JP2006023538A - 液浸露光用保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液浸露光による微細パターン形成プロセスにおける現像工程で剥離が可能であり、なおかつ液浸露光時における液浸水に対する膨潤量が少なく、現像後に良好なレジストパターン形状を与えることが可能となる液浸露光用保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、20nm/秒〜300nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにはその他のフォトアプリケーションのリソグラフィー工程に使用される液浸露光用保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。特に波長が300nm以下の遠紫外線光を光源とする液浸式投影露光装置で露光するために好適な液浸露光用保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
半導体素子の微細化に伴い露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では193nm波長を有するArFエキシマレーザーを光源とするNA0.84の露光機が開発されている。これらは一般によく知れている様に次式で表すことができる。
(解像力)=k1・(λ/NA)
(焦点深度)=±k2・λ/NA2
ここでλは露光光源の波長、NAは投影レンズの開口数、k1及びk2はプロセスに関係する係数である。
更なる波長の短波化による高解像力化のために157nmの波長を有するF2エキシマレーザーを光源とする露光機が検討されているが、短波長化のために露光装置に使用するレンズ素材とレジストに使用する素材が非常に限定されるため、装置や素材の製造コストや品質安定化が非常に困難であり、要求される期間内に十分な性能と安定性を有する露光装置及びレジストが間に合わない可能性が出てきている。
光学顕微鏡において解像力を高める技術として、従来から投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法が知られている。
この「液浸の効果」はλ0を露光光の空気中での波長とし、nを空気に対する液浸液の屈折率、θを光線の収束半角としNA0=sinθとすると、液浸した場合、前述の解像力及び焦点深度は次式で表すことができる。
(解像力)=k1・(λ0/n)/NA0
(焦点深度)=±k2・(λ0/n)/NA0 2
すなわち、液浸の効果は波長が1/nの露光波長を使用するのと等価である。言い換えれば、同じNAの投影光学系の場合、液浸により、焦点深度をn倍にすることができる。
これは、あらゆるパターン形状に対して有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることが可能である。
この効果を半導体素子の微細パターンの転写に応用した装置例としては、特許文献1(特公昭57−153433号公報)、特許文献2(特開平7−220990号公報)等があるが、液浸露光技術に適するレジストに関しては論じてはいない。
特許文献3(特開平10−303114号公報)には、液浸液の屈折率変化が露光機の波面収差による投影像の劣化を引き起こすため液浸液の屈折率制御が重要であることが指摘され、液浸液の屈折率の温度係数をある範囲に制御することや、好適な液浸液として、表面張力を下げる、または、界面活性度を増加させるような添加剤を添加した水が開示されている。しかしながら、添加剤の開示や液浸露光技術に適するレジストに関してはやはり論じてはいない。
最近の液浸露光技術進捗が非特許文献1(SPIE Proc 4688,11(2002))、非特許文献2(J.Vac.Sci.Tecnol.B,17(1999))等で報告されている。ArFエキシマレーザーを光源とする場合は、取り扱い安全性と193nmにおける透過率と屈折率の観点で純水(19
3nmでにおける屈折率1.44)が液浸液として最も有望であると考えられている。
F2エキシマレーザーを光源とする場合は、157nmにおける透過率と屈折率のバランスからフッ素を含有する溶液が検討されているが、環境安全性の観点や屈折率の点で十分な物は未だ見出されていない。液浸の効果の度合いとレジストの完成度から液浸露光技術はArF露光機に最も早く搭載されると考えられている。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うためにレジストの画像形成方法として化学増幅という画像形成方法が用いられている。ポジ型の化学増幅の画像形成方法を例に挙げ説明すると、露光で露光部の酸発生剤が分解し酸を生成させ、露光後のベーク(PEB:PostExposureBake)でその発生酸を反応触媒として利用してアルカリ不溶の基をアルカリ可溶基に変化させ、アルカリ現像により露光部を除去する画像形成方法である。
液浸露光においては、レジスト膜と光学レンズの間を浸漬液(液浸液ともいう)で満たした状態で、フォトマスクを通して露光し、フォトマスクのパターンをレジスト膜に転写する。このとき、液浸液がレジスト膜内部に浸透することにより、結像しなくなる場合がある(非特許文献3)。また、レジスト膜中から液浸液へ有機物等が溶出することにより、液浸液中に不純物が混入し、レンズや露光装置を汚染するため、露光の妨げになることが予想される。
このような問題を回避する解決策として、レジスト膜とレンズの間に保護膜(以下、「トップコート」あるいは「オーバーコート」ともいう)を設けて、レジストと水が直接触れ合わないようにするという方法が知られている(たとえば非特許文献3)。
トップコートに用いられる素材としてどのようなものが良いか未だ明確になっていないが、トップコートが浸露光時に液浸水に曝された際、膨潤して膜厚が増大してしまうと、レジスト膜に忠実に投影されるべき光学像が歪むことが懸念される。また、本発明者らが検討を行った所、トップコートの素材によっては、下層に形成されるレジストパターンの断面形状を損なうことがあり、これらの問題の解決が望まれていた。
特公昭57−153433号公報 特開平7−220990号公報 特開平10−303114号公報 国際光工学会紀要(Proc. SPIE), 2002年, 第4688巻,第11頁 J.Vac.Sci.Tecnol.B, 17 (1999) 日経マイクロデバイス2004年4月号
本発明の目的は、液浸露光による微細パターン形成プロセスにおける現像工程で剥離が可能であり、なおかつ液浸露光時における液浸水に対する膨潤量が少なく、現像後に良好なレジストパターン形状を与えることが可能となる液浸露光用保護膜形成組成物を提供することである。
本発明は、下記構成の液浸露光用保護膜形成組成物及びそれを用いたパターン形成方法であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
(1) 乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、20nm/秒〜300nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物。
(2) 乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、25nm/秒〜200nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物。
(3) 乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、30nm/秒〜90nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物。
(4) 水不溶性樹脂(X)を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
(5) 水不溶性樹脂(X)の残留単量体が、5質量%以下であることを特徴とする(4)に記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
(6) 界面活性剤(Z)を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
(7) 混合溶剤(Y')を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
(8) 基板上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜上に(1)〜(7)のいずれかに記載の保護膜形成組成物により保護膜を形成し、次いでレジスト膜を液浸露光し、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
本発明により提供される新規な保護膜形成組成物によって、液浸露光時に於いて、プロセス工程を複雑にすることなく、レジスト膜内部への液浸液の浸透、特にArF液浸リソグラフィーにおいては水の浸透、および、レジスト膜成分の液浸液への溶出を防ぐことが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度を20nm/秒以上、好ましくは25nm/秒以上、より好ましくは30nm/秒以上、更により好ましくは40nm/秒以上とすることにより、現像後(保護膜剥離後)に得られるレジストの断面形状がT−topとなることを防ぐことができる。また、乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度を300nm/秒以下、好ましくは200nm/秒以下、より好ましくは90nm/秒以下、更により好ましくは80nm/秒以下とすることにより、液浸液に対する保護膜の膨潤量を低減し、現像後(保護膜剥離後)に得られるレジストの断面形状がラウンドトップ形状(レジストパターンの頭が丸くなる形状)となることを防ぐことができる。
尚、乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度は、次の方法により測定することができる。
基板上に、液浸露光用保護膜形成組成物を塗布し、溶剤を加熱乾燥させて保護膜を形成させる。当保護膜を、リソテックジャパン(株)製レジスト溶解速度解析装置(RDA790)を用いて、23℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液(アルカリ現像液)に対する溶解速度を測定する。
本発明の液浸露光用保護膜組成物は、水不溶性樹脂(X)に加え、通常塗布溶剤(Y)を含有し、更に必要に応じて界面活性剤(Z)およびその他の成分を含みうる。以下、これら各成分について説明する。
〔1〕(X)水不溶性樹脂
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物に含まれる水不溶性樹脂(X)は、保護膜のアル
カリ現像液に対する溶解速度を調整する上で重要な役割を果たす成分である。
ここで、樹脂が水不溶性であるとは、当該樹脂を含む液浸露光用保護膜形成組成物をシリコンウェハー上に塗布、乾燥後、純水に23℃で10分間浸漬、乾燥させた後に膜厚測定を行った場合に、膜厚が減少しない性状をもつことを示す。
樹脂(X)が水不溶性を有することで、液浸液のレジストへの吸水を防ぎ、かつ液浸液へのレジスト成分の溶出を防ぐという液浸露光用保護膜としての役割を果たすことが可能となる。
水不溶性樹脂(X)は、特に限定されないが、(X−1)pKaが8未満であるモノマー(以下、「低pKaモノマー」ともいう)に由来する繰り返し単位及び(X−2)pKaが8以上であるモノマー(以下、「高pKaモノマー」)に由来する繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を有することが好ましい。
低pKaモノマーにはpKaが8未満となる官能基(酸基)が含有されている。低pKaモノマーに含有される酸基は、pKaが8未満となるのものであれば特に限定されないが、2〜8となるものであることが好ましく、低pKaモノマーの例としては、カルボン酸、アンモニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。
ここでいうpKaは、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本科学会編、丸善(株))に記載のものとし、pKaの値は無限希釈溶媒を用いて25℃で測定したものである。
以下に低pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−1)として好ましいものを挙げるが、本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 2006023538
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、水不溶性樹脂(X)として、酸解離指数pKaが8以上のモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)を有する、水不溶性樹脂(X)を含有していてもよい。
pKaが8以上のモノマーは、特に限定されず、たとえば、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、−COCH2CO-、フルオロアルコール基等の酸基(アルカリ可溶性基)を含むモノマーなどがあげられる。特に、フルオロアルコール基を含むモノマーが好ましい。フルオロアルコール基としては少なくとも1つの水酸基が置換したフルオロアルキル基であり、炭素数1〜10個のものが好ましく、炭素数1〜5個のものが更に好ましい。 フルオロアルコール基の具体例としては、例えば、−CF2OH、−CH2CF2OH、−CH2CF2CF2OH、−C(CF32OH、−CF2CF(CF3)OH、−CH2C(CF32OH、等を挙げることができる。フルオロアルコールとして特に好ましいのはヘキサフルオロイソプロパノール基である。
これらのモノマーは、これらの酸基を1つだけ含んでいても2つ以上含んでいてもよい。該モノマーに由来する繰り返し単位は、繰り返し単位1つあたり2つ以上の酸基を含んでいることが好ましく、より好ましくは2〜5個、更に好ましくは2〜3個の酸基を含む。
pKaが8以上、好ましくは8〜13のモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)を有する水不溶性樹脂(X)を含有することで、レジストを現像する際に使用する弱塩基性の現像液においてもスムーズな溶解性が得られる。
pKaが8以上のモノマーに由来する繰り返し単位の、好ましい具体例を以下に示す。 尚、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2006023538
Figure 2006023538
Figure 2006023538
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本発明の液浸露光用保護膜形成組成物が製膜された際のアルカリ現像液に対する溶解速
度は、当該組成物中に水不溶性樹脂(X)を含有させておき、水不溶性樹脂(X)の酸価、水不溶性樹脂(X)を構成する繰り返し単位に相当するモノマーの酸性度(pKa)等を調整することにより、コントロールすることが可能である。
また、上述のモノマーに由来する繰り返し単位単位(X−1)、(X−2)は、樹脂(X)をアルカリ可溶化させるための繰り返し単位であり、これら繰り返し単位の樹脂(X)中における含有割合を調整することによって、保護膜のアルカリ現像液に対する溶解速度をコントロールすることができる。
樹脂(X)が、低pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−1)を有する場合に、低pKaモノマーによる繰り返し単位(X−1)は、樹脂(X)の酸価(ミリ当量/g)が1.0〜5.0となるように有することが好ましく、2.0〜4.5となるように有することがより好ましい。
また、樹脂(X)が、高pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)を有する場合に、高pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)は、樹脂(X)の酸価が3.0〜7.0となるように有することが好ましく、3.5〜5.5となるように有することがより好ましい。
また、樹脂(X)は、樹脂(X)を構成する繰り返し単位として、低pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−1)と、高pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)の両方を有していてもよい。この場合、繰り返し単位(X−1)と(X−2)の割合は、樹脂(X)の酸価が2.0〜5.0となるように適宜調整ことが好ましく、2.5〜4.5となるように調整ことがより好ましい。
繰り返し単位(X−1)や(X−2)を上記範囲で含むことにより、液浸露光用保護膜形成組成物の水に対する不溶性を確保しつつ、アルカリ現像液に対する溶解速度を本発明で規定した範囲にコントロールすることが可能となる。
樹脂(X)は、上記の繰り返し構造単位以外に、様々な繰り返し構造単位を含有することができる。他に含有しうる繰り返し構造単位を形成する単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(X)は、露光時に光が保護膜を通してレジスト膜に到達するため、使用する露光光源において透明であることが好ましい。ArF液浸露光に使用する場合は、ArF光への透明性の点から樹脂(X)は芳香族基を有さないことが好ましい。
低pKaモノマーに由来する繰り返し単位(X−1)を有する水不溶性樹脂(X)の具体例を以下に示す。尚、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2006023538
酸解離指数pKaが8以上のモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)を有する水不溶性樹脂(X)の、好ましい具体例を以下に示す。尚、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2006023538
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酸解離指数pKaが8未満のモノマーに由来する繰り返し単位(X−1)及び酸解離指数pKaが8以上のモノマーに由来する繰り返し単位(X−2)の両方を有する水不溶性樹脂(X)の好ましい具体例を以下に示す。尚、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2006023538
水不溶性樹脂(X)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。
例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は通常20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
また、水不溶性樹脂(X)は、前記ラジカル重合に限らず、様々な方法で合成することができる。ラジカル重合のほか、たとえば、カチオン重合、アニオン重合、付加重合、環化重合、重付加、重縮合、付加縮合などによっても合成できる。
その他、市販の各種樹脂も利用可能である。
上記繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、本発明において、樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
水不溶性樹脂(X)の重量平均分子量は、ガスパーミエーションクロマログラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3000〜20000である。
水不溶性樹脂(X)中、残留単量体は5質量%以下であることが溶出物阻止の点などから好ましい。より好ましくは、残留単量体は3質量%以下である。
分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は通常1〜5であり、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3の範囲のものが使用される。
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物において、水不溶性樹脂(X)の配合量は、液浸露光用保護膜形成組成物の全固形分中60〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜100質量%である。
〔2〕(Y)溶剤
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、通常、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して調製する。溶剤は、レジストとの混和を避けるため、レジストで使用する有機溶剤とは異なることが好ましい。また、液浸液への溶出の観点からは、非水溶性であることが好ましい。溶剤は、好ましくは沸点が100℃〜200℃である。
本発明において、溶剤は一種または複数を混合して用いてもよい。
使用しうる溶剤としては、例えば下記のものがあげられる。
・ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカリン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセン、シクロペンタン、ジペンテン、ナフタレン、ジメチルナフタレン、シメン、テトラリン、ビフェニル、メシチレン等の炭化水素系溶剤;
・塩化メチレン、塩化ヘキシル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶剤;
・アミルアルコール、イソアミルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、3−ヘプタノール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ノナノール、ネオペンチルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール;
・アセトニトリル、イソプロパノールアミン、エチルへキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジ−n−ブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリプロピルアミン等の含窒素溶剤;
・蟻酸、酢酸、酪酸、イソ酪酸、イタコン酸、プロピオン酸等のカルボン酸系溶剤;
・無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イタコン酸等の酸無水物系溶剤;
・1,4−ジフルオロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロジフルオロエタン、テトラフルオロプロパノール、トリフルオロアセト酢酸エチル、パーフルオロヘプタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、パーフルオロブチルエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロポリエーテル類、フルオロフェノール類等のフッ素系溶剤;
・その他、アニソール、ジオキサン、ジオキソラン、ジブチルエーテル、エチル−n−ブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、エチレングリコール、ジグリシジルエーテル、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、メトキシブタノール、テトラヒドロフラン、エチルエトキシプロピオネート、酢酸ブチル、N,N−ジメチルアセトアミド。
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、(Y’)混合溶剤を使用することが好ましい。
混合溶剤を使用することにより、塗布性を向上させることができる。
混合溶剤としては、特に限定されないが、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、含フッ素無極性溶剤のような無極性溶剤に対し、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素溶剤、カルボン酸系溶剤、酸無水物系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤のような極性溶剤を加えたものが好ましい。
混合溶剤(Y’)に用いられる無極性溶剤として、下記のものが挙げられる。
・炭化水素系溶剤:ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカリン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセン、シクロペンタン、ジペンテン、ナフタレン、ジメチルナフタレン、シメン、テトラリン、ビフェニル、メシチレン等。
・ハロゲン化炭化水素:クロロホルム、塩化ヘキシル、エチレンジクロリド、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン等。
・含フッ素無極性溶剤:1,4−ジフルオロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロヘプタン、ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン等。
混合溶剤(Y’)に用いられる極性溶剤として、下記のものが挙げられる。
・アルコール系溶剤:アミルアルコール、イソアミルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、3−ヘプタノール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ノナノール、ネオペンチルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、パーフルオロブチルエタノール、ペンタフルオロプロパノール、フルオロフェノール等。
・エーテル系溶剤:アニソール、ジオキサン、ジオキソラン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等。
・含窒素溶剤:アセトニトリル、イソプロパノールアミン、エチルへキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジ−n−ブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリプロピルアミン等。
・カルボン酸系溶剤:蟻酸、酢酸、酪酸、イソ酪酸、イタコン酸、プロピオン酸等。
・酸無水物系溶剤:無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イタコン酸等。
・エステル系溶剤:酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、γーブチロラクトン等。
・ケトン系溶剤:エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルエチルケトン等。
・その他の極性溶剤:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、メトキシブタノール、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルアセトアミド等。
極性溶剤、無極性溶剤の組み合わせは、特に限定されないが、無極性溶剤として炭化水素系溶剤や含フッ素無極性溶剤を使用し、極性溶剤としてアルコール系溶剤を使用する組み合わせが好ましい。
混合の比率としては、質量比で、無極性溶剤:極性溶剤=95:5〜40:60とすることが好ましく、より好ましくは90:10〜50:50、更に好ましくは85:15〜60:40である。
〔3〕(Z)界面活性剤
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、更に(Z)界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。上記(Z)界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、塗布性及び密着性にすぐれ、かつ現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタク
リレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体などを挙げることができる。
また、本発明では、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
(Z)界面活性剤の使用量は、液浸露光用保護膜形成組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
〔4〕保護膜
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、レジスト膜上に塗布されるなどして保護膜を形成し、レジスト膜内部への液浸液の浸透、および、レジスト膜成分の液浸液への溶出を防ぐものである。塗布の手段は適用するプロセスにあわせて適宜設定され、特に限定されるものではなく、スピンコート等の手段を用いることができる。
保護膜は、露光光源に対して透明であることが好ましいという観点から、薄膜の方が好
ましく、通常1nm〜300nm、好ましくは10nm〜150nmの厚さで形成される。具体的には、膜の露光光透過率が好ましくは50%〜80%、より好ましくは60%〜70%となる膜厚であることが好ましい。露光光透過率は、樹脂の重合成分を調節するなどで調整できる。たとえば、樹脂が含有する芳香環の量を減らすことで、ArF光の透過率を高めることができる。
また、保護膜からの溶出物により液浸液やレンズが汚染されることを防ぐため、保護膜からの溶出物が無いことが好ましい。保護膜は、溶出物を防ぐ点で、低分子量の化合物(たとえば分子量1000以下の化合物)の含量は少ない方が好ましい。
保護膜は、液浸液との親和性の観点から、液浸液の保護膜に対する接触角(23℃)が50度〜80度であることが好ましく、60度〜80度であることがより好ましい。接触角は酸基の量を調整したり、共重合成分の親疎水性を制御することで前記範囲に調整できる。
保護膜の屈折率は、解像性の観点からレジスト膜の屈折率に近いことが好ましい。屈折率の調整は、保護膜形成組成物の成分、とくに樹脂の組成、繰り返し単位の比率を制御することで行うことができる。
保護膜形成組成物は、保護膜を形成する際に均一に塗布できるものが好ましい。塗布性(塗布均一性)は、溶剤の種類や、界面活性剤等や他の添加剤を適宜選択し、その添加量を調整することで改善できる。
また、形成されたレジストパターンは導電性を有さないことが好ましいが、同様に、液浸露光用保護組成物は金属を含有しないことが好ましい。保護膜形成組成物が含有する金属量としては好ましくは100ppb以下、より好ましくは50ppb以下である。金属量は、使用する材料の純度向上や濾過等の通常の精製により抑制することができる。
液浸露光用保護膜形成組成物は、レジスト膜上へ塗布して膜を形成するため、レジスト膜と混合しないものであることが好ましい。
〔5〕パターン形成方法
本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、通常、上記の成分を溶剤に溶解し、基板上のレジスト膜上に塗布して用いる。
すなわち、液浸露光用レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により、任意の厚み(通常50〜500nm)で塗布する。この際、基板上に適宜反射防止膜を設けた上でレジスト膜を形成することも好ましい。塗布後、スピンまたはベークにより乾燥し、レジスト膜を形成する。
さらに、レジスト組成物と同様に、レジスト膜上にスピナー、コーター等を用いて液浸露光用保護膜形成組成物を塗布、スピンまたはベークにより乾燥し、保護膜を形成する。
ついでパターン形成のためマスクなどを通し、液浸液を介して露光(液浸露光)する。 露光量は適宜設定できるが、通常1〜100mJ/cm2である。露光後、好ましくはスピンまたは/かつベークを行い、現像、リンスを行い、パターンを得る。尚、本発明において、保護膜は、現像工程で現像液に溶解・剥離するため、別段剥離工程を設ける必要は無い。
露光後はベークを行うことが好ましく、ベーク温度は、通常30〜300℃である。露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化の観点から、露光からベーク工程までの時間は短いほうがよい。
ここで露光光としては、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線等が挙げられる。
使用することができる基板としては、通常のBareSi基板、SOG基板、あるいは、反射防止膜を有する基板等を挙げることができる。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型が用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−7115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、ARC25、シプレー社製のAC−2、AC−3、AR19、AR20等を使用することもできる。
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。その添加剤としては水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
水の電気抵抗は、18.3Mオーム・cm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は、20ppb以下であることが望ましい。また、脱気処理をしてあることが望ましい。
現像工程で用いるアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
リンス液としては、純水、または純水に界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理または、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
本発明の保護膜を用いる液浸露光において、レジストは、特に限定されず、通常使用されているものの中から任意に選ぶことができ、ポジ型、ネガ型のいずれのものでもよい。
レジストとしては、最近の超微細加工に適応し得る諸要求特性を充分備えたポジ型およびネガ型レジストが好適に使用でき、本発明では特に化学増幅型レジスト、更にはポジ型レジストが好ましく用いることができる。
化学増幅型レジストとしては、光等の活性エネルギー線により酸を発生するいわゆる酸発生剤を用いるものが代表的なものとして挙げられる。例えば、ネガ型の化学増幅型レジストは、通常、ベースポリマー、光酸発生剤、架橋剤の3成分系のものが用いられる。そして、レジスト露光時、その露光部において、光照射により発生した酸が架橋反応を起させ、現像液に対する溶解性を低下させるよう作用する。一方、ポジ型の化学増幅型レジストは、通常、溶解抑止機能をもつ保護基でブロックされた部位をもつベースポリマーと光酸発生剤を含む2成分系のものと、ベースポリマー、酸発生剤、溶解抑止剤の3成分系のものとがある。そして、レジスト露光時、その露光部において、光照射により発生した酸がポリマーの保護基を外して現像液に対する溶解性を高めるように作用する。
露光光源がArFエキシマレーザー(波長:193nm)である場合には、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する樹脂と光酸発生剤とを含む2成分系のものが好ましい。 特に、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶化する樹脂は、単環または多環の脂環炭化水素構造を有するアクリルまたはメタクリル系樹脂であることが好ましく、ラクトン残基、アダマンタン残基を有することがさらに好ましい。
尚、形成されたレジストパターンは導電性を有さないことが好ましいため、レジストは金属を含有しないことが好ましい。含有する金属量としては好ましくは100ppb以下、より好ましくは50ppb以下である。金属量は、使用する材料の純度向上や濾過等の通常の精製により抑制できる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
<樹脂(1)の合成>
4−[ビス(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル]スチレン 8.11g(0.03モル)およびテトラヒドロ−5−オキソフラン−3−イル アクリレート 10.93g(0.07モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテル250mlに溶解し、重合開始剤として2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製;商品名V−65)0.25gを加えた。この溶液を窒素気流下、70℃にて4時間攪拌した。その後、反応液をヘキサン1L中に激しく攪拌しながら投入。析出した樹脂をイオン交換水にて水洗し、濾別、真空下乾燥することにより、白色の樹脂15gを得た。GPC測定により、重量平均分子量(ポリスチレン標準)が5,800であり、樹脂中の残留単量体の含有割合が1質量%以下であることを確認した。
以下、同様にして樹脂(2)〜(9)、および(比較樹脂−1)、(比較樹脂−2)を得た。
以下に樹脂(1)〜(9)および(比較樹脂−1)、(比較樹脂−2)の構造及び重量平均分子量、分散度、残留単量体の含有割合をまとめて示す。
Figure 2006023538
Figure 2006023538
<液浸露光用保護膜形成組成物の調製>
下記表1に示す成分を溶剤に溶解させて固形分濃度6質量%の溶液を調製し、これを0.1μmのポリエチレンフィルターで濾過して液浸露光用保護膜形成組成物(TC−1)〜(TC−11)を調製した。
Figure 2006023538
表1における略号は次のとおりである。
W−1;メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2;メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素およびシリコン系)
SL−1;プロピレングリコールジメチルエーテル
SL−2;パーフルオロブチルテトラヒドロフラン
実施例1〜36および比較例1〜8
<保護膜のアルカリ現像液に対する溶解速度の測定>
ヘキサメチルジシラザンによる脱水処理を行った4インチシリコンウェハー上に、表2に示す各液浸露光用保護膜形成組成物をスピンコーターを用いて塗布を行い、115℃で60秒間、ホットプレート上で塗布溶剤を加熱乾燥させて保護膜を形成させた。当保護膜を、リソテックジャパン(株)製レジスト溶解速度解析装置(RDA790)を用いて、23℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液(アルカリ現像液)に対する溶解速度を解析した。結果を表2に示す。
<液浸液(水)に対する膨潤性評価>
ヘキサメチルジシラザンによる脱水処理を行った4インチシリコンウェハー上に、表2に示す各液浸露光用保護膜形成組成物をスピンコーターを用いて塗布を行い、115℃で60秒間、ホットプレート上で塗布溶剤を加熱乾燥させて保護膜を形成させた。当保護膜を、23℃の純水に10分間浸漬し、乾燥させた後に膜厚測定を行い、塗布直後の膜厚と比較してどの程度膜厚が上昇(膨潤)したかを評価した。結果を表2に示す。
<レジストパターンの断面形状評価>
シリコンウェハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)をスピン塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、78nmの反射防止膜を形成した。その上に表2に記載のレジスト組成物を塗布し、115℃で60秒間ベークを行い、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。更に、表2に記載の液浸露光用保護膜形成組成物をレジスト膜上に塗布し、90℃で60秒ベークを行い、膜厚50nmの保護膜を形成した。
こうして得られたウェハーを液浸液として純水を使用し、図1の装置で2光束干渉露光を行った。図1に示す装置に於いて、1はレーザー、2は絞り、3はシャッター、4、5及び6は夫々反射ミラー、7は集光レンズ、8はプリズム、9は液浸液、10は反射防止膜、レジスト膜を設けたウエハー、11はウェハーステージを示す。レーザー1として、出力波長193nmのものを用いた。露光後、115℃で60秒間加熱を行った後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で60秒間現像を行い、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
2光束干渉露光機のプリズム8としては、90nmのラインアンドスペースパターンを形成するプリズムを使用した。露光後のレジストパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡(日立製S−4300)にて観測し、評価結果を表2に示した。ここで、レジストパターン形状の標記において、形状が矩形であるものをA、レジストパターンの頭(パターントップ)に若干の庇が見られるものをB、レジストパターンの頭の庇が強くてパターン倒れも見られるものをC、レジストパターンの頭が丸く、ラウンドトップ化しているものをDとした。
Figure 2006023538
表2における略号は次の通りである。
PR−1:特開2000−275845号公報の実施例1に記載のレジスト組成物、すなわち、下記樹脂P−1(重量平均分子量約1万)10質量部、酸発生剤(トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート(みどり化学社製"TPS-109"))0.2質量部、塩基性化合物(2,6-ジイソプロピルアニリン)0.015質量部、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47.5質量部とγ-ブチロラクトン2.5質量部)を含有するレジスト組成物。
Figure 2006023538
PR−2:特開2003−167347号公報の実施例1に記載のレジスト組成物、すなわち下記樹脂P−2(重量平均分子量1万)100質量部、酸発生剤成分(トリフェニルスルホニムノナフルオロブタンスルホネート)2質量部、塩基性化合物(トリエタノールアミン)0.2質量部、有機溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート750質量部・γ−ブチロラクトン30質量部)を含有するレジスト組成物。
Figure 2006023538
PR−3:特開2002−12622号公報実施例1に記載のレジスト組成物、すなわち下記樹脂P−3 80質量部、下記酸発生剤(PAG1)1質量部、塩基性化合物(TBA:トリブチルアミン)0.078質量部、溶剤(PGMEA:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)480質量部を含有するレジスト組成物。
Figure 2006023538
Figure 2006023538
PR−4:特開2003−177538号公報の実施例1に記載のレジスト組成物、すなわち、下記樹脂P−4(重量平均分子量10600)2g、下記酸発生剤(PAG2)38mg、塩基性化合物(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN))4mg、界面活性剤(メガファックF176(大日本インキ(株)製))10g、溶剤(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)/乳酸エチル=70/30、固形分濃度14重量%)を含有するレジスト組成物。
Figure 2006023538
Figure 2006023538
表2に示したように、本発明の液浸露光用保護膜形成組成物は、液浸液として純水を用いた際に、水への膨潤性が小さいことがわかる。また、表2に示したように、本発明の液浸露光用保護膜形成組成物を用いることにより、レジストの断面形状が矩形のものが得られているが、本発明の液浸露光用保護膜形成組成物以外のものを適用すると、レジストパターンの頭の庇が強くてパターン倒れが見られたり、レジストパターンがラウンドトップとなったりすることがわかる。
2光束干渉露光実験装置の概略図である。
符号の説明
1 レーザー
2 絞り
3 シャッター
4、5、6 反射ミラー
7 集光レンズ
8 プリズム
9 液浸液
10 反射防止膜、レジスト膜を設けたウエハー
11 ウェハーステージ

Claims (8)

  1. 乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、20nm/秒〜300nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物。
  2. 乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、25nm/秒〜200nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物。
  3. 乾燥膜としたときのアルカリ現像液に対する溶解速度が、30nm/秒〜90nm/秒であることを特徴とする液浸露光用保護膜形成組成物。
  4. 水不溶性樹脂(X)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
  5. 水不溶性樹脂(X)の残留単量体が、5質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
  6. 界面活性剤(Z)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
  7. 混合溶剤(Y’)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液浸露光用保護膜形成組成物。
  8. 基板上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜上に請求項1〜7のいずれかに記載の保護膜形成組成物により保護膜を形成し、次いでレジスト膜を液浸露光し、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
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