JP2006018193A - ポジ型感光性樹脂前駆体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 露光感度が高く、パターン形成性が良好であり、且つ、耐熱性に優れた樹脂膜を与えることができるポジ型感光性樹脂前駆体組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、アルカリ条件で可溶性を示す弱酸性の弱酸性基を含有するポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される樹脂前駆体と、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有し、該酸不安定性基は、該光酸発生剤が発生する酸によって分解するが、該弱酸性基の酸性によっては実質上分解しないことを特徴とする。本発明のポジ型感光製樹脂前駆体組成物を用いて形成された樹脂は、半導体保護膜や層間絶縁膜として利用され得る。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、アルカリ条件で可溶性を示す弱酸性の弱酸性基を含有するポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される樹脂前駆体と、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有し、該酸不安定性基は、該光酸発生剤が発生する酸によって分解するが、該弱酸性基の酸性によっては実質上分解しないことを特徴とする。本発明のポジ型感光製樹脂前駆体組成物を用いて形成された樹脂は、半導体保護膜や層間絶縁膜として利用され得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、半導体素子の信頼性向上のための半導体表面保護膜や層間絶縁膜の形成のために使用され得るポジ型感光性樹脂前駆体組成物に関する。
従来から、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜の形成には、耐熱性、電気特性、機械特性に優れたポリイミド樹脂が使用されてきた(非特許文献1参照)。また、近時、メモリやマイクロプロセッサーなどの主要デバイスの生産性向上に対応するように半導体素子の高集積化と大型化とが進められ、また、情報機器用デバイスの薄型パッケージングに対応するように封止樹脂パッケージの薄型化と小型化とが進められ、さらに、半田リフローによる表面実装への移行が進められるようになってきている。これら事情に伴って、これらに使用される表面保護膜や層間絶縁膜に対しても耐熱サイクル性、耐熱ショック性などの大幅な性能向上が要求されてきており、より高性能なポリイミド樹脂が望まれている。
また、回路パターンの製造工程を簡略化するために、感光性ポリイミドを使用することが注目されてきている。
これら用途において感光性ポリイミドを使用する場合、これまで、露光部が硬化するネガ型が知られているが、これらネガ型では、現像工程での安全性に問題があり、また、現像工程にて環境上好ましくないN−メチルピロリドンなどの溶剤を使用するので、近年、従来のネガ型に代わって、アルカリ水溶液で現像できるポジ型感光性ポリイミド樹脂が開発されている(非特許文献2参照)。このポジ型感光性ポリイミド樹脂は、高い耐熱性、優れた電気特性、高い解像性を持っており、特に注目されている。また、感光性ポリイミド樹脂と並行して、耐湿性に優れた感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂も開発されてきた(非特許文献2参照)。
イミド環形成前のポリイミド前駆体と、所定の光が照射された露光部分が現像工程にて除かれるポジ型として機能するように添加される感光性材料とを組み合わせた(あるいは、このような感光性材料がポリイミド前駆体に導入された)ポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物に関しては、(i)ニトロベンジル基をエステル結合により導入したポリイミド前駆体(特許文献1参照)、(ii)フェノール性水酸基を含むポリアミド酸エステルとo−キノンジアジド化合物とを含む組成物(特許文献2参照)、(iii)酸不安定性基で保護されたフェノール性水酸基を含むポリアミド酸エステルと光酸発生剤とを含む組成物(特許文献3参照)、(iv)ポリアミド酸とジヒドロピリジンとを含む組成物(特許文献4参照)などが知られている。
しかし、近年になって耐熱サイクル性、耐熱ショック性などの大幅な性能向上が求められている半導体の表面保護膜や層間絶縁膜などとして用い得るように、露光感度、パターン形成性、耐熱性などで更なる性能向上がポジ型感光性樹脂に対して求められている。
特開昭60−37550号公報
特開平4−204945号公報
特開平4−120171号公報
特開平5−113668号公報
「最新ポリイミド〜基礎と応用」(エヌ・ティー・エス)p.327〜338
「電子部品用高分子材料の最新動向III(住ベテクノリサーチ)p.88〜119
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、露光感度が高く、パターン形成性が良好であり、且つ、耐熱性に優れた樹脂膜を与えることができるポジ型感光性樹脂前駆体組成物を提供することを目的とする。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、アルカリ条件で可溶性を示す弱酸性の弱酸性基を含有するポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される樹脂前駆体と、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有し、該酸不安定性基は、該光酸発生剤が発生する酸によって分解するが、該弱酸性基の酸性によっては実質上分解しないことを特徴とし、そのことにより、上記目的が達成される。
前記弱酸性基は、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の少なくとも一方であることが好ましい。
前記ポリイミド前駆体が、一般式(1)又は一般式(2)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリイミド前駆体を含むことが好ましい。
(式中、R1は4価の有機基を示し、R2はカルボキシル基及びフェノール性水酸基の少なくとも一方を有する2価の有機基を示し、R3は各々独立に1価の有機基を示す。)
(式中、R1は4価の有機基を示し、R4は2価の有機基を示す。)
前記一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリイミド前駆体のR2が有するカルボキシル基とフェノール性水酸基との合計量が一般式(1)で示される繰り返し単位1モルあたり、0.3〜3モルであることが好ましい。
前記樹脂前駆体が、一般式(3)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリベンゾオキサゾール前駆体を含むことが好ましい。
(式中、R5は2価の有機基を示し、R6は芳香環を含む4価の有機基を示す。)
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、露光感度が高く、パターン形成性が良好で、耐熱性に優れた樹脂膜を与え得るポジ型感光性樹脂前駆体組成物を提供するものであり、本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物を用いて形成された樹脂膜は、半導体保護膜や層間絶縁膜として利用され得る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、アルカリ条件で可溶性を示す弱酸性の弱酸性基を含有するポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される樹脂前駆体と、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体(以下、単に「酸誘導体」と記載することがある。)とを含有し、該酸不安定性基は、該光酸発生剤が発生する酸によって分解するが、該弱酸性基の酸性によっては実質上分解しないことを特徴とする。
ここで、樹脂前駆体が含有する弱酸性基は、アルカリ条件で可溶性を示し、かつ、酸不安定性基を実質的に酸分解しない弱酸性の酸性度を有するものであり、例えば、好ましい弱酸性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。
本発明に用いられる樹脂前駆体は、ポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される構造を有し、かつ、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の弱酸性基を有しているので、アルカリ水溶液に対して可溶であるが、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体が存在することによって、アルカリ条件に対する溶解性が大きく阻害されている。しかし、このような樹脂前駆体組成物に対して、紫外線等の所定の化学線を照射すると、露光部では、光酸発生剤が酸を発生し、該光酸発生剤が発生した酸によって、酸誘導体の酸不安定性基が分解して、酸誘導体がコール酸、デオキシコール酸、または、リトコール酸になり、化学線照射前と異なりアルカリ条件に対する溶解性が向上する。この変化は露光および露光後の加熱処理により生じ、未露光部と露光部の溶解速度が異なることにより、レリーフパターンが形成される。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、ポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される構造を有するので、上記のようにレリーフパターンを形成した後に、硬化反応させると、耐熱性に優れた樹脂膜となる。
上記の樹脂前駆体組成物が含有する、フェノール性水酸基および/またはカルボキシル基は、アルカリ水溶液に対して可溶性を示す弱酸性を示す弱酸性基であり、アルカリ水溶液に対しては可溶性を示すが、酸誘導体の酸不安定性基を分解しない程度の酸性度を有している。これにより、露光部でのみ、酸誘導体の酸不安定性基が分解するので、ポジ型の感光性として機能できる。
ポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド等が挙げられる。また、ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリベンゾオキサゾールとなり得るポリヒドロキシアミドが挙げられる。
上記のポリイミド前駆体であるポリアミド酸エステルは、好ましくは、一般式(1)で表される構造単位を有している。
ここで、上記(1)式中、R1は4価の有機基を示し、R2はカルボキシル基及びフェノール性水酸基の少なくとも一方を有する2価の有機基を示し、R3は各々独立に1価の有機基を示す。
一般式(1)中、R1は、4価の有機基であれば特に限定されないが、ポリイミドに耐熱性を持たせるために、芳香族環を含む基であることが好ましく、炭素数6〜40であることがより好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族環を1つ以上含むものが挙げられる。さらには、ポリイミドに剛直性を持たせるために、R1の4個の結合部位は、芳香環上に直接存在することが好ましい。この場合、4個の結合部位は、同一の芳香環上に存在していてもよいが、2つ以上の芳香環を含む場合には、異なる芳香環上にそれぞれ別々に存在していてもよい。
また、R1が芳香族環を含む基である場合、これら複数の芳香族環は、単結合、エーテル結合、メチレン結合、エチレン結合、2,2−プロピレン結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、スルホン結合、スルホキシド結合、チオエーテル結合及びカルボニル結合から選択される1または2の結合を介して互いに結合することが、加熱処理後に形成されるポリイミド樹脂の耐熱性及び機械特性の向上の点から好ましい。
上記R1の好ましい具体例としては、ピロメリット酸、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンなどの芳香族系テトラカルボン酸由来の構造などが挙げられる。
上記一般式(1)中、R2は、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の少なくとも一方を有する2価の有機基であれば、特に限定はないが、テトラカルボン酸又はその誘導体と反応してポリイミド前駆体を形成し得る、ジアミン化合物の2つのアミノ基を除いた残基であることが好ましいが、ポリイミドに耐熱性を持たせるために、芳香族環を含む基であることがより好ましく、炭素数が6〜40(カルボキシル基を除いた炭素数)であることがさらに好ましい。ここで、芳香族環を含む基としては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族環を1つ以上含むものが挙げられる。R2が複数の芳香族環基を有する基である場合、R2の2個の結合部位は、ポリイミドに剛直性を持たせるために、芳香族環上に直接存在することが好ましい。この場合、2個の結合部位は、同一の芳香環上に存在していてもよいが、異なる環上にそれぞれ存在していても良い。
R2で示される基が複数の芳香環を含む基である場合、これら複数の芳香環基は、単結合、エーテル結合、メチレン結合、エチレン結合、2,2−プロピレン結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、スルホン結合、スルホキシド結合、チオエーテル結合及びカルボニル結合から選択される1または2の結合を介して結合することが、加熱処理後のポリイミド樹脂の耐熱性及び機械特性から好ましい。
上記R2が、ジアミン化合物の2つのアミノ基を除いた残基である場合のジアミン化合物としては、例えば、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノ−カルボキシフェニル)メチレン、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、3,3´−ジアミノ−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,5−ジアミノレゾルシノールなどを挙げることができる。
上記一般式(1)中、2つのR3は、1価の有機基であれば特に限定はないが、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましい。2つのR3は、同一あってもよく、互いに異なっていても良い。
上記2つのR3は、アルコール化合物をエステル結合させることにより導入される。このようなアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1−ペンタノールなどが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
上記構成の一般式(1)で表されるポリイミド前駆体は、該ポリイミド前駆体のR2が有するカルボキシル基とフェノール性水酸基との合計量が一般式(1)で示される繰り返し単位1モルあたり、0.3〜3モルであることが好ましい。カルボキシル基とフェノール性水酸基との合計量が少なすぎる場合は、アルカリ現像液に対して十分な溶解性を示さないおそれがあり、良好なポジ型感光性の機能を発揮することができないおそれがある。一方、カルボキシル基とフェノール性水酸基との合計量が多すぎると、現像時に膜減りが大きく、良好なパターンを形成できない。また、上記構成の一般式(1)で表されるポリイミド前駆体のR2は、カルボキシル基のみ、または、フェノール性水酸基のみを有していてもよい。
上記一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリアミド酸エステルは、例えば、上記に挙げたテトラカルボン酸のテトラカルボン酸二無水物から誘導されたテトラカルボン酸ジエステルハライドと、上記に挙げた、カルボキシル基およびフェノール性水酸基の少なくとも一方を有するジアミンとを反応させて得られる。ここで、ポリイミド酸エステルを形成するテトラカルボン酸およびジアミンは、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、反応は脱ハロゲン酸剤の存在下に、有機溶剤中で行うのが良い。
テトラカルボン酸ジエステルハライドとしては、テトラカルボン酸ジエステルクロリドが好ましい。テトラカルボン酸ジエステルクロリドはテトラカルボン酸二無水物とアルコールとを反応させて得られるテトラカルボン酸ジエステルと塩化チオニルとを反応させて得ることができる。
本発明に関するポリイミド前駆体の他の形態であるポリアミド酸は、好ましくは、一般式(2)で表される構造単位を有している。
ここで、上記(2)式中、R1は4価の有機基、R4は2価の有機基を示す。
上記一般式(2)中、R1は、4価の有機基であれば特に限定されない。一般式(2)におけるR1の好ましい態様は、前述の一般式(1)中のR1と同様であるので、一般式(2)におけるR1の好ましい態様については、前述の一般式(1)中のR1についての記載を参照するとして、詳しい説明は省略する。
上記一般式(2)中、R4は、2価の有機基であれば、特に限定はないが、テトラカルボン酸又はその誘導体と反応してポリイミド前駆体を形成し得るジアミン化合物の2つのアミノ基を除いた残基であることが好ましい。ここで、上記一般式(2)で示される繰り返し構造を有するポリイミド前駆体は、その繰り返し構造単位中に少なくとも2つのカルボキシル基を有しており、十分な酸性を示すので、このポリイミド前駆体は、アルカリ条件に対して可溶である。R4は、ポリイミドに耐熱性を持たせるために芳香環を含む基であることが好ましい。ここで、芳香環を含む基としては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環を1つ以上含むものが挙げられる。R4が芳香環を含む基である場合、R4の2個の結合部位は、ポリイミドに剛直性を持たせるために、芳香環上に直接存在することが好ましい。2つ以上の芳香環を有する場合、2個の結合部位は、同一の芳香環上に存在してもよいが、異なる環上にそれぞれ存在していてもよい。
R4で示される基が複数の芳香環を含む基である場合、これら複数の芳香環は、単結合、エーテル結合、メチレン結合、エチレン結合、2,2−プロピレン結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、スルホン結合、スルホキシド結合、チオエーテル結合及びカルボニル結合から選択される1または2の結合を介して結合することが、加熱処理後に形成されるポリイミド樹脂の耐熱性及び機械特性の向上の点から好ましい。
上記R2が、ジアミン化合物の2つのアミノ基を除いた残基である場合のジアミン化合物としては、例えば、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4´−ジアミノ−2,2´−ジメチルビフェニルなどを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
上記一般式(2)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリアミド酸を合成する方法は公知であり、例えば、前記テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を、極性溶媒中で反応させることにより得られる。
ポリイミド前駆体の好ましい形態として、一般式(1)で示されるポリアミド酸エステル、及び一般式(2)で示されるポリアミド酸を例として具体的に説明したが、ポリイミド前駆体は、加熱等によりイミド環を形成することが可能なものであれば他の構造を有するものであってもよく、このようなポリイミド前駆体の他の例としては、ポリアミド酸アミド、ポリアミド酸チオエステル、ポリアミド酸トリメチルシリルエステル等が挙げられる。
上記のポリベンゾオキサゾール前駆体は、好ましくは、一般式(3)で表される構造単位を有している。
ここで、上記(3)式中、R5は2価の有機基を示し、R6は芳香環を含む4価の有機基を示している。
上記一般式(3)中、R5は、2価の有機基であれば特に限定はないが、ポリベンゾオキサゾールに耐熱性を持たせるために、1つ以上の芳香環を含むことが好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環を1つ以上含むものが挙げられる。さらには、ポリベンゾオキサゾールに剛直性を持たせるために、R5の2個の結合部位は、芳香環上に直接存在することが好ましい。2つ以上の芳香環を有する場合、2個の結合部位は、同一の芳香環上に存在していてもよいが、異なる芳香環上にそれぞれ存在していてもよい。
また、R5が複数の芳香環を含む基である場合、これらの複数の芳香環は、単結合、エーテル結合、メチレン結合、エチレン結合、2,2−プロピレン結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、スルホン結合、スルホキシド結合、チオエーテル結合及びカルボニル結合から選択される1または2の結合を介して結合することが、加熱処理後に形成されるポリベンゾオキサゾール樹脂の耐熱性及び機械特性の向上の点から好ましい。
R5の好ましい具体例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサプロパン、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、4,4´−ジカルボキシフェニルエーテル、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系ジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸などの脂肪族系ジカルボン酸などといったジカルボン酸由来の構造などが挙げられ、これらは、上記のジカルボン酸を原料として形成される。R5を形成するために用いられるジカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(3)中、R6は芳香環を含む4価の有機基であれば、特に限定はないが、2つのアミノ基および2つの水酸基は、それぞれ、直接、芳香環に結合されて、2つの水酸基がフェノール性水酸基となっていることが必要であり、具体的には、ヒドロキシジアミンの2つの水酸基および2つのアミノ基を除いた残基であることが好ましい。さらに、耐熱性を持たせるために、R6は、1以上の芳香環を有するヒドロキシジアミンを原料として形成される。
上記R6を形成するために用いられるヒドロキシジアミンとしては、例えば、3,3´−ジアミノ−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、3,3´−ジアミノ−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,5−ジアミノレゾルシノールなどの芳香族系ジアミンが好ましいものとして挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(3)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリベンゾオキサゾール前駆体は、例えば、上記に示したジカルボン酸をハロゲン化したジカルボン酸ジハライドと上記のジヒドロキシジアミンとを反応させて得られる。
また、本発明のポジ型感光性樹脂前駆体においては、本発明の樹脂前駆体組成物によって形成される樹脂膜と基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲内でシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合させても良い。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどを1〜10モル%共重合させること等が挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、上記に示したポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される樹脂前駆体に加えて、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有している。
本発明に適した光酸発生剤は、紫外線等の化学線の照射によって強酸を発生する。このような光酸発生剤としては、例えば、トリハロメチル基で置換されたs−トリアジン誘導体、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族スルファミド、ジスルホン誘導体、イミドスルホネート誘導体、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが挙げられる。このような化合物は、必要に応じて2種以上併用したり、増感剤と組み合わせて使用したりすることができる。
ここに示した光酸発生剤は、紫外線等の化学線の照射によって、塩酸、HPF6、HBF4、CF3SO3H、ベンゼンスルホン酸等の強酸を発生する。これらは、いずれも、その酸性度をpKa(水中、25℃)を指標として表したとき、pKaが1以下となる強酸である。
光酸発生剤は、樹脂前駆体100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部、より好ましくは1〜20重量部が添加される。
本発明に適した、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体は、露光等により光酸発生剤から発生した酸を触媒として、酸不安定性基が分解反応を起こして、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸を生成して露光部のアルカリ水溶液への溶解速度を増大させる機能を有する。
酸誘導体が有する酸不安定性基としては、上記光酸発生剤が発生する酸の作用で分解し、水素原子に変換し得るものであるとともに、樹脂前駆体が有する弱酸性基が示す弱酸性によっては分解しないものである必要がある。
ここで、樹脂前駆体が有する弱酸性基であるカルボキシル基またはフェノール性水酸基の酸性度は、一般にpKaが3以上であり、特に多数の電子吸引性の置換基がない場合、上記の光酸発生剤が発生する強酸の酸性度に比較して酸性度が小さいものである。
酸不安定性基の酸による分解反応は、酸触媒加水分解反応であり、反応速度は、水素イオン濃度[H+]に比例すると考えられ、カルボキシル基等の弱酸性でも加水分解は起こり得るが、上記光酸発生剤が紫外線等の照射により酸が発生したときの水素イオン濃度[H+]と比較すると、その水素イオン濃度[H+]が非常に低くなると考えられ、反応速度の差は極端に大きくなるので、露光工程、プリベーク工程では、実質的に、カルボキシル基等の影響は無視することができる。
酸誘導体が有する酸不安定性基としては、上記要件を満足するものとして、例えば、3級アルキル基、1−アルコキシエチル基、アルキルシリル基、アルコキシメチル基などが挙げられる。これらは、カルボキシル基の保護基として知られているものである。
具体的には、t−ブチル基、t−アミル基などの3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基などの1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基などのアルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリメチルシリル基、ベンジル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい基は、t−ブチル基とテトラヒドロピラニル基である。
酸誘導体を構成するコール酸、デオキシコール酸、またはリトコール酸のそれぞれが有する1〜3個の水酸基は、その一部または全部が置換基で保護されていてもよい。水酸基を保護するための好ましい置換基としては、メチルカルボニルなどの低級アルキルカルボニル基やトリハロメチルカルボニル基(例えば、トリフルオロメチルカルボニル基)などの低級ハロアルキルカルボニル基などが挙げられる。具体的には、アセチル基およびトリフルオロアセチル基が好ましい。
酸誘導体は、樹脂前駆体100重量部に対して、好ましくは、2〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部が添加される。
また、本発明の樹脂前駆体組成物においては、本発明の組成物の塗膜または加熱処理後の樹脂膜と基板との接着性を向上させるために、接着促進剤を用いることができる。
接着促進剤としては、有機シラン化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、珪素含有ポリアミド酸などが好ましい。さらに、基板との接着性、感度、解像度、耐熱性などを損なわない範囲で他の添加物を含有させても良い。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、溶媒に溶解して溶液状態で得ることができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、γ−ブチロラクトンなどを用いることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、スピンコート法などによって、シリコンウェハ、金属基板、セラミック基板などの基材表面に塗布し、加熱して溶剤の大部分を除くことにより、基材表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、4〜50μmであることが好ましい。
この塗膜に、所定のパターンを有するマスクを通して、紫外線、可視光線、X線、電子線などの化学線を照射して、パターン状に露光後、膜の未露光部分を、適切な現像液で現像して除去することにより、所望のパターン化された膜を得ることができる。
化学線照射装置として、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを照射可能な投影機や線源を使用することができる。
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩アルカリ類の水溶液およびこれにメタノール、エタノールのようなアルコール類などの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適量添加した水溶液を好適に使用することができる。
上記現像の後に、必要に応じて、水又は貧溶媒で洗浄し、ついで約100℃前後で乾燥し、パターンを安定化することが望ましい。パターンを形成させた膜を加熱して、優れた耐熱性、機械特性、電気特性を有する膜を得ることができる。
加熱温度は、150〜500℃が好ましく、300〜450℃がさらに好ましい。加熱時間は0.05〜10時間が好ましい。加熱処理は通常、段階的または連続的に昇温しながら行う。
(作用)
本発明は、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有することにより、露光により、光酸発生剤が酸を発生し、光酸発生剤が発生した酸によって、酸誘導体の酸不安定性基が分解し、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸に変化して露光部がアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大し、樹脂前駆体自体も酸性を示す基(フェノール性水酸基及びカルボキシル基の少なくとも一方)を有して、露光部のみがアルカリ条件で除かれることによりポジ型として機能することに基づいており、露光感度が良好で、耐熱性に優れた樹脂膜が得られる。
本発明は、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有することにより、露光により、光酸発生剤が酸を発生し、光酸発生剤が発生した酸によって、酸誘導体の酸不安定性基が分解し、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸に変化して露光部がアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大し、樹脂前駆体自体も酸性を示す基(フェノール性水酸基及びカルボキシル基の少なくとも一方)を有して、露光部のみがアルカリ条件で除かれることによりポジ型として機能することに基づいており、露光感度が良好で、耐熱性に優れた樹脂膜が得られる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(合成例1)
攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ1に、1モルの4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、2.1モルのn−プロピルアルコールおよび2LのN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と記載する)を加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの3,3´,4,4´−ジアミノフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−プロピルエステルを得た。次にフラスコ1を5℃に冷却した後、2.1モルの塩化チオニルを滴下し、1時間反応させて、3,3´,4,4´−ジアミノフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−プロピルエステルジクロリドの溶液を得た。
攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ1に、1モルの4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、2.1モルのn−プロピルアルコールおよび2LのN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と記載する)を加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの3,3´,4,4´−ジアミノフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−プロピルエステルを得た。次にフラスコ1を5℃に冷却した後、2.1モルの塩化チオニルを滴下し、1時間反応させて、3,3´,4,4´−ジアミノフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−プロピルエステルジクロリドの溶液を得た。
次いで、攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ2に2LのNMPを仕込み、1モルのビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを添加し、攪拌溶解した後、2.1モルのピリジンを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,3´,4,4´−ジアミノフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−プロピルエステルジクロリドの溶液を1時間で滴下した後、溶液を水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥し、ポリアミド酸エステル(ポリマー1)を得た。
(合成例2)
攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ1に、2LのNMPと1.1モルの2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを入れて、このフラスコ内を窒素で静かに30分間パージした。反応系を0〜5℃に冷却し、1モルの4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物を添加し、室温にて10時間攪拌し、ポリアミド酸(ポリマー2)を得た。
攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ1に、2LのNMPと1.1モルの2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを入れて、このフラスコ内を窒素で静かに30分間パージした。反応系を0〜5℃に冷却し、1モルの4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物を添加し、室温にて10時間攪拌し、ポリアミド酸(ポリマー2)を得た。
(合成例3)
攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ1に2Lのフラスコ中に、NMPと4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸を仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニルを滴下し、1時間反応させて、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド溶液を得た。次いで、攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ2に、NMPを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを添加し、攪拌溶解した後、ピリジンを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を1時間で滴下した後、4Lの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミド(ポリマー3)を得た。
攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ1に2Lのフラスコ中に、NMPと4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸を仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニルを滴下し、1時間反応させて、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド溶液を得た。次いで、攪拌装置および冷却管を備えたフラスコ2に、NMPを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを添加し、攪拌溶解した後、ピリジンを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を1時間で滴下した後、4Lの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミド(ポリマー3)を得た。
(酸誘導体の合成)
300mlの三口フラスコにメカニカルスターラーとジムロート、マントルヒーターを装備した。三口フラスコに100mlのN,N−ジメチルホルムアミドとコール酸15mmolを加え、300rpmの回転速度で攪拌し、次に、15mmolの3,4−ジヒドロ−α−ピランを加え、さらに、p−トルエンスルホン酸を15mmol添加し、室温で一晩攪拌した。生じた沈殿をろ別し、水洗し、エタノール/水(1/1)180mlで再結晶し、真空乾燥することにより、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したコール酸誘導体(以下、酸誘導体1と称する。)を得た。同様の方法により、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したジアセチルコール酸誘導体(酸誘導体2)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したトリアセチルコール酸誘導体(酸誘導体3)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したデオキシコール酸誘導体(酸誘導体4)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したリトコール酸誘導体(酸誘導体5)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したアセチルリトコール酸誘導体(酸誘導体6)、及びテトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したトリフルオロアセチルリトコール酸誘導体(酸誘導体7)を得た。
300mlの三口フラスコにメカニカルスターラーとジムロート、マントルヒーターを装備した。三口フラスコに100mlのN,N−ジメチルホルムアミドとコール酸15mmolを加え、300rpmの回転速度で攪拌し、次に、15mmolの3,4−ジヒドロ−α−ピランを加え、さらに、p−トルエンスルホン酸を15mmol添加し、室温で一晩攪拌した。生じた沈殿をろ別し、水洗し、エタノール/水(1/1)180mlで再結晶し、真空乾燥することにより、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したコール酸誘導体(以下、酸誘導体1と称する。)を得た。同様の方法により、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したジアセチルコール酸誘導体(酸誘導体2)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したトリアセチルコール酸誘導体(酸誘導体3)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したデオキシコール酸誘導体(酸誘導体4)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したリトコール酸誘導体(酸誘導体5)、テトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したアセチルリトコール酸誘導体(酸誘導体6)、及びテトラヒドロピラニル基でカルボキシル基の水素原子を置換したトリフルオロアセチルリトコール酸誘導体(酸誘導体7)を得た。
(実施例1)
合成例1で得られたポリマー1を100重量部、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート3重量部、酸誘導体1の25重量部をNMPに溶解させ、感光性樹脂組成物のワニスを得た。スピンコーターでシリンウェハ上にワニスを回転塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間乾燥させ、10μmの塗膜を得た。この塗膜をマスク(1〜50μmの残しパターンおよび抜きパターン)を通して、超高圧水銀灯を用いて紫外線を照射した後、120℃で2分間加熱した。そして2.3%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像した後、水でリンスし、乾燥した。その結果、露光量450mJ/cm2の照射で良好なパターンが形成され、残膜率は88%であった。また、現像後の外観も良好であった。さらに、200℃で30分間、次いで、400℃で60分間の熱処理を行い、良好なポリイミド膜が得られた。
合成例1で得られたポリマー1を100重量部、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート3重量部、酸誘導体1の25重量部をNMPに溶解させ、感光性樹脂組成物のワニスを得た。スピンコーターでシリンウェハ上にワニスを回転塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間乾燥させ、10μmの塗膜を得た。この塗膜をマスク(1〜50μmの残しパターンおよび抜きパターン)を通して、超高圧水銀灯を用いて紫外線を照射した後、120℃で2分間加熱した。そして2.3%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像した後、水でリンスし、乾燥した。その結果、露光量450mJ/cm2の照射で良好なパターンが形成され、残膜率は88%であった。また、現像後の外観も良好であった。さらに、200℃で30分間、次いで、400℃で60分間の熱処理を行い、良好なポリイミド膜が得られた。
(実施例2〜7)
実施例1において用いた酸誘導体1の代わりに、酸誘導体2〜7を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
実施例1において用いた酸誘導体1の代わりに、酸誘導体2〜7を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
(実施例8〜14)
酸誘導体として酸誘導体1〜7を用い、実施例1において用いたポリマー1の代わりにポリマー2を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
酸誘導体として酸誘導体1〜7を用い、実施例1において用いたポリマー1の代わりにポリマー2を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
(実施例15〜22)
酸誘導体として酸誘導体1〜7を用い、実施例1において用いたポリマー1の代わりにポリマー3を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
酸誘導体として酸誘導体1〜7を用い、実施例1において用いたポリマー1の代わりにポリマー3を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例1〜2)
実施例1において用いたポリマー1〜2を用い、光酸発生剤としてのジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート3重量部と酸誘導体1の25重量部の代わりに、25重量部の2,3,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドを1/3のモル比で反応させた化合物(ナフトキノンジアジド化合物1)を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
実施例1において用いたポリマー1〜2を用い、光酸発生剤としてのジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート3重量部と酸誘導体1の25重量部の代わりに、25重量部の2,3,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドを1/3のモル比で反応させた化合物(ナフトキノンジアジド化合物1)を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
実施例1〜21、比較例1〜2の評価結果については以下の表1に示した。表1中、「感度」とは、解像度10μmのパターン形成のために要する露光量であり、現像後の膜の外観評価は、露光部の現像残りがなく、パターンのエッジが平滑であれば、「良好」と評価した。残膜率の算定・算出は、以下の方法により行った。
残膜率(%)={(現像後の未露光部の膜厚)/(現像前の未露光部の膜厚)}×100
残膜率(%)={(現像後の未露光部の膜厚)/(現像前の未露光部の膜厚)}×100
以上の表1に示される結果によると、実施例1〜21は、感度及び残膜率及び現像後の外観のすべてが良好であった。これに対して、ポリマー1を用いた比較例1を参照すると、残膜率および現像後外観が実施例1〜7と同程度の値が得られたものの、感度が650mJ/cm2であり、同じくポリマー1を用いた実施例1〜7において、感度が400〜450mJ/cm2であったことに比較して好ましくない結果が得られた。また、ポリマー2を用いた比較例2を参照すると、同じくポリマー2を用いた実施例8〜14に比較して、感度及び現像後外観において、好ましい結果が得られなかった。このことから、本発明に係るポジ型感光性樹脂前駆体組成物から得られる樹脂が、露光感度及びパターン形状において優れていることが分かる。
本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、半導体デバイスなどの製造での電気、電子絶縁材料として、詳しくは、ICやLSIなどの半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜などに用いられ、特に、微細パターンの加工が必要とされるものなどに好適に利用できる。
Claims (5)
- アルカリ条件で可溶性を示す弱酸性の弱酸性基を含有するポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される樹脂前駆体と、光酸発生剤と、コール酸又はデオキシコール酸又はリトコール酸のカルボキシル基の水素原子を酸不安定性基により置換することにより構成された酸誘導体とを含有し、該酸不安定性基は、該光酸発生剤が発生する酸によって分解するが、該弱酸性基の酸性によっては実質上分解しないことを特徴とするポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
- 前記弱酸性基は、カルボキシル基及びフェノール性水酸基の少なくとも一方である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
- 前記一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有するポリイミド前駆体のR2が有するカルボキシル基とフェノール性水酸基との合計量が一般式(1)で示される繰り返し単位1モルあたり、0.3〜3モルである、請求項3に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
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