JP2006015726A - 可逆熱変色性記録材及びそれを用いた可逆熱変色性表示体 - Google Patents

可逆熱変色性記録材及びそれを用いた可逆熱変色性表示体 Download PDF

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Abstract

【課題】 繰り返しの使用によっても熱変色機能を永続して発現させることができると共に、形成される像は解像度が高く明瞭なものであり、実用性に優れた可逆熱変色性記録材と、前記記録材と加熱及び/又は冷熱装置を組み合わせた商品性の高い可逆熱変色性表示体を提供する。
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層を設けてなり、前記顔料の平均粒子径は1.5〜20μmの範囲にあり、且つ、40μmを越える粒子が全顔料中の5体積%未満であり、1μm未満の粒子が全顔料中の10体積%未満である可逆熱変色性記録材、及び、前記記録材と像を形成又は消去する加熱及び/又は冷熱装置とからなる可逆熱変色性表示体。
【選択図】 なし

Description

本発明は可逆熱変色性記録材及びそれを用いた可逆熱変色性表示体に関する。更に詳細には、加熱又は冷熱手段の適用により像を形成した状態、或いは、消去した状態のいずれかを保持できる機能を備えた可逆熱変色性記録材及びそれを用いた可逆熱変色性表示体に関する。
従来より、記録紙に像を形成できる手段としては、感熱記録紙に加熱印字装置の適用により像を形成する方法や、紙面に熱転写インクリボンを用いた印字装置やインクジェット式印字装置を用いて像を形成する方法がある。
しかしながら、前記方法は記録紙に形成した像を消去できるものではなく、よって、記録紙を再利用して資源の節約を図ることはできなかった。
また、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体である化合物からなる感温変色性色彩記憶性組成物を用いた記録材としては、ワードプロセッサ用試し刷り用紙が開示されており(例えば、特許文献1参照)、変色温度より低温側の色と高温側の色のいずれかを常温域において選択的に保持できるうえ、必要に応じて熱又は冷熱を適用することにより互変的に保持させることができ、繰り返し使用できるものの、耐久性に乏しく、数回の使用で熱変色機能が損なわれると共に、形成する像の解像度が低く、明瞭な像を形成でき難いものであった。
実開平6−36862号公報
本発明は、温度変化により繰り返し像を形成した状態と消去した状態を択一的に保持できる感熱記録材の実用性を高めようとするものであって、即ち、繰り返し使用しても熱変色機能を損なうことのない耐久性を有し、且つ、解像度の高い明瞭な像を永続して形成することのできる可逆熱変色性記録材及びそれを用いた可逆熱変色性表示体を提供しようとするものである。
本発明は、熱又は冷熱の適用により、相異なる色彩に互変的に変位させることができ、変位した何れかの色彩が常温域において択一的に記憶保持される記録材であって、前記記録材は、支持体上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層を設けてなり、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.5〜20μmの範囲にあり、且つ、40μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中の5体積%未満であり、1μm未満の粒子が全マイクロカプセル顔料中の10体積%未満である可逆熱変色性記録材を要件とする。
更には、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体が、下記一般式(1)で示されるエステル化合物であること、
Figure 2006015726
(式中、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
前記(ロ)電子受容性化合物が少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、一般式(2)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物であること、
Figure 2006015726
(式中、Rは炭素数1乃至8のアルキル基を示す。)
色濃度−温度曲線に関して40℃乃至70℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること、色濃度−温度曲線に関して、完全消色温度(T)が40℃以上であり、且つ、発色開始温度(T)が20℃以下であること、前記可逆熱変色層上に保護層を設けてなること、前記可逆熱変色層の厚みが3〜100μmであり、且つ、保護層が前記可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みであること、前記可逆熱変色層の厚みが5〜50μmであり、且つ、保護層が前記可逆熱変色層の0.2〜2倍の厚みであること、前記保護層が少なくとも2以上の層から形成され、最上層は紫外線硬化樹脂層であり、且つ、下層に光安定剤を含む層を設けてなること等を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性記録材と、前記可逆熱変色性記録材に像を形成又は消去する加熱及び/又は冷熱装置とからなる可逆熱変色性表示体を要件とする。
本発明は、可逆熱変色層中に含まれる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の平均粒子径が1.5〜20μmの範囲にあり、且つ、40μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中の5体積%未満であり、1μm未満の粒子が全マイクロカプセル顔料中の10体積%未満であることによって、繰り返しの使用によっても熱変色機能を永続して発現させることができると共に、形成される像は解像度が高く明瞭なものであり、実用性に優れた可逆熱変色性記録材と、前記可逆熱変色性記録材と像を形成又は消去する加熱及び/又は冷熱装置を組み合わせた商品性の高い可逆熱変色性表示体を提供できる。
以下に本発明に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を図1のグラフによって説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる最高温度T3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する最高温度T(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は前記TとT間の温度域であり、発色状態と消色状態の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるTとT間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
本発明で好適に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の変色前後の各状態の保持できるΔH値は40℃乃至70℃の範囲であり、好ましくは50乃至70℃、更に好ましくは60乃至70℃である。
又、前記において、発色状態と消色状態の二相が実質的に保持され、実用に供される温度、即ち、Tを含むTとTの間の温度幅は20℃以上60℃未満の範囲が有効である。
更に、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態のみ存在させるためには、完全消色温度(T)が40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上であり、且つ、最低保持温度(T)が20℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは−5℃以下である。
ここで、TとTの差、或いは、TとTの差であるΔtが変色の鋭敏性を示す尺度である。
以下に感温変色性色彩記憶性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、従来より公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
なお、前記フェノール性水酸基を有する化合物として、少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上、好ましくは分子量が250乃至500のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、一般式(2)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物を用いると、消色状態から発色状態に移行する際の変色感度をより鋭敏にすることができる。具体的には、図2に示すように完全消色状態を示す温度(T)から発色を開始する温度(T)を経て完全発色温度を示す温度(T)に達する際の変色挙動において、発色を開始する温度(T)が高温側にシフトして徐々に発色する挙動を示さず、図1のように発色を開始する温度(T)と完全発色温度を示す温度(T)の温度差が小さく、消色状態から発色状態に鋭敏に移行する挙動を示し易くなる。
前記少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェノール)メチル〕−4−メチルフェノール、
4,4′−〔1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン〕ビスフェノール、
4,4′,4″−エチリデントリス〔2−メチルフェノール〕、
4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス[2,3,6−トリフェニルフェノール]、
2,2−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、
2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、
4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
2,4−ビス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェノール)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、
4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、
4,4′−[(3,4−ジ−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、
5,5′−(1−メチルエチリデン)ビス[1−フェニル−2−オール]、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、
4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、
4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、
5,5′−(1,1−シクロヘキシリデン)ビス−[1−ビフェニル−2−オール]等が挙げられる。
前記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物としては、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ペンチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘプチル−4−ヒドキシフェニル)スルフィド、ビス(5−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
次に(ハ)成分のエステル化合物について具体的に例示する。
前記(ハ)成分としては、特公平4−17154号公報に開示した、5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
また、特開2004−107367号公報に開示した、1−,10−デカメチレンジカルボン酸、1−,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1−,12−ドデカメチレンジカルボン酸、1−,13−トリデカメチレンジカルボン酸、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸、1−,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸、1−,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸、1−,20−エイコサメチレンジカルボン酸から選ばれる炭素数12以上の飽和直鎖二塩基酸と、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−イソプロピルベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチルアルコール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−2−ブタノール、p−クロロベンジルアルコールから選ばれる分子内に芳香環を有する一価アルコールとから構成されるジエステル類を用いることもできる。
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
本発明で特に好適に用いられる(ハ)成分は、分子内に芳香環を2個有するアルコール化合物と、炭素数4以上の飽和又は不飽和脂肪酸とから構成される一般式(1)で示される化合物である。
式中のRは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数6〜20のアルキル基、更に好ましくは炭素数8〜18のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、ブタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、エイコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナコサン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリアコンタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘントリアコンタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
本発明における(イ)、(ロ)、(ハ)3成分の構成成分割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
又、各成分は各々二種以上の混合であってもよく、機能に支障のない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤等を添加することができる。
前記三成分からなる均質相溶混合物はマイクロカプセルに内包して使用される。それは、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるためであり、種々の使用条件において感温変色性色彩記憶性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径1.5〜20μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは、2〜10μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは、最大外径の平均値が、20μmを越える系では、インキ、塗料への使用に対して、分散安定性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が1.5μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
更に、前記マイクロカプセル顔料中の40μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中の5体積%未満、好ましくは3体積%未満、より好ましくは1体積%未満であり、1μm未満の粒子が全マイクロカプセル顔料中の10体積%未満、好ましくは8体積%未満である。
40μmを越える粒子が顔料中5体積%を越えると、印字装置を用いて標準的な解像度(600dpi、42μm/dot)で像を形成した際、像の輪郭部分に粒子径の大きい顔料が存在する割合が多くなるため、輪郭がくずれて明瞭な像を形成でき難くなる。
また、1μm未満の粒子が顔料中10体積%を越えると、印字装置を用いて像を形成する際、熱による劣化を生じ易くなり、熱変色機能の耐久性を満足させ難くなる。
なお、前記マイクロカプセルの体積分布を個数分布で表すと、大凡、30μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中の5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満であり、1μm未満の粒子が全マイクロカプセル顔料中の30%未満、好ましくは15%未満の範囲になる。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲が有効であり、内包物の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
本発明においては、前記マイクロカプセル顔料をビヒクル中に分散して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により、紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性記録材を得ることができる。
前記支持体の形状、大きさは特に限定されるものではないが、平面形状のものが好ましく、カード形態の小さなものから、ディスプレイに用いる大きなものであってもよい。
また、前記支持体には、裏面に粘着層を設けて各種対象物に貼着可能な構成であってもよい。
更に、前記支持体は磁性材による記録体、非接触で情報記録、書き換え、読み取りが可能なICチップ等の記録体を該支持体の表面、裏面、内面に設けた情報記録カードや情報記録タグであってもよい。
なお、前記感温変色性色彩記憶性組成物、或いは、それを用いた液状組成物には、一般の染料や顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
前記可逆熱変色層の厚みは、3〜100μmであることが好ましく、3μm未満では色濃度が低すぎて変色前後のコントラストに乏しくなる。また100μmを越えると印字装置からの熱又は冷熱が可逆熱変色層に均一に伝熱し難くなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
更に、前記積層体の可逆熱変色層上には、保護層を設けることにより、耐擦過性を向上させることができる。
前記保護層は可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みであることが好ましく、前述の0.2倍未満では耐擦過性を十分に満足させ難く、また、3倍を越えると伝熱性に乏しくなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
なお、前記保護層には、光安定剤を含有させることによって、可逆熱変色層の耐光性を向上させることもできる。
更に、前記保護層は紫外線硬化型樹脂により形成することにより、耐擦過性をより向上させることができる。
前記したように、耐擦過性に優れた保護層を形成する際には、紫外線硬化型樹脂による保護層を設けることが好ましいが、耐光性を向上させるために光安定剤を該層に添加すると紫外線による硬化が阻害されるため、保護層を2以上の層から形成し、最上層を紫外線硬化樹脂層とし、下層に光安定剤を含む層を設けることが好ましい。
また、耐光性を向上させるために透明性金属光沢顔料を保護層中に含有させることもでき、透明性金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナ等を芯物質とし、その表面に酸化チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を被覆した顔料が挙げられる。
前記可逆熱変色性記録材に記録像を形成するための加熱手段としては、サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプ、電熱ヒーター、レーザー光、スチーム等が挙げられ、コンピューターを介して精密な記録を行うため、特にサーマルヘッドによる加熱印刷手段が好適である。
また、前記加熱手段により形成された情報像を消去するための冷却手段としては、冷凍庫、ペルチエ素子、コールドローラー、液化ガス等の適用が挙げられる。
前記加熱又は冷却手段として非接触式の手段(電熱ヒーター、レーザー光、スチーム、冷凍庫、液化ガス)を用いる場合は前記した可逆熱変色層の厚みが3〜100μmであり、保護層は可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みであることにより、所望の変色機能を満足させることができるが、加熱又は冷却手段として接触式の手段(サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプ、ペルチエ素子、コールドローラー)を用いる場合には可逆熱変色層の厚みが5〜50μmであり、保護層は可逆熱変色層の0.2〜2倍の厚みであることにより、所望の変色機能を満足させることができる。
前記可逆熱変色性記録材は、前記加熱及び/又は冷却手段と共に装置内に収容して可逆熱変色性表示体として用いることもできる。
前記表示体に用いる記録材は、円盤形状等の平板状、ループ帯状、ロール状、或いは、着脱自在のカートリッジ式等の形態が挙げられ、装置の形状や構造によって適宜形態のものが使用できる。
なお、前記加熱及び/又は冷却手段は可動式、温度可変制御式、搬送手段兼用であってもよく、単一又は複数収容してもよい。
その他、種々の補助装置を適宜収容して用いることができ、以下に補助装置の例と、その効果を示す。
駆動、従動ローラー及びベルト(記録材の支持、給排紙等の搬送等)、隔膜体(記録材と加熱手段の間に設置し、記録材表面を保護)、蛍光灯等の照明ランプ(暗所視認性向上)、透明性ガラス板や透明性プラスチック板(記録材の視認性と保護性両立、及びマーカー等によるガラス表面やプラスチック表面への加筆)、液浴、クリーニングローラー、ウェット布(記録材及び加熱手段の表面洗浄)、記録材位置検出、テンション制御装置(記録材視認性、印刷性)。
前記表示体は、種々の表示板として用いることができ、例えば、掲示板、案内板、行灯、ホワイトボード、POP等を例示できる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
各実施例中における感温変色性色彩記憶性組成物と、それを内包したマイクロカプセル顔料の製造方法、及び、前記マイクロカプセル顔料の粒子径、温度変化によるヒステリシス特性について以下に説明する。
尚、以下の配合例中の部は、重量部を示す。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料1の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分として4,4′−デシリデンビスフェノール8部、(ハ)成分としてパルミチン酸4−メチルベンジル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によるカプセル化により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が8μm、40μmを越えるカプセル顔料は全体の2体積%未満、1μm未満のカプセル顔料は全体の1体積%未満であった。
なお、個数分布では30μmを越えるカプセル顔料は1%未満、1μm未満のカプセル顔料は1%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が28℃、発色開始温度(T)が10℃、完全消色温度(T)が41℃であり、温度変化により黒色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料2の調製
(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2部、(ロ)成分として4,4′−デシリデンビスフェノール8部、(ハ)成分としてパルミチン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によるカプセル化により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が3μm、40μmを越えるカプセル顔料は全体の1体積%未満、1μm未満のカプセル顔料は全体の5体積%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が46℃、発色開始温度(T)が38℃、完全消色温度(T)が70℃であり、温度変化により青色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料3の調製
(イ)成分として6−(N−エチルイソペンチルアミノ)ベンゾ〔a〕フルオラン3部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によるカプセル化により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が2μm、40μmを越えるカプセル顔料は0体積%、1μm未満のカプセル顔料は全体の8体積%未満であった。
なお、個数分布では30μmを越えるカプセル顔料は0%、1μm未満のカプセル顔料は12%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が60℃、発色開始温度(T)が−11℃、完全消色温度(T)が50℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料4の調製
(イ)成分として6−(N−エチルイソペンチルアミノ)ベンゾ〔a〕フルオラン3部、(ロ)成分として4,4′−デシリデンビスフェノール6部、(ハ)成分としてパルミチン酸4−メチルベンジル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によるカプセル化により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が7μm、40μmを越えるカプセル顔料は全体の3体積%未満、1μm未満のカプセル顔料は全体の2体積%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が28℃、発色開始温度(T)が11℃、完全消色温度(T)が40℃であり、温度変化により、ピンク色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料5の調製
(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として4,4′−デシリデンビスフェノール8部、(ハ)成分としてパルミチン酸4−メチルベンジル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によるカプセル化により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が7μm、40μmを越えるカプセル顔料は全体の3体積%未満、1μm未満のカプセル顔料は全体の2体積%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が29℃、発色開始温度(T)が12℃、完全消色温度(T)が43℃であり、温度変化により、青色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料6の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によるカプセル化により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が4μm、40μmを越えるカプセル顔料は全体の1体積%未満、1μm未満のカプセル顔料は全体の8体積%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が65℃、発色開始温度(T)が−18℃、完全消色温度(T)が50℃であり、温度変化により黒色から無色に変色するものであった。
感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料7の調製
(イ)成分として2−(ブチルアミノ)−8−(ジフェニルアミノ)−4−メチルスピロ[5H−(1)ベンゾピラノ[2−3−g]ピリミジン−5,1(3’H)−ベンゾフラン]−3−オン2部、(ロ)成分としてビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド8部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部の相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法により内包することで、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径を堀場製作所製レーザー式粒度分布測定器、LA−300を使用して測定すると、平均粒子径が2μm、40μmを越えるカプセル顔料は全体の1体積%未満、1μm未満のカプセル顔料は全体の4体積%未満であった。
前記マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(△H)が63℃、発色開始温度(T2)が−9℃、完全消色温度(T4)が61℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色するものであった。
実施例1
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料1(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてA3サイズの白色合成紙(厚み200μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料をコーティング加工して厚み20μmの可逆熱変色層を設けて可逆熱変色性記録材を作製した。
前記記録材にサーマルプリンター〔昭和情報機器(株)製、品番:S4870〕を用いて「16:00開演」の文字を印字し、案内板として実用に供した。
前記案内板は黒色の背景に白色の「16:00開演」の文字が明瞭に視認され、室温下で前記文字を保持できた。
前記案内板は5℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、サーマルプリンターにより繰り返し異なる記録像を形成することができた。
実施例2
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料2(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてA4サイズの白色合成紙(厚み200μm)上に、前記感温変色性色彩記憶性塗料をコーティング加工して厚み20μmの可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性記録材を作製した。
前記記録材にサーマルプリンター〔昭和情報機器(株)製、品番:S4870〕を用いて文字を印字した後、裏面に温度が約50℃に保たれた保温材を隣接させて案内板として実用に供した。
前記案内板は青色の背景に白色の文字が明瞭に視認され、室温下においても保温材により前記文字を保持できた。
前記案内板から保温材を分離し、20℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、サーマルプリンターにより繰り返し異なる記録像を形成することができた。
実施例3
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料3(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてB5サイズの白色合成紙(厚み200μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料をコーティング加工して厚み20μmの可逆熱変色層を設けて可逆熱変色性記録材を作製した。
前記記録材にサーマルプリンター〔昭和情報機器(株)製、品番:S4870〕を用いて文字を印字し、案内板として実用に供した。
前記案内板はピンク色の背景に白色の文字が明瞭に視認され、室温下で前記文字を保持できた。
前記案内板は−20℃以下に冷却にすることより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、サーマルプリンターにより繰り返し異なる文字を形成することができた。
実施例4
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料1(40部)を、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン50部、消泡剤3部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性スクリーンインキを得た。
可逆熱変色性記録材の作製
前記スクリーンインキを用いて、支持体として白色合成紙(厚み130μm)表面に印刷して厚み20μmの可逆変色層を設け、更にその上層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む透明アクリル樹脂からなる厚み5μmの保護層を設けて可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材にサーマルプリンターを使用して「特売 ¥2,800」の文字を印字し、POPとして実用に供した。
前記POPは白色の背景に黒色の文字が明瞭に視認され、室温下で前記文字を保持できた。
前記POPは5℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、再度サーマルプリンターにより「特売 ¥1,980」の文字を印字して他の用途へ転用することができた。
実施例5
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料3(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として裏面に粘着剤が塗工された85mm×220mmの白色ポリエステルフィルム(厚み100μm)表面に透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚み3μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)をコーティングして設け、更にその上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材にサーマルプリンターを使用して「工程1 加工済み」の文字を印字し、工場ライン内を流通するケース(コンテナ)に貼り付け可能な情報表示ラベルとして実用に供した。
前記ラベルは白色の背景にピンク色の文字が明瞭に視認され、室温下で前記文字を保持できた。
前記ラベルは−20℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、再度サーマルプリンターにより「工程2 加工前」の異なる文字を設け、異なる工場ラインに転用することができた。
なお、ラベルはサーマルプリンターによる300回以上の書き換えにおいても、この様相を繰返し行うことができ、耐久性に優れていた。
実施例6
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料5(40部)を、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン50部、消泡剤3部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性スクリーンインキAを得た。
前記マイクロカプセル顔料4(40部)と非熱変色性蛍光黄色顔料5部を、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン50部、消泡剤3部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性スクリーンインキBを得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてA4サイズの白色合成紙(厚み200μm)表面に、前記スクリーンインキA及びBを用いて、それぞれ上半分と下半分に可逆熱変色層(厚み30μm)を設けた後、その上層に表面をシリコンコーティング処理した透明ポリエステル樹脂フィルム(厚み10μm、粘着剤の厚み8μm)をラミネート加工し、保護層を設けて可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材にサーマルプリンターを使用して上半分に「大安売り!」、下半分に「¥980」の文字を印字し、POPとして実用に供した。
前記POPは、上半分は青色の背景に白色の「大安売り!」の文字、下半分は黄色の背景に赤色の「¥980」の文字がそれぞれ明瞭に視認され、室温下で前記文字を保持できた。
前記POPは5℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、再度サーマルプリンターにより異なる文字を設け、他の用途へ転用することができた。
実施例7
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料6(30部)を、50%アクリル樹脂/キシレン溶液120部、キシレン35部、メチルイソブチルケトン35部からなるビヒクル中に均一分散して、感温変色性色彩記憶性スプレーインキを得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてカードサイズの白色ポリエステルフィルム(56mm×86mm、厚み250μm)表面に一般の非変色性インキを用いてオフセット印刷にて動物柄を設け、裏面に前記スプレーインキを用いて可逆熱変色層(厚み10μm)を全面塗装し、その上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層Bを順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材を動物園の来園回数カウント用カードとして実用に供した。
前記カードにサーマルプリンターにて象の形態を模した絵柄を来園の度に印字すると、黒色の背景に白色の絵柄が来園した回数分だけ印字され、室温下で前記絵柄を保持できた。
前記カードは−20℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して絵柄が消去され、再度使用することができた。
実施例8
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料1(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてA4サイズの白色合成紙(厚み200μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚み3μm)を設けた後、前記アンカーコート層上に感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材を感熱記録ファクシミリ用紙として実用に供した。
前記用紙は、ファクシミリ受信時に感熱記録装置によって黒色の背景に白色の受信像を記録、閲覧できた。
前記用紙に形成された情報は室温下で保持することができ、必要に応じて冷凍庫等で5℃以下に冷却すると可逆熱変色層が着色して情報が消去され、繰り返し異なる情報を記録することができた。
実施例9
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料6(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体としてA4サイズの白色ポリエステルフィルム(厚み100μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚み3μm)を設けた後、前記アンカーコート層上に感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材を作業指示書として実用に供した。
前記指示書にサーマルプリンターによって黒色の背景に白色の文字と図柄による作業内容を印字することができた。
前記指示書は室温下で文字と図柄を保持できるため、複数の異なる情報を印字した記録材と共にバインダーにまとめて作業内容台帳として保管することもでき、一定期間経過後は−20℃以下に冷却することで文字と図柄を消去して再度異なる作業指示書へ転用することができた。
前記指示書は、サーマルプリンターによる200回以上の書き換えにおいても、この様相を繰返し行うことができ、耐久性に優れていた。
実施例10
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料6(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に均一分散して、感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色合成紙(厚み200μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いてコーティング加工して可逆熱変色層(厚み30μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
可逆熱変色性表示体の作製
前記記録材を帯状にして、透明ガラス板を前面に配した装置中にセットし、更に前記装置中に記録材を回転駆動させるローラー、サーマルヘッド、コールドローラー、蛍光灯照明を収容して可逆熱変色性表示体を作製した。
前記表示体は、通常ガラス板を透過して黒色の記録材表面が視認され、印刷時は記録材上にサーマルヘッドが接触して情報が形成され、ローラーにて記録材がガラス板内面に搬送されて情報が視認される。
前記情報は蛍光灯照明により暗所でも明瞭に視認できた。
更に記録材の表示に加え、透明ガラス板上に筆記具を使用して情報を追加、加筆することもできる。
他の情報を表示する場合は、記録材の未印刷部にサーマルヘッドが接触して情報が形成され、ローラーにて記録材がガラス板内面に搬送されて他の情報が視認される。
その際、前の情報はコールドローラーに接触して可逆熱変色層が冷却され、消去されるため、再度印刷可能な状態になる。
実施例11
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料6(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に均一分散して、感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色合成紙(厚み200μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いてコーティング加工して可逆熱変色層(厚み30μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材を樹脂製の枠に固定してカートリッジ式とした。
可逆熱変色性表示体の作製
透明ガラス板を前面に配した装置中にセットし、更に前記装置中に記録材をセットする固定部、サーマルヘッド、蛍光灯照明を収容して可逆熱変色性表示体を作製した。
前記表示体は、通常ガラス板を透して黒色の記録材表面が視認され、印刷時は記録材上にサーマルヘッドが接触して情報が形成され、ガラス板を透して情報が視認される。
前記情報は蛍光灯照明により暗所でも明瞭に視認できた。
更に記録材の表示に加え、透明ガラス板上に筆記具を使用して情報を追加、加筆することもできる。
他の情報を表示する場合は記録材を取り出し、別の記録材をセットしてサーマルヘッドが接触して情報が形成され、ガラス板を透過して他の情報が視認される。
使用済みの記録材は可逆熱変色層を冷却することにより、再度印刷可能な状態になる。
実施例12
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料6(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に均一分散して、感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として白色合成紙(厚み200μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いてコーティング加工して可逆熱変色層(厚み30μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
可逆熱変色性表示体の作製
前記記録材を帯状にして、透明ガラス板を前面に配した装置中にセットし、更に前記装置中に記録材を回転駆動させるローラー、サーマルヘッド、複数のコールドローラー、蛍光灯照明を収容して可逆熱変色性表示体を作製した。
前記表示体は、通常ガラス板を透過して黒色の記録材表面が視認され、印刷時は記録材上にサーマルヘッドが接触して情報が形成され、ローラーにて記録材がガラス板内面に搬送されて情報が視認される。
前記情報は蛍光灯照明により暗所でも明瞭に視認できた。
更に記録材の表示に加え、透明ガラス板上に筆記具を使用して情報を追加、加筆することもできる。
他の情報を表示する場合は、記録材の未印刷部にサーマルヘッドが接触して情報が形成され、ローラーにて記録材がガラス板内面に搬送されて他の情報が視認される。
その際、前の情報は複数のコールドローラーに接触して可逆熱変色層が効率的に冷却され、瞬時に消去されるため、再度印刷可能な状態を短時間で可能となした。
実施例13
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料6(40部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として裏面に磁気記録層が設けられた54mm×86mmの白色ポリエステルフィルム(厚み188μm)表面に、透明性ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚み3μm)、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いた可逆熱変色層(厚み25μm)、ウレタン樹脂とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む保護層A(厚み15μm)、更にエポキシアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化樹脂からなる保護層B(厚み5μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材に、裏面の磁気記録層に記録された情報「150ポイント、有効期限 100日」をリーダー装置で読み込み、その情報をサーマルプリンターで印字して表示するポイントカードとして実用に供した。
前記カードは黒色の背景に白色の文字情報「150ポイント、有効期限 100日」が明瞭に視認され、室温下で前記文字を記憶保持できた。
前記カードは磁気記録層の情報追記、及び、書き換え時に−20℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して文字が消去され、再度サーマルプリンターにより、新たに異なる文字情報を表示することができた。
なお、前記カードはサーマルプリンターによる300回以上の書き換えにおいても、この様相を繰返し行うことができ、耐久性に優れていた。
実施例14
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料7(20部)を、50%アクリル樹脂/キシレン溶液50部、キシレン30部、メチルイソブチルケトン30部、イソシアネート系硬化剤10部からなるビヒクル中に均一分散して、感温変色性色彩記憶性スプレーインキを得た。
可逆熱変色性記録材の作製
支持体として内部にICチップが収容された、直径30mmの円盤状白色ABS樹脂成形物(厚み3mm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性スプレーインキを塗装して厚み80μmの可逆熱変色層を設け、更にその上層に50%アクリル樹脂/キシレン溶液50部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2部、キシレン50部、イソシアネート系硬化剤10部からなる透明性スプレーインキを塗装して厚み40μmの保護層を設けて、可逆熱変色性記録材を得た。
前記記録材を、内面のICチップに記録された情報をリーダー装置で読み込み、その情報を伝熱ヒーターを介して非接触で可逆熱変色相を変色させて表示する記録表示体として実用に供した。
前記記録表示体は可逆熱変色層によるピンク色の背景に支持体による白色の抜き像、あるいは、支持体による白色の背景に可逆熱変色層によるピンク色の像の異なる2種の情報表示方法が選択でき、室温下で前記像(文字情報)を明瞭に記憶保持できた。
前記記録表示体はICチップの情報追記、及び、書き換え時に−20℃以下に冷却することにより可逆熱変色層が着色して印像が消去され、再度伝熱ヒーターにより、新たに異なる文字情報を表示することができた。
本発明に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 本発明に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
符号の説明
完全発色温度
消色保持温度
発色保持温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅

Claims (11)

  1. 熱又は冷熱の適用により、相異なる色彩に互変的に変位させることができ、変位した何れかの色彩が常温域において択一的に記憶保持される記録材であって、前記記録材は、支持体上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層を設けてなり、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.5〜20μmの範囲にあり、且つ、40μmを越える粒子が全マイクロカプセル顔料中の5体積%未満であり、1μm未満の粒子が全マイクロカプセル顔料中の10体積%未満であることを特徴とする可逆熱変色性記録材。
  2. (ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体が、下記一般式(1)で示されるエステル化合物である請求項1記載の可逆熱変色性記録材。
    Figure 2006015726
    (式中、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
  3. 前記(ロ)電子受容性化合物が少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、一般式(2)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物である請求項1又は2記載の可逆熱変色性記録材。
    Figure 2006015726
    (式中、Rは炭素数1乃至8のアルキル基を示す。)
  4. 色濃度−温度曲線に関して40℃乃至70℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性記録材。
  5. 色濃度−温度曲線に関して、完全消色温度(T)が40℃以上であり、且つ、消色保持温度(T)が20℃以下である、常温域で色彩記憶性を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の可逆熱変色性記録材。
  6. 前記可逆熱変色層上に保護層を設けてなる請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆熱変色性記録材。
  7. 前記可逆熱変色層の厚みが3〜100μmであり、且つ、保護層が前記可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みである請求項6記載の可逆熱変色性記録材。
  8. 前記可逆熱変色層の厚みが5〜50μmであり、且つ、保護層が前記可逆熱変色層の0.2〜2倍の厚みである請求項6記載の可逆熱変色性記録材。
  9. 前記保護層が少なくとも2以上の層から形成され、最上層は紫外線硬化樹脂層であり、且つ、下層に光安定剤を含む層を設けてなる請求項6乃至8のいずれかに記載の可逆熱変色性記録材。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の可逆熱変色性記録材と、前記可逆熱変色性記録材に像を形成又は消去する加熱及び/又は冷熱装置とからなる可逆熱変色性表示体。
  11. 前記可逆熱変色性記録材を加熱及び/又は冷熱装置内に収容してなる請求項10記載の可逆熱変色性表示体。
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