手段】表面の光沢度(JIS P 8142に準拠)を30%以上とし、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、片艶クラフト紙、特に両面に印刷が可能でありながら光沢度が良好な片艶クラフト紙に関するものである。
従来の片艶クラフト紙は、抄紙工程のドライパートにおいて、研磨加工が施されている鏡面ドライヤー(以下、ヤンキードライヤーと称する)にフェルトを介して湿紙を圧接する方法により製造されている。このようにして製造された片艶クラフト紙は、ヤンキードライヤーに接する面に光沢が付与されるが、反艶面はヤンキーフェルトに接するので平滑度が低下する傾向があり、反艶面は印刷適性が良くない。よって、従来の製造方法で得られる片艶クラフト紙は、請求書用の封筒のように、内容物情報が透けて見えないようにするために反艶面にも印刷を行う場合には不向きであった。
また、特許文献1に示されるように、弾性ロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーを用いて光沢化処理を行うことも可能であるが、カレンダー処理は反艶面をも光沢化するので、製袋用糊が用紙に含浸しがたく、製袋時の加工性等が損なわれる可能性がある。
そこで、例えば特許文献2に示されるように、反艶面のインキ受理性を損なう可能性のあるヤンキーフェルトを用いずに、タッチロールを用いてヤンキードライヤーに湿紙を圧接させて、緊度を上げることなく用紙表面に平坦化を施し、製造される片艶紙が知られている。
特開平5−279983号公報 特開2005−336630号公報
しかし、前記特許文献1では、インキ受理性を向上させるべくタッチロールの接圧を下げ過ぎると、ヤンキードライヤーと湿紙との接触面積が低下し、ヤンキードライヤー鏡面を写し取りにくくなって光沢度が却って低下する。また、光沢度を向上させるべくタッチロールの接圧を上げ過ぎると、光沢度は向上するがインキ受理性(浸透性、乾燥性)が損なわれやすくなり、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることが困難であった。
本発明はこのようなヤンキー紙の特性と問題点に鑑みて試されたものであって、その目的は、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明の片艶クラフト紙は、表面の光沢度(JIS P 8142に準拠)が30%以上であり、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下とされている。パーカー・プリント・サーフ粗さは、ベック平滑度や正反射平滑度と異なり、塗工紙表面の微細な凹凸を評価できるため、高平滑な光沢調や凹凸が大きすぎるマット調と異なり、表面性を精査に評価できるため好適である。
これによって、JIS P 8142に準拠する光沢度が30%以上の高い光沢度を有しながらも、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下と高い平滑性を維持するので、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることができる。
パーカー・プリント・サーフ粗さの測定は、ローレンツェンアンドベットレー社製のPPS TESUTER SE−115型を用い、クランプ圧力1MPaで測定した。
また、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中に、繊維長2.5mm以下の繊維が90重量%以上含まれているのが好ましい。
これによって、繊維長が2.5mm以下に揃ったパルプ繊維で紙が構成され、均質な紙層により紙厚のばらつきや表面凹凸が生じ難くなって、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。
さらに、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維中に、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれているのが好ましい。
針葉樹クラフトパルプの割合が20%未満では、製袋加工における紙質強度が不足し、断紙や紙折部からの破れ、手提げ紐類の取り付けにおける破断が生じ易くなる。針葉樹クラフトパルプの割合が45%を超えると、紙質強度は十分ながら、長繊維なために均質な地合を得がたく、厚薄ムラが生じ易くなるため、光沢や印刷適正が劣り、見栄えの悪い印刷となり、製袋加工品として見劣りするものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が45%を下回ると、用紙表面の緻密性が悪くなり、精細な印刷情報の再現性が劣り、光沢が低いものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が70%を超えると、製袋及び印刷加工適性が低下する。更に、平坦化処理においては、密度が上がり、製袋加工時の糊の浸透が抑えられ、貼合部の剥離など加工後に問題が生じる場合がある。機械パルプの割合が10%未満では、印刷不透明度が劣る問題が生じ、ベタ印刷が多い製袋加工品の場合、印刷インクの裏抜けなど見栄えが悪くなるとともに、印刷インクの染み込みムラによる印刷面のボケが生じ、光沢を下げる要因になる。機械パルプの割合が35%を超えると、もともと強度の低いパルプであり、印刷時の紙粉発生、しろ抜けの問題が多発する。
これによって、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが均質な紙層を形成し、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。
さらにまた、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維の濾水度(JIS P 8121に準拠)が400mlCSF以上であるのが好ましい。
これによって、JIS P 8121に準拠する濾水度が400mlCSF以上となるように叩解、分級、選別等することにより、繊維長の揃ったパルプ繊維で紙層を形成することができ、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。特に400mlCSF未満では、腰がない紙質になるため、製袋加工において加工適性が劣ったものになる。
本発明により、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供することができる。
本発明の片艶クラフト紙は、製袋や包装の用途、特に請求書用の封筒等に用いられる。片艶クラフト紙は、製袋適性のある米坪50〜240g/cm2に抄紙された紙層を有しており、この紙層は表側の艶面と裏側の反艶面とを有している。
前記片艶クラフト紙に用いられる原料パルプは、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとを混合してなり、古紙パルプがさらに混合されているのが経済性を考えると好ましい。古紙パルプは、一旦抄紙され、再び紙原料として再生されたパルプであり、再生時の熱や物理的再生手段で、内在する針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプ、機械パルプとも繊維が平坦で柔軟な性状を呈するようになっているため、パルプ自体の強度は低いものの、用紙表面の平坦性、光沢性向上に寄与する。
前記針葉樹クラフトパルプにはスプルース、ダグラスファー、ラジアータパインなどの針葉樹が、前記広葉樹クラフトパルプにはアカシアなどの広葉樹が用いられる。前記クラフトパルプはブリーチ(晒し)の有無に拘わらずいずれも用いることができる。前記機械パルプは、グランドウッドパルプ、リファイナーグランドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、加圧砕木パルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが用いられる。前記古紙パルプの原料には、例えば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等があげられ、これらの原料を2種以上用いてもよい。
前記古紙パルプは、さまざまな含有率またはサイズの化学パルプや機械パルプ等が含まれており、JIS P8120に規定されるロフトンメリット法やC法を用いてパルプの種類を分類することが可能である。そこで、前記片艶クラフト紙は、JIS P8220に準拠して製品用紙を離解し、この離解して得られたスラリー中に針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれるように原料パルプを調成するのが好ましく、より好ましくは25〜40:45〜60:15〜30の割合で調成するのが良い。
針葉樹クラフトパルプの割合が20%未満では、製袋加工における紙質強度が不足し、断紙や紙折部からの破れ、手提げ紐類の取り付けにおける破断が生じ易くなる。針葉樹クラフトパルプの割合が45%を超えると、紙質強度は十分ながら、長繊維なために均質な地合を得がたく、厚薄ムラが生じ易くなるため、光沢や印刷適正が劣り、見栄えの悪い印刷となり、製袋加工品として見劣りするものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が45%を下回ると、用紙表面の緻密性が悪くなり、精細な印刷情報の再現性が劣り、光沢が低いものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が70%を超えると、製袋及び印刷加工適性が低下する。更に、平坦化処理においては、密度が上がり、製袋加工時の糊の浸透が抑えられ、貼合部の剥離など加工後に問題が生じる場合がある。機械パルプの割合が10%未満では、印刷不透明度が劣る問題が生じ、ベタ印刷が多い製袋加工品の場合、印刷インクの裏抜けなど見栄えが悪くなるとともに、印刷インクの染み込みムラによる印刷面のボケが生じ、光沢を下げる要因になる。機械パルプの割合が35%を超えると、もともと強度の低いパルプであり、印刷時の紙粉発生、しろ抜けの問題が多発する。これによって、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが均質かつ厚みの揃った紙質を形成するので、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。
前記混合を行った原料パルプは、抄紙前に叩解されるのが好ましい。叩解は、古紙パルプに由来する2.5mmを超える長繊維を短繊維化するため、特に古紙パルプを原料パルプに配合したパルプスラリーについて行われるのが好ましい。前記叩解は、ホーレンダー、ビータ、リファイナなどを用いて、離解フリーネス400mlCSF以上、好ましくは500mlCSF以上となるまで行われる。離解フリーネスが400mlCSF未満では、製袋機における操作性が低下し、製袋適性が悪くなる問題が生じる。また、離解フリーネスが400mlCSF未満では、PPS粗さが低くなり、平均繊維長も低くなる問題が生じる。
前記叩解によって、繊維長2.5mm以下に揃ったパルプ繊維で紙層が構成されることになり、均一な紙層と表面とを得ることができるようになり、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。特に、JIS−P−8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中の繊維の重量平均繊維幅が、Kajaani社製のFiberLab試験機にて測定した結果において、1.70マイクロメートル以下、且つ繊維の重量平均断面積が140マイクロメートル以下が光沢性発現に特に好ましい。
叩解後の前記パルプスラリーは、抄紙機の抄紙工程において抄紙補助薬剤や内添填料等が配合される。前記抄紙補助薬剤は、紙力増強剤(歩留向上剤)等の高分子凝集剤が用いられ、高分子凝集剤を添加することで微細繊維が凝集した微細凝集粒子が形成されている。
前記微細凝集粒子は、抄紙循環経路で回収されて、抄紙前の白水に再投入され、原料パルプと共に抄紙される。前記微細凝集粒子を配合することで、微細凝集粒子がパルプ繊維間の空孔を埋めて、表面に凹凸がない紙質が抄造され、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。
本発明における好適なヤンキードライヤーの操業に置いては、片艶クラフト紙をヤンキードライヤーに接触させる方策としてタッチロールを使用する。片艶クラフト紙をヤンキードライヤーに接触させる方策としてフェルトを介すると、ヤンキードライヤーと湿紙の接圧が弱くなり、光沢面側の光沢度及び平坦性が得られない問題が生じる。非光沢面側は、介在するフェルトを外すことによって印刷品質を向上させることができる。
前記紙力増強剤または歩留向上剤等は、ポリアクリルアミド系凝集剤、ポリエチレンオキサイド系凝集剤若しくはポリエチレンイミン系凝集剤、またはこれらとベントナイトなどを複合してなる、凝集力の強い高分子凝集剤が好ましいが、酸性抄紙に用いられる硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤を用いることも可能である。
前記片艶クラフト紙は、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等の填料、濾水性向上剤、内添サイズ剤、紙力向上剤、染料、蛍光増白剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、消泡剤、pH調整剤等から選ばれる少なくとも1種の抄紙補助薬剤や内添填料を加えて抄紙しても良い。
前記片艶クラフト紙の抄紙は、長網ヤンキー抄紙機、円網ヤンキー抄紙機、短網ヤンキー抄紙機等のヤンキードライヤーを有する抄紙機であればいずれも使用できる。前記ヤンキードライヤーは、表面に研磨加工が施されている鏡面ドライヤーであって、湿紙をその表面に圧接することで乾燥が行われる。
前記ヤンキードライヤーは、ヤンキーフェルトを有するものではなく、湿紙供給箇所の近傍にタッチロールを備えているのが好ましい。これにより、ヤンキードライヤーに接する艶面に光沢を付与しつつ、タッチロールに接する反艶面の平滑性を損なわないように乾燥することができる。
上述の製造方法で得られる片艶クラフト紙は、原料パルプの構成とパルプ繊維の繊維長分布とを所定の範囲とすることで、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下、好ましくは2.8μm以下に調整可能となり、JIS P 8142に準拠する表面(艶面)の光沢度を従来の片艶紙より良好な30%以上、好ましくは35%以上とすることができ、光沢度とインキ受理性とを双方満足させることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。
〈原料〉
針葉樹クラフトパルプ(NBKP、フリーネス600mlCSF)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP、フリーネス400mlCSF)、機械パルプ(PGW、フリーネス120mlCSF)、古紙パルプを表1に示す配合比率で配合して100重量部の原料パルプを得た。次いで公知の一般的なリファイナーで叩解を行ってパルプスラリーを調成した。
〈薬品配合〉
前記パルプスラリーに、硫酸アルミニウム30kg/パルプトン、サイズ剤(ベローザE3600、近代化学工業(株)製)7kg/パルプトン、紙力増強剤(DS4360、星光PMC(株)製)15kg/パルプトンを配合した。紙力増強剤により微細凝集粒子が形成された白水から、フィルタリングにより回収された微細凝集粒子を、実施例1〜7について0.03kg/パルプトンで白水供給側に再投入した。
〈抄紙〉
前記薬品配合後のパルプスラリーを長網ヤンキー抄紙機(川之江造機社製)でJIS P8124に準拠する米坪で120g/m2に抄紙して、製品用紙を得た。前記抄紙機は、ヤンキードライヤー(3,600mm径、乾燥温度110℃)の湿紙供給側にタッチロール(540mm径)を設けた。前記タッチロールは湿紙に対して接圧90kg/cmで圧接させた。
〈評価〉
(1)離解フリーネス(mlCSF):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調成し、その後にJIS P 8121(1995年)に規定されるカナダ標準濾水度を測定する。
(2)繊維割合(%):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調成し、その後にスラリーに含まれるパルプ繊維に対してJAPAN TAPPI No.52(2000年)に規定される繊維長の重量分布を測定する。測定にはカヤニ社製繊維長分布測定器機FS−100を用い、繊維長2.5mm以下の繊維が全パルプ繊維に占める重量%を求めた。
(3)パルプ繊維の配合率(%):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調製し、JIS P8120に規定されるロフトンメリット法を用いて、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプに染色分類し、配合率を求めた。
(4)光沢度(%):製品用紙の艶面に対してJIS P 8142に準拠して光沢度を測定した。光沢度が30%以上の場合を○、30%未満の場合を×と評価して、表1に示す。
(5)パーカー・プリント・サーフ粗さ(μm):製品用紙の艶面及び反艶面に対してISO 8791に準拠して、パーカー・プリント・サーフ粗さ(以下、実施例及び表においてPPSと称する)を求めた。パーカー・プリント・サーフ粗さの測定は、ローレンツェンアンドベットレー社製のPPS TESUTER SE−115型を用い、ソフトラバー製バッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaで測定した。
PPSが2.8μm未満の場合を◎、2.8μm以上3.0μm未満の場合を○、3.0μm以上の場合を×と評価して、表1に示す。
(6)印刷適性:印刷適性は、JIS P 8129に定めるIGT印刷適性試験機に用いる標準タックグレードインキを使用し、KRK万能印刷適性機(熊谷理機工業(株)製)を用いて印刷し、インキ着肉性を4段階に評価した。◎:優れる、○:良好、△:可、×:不可
(7)製袋適性:製袋適性は、角底製袋機127T型(ニューロング工業(株)社製)を用いて製袋加工を行い、10,000袋実施した結果を底破れ、背割れについて4段階に評価した。◎:ロス率1%以下、○:ロス率2〜3%、△:ロス率3〜5%、×:ロス率5%以上(ロス率は、10,000袋中の底破れ、背割れの発生率)
NBKPを20重量部、LBKPを45重量部、MPを35重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成し、叩解を行った後、抄紙して製品用紙とした。
製品用紙について上記評価を行い、表1の結果を得た。
実施例1において叩解程度を変更して製品用紙を得た。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを20重量部、LBKPを70重量部、MPを10重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを25重量部、LBKPを45重量部、MPを30重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを25重量部、LBKPを60重量部、MPを15重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを40重量部、LBKPを45重量部、MPを15重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを45重量部、LBKPを45重量部、MPを10重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
「比較例1」
離解フリーネスが350mlCSFと小さい製品用紙である。
「比較例2」
NBKPの配合比率が10重量部と少ない製品用紙である。
「比較例3」
NBKPの配合比率が50重量部と多く、LBKPが40重量部と少ない製品用紙である。
「比較例4」
NBKPの配合比率が50重量部と多く、MPが5重量部と少ない製品用紙である。
「比較例5」
LBKPの配合比率が40重量部と少なく、MPが40重量部と多い製品用紙である。
「比較例6」
NBKPの配合比率が10重量部と少なく、LBKPが80重量部と多い製品用紙である。
「比較例7」
LBKPの配合比率が80重量部と多く、MPが含まれていない製品用紙である。
「比較例8」
NBKPの配合比率が55重量部と多く、LBKPが40重量部と少なく、MPが5重量部と少ない製品用紙である。
以下の表1に結果を示した。
Figure 2007204866
本発明は、片艶クラフト紙、特に両面に印刷が可能でありながら光沢度が良好な片艶クラフト紙に関するものである。
従来の片艶クラフト紙は、抄紙工程のドライパートにおいて、研磨加工が施されている鏡面ドライヤー(以下、ヤンキードライヤーと称する)にフェルトを介して湿紙を圧接する方法により製造されている。このようにして製造された片艶クラフト紙は、ヤンキードライヤーに接する面に光沢が付与されるが、反艶面はヤンキーフェルトに接するので平滑度が低下する傾向があり、反艶面は印刷適性が良くない。よって、従来の製造方法で得られる片艶クラフト紙は、請求書用の封筒のように、内容物情報が透けて見えないようにするために反艶面にも印刷を行う場合には不向きであった。
(貴社から私宛に技術内容を教示して頂いている部分であるので、削除します。)
また、特許文献1に示されるように、弾性ロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーを用いて光沢化処理を行うことも可能であるが、カレンダー処理は反艶面をも光沢化するので、製袋用糊が用紙に含浸しがたく、製袋時の加工性等が損なわれる可能性がある。
そこで、例えば特許文献2に示されるように、反艶面のインキ受理性を損なう可能性のあるヤンキーフェルトを用いずに、タッチロールを用いてヤンキードライヤーに湿紙を圧接させて、緊度を上げることなく用紙表面に平坦化を施し、製造される片艶紙が知られている。
特開平5−279983号公報 特開2005−336630号公報
しかし、前記特許文献1では、インキ受理性を向上させるべくタッチロールの接圧を下げ過ぎると、ヤンキードライヤーと湿紙との接触面積が低下し、ヤンキードライヤー鏡面を写し取りにくくなって光沢度が却って低下する。また、光沢度を向上させるべくタッチロールの接圧を上げ過ぎると、光沢度は向上するがインキ受理性(浸透性、乾燥性)が損なわれやすくなり、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることが困難であった。
本発明はこのようなヤンキー紙の特性と問題点に鑑みて試されたものであって、その目的は、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明の片艶クラフト紙は、表面の光沢度(JIS P 8142に準拠)が30%以上であり、面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下とされている。パーカー・プリント・サーフ粗さは、ベック平滑度や正反射平滑度と異なり、塗工紙表面の微細な凹凸を評価できるため、高平滑な光沢調や凹凸が大きすぎるマット調と異なり、表面性を精査に評価できるため好適である。
これによって、JIS P 8142に準拠する光沢度が30%以上の高い光沢度を有しながらも、面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下と高い平滑性を維持するので、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることができる。
パーカー・プリント・サーフ粗さの測定は、ローレンツェンアンドベットレー社製のPPS TESUTER SE−115型を用い、クランプ圧力1MPaで測定した。
また、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中に、繊維長2.5mm以下の繊維が90重量%以上含まれているのが好ましい。
これによって、繊維長が2.5mm以下に揃ったパルプ繊維で紙が構成され、均質な紙層により紙厚のばらつきや表面凹凸が生じ難くなって、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。
さらに、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維中に、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれているのが好ましい。
針葉樹クラフトパルプの割合が20%未満では、製袋加工における紙質強度が不足し、断紙や紙折部からの破れ、手提げ紐類の取り付けにおける破断が生じ易くなる。針葉樹クラフトパルプの割合が45%を超えると、紙質強度は十分ながら、長繊維なために均質な地合を得がたく、厚薄ムラが生じ易くなるため、光沢や印刷適正が劣り、見栄えの悪い印刷となり、製袋加工品として見劣りするものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が45%を下回ると、用紙表面の緻密性が悪くなり、精細な印刷情報の再現性が劣り、光沢が低いものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が70%を超えると、製袋及び印刷加工適性が低下する。更に、平坦化処理においては、密度が上がり、製袋加工時の糊の浸透が抑えられ、貼合部の剥離など加工後に問題が生じる場合がある。機械パルプの割合が10%未満では、印刷不透明度が劣る問題が生じ、ベタ印刷が多い製袋加工品の場合、印刷インクの裏抜けなど見栄えが悪くなるとともに、印刷インクの染み込みムラによる印刷面のボケが生じ、光沢を下げる要因になる。機械パルプの割合が35%を超えると、もともと強度の低いパルプであり、印刷時の紙粉発生、しろ抜けの問題が多発する。
これによって、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが均質な紙層を形成し、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。
さらにまた、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維の濾水度(JIS P 8121に準拠)が400mlCSF以上であるのが好ましい。
これによって、JIS P 8121に準拠する濾水度が400mlCSF以上となるように叩解、分級、選別等することにより、繊維長の揃ったパルプ繊維で紙層を形成することができ、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。特に400mlCSF未満では、腰がない紙質になるため、製袋加工において加工適性が劣ったものになる。
本発明により、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供することができる。
本発明の片艶クラフト紙は、製袋や包装の用途、特に請求書用の封筒等に用いられる。片艶クラフト紙は、製袋適性のある米坪50〜240g/cm2に抄紙された紙層を有しており、この紙層は表側の艶面と裏側の反艶面とを有している。
前記片艶クラフト紙に用いられる原料パルプは、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとを混合してなり、古紙パルプがさらに混合されているのが経済性を考えると好ましい。古紙パルプは、一旦抄紙され、再び紙原料として再生されたパルプであり、再生時の熱や物理的再生手段で、内在する針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプ、機械パルプとも繊維が平坦で柔軟な性状を呈するようになっているため、パルプ自体の強度は低いものの、用紙表面の平坦性、光沢性向上に寄与する。
前記針葉樹クラフトパルプにはスプルース、ダグラスファー、ラジアータパインなどの針葉樹が、前記広葉樹クラフトパルプにはアカシアなどの広葉樹が用いられる。前記クラフトパルプはブリーチ(晒し)の有無に拘わらずいずれも用いることができる。前記機械パルプは、グランドウッドパルプ、リファイナーグランドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、加圧砕木パルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが用いられる。前記古紙パルプの原料には、例えば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等があげられ、これらの原料を2種以上用いてもよい。
前記古紙パルプは、さまざまな含有率またはサイズの化学パルプや機械パルプ等が含まれており、JIS P8120に規定されるロフトンメリット法やC法を用いてパルプの種類を分類することが可能である。そこで、前記片艶クラフト紙は、JIS P8220に準拠して製品用紙を離解し、この離解して得られたスラリー中に針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれるように原料パルプを調成するのが好ましく、より好ましくは25〜40:45〜60:15〜30の割合で調成するのが良い。
針葉樹クラフトパルプの割合が20%未満では、製袋加工における紙質強度が不足し、断紙や紙折部からの破れ、手提げ紐類の取り付けにおける破断が生じ易くなる。針葉樹クラフトパルプの割合が45%を超えると、紙質強度は十分ながら、長繊維なために均質な地合を得がたく、厚薄ムラが生じ易くなるため、光沢や印刷適正が劣り、見栄えの悪い印刷となり、製袋加工品として見劣りするものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が45%を下回ると、用紙表面の緻密性が悪くなり、精細な印刷情報の再現性が劣り、光沢が低いものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が70%を超えると、製袋及び印刷加工適性が低下する。更に、平坦化処理においては、密度が上がり、製袋加工時の糊の浸透が抑えられ、貼合部の剥離など加工後に問題が生じる場合がある。機械パルプの割合が10%未満では、印刷不透明度が劣る問題が生じ、ベタ印刷が多い製袋加工品の場合、印刷インクの裏抜けなど見栄えが悪くなるとともに、印刷インクの染み込みムラによる印刷面のボケが生じ、光沢を下げる要因になる。機械パルプの割合が35%を超えると、もともと強度の低いパルプであり、印刷時の紙粉発生、しろ抜けの問題が多発する。これによって、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが均質かつ厚みの揃った紙質を形成するので、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。
前記混合を行った原料パルプは、抄紙前に叩解されるのが好ましい。叩解は、古紙パルプに由来する2.5mmを超える長繊維を短繊維化するため、特に古紙パルプを原料パルプに配合したパルプスラリーについて行われるのが好ましい。前記叩解は、ホーレンダー、ビータ、リファイナなどを用いて、離解フリーネス400mlCSF以上、好ましくは500mlCSF以上となるまで行われる。離解フリーネスが400mlCSF未満では、製袋機における操作性が低下し、製袋適性が悪くなる問題が生じる。また、離解フリーネスが400mlCSF未満では、PPS粗さが低くなり、平均繊維長も低くなる問題が生じる。
前記叩解によって、繊維長2.5mm以下に揃ったパルプ繊維で紙層が構成されることになり、均一な紙層と表面とを得ることができるようになり、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。特に、JIS−P−8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中の繊維の重量平均繊維幅が、Kajaani社製のFiberLab試験機にて測定した結果において、1.70マイクロメートル以下、且つ繊維の重量平均断面積が140マイクロメートル以下が光沢性発現に特に好ましい。
叩解後の前記パルプスラリーは、抄紙機の抄紙工程において抄紙補助薬剤や内添填料等が配合される。前記抄紙補助薬剤は、紙力増強剤(歩留向上剤)等の高分子凝集剤が用いられ、高分子凝集剤を添加することで微細繊維が凝集した微細凝集粒子が形成されている。
前記微細凝集粒子は、抄紙循環経路で回収されて、抄紙前の白水に再投入され、原料パルプと共に抄紙される。前記微細凝集粒子を配合することで、微細凝集粒子がパルプ繊維間の空孔を埋めて、表面に凹凸がない紙質が抄造され、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。
本発明における好適なヤンキードライヤーの操業に置いては、片艶クラフト紙をヤンキードライヤーに接触させる方策としてタッチロールを使用する。片艶クラフト紙をヤンキードライヤーに接触させる方策としてフェルトを介すると、ヤンキードライヤーと湿紙の接圧が弱くなり、光沢面側の光沢度及び平坦性が得られない問題が生じる。非光沢面側は、介在するフェルトを外すことによって印刷品質を向上させることができる。
前記紙力増強剤または歩留向上剤等は、ポリアクリルアミド系凝集剤、ポリエチレンオキサイド系凝集剤若しくはポリエチレンイミン系凝集剤、またはこれらとベントナイトなどを複合してなる、凝集力の強い高分子凝集剤が好ましいが、酸性抄紙に用いられる硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤を用いることも可能である。
前記片艶クラフト紙は、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等の填料、濾水性向上剤、内添サイズ剤、紙力向上剤、染料、蛍光増白剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、消泡剤、pH調整剤等から選ばれる少なくとも1種の抄紙補助薬剤や内添填料を加えて抄紙しても良い。
前記片艶クラフト紙の抄紙は、長網ヤンキー抄紙機、円網ヤンキー抄紙機、短網ヤンキー抄紙機等のヤンキードライヤーを有する抄紙機であればいずれも使用できる。前記ヤンキードライヤーは、表面に研磨加工が施されている鏡面ドライヤーであって、湿紙をその表面に圧接することで乾燥が行われる。
前記ヤンキードライヤーは、ヤンキーフェルトを有するものではなく、湿紙供給箇所の近傍にタッチロールを備えているのが好ましい。これにより、ヤンキードライヤーに接する艶面に光沢を付与しつつ、タッチロールに接する反艶面の平滑性を損なわないように乾燥することができる。
上述の製造方法で得られる片艶クラフト紙は、原料パルプの構成とパルプ繊維の繊維長分布とを所定の範囲とすることで、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下、好ましくは2.8μm以下に調整可能となり、JIS P 8142に準拠する表面(艶面)の光沢度を従来の片艶紙より良好な30%以上、好ましくは35%以上とすることができ、光沢度とインキ受理性とを双方満足させることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。
〈原料〉
針葉樹クラフトパルプ(NBKP、フリーネス600mlCSF)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP、フリーネス400mlCSF)、機械パルプ(PGW、フリーネス120mlCSF)、古紙パルプを表1に示す配合比率で配合して100重量部の原料パルプを得た。次いで公知の一般的なリファイナーで叩解を行ってパルプスラリーを調成した。
〈薬品配合〉
前記パルプスラリーに、硫酸アルミニウム30kg/パルプトン、サイズ剤(ベローザE3600、近代化学工業(株)製)7kg/パルプトン、紙力増強剤(DS4360、星光PMC(株)製)15kg/パルプトンを配合した。紙力増強剤により微細凝集粒子が形成された白水から、フィルタリングにより回収された微細凝集粒子を、実施例1〜7について0.03kg/パルプトンで白水供給側に再投入した。
〈抄紙〉
前記薬品配合後のパルプスラリーを長網ヤンキー抄紙機(川之江造機社製)でJIS P8124に準拠する米坪で120g/m2に抄紙して、製品用紙を得た。前記抄紙機は、ヤンキードライヤー(3,600mm径、乾燥温度110℃)の湿紙供給側にタッチロール(540mm径)を設けた。前記タッチロールは湿紙に対して接圧90kg/cmで圧接させた。
〈評価〉
(1)離解フリーネス(mlCSF):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調成し、その後にJIS P 8121(1995年)に規定されるカナダ標準濾水度を測定する。
(2)繊維割合(%):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調成し、その後にスラリーに含まれるパルプ繊維に対してJAPAN TAPPI No.52(2000年)に規定される繊維長の重量分布を測定する。測定にはカヤニ社製繊維長分布測定器機FS−100を用い、繊維長2.5mm以下の繊維が全パルプ繊維に占める重量%を求めた。
(3)パルプ繊維の配合率(%):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調製し、JIS P8120に規定されるロフトンメリット法を用いて、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプに染色分類し、配合率を求めた。
(4)光沢度(%):製品用紙の艶面に対してJIS P 8142に準拠して光沢度を測定した。光沢度が30%以上の場合を○、30%未満の場合を×と評価して、表1に示す。
(5)パーカー・プリント・サーフ粗さ(μm):製品用紙の艶面及び反艶面に対してISO 8791に準拠して、パーカー・プリント・サーフ粗さ(以下、実施例及び表においてPPSと称する)を求めた。パーカー・プリント・サーフ粗さの測定は、ローレンツェンアンドベットレー社製のPPS TESUTER SE−115型を用い、ソフトラバー製バッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaで測定した。
PPSが2.8μm未満の場合を◎、2.8μm以上3.0μm未満の場合を○、3.0μm以上の場合を×と評価して、表1に示す。
(6)印刷適性:印刷適性は、JIS P 8129に定めるIGT印刷適性試験機に用いる標準タックグレードインキを使用し、KRK万能印刷適性機(熊谷理機工業(株)製)を用いて印刷し、インキ着肉性を4段階に評価した。◎:優れる、○:良好、△:可、×:不可
(7)製袋適性:製袋適性は、角底製袋機127T型(ニューロング工業(株)社製)を用いて製袋加工を行い、10,000袋実施した結果を底破れ、背割れについて4段階に評価した。◎:ロス率1%以下、○:ロス率2〜3%、△:ロス率3〜5%、×:ロス率5%以上(ロス率は、10,000袋中の底破れ、背割れの発生率)
NBKPを20重量部、LBKPを45重量部、MPを35重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成し、叩解を行った後、抄紙して製品用紙とした。
製品用紙について上記評価を行い、表1の結果を得た。
実施例1において叩解程度を変更して製品用紙を得た。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを20重量部、LBKPを70重量部、MPを10重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを25重量部、LBKPを45重量部、MPを30重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを25重量部、LBKPを60重量部、MPを15重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを40重量部、LBKPを45重量部、MPを15重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを45重量部、LBKPを45重量部、MPを10重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
「比較例1」
離解フリーネスが350mlCSFと小さい製品用紙である。
「比較例2」
NBKPの配合比率が10重量部と少ない製品用紙である。
「比較例3」
NBKPの配合比率が50重量部と多く、LBKPが40重量部と少ない製品用紙である。
「比較例4」
NBKPの配合比率が50重量部と多く、MPが5重量部と少ない製品用紙である。
「比較例5」
LBKPの配合比率が40重量部と少なく、MPが40重量部と多い製品用紙である。
「比較例6」
NBKPの配合比率が10重量部と少なく、LBKPが80重量部と多い製品用紙である。
「比較例7」
LBKPの配合比率が80重量部と多く、MPが含まれていない製品用紙である。
「比較例8」
NBKPの配合比率が55重量部と多く、LBKPが40重量部と少なく、MPが5重量部と少ない製品用紙である。
以下の表1に結果を示した。
Figure 2007204866
本発明は、片艶クラフト紙、特に両面に印刷が可能でありながら光沢度が良好な片艶クラフト紙に関するものである。
従来の片艶クラフト紙は、抄紙工程のドライパートにおいて、研磨加工が施されている鏡面ドライヤー(以下、ヤンキードライヤーと称する)にフェルトを介して湿紙を圧接する方法により製造されている。このようにして製造された片艶クラフト紙は、ヤンキードライヤーに接する面に光沢が付与されるが、反艶面はヤンキーフェルトに接するので平滑度が低下する傾向があり、反艶面は印刷適性が良くない。よって、従来の製造方法で得られる片艶クラフト紙は、請求書用の封筒のように、内容物情報が透けて見えないようにするために反艶面にも印刷を行う場合には不向きであった
た、特許文献1に示されるように、弾性ロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーを用いて光沢化処理を行うことも可能であるが、カレンダー処理は反艶面をも光沢化するので、製袋用糊が用紙に含浸しがたく、製袋時の加工性等が損なわれる可能性がある。
そこで、例えば特許文献2に示されるように、反艶面のインキ受理性を損なう可能性のあるヤンキーフェルトを用いずに、タッチロールを用いてヤンキードライヤーに湿紙を圧接させて、緊度を上げることなく用紙表面に平坦化を施し、製造される片艶紙が知られている。
特開平5−279983号公報 特開2005−336630号公報
しかし、前記特許文献1では、インキ受理性を向上させるべくタッチロールの接圧を下げ過ぎると、ヤンキードライヤーと湿紙との接触面積が低下し、ヤンキードライヤー鏡面を写し取りにくくなって光沢度が却って低下する。また、光沢度を向上させるべくタッチロールの接圧を上げ過ぎると、光沢度は向上するがインキ受理性(浸透性、乾燥性)が損なわれやすくなり、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることが困難であった。
本発明はこのようなヤンキー紙の特性と問題点に鑑みて試されたものであって、その目的は、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維の重量平均繊維幅が1.70μm以下に叩解されているパルプ繊維を米坪50〜240g/cm 2 に抄紙し、次いで抄紙された紙をヤンキードライヤに圧接させ乾燥させるヤンキー式抄紙機で形成されており、
前記ヤンキードライヤと接する艶のある表面の75度鏡面光沢度(JIS P 8142に準拠)が30%以上とされ、インキ受理性を評価する表面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下とされている
パーカー・プリント・サーフ粗さは、ベック平滑度や正反射平滑度と異なり、塗工紙表面の微細な凹凸を評価できるため、高平滑な光沢調や凹凸が大きすぎるマット調と異なり、表面性を精査に評価できるため好適である。
これによって、JIS P 8142に準拠する75度鏡面光沢度が30%以上の高い光沢度を有しながらも、インキ受理性を評価する表面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下と高い平滑性を維持するので、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることができる。
パーカー・プリント・サーフ粗さの測定は、ローレンツェンアンドベットレー社製のPPS TESUTER SE−115型を用い、クランプ圧力1MPaで測定した。
また、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中に、繊維長2.5mm以下の繊維が90重量%以上含まれているのが好ましい。
これによって、繊維長が2.5mm以下に揃ったパルプ繊維で紙が構成され、均質な紙層により紙厚のばらつきや表面凹凸が生じ難くなって、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。
さらに、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維中に、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれているのが好ましい。
針葉樹クラフトパルプの割合が20%未満では、製袋加工における紙質強度が不足し、断紙や紙折部からの破れ、手提げ紐類の取り付けにおける破断が生じ易くなる。針葉樹クラフトパルプの割合が45%を超えると、紙質強度は十分ながら、長繊維なために均質な地合を得がたく、厚薄ムラが生じ易くなるため、光沢や印刷適正が劣り、見栄えの悪い印刷となり、製袋加工品として見劣りするものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が45%を下回ると、用紙表面の緻密性が悪くなり、精細な印刷情報の再現性が劣り、光沢が低いものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が70%を超えると、製袋及び印刷加工適性が低下する。更に、平坦化処理においては、密度が上がり、製袋加工時の糊の浸透が抑えられ、貼合部の剥離など加工後に問題が生じる場合がある。機械パルプの割合が10%未満では、印刷不透明度が劣る問題が生じ、ベタ印刷が多い製袋加工品の場合、印刷インクの裏抜けなど見栄えが悪くなるとともに、印刷インクの染み込みムラによる印刷面のボケが生じ、光沢を下げる要因になる。機械パルプの割合が35%を超えると、もともと強度の低いパルプであり、印刷時の紙粉発生、しろ抜けの問題が多発する。
これによって、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが均質な紙層を形成し、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。
さらにまた、本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維の濾水度(JIS P 8121に準拠)が400mlCSF以上であるのが好ましい。
これによって、JIS P 8121に準拠する濾水度が400mlCSF以上となるように叩解、分級、選別等することにより、繊維長の揃ったパルプ繊維で紙層を形成することができ、パーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性をさらに向上させることができる。特に400mlCSF未満では、腰がない紙質になるため、製袋加工において加工適性が劣ったものになる。
本発明により、光沢度とインキ受理性とを双方良好にすることのできる片艶クラフト紙を低い製造コストで提供することができる。
本発明の片艶クラフト紙は、製袋や包装の用途、特に請求書用の封筒等に用いられる。片艶クラフト紙は、製袋適性のある米坪50〜240g/cm2に抄紙された紙層を有しており、この紙層は表側の艶面と裏側の反艶面とを有している。
前記片艶クラフト紙に用いられる原料パルプは、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとを混合してなり、古紙パルプがさらに混合されているのが経済性を考えると好ましい。古紙パルプは、一旦抄紙され、再び紙原料として再生されたパルプであり、再生時の熱や物理的再生手段で、内在する針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプ、機械パルプとも繊維が平坦で柔軟な性状を呈するようになっているため、パルプ自体の強度は低いものの、用紙表面の平坦性、光沢性向上に寄与する。
前記針葉樹クラフトパルプにはスプルース、ダグラスファー、ラジアータパインなどの針葉樹が、前記広葉樹クラフトパルプにはアカシアなどの広葉樹が用いられる。前記クラフトパルプはブリーチ(晒し)の有無に拘わらずいずれも用いることができる。前記機械パルプは、グランドウッドパルプ、リファイナーグランドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、加圧砕木パルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが用いられる。前記古紙パルプの原料には、例えば上白、罫白、カード、特白、中白、模造、ケント、白アート、新聞、雑誌等があげられ、これらの原料を2種以上用いてもよい。
前記古紙パルプは、さまざまな含有率またはサイズの化学パルプや機械パルプ等が含まれており、JIS P8120に規定されるロフトンメリット法やC法を用いてパルプの種類を分類することが可能である。そこで、前記片艶クラフト紙は、JIS P8220に準拠して製品用紙を離解し、この離解して得られたスラリー中に針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれるように原料パルプを調成するのが好ましく、より好ましくは25〜40:45〜60:15〜30の割合で調成するのが良い。
針葉樹クラフトパルプの割合が20%未満では、製袋加工における紙質強度が不足し、断紙や紙折部からの破れ、手提げ紐類の取り付けにおける破断が生じ易くなる。針葉樹クラフトパルプの割合が45%を超えると、紙質強度は十分ながら、長繊維なために均質な地合を得がたく、厚薄ムラが生じ易くなるため、光沢や印刷適正が劣り、見栄えの悪い印刷となり、製袋加工品として見劣りするものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が45%を下回ると、用紙表面の緻密性が悪くなり、精細な印刷情報の再現性が劣り、光沢が低いものになる。広葉樹クラフトパルプの割合が70%を超えると、製袋及び印刷加工適性が低下する。更に、平坦化処理においては、密度が上がり、製袋加工時の糊の浸透が抑えられ、貼合部の剥離など加工後に問題が生じる場合がある。機械パルプの割合が10%未満では、印刷不透明度が劣る問題が生じ、ベタ印刷が多い製袋加工品の場合、印刷インクの裏抜けなど見栄えが悪くなるとともに、印刷インクの染み込みムラによる印刷面のボケが生じ、光沢を下げる要因になる。機械パルプの割合が35%を超えると、もともと強度の低いパルプであり、印刷時の紙粉発生、しろ抜けの問題が多発する。これによって、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプが均質かつ厚みの揃った紙質を形成するので、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。
前記混合を行った原料パルプは、抄紙前に叩解されるのが好ましい。叩解は、古紙パルプに由来する2.5mmを超える長繊維を短繊維化するため、特に古紙パルプを原料パルプに配合したパルプスラリーについて行われるのが好ましい。前記叩解は、ホーレンダー、ビータ、リファイナなどを用いて、離解フリーネス400mlCSF以上、好ましくは500mlCSF以上となるまで行われる。離解フリーネスが400mlCSF未満では、製袋機における操作性が低下し、製袋適性が悪くなる問題が生じる。また、離解フリーネスが400mlCSF未満では、PPS粗さが低くなり、平均繊維長も低くなる問題が生じる。
前記叩解によって、繊維長2.5mm以下に揃ったパルプ繊維で紙層が構成されることになり、均一な紙層と表面とを得ることができるようになり、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。特に、JIS−P−8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中の繊維の重量平均繊維幅が、Kajaani社製のFiberLab試験機にて測定した結果において、1.70マイクロメートル以下、且つ繊維の重量平均断面積が140マイクロメートル以下が光沢性発現に特に好ましい。
叩解後の前記パルプスラリーは、抄紙機の抄紙工程において抄紙補助薬剤や内添填料等が配合される。前記抄紙補助薬剤は、紙力増強剤(歩留向上剤)等の高分子凝集剤が用いられ、高分子凝集剤を添加することで微細繊維が凝集した微細凝集粒子が形成されている。
前記微細凝集粒子は、抄紙循環経路で回収されて、抄紙前の白水に再投入され、原料パルプと共に抄紙される。前記微細凝集粒子を配合することで、微細凝集粒子がパルプ繊維間の空孔を埋めて、表面に凹凸がない紙質が抄造され、紙層片艶面のパーカー・プリント・サーフ粗さを3.0μm以下に調整可能となって、インキ受理性が向上したことによって光沢性を向上させることができる。
本発明における好適なヤンキードライヤーの操業に置いては、片艶クラフト紙をヤンキードライヤーに接触させる方策としてタッチロールを使用する。片艶クラフト紙をヤンキードライヤーに接触させる方策としてフェルトを介すると、ヤンキードライヤーと湿紙の接圧が弱くなり、光沢面側の光沢度及び平坦性が得られない問題が生じる。非光沢面側は、介在するフェルトを外すことによって印刷品質を向上させることができる。
前記紙力増強剤または歩留向上剤等は、ポリアクリルアミド系凝集剤、ポリエチレンオキサイド系凝集剤若しくはポリエチレンイミン系凝集剤、またはこれらとベントナイトなどを複合してなる、凝集力の強い高分子凝集剤が好ましいが、酸性抄紙に用いられる硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤を用いることも可能である。
前記片艶クラフト紙は、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等の填料、濾水性向上剤、内添サイズ剤、紙力向上剤、染料、蛍光増白剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、消泡剤、pH調整剤等から選ばれる少なくとも1種の抄紙補助薬剤や内添填料を加えて抄紙しても良い。
前記片艶クラフト紙の抄紙は、長網ヤンキー抄紙機、円網ヤンキー抄紙機、短網ヤンキー抄紙機等のヤンキードライヤーを有する抄紙機であればいずれも使用できる。前記ヤンキードライヤーは、表面に研磨加工が施されている鏡面ドライヤーであって、湿紙をその表面に圧接することで乾燥が行われる。
前記ヤンキードライヤーは、ヤンキーフェルトを有するものではなく、湿紙供給箇所の近傍にタッチロールを備えているのが好ましい。これにより、ヤンキードライヤーに接する艶面に光沢を付与しつつ、タッチロールに接する反艶面の平滑性を損なわないように乾燥することができる。
上述の製造方法で得られる片艶クラフト紙は、原料パルプの構成とパルプ繊維の繊維長分布とを所定の範囲とすることで、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下、好ましくは2.8μm以下に調整可能となり、JIS P 8142に準拠する表面(艶面)の光沢度を従来の片艶紙より良好な30%以上、好ましくは35%以上とすることができ、光沢度とインキ受理性とを双方満足させることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。
〈原料〉
針葉樹クラフトパルプ(NBKP、フリーネス600mlCSF)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP、フリーネス400mlCSF)、機械パルプ(PGW、フリーネス120mlCSF)、古紙パルプを表1に示す配合比率で配合して100重量部の原料パルプを得た。次いで公知の一般的なリファイナーで叩解を行ってパルプスラリーを調成した。
〈薬品配合〉
前記パルプスラリーに、硫酸アルミニウム30kg/パルプトン、サイズ剤(ベローザE3600、近代化学工業(株)製)7kg/パルプトン、紙力増強剤(DS4360、星光PMC(株)製)15kg/パルプトンを配合した。紙力増強剤により微細凝集粒子が形成された白水から、フィルタリングにより回収された微細凝集粒子を、実施例1〜7について0.03kg/パルプトンで白水供給側に再投入した。
〈抄紙〉
前記薬品配合後のパルプスラリーを長網ヤンキー抄紙機(川之江造機社製)でJIS P8124に準拠する米坪で120g/m2に抄紙して、製品用紙を得た。前記抄紙機は、ヤンキードライヤー(3,600mm径、乾燥温度110℃)の湿紙供給側にタッチロール(540mm径)を設けた。前記タッチロールは湿紙に対して接圧90kg/cmで圧接させた。
〈評価〉
(1)離解フリーネス(mlCSF):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調成し、その後にJIS P 8121(1995年)に規定されるカナダ標準濾水度を測定する。
(2)繊維割合(%):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調成し、その後にスラリーに含まれるパルプ繊維に対してJAPAN TAPPI No.52(2000年)に規定される繊維長の重量分布を測定する。測定にはカヤニ社製繊維長分布測定器機FS−100を用い、繊維長2.5mm以下の繊維が全パルプ繊維に占める重量%を求めた。
(3)パルプ繊維の配合率(%):製品用紙をJIS P 8220に準拠してスラリー状態に調製し、JIS P8120に規定されるロフトンメリット法を用いて、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ及び機械パルプに染色分類し、配合率を求めた。
(4)光沢度(%):製品用紙の艶面に対してJIS P 8142に準拠して光沢度を測定した。光沢度が30%以上の場合を○、30%未満の場合を×と評価して、表1に示す。
(5)パーカー・プリント・サーフ粗さ(μm):製品用紙の艶面及び反艶面に対してISO 8791に準拠して、パーカー・プリント・サーフ粗さ(以下、実施例及び表においてPPSと称する)を求めた。パーカー・プリント・サーフ粗さの測定は、ローレンツェンアンドベットレー社製のPPS TESUTER SE−115型を用い、ソフトラバー製バッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaで測定した。
PPSが2.8μm未満の場合を◎、2.8μm以上3.0μm未満の場合を○、3.0μm以上の場合を×と評価して、表1に示す。
(6)印刷適性:印刷適性は、JIS P 8129に定めるIGT印刷適性試験機に用いる標準タックグレードインキを使用し、KRK万能印刷適性機(熊谷理機工業(株)製)を用いて印刷し、インキ着肉性を4段階に評価した。◎:優れる、○:良好、△:可、×:不可
(7)製袋適性:製袋適性は、角底製袋機127T型(ニューロング工業(株)社製)を用いて製袋加工を行い、10,000袋実施した結果を底破れ、背割れについて4段階に評価した。◎:ロス率1%以下、○:ロス率2〜3%、△:ロス率3〜5%、×:ロス率5%以上(ロス率は、10,000袋中の底破れ、背割れの発生率)
NBKPを20重量部、LBKPを45重量部、MPを35重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成し、叩解を行った後、抄紙して製品用紙とした。
製品用紙について上記評価を行い、表1の結果を得た。
実施例1において叩解程度を変更して製品用紙を得た。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを20重量部、LBKPを70重量部、MPを10重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを25重量部、LBKPを45重量部、MPを30重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを25重量部、LBKPを60重量部、MPを15重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを40重量部、LBKPを45重量部、MPを15重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
実施例2においてNBKPを45重量部、LBKPを45重量部、MPを10重量部を混合して100重量部のパルプスラリーを調成した。これ以外は実施例と同様の加工条件である。表1に評価結果を示す。
「比較例1」
離解フリーネスが350mlCSFと小さい製品用紙である。
「比較例2」
NBKPの配合比率が10重量部と少ない製品用紙である。
「比較例3」
NBKPの配合比率が50重量部と多く、LBKPが40重量部と少ない製品用紙である。
「比較例4」
NBKPの配合比率が50重量部と多く、MPが5重量部と少ない製品用紙である。
「比較例5」
LBKPの配合比率が40重量部と少なく、MPが40重量部と多い製品用紙である。
「比較例6」
NBKPの配合比率が10重量部と少なく、LBKPが80重量部と多い製品用紙である。
「比較例7」
LBKPの配合比率が80重量部と多く、MPが含まれていない製品用紙である。
「比較例8」
NBKPの配合比率が55重量部と多く、LBKPが40重量部と少なく、MPが5重量部と少ない製品用紙である。
以下の表1に結果を示した。
Figure 2007204866

Claims (4)

  1. 表面の光沢度(JIS P 8142に準拠)が30%以上であり、表裏面のパーカー・プリント・サーフ粗さが3.0μm以下であることを特徴とする片艶クラフト紙。
  2. JIS P 8220に準拠して離解した片艶クラフト紙のパルプ繊維中に、繊維長2.5mm以下の繊維が90重量%以上含まれていることを特徴とする請求項1に記載の片艶クラフト紙。
  3. JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維中に、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプと機械パルプとが重量比で20〜45:45〜70:10〜35の割合で含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の片艶クラフト紙。
  4. JIS P 8220に準拠して離解したパルプ繊維の濾水度(JIS P 8121に準拠)が400mlCSF以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の片艶クラフト紙。
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