JP5285981B2 - 可逆熱変色性記録材の記録、消去方法 - Google Patents
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Description
前記試し刷り用ワードプロセッサ用紙は、発色状態と消色状態のいずれかを常温域において選択的に保持でき、必要に応じて熱又は冷熱を適用することにより互変的に保持させることができるものの、発色温度が10℃程度のため冬場の環境温度によっては全面が発色して像を維持できなくなる場合がある。
そこで、発色温度を0℃以下に低下させて冬場の環境温度でも全面が発色しない構成とすることが考えられるが、繰り返し使用する際に発色温度以下に冷却する手段として冷蔵庫や冷凍庫を用いると冷却に時間を要するため利便性を損ない易い。そこで、発色温度まで速やかに冷却する方法として冷却した液状体に浸漬する方法が考えられるが、冷熱液状体が熱変色層に付着すると所期の熱変色機能を阻害することがある。
更には、前記温度t4が50℃以上の温度であること、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること、前記冷熱液状体の凝固点(G)と、温度t1は下記式(1)を満たすこと、
G<t1−20 (1)
前記冷熱液状体を含浸させた綿布と、可逆熱変色性記録材上の保護層を500gの荷重で100回の往復摩擦試験を行なう耐性試験により、下記式(2)から導き出される耐性指数(M)が80〜100の範囲であること、
M=(Ma/Mb)×100 (2)
Ma:耐性試験前の可逆熱変色性記録材の明度値
Mb:耐性試験後の可逆熱変色性記録材の明度値
前記保護層が少なくとも二層以上の層からなること、前記保護層の少なくとも一層が透明性樹脂フィルムからなること、前記支持体の裏面に粘着層を設けてなること、磁性記録媒体又はICチップを備えてなること、前記冷熱液状体が一価アルコールを70質量%以上含有する液状体であること等を要件とする。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は前記t1とt4間の温度域であり、発色状態と消色状態の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるt2とt3間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
前記感温変色性色彩記憶性組成物は、完全発色温度t1を0℃以下の冬場の環境温度等により発色しない温度にする。
なお、前記完全発色温度t1としては、好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−40〜−10℃である。
更に、完全消色温度t4は、夏場の環境温度等により消色しない温度、即ち50℃以上、好ましくは60〜100℃、より好ましくは60〜90℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃、好ましくは50乃至100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
ここで、t3とt4の差、或いは、t1とt2の差(Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度である。
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記化合物としては、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステルを例示できる。
前記式(2)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(2)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(3)で示される化合物が用いられる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
前記化合物として具体的には、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
又、各成分は各々二種以上の混合であってもよく、機能に支障のない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤等を添加することができる。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径1.5〜20μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは、2〜10μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセル顔料の最大外径の平均値が、20μmを越える系では、インキ、塗料への使用に対して、分散安定性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が1.5μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(質量比)の範囲が有効であり、内包物の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記可逆熱変色層の厚みは、3〜100μmであることが好ましく、3μm未満では色濃度が低すぎて変色前後のコントラストに乏しくなる。また100μmを越えると印字装置からの熱又は冷熱が可逆熱変色層に均一に伝熱し難くなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
なお、前記感温変色性色彩記憶性組成物、或いは、それを用いた液状組成物には、一般の染料や顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
また、必要に応じて前記支持体と可逆熱変色層の間に密着性を向上させるアンカーコート層や意匠性を付与させる非熱変色性インキによる非変色層を適宜設けることもできる。
また、前記支持体には、裏面に粘着層を設けて各種対象物に貼着可能な構成であってもよい。
更に、前記支持体は磁性材による記録体、非接触で情報記録、書き換え、読み取りが可能なICチップ等の記録体を該支持体の表面、裏面、内面に設けた情報記録カードや情報記録タグであってもよい。
前記保護層は、冷熱液状体の付着による可逆熱変色層の変色機能の低下を防止すると共に、サーマルヘッド等の加熱体が接触することによる可逆熱変色層の損傷を防止するために設けられる。
前記保護層としては公知の透明性を有する樹脂が用いられるが、耐溶剤性、耐擦過性に優れた架橋性樹脂が好適に用いられる。
前記架橋性樹脂は、樹脂分子中に反応性の官能基を有し、架橋剤と反応、或いは自己重合や自己縮合等の架橋反応により三次元構造を形成可能な樹脂であり、緻密な構造の保護樹脂層を形成できる。
前記架橋性樹脂として具体的には、重合開始剤とアクリル酸エステル系樹脂からなる紫外線硬化型樹脂、イソシアネート系硬化剤とポリオール系樹脂、アミン系硬化剤とエポキシ系樹脂からなる熱硬化型樹脂を挙げることができる。
前記保護層は可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みであることが好ましく、0.2倍未満では加熱体、及び冷熱液状体への耐性を十分に満足させ難く、また、3倍を越えると伝熱性に乏しくなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
前記耐性試験方法は、白色ポリエステル樹脂基材上に可逆熱変色層、保護層を順次設けた可逆熱変色性記録材を作製し、2cm×4cmの長方形に断裁した後、耐性試験前の可逆熱変色性記録材の明度値(Ma)を色差計(東京電色株式会社製、TC−3600)にて測定する。
次に、前記可逆熱変色性記録材を摩擦試験機(スガ試験機株式会社製、FR−2型)上部の摩擦子に貼着し、500gの荷重(摩擦子を含む)で対象となる冷熱液状体を含浸させた綿布(金巾3号)上で100回の往復摩擦を行う。
この際、綿布には0.02〜0.03g/cm2の冷熱液状体を含浸させて試験を行う。また、前記往復摩擦は、摩擦子を冷熱液状体含浸布上で30往復/分の速度にて10cm間の距離を水平往復運動させる。
試験後の可逆熱変色性記録材の明度値(Mb)を試験前と同様の方法で測定し、下記式(2)から耐性指数(M)を算出する。
M=(Ma/Mb)×100 (2)
Ma:耐性試験前の可逆熱変色性記録材の明度値
Mb:耐性試験後の可逆熱変色性記録材の明度値
前記Mb、Maで表される明度値とは無彩色の配列において、完全な黒を0、完全な白を10として、その間を明るさの間隔の差が等間隔になるように分割したマンセル色票系の明度値を示し、明度値が小さい程、黒色に近く、明度値が大きい程、白色に近くなる。
この試験により、例えば、保護層に損傷が生じた場合、可逆熱変色層が物理的に脱落して基材の白色ポリエステル基材が視認されるため明度値(Mb)は高くなり、相対的に耐性指数(M)は低くなる。
また、可逆熱変色層中の可逆熱変色性組成物が冷熱液状体の影響で退色した場合や、保護層自体が冷熱液状体に侵されて白化した場合も同様に明度値Mbは高くなり、相対的に耐性指数(M)は低くなる。
これとは逆に、試験による表面損傷、膨潤等が軽微であり試験前後の明度差が少なければ、対象冷熱液状体への耐性が優れていることとなり、耐性指数(M)は100に近い値となる。
前記耐性指数(M)は80〜100、好ましくは90〜100の値であれば、実用的な耐性を備える。
前記透明性金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナ等を芯物質とし、その表面に酸化チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を被覆した顔料が挙げられる。
更に、前記保護層には必要に応じて各種添加剤を加えて、光沢性、表面滑性、帯電性等を付与することもできる。
例えば、保護層の最上層は耐擦過性に優れる紫外線硬化型樹脂が望ましいが、耐光性向上の為に光安定剤を該層に添加すると紫外線による硬化が阻害されるため、下層に光安定剤を含む保護層を設ける構成が挙げられる。
また、保護層を二層以上の多層構成とする場合において、保護層の一つとして透明性樹脂フィルムを用いることもできる。
前記透明性樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂からなるフィルムが挙げられるが、樹脂強度の点からポリエステル系樹脂からなるフィルムが好適に用いられる。
前記透明性樹脂フィルムを用いる場合は、可逆熱変色層に形成された像の視認性を妨げず、且つ、液状冷熱体による浸透、膨潤、白化を防ぎ高耐久性を付与できる。
前記冷熱液状体の凝固点は、前記感温変色性色彩記憶性顔料の完全発色温度t1で液状である必要があり、冷熱液状体の凝固点(G)と温度t1は下記式(1)を満たすことがより好ましく、像を短時間で消去できる。
G<t1−20 (1)
また、前記冷熱液状体は像を消去した後に常温下で速やかに揮発することが好ましく、蒸気圧が水より高い液状体が好適に用いられる。
更に、可逆熱変色性記録材に対する冷熱液状体の浸透性が高いと、保護層と可逆熱変色層に損傷を与え易くなるため、冷熱液状体の表面張力は20mN/m(20℃)以上であることが好ましい。
以下の表に代表的な冷熱液状体とその凝固点、蒸気圧、表面張力を示す。
また、前記冷熱液状体は一種、又は二種以上を適宜混合して使用することもでき、その際には前記した一価アルコール類を主成分として70質量%以上含有する液状体が好適にである。
更には、エチルアルコールを主成分として含有量が70〜89質量%の範囲で且つ労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則)該当54種の有機溶剤含有量が5%未満である混合成分の液状体が実用性を満たす。
有機則では54種の有機溶剤類について規定され、これらの有機溶剤類を使用する際には法令による作業環境の整備が義務付けられており、取り扱いに様々な制約がある。これに対し、エチルアルコールは前記54種の有機溶剤に分類されず、また、分類されている溶剤種においても含有量が5%以下であれば有機則の規定を受けない。
また、エチルアルコールを90質量%以上含有する冷熱液状体を用いることもできるが、含有量が90%以上になると酒税法が適用されるため、前記混合成分の液状体が好適である。
前記混合成分の液状体として具体的には、エチルアルコール86質量%、メチルアルコール4質量%、n−プロピルアルコール10質量%からなる液状体を例示できる。
なお、前記一価アルコールを70質量%以上含有する液状体においては、低温下の流動性を妨げない範囲で水を添加することもできる。
以下の表にエチルアルコールと水の混合比率、及び低温下における液状体粘度を示す。
表中の比率は質量%、粘度はmPa・sを示す。
各実施例中における感温変色性色彩記憶性組成物と、それを内包したマイクロカプセル顔料の粒子径、温度変化によるヒステリシス特性について以下に説明する。
尚、以下の配合例中の部は、質量部を示す。
(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール4部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン6部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料aを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度t1が−20℃、完全消色温度t4が57℃、ヒステリシス幅(△H)が67℃であり、温度変化により黒色から無色に変化するものであった。
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール3部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料bを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度t1が−20℃、完全消色温度t4が58℃、ヒステリシス幅(△H)が60℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変化するものであった。
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール3部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料cを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度t1が−20℃、完全消色温度t4が60℃、ヒステリシス幅(△H)が64℃であり、温度変化により橙色から無色に変化するものであった。
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール3部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料dを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度t1が−15℃、完全消色温度t4が62℃、ヒステリシス幅(△H)が60℃であり、温度変化により青緑色から無色に変化するものであった。
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−エトキシフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニル50部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を界面重合法によりマイクロカプセルに内包して感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料eを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度t1が−20℃、完全消色温度t4が60℃、ヒステリシス幅(△H)が62℃であり、温度変化により青色から無色に変化するものであった。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(54mm×86mm、厚み188μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にアミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を積層して可逆熱変色性記録材(カード)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを用いて顧客情報と来店ポイントを印字し、ポイントカードとして実用に供した。
前記ポイントカードは黒色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記ポイントカードは、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が黒色に着色して速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(54mm×86mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(カード)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して会議室の入退場情報を印字し、会議室管理用カードとして実用に供した。
前記会議室管理用カードは黒色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記会議室管理用カードは、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が黒色に着色して速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料b25部を、ウレタン樹脂エマルジョン65部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散してピンク色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として裏面に粘着剤が塗工された白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(45mm×45mm、厚み25μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(ラベル)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材(ラベル)を、ICチップを封入した白色ポリエステル樹脂からなるICカード(厚み750μm)表面に貼着し、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して診療科と担当医の情報を印字し、診察券として実用に供した。
前記診察券はピンク色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記診察券は、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面がピンク色に着色して速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記診察券の冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.7(Ma=5.46、Mb=5.53)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料b10部、及び前記マイクロカプセル顔料c(30部)を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して赤色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(85mm×200mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して工場ライン内の流通情報を印字し、情報表示シートとして実用に供した。
前記情報表示シートは赤色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記情報表示シートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が着色して速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料b、cの完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示シートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.3(Ma=5.75、Mb=5.79)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料d30部、及び非熱変色性黄色顔料5部を、ウレタン樹脂エマルジョン60部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して緑色から黄色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として裏面に粘着剤が塗工された透明ポリエステル樹脂製フィルム基材(45mm×45mm、厚み16μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み18μm)を設け、その上層に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる紫外線吸収保護層A(厚み8μm)を設けた。
次いで、前記紫外線吸収保護層A上に、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤を介して透明ポリエステル樹脂製フィルムからなる保護層B(厚み20μm)、更にその上層にアミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層C(厚み10μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(ラベル)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材(ラベル)を、ICチップを封入した白色ポリエステル樹脂からなるICカード(厚み750μm)表面に貼着し、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して入場者のアトラクション利用状況を印字し、遊園地のパスポート用ICカードとして実用に供した。
前記カードは緑色の背景に黄色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記パスポートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が緑色になって速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記ICカードの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.5(Ma=3.68、Mb=3.70)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料e20部を、アクリル樹脂エマルジョン70部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して青色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(210mm×297mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み18μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み10μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み10μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売される商品名と価格を印字し、POPシートとして実用に供した。
前記POPシートは青色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記情報表示シートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面が青色に着色して速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示シートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.0(Ma=3.84、Mb=3.92)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料e30部、非熱変色性蛍光ピンク顔料5部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して紫色からピンク色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(85mm×200mm、厚み125μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み10μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み10μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材を、ICチップを備えた白色ポリエステルシート(厚み125μm)と貼り合わせた後、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して工場ライン内の流通情報を印字し、情報表示ICシートとして実用に供した。
前記情報表示ICシートは紫色の背景にピンク色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(40℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記情報表示ICシートは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層が紫色になって速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示ICシートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.9(Ma=3.50、Mb=3.54)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム基材(96mm×36.5mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂、及び透明性銀色金属光沢顔料からなる紫外線吸収金属光沢保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次積層して銀色から無色に変色する可逆熱変色性記録材(シート)を得た。
前記記録材にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売する商品名と価格を印字し、棚札として実用に供した。
前記棚札は銀色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持できた。
前記棚札は、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層が変色して銀色になり、速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示ICシートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は97.5(Ma=4.25、Mb=4.36)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料b20部を、50%アクリル樹脂/キシレン溶液50部、キシレン30部、メチルイソブチルケトン30部、イソシアネート系硬化剤10部からなるビヒクル中に均一分散して、ピンク色から無色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として内部にICチップが収容された円盤状白色ABS樹脂成型物(直径30mm、厚さ3mm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み30μm)を塗装して設け、更にその上層に50%アクリル樹脂/キシレン溶液、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、キシレン、イソシアネート系硬化剤からなる塗料を用いて紫外線吸収保護層(厚み20μm)を塗装して設けて可逆熱変色性記録材(成形物)を得た。
前記記録材に伝熱ヒーターを用いて非接触で可逆熱変色層を変色させて遊戯用メダルの残数を表示するゲームセンター用IC記録材として実用に供した。
前記IC記録材はピンク色の背景に無色のメダル残数情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(40℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記IC記録材は、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層の全面がピンク色に着色して速やかに印字情報が消去され、この様相変化は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記ICカードの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.7(Ma=5.46、Mb=5.53)であり、耐久性に優れていた。
感温変色性色彩記憶性液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料b20部、及び非熱変色性黄色顔料6部を、ウレタン樹脂エマルジョン60部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して赤色から黄色に変色する感温変色性色彩記憶性塗料を得た。
支持体として裏面に粘着剤が塗工された透明ポリエステル樹脂製フィルム基材(45mm×45mm、厚み16μm)表面に、前記感温変色性色彩記憶性塗料を用いて可逆熱変色層(厚み18μm)を設け、その上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収保護層A(厚み10μm)を設けた。
次いで、前記紫外線吸収保護層A上に、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤を介して透明ポリエステル樹脂(厚み18μm、表面にシリコーンコーティングを施してなる)からなる保護層B(厚み18μm)を順次積層して可逆熱変色性記録材(ラベル)を得た。
次いで、前記可逆熱変色性記録材(ラベル)を、ICチップを封入した白色ポリエステル樹脂からなるICカード基材(厚み750μm)表面に貼着し、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用してビデオの貸し出し状況を印字し、ビデオレンタル用ICカードとして実用に供した。
前記ビデオレンタル用ICカードは赤色の背景に黄色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(40℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができた。
前記ビデオレンタル用ICカードは、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体中に浸漬すると可逆熱変色層が赤色になって速やかに印字情報が消去され、この様相は繰り返し行うことができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t1)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却した場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記ビデオレンタル用ICカードの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.3(Mb=5.75、Ma=5.79)であり、耐久性に優れていた。
t2 発色開始
t3 消色開始温度
t4 完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
Claims (10)
- 支持体上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層、冷熱液状体への耐性を有する保護層を順次設けてなり、前記マイクロカプセル顔料は、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、第1色相にあって温度が上昇する過程では、温度t3に達すると、第1色相は変色し始め、温度t3より高い温度t4以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記温度t3より低い温度t2に達すると、第2色相は変色し始め、温度t2より低い温度t1以下の温度域で完全に第1色相となり、前記温度t2と温度t3の間の温度域で第1色相或いは第2色相が保持されるヒステリシス特性を示し、温度t1は0℃以下の温度である可逆熱変色性記録材に加熱体の適用により像を形成し、冷熱液状体中に可逆熱変色性記録材を浸漬することにより前記像を消去する可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 前記温度t4が50℃以上の温度である請求項1記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する請求項1又は2記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 前記冷熱液状体の凝固点(G℃)と、温度t1は下記式(1)を満たす請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
G<t1−20 (1) - 前記冷熱液状体を含浸させた綿布と、可逆熱変色性記録材上の保護層を500gの荷重で100回の往復摩擦試験を行なう耐性試験により、下記式(2)から導き出される耐性指数(M)が80〜100の範囲である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
M=(Ma/Mb)×100 (2)
Ma:耐性試験前の可逆熱変色性記録材の明度値
Mb:耐性試験後の可逆熱変色性記録材の明度値 - 前記保護層が少なくとも二層以上の層からなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 前記保護層の少なくとも一層が透明性樹脂フィルムからなる請求項6記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 前記支持体の裏面に粘着層を設けてなる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 磁性記録媒体又はICチップを備えてなる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
- 前記冷熱液状体が一価アルコールを70質量%以上含有する液状体である請求項1記載の可逆熱変色性記録材の記録、消去方法。
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