JP3763239B2 - 化学増幅型ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化学増幅型のポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の微細加工には通常、レジスト組成物を用いたリソグラフィプロセスが採用されており、リソグラフィにおいては、レイリー (Rayleigh) の回折限界の式で表されるように、原理的には露光波長が短いほど解像度を上げることが可能である。半導体の製造に用いられるリソグラフィ用露光光源は、波長436nmのg線、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザーと、年々短波長になってきており、次世代の露光光源として、波長193nmのArFエキシマレーザーが有望視されている。
【0003】
ArFエキシマレーザー露光機に用いられるレンズは、従来の露光光源用のものに比べて寿命が短いので、ArFエキシマレーザー光に曝される時間はできるだけ短いことが望ましい。そのためには、レジストの感度を高める必要があることから、露光により発生する酸の触媒作用を利用し、その酸により解裂する基を有する樹脂を含有するいわゆる化学増幅型レジストが用いられる。
【0004】
ArFエキシマレーザー露光用のレジストに用いる樹脂は、レジストの透過率を確保するために芳香環を持たず、またドライエッチング耐性を持たせるために芳香環の代わりに脂環式環を有するものがよいことが知られている。このような樹脂としてこれまでにも、 D. C. Hofer, J. Photopolym. Sci. Technol., Vol.9, No.3, 387-398 (1996) に記載されるような各種の樹脂が知られている。しかしながら、従来公知の樹脂では、特にその極性が足りない場合に、現像時の接着性不足から、現像剥がれを起こしやすいという問題がある。
【0005】
S. Takechi et al, J. Photopolym. Sci. Technol., Vol.9, No.3, 475-487 (1996) や特開平 9-73173 号公報には、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルの重合体又は共重合体を化学増幅型レジストの樹脂として用いた場合には、2−メチル−2−アダマンチル基が酸の作用により解裂してポジ型に作用するとともに、高いドライエッチング耐性、高解像性及び基板への良好な接着性が得られることが報告されている。また、特開平 10-274852号公報には、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を構成する樹脂として、重合単位の一部にブチロラクトン残基を有するものを用いることにより、基板への接着性が改良されることが報告されている。さらに、特開平 10-319595号公報には、γ−ブチロラクトン−3−イル残基をカルボキシル基の保護基とする樹脂を用いたレジスト組成物が記載されている。
【0006】
一方で、化学増幅型レジストは、酸の作用を利用するものであるため、基板が塩基性の場合には、酸が失活してプロファイルが裾引き形状になるという問題がある。この問題を解決するには、塩基性のクェンチャー物質を多く添加すればよいことが知られている。しかしながら、このようにクェンチャー物質を多く添加すると、感度が低下する。さらに、ArFエキシマレーザー露光においては、有機や無機の反射防止膜のような反射率の低い基板上にレジストを適用することが多い。このような低反射基板を用いると、寸法の均一性を向上するのに効果があるものの、一般的にいって、光吸収が原因でレジストのプロファイルがテーパー形状になって悪化する。このように化学増幅型レジストには、基板の種類によって、性能、特にプロファイルが変化するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、樹脂成分と酸発生剤を含有し、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィに適した化学増幅型のポジ型レジスト組成物であって、感度や解像度、基板への接着性などの各種レジスト性能が良好であるとともに、塩基性基板や低反射基板に適用する場合でも基板依存性が小さく、いずれの基板に対しても良好なプロファイルを与えるものを提供することにある。
【0008】
本出願人の先の出願に係る特願平 11-238542号には、特定構造を有するアダマンタン系の重合単位とともに、ある種の極性の高い重合単位を有する樹脂が、基板への接着性の改良に有効であることが報告されている。本発明者らは、前記した特開平 10-274852号公報や特開平 10-319595号公報に開示されるブチロラクトン残基を有する樹脂、また上記特願平 11-238542号で開示したアダマンタン系の重合単位を有する樹脂を化学増幅型ポジ型レジスト組成物に用いた系について、さらに研究を重ねた結果、これらの組成物において、酸発生剤としてある特定の構造を有するものを用いることにより、解像度が改良され、また塩基性基板や低反射基板におけるプロファイルも改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下式(I)
【0010】
【0011】
(式中 、R1 は水素又はメチルを表し、R2 はアルキルを表す)
で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位を有し、それ自身はアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用でアルカリに可溶となる樹脂及び、下式(V)
【0012】
【0013】
(式中、Q1 、Q2 及びQ3 は互いに独立に、水素、水酸基、炭素数1〜6のアルキル又は炭素数1〜6のアルコキシを表し、nは4〜8の整数を表す)
で示される酸発生剤を含有してなる化学増幅型ポジ型レジスト組成物を提供するものである。
【0014】
上記式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位は、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル又はメタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルにおける(メタ)アクリル酸部分の二重結合が開いて形成される単位である。 本発明のレジスト組成物を構成する樹脂は、この(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位だけからなるものでもよいが、通常は他の重合単位をも含む共重合体であるのが有利である。
【0015】
共重合体とする場合に好ましく採用される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル以外の重合単位としては、下式(II)
【0016】
【0017】
(式中、R3 は水素又はメチルを表す)
で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位や下式 (III)
【0018】
【0019】
(式中、R4 は水素又はメチルを表し、R5 、R6 及びR7 は互いに独立に、水素又はアルキルを表す)
で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位、下式(IV)
【0020】
【0021】
(式中、R4 、R5 、R6 及びR7 は先に定義したとおりである)
で示されるβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位などを挙げることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位は、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル又はメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチにおける(メタ)アクリル酸部分の二重結合が開いて形成される単位であり、またα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及びβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位は、それぞれラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン又はβ−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンにおける(メタ)アクリル酸部分の二重結合が開いて形成される単位である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のレジスト組成物を構成する樹脂は、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位を有するものであり、任意に、前記式(II)で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位、前記式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位、前記式(IV)で示されるβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位などを有することもできる。したがってこの樹脂は、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルを一つのモノマーとする重合又は共重合によって、製造できる。この際の共重合成分として、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルを用いれば、式(I)の単位とともに式(II)の単位を有する共重合体が得られ、また、ラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−又はβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを用いれば、式(I)の単位とともに式(III) 又は式(IV)の単位を有する共重合体が得られる。さらには例えば、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル及びラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの両者を用いれば、式(I)、(II)及び(III) の各単位を有する三元共重合体が得られる。もちろん、後述するように、さらに別のモノマーを共重合させることも可能である。
【0023】
これらのモノマーのうち、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルは通常、2−アルキル−2−アダマンタノール又はその金属塩とアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとの反応により製造できる。(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルは市販されているが、1,3−ジブロモアダマンタンを加水分解して1,3−ジヒドロキシアダマンタンとし、これをアクリル酸、メタクリル酸又はそれらのハライドと反応させることにより、製造することもできる。また、α−又はβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンは、ラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−若しくはβ−ブロモ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸若しくはメタクリル酸を反応させるか、又はラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−若しくはβ−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸ハライド若しくはメタクリル酸ハライドを反応させることにより、製造できる。
【0024】
式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位は、脂環式環であるアダマンタン環の存在により、レジストの透過率を確保し、またドライエッチング耐性の向上に寄与する。さらに、この単位中の2−アルキル−2−アダマンチル基は酸の作用により解裂するので、この単位は、レジスト膜の露光後のアルカリ溶解性を高めるのに寄与する。式(I)中のR2 はアルキルであり、このアルキルは、例えば炭素数1〜8程度であることができ、通常は直鎖であるのが有利であるが、炭素数3以上の場合は分岐していても構わない。具体的なR2 としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどが挙げられる。なかでも、R2 がメチル又はエチル、とりわけエチルであるものは、レジストと基板との接着性や解像度の向上にとって好都合である。式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位に導くためのモノマーとして、具体的には例えば、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルなどが挙げられる。
【0025】
式(II)で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位、式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及び式(IV)で示されるβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位は、いずれも極性が高く、それらのいずれかを樹脂中に存在させることにより、それを含むレジストの基板への接着性が向上する。これらの重合単位はまた、レジストの解像性の向上にも寄与する。さらに、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位は、レジストのドライエッチング耐性の向上にも寄与する。また、β−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位は、レジストの透過率向上にも寄与する。
【0026】
式(II)で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位に導くためのモノマーは、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル又はメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルである。また、式(III) 及び式(IV)中、R5 、R6 及びR7 はそれぞれ、水素又はアルキルであり、このアルキルは炭素数1〜6程度であることができ、炭素数3以上の場合は直鎖でも分岐していてもよい。R5 、R6 及びR7 で表されるアルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが挙げられる。式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位に導くためのモノマーとしては、例えば、α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。また、式(IV)で示されるβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位に導くためのモノマーとしては、例えば、β−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0027】
化学増幅型ポジ型レジスト用の樹脂は一般に、それ自体はアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用により一部の基が解裂し、解裂後はアルカリ可溶性となるものであり、本発明において特定する樹脂では、前記式(I)中の2−アルキル−2−アダマンチル基が酸の作用により解裂する。したがって、式(I)の重合単位を有することにより、この樹脂を含むレジスト組成物はポジ型に作用するが、必要に応じて、酸の作用により解裂する他の基を有する重合単位を含んでもよい。酸の作用により解裂する他の基として具体的には、カルボン酸の各種エステル、例えば、メチルエステルやtert−ブチルエステルに代表されるアルキルエステル、メトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、テトラヒドロ−2−フリルエステル及びテトラヒドロ−2−ピラニルエステルのようなアセタール型エステル、イソボルニルエステルのような脂環式エステルなどが挙げられる。このようなカルボン酸エステルを有する重合単位へ導くモノマーは、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルのようなアクリル系のものでもよいし、ノルボルネンカルボン酸エステル、トリシクロデセンカルボン酸エステル、テトラシクロデセンカルボン酸エステルのように、カルボン酸エステル基が脂環式モノマーに結合したものでもよい。
【0028】
本発明で用いる樹脂は、パターニング露光用の放射線の種類や酸の作用により解裂する基の種類などによっても変動するが、一般には、酸の作用により解裂する基を有する重合単位を30〜80モル%の範囲で含有するのが好ましい。そして、酸の作用により解裂する基として特に、式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位は、樹脂全体のうち20モル%以上とするのが有利である。また、式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位に加えて、式(II)で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位及び/又は式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位を存在させる場合は、これら式(II)の単位及び式(III) の単位が合計で、樹脂全体のうち20〜70モル%の範囲となるようにするのが好ましい。さらに、式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位に加えて、式(IV)で示されるβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位を存在させる場合も、式(IV)の単位は、樹脂全体のうち20〜70モル%の範囲となるようにするのが好ましい。
【0029】
そこで、式(I)の単位とともに式(II)及び/又は式(III) の単位を有する共重合体とする場合は、式(I)の単位へ導くための(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルを20〜80モル%、好ましくは30〜80モル%、そして、式(II)の単位へ導くための(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル及び/又は式(III) の単位へ導くためのラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを合計20〜70モル%含むモノマー混合物を共重合させるのが有利である。式(I)の単位とともに式(IV)の単位を有する共重合体とする場合も同様に、式(I)の単位へ導くための(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルを20〜80モル%、好ましくは30〜80モル%、そして式(IV)の単位へ導くためのラクトン環がアルキルで置換されていてもよいβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを20〜70モル%含むモノマー混合物を共重合させるのが有利である。
【0030】
式(I)の重合単位を有し、任意にさらに、式(II)、式(III) 及び/又は式(IV)で示される重合単位を有する樹脂は、前述したような酸の作用で解裂しうる他の基を有する重合単位を含有することができるほか、本発明の効果を損わない範囲で、酸の作用により解裂しない他の重合単位を含有することも、もちろん可能である。含有しうる他の重合単位としては、例えば、遊離のカルボン酸基を有する重合単位、無水マレイン酸の重合単位、無水イタコン酸の重合単位、(メタ)アクリロニトリルの重合単位などを挙げることができる。
【0031】
レジスト組成物のもう一つの成分である酸発生剤は、その物質自体に、あるいはその物質を含むレジスト組成物に、光や電子線などの放射線を作用させることにより、その物質が分解して酸を発生するものである。酸発生剤から発生する酸が前記樹脂に作用して、その樹脂中に存在する酸の作用で解裂する基を解裂させることになる。本発明においては、前記式(V)で示されるスルホニウム塩系の化合物を酸発生剤として用いる。
【0032】
式(V)において、Q1 、Q2 及びQ3 はそれぞれ、水素、水酸基、炭素数1〜6のアルキル又は炭素数1〜6のアルコキシであり、アルキル及びアルコキシは、炭素数3以上の場合は直鎖でも分岐していてもよい。具体的なアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。
【0033】
また式(V)において、陰イオンであるパーフルオロアルカンスルホネートイオンを構成するアルカン部分の炭素数を表すnは4〜8の整数であり、このように本発明は、前記式(I)で示される重合単位を有する樹脂との組合せで、炭素数の多いパーフルオロアルカンスルホネート陰イオンを有するスルホニウム塩を酸発生剤とする点に大きな特徴がある。このような化合物を酸発生剤として用いることにより、レジストの解像度が改良され、さらに塩基性基板や低反射基板上でのプロファイルも改良される。この理由は必ずしも定かでないが、陰イオンが嵩高くなることで、生じる酸のレジスト内での拡散距離が短くなり、光学像に一層忠実な酸の分布が達成されることから、解像度が向上したり、低反射基板上でのプロファイルが改良されるものと推定される。また、レジスト内での酸の拡散距離が短くなるため、塩基性基板からの塩基の拡散も抑えられ、塩基性基板上でも裾引きの少ないプロファイルが得られるものと考えられる。
【0034】
式(V)で示されるスルホニウム塩は、市販品があれば、それをそのまま用いることができるほか、常法に従って製造することも可能である。例えば、相当するトリフェニルスルホニウムブロマイドをパーフルオロアルカンスルホン酸銀と反応させる方法や、 Chem. Pharm. Bull., Vol.29, 3753 (1981) の記載に準じて、相当するジフェニルスルホキシドとベンゼン系化合物とパーフルオロアルカンスルホン酸とを、トリフルオロ酢酸無水物の存在下で反応させる方法、特開平 8-311018 号公報の記載に準じて、相当するアリールグリニヤ試薬を塩化チオニルと反応させ、次いでトリオルガノシリルハライドと反応させてトリアリールスルホニウムハライドとした後、パーフルオロアルカンスルホン酸銀と反応させる方法などにより、製造できる。また、式(V)中のQ1 、Q2 及び/又はQ3 が水酸基である化合物は、上記特開平 8-311018 号公報の記載に準じて、ベンゼン環上にtert−ブトキシ基を有するトリフェニルスルホニウム塩を、その化合物の陰イオンと同じスルホン酸で処理してtert−ブチル基を脱離させることにより、製造できる。
【0035】
式(V)に相当するスルホニウム塩の具体例としては、次のような化合物を挙げることができる。
【0036】
トリフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム パーフルオロブタンスルホネート、
トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム パーフルオロオクタンスルホネートなど。
【0037】
本発明のレジスト組成物は、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位を有する樹脂に、前記式(V)で示される炭素数の多いパーフルオロアルカンスルホネート陰イオンを有するスルホニウム塩を酸発生剤として組み合わせたものであるが、所望によりこのスルホニウム塩に加えて、他の酸発生剤を併用することも可能である。併用しうる他の酸発生剤には、式(I)で示されるスルホニウム塩以外のスルホニウム塩やヨードニウム塩のような他のオニウム塩化合物、ハロアルキルトリアジン化合物のような有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンジスルホン類のようなスルホン化合物、各種スルホン酸エステルなどが包含される。
【0038】
また、一般に化学増幅型のポジ型レジスト組成物においては、塩基性化合物、特に塩基性含窒素有機化合物、例えばアミン類を、クェンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良できることが知られており、本発明においても、このような塩基性化合物を配合するのが好ましい。クェンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0039】
【0040】
式中、R11、R12、R13、R14及びR15は互いに独立に、水素、水酸基で置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール又はアルコキシを表し、Aはアルキレン、カルボニル又はイミノを表す。ここで、R11〜R15で表されるアルキル及びアルコキシは、炭素数1〜6程度であることができ、シクロアルキルは、炭素数5〜10程度であることができ、そしてアリールは、炭素数6〜10程度であることができる。また、Aで表されるアルキレンは、炭素数1〜6程度であることができ、直鎖でも分岐していてもよい。
【0041】
本発明のレジスト組成物は、その全固形分量を基準に、樹脂を80〜99.9重量%程度、そして酸発生剤を0.1〜20重量%程度の範囲で含有するのが好ましい。また、クェンチャーとして塩基性化合物を用いる場合は、同じくレジスト組成物の全固形分量を基準に、0.01〜1重量%程度の範囲で含有するのが好ましい。この組成物はまた、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0042】
本発明のレジスト組成物は通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液とされ、シリコンウェハーなどの基体上に塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で一般に用いられている溶剤が使用しうる。例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0043】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0044】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
【0045】
モノマー合成例1(メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルの合成)
2−メチル−2−アダマンタノール83.1部とトリエチルアミン101部を反応容器に仕込み、200部のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこにメタクリル酸クロライド78.4部(2−メチル−2−アダマンタノールに対して1.5モル倍)を滴下し、その後、室温で約10時間攪拌した。濾過後、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて2回水洗を行った。有機層を濃縮した後、減圧蒸留して、次式で示されるメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルを収率75%で得た。
【0046】
【0047】
モノマー合成例2(メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルの合成)
2−アダマンタノン31.1部にジエチルエーテル50部を加えて溶液とし、この溶液の温度が10℃を越えないように維持しながら、そこにエチルリチウムを1.14モル/L濃度で含むジエチルエーテル溶液200mlを滴下した。そのまま0℃で2時間攪拌した後、10℃を越えないように維持しながら、メタクリル酸クロライド26.2部(2−アダマンタノンに対して1.2モル倍)を滴下した。滴下終了後、室温で12時間攪拌した。その後、析出した無機塩を濾別し、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮した後、減圧蒸留して、次式で示されるメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルを収率60%で得た。
【0048】
【0049】
モノマー合成例3(α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの合成)
α−ブロモ−γ−ブチロラクトン100部とメタクリル酸104.4部(α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して2.0モル倍)を仕込み、α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して3重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン183.6部(α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して3.0モル倍)を滴下し、その後、室温で約10時間攪拌した。濾過後、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮して、次式で示されるα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを収率85%で得た。
【0050】
【0051】
樹脂合成例1(樹脂Aの合成)
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルとα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを5:5のモル比(15.0部:11.7部)で仕込み、全モノマーに対して2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて、溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して2モル%添加し、80℃で約8時間加熱した。その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を3回行い、精製した。その結果、重量平均分子量が約 10,000 の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各構造単位を有するものであり、これを樹脂Aとする。
【0052】
【0053】
樹脂合成例2(樹脂Bの合成)
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルの代わりにメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルを用い、それとα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを5:5のモル比(40.0部:29.3部)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量が約 5,600の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各構造単位を有するものであり、これを樹脂Bとする。
【0054】
【0055】
樹脂合成例3(樹脂Cの合成)
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、 メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル及びα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを、5:2.5:2.5のモル比(20.0部:9.5部:7.3部)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量が約 9,200の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各構造単位を有するものであり、これを樹脂Cとする。
【0056】
【0057】
酸発生剤合成例1(トリフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネートの合成)
四つ口フラスコに、パーフルオロオクタンスルホン酸75部と水100部を仕込み、攪拌下に炭酸銀21.4部を加えた。室温で3日間攪拌した後濾過し、得られたケーキをイオン交換水10部で、次にジエチルエーテル20部で洗浄し、乾燥して、パーフルオロオクタンスルホン酸銀60.3部を得た。
【0058】
四つ口フラスコに、トリフェニルスルホニウムブロマイド0.5部とニトロメタン30部を仕込み、次に上で得たパーフルオロオクタンスルホン酸銀0.9部とニトロメタン30部を仕込み、室温で6時間撹拌した。その後、懸濁液を濾過し、濾液を濃縮することにより、トリフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート1.2部を得た。
【0059】
酸発生剤合成例2(4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネートの合成)
四つ口フラスコに、ジフェニルスルホキシド8.0部とトルエン80.0部を仕込み、2℃まで冷却した。次いで、トリフルオロ酢酸無水物16.6部とパーフルオロオクタンスルホン酸19.8部を仕込み、同温度で30分間撹拌した。静置後、下層を濃縮し、クロロホルム340部で希釈した。得られたクロロホルム溶液をイオン交換水85部で6回洗浄した後、濃縮して、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート27.7部を得た。
【0060】
酸発生剤合成例3(4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネートの合成)
四つ口フラスコに、ジフェニルスルホキシド5.06部とトルエン50.6部を仕込み、2℃まで冷却した。次いで、トリフルオロ酢酸無水物10.5部とパーフルオロブタンスルホン酸7.50部を仕込み、同温度で60分間攪拌した。静置後、下層を濃縮し、クロロホルム100部で希釈した。得られたクロロホルム溶液をイオン交換水50部で11回洗浄した後、濃縮して、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート12.0部を得た。
【0061】
実施例1〜6及び比較例1〜3
以下に示す酸発生剤を用い、樹脂、クェンチャー及び溶剤とともに表1に示す組成で混合し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過してレジスト液を調製した。
【0062】
PAG1: トリフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート(みどり化学社製“TPS-109”)。
PAG2: トリフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート。
PAG3: 4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート。
PAGX: 4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート(みどり化学社製“MDS-205”)。
【0063】
【表1】
【0064】
ヘキサメチルジシラザンを用いて90℃で180秒間の表面処理を施したベア(生)シリコンウェハーに、上記のレジスト液を乾燥後の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、表2の「プリベーク」の欄に示す温度で60秒間、ダイレクトホットプレート上にてプリベークした。 こうしてレジスト膜を形成したウェハーに、ArFエキシマ露光機〔(株)ニコン製の“NSR ArF”、NA=0.55〕を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。露光後は、ホットプレート上にて、表2の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、実効感度及び解像度を以下の方法で調べて、その結果を表2に示した。
【0065】
実効感度: 0.18μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる最少露光量で表示した。
【0066】
解像度: 実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
【0067】
また、石英ガラスウェハー上に、上記のレジスト液を塗布して120℃で60秒間プリベークを行った後の膜厚が0.5μmとなるよう、レジスト膜を形成させた。このレジスト膜の193nmにおける透過率を分光光度計で測定し、その結果を併せて表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
さらに、厚さ1,800Åの窒化シリコン膜が設けられたウェハー(塩基性基板)を上記と同じ条件で表面処理した後、このウェハーに、実施例4〜6並びに比較例1及び3で調製した各レジスト液を上と同様の方法で塗布してレジスト膜を形成し、パターニングした。得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡で観察して、基板依存性を評価した。その結果、実施例4〜6のレジスト液から得られた各パターンは、いずれも裾引きのない良好なプロファイルであったのに対し、比較例1及び3のレジスト液から得られた各パターンは、裾引き形状を呈していた。
【0070】
以上のとおり、実施例のレジストは、スルホネート陰イオン部分の炭素数が少ない4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート(PAGX)を酸発生剤とした比較例のレジストに比べて解像度が改良されており、また塩基性基板での裾引きプロファイルも起こりにくい。さらに、これらの実施例で調製したレジストは、低反射基板に適用した場合でも、良好なプロファイルを与える。
【0071】
実施例7〜9及び比較例4
以下に示す樹脂C及びD並びに酸発生剤 PAG3、PAG4 及び PAGX を用い、クェンチャー及び溶剤とともに表3に示す組成で混合し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過してレジスト液を調製した。
【0072】
樹脂C: 樹脂合成例3で得られたメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルとα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンとのモル比50/25/25の共重合体であって、重量平均分子量約 9,200の樹脂。
樹脂D: メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルとβ−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンとのモル比47.7/52.3の共重合体であって、重量平均分子量約 8,400の樹脂。
PAG3: 4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート。
PAG4: 4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート。
PAGX: 4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート(みどり化学社製“MDS-205”)。
【0073】
【表3】
【0074】
Brewer社製の“DUV-30”を塗布し、215℃、60秒の条件でベークして厚さ1,600Åの有機反射防止膜を形成させたシリコンウェハーに、上記のレジスト液を乾燥後の膜厚が0.39μmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、ダイレクトホットプレート上にて表4の「プリベーク」の欄に示す温度で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したウェハーに、実施例1と同様にしてラインアンドスペースパターンを露光した。露光後は、ホットプレート上にて表4の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、実効感度及び解像度を実施例1と同様の方法で調べた。また、石英ガラスウェハー上に、上記のレジスト液を塗布して、上記と同様の条件でプリベークを行った後の膜厚が0.39μmとなるようにレジスト膜を形成させ、このレジスト膜の193nmにおける透過率を測定した。これらの結果をまとめて表4に示した。
【0075】
【表4】
【0076】
さらに、厚さ1,800Åの窒化シリコン膜が設けられたウェハー(塩基性基板)に、ヘキサメチルジシラザンを用いて90℃で180秒間の表面処理を施した後、上記の各レジスト液を上と同様の方法で塗布してレジスト膜を形成し、パターニングした。得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡で観察して、基板依存性を評価した。その結果、実施例7〜9のレジスト液から得られた各パターンは、いずれも裾引きのない良好なプロファイルであった。これに対し、比較例4のレジスト液から得られたパターンは、裾引き形状を呈していた。
【0077】
以上のとおり、実施例7〜9のレジストは、スルホネート陰イオン部分の炭素数が少ない4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート(PAGX)を酸発生剤とした比較例4のレジストに比べて感度及び解像度が改良されており、また塩基性基板での裾引きプロファイルも起こりにくい。特に、樹脂Dを用いた実施例9のレジストは、感度及び透過率に優れている。
【0078】
【発明の効果】
本発明に従って、特定の樹脂と特定の酸発生剤を組み合わせたレジスト組成物は、ArFエキシマレーザー露光などにおいて、解像度が良好であり、また、塩基性基板や低反射基板に適用した場合でも良好なプロファイルを与え、基板依存性が小さいという効果を奏する。
Claims (10)
- 式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位が、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルの重合単位及びメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルの重合単位から選ばれる請求項1記載の組成物。
- 該樹脂が、実質的に式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位及び式(II)で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位からなる二元共重合体である請求項3記載の組成物。
- 該樹脂が、実質的に式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位及び式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位からなる二元共重合体である請求項3記載の組成物。
- 該樹脂が、実質的に式(I)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位、式(II)で示される(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルの重合単位及び式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位からなる三元共重合体である請求項3記載の組成物。
- 該樹脂が、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルを30〜80モル%並びに、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル及びラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンから選ばれるモノマーを20〜70モル%含むモノマー混合物の共重合により得られる請求項3〜6のいずれかに記載の組成物。
- 該樹脂が、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルを30〜80モル%及びラクトン環がアルキルで置換されていてもよいβ−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを20〜70モル%含むモノマー混合物の共重合により得られる請求項8記載の組成物。
- さらに、アミン類をクェンチャーとして含有する請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
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