JP7234866B2 - クラフト紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はクラフト紙及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、繊維の壁が厚く内部の空隙が小さいパルプを使用したクラフト紙及びその製造方法に関する。
クラフトパルプを原料として得られるクラフト紙は、製袋や包装紙等の様々な用途に用いられている。クラフト紙には、輸送、保管等の衝撃に耐えうる高い強度が要求される。
一般に、広葉樹材は繊維が細くて短いのに対し、針葉樹材は繊維が太くて長いため、針葉樹材から作製したパルプは単繊維として非常に高い強度を持つ。そのため、クラフト紙の原料としては、針葉樹クラフトパルプを用いることが好ましいとされている(特許文献1)。
針葉樹の種類としては、ダグラスファー、カラマツ、スプール、ラジアータパイン等が知られている。この内、ダグラスファーは、安価で供給量も豊富なため、クラフトパルプの原料とすることが期待される。
特許第6222946号公報
ところが、ダグラスファーは針葉樹であるにもかかわらず、ダグラスファーを使用した場合、叩解をかなり進めないと、充分な紙力のクラフト紙を得ることが困難であった。本発明者は、その原因を検討し、ダグラスファーは繊維の壁が厚く内部の空隙が小さいパルプであるため、繊維間結合を形成しにくいためであることを見いだした。
本発明は、上記事情に鑑みて、繊維の壁が厚く内部の空隙が小さいパルプを使用しながら、充分な紙力を有するクラフト紙及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]クラフトパルプを主成分とするクラフト紙であって、
該クラフト紙をJIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプは、全体の長さ平均繊維長が1.0~2.0mmであり、
繊維長2.0mm以上の繊維である画分(A)および繊維長1.0mm以下の繊維である画分(B)のそれぞれを含み、前記画分(A)のルンケル比が2.0以上であり、
前記離解パルプに占める、前記画分(A)と、前記画分(B)の合計含有量が50数量%以上であることを特徴とする、クラフト紙。
[2]前記離解パルプは、全体のルンケル比が1.9以下である、[1]に記載のクラフト紙。
[3]前記画分(A)の含有量と前記画分(B)の含有量の数量比が、90:10~10:90である、[1]又は[2]に記載のクラフト紙。
[4]前記画分(A)の平均繊維幅が25μm以上である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のクラフト紙。
[5]前記画分(B)の平均繊維幅が15μm以下である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のクラフト紙。
[6]繊維間結合面積が50cm/g以上である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のクラフト紙。
[7]長さ平均繊維長が2.0mm以上でルンケル比が2.0以上のクラフトパルプ(I)と長さ平均繊維長が1.0mm以下でルンケル比が1.0以下のクラフトパルプ(II)とを含む混合パルプを抄紙するクラフト紙の製造方法であって、
前記混合パルプにおける、前記クラフトパルプ(I)と、前記クラフトパルプ(II)の合計配合量が固形分換算で50~100質量%であることを特徴とする、クラフト紙の製造方法。
[8]前記混合パルプにおける前記クラフトパルプ(I)の配合量と前記クラフトパルプ(II)の配合量の質量比が、固形分換算で90:10~10:90である、[7]に記載のクラフト紙の製造方法。
[9]前記クラフトパルプ(I)の平均繊維幅が25μm以上である、[7]又は[8]に記載のクラフト紙の製造方法。
[10]前記クラフトパルプ(I)のJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が400~750mLである、[7]~[9]のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
[11]前記クラフトパルプ(I)の原料がダグラスファーである、[7]~[10]のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
[12]前記クラフトパルプ(II)の平均繊維幅が15μm以下である、[7]~[11]のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
[13]前記クラフトパルプ(II)のJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が300~550mLである、[7]~[12]のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
[14]前記クラフトパルプ(II)の原料が広葉樹である、[7]~[13]のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
本発明のクラフト紙及びその製造方法によれば、繊維の壁が厚く内部の空隙が小さいパルプを使用しながら、高い紙力が得られる。
実施例と比較例のフリーネスに対する比引張強度を示す図である。 実施例と比較例のフリーネスに対する結合面積を示す図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[クラフト紙]
本発明のクラフト紙は、クラフトパルプを主成分とする。クラフトパルプとは、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性薬剤を用いて木材から得られたパルプである。
クラフトパルプを主成分とするとは、クラフト紙全体の質量(固形分)に占めるクラフトパルプの質量(固形分)の割合が50質量%以上であることを意味する。クラフト紙全体の質量(固形分)に占めるクラフトパルプの質量(固形分)の割合は、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
本発明のクラフト紙は、JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプ(以下、単に「離解パルプ」という。)は、全体の長さ平均繊維長が1.0~2.0mmである。なお、離解パルプの長さ平均繊維長は、繊維分析器(メッツォオートメーション社製、カヤーニファイバーラボver4.0)を用いて測定した値である。
離解パルプの全体の長さ平均繊維長は、1.1~1.6mmであることが好ましい。
離解パルプに含まれる繊維は、繊維長に分布があり、少なくとも、繊維長2.0mm以上の繊維と繊維長1.0mm以下の繊維が含まれる。
離解パルプ中の繊維長2.0mm以上の繊維である画分(A)は、ルンケル比が2.0以上である。離解パルプ全体のルンケル比は1.9以下であることが好ましい。繊維長1.0mm以下の繊維である画分(B)は、ルンケル比が1.0以下であることが好ましい。
ルンケル比は、平均繊維壁厚(繊維の細胞壁の厚さの平均)の2倍を、細胞膣の平均直径で割った値である。細胞膣の平均直径は、平均繊維幅から平均繊維壁厚の2倍を引くことにより求められる。すなわち、ルンケル比は、平均繊維壁厚と平均繊維幅から求められる値である。
画分(A)は、ルンケル比が2.0以上と大きい。これは、画分(A)が、内部の空隙に対して繊維の壁が厚いため、高い強度を持つ一方、変形しにくく繊維間結合を形成しにくいパルプであることを意味する。
ルンケル比が2.0以上と大きい繊維は針葉樹に由来する。針葉樹に由来する繊維には、後述の比較例1に示す様に、繊維長2.0mm以上の繊維である画分(A)だけでなく、繊維長1.0mm未満の画分(B)の繊維も含まれる。
しかし、針葉樹に由来する繊維は、後述の比較例1に示す様に、その平均繊維長は2.0を超える。したがって、離解パルプ全体の長さ平均繊維長が1.0~2.0mmであるということは、針葉樹に由来する繊維だけでなく、広葉樹に由来する繊維も含むことを意味する。
この広葉樹に由来する繊維は、後述の比較例2に示す様にルンケル比が小さい。ルンケル比が小さい繊維は、内部の空隙に対して繊維の壁が薄いため、強度は低いものの、柔軟に変形して繊維間結合を形成しやすい。
また、広葉樹に由来する繊維は、後述の比較例2に示す様に、画分(B)の繊維が殆どであり、画分(A)の繊維を含まない。
すなわち、広葉樹に由来する繊維は、画分(A)と比較して、柔軟で短いという特徴を有する。
このように、針葉樹に由来する画分(A)と、画分(A)よりも繊維長が短くルンケル比が小さい繊維の双方が含まれると、高い強度を持ち、かつ繊維長の長い画分(A)の繊維の間を、柔軟で、かつ画分(A)より繊維長の短い繊維が橋渡しするようになるので、全体の繊維間結合の面積を充分なものとすることができる。
離解パルプは、ルンケル比が2.0以上の画分(A)を含むと共に、全体のルンケル比が1.9以下であることが好ましい。この場合は、離解パルプ中の繊維長2.0mm未満の繊維のルンケル比が1.9未満であることになる。
すなわち、画分(A)よりも短い繊維は、画分(A)よりも柔軟であることを意味する。
繊維長2.0mm未満の繊維の中でも、特に、画分(B)のルンケル比が小さいことが好ましい。
離解パルプに、画分(A)の繊維と画分(B)の繊維の双方が含まれると、高い強度を持ち、かつ繊維長の長い画分(A)の繊維の間を、柔軟で、かつ繊維長の短い画分(B)の繊維が橋渡しするようになるので、全体の繊維間結合の面積を、より充分なものとすることができる。
画分(A)のルンケル比は2.0以上であり、2.5~4.0であることが好ましく、2.8~3.5であることがより好ましい。画分(B)のルンケル比は1.0以下であることが好ましく、0.5~0.9であることがより好ましく、0.6~0.8であることがさらに好ましい。
離解パルプ全体のルンケル比は1.9以下であることが好ましく、0.5~1.7であることがより好ましく、0.6から1.5であることがさらに好ましく、0.7~1.3であることがとりわけ好ましく、0.7~1.1であることが特に好ましい。
また、離解パルプに占める、画分(A)と、画分(B)の合計含有量は50~100数量%であり、70~100数量%であることが好ましく、90~100数量%であることがより好ましい。
画分(A)と、画分(B)の合計含有量が高いほど、本発明の効果を発揮しやすい。
前記画分(A)の含有量と前記画分(B)の含有量の数量比(画分(A):画分(B))は、固形分換算で90:10~5:95であることが好ましく、60:40~10:90であることがより好ましく、30:70~10:90であることがさらに好ましい。
数量比が好ましい範囲であることにより、充分な紙力を得やすくなる。
ルンケル比を求めるために必要な平均繊維壁厚と平均繊維幅は、前述の繊維分析器により測定することができる。前述の繊維分析器は全体の平均繊維壁厚と平均繊維幅を測定できるだけなく、各画分を物理的に分離することなく、各画分の平均繊維壁厚と平均繊維幅を測定することができる。
また、全体に占める各画分の数量割合を求めることができる。
前記画分(A)の平均繊維幅は25μm以上であることが好ましく、25~35μmであることがより好ましい。
画分(A)の平均繊維幅が大きいほど、画分(A)の繊維強度が高くなる。
前記画分(B)の平均繊維幅は15μm以下であることが好ましく、5~15μmであることがより好ましい。
画分(B)の平均繊維幅が小さいほど、画分(B)の柔軟性が出やすくなり、繊維間結合を形成しやすくなる。
繊維間結合面積は50cm/g以上であることが好ましく、60~100m/gであることがより好ましく、60~80m/gであることがさらに好ましい。繊維間結合面積が大きい程、充分な紙力を得やすくなる。
繊維間結合面積(試料の結合面積)は、相対結合面積(試料の結合面積/離解パルプの未結合面積)と離解パルプの未結合面積の値から求められる。
離解パルプの未結合面積は、横軸が比引張強度の乗数、縦軸が比散乱係数のグラフにおける縦軸の切片をとることにより求められる。繊維配向性がある場合の比引張強度は、MD方向とCD方向の引張り強度を相加相乗平均として算出する。
相対結合面積RBAは未結合面積と相関する比散乱係数を用いて求めることができる。
すなわち、相対結合面積RBA(試料の結合面積/離解パルプの未結合面積)は、以下の式(1)で求められる。
RBA=(S-S)/S ・・・(1)
ここで、Sは離解パルプの比散乱係数であり、Sは試料の比散乱係数である。
比散乱係数は、周知のように、クベルカ-ムンク式(下式(2))を変形した下式(3)用いて、不透明度から求められる。
式(2)、(3)において、Rは、同種の紙を十分厚く重ねて裏当てして測定したときの固有反射率係数(0~1)、Rは測定対象の紙に裏当てするための材料について裏当てだけで測定した反射率係数(0~1、通常はゼロ)、Sは、比散乱係数(m/kg)、W:は坪量(g/m)、b=0.5(1/R-R)である。
また、Rは、不透明度(%)×Rである。
Figure 0007234866000001
Figure 0007234866000002
[クラフト紙の製造方法]
本発明のクラフト紙は、長さ平均繊維長が2.0mm以上でルンケル比が2.0以上のクラフトパルプ(I)と長さ平均繊維長が1.0mm以下でルンケル比が1.0以下のクラフトパルプ(II)とを含む混合パルプを抄紙することにより得られる。
本発明のクラフト紙の離解パルプにおける画分(A)は、ほぼ全量がクラフトパルプ(I)の一部に由来する。本発明のクラフト紙の離解パルプにおける画分(B)はクラフトパルプ(I)の一部とクラフトパルプ(II)のほぼ全量に由来する。
クラフトパルプ(I)の長さ平均繊維長は、2.0mm以上であり、2~7mmであることが好ましく、2~5mmであることがより好ましい。
クラフトパルプ(I)のルンケル比は2.0以上であり、2.5~4であることが好ましく、2.8~3.5であることがより好ましい。
クラフトパルプ(I)の長さ平均繊維長が2.0mm以上であり、ルンケル比が2.0以上であることにより、得られるクラフト紙が離解パルプ中に画分(A)を含むものとなる。
クラフトパルプ(I)の平均繊維幅は25μm以上であることが好ましく、25~35mmであることがより好ましい。
クラフトパルプ(I)のJIS P 8121:2012に準拠して測定されるフリーネスは400~750mLであることが好ましく、500~750mLであることがより好ましく、550~750mLであることがさらに好ましい。
クラフトパルプ(I)の長さ平均繊維長、ルンケル比、平均繊維幅、及びフリーネスが好ましい範囲であれば、得られるクラフト紙の紙力を充分なものとしやすい。
クラフトパルプ(II)の長さ平均繊維長は、1.0mm以下であり、0.5~0.9mmであることが好ましく、0.6~0.8mmであることがより好ましい。
クラフトパルプ(II)のルンケル比は1.0以下であり、0.5~0.9であることが好ましく、0.6~0.8であることがより好ましい。
クラフトパルプ(II)の長さ平均繊維長が1.0mm以下であり、ルンケル比が1.0mm以下であることにより、得られるクラフト紙が離解パルプ中に画分(B)を含むものとなる。
クラフトパルプ(II)の平均繊維幅は15μm以下であることが好ましく、5~15mmであることがより好ましい。
クラフトパルプ(II)のJIS P 8121:2012に準拠して測定されるフリーネスは300~550mLであることが好ましく、300~450mLであることがより好ましく、300~400mLであることがさらに好ましい。
クラフトパルプ(II)の長さ平均繊維長、ルンケル比、平均繊維幅、及びフリーネスが好ましい範囲であれば、得られるクラフト紙の紙力を充分なものとしやすい。
クラフトパルプの平均繊維長、平均繊維幅、ルンケル比の求め方は、測定対象が離解パルプではなく、混合前のクラフトパルプ(I)又はクラフトパルプ(II)である点を除き、本発明のクラフトパルプの説明において記載したのと同様である。
クラフトパルプ(I)の原料としては、ダグラスファー、ラジアータパイン、カリブアンパインなどが挙げられる。中でもダグラスファーがルンケル比が高い点で好ましい。
クラフトパルプ(I)としては、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ等を挙げることができる。中でもNBKPが繊維結合を形成しやすいので好ましい。
クラフトパルプ(II)の原料としては、広葉樹が好ましい。具体的な広葉樹としては、ユーカリカマルド、アカシアハイブリッド、ユーカリグロブラスなどが挙げられる。中でもユーカリカマルドがルンケル比が低い点で好ましい。
クラフトパルプ(II)としては、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等を挙げることができる。中でもLBKPが繊維結合を形成しやすいので好ましい。
混合パルプにおける、クラフトパルプ(I)と、クラフトパルプ(II)の合計配合量は、固形分換算で50~100質量%である。クラフトパルプ(I)と、クラフトパルプ(II)の合計配合量は、70~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましい。
合計含有量が50質量%以上となるように配合すれば、得られるクラフト紙の紙力を充分なものとしやすい。
混合パルプは、本発明の効果を損なわない範囲で、クラフトパルプ(I)と、クラフトパルプ(II)以外のパルプを含んでいてもよい。
クラフトパルプ(I)と、クラフトパルプ(II)以外のパルプとしては、クラフトパルプ(I)以外の針葉樹クラフトパルプ、例えば、からまつ、スプール、ラジアータパインを原料とする針葉樹クラフトパルプが挙げられる。
また、機械パルプや古紙パルプ等を含んでいてもよい。
混合パルプにおけるクラフトパルプ(I)の配合量とクラフトパルプ(II)の配合量の質量比(クラフトパルプ(I):クラフトパルプ(II))は、固形分換算で90:10~10:90であることが好ましく、80:20~30:70であることがより好ましく、70:30~40:60であることがさらに好ましい。
配合量の比が好ましい範囲であることにより、充分な紙力を得やすくなる。
クラフトパルプ(I)とクラフトパルプ(II)は、混合前に叩解されることが好ましい。叩解は、クラフトパルプ(I)とクラフトパルプ(II)が各々上記好ましい範囲フリーネスとなるまで行われることが好ましい。これにより、クラフト紙の強度をより効果的に高めることができる。
叩解をしなくとも、フリーネスが好ましい範囲であれば、叩解はしなくともよい。
本発明の製造方法では、上述した混合パルプに内添薬品を加えてもよい。内添薬品としては、例えば、硫酸バンド等の薬品定着剤、ロジン等のサイズ剤、ポリアクリルアマイド、澱粉等の紙力増強剤、ポリアマイド等の濾水度歩留り向上剤、ポリアミド、ポリアミン、エピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の填料、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料等の公知の種々のものを挙げることができる。
また、混合パルプには、カチオン化澱粉を加えることが好ましい。カチオン化澱粉の含有率は、混合パルプの固形分換算の全質量に対して、0.2質量%以下であること好ましく、0.01~0.05質量%であることがより好ましい。カチオン化澱粉を加えることにより、クラフト紙の強度が増強され、かつ破断伸びのよいクラフト紙を得ることができる。
抄紙には、ギャップフォーマー式抄紙機を用いることが好ましい。ギャップフォーマー式抄紙機は、原料を2枚のワイヤーに挟みながら走行させることにより、上下両方に脱水する型式である。このため、原料はその両側でほぼ均等に脱水することができ、かつ脱水速度を高めることができる。すなわち、ツインワイヤー式抄紙機では高速抄紙が可能となり、かつ得られたクラフト紙の裏表間の風合いの差が小さくなるという利点がある。さらに、このような抄紙機を用いて、クラフト紙を抄紙することにより、CD方向の引張強度を高めることができる。
ギャップフォーマー式抄紙機で、抄紙する際の抄紙幅は、2500mm以上であることが好ましく、3500mm以上であることがより好ましく、4500mm以上であることが更に好ましい。また、抄紙速度は、800m/min以上であることが好ましく、900m/min以上であることがより好ましく、1000m/min以上であることがさらに好ましい。このように、ギャップフォーマー式抄紙機では、抄紙幅を広くとることができ、より高速抄紙が可能となり、クラフト紙の生産効率をより高めることができる。
表面強度を向上させたり、接着剤との接着性を高めるため、クラフト紙の表面に平滑化処理を施しても良い。この平滑化処理は、例えば加圧可能なリール間でクラフト紙を加圧処理することにより実施することが好ましい。また、平滑化処理を施す際に、クラフト紙の表面に接するロールは平滑な表面を有し、加熱可能な金属製ロールがあることが好ましい。
なお、平滑化処理は、上記の平滑化処理の他、クラフト紙を抄紙する過程で、例えば一対の金属ロールを一組又は複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(マシンカレンダーによるカレンダー処理)、金属製ロールと樹脂製ロールとを一組又は複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(ソフトカレンダーによるカレンダー処理)、ヤンキードライヤーによる乾燥処理等により実施することもできる。このような製造方法とすることにより、クラフト紙の表面の平滑性が向上し、より高精度な印刷が可能となる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、%は特に断りのない限り質量%である。
[測定方法]
(長さ平均繊維長、平均繊維幅、平均繊維壁厚、画分の含有量)
クラフト紙については、JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプを対象として、混合パルプについては、混合前のパルプを対象として、繊維分析器(メッツォオートメーション社製、カヤーニファイバーラボver4.0)を用いて測定した。
(ルンケル比)
上記平均繊維幅と平均繊維壁厚から計算により求めた。
(坪量、密度)
JIS P 8124に規定される方法に準拠し紙の坪量を測定し、続いて同じ紙をJIS P 8118に規定される方法で、紙の厚さを測定した。坪量を紙厚で除した値を、密度として表示した。
(固有反射率係数R
充分にサンプルを重ねて測った反射率係数を分光白色度計により求めた。
(反射率係数R
裏当てだけの反射率係数を分光白色度計により求めた。
(不透明度)
分光白色度計により求めた。
(比散乱係数)
上記固有反射率係数R、反射率係数R、不透明度、及び坪量から計算により求めた。
(比引張り強度)
JIS P 8113に規定される方法により、横型引張試験機(L&W社製、CODE SE-064)を用いて測定した。
(相対結合面積RBA)
JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプの比散乱係数とクラフト紙の比散乱係数から計算により求めた。
(離解パルプの未結合面積S
横軸が比引張強度の乗数、縦軸が比散乱係数のグラフにおける縦軸の切片をとることにより求めた。
(繊維間結合面積)
下記式(前記式(1))におけるRBAとSの値から(S-S)を求め、繊維間結合面積とした。
RBA=(S-S)/S
(フリーネス)
JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプのJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度をフリーネスとして求めた。
[原料パルプ]
クラフトパルプ(I):ダグラスファーを原料とする針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)。長さ平均繊維長2.92mm、平均繊維幅27.31μm、平均繊維壁厚9.31μm、ルンケル比2.15。
クラフトパルプ(II)
:ユーカリカマルドを原料とする広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)。長さ平均繊維長0.69mm、平均繊維幅14.94μm、平均繊維壁厚2.76μm、ルンケル比0.59。
その他のパルプ(III):国内針葉樹やスギを原料とする針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)。長さ平均繊維長2.34mm、平均繊維幅23.27μm、平均繊維壁厚6.84μm、ルンケル比1.43。
[クラフト紙の製造]
表1、表2の配合で、叩解の程度を種々変更した混合パルプで、クラフト紙を製造した。内添薬品は使用しなかった。抄紙には、ギャップフォーマー式抄紙機を用いた。
[評価]
各実施例と比較例について評価した結果を表1、2及び図1、2に示す。図1に示すように、同じフリーネスであれば実施例の方が比較例よりも高い引張り強度が得られた。また、図2に示すように、同じフリーネスであれば実施例の方が比較例よりも結合面積が大きい傾向が見られた。
Figure 0007234866000003
Figure 0007234866000004

Claims (14)

  1. クラフトパルプを主成分とするクラフト紙であって、
    該クラフト紙をJIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプは、全体の長さ平均繊維長が1.0~2.0mmであり、
    繊維長2.0mm以上の繊維である画分(A)および繊維長1.0mm以下の繊維である画分(B)のそれぞれを含み、前記画分(A)のルンケル比が2.0以上であり、
    前記離解パルプに占める、前記画分(A)と、前記画分(B)の合計含有量が50数量%以上であることを特徴とする、クラフト紙。
  2. 前記離解パルプは、全体のルンケル比が1.9以下である、請求項1に記載のクラフト紙。
  3. 前記画分(A)の含有量と前記画分(B)の含有量の数量比が、90:10~10:90である、請求項1又は2に記載のクラフト紙。
  4. 前記画分(A)の平均繊維幅が25μm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のクラフト紙。
  5. 前記画分(B)の平均繊維幅が15μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のクラフト紙。
  6. 繊維間結合面積が50cm/g以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のクラフト紙。
  7. 長さ平均繊維長が2.0mm以上でルンケル比が2.0以上のクラフトパルプ(I)と長さ平均繊維長が1.0mm以下でルンケル比が1.0以下のクラフトパルプ(II)とを含む混合パルプを抄紙するクラフト紙の製造方法であって、
    前記混合パルプにおける、前記クラフトパルプ(I)と、前記クラフトパルプ(II)の合計配合量が固形分換算で50~100質量%であることを特徴とする、クラフト紙の製造方法。
  8. 前記混合パルプにおける前記クラフトパルプ(I)の配合量と前記クラフトパルプ(II)の配合量の質量比が、固形分換算で90:10~10:90である、請求項7に記載のクラフト紙の製造方法。
  9. 前記クラフトパルプ(I)の平均繊維幅が25μm以上である、請求項7又は8に記載のクラフト紙の製造方法。
  10. 前記クラフトパルプ(I)のJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が400~750mLである、請求項7~9のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
  11. 前記クラフトパルプ(I)の原料がダグラスファーである、請求項7~10のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
  12. 前記クラフトパルプ(II)の平均繊維幅が15μm以下である、請求項7~11のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
  13. 前記クラフトパルプ(II)のJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が300~550mLである、請求項7~12のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
  14. 前記クラフトパルプ(II)の原料が広葉樹である、請求項7~13のいずれか一項に記載のクラフト紙の製造方法。
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