JP4329148B2 - 化学増幅型ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化学増幅型のポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の微細加工には通常、レジスト組成物を用いたリソグラフィプロセスが採用されており、リソグラフィにおいては、レイリー(Rayleigh)の回折限界の式で表されるように、原理的には露光波長が短いほど解像度を上げることが可能である。半導体の製造に用いられるリソグラフィ用露光光源は、波長436nmのg線、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザーと、年々短波長になってきており、次世代の露光光源として、波長193nmのArFエキシマレーザーが有望視され、かかるArFエキシマレーザー露光用レジストが一部実用化されつつある。
【0003】
ArFエキシマレーザー露光機に用いられるレンズは、従来の露光光源用のものに比べて寿命が短いので、ArFエキシマレーザー光に曝される時間はできるだけ短いことが望ましい。そのためには、レジストの感度を高める必要があることから、露光により発生する酸の触媒作用を利用し、その酸により解裂する基を有する樹脂を含有するいわゆる化学増幅型レジストが用いられる。
【0004】
ArFエキシマレーザー露光用のレジストに用いる樹脂は、レジストの透過率を確保するために芳香環を持たず、またドライエッチング耐性を持たせるために芳香環の代わりに脂環式環を有するものがよいことが知られている。このような樹脂としてこれまでにも、D.C. Hofer, Journal of Photopolymer Science and Technology, Vol.9, No.3, 387-398 (1996) に記載されるような各種の樹脂が知られている。しかしながら、従来公知の樹脂では、特にその極性が足りない場合に、現像時の接着性不足から、現像剥がれを起こしやすいという問題がある。
【0005】
S. Takechi et al, Journal of Photopolymer Science and Technology, Vol.9, No.3, 475-487 (1996) や特開平 9-73173号公報には、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルの重合体又は共重合体を化学増幅型レジストの樹脂として用いた場合には、2−メチル−2−アダマンチルが酸の作用により解裂してポジ型に作用するとともに、高いドライエッチング耐性、高解像性及び基板への良好な接着性が得られることが報告されている。また特開平 10-274852号公報には、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を構成する樹脂として、重合単位の一部にブチロラクトン残基を有するものを用いることにより、基板への接着性が改良されることが報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、樹脂成分と酸発生剤を含有し、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィに適した化学増幅型のポジ型レジスト組成物であって、感度や解像度などの各種のレジスト性能が良好であるとともに、特に基板への接着性に優れるものを提供することにある。
【0007】
本出願人の先の出願に係る特願平 10-191559号には、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位及び無水マレイン酸の重合単位を有する樹脂が、化学増幅型ポジ型レジストの基板への接着性の改良に有効であることが報告されている。本発明者らは、前記特開平 10-274852号公報に開示されるγ−ブチロラクトン残基を有する樹脂や上記特願平 10-191559号で開示したアダマンタン系の重合単位を有する樹脂を用いた化学増幅型ポジ型レジスト組成物について、さらに研究を重ねた結果、ある種の極性の高い重合単位を有する樹脂が基板への接着性の改良に有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下式(I)
【0009】
【0010】
(式中、R1 は水素又はメチルを表し、Xはアルキレンを表し、Yは2価の炭化水素残基を表し、nは0又は1を表す)
で示されるシアノ基含有重合単位及び酸に不安定な基を持つ重合単位を有し、それ自体はアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用により上記酸に不安定な基が解裂した後はアルカリ可溶となる樹脂、並びに酸発生剤を含有してなる化学増幅型ポジ型レジスト組成物を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のレジスト組成物を構成する樹脂は、前記式(I)で示されるシアノ基含有重合単位を有し、この単位は、極性置換基であるシアノ基の存在により、基板との接着性を確保し、レジストのドライエッチング耐性の向上に寄与する。式(I)中のXはアルキレンであり、このアルキレンは例えば、炭素数1〜8程度であることができ、通常は直鎖、すなわちメチレン又はポリメチレンであるのが有利であるが、炭素数2以上の場合はアルキリデンでもよく、また炭素数3以上の場合は分岐していてもよい。具体的なXとしては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレンなどが挙げられる。さらに、式(I)中のYは2価の炭化水素残基であり、この炭化水素残基は、脂肪族、脂環式など、各種のものであることができる。具体的には、炭素数2〜8程度のアルキレン、炭素数6〜16程度の脂環式炭化水素残基などが挙げられるが、特に、シクロヘキシレン、ノルボルナンジイル、トリシクロデカンジイル、テトラシクロドデカンジイルなどの脂環式炭化水素残基が好ましい。これらの例からわかるとおり、Yで表わされる2価の脂環式炭化水素残基は、単環でも多環でもよい。
【0012】
式(I)の重合単位は、下式(Ia)
【0013】
【0014】
(式中、R1 、X、Y及びnは先に定義したとおりである)
で示されるシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーの重合により、形成され得る。また、このシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーは通常、アルカリ触媒の存在下、次のいずれかの反応スキームに従って製造することができる。
【0015】
【0016】
式中、R1 、X、Y及びnは先に定義したとおりであり、Qはハロゲンを表す。
【0017】
すなわち、アクリル酸若しくはメタクリル酸とハロシアノアルカン若しくはハロカルボン酸シアノアルキルとの反応によって、又はアクリル酸ハライド若しくはメタクリル酸ハライドとシアノアルコール(別名シアノヒドリン)若しくはヒドロキシカルボン酸シアノアルキルとの反応によって、式(Ia)のシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーが製造できる。例えば、トリエチルアミンを触媒として、ブロモアセトニトリルにメタクリル酸を作用させると、メタクリル酸シアノメチルが得られ、同じくブロモアセトニトリルにメタクリロイロキシテトラシクロドデカンカルボン酸を作用させると、メタクリロイロキシテトラシクロドデカンカルボン酸シアノメチルが得られる。
【0018】
このような式(Ia)で示されるシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーを一つのモノマーとして重合を行うことにより、式(I)で示されるシアノ基含有重合単位を有する樹脂が得られるが、本発明で特定する樹脂は、式(I)の重合単位とともに、酸に不安定な基を持つ重合単位を有する。化学増幅型ポジ型レジスト用の樹脂は一般に、それ自体ではアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用により一部の基が解裂し、解裂後はアルカリ可溶性となるものであり、本発明における酸に不安定な基も、このように従来から知られている各種のものであることができる。酸に不安定な基として具体的には、カルボン酸の各種エステル、例えば、tert−ブチルエステルに代表されるアルキルエステル、メトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、テトラヒドロ−2−フリルエステル及びテトラヒドロ−2−ピラニルエステルのようなアセタール型エステル、イソボルニルエステル及び2−アルキル−2−アダマンチルエステルのような脂環式エステルなどが挙げられる。このようなカルボン酸エステルを有する重合単位へ導くモノマーは、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルのようなアクリル系のものでもよいし、ノルボルネンカルボン酸エステル、トリシクロデセンカルボン酸エステル、テトラシクロデセンカルボン酸エステルのように、カルボン酸エステル基が脂環式モノマーに結合したものでもよい。
【0019】
これらの酸に不安定な基を持つ重合単位のなかでも、前記式(I)で示されるシアノ基含有重合単位との組合せでは、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位が有利である。この重合単位は、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル又はメタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルにおける(メタ)アクリル酸部分の二重結合が開いて形成されるものであり、具体的には下式(II)で表すことができる。
【0020】
【0021】
式中、R2 は水素又はメチルを表し、R3 はアルキルを表す。
【0022】
式(II)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位はまた、レジストのドライエッチング耐性の向上や解像性の向上にも寄与することから、有利に採用される。式(II)中、R3 で表されるアルキルは、例えば炭素数1〜6程度であることができ、通常は直鎖であるのが有利であるが、炭素数3以上の場合は分岐していてもよい。具体的なR3 としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどが挙げられる。なかでも、R3 がメチル又はエチルであるものは、レジストと基板との接着性や解像度の向上にとって有利である。(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルは通常、2−アルキル−2−アダマンタノール又はその金属塩とアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとの反応により製造できる。
【0023】
本発明において特定する前記式(I)で示されるシアノ基含有重合単位及び酸に不安定な基を持つ重合単位を有する樹脂は、前記式(Ia)で示されるシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーと酸に不安定な基を持つモノマーとを必須のモノマーとして、共重合を行うことにより製造できる。酸に不安定な基を持つ重合単位が前記式(II)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位である場合は、酸に不安定な基を持つモノマーとして、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルを用いればよい。
【0024】
またこの樹脂は、必要に応じて他の重合単位を有してもよい。例えば、ラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位や、無水マレイン酸の重合単位などを有するのが有効である。ここでいうラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位とは、無置換の又はラクトン環がアルキルで置換されたα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンにおける(メタ)アクリル酸部分の二重結合が開いて形成される単位を意味し、無水マレイン酸の重合単位とは、無水マレイン酸の二重結合が開いて形成される単位を意味し、それぞれ次式(III) 及び(IV)で表すことができる。
【0025】
【0026】
式中、R4 は水素又はメチルを表し、R5 、R6 及びR7 は互いに独立に、水素又はアルキルを表す。
【0027】
【0028】
式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及び式(IV)で示される無水マレイン酸の重合単位は、いずれも極性が高く、それらのいずれかを樹脂中に存在させることにより、それを含むレジストの基板への接着性向上に寄与することから、式(I)で示されるシアノ基含有重合単位との組合せで、レジストの基板への接着性向上に一層有効に寄与する。さらに、式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位は、レジストの解像性の向上にも寄与し、式(IV)で示される無水マレイン酸の重合単位は、レジストのドライエッチング耐性の向上にも寄与する。
【0029】
式(III) 中、R5 、R6 及びR7 はそれぞれ、水素又はアルキルであり、このアルキルは炭素数1〜6程度であることができ、炭素数3以上の場合は直鎖でも分岐していてもよい。R5 、R6 及びR7 で表されるアルキルの具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが挙げられる。式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位に導くためのモノマーとしては、例えば、α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0030】
式(I)で示されるシアノ基含有重合単位及び酸に不安定な基を持つ重合単位に加えて、式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及び/又は式(IV)で示される無水マレイン酸の重合単位を存在させる場合は、前記式(Ia)で示されるシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマー及び酸に不安定な基を持つモノマー(例えば(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル)とともに、ラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及び/又は無水マレイン酸を共重合させればよい。
【0031】
本発明で用いる樹脂は、パターニング露光用の放射線の種類や酸に不安定な基の種類などによっても変動するが、一般には、酸に不安定な基を持つ重合単位を20〜80モル%の範囲で含有するのが好ましい。そして、酸に不安定な基として特に、式(II)で示される(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルの重合単位は、樹脂全体のうち20モル%以上とするのが有利である。
【0032】
一方、式(I)で示されるシアノ基含有重合単位は、樹脂中に5〜50モル%の範囲で存在させるのが好ましい。したがって、式(I)で示されるシアノ基含有重合単位と酸に不安定な基を持つ重合単位との二元系樹脂とする場合は、前記式(Ia)で示されるシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーを20〜50モル%の範囲で、また酸に不安定な基を持つモノマーを50〜80モル%の範囲で用い、両者を共重合させるのが有利である。
【0033】
また、式(III) で示されるα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及び/又は式(IV)で示される無水マレイン酸の重合単位を存在させる場合は、両者の合計が樹脂中で5モル%以上、特に20モル%以上となるようにするのが好ましい。これらα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及び/又は無水マレイン酸の重合単位は、樹脂中に合計で75モル%程度まで存在することができる。例えば、式(I)で示されるシアノ基含有重合単位及び酸に不安定な基を持つ重合単位に加えて、式(III) で示されるα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの重合単位及び/又は式(IV)で示される無水マレイン酸の重合単位を有する三元又は四元共重合体とする場合は、式(Ia)で示されるシアノ基含有(メタ)アクリレート系モノマーを5〜50モル%、酸に不安定な基を持つモノマーを20〜80モル%、そして式(III) の単位に導くための無置換の又はラクトン環がアルキルで置換されたα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及び無水マレイン酸から選ばれる第三モノマーを合計5〜75モル%、特に20〜75モル%含むモノマー混合物を共重合させるのが有利である。またこの樹脂は、本発明の効果を損わない範囲で他の重合単位、例えば、遊離のカルボン酸基を有する重合単位などを含有することもできる。
【0034】
もう一つの成分である酸発生剤は、その物質自体に、あるいはその物質を含むレジスト組成物に、光や電子線などの放射線を作用させることにより、その物質が分解して酸を発生するものである。酸発生剤から発生する酸が前記樹脂に作用して、その樹脂中に存在する酸の作用で解裂する基を解裂させることになる。このような酸発生剤には、例えば、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物などが包含される。具体的には、次のような化合物を挙げることができる。
【0035】
ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0036】
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0037】
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
【0038】
1−ベンゾイル−1−フェニルメチル p−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル p−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、
1,2,3−ベンゼントリイル トリスメタンスルホネート、
2,6−ジニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
2−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
4−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
【0039】
ジフェニル ジスルホン、
ジ−p−トリル ジスルホン、
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【0040】
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミドなど。
【0041】
また、一般に化学増幅型のポジ型レジスト組成物においては、塩基性化合物、特に塩基性含窒素有機化合物、例えばアミン類を、クェンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良できることが知られており、本発明においても、このような塩基性化合物を配合するのが好ましい。クェンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0042】
【0043】
式中、R11、R12、R13、R14及びR15は互いに独立に、水素、水酸基で置換されてもよいアルキル、シクロアルキル、アリール又はアルコキシを表し、Aはアルキレン、カルボニル又はイミノを表す。ここで、R11〜R15で表されるアルキル及びアルコキシは、それぞれ炭素数1〜6程度であることができ、シクロアルキルは、炭素数5〜10程度であることができ、そしてアリールは、炭素数6〜10程度であることができる。また、Aで表されるアルキレンは、炭素数1〜6程度であることができ、直鎖でも分岐していてもよい。
【0044】
本発明のレジスト組成物は、その全固形分量を基準に、樹脂を80〜99.9重量%、そして酸発生剤を0.1〜20重量%の範囲で含有するのが好ましい。また、クェンチャーとしての塩基性化合物を用いる場合は、同じくレジスト組成物の全固形分量を基準に、0.0001〜0.1重量%の範囲で含有するのが好ましい。この組成物はまた、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0045】
本発明のレジスト組成物は通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液とされ、シリコンウェハーなどの基体上に、常法に従いスピンコーティングなどの方法で塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で一般に用いられている溶剤が使用しうる。例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0047】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中にある部は、特記ないかぎり重量基準である。また重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
【0048】
モノマー合成例1(メタクリル酸シアノメチルの合成)
ブロモアセトニトリル102gとメタクリル酸110g(ブロモアセトニトリルに対して1.5モル倍)を仕込み、ブロモアセトニトリルの4重量倍のジエチルエーテルを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン168.8g(ブロモアセトニトリルに対して2.0モル倍)を滴下し、その後、室温で約20時間攪拌した。濾過後、有機層を22重量%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を行った。有機層を濃縮して、次式で示されるメタクリル酸シアノメチルを収率86%で得た。
【0049】
【0050】
モノマー合成例2(メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルの合成)
2−メチル−2−アダマンタノール83.1gとトリエチルアミン101gを仕込み、200gのメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、メタクリル酸クロリド78.4g(2−メチル−2−アダマンタノールに対して1.5モル倍)を滴下し、その後、室温で約10時間攪拌した。濾過後、有機層を5重量%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮した後、減圧蒸留して、次式で示されるメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルを収率75%で得た。
【0051】
【0052】
モノマー合成例3(メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルの合成)
2−アダマンタノン31.1gにジエチルエーテル50gを加えて溶液とし、この溶液の温度が10℃を越えないように維持しながら、そこにエチルリチウムを1.14モル/L濃度で含むジエチルエーテル溶液200mlを滴下した。そのまま0℃で2時間攪拌した後、10℃を越えないように維持しながらメタクリル酸クロリド26.2g(2−アダマンタノンに対して1.2モル倍)を滴下した。滴下終了後、室温で12時間攪拌した。その後、析出した無機塩を濾別し、有機層を5重量%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮した後、減圧蒸留して、次式で示されるメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルを収率60%で得た。
【0053】
【0054】
モノマー合成例4(α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンの合成)
α−ブロモ−γ−ブチロラクトン100gとメタクリル酸104.4g(α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して2.0モル倍)を仕込み、α−ブロモ−γ−ブチロラクトンの3重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン183.6g(α−ブロモ−γ−ブチロラクトンに対して3.0モル倍)を滴下し、その後、室温で約10時間攪拌した。濾過後、有機層を5重量%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を2回行った。有機層を濃縮して、次式で示されるα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを収率85%で得た。
【0055】
【0056】
モノマー合成例5(メタクリロイロキシテトラシクロドデカンカルボン酸シアノメチルの合成)
ブロモアセトニトリル4.9gとメタクリロイロキシテトラシクロドデカンカルボン酸20.0g(ブロモアセトニトリルに対して1.5モル倍)を仕込み、ブロモアセトニトリルの4重量倍のトルエンを加えて溶液とした。そこにトリエチルアミン8.3g(ブロモアセトニトリルに対して2.0モル倍)を滴下し、その後、室温で約20時間攪拌した。濾過後、有機層を22重量%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、続いて水洗を行った。有機層を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、次式で示されるメタクリロイロキシテトラシクロドデカンカルボン酸シアノメチルを収率46%で得た。
【0057】
【0058】
樹脂合成例1(樹脂Aの合成)
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、 α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及びメタクリル酸シアノメチルを、5:2.5:2.5のモル比(15.0g:5.8g:4.3g)で仕込み、全モノマーの2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して2モル%添加し、80℃で約8時間加熱した。その後反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を3回行い、精製した。その結果、重量平均分子量が約 5,000の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各重合単位を約50:25:25のモル比で有するものであり、これを樹脂Aとする。
【0059】
【0060】
樹脂合成例2(樹脂Bの合成)
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、 α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及びメタクリル酸シアノメチルを、5:2.5:2.5のモル比(15.0g:5.5g :4.0g)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量が約 4,000の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各重合単位を約50:25:25のモル比で有するものであり、これを樹脂Bとする。
【0061】
【0062】
樹脂合成例3(樹脂Cの合成)
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとメタクリル酸シアノメチルを、5:5のモル比(20.0g:10.8g)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量が約 8,000の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各重合単位を約50:50のモル比で有するものであり、これを樹脂Cとする。
【0063】
【0064】
樹脂合成例4(樹脂Dの合成)
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及びメタクリロイロキシテトラシクロドデカンカルボン酸シアノメチルを、5:2.5:2.5のモル比(10.0g:3.9g:7.5g)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。 その結果、重量平均分子量が約 9,000の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各重合単位を約50:25:25のモル比で有するものであり、これを樹脂Dとする。
【0065】
【0066】
同様に、メタクリル酸シアノメチル、メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル及び無水マレイン酸を共重合させることによって、それぞれの重合単位を有する三元共重合体が得られる。
【0067】
樹脂合成例5(樹脂Xの合成:比較用)
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルとα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを5:5のモル比(15.0g:11.7g)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量が約 10,000 の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各重合単位を約50:50のモル比で有するものであり、これを樹脂Xとする。
【0068】
【0069】
樹脂合成例6(樹脂Yの合成:比較用)
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを5:5のモル比(40.0g:29.3g)で仕込んだほかは、樹脂合成例1と同様に操作した。その結果、重量平均分子量が約 5,000の共重合体を得た。この共重合体は、次式の各重合単位を約50:50のモル比で有するものであり、これを樹脂Yとする。
【0070】
【0071】
実施例1〜4及び比較例1〜2
樹脂合成例1〜6で得た各樹脂を用い、以下に示す組成で各成分と混合し、さらに孔径0.1μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過してレジスト液を調製した。
【0072】
樹脂 10 部
酸発生剤: 4-メチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート 0.2 部
(みどり化学(株)製の“MDS-205”)
クェンチャー : 2,6-ジイソプロピルアニリン 0.015 部
溶剤 : プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 47.5 部
γ-ブチロラクトン 2.5 部
【0073】
ヘキサメチルジシラザンを用いて23℃で20秒間処理したシリコンウェハー(水の接触角50°)又は、有機反射防止膜を塗布したシリコンウェハーに、上で調製したレジスト液を乾燥後の膜厚が0.5μmとなるよう塗布した。有機反射防止膜は、Brewer社製の“DUV-42”を、215℃、60秒のベーク条件で570Åの厚さとなるように塗布して形成させた。レジスト液塗布後のプリベークは、120℃、60秒の条件で、ダイレクトホットプレート上にて行った。こうしてレジスト膜を形成したウェハーに、KrFエキシマステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 2205 EX12B”、NA=0.55、σ=0.8 〕を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。次に、ホットプレート上にて表1に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で、60秒間のパドル現像を行った。現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、有機反射防止膜基板上に設けたレジスト膜から得られたパターンについて、以下の方法で、実効感度及び解像度を調べた。
【0074】
実効感度: 0.3μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で表示した。
【0075】
解像度: 実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
【0076】
また、有機反射防止膜を設けない基板上のパターンについて接着性の評価を行った。すなわち、有機反射防止膜のない基板上に形成したレジスト膜に対し、上記の有機反射防止膜上で得られた実効感度で、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して露光し、現像した後のパターンを観察し、3μm のラインアンドスペースパターンが接着しているものを○、少しでも剥がれているものを×と表示した。以上の結果を、用いた樹脂の種類とともに表1に示す。
【0077】
【表1】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
例 No. 樹脂 PEB温度 実効感度 解像度 接着性
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 A 120℃ 48 mJ/cm2 0.18μm ○
実施例2 B 80℃ 34 mJ/cm2 0.20μm ○
実施例3 C 80℃ 24 mJ/cm2 0.21μm ○
実施例4 D 80℃ 34 mJ/cm2 0.23μm ○
─────────────────────────
比較例1 X 120℃ 26 mJ/cm2 0.21μm ×
比較例2 Y 80℃ 24 mJ/cm2 0.21μm ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0078】
表1に示すとおり、本発明で規定する樹脂を用いたレジストは、現像剥がれを起こすことがなく、基板に対する接着性に優れている。また本発明のレジスト組成物は、ドライエッチング耐性も良好である。実施例1〜4で用いた組成物は、ArFエキシマレーザー露光機による露光でも、同様に優れた性能のレジストパターンを与える。
【0079】
【発明の効果】
本発明の化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、基板への接着性に優れ、またドライエッチング耐性や感度、解像度などのレジスト諸性能も良好である。したがって、この組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーなどを用いた露光に適しており、それによって高い性能のレジストパターンを与える。
Claims (7)
- Yがテトラシクロドデカンジイルである請求項1記載の組成物。
- 該樹脂がさらに、ラクトン環がアルキルで置換されていてもよいα−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン及び無水マレイン酸から選ばれるモノマーの重合単位を有する請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- さらにアミン類をクェンチャーとして含有する請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
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