JP2006017224A - 摺動式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外方継手部材にブーツアダプタを嵌合させる際の内圧上昇を抑制すること。
【解決手段】 外方継手部材10の外周部であってブーツアダプタ42の嵌合部46との嵌合終端側に、ブーツアダプタ42の嵌合部46に気密に嵌合させるシール部14を設けると共に、外方継手部材10のシール部14よりも開口端側の領域に、シール部14の外径より小径に形成した小径部18を設け、外方継手部材10の小径部18とブーツアダプタ42の嵌合部46との間に隙間を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、入出力軸の角度変位及び軸方向変位を許容しつつ入出力軸間でトルクの伝達を可能にした摺動式等速自在継手に関し、より詳しくは異物侵入や潤滑剤漏れを防止するためのブーツを備えたものに関するものである。
図5及び図6は、摺動式等速自在継手の一種であるトリポード型等速自在継手を示している。以下、図5及び図6を参照しつつ従来の摺動式等速自在継手について説明する。トリポード型等速自在継手は、図5及び図6に示すように、円筒状内周面11に軸線方向に延びる三つの直線状トラック溝12を形成し、各直線状トラック溝12の周方向両側にローラ案内面13を設けた外方継手部材10と、半径方向に三つの脚軸21を突設したトリポード部材22を外方継手部材10に挿入すると共に、トリポード部材22から外方継手部材10の外部へシャフト23を延在させた内方継手部材20と、外方継手部材10の直線状トラック溝12に挿入されるローラ31をトリポード部材22の脚軸21に針状ころ32を介して回転自在に外嵌させたローラアセンブリ30とを主要な構成要素としている。
上記のトリポード型等速自在継手は、外方継手部材10及び内方継手部材20に角度変位をつけた状態でトルクを付与すると、内方継手部材20の回転に伴ってローラアセンブリ30が外方継手部材10のローラ案内面13に沿って往復移動する。このとき、ローラ案内面13とローラ31の間に異物が侵入すると、両者の摩擦抵抗が大きくなり、外方継手部材10及び内方継手部材20間でのトルク伝達に支障をきたすおそれがある。また、継手内部に潤滑剤を充填して使用するものにあっては、継手内部から潤滑剤が漏れることによって潤滑不良が発生し、外方継手部材10及び内方継手部材20間でのトルク伝達に支障をきたすおそれがある。このような異物侵入や潤滑剤漏れを防止するために、上記のトリポード型等速自在継手は、ブーツ40によって継手内部を密封している。
ブーツ40は、図5に示すように、ゴムや合成樹脂等の弾性材からなるブーツ本体41と、ブーツ本体41と外方継手部材10の間に介在させるブーツアダプタ42とを有する。ブーツ本体41は、断面略U字形状でかつ環状に形成され、内周端部43をブーツバンド44によって内方継手部材20のシャフト23に締付け固定してある。ブーツアダプタ42は、略円筒形状に形成され、片端側をブーツ本体41の外周端部45に加締め固定する一方、図5の部分拡大図に示すように、他端側に形成された嵌合部46を外方継手部材10のシール部14に気密に嵌合させると共に、嵌合部46から延設された加締め部47を内径側に加締めて外方継手部材10の加締め承部15に係合させてある。
また、外方継手部材10は、図5の部分拡大図に示すように、シール部14に形成された環状溝16に、ゴムや合成樹脂等の弾性材からなるOリング17を装着してブーツアダプタ42との気密性を高めてある。
なお、上記従来例では、トリポード型等速自在継手に対するブーツの取付け構造を挙げているが、特許文献1(特開2003−056590号公報)には、摺動式等速自在継手の一種であるレブロ型等速自在継手に対するブーツの取付け構造として、上記従来例のものとほぼ同じものが開示されている。レブロ型等速自在継手は、円筒状内周面に複数の直線状トラック溝を形成した外方継手部材と、外方継手部材の直線状トラック溝と対向する複数の直線状トラック溝を凸球状外周面に形成した内方継手部材と、外方継手部材の直線状トラック溝と内方継手部材の直線状トラック溝の交叉部に介在させる複数のボールと、ボールを保持しつつ外方継手部材及び内方継手部材間の環状空間に収容される保持器とを備えたものである。
特開2003−056590号公報
ところで、従来の摺動式等速自在継手は、外方継手部材10にトリポード部材22とローラアセンブリ30(レブロ型の場合は、内輪とボール)を組付けた状態で、ブーツ本体41が嵌合されたシャフト23をトリポード部材22(レブロ型の場合は、内輪)の内周部に圧入嵌合させると共に、ブーツアダプタ42を外方継手部材10のシール部14に圧入嵌合させて組み立てられる。このとき、ブーツアダプタ42の嵌合部46が外方継手部材10のシール部14に摺接して継手内部が密封されるので、ブーツアダプタ42を外方継手部材10の開口端部から嵌合終端側まで圧入すると、継手内部の空気が圧縮されて内圧が上昇する。ブーツ本体41は、継手の内圧上昇により、図5の破線で示すように、断面形状が略C字形状に変形する。このようにブーツ本体41が変形した状態で、外方継手部材10及び内方継手部材20を軸方向に相対移動させたり、外方継手部材10及び内方継手部材20に角度変位をつけてトルクを付与すると、ブーツ本体41が折れや反転により内方継手部材20のシャフト23に擦れて摩耗したり、ブーツ本体41に亀裂が発生し耐久性が低下する。
従来は、ブーツ本体41とシャフト23の嵌合部位に工具を挿入し、ブーツ本体41とシャフト23の間に生じた隙間から継手内部の空気を抜いて内圧を減圧させ、ブーツ本体41を変形前の元の形状に戻すようにしている。かかる減圧作業によりブーツ本体41の摩耗を抑制してブーツ本体41の寿命を延ばすことができる反面、工具によってブーツ本体41及びシャフト23が傷付けられ、継手の気密性を損なうおそれがある。
本発明は、斯かる実情に鑑み創案されたものであって、その目的は、ブーツ本体の耐久性を向上させるために、継手組立て時の内圧上昇を抑制した摺動式等速自在継手を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、外方継手部材と該外方継手部材の内部に組込まれる内方継手部材との間で、角度変位及び軸方向変位を許容しつつトルク伝達可能に構成した摺動式等速自在継手であって、弾性材からなるブーツ本体の一端にブーツアダプタを取付けたブーツを具備し、外方継手部材の外周部にブーツアダプタを嵌合すると共に内方継手部材から外方継手部材の外部へ延在させたシャフトにブーツ本体を嵌合して継手内部を密封したものにおいて、外方継手部材の外周部であってブーツアダプタの嵌合部との嵌合終端側に、ブーツアダプタの嵌合部に気密に嵌合させるシール部を設けると共に、外方継手部材のシール部よりも開口端側の領域に、シール部の外径より小径に形成した小径部を設け、外方継手部材の小径部とブーツアダプタの嵌合部との間に隙間を形成したことを特徴としている。
上記の摺動式等速自在継手は、外方継手部材の小径部の外径をシール部の外径よりも小径に形成して、外方継手部材の小径部とブーツアダプタの嵌合部との間に隙間を設けてあるので、ブーツアダプタを外方継手部材のシール部に嵌合させるまでの間は継手内外が連通して内圧が上昇しない。すなわち、上記の摺動式等速自在継手は、外方継手部材とブーツアダプタの嵌合長さが従来の摺動式等速自在継手と同じであれば、ブーツアダプタの嵌合部のうち外方継手部材の小径部に対応する部位の容積分だけ継手内部の空気が圧縮されない。したがって、外方継手部材にブーツアダプタを嵌合する際のブーツ本体の変形が抑制される。
本発明に係る摺動式等速自在継手は、上記の如く、外方継手部材のシール部よりも開口端側にシール部の外径よりも小径に形成した小径部を設け、外方継手部材の小径部とブーツアダプタの嵌合部との間に隙間を形成してあるので、ブーツアダプタの嵌合部のうち外方継手部材の小径部に対応する部位の容積分だけ継手内部の空気が圧縮されず、継手の内圧上昇によるブーツ本体の変形を抑制することができる。これによりブーツ本体が内方継手部材のシャフトに擦れて摩耗するのを抑制して、ブーツ本体の耐久性を向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明を摺動式等速自在継手の一種であるトリポード型等速自在継手に適用した一実施形態を示す断面図である。図1に示すトリポード型等速自在継手は、従来例と同様に、外方継手部材10、内方継手部材20及びローラアセンブリ30を主要な構成要素とし、外方継手部材10の外周部と内方継手部材20のシャフト23にブーツ40を嵌合して継手内部を密封してある。なお、本実施形態における内方継手部材20、ローラアセンブリ30及びブーツ40の構成は従来例と同じであるから、これらについては、従来例と同一符号を付して詳しい説明を省略し、以下、従来例との相違点を有する外方継手部材10について説明する。
外方継手部材10は、ブーツアダプタ42の嵌合部46との嵌合終端側に、ブーツアダプタ42の嵌合部46に気密に嵌合させるシール部14を設けると共に、シール部14よりも開口端側の領域に、シール部14の外径より小径の段差状に形成した小径部18を設けてある。シール部14は、円筒形状に形成されたブーツアダプタ42の嵌合部46の内径と略同径に形成され、ブーツアダプタ42の嵌合部46に対して気密に嵌合される。小径部18は、ブーツアダプタ42の嵌合ガタを抑制するために、ブーツアダプタ42の嵌合部46の内径よりもやや小径に形成され、ブーツアダプタ42の嵌合部46との間に通気可能な微小隙間が形成される。
上記のトリポード型等速自在継手は、外方継手部材10及びブーツアダプタ42を嵌合させるに際し、ブーツアダプタ42の嵌合部46が外方継手部材10の開口端からシール部14に到達するまでの間は、図2に示すように、外方継手部材10の小径部18及びブーツアダプタ42の嵌合部46間に形成される微小隙間によって継手内外が連通しているので、内圧が上昇しない。これにより、外方継手部材10の嵌合終端までブーツアダプタ42を嵌合させると、ブーツアダプタ42の嵌合部46のうち外方継手部材10の小径部18に対応する部位の容積分だけ継手内部の空気が圧縮されず、継手の内圧上昇によるブーツ本体41の変形を抑制することができる。したがって、ブーツ本体41が内方継手部材20のシャフト23に擦れて摩耗するのが抑制され、ブーツ本体41の耐久性を向上させることができる。
また、上記のトリポード型等速自在継手は、ブーツアダプタ42を外方継手部材10のシール部14に嵌合させるまでの間、ブーツアダプタ42に圧入荷重が負荷されない。これにより、外方継手部材10に対する嵌合時にブーツアダプタ42に負荷される累積荷重が軽減されるので、ブーツアダプタ42の圧入荷重に対する強度を低減させても外方継手部材10に嵌合する際にブーツアダプタ42が損傷し難くなる。したがって、ブーツアダプタ42の薄肉軽量化を図ることが可能になる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば上記実施形態では、外方継手部材10の小径部18をシール部14よりも小径の段差状に形成してあるが、外方継手部材10の小径部18は、シール部14よりも小径であればよいから、図3に示すように、テーパー状に形成することも可能である。
また、上記実施形態では、ブーツアダプタ42の嵌合部46の嵌合ガタを抑制するために、外方継手部材10の小径部18の外径をシール部14の外径よりもやや小径に形成してあるが、例えば図4に示すように、外方継手部材10の小径部18に複数のリブ19,19,…を突設することで、ブーツアダプタ42の嵌合部46の嵌合ガタが抑制されるから、外方継手部材10の小径部18をさらに小径に形成することも可能である。なお、リブ19,19,…は、突条の如くブーツアダプタ42を線支持するものであってもよいし、ピンの如く点支持するものであってもよい。
また、上記実施形態では、摺動式等速自在継手として、ローラアセンブリ30がシングルローラタイプであるトリポード型等速自在継手を挙げて説明しているが、本発明は、ローラアセンブリ30がダブルローラタイプであるトリポード型等速自在継手や、レブロ型など他の摺動式等速自在継手にも適用することが可能である。
本発明を摺動式等速自在継手の一種であるトリポード型等速自在継手に適用した一実施形態に示す断面図及びその部分拡大図である。 外方継手部材に対するブーツアダプタの組付け説明図である。 本発明に係る摺動式等速自在継手の変形例を示す要部拡大断面図である。 本発明に係る摺動式等速自在継手の変形例を示す要部拡大断面図である。 従来の摺動式等速自在継手の一例を示す軸線方向の断面図である。 従来の摺動式等速自在継手の一例を示す軸線直交方向の断面図である。
符号の説明
10 外方継手部材
14 シール部
18 小径部
20 内方継手部材
21 脚軸
40 ブーツ
41 ブーツ本体
42 ブーツアダプタ
46 ブーツアダプタの嵌合部

Claims (1)

  1. 外方継手部材と該外方継手部材の内部に組込まれる内方継手部材との間で、角度変位及び軸方向変位を許容しつつトルク伝達可能に構成した摺動式等速自在継手であって、弾性材からなるブーツ本体の一端にブーツアダプタを取付けたブーツを具備し、外方継手部材の外周部にブーツアダプタを嵌合すると共に内方継手部材から外方継手部材の外部へ延在させたシャフトにブーツ本体を嵌合して継手内部を密封したものにおいて、
    外方継手部材の外周部であってブーツアダプタの嵌合部との嵌合終端側に、ブーツアダプタの嵌合部に気密に嵌合させるシール部を設けると共に、外方継手部材のシール部よりも開口端側の領域に、シール部の外径より小径に形成した小径部を設け、外方継手部材の小径部とブーツアダプタの嵌合部との間に隙間を形成したことを特徴とする摺動式等速自在継手。
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